特許第5873467号(P5873467)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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5873467低粘度の用途において仕用するための、消泡添加剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873467
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】低粘度の用途において仕用するための、消泡添加剤
(51)【国際特許分類】
   C10M 155/02 20060101AFI20160216BHJP
   C10N 20/02 20060101ALN20160216BHJP
   C10N 30/18 20060101ALN20160216BHJP
   C10N 40/04 20060101ALN20160216BHJP
   C10N 40/25 20060101ALN20160216BHJP
   C10N 40/26 20060101ALN20160216BHJP
   C10N 40/28 20060101ALN20160216BHJP
【FI】
   C10M155/02
   C10N20:02
   C10N30:18
   C10N40:04
   C10N40:25
   C10N40:26
   C10N40:28
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-184885(P2013-184885)
(22)【出願日】2013年9月6日
(65)【公開番号】特開2014-62250(P2014-62250A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2013年10月4日
(31)【優先権主張番号】61/698,815
(32)【優先日】2012年9月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/974,370
(32)【優先日】2013年8月23日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391007091
【氏名又は名称】アフトン・ケミカル・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Afton Chemical Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダイアン・ゴーテイエ
(72)【発明者】
【氏名】ジヨセフ・ビー・キヤロル
【審査官】 馬籠 朋広
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−209778(JP,A)
【文献】 旧東ドイツ国経済特許第213945(DD,A1)
【文献】 特開2005−162883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M 101/00−177/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑剤組成物であって、
a)100℃で2〜8cStの動粘度を有する、少なくとも50重量%の基油、及び、
b)式I:
【化1】
(式中、x及びyは、同一又は異なっていてもよく、xは160〜190であり、yは14〜18であり、Rは、500〜5000g/molの分子量を有するポリオキシアルキレン基であり、
式II:
【化2】
により表され、
Qは水素又は、C1〜C8アルキル、アセチル、及び、式−NCOのイソシアネート基から成る群から選択される、一価の有機基であり、下付き文字aは、2〜6の正の整数であり
(R1bは、エチレンオキシド及びプロピレンオキシド単位の組合せであり、
式III:
【化3】
により表され、式中、mは3〜6の正の整数であり、nは20〜40の正の整数である、
により表される)
により表され、2〜500ppmのケイ素を潤滑剤組成物に送達する量の添加剤組成物、
を含む、潤滑剤組成物。
【請求項2】
式中下付き文字aが2〜6の正の整数であり、下付き文字bが25〜45の正の整数である、請求項1に記載の潤滑剤組成物
【請求項3】
前記式IIIは、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーから成る群から選択されたポリマーである、請求項1に記載の潤滑剤組成物
【請求項4】
潤滑剤組成物であって、
a)100℃で2〜8cStの動粘度を有する、少なくとも50重量%の基油、及び、
b)式IV
【化4】
