(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態による建設機械の管理システムの全体構成を例示する図である。
図1において、複数のエリアA、エリアB、エリアCにおいてそれぞれ複数の油圧ショベルが稼働している。エリアAには油圧ショベルa1〜a3が、エリアBには油圧ショベルb1〜b3が、エリアCには油圧ショベルc1〜c3が、それぞれ存在する。エリアの範囲は、町でも市でも、県でも州でも、国をまたぐ大陸であってもよい。油圧ショベルの車両数は10台でも1000台でもそれ以上であっても構わない。
【0009】
個々の油圧ショベルは、油圧ショベル内の各部の状態を検出し、検出した情報をサービスセンターSSへ送信する。本実施形態では、油圧ショベルから通信衛星CSを経由して基地局BCへ送り、基地局BCから公衆回線網PC経由でサービスセンターSSの分析サーバASへ送られる。以上の構成により、各地の油圧ショベルからの情報がサービスセンターSSへ集まる。なお、油圧ショベルから基地局への通信は、衛星通信に限らず、携帯電話通信、無線LAN通信等、種々の手段を使用できる。
【0010】
サービスセンターSSは、各ショベルから受信した情報の他に、上記油圧ショベルごとの過去のメンテナンス情報(点検履歴、修理履歴、および保守費用など)を有している。サービスセンターSSの分析サーバASは、油圧ショベルから集まった情報と、過去のメンテナンス情報とに基づいて、後述する管理画面を表示装置に表示させる。
【0011】
図2は、分析サーバASが表示装置に表示する油圧ショベルの稼働状況を表す地図画面を例示する図である。
図2において、表示画面には、地
図101と、絞り込みツールウィンドウ102とが表示されている。地
図101上には、各油圧ショベルの所在地に対応する位置に、それぞれの油圧ショベルを表すシンボル103〜107が重ねて合成表示される。つまり、地図上の1つのシンボルがその場所で稼動する1台の油圧ショベルを表す。地
図101は、縮尺を変えて表示することも可能である。また、絞り込みツールウィンドウ102に用意されている絞り込み条件(例えば、年別、油圧ショベルの車両クラス(自重)別、エリア別、油圧ショベルの販売や保守を担う担当会社別、油圧ショベルの機種別、油圧ショベルにおける警告発生回数別など)に応じた絞り込み表示を行うこともできる。
【0012】
年別の絞り込みを行う場合には、週選択用スライド108が画面に表示される。分析サーバASは、週選択スライド108が操作された場合には、対応する週における油圧ショベルの稼働状況を地
図101上に表示する。そして、絞り込まれた条件下における油圧ショベル全体の稼働台数をウィンドウ109に表示し、絞り込まれた条件下における油圧ショベルの平均稼働時間をウィンドウ110に表示する。さらに、ウィンドウ109に表示した全体の稼働台数の稼働時間帯別内訳(対応する週の累積稼働時間の大きさで分類)をウィンドウ111に表示する。
【0013】
地
図101上に表示するシンボル103〜107は、例えば、稼働時間帯別に表示態様を異ならせて重ね合成表示する。本実施形態では、シンボルの表示色を変えることによって表示態様を異ならせる。表示色を変える代わりに、稼働時間別にシンボルの大きさや表示輝度を変えて重ね合成表示してもよい。このような地図画面表示により、サービスセンターSSの管理者は、油圧ショベルがどこで、どの時期に、何時間稼動していたかを直感的に把握できる。
【0014】
上述した建設機械の管理システムを構成する油圧ショベル、地上局BC、および分析サーバASの構成について、さらに詳細に説明する。
<油圧ショベル>
図3は、
図1の油圧ショベルan,bn,cnの要部構成を説明するブロック図である。各油圧ショベルには、エンジン回転数、エンジン油圧、バッテリー電圧、冷却装置の水温、作動油温、ブーム、アーム等からなるフロント作業装置の操作量、旋回操作量、走行操作量、各作業装置の作業負荷など、各部の状態や動作状態を検出するセンサ群10が搭載されている。センサ群10から出力される状態検出信号は、所定のタイミングでコントローラ20に読み込まれる。
【0015】
