(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
リードが1mm以下のねじ軸を利用しかつテーブルをベースに対して移動可能なテーブル移動機構部と、ねじ軸に連結されたステッピングモータおよびモータドライバを含みかつモータ回転制御信号に基づきねじ軸を回転駆動してテーブルを最小で1nmずつ移動可能な移動用動力をテーブル移動機構部に付与する動力付与部と、3つの光学格子および信号分割回路を含み各光学格子の明線および暗線がそれぞれ2μmとされかつ1パルス当たり1nmの移動変位量検出信号を生成出力してテーブルの移動変位量を検出する移動変位量検出部と、オープンループ制御による高速回転用,クローズドループ制御による中速回転用および低速回転用のモータ回転制御信号をこの順序で切換え出力可能でかつテーブルを目標位置に位置決めするための位置決め制御信号を動力付与部へ生成出力する位置決め制御回路部と、低速回転中に装置構成要素に発生した機械的振動に起因して生成された見掛けモータ回転制御信号を無視する見掛け信号無視手段を具備するテーブル位置決め装置において、
前記ねじ軸に前記ステッピングモータを直結し、
前記モータドライバの分割数を高速回転用分割数と超高速回転用分割数とに選択的に切換え可能に形成し、
高速回転用分割数および超高速回転用分割数のいずれかを選択するための分割数選択切換情報を格納するメモリと,実際位置決め運転に際して指定された指定位置決め情報とメモリに格納された分割数選択切換情報とを利用して当該実際位置決め運転に最適な前記モータドライバの分割数を選択する分割数選択手段と,選択された最適分割数に切換えるための分割数選択切換信号を前記モータドライバに生成出力する切換信号生成出力手段とを設け、
前記位置決め制御回路部が、オープンループ制御による前記高速回転用のモータ回転制御信号に代わる超高速回転用のモータ回転制御信号を出力可能に形成され、
前記オープンループ制御による高速位置決め制御と比較して一段と高速な超高速位置決め制御を実行可能に形成された、テーブル位置決め装置。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0040】
本テーブル位置決め装置は、
図1〜
図11に示す如く、ステージ10とテーブル移動機構部40と動力付与部50と移動変位量検出部60と位置決め制御回路部90と見掛け信号無視手段100を具備する基本的構成において、ねじ軸41にステッピングモータ51を直結しかつモータドライバ93を高速回転用分割数(1,000)と超高速回転用分割数(20)とを選択的に切換え可能に形成し、メモリ82Mと分割数選択手段(81、82)と切換信号生成出力手段(88)とを設け、さらに位置決め制御回路部90をオープンループ制御による超高速回転用のモータ回転制御信号Pdhhを出力可能に形成し、オープンループ制御による高速位置決め制御と比較して一段と高速な超高速位置決め制御を実行可能に形成されている。
【0041】
確認的に、テーブル位置決め装置の基本的構成は、テーブル移動機構部40が全域ねじ軸回転駆動型とされ、動力付与部50がモータ回転駆動型とされかつ位置決め制御回路部90から出力されたモータ回転制御信号Pdに基づきテーブル31を最小で1nmずつ移動可能とされ、移動変位量検出部60が3つの光学格子(61F、63S,63T)を含み1パルス当たり1nmの移動変位量検出信号Psdを生成出力可能で、位置決め制御回路部90をオープンループ制御による高速回転用,クローズドループ制御による中速回転用および低速回転用のモータ回転制御信号(Pdh,Pdm,Pdl)をこの順序で切換え出力可能に形成し、さらに見掛け信号無視手段100を設けて低速回転中に発生するステージ10の機械的振動に起因する見掛け信号(見掛けのモータ回転制御信号)Pdzを無視可能に形成されている。
【0042】
図1〜
図5において、ステージ10は、ベース11とテーブル31とを含み、テーブル31は左右のクロスローラガイド21を介して基軸線(Z)方向に摺動(移動)可能に装着されている。ベース11およびテーブル31は、アルミニュウム合金製で軽量化され、テーブル31は平面四角(120mm×120mm)の薄平板形状で、平均板厚は12mmである。テーブル31の質量は、無負荷(テーブルのみの質量)時が0.5kgで、最大負荷(ワーク等の荷重を含む質量)時は10kgである。しかも、この実施の形態では、テーブル31とベース11とを基軸線(Z)を中心として幅方向に左右対称形状とすることで、加工容易化および低コスト化を促進している。
【0043】
なお、テーブル31は、
図2に2点鎖線で示した右側の後進限位置(31R)と左側の前進限位置(31L)との間(全域…テーブルの移動可能範囲:50mm)を往復移動できる。前進限位置(31L)および後進限位置(31R)は、
図3に示すリミットセンサ29(29R,29L)で検出される。限位置検出信号lt(ltr,ltl)は、
図6に示すように位置決め制御回路部90に送られ、緊急停止用信号として使用される。
【0044】
テーブル移動機構部40は、
図4に示す如く、ベース11側に装着されたねじ軸41と,テーブル31側に装着されかつねじ軸41に螺合したナット部材45とを含み、モータ(ステッピングモータ51)から付与される移動用動力を用いてねじ軸41を回転駆動することでベース11に対してテーブル31をZ方向に移動(往復相対移動)可能な全域ねじ軸回転駆動型である。この実施の形態では、ねじ軸41はバックラッシュ等が少ない精巧なボールねじ軸とされかつナット部材45はこれに対応する構造としてある。
【0045】
ボールねじ軸(41)の右端側はベアリング23を介してベース11に回転自在に支持され、
図4のハニカム方式のカップリング24を介してモータ51の出力軸51Sに連結されている。介在する機械的誤差発生要因と考えられる減速機は一掃した。
【0046】
この実施の形態では、信号分割や制御上の取扱い容易化および現今での装置経済優位化の観点から、ボールねじ軸(41)のねじリードを1mmとしてある。なお、1mm以下のねじリード(例えば、0.5mm)として構築してもよい。
【0047】
ステッピングモータ51には、機械式ダンパー28を連結して低速回転運転時の振動を機械的に抑制乃至吸収可能に形成してある。このダンパー28は、ドーナツ状の内部慣性体とシリコンゲルが振動を吸収しかつ安定したダンピング効果を発揮するものとして、クリーンダンパ(オリエンタルモータ製)を用いた。なお、ステッピングモータ51は、つまみ(ダンパー28の外枠)で手動回転させることもできる。
【0048】
動力付与部50は、モータ(ステッピングモータ51)およびモータドライバ93を含むモータ回転駆動型で、位置決め制御回路部90から出力されたモータ回転制御信号である回転駆動パルス信号Pd(高速回転駆動パルス信号Pdh,中速回転駆動パルス信号Pdm,低速回転駆動パルス信号Pdl)に基づきねじ軸41を回転駆動してテーブル31を最小で1nmずつZ方向に移動可能である。
【0049】
さらに、動力付与部50は、回転駆動パルス信号Pdとして新たな超高速回転駆動パルス信号Pdhhに基づきねじ軸41を回転駆動してテーブル31を最小で50nmずつZ方向に移動可能に形成されている。超高速回転駆動パルス信号Pdhhの分解能が50nmであるから、駆動パルス信号数が同一ならば、分解能が1nmの高速回転駆動パルス信号Pdhによる移動速度(0.5mm/sec)より大幅な高速化を実現できる。つまり、超高速(2.5mm/sec)で移動可能ある。
