(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
計測が行われる計測モードとキャリブレーションが行われるキャリブレーションモードの間での当該計測装置(2)の切換のために前記制御装置(80)が形成され、かつ、設けられていることを特徴とする請求項1記載の計測装置。
前記制御装置(80)が記憶装置(86)を備えており、該記憶装置内には、キャリブレーション過程中に得られるキャリブレーションデータがメモリされており、前記記憶装置(86)は、計測過程中に得られる計測データの解析時にキャリブレーションデータを解析 するために、解析装置(82)にデータ伝達可能に接続されているか、又は接続可能であることを特徴とする請求項1又は2記載の計測装置。
前記計測装置が、前記制御装置によって、計測が行われる計測モードからキャリブレーションが行われるキャリブレーションモードへ切り換えられることを特徴とする請求項7記載の方法。
キャリブレーション過程中に得られるキャリブレーションデータが前記制御装置の記憶装置内にメモリされ、前記記憶装置が、データ伝達可能に解析装置に接続され、キャリブレーションデータが、計測過程中に得られる計測データの解析時に使用されることを特徴とする請求項7又は8記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的とするところは、計測精度及び信頼性を向上させた、請求項1の前提部分に記載された種類の計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、請求項1に記載された発明によって達成される。
【0008】
公知の計測装置においては、例えばクランクピンである試験片の計測ヘッドに対する相対回転中に測定値が記録され、この計測値に基づき、部材輪郭が計算によって再構成される。この再構成は、特許文献6において公知のように、反復法によって行われる。しかし、この再構築を特許文献5において公知のように、フーリエ解析に基づいて行ってもよい。それぞれ応用される再構築手法にかかわらず、計測装置の幾何形状的な関係は、例えば及び特に、計測ヘッドの計測用プリズム及び試験片に対する計測ヘッドの配置に関して再構築へ帰することになる。公知の計測装置あるいはこのような計測装置の動作のための公知の方法においては、計測装置の幾何形状的な関係は、使用される部材の公差の正確性によって与えられているものとみなされる。
【0009】
本発明は、実際の幾何形状的な関係の想定される幾何形状的な関係との差異は、計測装置の計測精度に大きく影響するという認識に基づいている。これにより、本発明は、部材の公差及び計測装置の部材の摩耗により生じ得る幾何形状的な関係のこのような差異を解析時あるいは再構成時に考慮するという考えに基づいている。
【0010】
これについて、本発明は、制御装置が、計測装置がキャリブレーションモードにおいてキャリブレーションされるよう形成され、かつ、設けられていることを特徴としている。本発明によれば、計測装置の幾何形状的な関係は、もはや与えられているものとはみなされず、実際の幾何形状的な関係は、解析時あるいは部材輪郭の再構成時における計測装置のキャリブレーションによって考慮されるものとなっている。想定される幾何形状的な関係の実際の幾何形状的な関係との差異が計測精度に大きな影響を与え、計測誤差を生じさせるものとなるため、本発明においては、本発明による計測装置の計測精度が向上している。
【0011】
本発明により行われるキャリブレーションは、部材の公差に起因する計測装置の所望の幾何形状との差異のみではなく、摩耗によって生じる差異も考慮に入れられる。したがって、このことは、このような計測装置においては例えば計測ヘッドの計測用プリズムが中立位置から計測位置へ大きな力によって試験片上に載置され、摩耗があらかじめプログラムされているため、特に大きな意味を持つ。計測ヘッドを本体部に結合する連接棒の、摩耗により変化した運動により生じる所望の幾何形状との差異も本発明によるキャリブレーションによって把握されるとともに、これにより計測精度がもはや損なわれることがない。このキャリブレーションは、本発明により、あらかじめ設定された所定の時間的な間隔又はあらかじめ設定された所定の数の試験片の計測の後に行われる。しかしながら、本発明によれば、キャリブレーションを必要な場合にのみ行うか、又は各計測の前若しくは後に行うことも可能である。
【0012】
本発明の好ましい実施形態は、計測が行われる計測モードとキャリブレーションが行われるキャリブレーションモードの間での当該計測装置の切換のために前記制御装置が形成され、かつ、設けられていることを特徴としている。このとき、計測モードとキャリブレーションモードの間の切換は、例えば操作者によって作動されて半自動的に行われるか、又は例えば試験片の加工の前に全自動で行われる。
【0013】