コントローラ20は、走行操作時間、旋回操作時間、およびフロント(掘削)操作時間を積算するために計時部20aを有している。コントローラ20は、読み込んだ状態検出信号に基づいて、走行操作時間、旋回操作時間、フロント操作時間を算出する。これら算出された操作時間は、記憶装置21に格納される。また、油圧ショベルは、図示しないエンジンを起動するキースイッチ22と、エンジンの稼働時間を計測するアワーメータ23とを有する。
【0016】
油圧ショベルにはさらに、GPS受信機24が搭載されている。GPS受信機24は、GPS衛星GSから送信されるGPS信号を受信し、該GPS信号に基づいて油圧ショベルの位置情報(所在地)を算出してコントローラ20へ出力する。油圧ショベルの運転席には、各種情報を表示するためのモニタ25が設けられている。
【0017】
コントローラ20は、上記計時部20aによる計時データに基づいて、キースイッチ22のオン時刻、オフ時刻、エンジン始動時刻、およびエンジン停止時刻を検出し、これらの時刻情報も記憶装置21に格納する。コントローラ20は、アワーメータ23の計測値も所定のタイミングで読み込み、記憶装置21に格納する。
【0018】
コントローラ20は、設定時刻や一定時間間隔またはエンジン停止時や始動時等の所定のタイミングで送信機30へ指示を送り、記憶装置21に記憶している走行、旋回およびフロントの操作時間、およびキースイッチオン時刻などを位置情報、送信日時情報とともに衛星CSへ無線送信させる。送信機30から送信された情報は、通信衛星CSを経由して基地局BCで受信される。コントローラ20には受信機35も接続されている。受信機35は、基地局BCから送信された情報を、通信衛星CSを経由して受信してコントローラ20へ送出する。コントローラ20、送信機30および受信機35は、油圧ショベルのメインスイッチがオフされていても、車載バッテリー(不図示)からの電源で常時通信可能な状態が維持されている。
【0019】
上述した油圧ショベルの各部の状態、動作状態を示す情報は、通常は日報データとして一日分ごとに、例えば深夜の時間帯に油圧ショベルからサービスセンターSSへ送信する。また、警報や故障などを示す情報は、それらが検出されるたびに油圧ショベルからサービスセンターSSへ送信する。また、燃料残量が所定値以下になったときも、直ちにこれを油圧ショベルからサービスセンターSSへ送信する。
【0020】
コントローラ20は、例えば、次の場合に警報を発するように構成されている。エンジンオイルレベルが所定レベルにない場合、エンジン冷却水温度が所定温度でない場合、エンジンオイル温度が所定温度でない場合、エアフィルタに目詰まりが生じた場合、作動油フィルタに目詰まりが生じた場合、バッテリー電圧が所定電圧でない場合、エンジンオイル圧力が所定圧力でない場合、燃料残量が所定量に満たない場合、および作動油温度が所定温度でない場合である。
【0021】
また、コントローラ20は、次の場合に故障と判定する。すなわち、エンジン回転数が異常判定閾値を超えている場合、および油圧ポンプ吐出圧が異常判定閾値を超えている場合である。
【0022】
<基地局BC>
図4は、基地局BCの構成を例示するブロック図である。基地局BCには、通信衛星CSから送信されてくる電波を受信し、油圧ショベルからの送信情報(稼働情報)を復元する受信機31と、受信機31により復元された情報を一時的に格納する記憶装置32と、サービスセンターSSへ公衆回線網PCを介して上記復元情報を送信するためのモデム33と、これらの各種機器を制御する制御装置34とを備えている。
【0023】
<分析サーバAS>
図5は、サービスセンターSSに設けられる分析サーバASの構成を例示するブロック図である。分析サーバASには、基地局BCから公衆回線網PCを経由して送られてくる信号を受信するモデム41と、モデム41で受信した信号を格納する記憶装置42と、種々の演算処理を実行する処理装置43と、処理装置43に接続された表示装置44と、キーボード46と、データベース47とが備えられる。
【0024】