【0050】
図6に示すモータドライバ93は、マイクロステップドライブ型であって、1パルス当りのモータ回転角度をドライブ分割数(この実施形態では、“1,000”と“20”)に応じて細分する機能を持つ。この実施形態におけるモータ51のステップ角度が0.36(360/1,000)度であるので、分割数が1,000の場合は、1パルス(1パルス:モータ回転制御信号)当りのモータ回転角度は、0.00036度[=0.36度×(1/1,000)]になる。なお、ドライブ分割数は、モータドライバ93の電子的最大応答周波数と安定動作担保のための余裕付加との点から“1,000”程度である。将来的に一段の向上が望まれる。
【0051】
図10を参照して、高速用の分割数(1,000)の場合は、動力付与部50は、位置決め制御回路部90から出力されたモータ回転制御信号(回転駆動パルス信号Pd)に基づきボールねじ軸(41)を回転駆動してテーブル31をZ方向に最小で1nm[=リード(1mm/360°)×ステップ角度(360°/1,000)×ドライバ分割数(1/1,000)]ずつ移動可能である。
【0052】
超高速用の分割数(20)とした場合は、テーブル31をZ方向に最小で50nm[=リード(1mm/360°)×ステップ角度(360°/1,000)×ドライバ分割数(1/20)]ずつ移動可能である。つまり、位置決め開始から目標位置に位置決め完了するまでに要する時間を短縮する策として、オープンループ制御に供する高速回転駆動パルス信号Pdhの分解能(1nm)に比較して低い分解能(50nm)の超高速回転駆動パルス信号Pdhhを生成する。これにより、モータドライバ93の最大応答周波数を超えない領域内で超高速回転駆動が可能となる。
【0053】
移動変位量検出部60は、3つの光学格子(61F、63Sおよび63T)および信号分割回路95を含み、高分解能(1nm/1パルス)の移動変位量検出信号Psdを生成出力可能に形成されている。なお、超高速用分割数(20)とした分解能(50nm)での超高速回転駆動運転中でも、移動変位量検出信号Psdの分解能は1nm/1パルスに維持される。したがって、超高速回転駆動運転中の何時からでも、中速回転駆動に移行できかつ中速回転駆動に精度的支障が及ぶ虞は全くない。
【0054】
詳しくは、移動変位量検出部60は、
図4に示すテーブル31(ベース11側としてもよい。)に取付けられたメインスケール61(61F)と,ベース11(テーブル31側としてもよい。)に取付けられたインデックススケール63(63S,63T)と,
図6に示す検出器(発光器,受光器,アンプ,演算増幅器等を含む。)65と,信号分割回路95とからなり、ベース11に対するテーブル31の移動変位量を検出可能であるとともに、検出移動変位量Psdを位置決め制御回路部90にフィードバック可能かつCPU81に出力可能に形成されている。
【0055】
テーブル31側に、
図4に示すねじ軸収容空間部35を設けるとともにナット部材45とメインスケール61とを取付ける。また、ベース11側に設けられた上下に貫通する
図4,
図5の検出器収容空間部69内に基板68(インデックススケール63,検出器65が取り付けられている。)を外部から平面的姿勢変更可能に取付けてある。つまり、ベース11の下面側から、インデックススケール63の平面的姿勢を変更しつつ行なうモアレ調整および移動変位量検出部60(検出器65等)の点検調整を実行可能に構成されている。したがって、小型・軽量,低コストかつ取扱い容易で、検出可能有効長の拡大と自動位置決めが容易になる。
【0056】
さて、メインスケール61には、
図4に示す第1光学格子61Fが設けられている。このスケール61は、全体としてガラス製平板形状を成しかつ幅方向形状が左右対称とされている。加工歪の左右バランスをとることで、一層の高精度検出ができる。テーブル31には光学格子面を下向き状態として取付けられている。
【0057】
インデックススケール63には、
図3に示す第2光学格子63Sと第3光学格子63Tとが接近配設され、寸法短縮化と第1光学格子61Fに対する平行度の確立を容易化してある。このインデックススケール63も全体としてガラス製平板形状を成しかつ基板68に上向き状態で取付けられている。
【0058】
この基板68には、第3光学格子63Tの下方側に位置する
図5に示した受光部66Jと、この手前側でかつ第2光学格子63Sの下方側に位置する発光部66Hとが取付けられている。
【0059】
発光部66Hは、図示しないLEDと集光レンズとからなり、所定傾斜角を持って基板68に取付けられている。拡散光の有効利用度を高めることができる。両スケール61,63間のギャップ(
図4で上下方向間隔)を大きくすることができる。また、受光部66Jは、1チップの受光素子を
図3に示した4つの第3光学格子63Tに対応させて4分割した受光素子からなる。したがって、温度特性等のバラツキを最小限に抑えられ、同一平面上の配設を自動的に保障できる。
【0060】
かかる移動変位量検出部60では、発光素子(LED)からの拡散光はそのレンズで集光されインデックススケール63上の第2光学格子63Sを透過し、メインスケール61上の第1光学格子61Fに光効率良く入射される。この際、光絶縁手段(図示省略)が設けられているので、各受光素子に拡散光が直接入射されることはない。
【0061】
メインスケール61側の第1光学格子61Fから反射された検出光は、インデックススケール63上の1箇所に集められかつ第2光学格子63Sに接近配設された4つの第3光学格子63Tを透過して、各受光素子(66J)に入射される。
【0062】
かくして、インデックススケール63とメインスケール61とを相対変位させれば、検出器65は、各受光素子からの光電変換信号(出力信号)を解析しつつ
図10に示すスケール信号φA,φBを出力することができる。
【0063】
第2光学格子63Sおよび各第3光学格子63Tが、インデックススケール63の長手(Z)方向に接近配設されているので、第2光学格子63Sおよび各第3光学格子63Tを含む平面と第1光学格子61Fを含む平面との平行度を比較的に簡単に調整できる。取扱いが容易で、装置の小型化および低コスト化も図れる。
【0064】
メインスケール61の第1光学格子61F並びにインデックススケール63の第2光学格子63Sおよび第3光学格子63Tの各明線(幅)および暗線(幅)は、それぞれ2μmとされている。つまり、第1光学格子61F,第2光学格子63Sおよび第3光学格子63Tの各明暗目盛ピッチを電子線描画後に転写複製可能でコスト低減効果が大きな4μmとしてある。
【0065】
図6、
図10において、検出器65から出力されるスケール信号φA,φBの各1周期は2μmで、中心電圧Vrが2.5Vで、振幅電圧Vppが2Vである。信号分割回路95は、スケール信号(正弦波で90度の位相差を持つφA相およびφB相の検出信号)を2,000分割した分割後検出パルス信号(移動変位量検出信号)Psdを生成出力する。つまり、移動変位量検出部60の最小検出分解能を1nmとすることができる。
【0066】
