(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873386
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】装入装置
(51)【国際特許分類】
C21B 7/20 20060101AFI20160216BHJP
F27B 1/20 20060101ALI20160216BHJP
F27D 3/10 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
C21B7/20 301
F27B1/20
F27D3/10
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-104770(P2012-104770)
(22)【出願日】2012年5月1日
(65)【公開番号】特開2013-231225(P2013-231225A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2014年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】新日鉄住金エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨崎 真
【審査官】
酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/043454(WO,A1)
【文献】
特開昭60−152608(JP,A)
【文献】
特開2007−262453(JP,A)
【文献】
特表平09−508442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21B 7/20
F27B 1/00−1/16
F27B 1/20−1/21
F27B 1/26
F27D 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、前記フレームに設定された旋回軸と、前記フレームに支持されて前記旋回軸を中心に回転可能なロータと、前記ロータに設定されて前記旋回軸に第1角度で交差する調整軸と、前記ロータに支持されて前記調整軸を中心に回転可能なホルダと、前記ホルダに固定されて前記調整軸に第2角度で交差する方向へ延びるシュートと、前記ロータを前記フレームに対して回転させるとともに前記ホルダを前記ロータに対して回転させる駆動機構と、を有する装入装置であって、
前記シュートの先端が延びる方向とは前記調整軸を挟んで反対側で前記シュートに固定されたカウンターウェイトを有し、
前記カウンターウェイトは、前記ホルダ、前記シュートおよび前記カウンターウェイトを合わせた調整軸回転部分の重心と前記調整軸との距離が、前記カウンターウェイトを含まない調整軸回転部分の重心と前記調整軸との距離の半分以下になるように重さおよび配置とされていることを特徴とする装入装置。
【請求項2】
請求項1に記載された装入装置において、
前記調整軸回転部分の重心は、前記ホルダを前記ロータに対して前記調整軸を中心に回転可能に支持する軸受の中心に近接して配置されていることを特徴とする装入装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載された装入装置において、
前記調整軸回転部分は、前記シュートの先端が延びる方向とは前記調整軸を挟んで反対側で前記ホルダに固定された補助カウンターウェイトを有し、
前記補助カウンターウェイトは、前記ホルダ、前記シュート、前記カウンターウェイトおよび前記補助カウンターウェイトを合わせた前記調整軸回転部分としての重心と前記調整軸との距離が、前記カウンターウェイトを含まない調整軸回転部分の重心と前記調整軸との距離の半分以下になるように重さおよび配置とされていることを特徴とする装入装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れかに記載された装入装置において、
