特許第5873457号(P5873457)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873457
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/03 20060101AFI20160216BHJP
   B60C 11/13 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   B60C11/03 100B
   B60C11/03 B
   B60C11/03 C
   B60C11/13 C
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-84140(P2013-84140)
(22)【出願日】2013年4月12日
(65)【公開番号】特開2014-205420(P2014-205420A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2014年10月17日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】末野 順也
【審査官】 柳楽 隆昌
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−170147(JP,A)
【文献】 特開平05−254312(JP,A)
【文献】 特開2011−042328(JP,A)
【文献】 特開平11−091315(JP,A)
【文献】 特開2009−001156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 11/03
B60C 11/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部に、タイヤ赤道の両側かつ最もトレッド接地端側でタイヤ周方向に連続してのびる一対のショルダー主溝と、前記ショルダー主溝間をタイヤ周方向に連続してのびるセンター主溝とが設けられることにより、前記一対のショルダー主溝と前記センター主溝との間に一対のミドル陸部が区分され、かつ、車両への装着の向きが指定された空気入りタイヤであって、
前記ショルダー主溝及び前記センター主溝は、トレッド接地幅の7〜9%の溝幅を有し、
前記ミドル陸部は、車両装着時にタイヤ赤道よりも車両外側に配される外側ミドル陸部を含み、
前記外側ミドル陸部は、前記ショルダー主溝よりも溝幅が小さくかつタイヤ周方向に連続してのびるミドル細溝により、タイヤ軸方向外側の第1外側ミドル陸部、及び、タイヤ軸方向内側の第2外側ミドル陸部に区分され、
前記第1外側ミドル陸部は、タイヤ周方向に連続してのびるリブであり、
前記第2外側ミドル陸部には、一対の溝縁を有しかつ前記センター主溝と前記ミドル細溝との間を連通する外側ミドル横溝が複数本設けられ、
前記外側ミドル横溝は、前記センター主溝に連通しかつタイヤ軸方向に対して前記一対の溝縁が同じ向きに傾斜した第1部分と、前記ミドル細溝に連通しかつ前記一対の溝縁がそれぞれ前記第1部分の前記溝縁と逆向きに傾斜する第2部分と、これらの間の接続部とを含み、
前記第2部分の溝幅は、前記第1部分の溝幅よりも小さく、
前記接続部は、前記外側ミドル陸部のタイヤ軸方向の中心位置よりもセンター主溝側に設けられていることを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記外側ミドル横溝は、タイヤ軸方向外側に向かって溝幅及び溝深さが漸減する請求項1記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記トレッド部は、前記ショルダー主溝よりもタイヤ軸方向外側にショルダー陸部を有し、
前記ショルダー陸部は、車両装着時に車両外側に配される外側ショルダー陸部を含み、
前記外側ショルダー陸部は、前記ショルダー主溝よりも溝幅が小さくかつタイヤ周方向に連続してのびるショルダー細溝により、タイヤ軸方向外側の第1外側ショルダー陸部、及び、タイヤ軸方向内側の第2外側ショルダー陸部に区分され、
前記第2外側ショルダー陸部は、タイヤ周方向に連続してのびるリブである請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記ミドル陸部は、車両装着時にタイヤ赤道よりも車両内側に配される内側ミドル陸部を含み、
内側ミドル陸部には、前記ショルダー主溝及び前記センター主溝に連通する内側ミドル横溝が設けられ、