記憶装置42は、上記受信信号の他に、油圧ショベルごとの過去のメンテナンス情報(点検履歴、修理履歴、および保守費用)を格納する。保守費用は、例えば、消耗品および交換部品の売上額で表す。これらのメンテナンス情報は、油圧ショベルを顧客へ販売(あるいはリース契約を締結)した担当会社で行われたメンテナンス記録に基づいて、各担当会社を通じて、上記公衆回線網PCを経由して送られたものである。担当会社の代わりに、あるいは担当会社に加えて、担当支社、担当支店、担当セクション別に分類してもよい。
【0025】
処理装置43は、記憶装置42内の格納情報、すなわち、油圧ショベルから集めた情報と、担当会社から集めたメンテナンス情報とに基づいて、上記管理画面を表示装置44に表示させる。
【0026】
<データベースの構成>
図6は、データベース47の一例を説明する図である。処理装置43は、油圧ショベルから集めた稼働情報と、担当会社から集めたメンテナンス情報とを所定の様式に整形してデータベース47へ格納する。
【0027】
データベース47には、各油圧の稼働情報として、油圧ショベルを識別するための通し番号(号機No.)と、当該油圧ショベルの所在地情報と、当該油圧ショベルの車両IDと、当該油圧ショベルのアワーメータによる時間情報と、当該油圧ショベルに発生した保守費用の額(交換部品の情報を含む)と、当該油圧ショベルに発生した累積警告回数とが、それぞれ集約される。
【0028】
油圧ショベルからの送信情報には日付情報が付されているので、上記データベース47は、各情報を日ごとに検索可能に構成する。このため、上述した週選択用スライド108(
図2)が操作された場合には、指示された週(7日分)の情報がデータベース47から適宜読み出せる。
なお、油圧ショベルからの送信情報には日付情報が付されているが、日付情報を付与せずに、基地局BCで油圧ショベルからの送信情報を受信する際に、その情報に受信日時を付与するようにしても良い。
【0029】
また、警告回数は、発生要因別に読み出せるように構成する。これにより、例えばオーバーヒート(エンジン冷却水温度が所定温度でない)を理由とする警告と、フィルタの目詰まりを理由とする警告とを分けて検索できる。
【0030】
<管理画面の説明>
サービスセンターSSの管理者は、分析サーバASのキーボード46、図示しないマウスを操作することにより、
図2に例示した地
図101の縮尺を変更したり、スクロールさせたりする。上述したように、処理装置43は、地
図101上に各油圧ショベルの所在地を示すシンボル103〜107を重ね合成表示する。ここで、複数台の油圧ショベルが同じ作業現場で稼働している場合、地図の縮尺によってはシンボル103〜107の表示位置が重なる事態が生じる。この場合の処理装置43は、例えば、当該油圧ショベルのアワーメータによる時間情報の値が大きい方を上に重ね合成して表示する。なお、保守費用の額が大きいものや、車両クラスが大きいもの、あるいは特定の担当会社が担当するものを上に重ね合成するように、表示切り替えを可能に構成してもよい。
【0031】
管理者は、キーボード46、マウス(不図示)を操作することによって、絞り込みツールウィンドウ102内のいずれかの項目別に絞り込み表示を行わせる。これにより、年別の稼働状態を地
図101上に表示させたり、油圧ショベルの車両クラス別の稼働状態を地
図101上に表示させたり、表示する地
図101のエリアを指定したり、担当会社別に稼働状態を地
図101上に表示させたり、油圧ショベルの機種別に稼働状態を地
図101に表示させたりすることができる。地
図101上に重ね合成するシンボル103〜107を、対応するシンボルのみに制限することで、条件に合致する車両のみについてわかりやすく表示できる。
【0032】
なお、絞り込み項目として、警報発生回数別に絞り込みを行い、警報発生回数別に異なるシンボルで油圧ショベルの稼働状態を地
図101上に表示させてもよい。さらに、上述したオーバーヒートやフィルタの目詰まりなど、警報の原因別に当該油圧ショベルの稼働状態を地
図101上に表示させてもよい。
【0033】
また、保守費用に関して絞り込みを行い、その金額(帯)別に異なるシンボルで油圧ショベルの稼働状態を地
図101上に表示させてもよい。さらに、交換した部品別に当該油圧ショベルの稼働状態を地
図101上に表示させてもよい。
【0034】