(式中、x及びyは同一又は異なっていてもよく、xは160〜190であり、yは14〜18であり、mは3〜6の正の整数であり、nは20〜40の正の整数であり、Qは水素又は、C1〜C8アルキル、アセチル、及び式−NCOのイソシアネート基から成る群から選択された一価の有機基である)により表され、2〜500ppmのケイ素を潤滑剤組成物に送達する量の添加剤組成物、
を含む、潤滑剤組成物
【請求項5】
潤滑液の消泡性を向上させる方法において、
式I
【化5】
(式中、x及びyは同一又は異なっていてもよく、xは160〜190であり、yは14〜18であり、
Rは、500〜5000g/molの分子量を有するポリオキシアルキレン基であり、
式II:
【化2】
により表され、
Qは水素又は、C1〜C8アルキル、アセチル、及び、式−NCOのイソシアネート基から成る群から選択される、一価の有機基であり、下付き文字aは、2〜6の正の整数であり、
(R1bは、エチレンオキシド及びプロピレンオキシド単位の組合せであり、
式III
【化3】
により表され、式中、mは3〜6の正の整数であり、nは20〜40の正の整数である、
により表される)
の、有効量であって2〜500ppmのケイ素を潤滑液に送達する量の一つ以上の化合物を潤滑液中に含むことを含む、100℃で2〜8cStの動粘度を有する潤滑液の消泡性を向上させる方法。
【請求項6】
潤滑液の消泡性を向上させる方法において、
式IV
【化6】
(式中、x及びyは同一又は異なっていてもよく、xは160〜190であり、yは14〜18であり、mは3〜6の正の整数であり、nは20〜40の正の整数であり、Qは水素又は、C1〜C8アルキル、アセチル及び、式−NCOのイソシアネートから成る群から選択された一価の有機基である)
の、有効量であって2〜500ppmのケイ素を潤滑液に送達する量の一つ以上の化合物を、潤滑液中に含むことを含む、100℃で2〜8cStの動粘度を有する潤滑液の消泡性を向上させる方法
【請求項7】
1)潤滑を必要とする自動車部品へ潤滑液を追加することであって、前記潤滑液は、(a)100℃で2〜5cStの動粘度を有する基油、及び(b)式IV:
【化7】
(式中、x及びyは同一又は異なっていてもよく、xは160〜190であり、yは14〜18であり、mは3〜6の正の整数であり、nは20〜40の正の整数であり、Qは水素又は、C1〜C8アルキル、アセチル、式−NCOのイソシアネート基から成る群から選択される)の一つ以上の化合物を含む、潤滑を必要とする自動車部品へ潤滑液を追加することと、
2)前記潤滑液を収容する前記自動車部品を作動させることであって、前記潤滑液の消泡性能が、1)(b)の化合物を含まない潤滑液体の性能と比較して改善される、前記潤滑液を収容する前記自動車部品を作動させること
とを含む、潤滑を必要とする前記自動車部品を潤滑しながら、潤滑液の消泡特性を改善するための方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2012年9月10日に出願された、出願番号61/698,815の非仮出願である。
【0002】
技術分野
本開示は、潤滑剤中において仕用するための消泡添加剤、特に、低動粘度を有する自動変速機油中において仕用するための消泡添加剤の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
背景及び概要
自動車駆動系システムは、油圧作動液及び潤滑剤を提供するために、石油製品に依存する、複雑なギアトレーン及びターボ機械を含む。具体的には、乗用車オートマチックトランスミッション及びトランスアクスルは、潤滑剤中で高速且つ高温で作動する、タービン、ポンプ、ギア及び、クラッチを使用する。これらのシステムの高速回転及び高出力密度は、システム内のエアスペース及び、潤滑剤中に混入した空気と組み合わされ、泡の形成をもたらし得る。少量の潤滑剤及び多量の空気から成る発泡体は、潤滑剤の圧縮率を変更することによって、ポンプの効率を損なう。結果として、作動液中の空気量が多い場合には、潤滑油により作動されるピストン及びバルブは、正しく機能しない可能性がある。更に、ギアトレーンは、泡の状態が存在する場合、低いポンプ効率及び冷却効果を提供する潤滑油の能力低下のために、潤滑が不十分になり得る。ドライブトレーンのハードウェアの新しい設計は、油溜め(sumps)を小さくし、電力スループット密度を高くする傾向にあり、従来の設計よりも一般的に少ない潤滑剤に依存する。より少ない潤滑剤の体積は、一定の期間に渡って作動条件の下で、ドライブトレーンシステムから泡を一掃するという課題を悪化させ得る。これらの発泡の問題は潤滑剤が低粘度を有するときに悪化する。何故なら、消泡添加剤として使用される典型的な化学物質が懸濁状態に留まることができず、留まることより問題を抜け出すことができないからである。動力伝達系の潤滑剤は、燃費の向上を試み、得るために、より低い粘度へ移行しているため、発泡に関連付けられた問題は増加している。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、たとえ潤滑剤が100℃で2〜8cSt、又は2〜5cStと同じ程度に低い動粘度を有していた場合でも、潤滑剤配合物中に懸濁したままにすることが可能である、ユニークな消泡剤化学物質を導入することにより、低粘度の潤滑剤における発泡の問題に対処する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
