【実施例】
【0029】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下において、百分率(%)は、特に断りのない限り、質量による表示である。
<原料>
以下の例において用いた原材料は以下の通りである。
・脱脂粉乳:森永乳業社製、蛋白質含有量34.0%、無脂乳固形分95.2%。
・WPI(乳清蛋白質分離物):フォンテラ社製、蛋白質含有量91.9%、無脂乳固形94.6%。
・砂糖:東洋精糖社製。
・水:イオン交換水。
・豚由来コラーゲンペプチド(Mw5,000):重量平均分子量5,000、新田ゼラチン社製、蛋白質含有量93%。
・魚由来コラーゲンペプチド(Mw3,000):重量平均分子量3,000、新田ゼラチン社製、蛋白質含有量93%。
・乳酸菌スターター:クリスチャン・ハンセン社製、ストレプトコッカス・サーモフィラス(S.thermophilus)とラクトバシラス・ブルガリクス(L.bulgaricus)の混合培養物。
・ビフィズス菌スターター:森永乳業社製、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)。
・紙製容器:シンギ社製、容量120ml、開口径71mm、高さ56mm。
・蓋材:アルミ箔製蓋材。
【0030】
<試験例1>
本試験では、加熱殺菌処理工程の違いによる影響およびコラーゲンペプチドの添加量による影響を調べた。
下記サンプル1−1〜1〜5は、乳蛋白質とコラーゲンペプチドを一液として一括的に加熱殺菌処理する一括殺菌で得られた発酵乳であり、サンプル2−1〜2〜7は、乳蛋白質とコラーゲンペプチドを別液として加熱殺菌処理する別殺菌で得られた発酵乳である。加熱殺菌処理装置はジャケット式バッチ殺菌装置(森永乳業社製)を用いた。
【0031】
[調製例1:サンプル1−1〜1−5の調製(一括殺菌)]
脱脂粉乳、WPI、砂糖、豚由来コラーゲンペプチド(Mw5,000)、および水を表1に記載する割合で混合した後、65℃に加温して溶解し、15MPaの圧力で均質化し、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃に冷却して調乳液を得た。
この調乳液99.995kgに乳酸菌スターター(5×10
9 CFU/ml)を接種し、38℃でpH4.65まで発酵させてカードを形成した。
発酵後、攪拌しながら10℃まで冷却した後、さらに撹拌してカードを破砕し、撹拌型発酵乳約100kgを得た。
得られた撹拌型発酵乳を紙製容器に、10℃で100g充填し、蓋材で密封して容器入り発酵乳製品50個を得た。
【0032】
[調製例2:サンプル2−1〜2−7の調製(別殺菌)]
脱脂粉乳、WPI、砂糖、および水を表2に記載する割合で混合した第1の調製液を、65℃に加温して溶解し、15MPaの圧力で均質化し、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃に冷却した。
これとは別に、豚由来コラーゲンペプチド(Mw5,000)および水を表2に記載する割合で混合した第2の調製液を、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃に冷却した。
加熱殺菌処理した第1の調製液と第2の調製液を混合し、得られた混合液99.995kgに、乳酸菌スターター(5×10
9 CFU/ml)を接種し、調製例1と同様にして発酵させてカードを形成した。発酵後、攪拌しながら10℃まで冷却した後、さらに撹拌してカードを破砕し、撹拌型発酵乳約100kgを得た。
得られた撹拌型発酵乳を調製例1と同様にして紙製容器に充填し、蓋材で密封して容器入り発酵乳製品50個を得た。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
<評価方法>
[凝集レベル]