前記カウンターウェイトは、前記シュートの一部を囲む熱遮蔽板を兼ねていることを特徴とする装入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装入装置に関し、高炉などの容器内部に装入物を装入する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製銑用の高炉においては、炉内に装入物を装入する設備として装入装置が用いられている。同様な装入装置は、他の反応炉や反応塔、触媒容器など、容器内部に内容物を充填する際にも用いられている。
このような装入装置においては、容器内における装入物の円周分布を均一にする等、装入物を所望の状態とすることが要求される。このために、装入装置においては、装入物の散布方向や散布状態を自由に制御することが求められ、様々な散布機構が開発されている。
【0003】
装入装置として、本願の出願人により、シュートの旋回軸まわりに回転するロータと、旋回機構に支持されて旋回軸に対して傾斜した調整軸まわりに回転するホルダとを設置し、このホルダに、装入物を散布するシュートを、調整軸に対して傾斜した状態で支持した構成が提案されている(特許文献1参照)。
このような特許文献1では、通常はこれらのロータおよびホルダを同期回転させることでシュートを一定の傾斜角度で旋回させるとともに、ロータに対してホルダを相対回転させることにより、シュートの傾斜角度を調整することができる。
【0004】
図9において、特許文献1の装入装置1は、高炉内に鉄鉱石および石炭を主体とする装入物を散布するために高炉2の炉頂部に設置されるものであり、フレーム3に旋回用軸受431により、旋回軸D1を中心に回転自在に支持されたロータ4と、ロータ4に調整用軸受55により、調整軸D2を中心に回転自在に支持されたホルダ5と、ホルダ5に固定されてシュート中心軸D3に沿って延びるシュート6とを有する。
【0005】
旋回軸D1は、鉛直方向の軸線であり、高炉2の中心軸線と一致する。調整軸D2は、点Oにおいて旋回軸D1と交差しており、互いの交差角度は第1角度A1とされている。シュート中心軸D3は、前述した点Oにおいて調整軸D2と交差しており、互いの交差角度は第2角度A2とされている。シュート中心軸D3は、シュート6から散布される装入物が炉内に散布される方向を規定するものであり、その方向は通常はシュート6の円錐台形状の底面方向とされる。なお、実際の装置では、シュート6を構成する筒体の中心軸D3’は、前述したシュート中心軸D3から幾分離れて設定されることがあるが、装入物の散布方向としては同一視できる。
【0006】
ロータ4は、旋回駆動モータ70を含む旋回駆動機構7により駆動され、フレーム3に対して旋回軸D1まわりに回転する。ホルダ5は、調整駆動モータ80を含む調整駆動機構8により駆動され、ロータ4に対して調整軸D2まわりに回転する。
これらの駆動機構7,8からの駆動が同期している状態では、ロータ4およびホルダ5は旋回軸D1まわりに一体に回転する(旋回動作)。
一方、駆動機構7,8からの駆動に位相差が生じると、ホルダ5はロータ4に対して調整軸D2まわりに回転し、これによりシュート6の旋回軸D1に対する傾斜角度を調整することができる(調整動作)。
【0007】
調整動作においては、ホルダ5がロータ4に対して調整軸D2まわりに回転する。すなわち、シュート6(シュート中心軸D3)は、調整軸D2に対する第2角度A2を保ったまま調整軸D2まわりに回転し、シュート6の先端開口の点Pは軌跡L2に沿って円形に移動する。この回転により、シュート中心軸D3の旋回軸D1に対する方向(つまりフレーム3に対する方向)が変化し、シュート中心軸D3は、図中一点鎖線で示す状態から交点Oを中心に図中左側へと振れ、これによりシュート6の傾斜角度の調整を行うことができる。
【0008】
旋回動作においては、ホルダ5およびロータ4が一体で、フレーム3に対して旋回軸D1まわりに回転し、シュート6の先端の点Pは軌跡L1に沿って旋回する。
シュート6は、実線で図示した状態で、シュート中心軸D3が旋回軸D1に対して最大角度をなす傾斜角度となっており、旋回時の先端開口の点Pの軌跡L1は最大となり、装入物の散布半径も最大となる。
ここで、調整動作を行い、ホルダ5をロータ4に対して回転させ、シュート中心軸D3を調整軸D2まわりに回転させることで、シュート中心軸D3の旋回軸D1に対する角度が小さくなってゆき、軌跡L1は徐々に小さくなり、装入物の散布半径も徐々に小さくなる。