ここに、位置決め制御回路部90は、図示しない偏差カウンタ,信号切換素子等を含み、オープンループ制御による高速回転用のモータ回転制御信号(Pdh),クローズドループ制御による中速回転用のモータ回転制御信号(Pdm)および低速回転用のモータ回転制御信号(Pdl)を、この順序で切換えてモータドライバ93へ出力可能に形成されている。
【0067】
この発明では、一層の高速化を企図することから、モータ回転制御信号(Pdh)を入力としたオープンループ高速回転制御を基本としつつ、モータ回転制御信号(Pdhh)を入力としたオープンループ超高速回転制御を優先して選択実行可能に形成してある。
【0068】
クローズドループ制御は、偏差カウンタ等を働かせ、運転制御部80(パルス信号制御部85)から入力される指令値(指令パルス信号Psz)を目標位置信号としかつ移動変位量検出部60(信号分割回路95)から入力される移動変位量検出信号(分割後パルス信号Psd)をフィードバック信号として駆動パルス信号(PdmまたはPdl)を生成出力させる、ことで実行される。
【0069】
オープンループ制御は、運転制御部80(パルス信号制御部85)から入力される指令値(指令パルス信号Psz)を素通り状態でそのまま駆動パルス信号(Pdhh,Pdh)として生成出力させることで実行される。
【0070】
高速回転用駆動パルス信号(モータ回転制御信号)Pdhに基づくステッピングモータ51の高速回転速度は、ステッピングモータの許容最大速度[f=500kHz]と同じ値とされる。つまり、最大回転速度(fh=500kHz…0.500mm/sec)に選択されている。そして、高速回転用のモータ回転制御信号は、高速回転用周波数fh(500kHz)の駆動パルス信号Pdhとして出力される。
【0071】
超高速回転用駆動パルス信号(モータ回転制御信号)Pdhhに基づくステッピングモータ51の超高速回転速度は、分解能を低くすることでステッピングモータ51の許容最大速度[f=500kHz]よりも低い値(50kHz)とされる。つまり、最大回転速度(fhh=50kHz…2.500mm/sec)に選択してある。そして、超高速回転用のモータ回転制御信号は、超高速回転用周波数fhh(50kHz)の駆動パルス信号Pdhhとして出力される。すなわち、周波数を低く(1/10)してモータドライバ93の負担軽減化を図りつつ1パルス当たりの移動量を50倍として実質的なテーブル移動速度を超高速化している。
【0072】
すなわち、テーブル移動時間の短縮化のために、ボールねじ軸(構造)41の累積代表リード誤差E[=(累積代表リード)−(累積基準リード)=800nm]に相当する位置に至る以前の行程(距離)については、許容最大速度で移動させるわけである。なお、“累積代表リード”とは、累積実リードの傾斜を代表する直線で、ボールねじ(41)の有効移動量(または、ねじ部有効長さ)に対する累積実リードを示す曲線から、最小二乗法(または、それに類する近似法)により求められる。“累積実リード”とは、連続測定による累積リード線図からその平均的傾向を求めたものである。また、“累積基準リード”とは、基準リードに従って任意の回転数で回転させたときの累積リードである。
【0073】
また、低速回転用駆動パルス信号(モータ回転制御信号)Pdlに基づくモータ51の低速回転速度は、オーバーランの発生を防止することのできる回転速度つまり最小速度(0.0002mm/sec)に選択されている。低速回転用モータ回転制御信号は、低速回転用周波数fl(200Hz)の駆動パルス信号Pdlとして出力される。
【0074】
そして、中速回転用駆動パルス信号(モータ回転制御信号)Pdmに基づくモータ51の中速用回転速度は、それらの中間の値とする。すなわち、高速制御用の偏差許容値Eh(=Max.800nm)を解消するためのテーブル移動動作を迅速に行い、その時間短縮を図ることを目的として選択される。中速回転用周波数fmは、低速回転用周波数f1(200Hz)の値の10倍以上の値(2kHz)に選択するのが好ましい。なお、中速回転駆動工程は複数(例えば、2段階)としても実施することができる。
【0075】
また、中速回転駆動範囲を、テーブル移動機構部(ボールねじ軸構造等)40の特性上の誤差E[相当距離(800nm)]の7.9%に相当する中距離範囲(Max.63nm)に選択し、低速回転駆動範囲を移動変位量検出部60の検出最小分解能(1nm)に相当する距離(1nm)の±100%に相当する小距離範囲(±1nm)に選択してある。
【0076】
かくして、
図10に示すように、中速回転駆動時間(約0.37秒)と低速回転駆動時間(約0.31秒)の和である短時間(0.68秒)で最終位置決めすることができる。因みに、中速回転駆動を行なわずかつ低速回転駆動のみで誤差E(Max.800nm)を解消する場合は、10倍(=4.00秒=800nm/200Hz)の時間が掛かる。
【0077】
図6において、位置決め駆動制御ユニット70には、運転制御部80(CPU81,ROM82およびRAM83)とパルス信号制御部85と位置決め制御回路部90と動力付与部50の一部を構成するモータドライバ93と移動変位量検出部60の一部を構成する信号分割回路95とが組込まれている。なお、振動周波数検出手段101は、偏差カウンタ等を含む位置決め制御回路部90内に一体的に形成されているが、説明便宜上、位置決め制御回路部90外に表示してある。
【0078】
CPU81は、ROM82に格納された設定記憶制御プログラムに基づき設定部(PNL)71等を用いて設定入力された情報を受信しかつデータ処理するとともに、受信した記憶対象情報についてはRAM83のワークエリアに記憶する。設定部(PNL)71は、後記する表示部(IND)72と一体のタッチパネル構造としてもよい。
【0079】
なお、記憶対象情報ごとに複数の設定値を予めセットしておき、その中の1つを、例えばディップスイッチを用いて、選択してワークエリアに記憶するように構築してもよい。また、記憶対象情報は、ROM82に格納された固定値(例えば、低速回転用偏差許容値)を読み込みかつその値をそのままRAM83のワークエリアに記憶するようにしてもよい。
【0080】
記憶対象情報としては、設定部(PNL)71を用いて設定・選択・指令入力された
図8のST11に示す位置決め指令値(目標位置)、ST12の移動速度指令値はもとより、超高・高・中・低速回転用周波数fhh(50kHz)・fh(500kHz)・fm(2kHz)・fl(200Hz)と、超高・高・中・低速回転用目標位置と、移動変位量(目標位置…例えば、5mm)と、基準周波数fs(25Hz)、振動周波数検出タイミングである検出開始位置(5mm−10nm)等の各設定値である。なお、超高・高回転速度制御用の目標位置は、超高・高速用偏差許容値Eh(Max.800nm)以内の値にそれぞれ設定記憶しておけばよい。また、中・低速回転速度制御用の目標位置は、中・低速用偏差許容値Em(Max.63nm)以内の値にそれぞれ設定記憶しておけばよい。
【0081】
従来例では高速回転制御による移動速度は中速、低速の場合と同様に一定値(0.5mm/sec)とされたが、この実施の形態では位置決め指令値と同様に、オペレータが超高移動速度を含む一定範囲(0.5〜2.5mm/sec)内で任意の値を選択かつ設定入力することができる。この点からも、実用性が一段と高い。
【0082】
以下ではオープンループ制御による超高速回転用目標位置および高速回転用目標位置を800nm、クローズドループ制御用目標位置を[(63−α)]nmとして設定記憶した場合について説明する。αは、例えば6nmとする。クローズドループ制御に関する低速用目標位置つまり最終的な目標位置は低速回転用偏差許容値Elと等しい±1nmとして設定する。