本発明による特に好ましい実施形態は、前記計測ヘッドが、開口角度α(第1の角度)及び対称軸を有する計測用プリズムを備えていること、前記計測探触子の前記線形の軸の向きが、前記計測用プリズムの前記対称軸に対して第2の角度βをなしていること、及びキャリブレーションが、前記第1の角度α及び/又は前記第2の角度βに関して行われることを特徴としている。摩耗によっても生じる幾何形状的な差異のような部材の公差を第1の角度及び第2の角度に関するキャリブレーションによって把握することができるため、第1の角度及び/又は第2の角度に関する計測装置のキャリブレーションによって、計測装置の想定された幾何形状的な関係の実際の幾何形状的な関係との差異によって生じる計測誤差のリスクを低減することができる。摩耗に起因するプリズムの開口角度の変化が中心を占める場合には、本発明により、第1の角度αに関するキャリブレーションを行うのみで十分である。これに対して、部材の公差又は摩耗による、計測ヘッドを本体部に結合する連接棒の運動の変化が中心を占める場合には、本発明による、角度βに関するキャリブレーションのみで十分である。しかしながら、第1の角度α及び第2の角度βに関してキャリブレーションを行うのが理想的である。
【0014】
本発明の他の実施形態は、前記制御装置が記憶装置を備えており、該記憶装置内には、キャリブレーション過程中に得られるキャリブレーションデータがメモリされており、前記記憶装置は、計測過程中に得られる計測データの解析時にキャリブレーションデータを考慮するために、解析装置にデータ伝達可能に接続されているか、又は接続可能であることを特徴としている。この実施形態においては、キャリブレーション時に得られるキャリブレーションデータが記憶装置にメモリされるため、このキャリブレーションデータを、特に直径及び真円度に関する計測の解析時及びこれに関連した部材輪郭の再構成時に利用することが可能である。
【0015】
このとき、真円度基準は、本発明に基づき、特に第1の角度α及び第2の角度βに関するキャリブレーションが実行され得るように変更され得る。このために、本発明の好ましい実施形態は、キャリブレーションが、周方向における少なくとも1つの箇所において所定の変形部を有する平坦部を備えた円筒の使用下で行われることを特徴としている。
【0016】
特に簡易なキャリブレーションは、本発明の他の好ましい実施形態においてなされるように、精密円筒の使用下で行われる場合に得られる。精密円筒は(その円形輪郭について可能な限り理想的な)円筒で構成されており、この円筒は、周方向における1つの箇所において所定の変形部を有する平坦部を備えている。
【0017】
本発明による、加工機械、特に研削盤での加工工程中における試験片についてのインプロセス計測のための計測装置の動作のための方法は、請求項
7に記載されている。本発明による方法においては、前記計測装置が、前記制御装置によってキャリブレーションモードへ移行されるとともにキャリブレーションされるようになっている。これにより、本発明による計測装置におけるものと同様の利点が得られる。これは、請求項
7〜
12に記載された、本発明による方法の好ましく、かつ、目的に沿った形態においても同様にあてはまる。また、本発明による方法は、特に請求項1〜
6のいずれかに記載の計測装置の動作に寄与するものである。
【0018】
本発明は、以下において、非常に簡略化した添付の図面に基づいて詳細に説明され、これら図面には、本発明による計測装置の実施例が示されている。ここで、記載され、図に示され、請求項において請求される全ての特徴は、請求項におけるまとめ及びその引用関係並びに図面における記載及び図示にかかわらず、個々に、及び互いに組み合わせられて本発明の対象を形成している。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、計測精度及び信頼性を向上させた計測装置を提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0022】
図1には本発明による計測装置2の一実施例が示されており、この計測装置2は、研削盤4における加工工程中における試験片についてのインプロセス計測を行うためのものである。簡易化の観点から単に部分的にのみ示された研削盤4は機械に固定された回転軸6周りに回転可能な研削ディスク8を備えており、この研削ディスクは、本実施例においてはクランクシャフトのクランクピン10によって形成された試験片の加工をするためのものとなっている。
【0023】
計測装置2は計測ヘッド12を備えており、この計測ヘッドは、連接棒14を介して、第1の旋回軸16周りに旋回可能に計測装置2の本体部18に結合されている。
【0024】
計測装置2は、計測位置へ計測ヘッド12を内側に旋回させ、及び計測位置から計測ヘッド12を外側へ旋回させる手段を更に備えている。なお、この手段については、後述する。
【0025】
まず、
図2Aに基づいて連接棒14の構造について説明する。
図2A〜
図2Eでは、見易さの観点から計測ヘッド12の、計測位置へ計測ヘッド12を内側に旋回させ、及び計測位置から計測ヘッド12を外側へ旋回させる手段は省略されている。連接棒14は、第1の連接棒要素20及び第2の連接棒要素22を備えており、これら連接棒要素は、第1の旋回軸16周りに旋回可能に配置されている。第1の旋回軸16とは反対側における第2の連接棒要素22の端部には第2の旋回軸24周りに旋回可能な第3の連接棒要素26が結合されており、この第3の連接棒要素における第2の旋回軸24とは反対側の端部には、第3の旋回軸28周りに旋回可能な第4の連接棒要素が結合されている。この第4の連接棒要素は、第3の旋回軸28から離間して第4の旋回軸周りに旋回可能に第1の連接棒要素20に結合されている。
【0026】
図示の実施例においては、第1の連接棒要素20及び第3の連接棒要素26が互いに非平行に配置されており、第1の旋回軸16と第2の旋回軸24の間の間隔が第3の旋回軸28と第4の旋回軸32の間の間隔よりも小さくなっている。