従って、上述のようなホルダ5およびロータ4の回転を適切に制御することで、所定半径での原料旋回散布が行えるとともに、必要に応じて散布半径の調整を行うことが可能となる。
【0009】
なお、旋回軸D1と調整軸D2とが交差する第1角度A1が例えば20度とされ、調整軸D2とシュート中心軸D3とが交差する第2角度A2が例えば20度とされ、つまり第1角度A1と同じとされている。このため、ホルダ5の回転によりシュート中心軸D3が図中最も左寄りにある状態では、シュート中心軸D3は旋回軸D1に一致し、軌跡L1の半径が0となる。
このような構成では、ロータ4およびホルダ5に対して個別の駆動モータ70,80を用い、各々の回転を個別に制御することで、差動機構を用いずに旋回動作および傾斜角度調整を行うことができる。つまり、ロータ4およびホルダ5を同期回転させること、
図9の構成で正確にはロータ4とホルダ5に連なる伝達側傘歯歯車82とを同期回転させることで、シュート6の傾動角度を現状角度のまま旋回動作させることができ、あるいはロータ4と伝達側傘歯歯車82との回転数に差を付与することで、シュート6の傾斜角度を調整することができる(特許文献1の段落0038および
図1、段落0047および
図15参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2011/043454号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、前述した特許文献1の装入装置では、ホルダを回転させる駆動機構の負荷変動が大きく、このために調整動作の精度を高めにくいとともに、ホルダをロータに回転自在に支持する軸受の耐久性を高めにくいという問題があった。
【0012】
前述した特許文献1の装入装置(
図9参照)では、ホルダがロータに対して調整軸D2まわりに回転し、ホルダに固定されたシュートの先端は軌跡L2を描く。調整軸D2は、一般に垂直とされる旋回軸D1に対して傾斜され、調整軸D2を中心とする軌跡L2は、水平面に対して傾いた面内を一巡する。
ホルダは軸D2を中心軸とする円筒形に近い形状であり、その重心は調整軸D2の近くにあるが、シュートは先端が調整軸D2から離れるように傾けて固定されており、シュートの重心は、調整軸D2から離れた位置にある。従って、調整軸D2まわりを回転するホルダおよびシュートを合わせた重心G1も調整軸D2から離れた位置にある。
従って、ホルダおよびシュートが調整軸D2まわりを回転する際には、シュートおよびホルダを合わせた重心G1は、シュート先端の軌跡L2と同様に水平面に対して傾斜した面内を廻る円形の軌跡L3を描き、重心は周回に伴って高さが上下に変動することになる。
【0013】
ここで、特許文献1の装入装置においては、調整動作のためにホルダおよびシュートを回転させるモータ等の駆動源を含む駆動機構を用いている。駆動源であるモータ等は、シュートおよびホルダを合わせた重心G1を、前述した水平に対して傾いた面内を周回させるため、軌跡の一部の区間では重心G1を持ち上げる際に大きな負荷がかかり、他の区間では重心G1が下降するため負荷が軽減される。その結果、ホルダ及びシュートが調整軸D2まわりを回転する際、その重心G1を上下させるために、必要な駆動トルクの変動が避けられない。
このように必要な駆動トルクの変動があると、シュートの傾斜角度の高精度な制御が難しくなるという問題がある。
【0014】
また、調整用軸受55(
図9参照)には、シュートおよびホルダの重力によるモーメントが作用する。このモーメントのモーメントアームは、調整用軸受の回転平面と調整軸D2の交点である中心点と、シュートおよびホルダの重心とを結ぶ線分の長さである。ここで、シュートおよびホルダの重心G1は、調整軸D2を廻る円形の軌跡L3が水平面に対して傾斜しているため、軌跡L3上の位置(調整軸D2を中心とした方位)に応じて上下に変位する。その結果、重心G1のモーメントアームは、軌跡L3上の周回に伴ってその傾斜角度が変化し、重力のモーメントアームに垂直な成分の大きさも変化する。従って、調整用軸受55に作用する重力のモーメントは、ホルダおよびシュートの傾斜角度によって大きさが変化する。