前記内側ミドル横溝は、タイヤ軸方向に対して30〜50°の角度で傾けられている請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記内側ミドル横溝のタイヤ軸方向の内端は、前記外側ミドル横溝のタイヤ軸方向の内端とタイヤ軸方向で位置をずらせて設けられている請求項4記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記ミドル細溝は、0.5〜1.5mmの溝幅を有する請求項1乃至5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記センター主溝は、1本のみからなり、かつ、タイヤ赤道上に設けられる請求項1乃至6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェット性能を維持しつつノイズ性能を向上させた空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤのトレッド部には、タイヤ周方向に連続してのびる主溝が設けられる。このような主溝は、タイヤのウェット性能を向上させる。
【0003】
しかしながら、主溝は、走行中に望ましくない騒音(主として気柱共鳴音)を発生させ、タイヤのノイズ性能を低下させる。とりわけ、タイヤ軸方向にのびる横溝が連通されている主溝は、さらに大きな気柱共鳴音が生じる。このため、ウェット性能及びノイズ性能を両立させたタイヤが要求されていた。
【0004】
例えば、下記特許文献1では、ショルダー陸部及びミドル陸部の剛性を特定することを基本として、ドライ性能の低下を抑制しつつウェット性能及びノイズ性能を向上させた空気入りタイヤが提案されている。しかしながら、このような空気入りタイヤであっても、ウェット性能とノイズ性能との両立については、さらなる改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−170147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、主溝の溝幅を特定し、かつ、ミドル陸部及びミドル横溝の形状を改善することを基本として、ウェット性能を維持しつつノイズ性能を向上させた空気入りタイヤを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のうち、請求項1記載の発明は、トレッド部に、タイヤ赤道の両側かつ最もトレッド接地端側でタイヤ周方向に連続してのびる一対のショルダー主溝と、前記ショルダー主溝間をタイヤ周方向に連続してのびるセンター主溝とが設けられることにより、前記一対のショルダー主溝と前記センター主溝との間に一対のミドル陸部が区分され、かつ、車両への装着の向きが指定された空気入りタイヤであって、前記ショルダー主溝及び前記センター主溝は、トレッド接地幅の7〜9%の溝幅を有し、前記ミドル陸部は、車両装着時にタイヤ赤道よりも車両外側に配される外側ミドル陸部を含み、前記外側ミドル陸部は、前記ショルダー主溝よりも溝幅が小さくかつタイヤ周方向に連続してのびるミドル細溝により、タイヤ軸方向外側の第1外側ミドル陸部、及び、タイヤ軸方向内側の第2外側ミドル陸部に区分され、前記第1外側ミドル陸部は、タイヤ周方向に連続してのびるリブであり、前記第2外側ミドル陸部には、一対の溝縁を有しかつ前記センター主溝と前記ミドル細溝との間を連通する外側ミドル横溝が複数本設けられ、前記外側ミドル横溝は、前記センター主溝に連通しかつタイヤ軸方向に対して前記一対の溝縁が同じ向きに傾斜した第1部分と、前記ミドル細溝に連通しかつ前記一対の溝縁がそれぞれ前記第1部分の前記溝縁と逆向きに傾斜する第2部分と、これらの間の接続部とを含み、前記第2部分の溝幅は、前記第1部分の溝幅よりも小さく、前記接続部は、前記外側ミドル陸部のタイヤ軸方向の中心位置よりもセンター主溝側に設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、前記外側ミドル横溝は、タイヤ軸方向外側に向かって溝幅及び溝深さが漸減する請求項1記載の空気入りタイヤである。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、前記トレッド部は、前記ショルダー主溝よりもタイヤ軸方向外側にショルダー陸部を有し、前記ショルダー陸部は、車両装着時に車両外側に配される外側ショルダー陸部を含み、前記外側ショルダー陸部は、前記ショルダー主溝よりも溝幅が小さくかつタイヤ周方向に連続してのびるショルダー細溝により、タイヤ軸方向外側の第1外側ショルダー陸部、及び、タイヤ軸方向内側の第2外側ショルダー陸部に区分され、前記第2外側ショルダー陸部は、タイヤ周方向に連続してのびるリブである請求項1又は2記載の空気入りタイヤである。
【0010】
また、請求項4記載の発明は、前記ミドル陸部は、車両装着時にタイヤ赤道よりも車両内側に配される内側ミドル陸部を含み、内側ミドル陸部には、前記ショルダー主溝及び前記センター主溝に連通する内側ミドル横溝が設けられ、前記内側ミドル横溝は、タイヤ軸方向に対して30〜50°の角度で傾けられている請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
【0011】