調製例1(サンプル1−1〜1−5)において、一括殺菌後10℃まで冷却した調乳液について、凝集の有無を目視により観察し、凝集レベルを下記の基準で4段階評価した。結果を表3に示す。表3に、撹拌型発酵乳におけるコラーゲンペプチドの含有量の値を示す。
調製例2(サンプル2−1〜2−7)において、別殺菌後10℃まで冷却した第1の調製液と第2の調製液を混合した混合液について、凝集の有無を目視により観察し、凝集レベルを下記の基準で4段階評価した。結果を表3に示す。
4:凝集が著しい。
3:凝集が認められる。
2:わずかな凝集が認められる。
1:凝集が認められない。
【0036】
[粘度]
紙製容器への充填に使用した各サンプル(撹拌型発酵乳)を、10℃で24時間静置保存し、B型粘度計(製品名:RB−80L、TOKI社製、No.4ローター使用、60rpm、10秒後)により粘度(単位:mPa・s)を測定した。結果を表3に示す。
【0037】
[充填機液垂れ]
各サンプルについて、充填機にて50個の紙製容器に連続的に充填した際、ノズルからの吐出が停止した後にノズル孔から液垂れが生じた頻度をカウントし、下記の基準で5段階評価した。充填回数は50回である。評価が2以下(充填回数の5%以下)であれば製造適性は良好である。結果を表3に示す。
5:液垂れが著しい(液垂れ回数 充填回数の50%超)。
4:液垂れが多い(液垂れ回数 充填回数の20%超、50%以下)。
3:液垂れが認められる(液垂れ回数 充填回数の5%超、20%以下)。
2:液垂れがわずかに認められる(液垂れ回数 充填回数の5%以下)。
1:液垂れが認められない
【0038】
[官能評価]
得られた容器入り発酵乳製品を10℃で24時間保存した後、トレーニングされたパネル10名にて、コラーゲン臭の強さ及び粉っぽさを下記の基準で5段階評価し、平均値を求めた。結果を表3に示す。
コラーゲン臭の強さの評価が2.9以下であるとコラーゲン臭低減効果が良好である。粉っぽさの評価が2.9以下であると食感が良好である。
(コラーゲン臭の強さ)
5:コラーゲン臭を強く感じる。
4:コラーゲン臭をやや強く感じる。
3:コラーゲン臭を感じる。
2:コラーゲン臭をわずかに感じる。
1:コラーゲン臭を感じない。
(粉っぽさ)
5:粉っぽさを強く感じる。
4:粉っぽさをやや強く感じる。
3:粉っぽさを感じる。
2:粉っぽさをわずかに感じる。
1:粉っぽさを感じない。
【0039】
【表3】
【0040】
表3の結果より、一括殺菌を行ったサンプル1−1〜1−5では、コラーゲンペプチドの添加量が増大するにしたがって、加熱殺菌処理後の凝集レベルが増大し、撹拌型発酵乳の粘度が低下し、充填機液垂れの頻度が高くなった。また、コラーゲン臭の強さが強く感じられるようになり、粉っぽさが強く感じられるようになった。
具体的には、撹拌型発酵乳中のコラーゲンペプチドの含有量が3.5質量%であるサンプル1−1では凝集および充填機液垂れの問題はなかったが、該含有量が5.0%を超えるサンプル1−2〜1−5では、殺菌後の調乳液に凝集が生じ、凝集が生じた調乳液を発酵させると撹拌型発酵乳の粘度が2,000mPa・s以下と低くなり、充填機の液垂れが見られた。粘度が2,000mPa・s以下になると、攪拌型ヨーグルトとしては粘度が不足し、ドリンクヨーグルトに近い性状となり、食感が物足りないものとなった。
官能評価において、コラーゲンペプチドの添加量が多いと粉っぽさが強くなるのは、凝集が発生したためと考えられ、コラーゲン臭が強くなるのは、粘度が低下したためフレーバーリリースが生じやすくなったと考えられる。
【0041】
一方、別殺菌を行ったサンプル2−1〜2−7では、撹拌型発酵乳中のコラーゲンペプチドの含有量が8.5質量%まで増大しても、加熱殺菌処理後の凝集は認められず、撹拌型発酵乳の粘度低下は生じず、充填機液垂れは良好に防止され、粉っぽさも良好に抑えられた。