すなわち、シュートが最大散布半径の状態にあるとき、つまりモーメントアームと鉛直軸の角度が最大のとき、調整用軸受55に最大のモーメントが作用する。一方、シュートが旋回軸D1に沿って下方を向いている時には、モーメントアームと鉛直軸の角度が最小となり、調整用軸受55に作用するモーメントが最小となる。つまり、シュートおよびホルダが調整軸D2のまわりを一周する間に、調整用軸受55に作用するモーメントが変動する。
また、旋回用軸受431に作用する、シュートおよびホルダの重力によるモーメントは、旋回軸D1とシュートおよびホルダの重心G1の距離R1と、作用する重力の積である。ホルダ及びシュートの傾斜角度によって距離R1が変化するため、旋回用軸受431に作用するモーメントも、シュートおよびホルダが調整軸D2のまわりを一周する間に変化する。
このように軸受に作用するモーメントが繰り返し変動することで、軸受の寿命が短くなるという問題がある。
【0015】
本発明の目的は、調整動作における駆動トルクの変動を抑制できるとともに、調整機構の軸受の耐久性を高められる装入装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の装入装置は、フレームと、前記フレームに設定された旋回軸と、前記フレームに支持されて前記旋回軸を中心に回転可能なロータと、前記ロータに設定されて前記旋回軸に第1角度で交差する調整軸と、前記ロータに支持されて前記調整軸を中心に回転可能なホルダと、前記ホルダに固定されて前記調整軸に第2角度で交差する方向へ延びるシュートと、前記ロータを前記フレームに対して回転させるとともに前記ホルダを前記ロータに対して回転させる駆動機構と、を有する装入装置であって、前記シュートの先端が延びる方向とは前記調整軸を挟んで反対側で前記シュートに固定されたカウンターウェイトを有し、前記カウンターウェイトは、前記ホルダ、前記シュートおよび前記カウンターウェイトを合わせた調整軸回転部分の重心と前記調整軸との距離が、前記カウンターウェイトを含まない調整軸回転部分の重心と前記調整軸との距離の半分以下になるように重さおよび配置とされていることを特徴とする。
【0017】
このような本発明において、ホルダは調整軸を中心軸とする円筒形に近い形状であるため、ホルダの重心は調整軸の近傍にあるのに対し、シュートはその先端側が調整軸から離れる方向に延びるため、シュートの重心は調整軸から離れた位置にある。従ってホルダおよびシュートを合わせた重心は、調整軸から離れた位置となる。
しかし、本発明では、調整軸回転部分にカウンターウェイトが設置され、このカウンターウェイトは、シュートの先端が延びる方向とは調整軸を挟んで反対側でシュートに固定されているため、このカウンターウェイトの重さおよび配置を適切に設定すれば、調整軸回転部分つまりホルダ、シュートおよびカウンターウェイトの重心は、調整軸の近傍へと近づけることができる。
カウンターウェイトの重さおよび配置の設定は、適用するホルダおよびシュート、これらを含む装入装置の全体を勘案して調整することができる。
【0018】
このような本発明によれば、調整軸回転部分の重心が、調整軸上あるいはその近傍に配置されるため、調整動作のために調整軸回転部分であるホルダ、シュートおよびカウンターウェイトが調整軸を中心に回転しても、これらを合わせた調整軸回転部分の重心の上下方向の変位は、生じないかまたは僅かとすることができる。
その結果、調整軸回転部分が調整軸まわりを回転する際、その重心の上下の変位を解消または低減でき、駆動機構における駆動トルクの変動を解消または低減することができる。これに伴って、シュートの傾斜角度の高精度な制御が可能となる。
さらに、調整軸回転部分の重心は、調整軸からの距離がゼロまたは僅かになるため、モーメントアームの傾斜角度の変動および旋回軸と重心の距離の変動を、ゼロまたは僅かとすることができる。これにより、調整用軸受および旋回用軸受に作用するモーメント変動をゼロ又はわずかとすることができ、軸受の寿命を延ばすことができる。
【0019】