【0083】
なお、固定値つまりモータドライバ93およびステッピングモータ51の特性で決まる最大回転用周波数fmax.(=500kHz=fh)や偏差許容値Eh(Max.800nm)等は、予めROM62に格納(記憶)されている。
【0084】
また、CPU81は、ROM82に格納された表示制御プログラムに基づき各種の表示対象情報を表示部(IND)72に送信して表示させる。表示対象情報としては、目標位置(設定移動変位量),現在位置(テーブルの実際移動変位量および現在偏差)等である。各種の設定値を選択的に表示することもできる。
【0085】
次に、パルス信号制御部85は、発振器等を含み運転制御部80(CPU81)からの指令に従って当該指令に対応する周波数(fhh,fh,fmまたはfl)のパルス信号Pszを位置決め制御回路部90に生成出力可能に形成されている。
【0086】
分割数選択手段(81、82)は、分割数選択プログラムを格納させたROM82と当該制御プログラムを実行するCPU81とから形成され、実際位置決め運転に際して指定された指定位置決め情報(目標値)と
図6に示すメモリ82Mに格納された分割数選択切換情報とを利用して当該実際位置決め運転に最適なモータドライバ93の分割数を選択する。指定位置決め情報(目標値)は、設定部(PNL)71を用いて設定入力される。指定移動速度も同様に入力される。
【0087】
メモリ82Mには、高速回転用分割数(1,000)および超高速回転用分割数(20)のいずれを選択するかについての指針つまり分割数選択切換情報が格納されている。
図7に示す分割数選択切換情報(基準移動速度、基準限界移動量)は、この実施の形態に係るモータドライバ93の最大応答周波数(1Mpps)に達する基準移動速度Vsと基準限界移動量Xsとの関係を示す情報である。
【0088】
つまり、モータ回転制御信号Pdの周波数が最大応答周波数(1Mpps)に到達したときの移動量を基準限界移動量Xsとしかつこの基準限界移動量Xsを当該基準移動速度Vsに対応させて記憶した情報である。
【0089】
すなわち、ステージ10(11、31)およびステッピングモータ51のイナーシャとの関係から移動速度の立上り・立下り特性が決まることからすれば、基準移動速度Vsを設定して起動した場合において指定移動量Xが基準移動速度Vs(=指定移動速度V)に対応する基準限界移動量Xs以上であれば、最大応答周波数(1Mpps)に達してしまうことになる。基準限界移動量Xs未満であれば、最大応答周波数(1Mpps)に達することはない。
【0090】
図7を参照し、例えば、基準移動速度Vs3が1.8mm/secで、基準限界移動量Xs3が0.025mmについて考える。指定移動速度V3が1.8mm/secでかつ指定移動量X3が0.025mmを超える値(例えば、0.03mm)であれば、モータドライバ93の周波数が最大応答周波数(1Mpps)に達してしまうから、分割数1,000での高速運転(500kHz)は無理である。つまり、1,000よりも小さな分割数(この実施の形態では、20)による超高速運転(50kHz)が望ましい。すなわち、高速回転領域での分解能を低下させるユニークな技術事項の導入により、従来例の最高速度(0.5mm/sec)を超える超高速運転(1.8mm/sec)ができる。
【0091】
しかし、指定移動速度V3が同じ1.8mm/secであっても、指定移動量X3が0.025mm未満(例えば、0.020mm)であれば、最大応答周波数(1Mpps)に達することがないから分割数1,000の高速運転(500kHz)を実行してもかまわない。つまり、常に超高速運転とするのではく、指定移動量が小さな場合は高速運転を実行することができる余地を残してある。運用の実際に対する適応性の拡大である。
【0092】
さらに、具体的に、例えば指定移動速度V1が0.8mm/secでかつ指定移動量X1が0.05mmを超える値(例えば、0.07)の場合、最大応答周波数(1Mpps)に達してしまうから高速用周波数(500kHz)による指定移動速度V1(0.8mm/sec)での高速回転運転は禁止される。つまり、超高速用周波数(50kHz)による指定移動速度Vs1(0.8mm/sec)での超高速回転運転とする。
【0093】
しかし、指定移動速度V1が0.8mm/secでかつ指定移動量X1が0.05mm未満(例えば、0.04mm)であれば、最大応答周波数(1Mpps)に達することがないから、高速回転用分割数(1,000)のまま当該指定移動速度V1(0.8mm/sec)での高速回転運転ができる。もっとも、指定移動速度V1が0.5mm/secである場合は、当該指定移動速度V1(0.5mm/sec)の高速回転運転をすればよく、基準移動速度(Vs1)中の最速(1.0mm/sec)による超高速回転に切換える必要はない。オペレータの指定(0.8mm/sec)を尊重する。
【0094】
同様に、指定移動速度V4が2.5mm/secでかつ指定移動量X4が0.02mmを超える値(例えば、1.0005mm)であれば、超高速用周波数(50kHz)による指定移動速度V4(2.5mm/sec)で超高速回転運転が行われる。このように指定移動量が長大であるほど、時間短縮効果が大きい。
【0095】
なお、同じ指定移動速度V4(2.5mm/sec)であっても指定移動量X4が小さい場合(例えば、0.0005)は、高速用周波数(500kHz)による指定移動速度V4(2.5mm/sec)で高速回転運転させる。最大応答周波数(1Mpps)に達しないので、分割数を切換えない。
【0096】
ここに、分割数選択手段(81、82)は、
図6、
図7に示すメモリ82Mに格納された分割数選択切換情報(基準移動速度Vs、基準切換移動量Xs)と実際位置決め運転に際して指定された指定位置決め情報(指定移動速度V、指定移動量X)とを比較判別して当該実際位置決め運転に最適なモータドライバ93の分割数を選択する。
【0097】
すなわち、分割数選択手段(81、82)は、指定移動速度Vが基準移動速度Vsの中のいずれかに等しい場合で指定移動量Xが当該基準移動速度Vsに対応する基準限界移動量Xsに比べて長い場合は、超高速回転用分割数(20)を最適な分割数として選択する[
図8のST13でYES(Yと記してある。)、ST14]。反対に、指定移動量Xが当該基準移動速度Vsに対応する基準限界移動量Xsに比べて短い場合は、高速回転用分割数(1,000)を最適な分割数として選択[ST13でNO(Nと記してある。)、ST16]する。なお、指定移動量Xが超高速用分解能(50nm)以下の場合は、高速回転用分割数(1,000)を選択する。
【0098】
そして、この実施の形態では、分割数切換制御部88を含む装置構築上の便宜から、分割数選択手段(81、82)はモータドライバ93の分割数(20)を最適な分割数として選択した場合には例えば単相Hレベル系の選択信号(有効信号)Ssctを出力し、分割数(1,000)をモータドライバ93の最適な分割数として選択した場合にはLレベル系の選択信号(無効信号)Ssctを出力する。
【0099】
切換信号生成出力手段は、