各年次においては、スライダー操作によって週単位で変化する稼働情報を表示させることもできる。週選択用スライド108が、例えばマウス(不図示)により第20週から第30週へ向かってドラッグ操作されると、週単位の稼働情報を順次地
図101上に表示させる。これにより、週を重ねるにつれて地図上でシンボル103〜107の位置が次第に移動するので、油圧ショベルが使用された位置の変化や、一年のうちどの時期(どの週)の稼働時間が大きかった(または小さかった)かなど、視覚的にわかりやすく表示できる。また、どのエリアにおいてどの時期(どの週)に警告が多かったかについても、わかりやすく表示できる。
【0035】
ウィンドウ112には、シンボル103〜107の表示態様の違いと稼働時間との対応関係を凡例として表示する。ウィンドウ111には、稼働時間帯ごとに該当する油圧ショベルの車両台数を表示する。管理者が図示しないマウス操作によってウィンドウ111内の稼働時間帯の表示をクリックすると、地
図101上に重ね合成するシンボル103〜107を、対応する稼働時間帯を表すシンボルのみを表示するように制限することもできる。
【0036】
図2に例示した地図画面には、分析表示ボタン113が設けられている。管理者がマウス(不図示)操作によって分析表示ボタン113をクリックすると、処理装置43は、
図2の地図画面に代えて
図7に例示する分析画面を表示装置44に表示させる。
図7は、油圧ショベルの稼働状況を表す分析画面を例示する図である。
図7において、ある年の1年間に稼働した油圧ショベル全体の稼働時間の分布を示す「全体表示」と、油圧ショベル全体のうち「エリアC」内において稼働した油圧ショベルについての稼働時間の分布を示す「エリア別表示」と、油圧ショベル全体のうち所定の機種「ZX####」に該当する油圧ショベルについての稼働時間の分布を示す「機種別表示」と、所定の機種「ZX####」に該当する油圧ショベルについての個々の情報を示す「車体別表示」とが表示されている。
【0037】
「エリア別表示」および「機種別表示」においては、油圧ショベル全体の分布グラフを背景に重ね合成表示したことで、当該エリアにおける分布の中心が油圧ショベル全体の分布の中心と比べて差異があるか否かを検討したり、当該機種における分布の中心が油圧ショベル全体の分布の中心と比べて差異があるか否かについて分析したりすることが、容易となる。
【0038】
本実施形態によれば、油圧ショベル全体に比べて稼働時間の多い車体が多く集まるエリアを把握し、そのエリアにおけるサービス人員を増強したり、稼働時間が多い車体の所在地へ優先してサービス人員を派遣したりするなど、建設車両に対してきめ細やかなサービスを提供し得る。なお、
図2の地図画面が表示された状態で、地図上のシンボル103〜107のいずれかを管理者がマウス操作によってクリックすることによっても、処理装置43は、
図7に例示した分析画面を表示装置44に表示させる。この場合の車体別表示欄には、クリックされたシンボルに該当する個々の油圧ショベルの車体表示のみを表示する。
【0039】
図7に例示した分析画面には、地図表示ボタン114が設けられている。管理者がマウス(不図示)操作によって地図表示ボタン114をクリックすると、処理装置43は、
図7の分析画面に代えて
図2に例示する地図画面を表示装置44に表示させる。
【0040】
<分析サーバASが実行する処理>
以上説明した分析サーバASの処理装置43が実行する処理の流れについて、
図8および
図9のフローチャートを参照して説明する。処理装置43(
図5)は、起動されると不図示の記憶媒体(例えばストレージ装置)に予め格納されている制御プログラムを読み込み、
図8による処理を繰り返し実行する。
【0041】
図8のステップS1において、処理装置43は、油圧ショベルからの受信情報が有るか否かを判定する。処理装置43は、新規の受信情報が存在する場合はステップS1を肯定判定してステップS2へ進み、新規の受信情報が存在しない場合には、ステップS1を否定判定してステップS3へ進む。
【0042】