また、請求項5記載の発明は、前記内側ミドル横溝のタイヤ軸方向の内端は、前記外側ミドル横溝のタイヤ軸方向の内端とタイヤ軸方向で位置をずらせて設けられている請求項4記載の空気入りタイヤである。
【0012】
また、請求項6記載の発明は、前記ミドル細溝は、0.5〜1.5mmの溝幅を有する請求項1乃至5のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
【0013】
また、請求項7記載の発明は、前記センター主溝は、1本のみからなり、かつ、タイヤ赤道上に設けられる請求項1乃至6のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の空気入りタイヤは、ショルダー主溝及びセンター主溝が、トレッド接地幅の7〜9%の溝幅を有する。このようなショルダー主溝及びセンター主溝は、ウェット走行時、路面とトレッド接地面との間の水膜を効果的に排出し、ウェット性能を向上させる。
【0015】
本発明のミドル陸部は、車両装着時にタイヤ赤道よりも車両外側に配される外側ミドル陸部を含む。外側ミドル陸部は、ショルダー主溝よりも溝幅が小さくかつタイヤ周方向に連続してのびるミドル細溝により、タイヤ軸方向外側の第1外側ミドル陸部、及び、タイヤ軸方向内側の第2外側ミドル陸部に区分される。第1外側ミドル陸部は、タイヤ周方向に連続してのびるリブである。
【0016】
このようなタイヤ周方向に連続してのびるミドル細溝及び第1外側ミドル陸部は、外側ミドル陸部よりも車両内側で発生した騒音が車両外側に伝達するのを効果的に遮断する。従って、ノイズ性能が向上する。
【0017】
第2外側ミドル陸部には、前記センター主溝と前記ミドル細溝との間を連通する複数本の外側ミドル横溝が設けられる。このような外側ミドル横溝は、ウェット性能を向上させる。
【0018】
外側ミドル横溝は、タイヤ軸方向に対して傾斜した第1部分と、前記第1部分と逆向きに傾斜する第2部分と、これらの間の接続部とを含む。即ち、接続部で溝の傾斜の向きが変化する。このため、接続部が抵抗となり、外側ミドル横溝への空気の流入が抑制され、センター主溝内の気柱共鳴音が抑制される。さらに、接続部は、外側ミドル陸部のタイヤ軸方向の中心位置よりもセンター主溝側に設けられている。このため、接続部とセンター主溝との間の距離が小さくなり、外側ミドル横溝への空気の流入がより効果的に抑制される。このため、ノイズ性能がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態の空気入りタイヤのトレッド部の展開図である。
図2図1のA−A断面図である。
図3図1の外側ミドル陸部の拡大図である。
図4図3のB−B断面図である。
図5図1の内側ミドル陸部の拡大図である。
図6図1の外側ショルダー陸部の拡大図である。
図7図1の内側ショルダー陸部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示されるように、本実施形態の空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある。)1は、車両への装着の向きが指定された空気入りタイヤである。図1のタイヤ1の右側が、車両装着時に車両外側となる。本実施形態のタイヤは、タイヤ赤道Cで左右非対称である。本実施形態のタイヤ1は、例えば、乗用車に好適に使用される。
【0021】
タイヤ1のトレッド部2には、一対のショルダー主溝3、3と、センター主溝4とが設けられる。
【0022】
一対のショルダー主溝3、3はタイヤ赤道Cの両側かつ最もトレッド接地端Te側でタイヤ周方向に連続してのびる。本実施形態のショルダー主溝3は、略一定の溝幅を有し、直線状である。
【0023】
「トレッド接地端Te」は、正規リム(図示せず)にリム組みされかつ正規内圧が充填された無負荷の正規状態のタイヤ1に、正規荷重を負荷してキャンバー角0°で平面に接地させたときの最もタイヤ軸方向外側の接地位置である。
【0024】
前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" である。
【0025】
前記「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
【0026】
前記「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば "最大負荷能力" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" である。
【0027】
センター主溝4は、ショルダー主溝3、3間をタイヤ周方向に連続してのびる。本実施形態のセンター主溝4は、1本のみからなり、タイヤ赤道C上に設けられる。また、本実施形態のセンター主溝4は、略一定の溝幅を有し、直線状である。センター主溝4は、2本設けられても良い。
【0028】