一実施形態において、本発明は、100℃で2〜8cStの動粘度、又は、その代わりに100℃で2〜6cStの動粘度、又は、更にその代わりに、100℃で2〜5若しくは2〜4.5cStの動粘度を有する基油:及び、式I
【化1】
(式中、x及びyは同一又は異なっていてもよく、(x+y)は50〜15,000に等しく、Rはポリオキシアルキレン基である)により表される、添加剤組成物を含む、潤滑剤組成物に関する。一般的に、本発明によると、本発明の添加剤組成物が少量で存在するのに対して、基油は主要量で存在する。本発明によると、「主要量」は「少量」よりも多いことが理解されるべきである。特定の実施形態において、「主要量」は、組成物の少なくとも50重量%に関する。他の実施形態において、用語「主要量」は、組成物の、少なくとも70重量%、又は少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%以上、又は少なくとも98%以上に関する。一実施形態において、Rは、500〜5000g/molの分子量を有する。
【0006】
一実施形態において、前記少量の添加剤組成物は、潤滑剤組成物へ2〜500ppmのケイ素を送達する。
【0007】
別の実施形態において、潤滑剤組成物は、式中xは100〜300であり、yは10〜20である、式Iにより表される添加剤組成物を含み得る。
【0008】
更に別の実施形態において、潤滑剤組成物は、式中xは160〜190であり、yは14〜18である、式Iにより表される添加剤組成物を含み得る。
【0009】
更に別の実施形態において、潤滑剤組成物は、式中Rが式II
【化2】
(式中、Rはエチレンオキシド及びプロピレンオキシド単位の組合せであり、Qは水素又は、C1〜C8アルキル、アセチル、及び式−NCOのイソシアネート基であり、下付き文字aは2〜6の正の整数であり、下付き文字bは5〜100の正の整数である)で表される、式Iによって表される添加剤組成物を含み得る。
【0010】
更に別の実施形態において、潤滑剤組成物は、式中Rは式中の下付き文字aが2〜6の正の整数であり、下付き文字bは20〜70の正の整数である式IIにより表される、式Iにより表される添加剤組成物を含み得る。
【0011】
更に別の実施形態において、潤滑剤組成物は、式中Rは式中の下付き文字aが2〜6の正の整数であり、下付き文字bは25〜45の正の整数である式IIにより表される、式Iにより表される添加剤組成物を含み得る。
【0012】
一実施形態において、潤滑剤組成物は、式中Rが式IIにより表され、式中Rは式III:
【化3】
により表され、式中mは1〜10の正の整数であり、nは5〜50の正の整数である、式Iによって表される、添加剤組成物を含み得る。
【0013】
別の実施形態において、潤滑剤組成物は、式中Rは式IIにより表され、式中Rは式IIにより表され、式中mは3〜6の正の整数であり、nは20〜40の正の整数である、式Iによって表される、添加剤組成物を含み得る。
【0014】
更に別の実施形態において、潤滑剤組成物は、式中Rは式IIにより表され、式中Rは式IIIにより表され、式IIIはランダムコポリマー又はブロックコポリマーから成る群から選択されるポリマーである、式Iによって表される添加剤組成物を含み得る。
【0015】
別の実施形態において、潤滑剤組成物は、100℃で2〜8cStの動粘度を有する基油、別の実施形態において、100℃で2〜6cStの動粘度を有する基油、又は、更に別の実施形態において、100℃で2〜4.5cStの動粘度を有する基油、及び、式IV:
【化4】
(式中、x及びyは同一又は異なっていてもよく、(x+y)は50〜1,500に等しく、m及びnは同一又は異なっていてもよく、Qは水素又は、C1〜C8アルキル、アセチル、及び式−NCOのイソシアネートから成る群から選択された一価の有機基である)により表される添加剤組成物を含み得る。上述のように、一般的に、本発明によると、本発明の添加剤組成物が少量で存在する一方、基油は主要量で存在する。本発明によると、「主要量」は、「少量」よりも多いことを理解すべきである。特定の実施形態において、「主要量」は、組成物の少なくとも50重量%に関する。別の実施形態において、用語「主要量」は、組成物の少なくとも70重量%、又は、少なくとも80重量%、又は、少なくとも90%、又は、少なくとも98重量%に関する。
【0016】