図6に示す分割数切換制御部88から形成され、モータドライバ93の最適分割数(20)が選択された場合に出力される選択信号(有効信号)Ssctを受信すると、これをトリガー信号として、超高速用分割数(20)に切換制御するための例えば複数相Hレベル系の分割数選択切換制御信号(切換有効制御信号)Schgをモータドライバ93に生成出力(
図8のST14)する。この実施の形態では、分割数選択切換制御信号(切換有効制御信号)Schgは、ST14に示すように分割数切換制御部88の分割数切換制御機能(分割数を1,000から20に切換える。)を有効とする制御信号として取り扱われる。なお、分割数切換制御部88は、上記したパルス信号制御部85と一体的に形成することができる。
【0100】
また、切換信号生成出力手段(88)は、最適分割数(1,000)が選択された場合に出力される選択信号(無効信号)Ssctを受信すると、高速用分割数(1,000)に戻し切換え制御するためのLレベル系の分割数選択切換制御信号(切換無効制御信号)Schgをモータドライバ93に生成出力(ST16)する。この場合の分割数選択切換制御信号(切換無効制御信号)Schgは、分割数切換制御部88の分割数切換制御機能(分割数を1,000から20に切換える。)を無効とする制御信号として取り扱われる。
【0101】
つまり、この実施の形態では、モータドライバ93は常態では高速用分割数(1,000…中・低速用分割数と同じ。)で分割動作する。そして、切換有効制御信号(Schg)が入力された場合に限り分割数切換制御機能を有効とし、それ以外の場合は常態である高速用分割数(1,000)に自動的に戻し切換えするように形成してある。
【0102】
位置決め制御回路部90は、パルス信号制御部85から当該指令移動速度に対応する周波数(fhh)のパルス信号Pszを受信すると、基本的に超高速回転運転により全体的位置決め時間の短縮を計るように機能する。つまり、指令移動量(目標位置)との関係で、超高速回転運転終了時のテーブル位置が累積代表リード誤差相当位置(800nm)に至る以前の位置で止まることがある。この場合、当該停止位置から累積代表リード誤差相当位置に到達するまで高速回転運転で補完することが考えられるが、これは部分的遅速化と言わざるを得ない。
【0103】
かくして、位置決め制御回路部90は、指定移動量Xに基づく超高速位置決めを実行した場合における位置決め完了位置が累積代表リード誤差相当位置(800nm)に至る以前の位置(手前の位置)になると想定されるときは、当該指定移動量Xに対応する位置決め制御信号に相当するパルス数に1パルスを加算したパルス数(位置決め制御信号)を動力付与部50へ生成出力可能に形成してある。
【0104】
例えば、
図11(B)、(C)に示すように、指定移動量が1.000010mmの場合、必要な超高速位置制御用パルス数は19984.2[=(1,000,010−800)nm/50nm]である。この状態は、中速位置制御領域の手前で超高速位置制御が終了してしまったので、このままでは中速位置制御にスムースに引き継げないことを意味する。そこで、1パルスを加算(小数点以下を繰り上げる。)した19,985パルスとする。すると、中速位置制御領域内に40nm[=50nm×(1−0.2)]分だけ入り込んだ位置(760nm)で、超高速位置決めを終了させることができる。1nm分解能による中速位置制御に何らの悪影響も与えずに迅速で円滑な引き継ぎができる。
【0105】
かかる構成の位置決め装置は、次の通り動作する。
【0106】
運転制御部80(CPU81)は、指令(
図8のST10でYES)に従いRAM83から位置決め指令量(指定移動量X…目標位置)を読込み(ST11)、引続き移動速度指令値(指定移動速度V)を読み込む(ST12)。
【0107】
すると、分割数選択手段(81、82)は、
図7のメモリ82Mに格納された分割数選択切換情報とRAM83のワークエリアに記憶された指定位置決め情報と参照して分割数を選択する。指定移動速度Vが基準移動速度Vsの中のいずれかに等しい場合で指定移動量Xが当該基準移動速度Vsに対応する基準限界移動量Xsに比べて長い場合は超高速回転用分割数(20)を最適な分割数として選択する(ST13でYES)。
【0108】
例えば、指定移動量Xが1.000010mmで、指定移動速度Vが1.0mm/secである場合は、当該基準限界移動量Xsが0.05mmであるから、
図11(B)に示すように超高速回転(20kHz)用の分割数(20)が選択される(ST14)。選択信号(有効信号)Ssctが出力されかつ切換信号生成出力手段(分割数切換制御部88)からモータドライバ93に分割数選択切換制御信号(切換有効制御信号)Schgが生成出力される。これにより、分割数が超高速用分割数(20)に切換わる。なお、ST14には、分割数切換制御88の分割数切換制御機能(1,000→20)を有効とする旨を“分割数切換制御部有効”と記してある。
【0109】
また、
図7、
図11(C)を参照し、指定移動量Xが同じ(1.000010mm)でかつ指定移動速度Vが2.5mm/secとされた場合も、当該基準限界移動量Xsが0.020mmであるから、超高速回転(50kHz)用の分割数(20)が選択される(ST13でYES、ST14)。つまり、分割数切換制御88の分割数切換制御機能(1,000→20)を有効とする。
【0110】
しかし、指定移動量Xが上記場合と同じ1.000010mmでも、指定移動速度Vが0.5mm/secの場合は、従来例の場合(
図12)と同様にモータドライバ93の最大応答周波数に達することがなくかつ
図7の分割数選択切換情報の枠外とされている。つまり、
図11(A)に示すように高速回転(500kHz)用の分割数(1,000)が選択される(ST13でNO、ST16)。分割数は高速用分割数(1,000)のままでよい。ST16では、分割数切換制御88の分割数切換制御機能(1,000→20)を無効とする旨を“分割数切換制御部無効”と記してある。
【0111】
超高速回転運転が選択された場合(ST14)において、運転制御部80(CPU81)は、指令に従いRAM83から読み込んだ指定移動量(目標位置)X、移動速度指令値(指定移動速度V)に対応する超高速オープンループ制御用の位置決め指令信号(パルス数および周波数の指定を含む。)OPNを出力する。この指令信号OPNを受信したパルス信号制御部85は、指令パルス信号Psz[超高速回転用周波数fhhおよび超高速回転用目標位置(800nm)に対応する数の超高速駆動パルス信号Pdhh]を生成出力する(ST15)。なお、説明簡素化のために上記した1パルス加算分についての説明は省略する。
【0112】
すると、位置決め制御回路部90が、オープンループ制御に切換えたままの状態で超高速駆動パルス信号Pdhhをモータドライバ93に送り(素通りさせ)、ステッピングモータ51を超高速回転させる(ST15)。テーブル31は、
図11(C)に示す超高速(2.5mm/sec)で
図4のZ方向(例えば、右方向)に超高速移動する。
【0113】
この超高速回転中に、CPU81は移動変位量Psdを現在位置として読込み(ST18)、RAM83に記憶された超高速回転用偏差許容値(Eh=Max.800nm)に相当するものとして設定記憶された超高速回転用目標位置(800nm)に到達したか否かを判別する(ST19)。この場合の運転制御部80(CPU81,ROM82)は、移動変位量読込み制御手段,偏差判別手段として働く。
【0114】