ショルダー主溝3及びセンター主溝4は、トレッド接地幅TWの7〜9%の溝幅を有する。このようなショルダー主溝3及びセンター主溝4は、ウェット走行時、路面とトレッド接地面2sとの間の水膜を効果的に排出し、ウェット性能を向上させる。
【0029】
なお、トレッド接地幅TWは、正規状態かつ無負荷時のタイヤ1のトレッド接地端Te、Teのタイヤ軸方向の距離である。
【0030】
ショルダー主溝3の溝幅W1及びセンター主溝4の溝幅W2がトレッド接地幅TWの7%より小さい場合、ウェット性能が低下するおそれがある。逆に、前記溝幅W1及びW2がトレッド接地幅TWの9%より大きい場合、溝内を流れる空気の量が増加し、ノイズ性能が悪化するおそれがあり、かつ、トレッド部2の剛性が低下して耐摩耗性能及びコーナリングフォースが低下するおそれがある。
【0031】
図2には、図1のA−A断面図が示される。図2に示されるように、ショルダー主溝3及びセンター主溝4の溝深さd1及びd2は、例えば、5〜10mmであるのが望ましい。
【0032】
図1に示されるように、トレッド部2には、一対のショルダー主溝3、3とセンター主溝4との間の一対のミドル陸部5、5と、ショルダー主溝3、3よりもタイヤ軸方向外側の一対のショルダー陸部6、6とに区分される。
【0033】
ミドル陸部5は、車両装着時にタイヤ赤道Cよりも車両外側に配される外側ミドル陸部10と、車両装着時にタイヤ赤道Cよりも車両内側に配される内側ミドル陸部11とを含む。
【0034】
図3には、外側ミドル陸部10の拡大図が示される。外側ミドル陸部10は、略一定の幅でのびる。外側ミドル陸部10のタイヤ軸方向の幅W3は、好ましくはトレッド接地幅TW(図1及び図2に示され、以下、同様である)の0.15倍以上、より好ましくは0.17倍以上であり、好ましくは0.22倍以下、より好ましくは0.20倍以下である。外側ミドル陸部10の前記幅W3がトレッド接地幅TWの0.15倍より小さい場合、外側ミドル陸部の剛性が低下し、操縦安定性及びコーナリングフォースが低下するおそれがある。逆に、外側ミドル陸部10の前記幅W3がトレッド接地幅TWの0.22倍より大きい場合、陸部の接地面積が大きくなり、ウェット性能が低下するおそれがある。
【0035】
外側ミドル陸部10は、ミドル細溝12により、タイヤ軸方向外側の第1外側ミドル陸部13、及び、タイヤ軸方向内側の第2外側ミドル陸部14に区分される。
【0036】
ミドル細溝12は、タイヤ周方向に連続して直線状にのびる。ミドル細溝12は、ショルダー主溝3及びセンター主溝4よりも溝幅が小さい。
【0037】
ミドル細溝12の溝幅W4は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.8mm以上であり、好ましくは1.5mm以下、より好ましくは1.2mm以下である。ミドル細溝12の溝幅W4が0.5mmよりも小さい場合、ウェット性能が低下するおそれがある。逆に、ミドル細溝12の溝幅W4が1.5mmよりも大きい場合、外側ミドル陸部10のタイヤ軸方向の剛性が低下し、操縦安定性及びコーナリングフォースが低下するおそれがある。
【0038】
同様の観点から、ミドル細溝12の溝幅d3(図2に示す)は、好ましくは3.0mm以上、より好ましくは3.5mm以上であり、好ましくは5.0mm以下、より好ましくは4.5mm以下である。
【0039】
第1外側ミドル陸部13は、タイヤ周方向に連続してのびるリブである。本実施形態の第1外側ミドル陸部13は、一定の幅で直線状にのびる。
【0040】
第1外側ミドル陸部13はリブであるため、ミドル細溝12及びショルダー主溝3に連通する横溝を持たない。このため、第1外側ミドル陸部13は、車両内側で発生した空気の振動を遮断し、車両外側に伝達させない。従って、このようなミドル細溝12及び第1外側ミドル陸部13は、外側ミドル陸部10よりも車両内側で発生した騒音が車両外側に伝達するのを効果的に遮断する。このため、ノイズ性能が向上する。
【0041】
第1外側ミドル陸部13のタイヤ軸方向の幅W5は、好ましくは外側ミドル陸部10のタイヤ軸方向の幅W3の0.18倍以上、より好ましくは0.20倍以上であり、好ましくは0.26倍以下、より好ましくは0.24倍以下である。第1外側ミドル陸部13の前記幅W5が外側ミドル陸部10の前記幅W3の0.18倍よりも小さい場合、上記騒音の遮断効果が低下するおそれがある。逆に、第1外側ミドル陸部13の前記幅W5が外側ミドル陸部10の前記幅W3の0.26倍よりも大きい場合、外側ミドル陸部10の剛性が大きくなり、乗り心地性能が低下するおそれがある。
【0042】
第2外側ミドル陸部14は、複数本の外側ミドル横溝15で区分されたブロック列である。第2外側ミドル陸部14は、複数の第2外側ミドルブロック16を含む。第2外側ミドル陸部14は、略一定の幅でのびる。
【0043】