別の実施形態において、潤滑剤組成物は、式中xは160〜190であり、yは14〜18であり、mは3〜6の正の整数であり、nは20〜40の正の整数であり、Qは水素又はメチルである、式IVにより表される、添加剤組成物を含み得る。
【0017】
別の実施形態において、潤滑剤組成物は、式Iにより表される添加剤組成物を含み得、前記添加剤組成物は、潤滑剤組成物へ2〜50ppmのケイ素を送達する。
【0018】
別の実施形態において、潤滑剤組成物は、式Iにより表される添加剤組成物を含み得、前記添加剤組成物は、潤滑剤組成物へ2〜25ppmのケイ素を送達する。
【0019】
別の実施形態において、本発明の潤滑剤組成物は、100℃で2〜6の動粘度又は、代わりに100℃で2〜4.5cStの動粘度を有する基油を含み得る。
【0020】
更に別の実施形態において、本発明の潤滑剤組成物は、コハク酸イミド分散剤、コハク酸エステル分散剤、コハク酸エステルアミド分散剤、マンニッヒ塩基分散剤、それらのリン酸化形態、ホウ酸化(boronated)形態、または、リン酸化ホウ酸化形態から成る群から選択される、油溶性無灰分散剤を更に含み得る。
【0021】
本発明の更に別の実施形態において、潤滑剤組成物は、以下の:空気除去添加剤(air expulsion additives)、酸化防止剤、腐食防止剤、消泡剤、金属系清浄剤、有機リン化合物、シール膨潤剤(seal swell agent)、粘度指数向上剤、及び、極圧添加剤の一つ以上を更に含む。
【0022】
更に別の実施形態において、本発明は、少量の本発明の添加剤組成物を含む潤滑剤組成物を用いて、機械部品を潤滑することを含む、機械部品を潤滑する方法を含む。
【0023】
別の実施形態において、本発明は、前記少量の添加剤組成物が、潤滑剤へ2〜500ppmのケイ素を送達する方法を含む。
【0024】
別の実施形態において、本発明は、前記機械部品が、ギア、車軸、ディファレンシャル(differential)、エンジン、クランクシャフト、トランスミッション、又はクラッチを含む、方法を含む。
【0025】
別の実施形態において、本発明は、前記トランスミッションが、オートマチックトランスミッション、マニュアルトランスミッション、オートメーテッドマニュアルトランスミッション、セミオートマチックトランスミッション、デュアルクラッチトランスミッション、連続可変トランスミッション、及びトロイダル型トランスミッションから成る群から選択される方法を含む。
【0026】
別の実施形態において、本発明は、前記クラッチが、連続的スリッピングトルクコンバータクラッチ、スリッピングトルクコンバータクラッチ、ロックアップトルクコンバータクラッチ、スターティングクラッチ、一つ以上のシフトクラッチ又は、電子制御式コンバータクラッチを含む、方法を含む。
【0027】
別の実施形態において、本発明は、前記ギアが、自動車用ギア、静止ギアボックス及び車軸から成る群から選択される、方法を含む。
【0028】
別の実施形態において、本発明は、前記ギアは、ハイポイドギア、スパーギア、ヘリカルギア、ベベルギア、ウォームギア、ラックアンドピニオンギア、プラネタリーギアセット及び、インボリュートギアから選択される、方法を含む。
【0029】
別の実施形態において、本発明は、前記ディファレンシャルが、ストレートディファレンシャル、ターニングディファレンシャル、リミテッド・スリップ・ディファレンシャル、クラッチ式リミテッドスリップディファレンシャル、及びロッキングディファレンシャルから成る群から選択される、方法を含む。
【0030】
別の実施形態において、本発明は、前記エンジンが、内燃エンジン、ロータリーエンジン、ガスタービンエンジン、4サイクルエンジン(four−stroke engine)、2サイクルエンジン(two−stroke engine)から成る群から選択される、方法を含む。
【0031】
別の実施形態において、本発明は、前記エンジンが、ピストン、ベアリング、クランクシャフト、及び/又は、カムシャフトを含む、方法を含む。
【0032】
別の実施形態において、本発明は、本発明の添加剤組成物を含む、潤滑液の消泡特性を改善するための方法を含む。特に、本発明の添加剤組成物は、100℃で2〜8cStの動粘度、又は、代わりに、100℃で2〜6cStの動粘度、又は、更に代わりに、100℃で2〜5若しくは2〜4.5cStの動粘度を有する、潤滑液の消泡特性を改善するために使用することができる。
【0033】
一実施形態において、本発明は、従って、式I:
【化5】
(式中、x及びyは同一又は異なっていてもよく、(x+y)は50〜1,500と等しく、Rはポリオキシアルキレン基である)の有効量の一つ以上の化合物を、潤滑液中に含めることを含む、100℃で2〜8cStの動粘度、又は、代わりに100℃で2〜6cStの動粘度、又は、更に代わりに、100℃で2〜5cSt動粘度を有する、潤滑液の消泡特性を改善するための方法を含む。一実施形態において、Rは、500〜5000g/molの分子量を有する。