そして、運転制御部80(CPU81,ROM82)は、テーブル31の移動変位量が(1.000010mm−800nm)に至っていない場合、つまり超高速回転用目標位置(800nm)に到達していないと判別(ST19でNO)した場合は、分割数切換制御を有効(ST20でYES)として超高速回転を続行させる(ST15)。超高速回転用目標位置(800nm)に到達していると判別(ST19でYES)できた場合には、分割数切換制御部88の分割数切換制御機能を無効(ST21)とするとともに、オープンループ制御からクローズドループ制御への切換指令しかつ中速クローズドループ制御用の位置決め指令信号(パルス数および周波数の指定を含む。)CLSDを出力する(
図9のST22)。この指令信号CLSDを受信したパルス信号制御部85は、中速回転用周波数fmの指令パルス信号Pszを生成出力する。
【0115】
一方、高速回転運転が選択された場合(
図8のST16)において、運転制御部80(CPU81)は、指定移動量(目標位置)X、移動速度指令値(指定移動速度V)に対応する高速オープンループ制御用の位置決め指令信号(パルス数および周波数の指定を含む。)OPNを出力する。この指令信号OPNを受信したパルス信号制御部85は、指令パルス信号Psz[高速回転用周波数fhおよび高速回転用目標位置(800nm)に対応する数の高速駆動パルス信号Pdh]を生成出力する(ST17)。
【0116】
すると、位置決め制御回路部90が、オープンループ制御に切換えたままの状態で高速駆動パルス信号Pdhをモータドライバ93に送り(素通りさせ)、モータ51を高速回転させる(ST17)。テーブル31は、
図11(A)に示す高速(0.5mm/sec)で
図4のZ方向(例えば、右方向)に高速移動する。
【0117】
この高速回転中に、CPU81は移動変位量Psdを現在位置として読込み(ST18)、RAM83に記憶された高速回転用偏差許容値(Eh=Max.800nm)に相当するものとして設定記憶された高速回転用目標位置(800nm)に到達したか否かを判別する(ST19)。この場合の運転制御部80(CPU81,ROM82)は、移動変位量読込み制御手段,偏差判別手段として働く。
【0118】
そして、運転制御部80(CPU81,ROM82)は、テーブル31の移動変位量が(10mm−800nm)に至っていない場合つまり高速回転用目標位置(800nm)に到達していないと判別(
図8のST19でNO)した場合は、分割数切換制御機能を無効(ST20でNO)として高速回転を続行させる(ST17)。高速回転用目標位置(800nm)に到達していると判別(ST19でYES)できた場合には、分割数切換制御部88の分割数切換制御機能が現在無効であるから無効化処理(ST21)は行わずに素通りし、オープンループ制御からクローズドループ制御への切換指令かつ中速クローズドループ制御用の位置決め指令信号(パルス数および周波数の指定を含む。)CLSDを出力する(
図9のST22)。この指令信号CLSDを受信したパルス信号制御部85は、中速回転用周波数fmの指令パルス信号Pszを生成出力する。
【0119】
すると、位置決め制御回路部90は、移動変位量検出部60(95)から読込んだ移動変位量(分割後検出パルス信号Psd)をフィードバック信号とするクローズドループ制御に切換えかつ生成した中速駆動パルス信号Pdmをモータドライバ93に送り、ステッピングモータ51を中速回転させる(ST22)。テーブル31は、
図11(C)、(A)の右側に示す中速(0.002mm/sec)で移動され、中速回転用の目標位置に向けて位置決めされる。
【0120】
この中速回転中に、CPU81は移動変位量Psdを連続読込みしつつ、中速回転用の偏差許容値(Em=±63nm)に相応するものとしてRAM83に設定記憶されている目標位置(63−α)nm以内に到達しているか否かを判別する(ST23、ST24)。この場合も、運転制御部80(CPU81,ROM82)は、移動変位量読込み制御手段,偏差判別手段として働く。
【0121】
そして、目標位置(63−α)nmに到達していないと判別(ST24でNO)した場合は、中速回転を続行させる(ST22)。到達していると判別(ST24でYES)できた場合、運転制御部80(81)は低速クローズドループ制御用の位置決め指令信号(パルス数および周波数の指定を含む。)CLSD2を出力する。この指令信号CLSD2を受信したパルス信号制御部85は、低速回転用周波数flの指令パルス信号Pszを生成出力する。
【0122】
すると、位置決め制御回路部90は、移動変位量検出部60(95)から読込んだ移動変位量(分割後検出パルス信号Psd)をフィードバック信号とするクローズドループ制御に切換えたままの状態で低速駆動パルス信号Pdlをモータドライバ93に送り、モータ51を低速回転させる(
図9のST25)。テーブル31は、
図11(C)、(A)の右側に示す低速(0.0002mm/sec)で移動され、低速回転用つまり最終の目標位置(±1nm)に向けて位置決めされる。
【0123】
この低速回転中に、CPU81は移動変位量Psdを連続読込みしつつ、RAM83に記憶された低速回転用の偏差許容値(El=±1nm)以内であるか否かを判別する(ST26、ST32)。この場合も、運転制御部80(CPU81,ROM82)は、移動変位量読込み制御手段,偏差判別手段として働く。
【0124】
そして、偏差許容値(El=±1nm)以内でないと判別(ST32でNO)した場合は、低速回転を続行させる(ST25)。偏差許容値(El=±1nm)以内であると判別(ST32でYES)できた場合には、位置決めを終了させる。
【0125】
ここで、見掛け発生信号無視手段とこれに関する動作(
図9のST27〜ST31)について詳しく説明する。
【0126】
上述の通り、低速回転用周波数flの値を、オーバーラン発生を防止することができる低速度(0.0002mm/sec)つまり200Hzに選択してあるから、低速回転駆動終了時には確実に移動変位量検出部60の最小分解能(1nm)および駆動パルス信号Pdlの移動量(1nm/1パルス)に相当する高精度(1nm)で位置決め停止できている筈である。
【0127】
しかし、この従来の考え方は、位置決め精度が10nm程度の位置決め装置[例えば、先提案(特許文献6)の装置]を確立する場合に有効(適合)であるが、特に1nm以下の高精度位置決めを保証する装置の場合は適合外と言える。
【0128】
本発明を創生するに先立つ試験研究によれば、高精度(1nm以下)であるが故の固有的外乱の侵入に係る不安定要因が存在することが認められた。つまり、最終位置決め精度(1nm以下)を安定かつ確実に保証できない事態が生じている。すなわち、位置決め精度(1nm以下)を中心にハンチングが生じ最終位置決めができない事態、±1nmを超える精度で位置決め終了となる事態や、一旦位置決め終了した後に最終位置決め精度(1nm以下)を中心として変動してしまう事態等である。
【0129】
この原因は、クローズドループ制御による低速回転駆動終了時点において、微妙な機械的振動が発生する場合があり、高分解能(1nm)の移動変位量検出部60がその振動を変位量として検出しかつ位置決め制御回路部(偏差カウンタ)90が偏差打消用の低速回転駆動パルス信号Pdlを生成出力することにある。この偏差打消用の低速回転駆動パルス信号Pdlは、本来的制御内容から外れた見掛け発生信号であって、位置決め制御上、無用であるばかりか有害なものである。