本発明において、前記調整軸回転部分の重心は、前記ホルダを前記ロータに対して前記調整軸を中心に回転可能に支持する軸受の中心に近接して配置されていることが望ましい。
このような本発明では、調整用軸受に作用するモーメントのモーメントアームの長さを短くできるので調整用軸受に作用するモーメントが小さくなりの寿命を延ばすことができる。また、旋回軸と重心の距離の長さを短くできるので、旋回用軸受に作用するモーメントも小さくなり、寿命を延ばすことが出来る。
【0020】
本発明において、前記調整軸回転部分は、前記シュートの先端が延びる方向とは前記調整軸を挟んで反対側で前記ホルダに固定された補助カウンターウェイトを有し、前記補助カウンターウェイトは、前記ホルダ、前記シュート、前記カウンターウェイトおよび前記補助カウンターウェイトを合わせた前記調整軸回転部分としての重心と前記調整軸との距離が、前記カウンターウェイトを含まない調整軸回転部分の重心と前記調整軸との距離の半分以下になるように重さおよび配置とされていることが望ましい。
【0021】
このような本発明では、別途の補助カウンターウェイトは、ホルダに固定されるため、調整用軸受の中心との距離がシュートに固定されるカウンターウェイトよりも近いため、調整軸回転部分の重心は、補助カウンターウェイトを用いない場合の重心と比べて、調整用軸受の中心近づき、そのモーメントアームの長さおよび旋回軸と重心の距離が短くなる。これにより、調整用軸受および旋回用軸受に作用するモーメントを一層低減することができる。
【0022】
本発明において、前記カウンターウェイトは、前記シュートの一部を囲む熱遮蔽板を兼ねていることが望ましい。
このような本発明においては、カウンターウェイトが熱遮蔽板を兼ねることで、このカウンターウェイトが固定されるシュートの一部を囲んで高炉内の熱から保護することができる。
高炉の炉頂付近で最も温度の高い部位は高炉の中心軸付近であるが、シュートが最大傾斜角度のとき前記カウンターウェイトが高炉の中心軸付近に配される。
シュートの待機状態を最大傾斜角度の状態とすることで、最も温度が高い部位に熱遮蔽板を兼ねるカウンターウェイトがあることで、シュートの耐熱性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】前記第1実施形態のシュートの傾斜角度が最小の状態を示す縦断面図。
【
図6】前記第3実施形態のシュートの傾斜角度が最小の状態を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1から
図6には本発明の第1実施形態が示されている。
図1において、本実施形態の装入装置1Aは、基本構成として前述した特許文献1の装入装置1と同様な構成を有する。
すなわち、高炉2の炉頂部のフレーム3、旋回軸D1を中心に旋回するロータ4、調整軸D2を中心に回転するホルダ5、ホルダ5に固定されてシュート中心軸D3に沿って延びるシュート6、旋回駆動モータ70によりロータ4を回転させる旋回駆動機構7、調整駆動モータ80によりホルダ5を回転させる調整駆動機構8を有する。これらの構成は、特許文献1の装入装置1に関して説明した通りであり、同じ要素については同じ符号を付して重複する説明を省略し、以下には本実施形態の特有の構成について説明する。
【0025】
本実施形態においては、シュート6にカウンターウェイト11が固定されている。
カウンターウェイト11は、シュート6の先端が延びる方向とは調整軸D2を挟んで反対側となる部位に固定されている。
調整軸D2のまわりを回転するカウンターウェイト11を含まないホルダ5およびシュート6を合わせた重心G1は、調整軸D2に対してシュート6の先端側へずれている。
【0026】
本実施形態では、カウンターウェイト11のシュート6に固定された位置が、シュート6の先端が延びる方向とは調整軸D2を挟んで反対側であるため、ホルダ5、シュート6およびカウンターウェイト11を合わせた調整軸回転部分19の重心G2は調整軸D2上にある。
【0027】
図1、
図2および
図3において、カウンターウェイト11は、調整軸D2を中心とする部分円筒面状の外周部材111と、上下面を覆う下面材112および上面材113と、側面を覆う側面材114とで構成され、下面材112、上面材113、側面材114の内側縁がシュート6の外周面に沿って固定されている。