第2外側ミドル陸部14のタイヤ軸方向の幅W6は、好ましくはトレッド接地幅TWの0.10倍以上、より好ましくは0.13倍以上であり、好ましくは0.18倍以下、より好ましくは0.15倍以下である。第2外側ミドル陸部14の前記幅W6がトレッド接地幅TWの0.10倍より小さい場合、外側ミドル陸部10の剛性が低下して、操縦安定性が低下するおそれがある。逆に、第2外側ミドル陸部14の前記幅W6がトレッド接地幅TWの0.18倍より大きい場合、外側ミドル陸部10の接地面積が大きくなり、ウェット性能が低下するおそれがある。
【0044】
外側ミドル横溝15は、センター主溝4とミドル細溝12との間を連通する。このような外側ミドル横溝は、ウェット性能を向上させる。
【0045】
外側ミドル横溝15は、例えば、センター主溝4側からタイヤ軸方向外側に向かって溝幅W7が漸減する。また、図2に示されるように、外側ミドル横溝15は、センター主溝4側からタイヤ軸方向外側に向かって溝深さd4が漸減する。本実施形態の外側ミドル横溝15の溝深さd4は、タイヤ軸方向外側向かってステップ状に漸減する。このような外側ミドル横溝15は、第2外側ミドル陸部14の剛性を、タイヤ軸方向外側に向かって漸増させる。このため、ブロック列である第2外側ミドル陸部14とリブである第1外側ミドル陸部13との剛性差が小さくなり、外側ミドル陸部10の偏摩耗が抑制される。
【0046】
図3に示されるように、外側ミドル横溝15は、タイヤ軸方向に対して傾斜した第1部分17と、第1部分17と逆向きに傾斜する第2部分18と、これらの間の接続部19とを含む。
【0047】
外側ミドル横溝15は、接続部19で傾斜の向きが変化する。このため、接続部19が空気の流れの抵抗となる。このため、ドライ走行時、センター主溝4内を流れる空気は、外側ミドル横溝15内に流入し難い。従って、センター主溝4内の気柱共鳴音が抑制される。
【0048】
接続部19は、外側ミドル陸部10のタイヤ軸方向の中心位置10cよりもセンター主溝4側に設けられている。このため、接続部19とセンター主溝4との間の距離が小さくなり、外側ミドル横溝15への空気の流入がより効果的に抑制される。従って、ノイズ性能がさらに向上する。
【0049】
接続部19と外側ミドル陸部10の中心位置10cとのタイヤ軸方向の距離L1は、好ましくは外側ミドル陸部の前記幅W3の好ましくは0.25倍以上、より好ましくは0.30倍以上であり、好ましくは0.40倍以下、より好ましくは0.35倍以下である。接続部19と前記中心位置10cとの前記距離L1が0.25倍より小さい場合、第1部分17が大きくなり、外側ミドル横溝15内に空気が流入し易くなるおそれがある。接続部19と前記中心位置10cとの前記距離L1が0.45倍より大きい場合、第2部分18とセンター主溝4とが接近し過ぎ、センター主溝4から外側ミドル横溝15に空気が流入し易くなるおそれがある。
【0050】
本実施形態の接続部19の溝縁19eは、円弧状に湾曲している。このような接続部19は、第2外側ミドルブロック16の欠けを抑制する。また、このような接続部19は、ドライ走行時、接続部19の溝縁19eと路面との打音を小さくし、ノイズ性能を向上させる。
【0051】
第1部分17は、センター主溝4に連通し、接続部19までのびる。第1部分17のタイヤ軸方向に対する角度θ1は、好ましくは15°以上、より好ましくは20°以上であり、好ましくは35°以下、より好ましくは30°以下である。第1部分17の前記角度θ1が15°より小さい場合、外側ミドル横溝15への空気の流入が抑制されず、ノイズ性能が低下するおそれがある。逆に、第1部分17の前記角度θ1が35°より大きい場合、第2外側ミドルブロック16が偏摩耗し、外側ミドル陸部10の耐摩耗性能が低下するおそれがある。
【0052】
第1部分17の溝幅W8は、好ましくはセンター主溝4の溝幅W2(図1に示す)の0.40倍以上、より好ましくは0.45倍以上であり、好ましくは0.55倍以下、より好ましくは0.50倍以下である。第1部分の溝幅W8がセンター主溝4の溝幅W2の0.40倍より小さい場合、外側ミドル横溝15の溝容積が小さくなり、ウェット性能が低下するおそれがある。逆に、第1部分の溝幅W8がセンター主溝4の溝幅W2の0.55倍より大きい場合、外側ミドル横溝15の気柱共鳴音が大きくなり、ノイズ性能が低下するおそれがある。
【0053】
第2部分18は、接続部19からミドル細溝12までのびる。第2部分18のタイヤ軸方向に対する角度θ2は、好ましくは30°以上、より好ましくは33°以上であり、好ましくは40°以下、より好ましくは37°以下である。前記角度θ2が30°より小さい場合、外側ミドル横溝15に空気が流入し易くなり、ノイズ性能が低下するおそれがある。逆に、前記角度θ2が40°より大きい場合、第2外側ミドルブロック16が偏摩耗し、外側ミドル陸部10の耐摩耗性能が低下するおそれがある。
【0054】
第2部分18の溝幅W9は、第1部分の溝幅W8よりも小さい。第2部分の溝幅W9は、タイヤ軸方向外側に向かって漸減する。このような第2部分18は、センター主溝4からの空気の流入を効果的に抑制する。また、このような第2部分18は、第2外側ミドル陸部14の剛性をタイヤ軸方向外側に向かって漸増させる。このため、第1外側ミドル陸部13との剛性差が小さくなり、ミドル陸部の偏摩耗が抑制される。