【0130】
かくして、低速回転駆動終了時点に機械的振動が発生しない構造を具現化すべく検討した。例えば、ステージ10の要所に重厚な防振ゴムを装着する。ステージ10(11,31等)の機械的な剛性を高くする等である。しかし、いずれも構造複雑化および装置大型化やコスト高を招来する欠点がある。これら欠点を忍受することとしあるいは例えば低速回転用速度を一段と低い値に設定したとしても、機械的振動を完全に払拭することは至難であった。
【0131】
しかしながら、この固有かつ特殊な問題を解消しなければ、装置の普及拡大は到底できない。そこで、心ならずも低速回転駆動終了時における機械的振動の発生を前提に詳細検証した結果、位置決め終了時に発生する機械的振動の振幅と振動周波数との間に一定の相関があることを見出した。
【0132】
具体的には、この実施形態に係るステージ10の構造(特に、テーブル31の大きさ…質量0.5kg)では、Z方向の振幅wzが±1nmを越える場合はその振動周波数fmzが25Hzを超える値のときであった。最大荷重は上記した10kgである。すなわち25Hz以下では、±1nmを越える値の振幅は認められなかった。これを中心としたステージ10(テーブル31)の大型化(例えば、テーブル31の平面形状を200mm×200mmとする。)あるいは小型化(例えば、100mm×100mmとする。)しても、この程度の大きさ(構造)の違いでは、やはり±1nmを越える振幅は認められなかった。テーブル質量の増減量が最大荷重10kgに対して非常に小さいからと思われる。
【0133】
そこで、上記の見掛け発生信号(見掛けモータ回転制御信号)を特定しかつハードウエアまたは/およびソフトウエアにより除外する技術を創生した。この実施の形態では、見掛け信号無視手段100を設け、機械的振動を検出した場合に見掛け発生信号(見掛けモータ回転制御信号)を無視(モータドライバ93側に出力しない。)するように構築してある。
【0134】
この見掛け信号無視手段100は、位置決め制御回路部90内に設けられた振動周波数検出手段101、周波数比較判別手段102および信号出力阻止制御手段103とから構成され、低速回転中にステージ10に発生した機械的振動に起因して生成された見掛け発生信号(1つの見掛けモータ回転制御信号…Pdl)を無視する手段である。
【0135】
振動周波数検出手段101は、低速回転中のステージ10の機械的振動周波数fmkを検出(
図9のST28)する。この実施の形態では、低速回転駆動終了時(タイミング詳細は後記する。)における偏差カウンタの出力信号の立上りパルスでトリガーを掛けかつ振動の1周期の時間を計測することにより、機械的振動周波数fmkを検出する。したがって、振動周波数検出手段101として他の形態[例えば、テーブル31(またはベース11)側に設けた振動センサ(101)…
図6に2点鎖線で示した。]を用いる場合に比較して、取扱い容易でかつ低コストで具現化でき、信頼性も非常に高い。
【0136】
周波数比較判別手段102は、読み込み(ST29)された基準周波数(設定周波数)fsと検出された振動周波数fmkとを比較判別する。検出振動周波数fmkが設定基準周波数fs(25Hz)を超える周波数ではないと判別(ST30でNO)する。振動が発生しておらず検出できない場合もYES判断する。なお、基準周波数(設定周波数)は、CPU81から直接(
図6では図示省略した)にまたはパルス信号制御部85を通して位置決め制御回路部90内に取り込まれる。
【0137】
そして、NO判断されかつ現在値が偏差許容値(El=±1nm)以内でないと判別(ST32でNO)された場合には、低速回転駆動が続行される(ST25)。偏差許容値(El=±1nm)以内であると判別(ST32でYES)できた場合には、位置決めを終了する。
【0138】
ここに、周波数比較判別手段102によって検出振動周波数fmkが設定基準周波数fsを超える周波数であると判別(ST30でYES)された場合は、信号出力阻止制御手段103が働く。つまり、位置決め制御回路部90で生成された低速回転用のモータ回転制御信号Pdl(見掛けモータ回転制御信号)がモータドライバ93に出力されることを阻止する(ST31)。したがって、ハンチングを防止することができる。
【0139】
ところで、位置決め時間短縮化の観点からすると、低速回転駆動途中にあっては、仮に25Hzを超える機械的振動が何らかの原因で発生(誘発乃至付加)したとしても、モータ回転制御信号(Pdl)の出力阻止によりモータ回転を中断させるべきでない。また、低速回転駆動中に何時でも振動周波数検出手段101および周波数比較判別手段102を作動(ST28、ST30)させることも、データ処理負荷の増大を招く不利がある。
【0140】
かかる事態は、振動周波数検出手段101および周波数比較判別手段102を位置決め制御回路部90内の回路素子を利用した簡素回路(例えば、OR回路)で構築する場合においては、超高速モータ回転制御中、高速モータ回転制御中および中速モータ回転制御中でも当該モータ回転制御信号(Pdhh、Pdh、Pdm)の出力が阻止されモータ回転中断の虞があり得る。しかも、背景的原点に戻れば、低速回転制御による位置決め終了時点に発生した機械的振動に伴う不具合を一掃することを目的とする考え方に馴染まない。
【0141】
ここにおいて、周波数検出タイミング検出手段105を設け、周波数検出タイミングになったことが確認(ST27でYES)された以降に、ST28〜ST31に進行可能に形成してある。この実施の形態では、周波数検出タイミングを低速回転による位置決め終了間際(例えば、最後から数えて10番目の低速駆動パルス信号Pdlを出力した時点)として設定してある。最後から数えて1番(あるいは2番)目以降の低速駆動パルス信号Pdlが出力された時点等に選択設定してもよい。
【0142】
以上では、この周波数検出タイミング検出手段105,周波数比較判別手段102および信号出力阻止制御手段103を、ハードウエア(位置決め制御回路部90)により形成した場合について説明したが、ソフトウエア(例えば、当該各制御プログラムを格納させたROM82とこれを実行するCPU81)から形成してもよい。この場合、振動周波数検出手段101の検出信号はCPU81でも読込み可能に形成すればよい。
【0143】
さらに、周波数検出タイミング検出手段(105)は、位置決め駆動制御ユニット70内のその他電気信号の振動に伴う周波数変化を捉えて検出するように形成することもできる。
【0144】
なお、見掛け発生信号を無視する方法乃至手段としては、他の方法乃至手段をもって実施するようにしてもよい。例えば、機械的振動を検出した場合に移動変位量検出器60の全部又は一部の動作をロックして分割後検出パルス信号Psdの値をホールドさせる、検出振動周波数が25HZ以下の場合に低速回転駆動パルス信号Pdlを通過させるローパスフィルタを位置決め制御回路部90内に設ける等である。
【0145】
この実施形態に係る位置決め装置では、
図8、
図10、
図11(C)を参照して、オープンループ制御によりテーブル31はZ方向に当該装置(51等)の許容最高と同じ値の超高速(2.5mm/sec)で移動される。指定移動量Xが1.00010mmであれば、従来例(
図12)の高速位置制御時間が約1.998secであるのに対して、本発明[