これらの外周部材111、下面材112および上面材113、側面材114は、カウンターウェイト11としての所望の重量バランスが得られるように材質および厚み等を調整される。
これらの外周部材111、下面材112および上面材113、側面材114により、カウンターウェイト11は、箱状に形成される。
カウンターウェイト11の内側には断熱材が張られており、シュート6の基端部60に伝達される炉内の熱を抑制している。
【0028】
このような本実施形態においては、カウンターウェイト11により、調整軸回転部分19の重心G2が、調整軸D2上に定位されるため、調整軸回転部分19が調整軸D2まわりを回転する際、その重心G2の上下の変位を解消でき、調整機構の駆動トルクの変動を解消できる。これに伴って、シュート6の傾斜角度の制御(調整動作)を高精度で実施できる。
【0029】
また、本実施形態では、カウンターウェイト11により、調整用軸受55および旋回用軸受431に作用するモーメントの変動をゼロとすることができ、調整用軸受55および旋回用軸受431の寿命を延ばすことができる。
すなわち、調整用軸受55に作用するモーメントに関しては、カウンターウェイト11がない場合、調整軸回転部分19の重心はG1となり、そのモーメントアームはM1となる。
調整軸回転部分19が調整軸D2まわりを回転するとき、モーメントアームM1の傾斜角度が変化するため、調整用軸受55に作用するモーメントが変動する。このとき、旋回軸D1と重心G1との距離R1も変化するため、旋回用軸受431に作用するモーメントも変動する。
【0030】
しかし、本実施形態では、カウンターウェイト11により、調整軸回転部分19の重心G2が、調整軸D2上となり、調整軸回転部分が調整軸D2まわりを回転しても、モーメントアームM2傾斜角度および旋回軸D1と重心G2の距離R2は変化しない。
このため、調整用軸受55および旋回用軸受431に作用するモーメントの変動をゼロとなり、調整用軸受55および旋回用軸受431の寿命を延ばすことができる。
【0031】
[第2実施形態]
図4には本発明の第2実施形態が示されている。
本実施形態の装入装置1Aは、前述した第1実施形態と同様な構成を有する。このため、共通の構成については重複する説明を省略し、以下異なる部分について説明する。
図4に示すように、本実施形態においては、カウンターウェイト11の固定位置を、調整軸回転部分19の重心G2の位置が第1実施形態と比較して調整軸D2上の点O1(調整用軸受55の中心)に近い位置になるように、シュート6の根元側(図中左上方向)に変更している。
これにより、モーメントアームM2の長さが第1実施形態と比較して短くなるため、調整用軸受55に作用するモーメントが小さくなり、調整用軸受55の寿命を延ばすことができる。
また、旋回軸D1と重心G2の距離R2の長さも第1実施形態と比較して短くなるため、旋回用軸受431に作用するモーメントも小さくなり、旋回用軸受431の寿命を延ばすことができる。
【0032】
[第3実施形態]
図5〜
図8には本発明の第3実施形態が示されている。
本実施形態の装入装置1Bは、前述した第1実施形態と同様な構成を有する。このため、共通の構成については重複する説明を省略し、以下異なる部分について説明する。
図5および
図6に示すように、本実施形態においては、カウンターウェイト11に加えて、二つの補助カウンターウェイト12A,12Bを設置している。
補助カウンターウェイト12A,12Bは、調整軸回転部分19の重心G3の位置が、第2実施形態と比較して調整用軸受55の中心である調整軸D2上の点O1に近い位置になるように、その固定位置を選択して設置されている。
また、カウンターウェイト11がシュート6に固定されていたのに対し、補助カウンターウェイト12A,12Bはホルダ上に固定されている。
【0033】
これらにより、補助カウンターウェイト12A,12Bを加えた調整軸回転部分19の重心G3は、そのモーメントアームM3の長さが第2実施形態と比較して短くなるため、調整用軸受55に作用するモーメントが小さくなり、調整用軸受55の寿命を延ばすことができる。