該コラーゲンペプチドの含有量が7.9質量%以下であるサンプル2−1〜2−5では、コラーゲン臭低減効果が良好に得られた。一方、該コラーゲンペプチドの含有量が8.0質量%以上であるサンプル2−6、2−7では、コラーゲン臭が感じられるようになり、過度な酸味も感じられた。
【0042】
サンプル1−2とサンプル2−2とを比較すると、コラーゲンペプチドの含有量は同量であるが、一括殺菌を行ったサンプル1−2においてのみ加熱殺菌時に凝集が発生した。該サンプル1−2の方が発酵乳の粘度がかなり低く、やや粉っぽさが感じられた。
【0043】
<試験例2>
本試験では、撹拌型発酵乳の総蛋白質含有量による影響を調べた。
[調製例3:サンプル3−1〜3−7の調製(別殺菌)]
調製例2において、第1の調製液および第2の調製液の配合を表4に記載する割合に変更した。その他は調製例2と同様にして容器入り発酵乳製品を得た。表4に、撹拌型発酵乳中の総蛋白質含有量(単位:質量%)および無脂乳固形分(単位:質量%)を記載する。
【0044】
【表4】
【0045】
<評価方法>
[酸度およびpH]
紙製容器への充填に使用した各サンプル(撹拌型発酵乳)を、10℃で24時間静置保存し乳酸酸度(単位:質量%)及びpHを測定した。結果を表5に示す。
[粘度]
紙製容器への充填に使用した各サンプル(撹拌型発酵乳)を、10℃で24時間静置保存し、上記B型粘度計により粘度(単位:mPa・s)を測定した。結果を表5に示す。
[官能評価]
(酸味の強さ)
容器入り発酵乳製品を10℃で24時間保存した後、トレーニングされたパネル10名にて、酸味の強さを下記の基準で5段階評価し、平均値を求めた。結果を表5に示す。
酸味の強さの評価が1.5〜2.9であると風味が良好である。
4:酸味がかなり強い。
3:酸味が強い。
2:適度な酸味を感じる。
1:酸味が弱い。
【0046】
【表5】
【0047】
表5の結果より、撹拌型発酵乳の総蛋白質含有量が10.6%以下であるサンプル3−1〜3−5では、撹拌型発酵乳の適度な粘度が得られ、酸味が強くなく良好な風味が得られた。
一方、該総蛋白質含有量が10.6%を超えるサンプル3−6、3−7は、酸味が強すぎた。また粘度は4,500mPa・s以上と高くなり、攪拌型ヨーグルトとしては、口溶けが悪く、食感が劣った。
なお、サンプル3−1〜3−7においてコラーゲン臭は良好に低減されていた。
【0048】
<試験例3>
本試験では、添加するコラーゲンペプチドの重量平均分子量の影響を調べた。
調製例2のサンプル2−4の調製方法において、豚由来コラーゲンペプチド(Mw5,000)を、表6に示すように重量平均分子量(Mw)が異なる豚由来コラーゲンペプチドに変更したほかは、サンプル2−4の調製方法と同様にして、容器入り発酵乳製品を得た。表6のサンプル4−4は、調製例2のサンプル2−4と同じである。
【0049】
【表6】
【0050】
<評価方法>
[官能評価]
(コラーゲン由来の風味)
容器入り発酵乳製品を10℃で24時間保存した後、トレーニングされたパネル10名にて、コラーゲン由来の好ましくない風味(コラーゲン臭または苦味)の強さを官能評価した。具体的には下記の基準で5段階評価し、平均値を求めた。結果を表7に示す。
コラーゲン由来の風味の強さの評価が2.9以下であるとコラーゲンに由来する好ましくない風味の低減効果が良好である。
5:コラーゲン臭または苦味を強く感じる。
4:コラーゲン臭または苦味をやや強く感じる。
3:コラーゲン臭または苦味を感じる。
2:コラーゲン臭または苦味をわずかに感じる。
1:コラーゲン臭および苦味のいずれも感じない。
【0051】
【表7】
【0052】
表7の結果より、コラーゲンペプチドの分子量が大きいほど、撹拌型発酵乳におけるコラーゲン由来の好ましくない風味(臭い・苦味)が低下する傾向が認められた。具体的には、コラーゲンペプチドの分子量が2,000以上であるサンプル4−2〜4−7で、コラーゲン由来の好ましくない風味の低減効果が良好に得られた。