図11(C)]の場合は超高速位置制御時間が約0.3997secであり、約1/5の時間で終了することができる。つまり、約5倍の高速化を達成できた。
【0146】
運用の実際において、分解能1nmでの評価領域が5mm間隔で配設されている場合、従来例の場合は次の評価領域に約10秒掛かって移行していたが、本発明の場合は約2秒で移行させることできるから、評価作業能率を大幅に向上できる。手空き時間を一掃できる。いわんや上記したテーブル移動可能範囲(50mm)の往(復)移動を考えると、従来例の約100秒から約20秒に飛躍的時間短縮を達成できる。
【0147】
しかも、指定移動速度は、所定範囲(0.5超〜2.5mm/sec)内の任意の移動速度を指定することができるから、実用性が飛躍的に向上した。つまり、
図11(C)に示す超高速(2.5mm/sec)のみならず、例えば
図11(B)に示す超高速(1.0mm/sec)を指定した移動運転も行える。
【0148】
図11(A)の場合は、高速位置制御時間が1.998secであり、従来例の場合(
図12)と同じである。つまり、従来使用態様も選択することができる。
【0149】
超高速位置制御でも高速位置制御でも、最小分解能が1nmである移動変位量検出部60を用いて検出したテーブル現在位置が偏差許容値(800nm)相当の設定目標位置内に入ると、クローズドループ制御に切換えら、中速(0.002mm/sec)で移動される。引続き、現在値が偏差許容値(±63nm)相当の設定目標位置[(63−α)nm]内に入ると、クローズドループ制御のまま、オーバーランの心配がない低速(0.0002mm/sec)で移動される。したがって、テーブル移動機構部40の誤差E(800nm)を打消して±1nmの高精度位置決めを終了するまでの時間を大幅に短縮(0.68秒=0.37+0.31)することができる。誤差打消工程を低速回転駆動のみで行なう場合の必要時間は4.00秒(=800/200)である。
【0150】
因みに、全域をモータ連続駆動により制御するので、粗動(ねじ軸駆動)および微動(ピエゾアクチュエータ駆動)の切換構造の欠点を一掃することができる。つまり、移動変位量を大きくでき、連続駆動による移動時間の短縮ができ、ボールねじ軸41を傾斜状態や垂直状態としても使用でき、垂直状態でかつ負荷を引上げる態様でも使用できる。
【0151】
しかも、ステージ10(11,31)に±1nmを越える大きな機械的振動が発生している場合には見掛け発生信号無視手段100が働き、位置決め制御回路部90で生成された見掛けモータ回転制御信号(低速回転用駆動パルス信号Pdl)がモータドライバ55側に出力されてしまうことを阻止する。機械的振動の収斂後に必要によって最後の低速回転用駆動パルス信号Pdlを出力して±1nm内に追い込む。したがって、安定した位置決め制御を確実に担保できかつ何時でも何処で使用しても高精度(±1nm)位置決めを保障できる。
【0152】
この見掛け発生信号無視手段100は低速回転駆動の終了間際に動作するので、無用なモータ回転の中断やハンチングによる制御時間の長期化や不安定動作を一掃できる。さらに、ダンパー28も機械的に同等な作用効果を助長する。
【0153】
しかして、この実施の形態によれば、ねじ軸41にステッピングモータ51を直結し、モータドライバ93の分割数を高速回転用分割数(1,000)と超高速回転用分割数(20)とを選択的に切換え可能に形成し、指定位置決め情報と分割数選択切換情報とを利用して当該実際位置決め運転に最適な分割数を選択してモータドライバ93の分割数を選択分割数に切換え可能で、オープンループ制御による超高速回転用制御信号Pdhhを出力可能に形成されているので、オープンループ制御による高速位置決め制御と比較して一段と高速な超高速位置決め制御を実行できる。よって、1nm以下の高精度位置決めを超高速かつ安定して行えるとともに、小型軽量なテーブル位置決め装置を提供できる。
【0154】
また、ねじ軸41がリード1mmのボールねじ軸とされかつ信号分割回路95の信号分割数が2,000に選択されているので、一段のコスト低減化および動作安定化を達成できる。
【0155】
また、ステッピングモータ51のステップ角度が0.36度に選択されているので、モータドライバ93の分割数の減少化に有効である。なお、減速機の一掃化にも役立つ。
【0156】
モータドライバ93の高速回転用分割数が1,000とされかつ超高速回転用分割数が20とされているので、モータドライバ93に過度な負担を掛けずに高速および超高速を切換えた運転ができる。
【0157】
分割数選択切換情報がモータドライバ93の最大応答周波数に達するまでの基準移動速度Vsと基準移動量Xsとを関連付けた情報とされているので、モータドライバ93の最大応答周波数以下での周波数作動を担保しつつ高速移動および超高速移動を安定して切換えられ、運転態様に対する適応性が広い。
【0158】
さらに、分割数選択手段(81、82)は指定移動量Xが当該基準移動速度Vsに対応する基準移動量Xsに比べて短い場合は高速回転用分割数(1,000)を有効[超高速回転用分割数(20)を無効]としかつ基準移動量に比べて長い場合は超高速回転用分割数(20)を有効とするので、移動速度および移動量の指定をした位置決め運転ができかつ指定値の如何に拘らず安定した位置決めができる。
【0159】
さらに、超高速位置決め完了位置が累積代表リード誤差相当位置に至る以前の位置になると想定されるときは位置決め制御信号に1パルスを加算したパルス数の位置決め制御信号を動力付与部50へ生成出力するので、超高速移動運転から中速移動運転への引き継ぎを迅速に行え、最終位置決め終了までの時間短縮にも有効である。
【0160】
ステッピングモータ51の回転軸に機械式ダンパー28が連結されているので、低速移動運転時の機械的振動を吸収でき、一段と安定した位置決めができる。
【0161】
移動量および移動速度を所定範囲内で設定変更した位置決め運転ができるので、従来例(移動速度が設定変更できなかった。)に比較して、応用範囲を飛躍的に拡大できる。
【0162】
見掛け信号無視手段100が、低速回転中の機械的振動周波数を検出する振動周波数検出手段101と,検出振動周波数が設定基準周波数を超える周波数であるか否かを判別する周波数比較判別手段102と,低速回転用のモータ回転制御信号(Pdl)出力を阻止する信号出力阻止制御手段103とからなるので、無駄なく外乱侵入阻止できかつ一段と確実で安定した位置決めを行なえる。当該手段の具現化が容易である。
【0163】
基準周波数が25Hzに選択されているから、一段と検出が容易で迅速処理できる。また、設定部71を用いて設定変更できるのでテーブル移動機構部40の構造および運用事項に対する適応性が広くかつ周波数比較判別手段102が低速回転による位置決め終了間際に判別動作可能に形成されているので、無駄なモータ回転の中断やハンチングの発生を防止でき、データ処理負担も軽減できる。
【0164】
また、移動変位量検出部60がステージ10内に収容されているので、テーブル31をベース11から分解取外ししなくても、モアレ調整等を外部から簡単に行なえるとともに、使用中は密閉状態となるから塵芥の侵入や付着を防止できる。
【0165】
また、各第3光学格子63Tが1箇所に集められかつインデックススケール63の長さ方向に接近配設されているので、Z方向の装置寸法をより小型化できるとともに、第1光学格子61Fを含む平面に対する平行度をより簡単かつ迅速に確立できる。