【0055】
第2部分の溝幅W9は、好ましくはセンター主溝4の溝幅W2の0.28倍以上、より好ましくは0.34倍以上であり、好ましくは0.40倍以下、より好ましくは0.36倍以下である。第2部分の溝幅W9が、センター主溝の溝幅W2の0.28倍より小さい場合、外側ミドル横溝15の溝容積が低下し、ウェット性能が低下するおそれがある。逆に、第2部分の溝幅W9が、センター主溝の溝幅W2の0.40倍より大きい場合、第2外側ミドル陸部14の剛性が低下して、耐摩耗性能及びコーナリングフォースが低下するおそれがある。
【0056】
第2外側ミドルブロック16は、略ひし形状の踏面16sを有する。第2外側ミドルブロック16は、タイヤ周方向縁20から第2外側ミドルブロック16の中央16cに向かってのびる軸方向サイプ22と、タイヤ軸方向縁21から第2外側ミドルブロック16の中央16cに向かってのびる周方向サイプ23とが設けられる。
【0057】
周方向サイプ23の長さL3は、軸方向サイプ22の長さL2よりも小さいのが望ましい。このような周方向サイプ23及び軸方向サイプ22は、ミドル陸部5のタイヤ軸方向の剛性を維持し、コーナリングフォースを低下させることなく、ウェット性能を向上させる。
【0058】
図4には、図3のB−B断面が示される。図4に示されるように、軸方向サイプ22は、センター主溝4又はミドル細溝12に開口する端部22eにおいて、溝底面が隆起した隆起部31を有するのが望ましい。これにより、外側ミドル陸部10の剛性が大きくなり、操縦安定性及びコーナリングフォースが向上する。
【0059】
図5に示されるように、内側ミドル陸部11は、複数本の内側ミドル横溝24で区分されたブロック列である。内側ミドル陸部11は、複数の内側ミドルブロック25がタイヤ周方向に並ぶ。内側ミドル陸部11は略一定の幅でのびる。
【0060】
内側ミドル陸部11のタイヤ軸方向の幅W10は、好ましくはトレッド接地幅TWの0.15倍以上、より好ましくは0.17倍以上であり、好ましくは0.22倍以下、より好ましくは0.20倍以下である。内側ミドル陸部11の前記幅W10がトレッド接地幅TWの0.15倍より小さい場合、内側ミドル陸部11の剛性が低下し、耐摩耗性能及びコーナリングフォースが低下するおそれがある。逆に、トレッド接地幅TWの0.22倍より大きい場合、陸部の接地面積が大きくなり、ウェット性能が低下するおそれがある。
【0061】
内側ミドル横溝24は、センター主溝4及びショルダー主溝3に連通している。内側ミドル横溝24は、タイヤ軸方向に対して傾斜している。内側ミドル横溝24は略一定の溝幅でのびる。内側ミドル横溝24は、円弧状に湾曲している。このような内側ミドル横溝29は、タイヤ軸方向及びタイヤ周方向にバランス良くエッジ効果を発揮し、ウェット性能を向上させる。
【0062】
内側ミドル横溝24の溝幅W11が小さい場合、ウェット性能が向上しないおそれがある。逆に、内側ミドル横溝24の溝幅W11が大きい場合、内側ミドル陸部24の剛性が低下して操縦安定性が低下するおそれがある。このため、内側ミドル横溝24の溝幅W11は、好ましくは2.0mm以上、より好ましくは2.3mm以上であり、好ましくは3.0mm以下、より好ましくは2.7mm以下である。
【0063】
図1に示されるように、内側ミドル横溝24のタイヤ軸方向の内端24iは、外側ミドル横溝のタイヤ軸方向の内端15iとタイヤ軸方向で位置をずらせて設けられている。このような内側ミドル横溝24は、第2外側ミドルブロック16が路面に接地したときの打音と、内側ミドルブロック25が路面に接地したときの打音が共振し難く、ノイズ性能が向上する。
【0064】
図2に示されるように、内側ミドル横溝24は、第1部分26と、第1部分26のタイヤ軸方向内側に配され、かつ、第1部分26よりも溝深さが小さい第2部分27とを含む。内側ミドル横溝24の溝深さd5は、タイヤ軸方向内側に向かってステップ状に漸減する。このような内側ミドル横溝24は、内側ミドル陸部11の車両外側の剛性を大きくする。このため、外側ミドル陸部10との剛性差が小さくなり、ミドル陸部の偏摩耗を抑制する。
【0065】
図5に示されるように、内側ミドルブロック25は、略ひし形状の踏面25sを有する。内側ミドルブロック25には、タイヤ周方向縁28から内側ミドルブロック25の中央25cに向かってのびるタイヤ軸方向にのびる軸方向サイプ29が設けられる。このような内側ミドルブロック25は、内側ミドル陸部11のタイヤ軸方向の剛性を低下させることなく、ウェット性能を向上させる。
【0066】
軸方向サイプ29は、内側ミドルブロック25内で終端する。このような軸方向サイプ29は、内側ミドルブロック25の剛性を維持しつつ、排水性を向上させる。このため、耐摩耗性能及びコーナリングフォースが維持されつつ、ウェット性能が向上する。