ステップS2において、処理装置43は、新規の受信情報に基づいてデータベース47を更新してステップS3へ進む。ステップS3において、処理装置43は、分析操作が行われたか否かを判定する。処理装置43は、管理者によるキーボード46、マウス(不図示)の操作によって分析処理を起動する操作が行われた場合にステップS3を肯定判定してステップS4へ進む。処理装置43は、分析処理を起動する操作が行われない場合には、ステップS3を否定判定してステップS1へ戻る。
【0043】
ステップS4において、処理装置43は、後述する分析処理を起動、実行してステップS1へ戻る。ステップS1へ戻る場合は、上述した処理を繰り返す。
【0044】
分析処理の詳細について、
図9のフローチャートを参照して説明する。
図9のステップS11において、処理装置43は絞り込み条件の初期設定を行う。初期設定は、
図2に例示した地図画面に表示するエリアのセット、表示する油圧ショベルの担当会社のセット、表示する油圧ショベルの車両クラスのセット、表示する油圧ショベルの機種のセット、表示する年次のセット、および表示する油圧ショベルの警報回数のセットを行う。処理装置43は、前回の絞り込み操作によって設定された絞り込み条件を図示しないストレージ装置から読み出して、上記初期設定を行う。なお、前回の絞り込み条件が存在しない場合には、油圧ショベルを全数表示するべく、全指定を行う。
【0045】
ステップS12において、処理装置43は、上記絞り込み条件に基づいてデータベース47を検索し、ステップS13へ進む。ステップS13において、処理装置43は、検索して得られたデータに基づいて
図2に例示した地図画面を表示装置44に表示させ、ステップS14へ進む。
【0046】
ステップS14において、処理装置43は、絞り込み操作が行われたか否かを判定する。処理装置43は、上述した絞り込みツールウィンドウ102(
図2)を用いた操作信号がキーボード46、マウス(不図示)から入力された場合にステップS14を肯定判定してステップS15へ進む。処理装置43は、上記操作信号がキーボード46、マウス(不図示)から入力されない場合には、ステップS14を否定判定してステップS22へ進む。
【0047】
ステップS15において、処理装置43は、絞り込み条件に基づいてデータベース47を再検索し、ステップS16へ進む。ステップS16において、処理装置43は、再検索して得られたデータに基づいて地図画面を更新表示させ、ステップS17へ進む。
【0048】
ステップS17において、処理装置43は、分析画面の表示が指示されたか否かを判定する。処理装置43は、マウス操作によって分析表示ボタン113(
図2)がクリックされた場合、または、地
図101上のシンボル103〜107(
図2)がクリックされた場合にステップS17を肯定判定してステップS18へ進む。処理装置43は、分析表示ボタン113(
図2)もシンボル103〜107(
図2)もクリックされない場合には、ステップS17を否定判定してステップS13へ戻る。
【0049】
ステップS18において、処理装置43は、
図7に例示した分析画面を表示装置44に表示させ、ステップS19へ進む。ステップS19において、処理装置43は、地図画面に戻る操作が行われたか否かを判定する。処理装置43は、マウス操作によって地図表示ボタン114(
図7)がクリックされた場合にステップS19を肯定判定してステップS13へ戻り、再び
図2に例示した地図画面を表示装置44に表示させる。一方、地図表示ボタン114(
図7)がクリックされない場合の処理装置43は、ステップS19を否定判定してステップS18へ戻る。ステップS18へ戻る場合は分析画面表示を継続する。
【0050】
上述したステップS14を否定判定して進むステップS22において、処理装置43は、縮尺変更操作が行われたか否かを判定する。処理装置43は、縮尺変更操作が行われた場合にステップS22を肯定判定してステップS23へ進む。処理装置43は、縮尺変更操作が行われていない場合には、ステップS22を否定判定してステップS20へ進む。
【0051】
ステップS23において、処理装置43は、新たな縮尺をセットしてステップS13へ戻り、縮尺変更後の地図画面を表示装置44に表示させる。ステップS22を否定判定して進むステップS20において、処理装置43は、終了操作が行われたか否かを判定する。処理装置43は、終了を指示する操作信号がキーボード46から入力された場合にステップS20を肯定判定してステップS21へ進む。処理装置43は、上記終了操作信号がキーボード46から入力されない場合には、ステップS20を否定判定してステップS13へ戻る。ステップS13へ戻る場合は、上述した処理を繰り返す。