また、コラーゲンペプチドの分子量が大きくなるほど、コラーゲンペプチド溶液の粘度が高まる傾向がある。これはコラーゲンペプチドの分子量が大きくなるほど、ゼラチンの物性に近づくためと考えられる。一般に液の粘度が高すぎると、加熱殺菌処理を適正に実施できないおそれがある。本試験例で用いたコラーゲンペプチドの分子量が9,500以下であるサンプル4−1〜4−7において、加熱殺菌処理工程を適正に行うことができた。
【0053】
<試験例4>
本試験では、コラーゲンペプチドを添加するタイミングによる影響を調べた。
[調製例4:サンプル5−1の調製(発酵前添加)]
調製例2のサンプル2−5と同様にして容器入り発酵乳製品を得た。
すなわち、脱脂粉乳7.70kg、WPIの0.70kg、砂糖5.70kg、および水60.895kgを混合した第1の調製液を、65℃に加温して溶解し、15MPaの圧力で均質化し、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃に冷却した。
これとは別に、豚由来コラーゲンペプチド(Mw5,000)7.50kgおよび水17.50kgを混合した第2の調製液を、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃に冷却した。
加熱殺菌処理した第1の調製液と第2の調製液を混合して得られた混合液99.995kgに、乳酸菌スターター(5×10
9 CFU/ml)を接種し、38℃でpH4.65まで発酵させてカードを形成した後、攪拌しながら10℃まで冷却した後、さらに撹拌してカードを破砕し、撹拌型発酵乳約100kgを得た。
得られた撹拌型発酵乳を調製例1と同様にして紙製容器に充填し、蓋材で密封して容器入り発酵乳製品50個を得た。
【0054】
[調製例5:サンプル5−2の調製(発酵後添加・粉末)]
本例では、発酵乳を製造した後にコラーゲンペプチドの粉末を添加した。
すなわち、脱脂粉乳7.70kg、WPIの0.70kg、砂糖5.70kg、水78.395kgを混合した後、65℃に加温して溶解し、15MPaの圧力で均質化し、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃に冷却して調乳液を得た。
この調乳液に乳酸菌スターター(5×10
9 CFU/ml)を接種し、38℃でpH4.65まで発酵させてカードを形成した。発酵後、攪拌しながら10℃まで冷却した後、さらに撹拌してカードを破砕し、撹拌型発酵乳約92.5kgを得た。
得られた発酵乳92.5kgに対し、粉末状の豚由来コラーゲンペプチド(Mw5,000)7.50kgを添加し、よく攪拌して溶解させ、コラーゲンペプチドを発酵後に添加した撹拌型発酵乳約100kgを得た。
得られた撹拌型発酵乳を調製例1と同様にして紙製容器に充填し、蓋材で密封して容器入り発酵乳製品50個を得た。
【0055】
[調製例6:サンプル5−3の調製(発酵後添加・溶液)]
本例では、発酵乳を製造した後にコラーゲンペプチドを溶液状で添加した。
すなわち、脱脂粉乳7.70kg、WPIの0.70kg、砂糖5.70kg、水65.90kgを混合した後、65℃に加温して溶解し、15MPaの圧力で均質化し、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃に冷却して調乳液を得た。
この調乳液に乳酸菌スターター(5×10
9 CFU/ml)を接種し、38℃でpH4.65まで発酵させてカードを形成した。発酵後、攪拌しながら10℃まで冷却した後、さらに撹拌してカードを破砕し、撹拌型発酵乳約80.0kgを調製した。
これとは別に、粉末状の豚由来コラーゲンペプチド(Mw5,000)7.50kgと、水12.50kgとを混合した後、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃に冷却して、コラーゲンペプチド溶液20.0kgを調製した。