また、旋回軸D1と重心G3の距離R3の長さも第2実施形態と比較して短くなるため、旋回用軸受431に作用するモーメントも小さくなり、旋回用軸受431の寿命を延ばすことができる。
【0034】
図5、
図6および
図7に示すように、補助カウンターウェイト12Aは、円弧状のウェイトであり、ホルダ5を構成する上フランジ51および下フランジ52の間に設置され、円弧状の中心が調整軸D2に合わせてある。補助カウンターウェイト12Aの固定にあたっては、その上下端縁をそれぞれ上フランジ51および下フランジ52に溶接するとともに、その両端を上フランジ51および下フランジ52を結ぶリブ53に溶接することで、確実な固定が行われるようになっている。
【0035】
図5、
図6および
図8に示すように、補助カウンターウェイト12Bは、円弧状のウェイトであり、調整用軸受55の外周に固定されている。
これらの補助カウンターウェイト12A,12Bは、カウンターウェイト11と合わせたカウンターウェイトとしての所望の重量バランスが得られるように、各々の材質および厚み等を調整される。
【0036】
本実施形態においては、補助カウンターウェイト12A,12Bおよびカウンターウェイト11の重量設定を以下のように行う。
すなわち、ホルダ5およびシュート6を合わせた重心G1に対し、カウンターウェイト11および補助カウンターウェイト12A,12Bを合わせた調整軸回転部分19の全体としての重心G3が調整軸D2上となり、かつ調整軸D2上のなるべく高い位置、望ましくは交点Oあるいは調整用軸受55の中心である点O1の近傍となるように、これら補助カウンターウェイト12A,12Bおよびカウンターウェイト11の重量設定を調整する。
調整にあたっては、各々の設置スペースを考慮することが必要であるが、調整軸D2上のなるべく高い位置を実現するために、補助カウンターウェイト12A,12Bを増やしてカウンターウェイト11を減らす等、シミュレーション等を繰り返してバランスを調整することが望ましい。
【0037】
さらに、カウンターウェイト11をシュート6の基端部の断熱保護に利用できるため、シュート6の寿命を延長することができる。
また、補助カウンターウェイト12を補助カウンターウェイト12A,12Bに分割して設置したため、大きな設置スペースの必要性を解消でき、既存構造の隙間等を有効活用することができる。
特に、補助カウンターウェイト12Aは、ホルダ5の基本構成である上フランジ51および下フランジ52の間のスペースを利用するため、設置に伴い張り出す部分が生じない。
また、補助カウンターウェイト12Bは、調整用軸受55の外周を利用するため、設置に伴い張り出しを最小限とすることができ、別途の支持構造を準備する必要もない。
【0038】
[変形例]
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、具体的な各部構成などは実施にあたって適宜変形することができる。
前述した各実施形態では、これらの構成は適宜変更することができ、例えば伝達機構の歯車構成などは他の伝達手段等であってもよく、駆動機構7,8に駆動モータ70,80を用いその位相差を角度検出器で検出するようにしてもよく、要するにロータおよびホルダにおける旋回動作および調整動作が行える構成であれば適宜利用可能である。
その他、前述した各実施形態の細部構成などは適宜変更してよく、前述した傾斜設定(旋回軸D1と調整軸D2との第1角度A1および調整軸D2とシュート中心軸D3との第2角度A2)が得られる構成であれば本発明に適宜利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、装入装置に関し、高炉などの容器内部に装入物を装入する装置として利用できる。
【符号の説明】
【0040】
1A,1B…装入装置
2…高炉
3…フレーム
4…ロータ
5…ホルダ
6…シュート
7…旋回駆動機構
8…調整駆動機構
11…カウンターウェイト
12A,12B…補助カウンターウェイト
19…調整軸回転部分
A1…第1角度
A2…第2角度
D1…旋回軸
D2…調整軸
D3…シュート中心軸
G1,G2,G3…調整軸回転部分の重心
M1,M2,M3…重心のモーメントアーム
R1,R2,R3…旋回軸からの重心の距離