【0067】
図1に示されるように、ショルダー陸部6は、車両装着時に車両外側に配される外側ショルダー陸部35、及び、車両装着時に車両内側に配される内側ショルダー陸部36を含む。
【0068】
図6には、外側ショルダー陸部35の拡大図が示される。外側ショルダー陸部35は、略一定の幅でのびる。外側ショルダー陸部35のタイヤ軸方向の幅W12は、好ましくはトレッド接地幅TWの0.17倍以上、より好ましくは0.20倍以上であり、好ましくは0.28倍以下、より好ましくは0.25倍以下である。外側ショルダー陸部35の前記幅W12がトレッド接地幅TWの0.17倍より小さい場合、外側ショルダー陸部35の剛性が低下して、耐摩耗性及びコーナリングフォースが低下するおそれがある。逆に、外側ショルダー陸部35の前記幅W12がトレッド接地幅TWの0.28倍より大きい場合、外側ショルダー陸部35の接地面積が大きくなり、ウェット性能が低下するおそれがある。
【0069】
外側ショルダー陸部35は、ショルダー細溝37により、タイヤ軸方向外側の第1外側ショルダー陸部38、及び、タイヤ軸方向内側の第2外側ショルダー陸部39に区分される。
【0070】
ショルダー細溝37は、タイヤ周方向に連続して直線状にのびる。ショルダー細溝37は、ショルダー主溝3及びセンター主溝4(図1に示す)よりも溝幅が小さい。
【0071】
ショルダー細溝37の溝幅W13は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.8mm以上であり、好ましくは1.5mm以下、より好ましくは1.2mm以下である。ショルダー細溝37の溝幅W13が0.5mmよりも小さい場合、ウェット性能が低下するおそれがあり、かつ、外側ミドル陸部10の剛性が大きくなって乗り心地性能が低下するおそれがある。逆に、ショルダー細溝37の溝幅W13が1.5mmよりも大きい場合、外側ミドル陸部10のタイヤ軸方向の剛性が低下し、操縦安定性及びコーナリングフォースが低下するおそれがある。
【0072】
同様の観点から、ショルダー細溝37の溝深さd7(図2に示す)は、好ましくは3.0mm以上、より好ましくは3.5mm以上であり、好ましくは5.0mm以下、より好ましくは4.5mm以下である。
【0073】
第1外側ショルダー陸部38は、複数本の外側ショルダー横溝40で区分されたブロック列である。第1外側ショルダー陸部38は、複数の第1外側ショルダーブロック41を含む。第1外側ショルダー陸部38は、略一定の幅でのびる。
【0074】
第1外側ショルダー陸部38のタイヤ軸方向の幅W14は、好ましくはトレッド接地幅TWの0.13倍以上、より好ましくは0.15倍以上であり、好ましくは0.22倍以下、より好ましくは0.20倍以下である。第1外側ショルダー陸部38の前記幅W14がトレッド接地幅TWの0.13倍よりも小さい場合、第1外側ショルダー陸部38の剛性が低下して、耐摩耗性及びコーナリングフォースが低下するおそれがある。逆に、第1外側ショルダー陸部38の前記幅W14がトレッド接地幅TWの0.22倍よりも大きい場合、ウェット性能及びワンダリング性能が低下するおそれがある。
【0075】
外側ショルダー横溝40は、ショルダー細溝37に連通し、かつ、トレッド端Teよりもタイヤ軸方向外側までのびる。外側ショルダー横溝40は、円弧状に湾曲している。このような外側ショルダー横溝40は、ウェット性能及びワンダリング性能を向上させる。
【0076】
外側ショルダー横溝40は、タイヤ軸方向に対して傾斜している。外側ショルダー横溝40のタイヤ軸方向に対する角度θ3は、好ましくは5°以上、より好ましくは8°以上であり、好ましくは15°以下、より好ましくは12°以下である。このような外側ショルダー横溝40は、タイヤ軸方向にもエッジ効果を発揮し、ウェット走行時の操縦安定性を向上させる。
【0077】
外側ショルダー横溝40は、略一定の溝幅でのびる。外側ショルダー横溝40の溝幅W16は、好ましくは2.0mm以上、より好ましくは2.5mm以上であり、好ましくは4.0mm以下、より好ましくは3.5mm以下である。外側ショルダー横溝40の溝幅W16が2.0mmより小さい場合、ウェット性能及びワンダリング性能が低下するおそれがある。逆に、外側ショルダー横溝40の溝幅W16が4.0mmより大きい場合、操縦安定性が低下するおそれがある。
【0078】
図2に示されるように、外側ショルダー横溝40は、第1部分42と、第1部分42のタイヤ軸方向内側に配されかつ第1部分42より溝深さの小さい第2部分43とを含む。このような外側ショルダー横溝40は、外側ショルダー陸部35の剛性をタイヤ軸方向内側から外側に向かって漸増させる。このため、外側ミドル陸部10との剛性差を小さくして偏摩耗を抑制し、かつ、ワンダリング性能を向上させる。
【0079】