上記で得た撹拌型発酵乳約80.0kgに、上記で得たコラーゲンペプチド溶液20.0kgを添加して混合し、コラーゲンペプチドを発酵後に添加した撹拌型発酵乳約100kgを得た。
得られた撹拌型発酵乳を調製例1と同様にして紙製容器に充填し、蓋材で密封して容器入り発酵乳製品50個を得た。
【0056】
<評価方法>
[官能評価]
試験例1と同様にしてコラーゲン臭の強さを評価した。
すなわち、容器入り発酵乳製品を10℃で24時間保存した後、トレーニングされたパネル10名にて、コラーゲン臭の強さを下記の基準で5段階評価し、平均値を求めた。結果を表8に示す。コラーゲン臭の強さの評価が2.9以下であるとコラーゲン臭低減効果が良好である。
(コラーゲン臭の強さ)
5:コラーゲン臭を強く感じる。
4:コラーゲン臭をやや強く感じる。
3:コラーゲン臭を感じる。
2:コラーゲン臭をわずかに感じる。
1:コラーゲン臭を感じない。
【0057】
[香気分析]
容器入り発酵乳製品を10℃で24時間保存した後、内容物(撹拌型発酵乳)を5g採取し、これに塩化ナトリウム1gおよび溶解水4g添加し混合して試料液を得た。
得られた試料液を40℃にて30分間放置した後、固相マイクロ抽出法により香気成分を抽出し、抽出した香気成分をガスクロマトグラフィー・マススペクトロメトリー(GC/MS)により測定し、ジメチルジスルフィドのピーク面積を測定した。ジメチルジスルフィドはコラーゲンペプチドの臭気成分の一つとされている。
結果を表9に示す。表9のピーク面積比の値は、サンプル5−2を基準としたときのサンプル5−1のピーク面積の割合(5−1/5−2)、またはサンプル5−3を基準としたときのサンプル5−1のピーク面積の割合(5−1/5−3)を百分率で示したものである。
【0058】
(測定装置)
ガスクロマトグラフィー(GC):アジレントテクノロジー社製(GC6890型)。
カラム:DBI(商品名) アジレントテクノロジー社製。
膜厚:5μm。
長さ:60m。
直径:0.32mm。
(測定条件)
GCオーブン昇温条件:35℃、10分間、15℃/分(260℃まで)2分間保持。
ガス流量:2ml/分 ヘリウムガス。
検出器:パルスド炎光光度検出器(PFPD:金陵電機株式会社製)。
【0059】
【表8】
【0060】
【表9】
【0061】
表8、9の結果より、コラーゲンペプチドと乳蛋白質を含む成分を発酵させたサンプル5−1では、発酵乳を製造した後にコラーゲンペプチドを添加したサンプル5−2、5−3に比べて、コラーゲン特有の風味が顕著に低減した。
【0062】
<試験例5>
本試験では、先行文献2に記載されている方法のように、豆乳とコラーゲンの混合物に乳酸菌を作用させたときに、コラーゲン臭を低減する効果が得られるかどうかを調べた。
【0063】
[調製例7:サンプル6−1〜6−7の調整(豆乳使用)]
脱臭豆乳(キッコーマン社製、蛋白質含有量4.4%)、豚由来コラーゲンペプチド(Mw5,000)、砂糖、および水を表10に示す割合で混合した混合液(10℃)の99.995kgに、乳酸菌スターター(5×10
9 CFU/ml)を接種し、38℃でpH4.65まで発酵させてカードを形成した。
発酵後、攪拌しながら10℃まで冷却した後、さらに撹拌してカードを破砕し、大豆発酵製品約100kgを得た。
得られた大豆発酵製品を紙製容器に、10℃で100g充填し、蓋材で密封して容器入り大豆発酵製品50個を得た。
表10に示すサンプル6−1〜6−7の総蛋白質含有量は、表2に示すサンプル2−1〜2−7の総蛋白質含有量とそれぞれ同じである。
【0064】
【表10】
【0065】
<評価方法>
[粘度]
紙製容器への充填に使用した各サンプル(大豆発酵製品)について、試験例1と同様にして粘度(単位:mPa・s)を測定した。結果を表11に示す。
[官能評価]
容器入り大豆発酵製品を10℃で24時間保存した後、試験例1と同様にしてコラーゲン臭の強さを評価した。結果を表11に示す。