【0034】
別の実施形態において、本発明は、式IV:
【化6】
(式中、x及びyは、同一又は異なっていてもよく、(x+y)は50〜1,500に等しく、m及びnは同一又は異なっていてもよく、Qは水素又は、C1〜C8アルキル、アセチル及び、式−NCOのイソシアネートから成る群から選択される一価の有機基である)の有効量の一つ以上の化合物を潤滑液中に含めることを含む、100℃で2〜8cStの動粘度、又は、代わりに、100℃で2〜6cStの動粘度、又は、更に代わりに100℃で2〜5若しくは2〜4.5cStの動粘度を有する、潤滑液の消泡特性を改善するための方法を含む。
【0035】
一実施形態において、式I又はIVの有効量の一つ以上の化合物は、潤滑剤組成物へ2〜500ppmのケイ素を送達する。別の実施形態において、式I又はIVの有効量の一つ以上の化合物は、潤滑剤組成物へ、2〜50ppm若しくは2〜25ppmのケイ素を送達する。
【0036】
別の実施形態において、本発明は、式中xは160〜190であり、yは14〜18であり、mは3〜6の正の整数であり、nは20〜40の正の整数であり、Qは水素又はメチルである、式IVの有効量の一つ以上の化合物を潤滑液中に含めることを含む、100℃で2〜8cStの動粘度を有する、潤滑液の消泡特性を改善するための方法を含む。
【0037】
更に別の実施形態において、本発明は、潤滑を必要とする自動車部品へ、潤滑液を加えることを含む、潤滑を必要とする自動車部品を潤滑しながら、潤滑液の消泡特性を改善するための方法を含み、前記液は、100℃で2〜5cStの動粘度を含む基油、及び、式IV:
【化7】
(式中、x及びyは同一又は異なっていてもよく、(x+y)は50〜1,500と等しく、m及びnは同一又は異なっていてもよく、Qは水素又は、C1〜C8アルキル、アセチル及び式−NCOのイソシアネートから成る群から選択される)の一つ以上の化合物を含み、前記方法は前記液を含む自動車部品を操作することを含み、ここで、前記液体の消泡性能は、式IVの化合物を含まない潤滑液の性能と比較して、改善されている。
【0038】
更に別の実施形態において、本発明は、潤滑を必要とする自動車部品へ潤滑液を加えることを含む、潤滑を必要とする自動車部品を潤滑しながら、潤滑液の消泡性能を改善するための方法を含み、前記液体は、100℃で2〜6cStの動粘度を有する基油、又は、代わりに100℃で2〜5cStの動粘度を有する基油、又は、代わりに、100℃で2〜4.5cStの動粘度を有する基油、及び、式中xは160〜190であり、yは14〜18であり、mは3〜6の正の整数であり、nは20〜40の正の整数であり、Qは水素又はメチルである、式IVの一つ以上の化合物を含む。
【0039】
更に別の実施形態において、本発明は、潤滑を必要とする自動車部品へ潤滑液を加えることを含む、潤滑を必要とする自動車部品を潤滑しながら、潤滑液の消泡特性を改善するための方法を含み、前記液体は、100℃で2〜5cStの動粘度を有する基油及び、式中、xは160〜190であり、yは14〜18であり、mは3〜6の正の整数であり、nは20〜40の正の整数であり、Qは水素又はメチルである式IVの一つ以上の化合物を含み、一つ以上の式IVの化合物は、潤滑液に対して、2〜50ppmのケイ素を送達することが可能な量で存在している。
【0040】
詳細な説明
本発明の実施例及び特定の比較例を、以下に挙げる。全ての実施例は、低粘度グループIII鉱物基油を用いて、消泡性能を試験した。しかしながら、他の低粘度基油は、グループI、II、及びIVの基油を含んで仕用されている可能性がある。
【実施例】
【0041】
全ての実施例、実施例1〜4は、典型的なオートマチックトランスミッション液の構成
要素、例えば、分散剤、清浄剤、摩擦調製剤、酸化防止剤などを用いて、同一の添加剤パッケージを含む、完成したオートマチックトランスミッション液である。全ての例は、同じ基準在高、即ち、100℃で4.5cStの動粘度を有するグループIIIの鉱油と同様の処理率でブレンドされた。実施例中の本質的な違いは、消泡添加剤の選択であった。使用された様々な消泡添加剤は、以下でより完全に記載され、いわゆるヒドロシリル化付加反応を含む、公知の方法により、典型的に調製される。例えば、直接ケイ素原子に結合した水素原子を有する、メチルハイドロジェンポリシロキサンは、白金触媒の触媒量の存在下で、分子鎖末端で、ビニル又はアリル基を有する、ポリオキシアルキレン化合物とのヒドロシリル化反応へ供される。比較例2は、無置換の市販のポリジメチルシロキサンである。
【0042】
実施例1
実施例1は、グラフトポリオキシアルキレン鎖、消泡剤Aを含む、ポリジメチルシロキサンの基幹から成る、高分子非イオンシリコーン界面活性剤を含有していた。消泡剤Aを、完成した潤滑剤実施例1において、5ppm(消泡剤Aの固体に基づいて80ppm)のケイ素を用いて処理した。実施例1及び全ての他の実施例において、ケイ素含有量を得るために、誘導結合プラズマ質量分析(ICP)を用いた。消泡剤Aを表1、式IV中に表し、その中で、変数xは176.5であり、yは15.8である。変数mは4.4であり、nは28.6である。分子量(Mw)は44,078である。