図6に示されるように、第1外側ショルダーブロック41は、略矩形状の踏面41sを有する。第1外側ショルダーブロック41内には、両端がブロック内で終端するクローズドサイプ44が設けられる。このような第1外側ショルダーブロック41は、ドライ走行時の操縦安定性及びコーナリングフォースを維持しつつ、ウェット性能を向上させる。
【0080】
第2外側ショルダー陸部39は、タイヤ周方向に連続してのびるリブである。本実施形態の第2外側ショルダー陸部39は、一定の幅で直線状にのびる。このような第2外側ショルダー陸部39は、第1外側ミドル陸部13と相俟って、車両内側で発生した空気の振動を車両外側に伝達させない。このため、ノイズ性能が向上する。
【0081】
図6に示されるように、第2外側ショルダー陸部39のタイヤ軸方向の幅W15は、好ましくはトレッド接地幅TWの3.5%以上、より好ましくは4.0%以上であり、好ましくは5.0%以下、より好ましくは4.5%以下である。第2外側ショルダー陸部39の前記幅W15がトレッド接地幅TWの3.5%よりも小さい場合、上記騒音の遮断効果が低下するおそれがある。逆に、第2外側ショルダー陸部39の前記幅W15がトレッド接地幅TWの5.0%よりも大きい場合、外側ショルダー陸部35の剛性が大きくなり、乗り心地性能が低下するおそれがある。
【0082】
図7には内側ショルダー陸部36の拡大図が示される。図7に示されるように、内側ショルダー陸部36は、タイヤ周方向に連続してのびるリブである。内側ショルダー陸部36には、ショルダーラグ溝45及びショルダーサイプ46がタイヤ周方向に交互に設けられる。このような内側ショルダー陸部36は、操縦安定性を維持しつつ、ウェット性能を向上させる。
【0083】
ショルダーラグ溝45は、トレッド接地端Teよりもタイヤ軸方向外側から、タイヤ軸方向内側に向かってのびる。また、ショルダーラグ溝45は、内側ショルダー陸部36内で終端する。このようなショルダーラグ溝45は、内側ショルダー陸部36の耐摩耗性能を維持しつつ、ワンダリング性能及びウェット性能を向上させる。
【0084】
ショルダーサイプ46は、一端46iがショルダー主溝3に連通し、他端46oが内側ショルダー陸部36内で終端する。このようなショルダーサイプ46は、内側ショルダー陸部36の剛性を過度に低下させることなく、ウェット性能を向上させる。
【0085】
以上、本発明の空気入りタイヤについて詳細に説明したが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。
【実施例】
【0086】
図1の基本パターンを有するサイズ165/70R14の空気入りタイヤが、表1の仕様に基づき試作された。また、試作された各タイヤについて、ウェット性能、ノイズ性能、耐摩耗性能及びコーナリングフォースがテストされた。各タイヤの共通仕様は以下の通りである。
装着リム:14×5J
タイヤ内圧:230kPa
テスト車両:国産FF乗用車、排気量1300cc
タイヤ装着位置:全輪
【0087】
<ウェット性能>
下記テストコースに速度を段階的に増加させながら上記テスト車両を進入させ、該テスト車両の前輪の横加速度(横G)が計測され、55〜80Km/hの速度における前輪の平均横Gが算出された。評価は、実施例1を100とする指数で表示されている。数値が大きい程、ウェット性能に優れていることを示す。
テストコース:半径100mの周回コース
路面:アスファルト路面上に水深6mm、長さ6mの水溜まりを設置
【0088】
<ノイズ性能>
上記テスト車両で乾燥したアスファルト路面を50km/hの速度で走行したときの車内騒音が測定された。車内騒音は、運転席の頭部に位置するマイクで計測された。評価は、騒音の大きさ(db)の逆数で行われ、実施例1を100とする指数で表示されている。数値が大きい程、ノイズ性能にすぐれていることを示す。
【0089】
<耐摩耗性能>
上記テスト車両で一般道を3000Km走行したときの摩耗量が測定された。評価は、摩耗量の逆数で行われ、実施例1を100とする指数で表示されている。数値が大きい程、耐摩耗性能に優れていることを示す。
【0090】
<コーナリングフォース>
室内試験器が用いられ、各テストタイヤのコーナリングフォースが以下の条件で測定された。結果は、実施例1のコーナリングフォースを100とする指数で表示される。数値が大きいほど良好である。
装着リム:14×5J
タイヤ内圧:230kPa
スリップ角:12゜
縦荷重:4.35kN
速度:10km/h
テストの結果が表1に示される。
【0091】
【表1】
【0092】
テストの結果、実施例の空気入りタイヤは、ウェット性能を維持しつつノイズ性能が向上しているのが確認できた。
【符号の説明】
【0093】
2 トレッド部
3 ショルダー主溝
4 センター主溝
5 ミドル陸部
6 ショルダー陸部
10 外側ミドル陸部
12 ミドル細溝
13 第1外側ミドル陸部
14 第2外側ミドル陸部
15 外側ミドル横溝
17 第1部分
18 第2部分
19 接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7