【0066】
【表11】
【0067】
表11の結果より、サンプル6−1〜6−7において、コラーゲンペプチドの含有量が多くなるにしたがって、コラーゲン臭の強さが増大しており、本発明のようなコラーゲン臭の低減効果は認められなかった。
サンプル6−1〜6−7のいずれにおいても、大豆発酵製品の粘度が低いため、撹拌型発酵乳のような食感は得られず、充填機での液垂れも生じやすいものであった。
サンプル6−1〜6−7の大豆発酵製品は、脱臭豆乳を使用しているものの、豆臭さが残っており、製品自体の美味しさは、試験例1で作成したサンプル2−1〜2−7よりも劣っていた。
【0068】
<実施例1:加糖プレーンヨーグルトの製造>
脱脂粉乳10.70kg、WPIの0.65kg、砂糖5.70kg、および水57.745kgを混合した第1の調製液を、65℃に加温して溶解し、15MPaの圧力で均質化し、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃に冷却した。
これとは別に、魚由来コラーゲンペプチド(Mw3,000)6.25kg、および水18.75kgを混合した第2の調製液を、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃に冷却した。
加熱殺菌処理した第1の調製液と第2の調製液を混合し、得られた混合液に、乳酸菌スターター(5×10
9 CFU/ml)とビフィズス菌スターター(1.2×10
7 CFU/ml)を接種し、38℃でpH4.65まで発酵させてカードを形成した。この後、攪拌しながら10℃まで冷却した後、さらに撹拌してカードを破砕し、撹拌型発酵乳約100kgを得た。この撹拌型発酵乳の総蛋白質含有量は10質量%であり、試験例1と同様にして粘度を測定したところ3,030mPa・sであった。
得られた撹拌型発酵乳を紙製容器に、10℃で80g充填し、蓋材で密封して容器入り加糖プレーンヨーグルト1,000個を得た。
得られた容器入り加糖プレーンヨーグルト(発酵乳製品)は、製品1個(80g)当りコラーゲンペプチドを5.0g(6.25%)含有しており、充填適性および風味は良好であった。
【0069】
<実施例2:アロエヨーグルトの製造>
脱脂粉乳9.80kg、WPIの0.65kg、ゼラチン(豚由来、新田ゼラチン社製、蛋白質含有量93%)0.25kg、砂糖5.70kg、および水58.595kgを混合後、65℃に加温して溶解し、15MPaの圧力で均質化し、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃に冷却した。
これとは別に、豚由来コラーゲンペプチド(Mw5,000)7.35kg、水17.65kgを混合した第2の調製液を、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃に冷却した。
加熱殺菌処理した第1の調製液と第2の調製液を混合し、得られた混合液に、乳酸菌スターター(5×10
9 CFU/ml)を接種し、38℃でpH4.65まで発酵させてカードを形成した。この後、攪拌しながら10℃まで冷却した後、生成したカードを発酵させてカードを形成した後、さらに撹拌してカードを破砕し、撹拌型発酵乳約100kgを得た。この撹拌型発酵乳の総蛋白質含有量は10質量%であり、試験例1と同様にして粘度を測定したところ3,470mPa・sであった。
得られた撹拌型発酵乳85kgに、アロエ、砂糖、香料、酸味料、増粘多糖類、水から成るアロエプレザーブ(長谷川香料製)15kgを混合し、アロエヨーグルトを調製した。得られたアロエヨーグルトを紙製容器に、10℃で80g充填し、蓋材で密封して容器入りアロエヨーグルト1,000個を得た。
得られた容器入りアロエヨーグルト(発酵乳製品)は、製品1個(80g)当りコラーゲンペプチドを5.0g(6.25%)含有しており、充填適性及び風味は良好であった。