【0052】
ステップS23において、処理装置43は、設定されている絞り込み条件を図示しないストレージ装置に記憶させて、
図9による処理を終了する。記憶した絞り込み条件は、次回の初期設定時に用いる。
【0053】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)建設機械の管理システムは、建設機械ごとの位置および稼働状態を表す稼働情報を取得するモデム41と、モデム41で受信した稼働情報に基づいて、建設機械ごとの位置を示すシンボル103〜107を地
図101上に重ね合成する処理装置43と、処理装置43により重ね合成された地図画像を表示装置44に表示させる処理装置43と、稼働状態に応じてシンボル103〜107の態様を異ならせる処理装置43と、を備えるようにしたので、個々の車両に対するサービスに必要な情報をわかりやすく表示できる。これにより、車両ごとにきめ細やかなサービスを提供するための一助となる。
【0054】
(2)上記(1)の建設機械の管理システムにおいて、稼働情報は、少なくとも稼働時間および保守金額を含み、処理装置43は、稼働時間または保守金額に応じてシンボル103〜107の態様を異ならせるようにしたので、例えば稼働時間が多くて点検が必要な車両を区別しやすく表示したり、保守金額が大きい車両を区別しやすく表示したりすることで、当該車両のもとへサービス要員を派遣するなどのきめ細やかなサービスの提供に役立つ。
【0055】
(3)上記(2)の建設機械の管理システムにおいて、稼働時間のうち所定時間帯、または保守金額のうち所定額、に該当する建設機械を絞り込む処理装置43を備え、処理装置43は、絞り込まれた建設機械を示すシンボル103〜107のみを地
図101上に重ね合成するので、条件に合致する車両のみについてわかりやすく表示できる。
【0056】
(4)上記(3)の建設機械の管理システムにおいて、稼働情報はさらに、建設機械の機種、建設機械の自重、建設機械の保守担当、建設機械の稼働時期、建設機械の所在エリア、建設機械からの警告発生数を示す情報を含み、処理装置43は、上記情報のうち少なくとも1つに基づいて、該当する建設機械を絞り込み、処理装置43はさらに、絞り込まれた建設機械を示すシンボル103〜107のみを地
図101上に重ね合成するので、条件に合致する車両のみについてわかりやすく表示できる。
【0057】
(5)上記(1)〜(4)の建設機械の管理システムにおいて、処理装置43は、稼働状態を表す値がより大きい建設機械を示すシンボルを他のシンボルより上に重ね合成するので、当該車両のもとへサービス要員を優先して派遣するなどのきめ細やかなサービスの提供に役立つ。
【0058】
(変形例1)
上述した説明では、サービスセンターSSの分析サーバASへ各油圧ショベルから稼働情報が集まる例を説明したが、分析サーバASと別に管理サーバを設け、この管理サーバへ各油圧ショベルからの稼働情報を集める構成にしてもよい。変形例1の場合の分析サーバASは、分析処理が起動された時点で適宜(例えば初期設定時)管理サーバから油圧ショベルからの情報を取得し、上述した管理画面(
図2の地図画面、
図7の分析画面)の表示を行う。なお、管理サーバはエリアごとに設けてもよい。管理サーバをエリアごとに設ける場合の分析サーバASは、絞り込み対象となったエリアの管理サーバから必要な情報を取得すればよい。
【0059】
(変形例2)
上述した実施形態では、サービスセンターSSと基地局BCとを別個に設けたが、これらを一体構成としてもよい。
【0060】
(変形例3)
以上の説明では、油圧ショベルに代表される建設機械を例に説明したが、上記管理システムは、ローディングショベルや大型ダンプトラック、ホイールローダなどの産業車両の管理にも適用してもよい。
【0061】
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。