【0043】
消泡剤AのMwは、GPC分析を用いて以下に説明するように計算した。この分子量は、表1の式IV中のx、y、m及びnの値を明らかにするために、13CNMRデータと共に用いた。12.5ppmでのピークの積分は、PDMS骨格に結合したポリオキシアルキレン側鎖のメチレンを表し、1の値が割り当てられた。全ての他の13CNMR領域は、それに応じて標準化した。13CNMR化学シフトスケールは、CDClσc=77.0ppmを参照した。
【0044】
PDMSメチルへ割り当てられた、−2〜2ppmのピークの積分は、PDMS骨格中の炭素の合計数を決定するために使用した。我々は、この積分はy単位のメチル基を含んでいたことを知っているため、x単位及び、二つの末端シリコン末端基からのそれらの炭素を表す新たな積算値を提供するために、我々は、12.5ppmにおけるピークの積分を取り、−2〜2ppmの総積分値から減算する。全てのxの反復単位は、二つのメチル基を有するため、新たな積分値を、更に2で割った。更に、末端基の炭素数は、−2〜2ppmの積分値に対して僅かな値であるため、−2〜2ppmの積分地へのそれらの寄与は無視した。これらの計算を実行した後、xの反復単位からの炭素を表すこの積分値は、12.5ppmでの正規化した値と比較することが可能であり、反復単位x及び反復単位yからの炭素の比率を計算することができる。消泡剤Aについての、yに対するxの比は、11.2〜1であった。
【0045】
x及びyの反復単位の実際の数を計算するために、m及びnの値を決定する必要がある。プロピレンオキシドのメチル基の炭素数を表す、15.5〜17.1ppmのピークの積分は、ポリオキシアルキレン鎖内のプロピレンオキシド反復単位のnの値をもたらす。消泡剤Aについて、nは28.6である。69〜75ppmのピークの積分は、PEO及び、メチン及び、PPOのメチレン炭素に関連付けられている二つのメチレン炭素を表す。ピークの重複のために、EOの量を、69〜75ppmのピークの全体的な積分値から、15.5〜17.1ppm(メチン及びメチレンPPO統合に代替する)での、メチルPPO炭素の二倍の積分を減算することにより、決定する。消泡剤Aについてのm値は、4.4である。
【0046】
M及びnの値が決定されると、反復単位yの分子量を算出することができる。消泡剤A
の場合において、yの反復単位の分子量は、1,958g/molであった。x反復単位の分子量は、74g/molであった。消泡剤A(OSi(CH)の一端は、89g/molの分子量を有し、消泡剤A(OSi(CH)の反対側の端部は、78g/molの分子量を有する。反復単位x及びyのモル比を知ると、反復単位x及びyの分子量及び消泡剤Aの総分子量は、GPCにより決定され、x及びy反復単位の絶対数を計算することができる。例えば、消泡剤Aの総分子量は、エンドキャップの43,911g/mol(44,078−89−78=43,911)を取り除いて、44,078g/molである。
【数1】
【0047】
Xを求めると、我々は15.8を得る。15.8は、y反復単位の数を表し、11.2(15.8)は、x反復単位の数(17.65)を得る。
【0048】
実施例2
実施例2は、消泡剤Aの処理率が、(固形分基準で消泡剤Aの160ppm)及び潤滑剤組成物中の12ppmのケイ素まで増加したことを除き、実施例1と同一である。
【0049】
比較例1
比較例1は、完成したオートマトランスミッション液中、ケイ素の固体ベースで、12ppm〜485ppmで処理した、Emerald Performance Materials社から入手可能な、市販の消泡添加剤MASIL P280を含んでいた。MASIL P280は、グラフトポリオキシアルキレン親水性物質とポリジメチルシロキサン骨格から成る、高分子非イオン性シリコーン系界面活性剤として、メーカーによって記述されている。分子量及び、x、y、m及びnについての値を、実施例1について上述したように決定し、結果を表1に示す。
【0050】
比較例2
比較例2は、Dow Corning社から入手可能な、市販の消泡添加剤DOW CORNING 200 FLUID 60,000 cStを含んでいた。純粋な消泡剤を、使用前に灯油中4%固形分まで希釈した。希釈された消泡剤は、完成したオートマチックトランスミッション液中、10ppm(固体基準で20ppm)のケイ素において処理する。DOW CORNING 200 FLUID 60,000 cStは、非官能化ポリジメチルシロキサンである。分子量を上述のように決定し、xの値を分子量に基づいて計算した。y、m及びnは、それが非官能化ポリジメチルシロキサンであるため、比較例2においては存在しない。
【0051】
比較例3
比較例3は、MASILP280を、完成したオートマチックトランスミッション液中、4ppm(固体基準で160ppm)のケイ素で処理することを除き、比較例1と同一である。
【0052】
比較例4
比較例4は、DOW CORNING 200 FLUID 60,000 cStを、完成したオートマチックトランスミッション液中、80ppm(固体基準で160ppm)のケイ素で処理することを除き、実施例2と同一である。
【0053】
消泡添加剤の分子量及び、数平均分子量の計算
様々な消泡添加剤の分子量及び数平均分子量を、キャリブレーションのために、例えば
、PSS(ポリマースタンダードサービス)ReadyCal−Kitポリスチレンなどの、ポリスチレンスタンダードを用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を使用して確認した。サンプル及びスタンダードは、テトロヒドロフラン中、0.1〜0.5%(w/v)で調製した。そのマトリックスが、高架橋ポリスチレン/ジビニルベンゼンであるカラムセットを、屈折率(RI)検出器とともに用い、サンプルをTHFで溶出した。プロスチレン(PS)スタンダードのための推奨された分子量の標準曲線の範囲は、約500〜377,000である。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)又は、高性能ゲル透過クロマトグラフィー(HPGPC)システムを使用した。それぞれのシステムは、一定流量(公称1mL/分)が可能な高性能ポンプ、インジェクター又はオートサンプラー、一定の温度を維持するためのカラムヒーター、GPCカラムセット(一連のカラム:選択された混床又は各種細孔径カラムは、目的とする分子範囲に渡って分離を提供する)、示差屈折率検出器及び、データ収集及び処理のためのクロマトグラフィースフトウェアパッケージを使用する。紫外線検出器などの代替の検出器の使用はまた、システムに含まれる。溶媒脱気装置はまた、ベースラインを改善するために接続することができる。使用したカラムは、Varian Mixed C 300×7.8mm(シリーズ中、少なくとも2)又は同等であった。装置条件は、流速:1.0mL/分;*検出器:254nmでのRI(屈折率)UV吸光度(任意);注入量:100μL;実行時間:30分(三つのカラムを使用する場合)カラムごとに15分;移動相:THF非安定化;カラム:Varian(現Agilent)PLゲル5μmMixed−C、300×7.5mm(シリーズ中少なくとも2)又は同等;カラムストレージ:THF、安定化(長期);カラムヒーター:約40℃。クロマトグラフィーシステムは、任意のサンプル又はスタンダードを実行する前に、完全に平衡化しなければならない。校正標準は、サンプルが実行される度に実行される必要がある。標準は、10〜12サンプル以上が同じ順序で実行されている場合、標準は、サンプルの前及び後、並びに、サンプルの間で実行する。クロマトグラフィーデータは、Waters Empower SystemなどのGPCデータを算出することが可能な、クロマトグラフシステムを用いて、取得及び処理する。
【数2】
【0054】
上記の式において、「RT」は保持時間であり、D0、D1、D2、D3、D4は、指数である。結果は、最も近い整数への質量平均分子量(Mw)、及び、最も近い整数への数平均分子量(Mn)として報告する。
【0055】
試験
全ての実施例は、ASTM試験手順ASTM D892 D892(シーケンスIII)を特徴とする、従来の消泡試験方法を用いて、消泡安定性について試験した。実施例は、周囲の室温及び圧力にて、実施例を二週間エイジングした後に、同じシーケンスIII手順を使用して、再び試験した。実施例はまた、乱されない、即ち、二週間に渡って全く混合も、揺らしもしなかった。
【0056】
【表1】
上の表1は、実施例1において、最適化された消泡剤Aを使用することの利点を実証する。消泡剤Aは、ポリプロピレンオキシドに対する、ポリエチレンオキシドの固有比率(m/n=4.4/28.6)を有する、グラフトポリアルキレン側鎖官能性を含む。鎖当たりの〜2000g/molの算出した分子量を含む、これらの主なPPO重ポリアルキレン側鎖は、低粘度油システムにおいて、最適な分散性、溶解性及び全体的な安全性を提供する(1:11.2のグラフト密度(#グラフト側鎖(y単位)):#ジメチルシロキサン反復単位(x単位)において表1中の結果は、全て4.5cStで行った)。消泡剤Aは、低粘度で溶液中によく分散した状態及び、安定した状態の両方を保つために必要な物理的/化学的性質を所有しているだけではなく、ASTM D892起泡力試験で観察された低発泡傾向によって示されるように、それはまた、優れた消泡性能を提供する。表1に示すように、消泡剤Aを含む実施例1は、消泡性能の望ましいレベルである、楽々と50mL(30)下回るシーケンスIIIのmL単位での発泡結果を有する。例えば、GMのDEXRON−VIは、全てのDEXON−VI配合物は、それらの仕様を満たすために、ASTMD892シーケンスIからIIIを通して、≦50mL泡の消泡結果を示さなければならないことを明示している。比較例1を参照すると、同等の分子量(消泡剤A中、48,870g/mol対44,078g/mol)、高いグラフト密度(#グラフト側鎖(y単位)#ジメチルシロキサン反復単位(x単位)の)消泡剤Aについて、1:9.4対1:11.2)、及び、高分子量ポリアルキレン側鎖(消泡剤Aについて〜3000g/mol対〜2000g/mol)にもかかわらず、消泡剤Aよりも高い処理レベルにおいてさえ、MASIL P280消泡剤は、ASTM D892の泡性能に及ばない。ポリプロピレンオキシドに対するポリエチレンオキシドの比(m/n=19/33)が高く、特性における親水性よりも得られた消泡性をレンダリングするため、上述の全ての利点(即ち、PDMS骨格当たりの高いグラフト側鎖、より高いMw側鎖、より高い処理率)を有しているにもかかわらず、MASIL P280は、疎水性(油性)、低粘度の環境において、分散性、可溶性及び安定性を維持するのに苦労する。比較例1におけるMASIL P280の貧弱な消泡性能は、ASTM D892試験のシーケンスIIIで観察された、大きな発泡傾向において見ることができる。同様に、比較例2において、動粘度>8cStを有し、システムにおいて消泡剤の選択肢として何十年も使用されてきた純粋なPDMSは、特にシーケンスIIIにおいて、極めて貧弱なASTM D892消泡性能を示した。効果的な消泡添加剤としての長い歴史にもかかわらず、低粘度油性システムにおけるPDMS単独の消泡性能は、大幅に低下する。融和性、溶解性、分散性を向上させるための、ポリプロピレンオキシドに対するポリエチレンオキシドの固有の比を有するポリアルキレン側鎖機能性の不存在のために、比較例2においてPDMSから示
された消泡性の欠如は、予期されていない。高粘度油系システム(>6.0cSt)において、それらの環境との貧弱な融和性及び溶解性を有する消泡剤は、もっぱら消泡密度及び油粘性取引(ストークスの法則)から補助されて比較的よく分散されたまま維持することが可能である。しかしながら、粘度が低下するため(<0.6cSt)、側鎖を含まない(比較例2におけるPDMS)又はその側鎖機能が、非極性、低粘度環境と注意深く一致していない(即ち、比較例1のMASIL P280において最適のm/n)消泡剤は、油システムから沈殿する可能性があり、効果的な消泡剤としての機能を停止する可能性がある。
【0057】
実施例2及び比較例3及び4は、実施例1及び比較例1及び2とそれぞれ同じ消泡剤を使用する。しかしながら、各消泡剤の処理率は、トランスミッション液中の固形分基準で、160ppmまで正規化されている。消泡性能は、トランスミッション液中の消泡剤の新鮮なブレンドを使用して、ASTM D892 シーケンスIII起泡試験において、一貫していた。また、実施例2の消泡剤Aは、MASIL P280及びPDMSの両方よりも優れていた。更に、これらのサンプルを2週間エイジングし、再びシーケンスIII試験において試験し、一方、全ての液体は、消泡性能の低下に見舞われていた。実施例2は、シーケンスIII試験において、50mLをよく下回る発泡傾向レベルを維持することができ、一方、比較例3及び4は、50mLを上回る発泡傾向レベルを示し、これは、消泡剤Aは、最初の発泡性能において良くなかっただけではなく、他の市販の選択肢よりもより耐久性でもあったことを示唆している。
【0058】
本発明の他の実施形態は、明細書の考慮及び、本明細書に開示した本発明の実施から、当業者には明らかであろう。明細書及び特許請求の範囲を通して使用されるように、「a」及び/又は「an」は、一つ又は一つ以上を指す。特に断らない限り、明細書及び特許請求の範囲において使用される、成分の量を表す全ての数、例えば、分子量、パーセント、比率、反応条件などの特性は、用語「約」により全ての場合において修飾されているように理解されるべきである。何はともあれ、特許請求の範囲に均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字に照らして、通常の四捨五入の方法を適用することによって解釈されるべきである。本発明の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータが近似値であることにもかかわらず、特定の実施例に記載された数値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、任意の数値は、必然的にそれぞれの試験測定に見られる標準偏差から生じる特定の誤差を含む。明細書及び実施例は、特許請求の範囲によって示される本発明の真の範囲及び精神を用いて、単なる例示として考えられることを意図している。