【0027】
図示の実施例においては、レバーアーム34が連接棒22と共に双腕式の折曲レバーを形成するよう、第2の連接棒要素22がレバーアーム34を備えている。なお、折曲レバーの機能については後述する。
【0028】
本実施例において、計測ヘッド12は保持アーム35に配置されており、この保持アーム35は、第4の旋回軸32を超えて延在する第4の連接棒要素30に結合されている。図示の実施例においては、保持アーム35と第4の連接棒要素30の間の結合が不動に構成されている。
図2Aに示すように、図示の実施例においては、保持アーム35における計測ヘッド12を保持する自由端が第1の旋回軸16へ向けて曲げられており、第4の連接棒要素30に結合された保持アーム35の一部が、第4の連接棒要素30と共に90°より大きな角度を形成している。
【0029】
図示の実施例においては、計測ヘッド12が線状の軸に沿って線形に振出可能な計測探触子36を備えており、この計測探触子は、
図2Aにおいて破線で示唆されている。図示の実施例において、計測ヘッド12は、更に計測用プリズム38を備えている。線形に振出可能な計測探触子36及び計測用プリズム38から成る装置を用いてどのように試験片である特にクランクシャフトのクランクピン又は他の円筒状の部材について真円度計測及び/又は寸法計測を行うかは、当業者にとって一般に知られているため、ここでは詳細に説明しない。
【0030】
計測装置2は、計測ヘッド12を中立位置から計測位置へ移動させる手段を備えており、この手段は、本実施例においては、連接棒14に係合するとともに
図1に基づいて詳細に説明した、計測ヘッド12の内側への旋回及び外側への旋回のための手段を備えている。図示の実施例においては、計測ヘッド12の内側への旋回及び外側への旋回のための手段は、内方旋回装置40及び分離された外方旋回装置42を備えている。
【0031】
図示の実施例においては、内方旋回装置40がばね手段を備えており、このばね手段は、本実施例においては圧縮ばねとして形成されたばね44を備えている。このばねは、連接棒14を介して、
図1において矢印46で示された内側への旋回方向へ計測ヘッド12へ負荷を与えるものである。本実施例において、ばね44は、圧縮ばねとして形成されているとともに、その一端において計測装置2の本体部18で支持され、他端においてレバーアーム34で支持されている。したがって、ばね44は、
図1におけるレバーアーム34を反時計回りに、すなわち内方への旋回方向46において連接棒14によって計測ヘッド12に負荷を与え、これを移動させようとするものである。
【0032】
本実施例において、外方旋回装置42は油圧シリンダ48を備えており、この油圧シリンダのピストンは、その一自由端において計測装置2の本体部18に結合されている。本実施例においてはトグルレバーとして形成されたレバー装置42が油圧シリンダ48のピストン50に結合されており、このレバー装置におけるピストンロッド50とは反対側の端部は、第1の旋回軸16に対して離心して単腕式のレバー54に結合されている。なお、このレバーは、旋回軸16に対して同軸に支持されている。このレバー54は、その一自由端において、紙面に対して入り込むように延在するピン56を備えており、このピンは、第1の連接棒要素20に対して軽く負荷を与えるものとなっている。したがって、レバー54は、図面において時計回りに相当する外側への旋回方向において移動する際に、第1の連接棒要素20のための連行部材として機能する。
【0033】
計測ヘッド12の各位置を検出するために複数のセンサ手段が設けられており、これらセンサ手段は、内方旋回装置40及び外方旋回装置42の制御のための制御手段に作用結合されている。
【0034】
計測過程中に計測探触子36によって記録された計測値の解析は、解析装置によって行われる。適当な計測値がどのように解析されるかは、当業者にとって一般に知られているため、ここでは詳細に説明しない。
【0035】
本発明による計測装置2の機能は、計測モードにおいて以下のとおりである。
【0036】
図1及び
図2Aに示された中立位置では、計測装置12はクランクピン10から係合解除されている。この中立位置においては、油圧シリンダ49が非動作の状態にあり、ばね44に作用しようとする
図1において反時計回りのレバーアーム34の移動がロックされている。
【0037】
内側への旋回方向46へ計測ヘッド12を内側へ旋回させるために、ピストンロッド50が
図1において右方へ移動するよう油圧シリンダ48が操作される。ピストンロッド50の移動時には、ばね44がレバーアーム34を押圧し、
図2におけるレバーアーム34が反時計回りに旋回される。レバーアーム34が相対回転不能に第2の連接棒要素22に結合されているため、ここでは、第2の連接棒要素22及びこれに伴う連接棒14全体が
図2において反時計回りに旋回される。
【0038】
図2Bには、中立位置と計測位置の間の位置における計測ヘッド12が示されている。
【0039】
図2Cに示されたあらかじめ設定された角度位置に到達すると、レバーアーム34がストッパ57へ至る。このとき、レバーアーム34のストッパ57への当接すると、これにより油圧シリンダ48が非作動状態となる。
図2Cにおいては、計測ヘッド12は、これがまだクランクピン10に接触しない探査位置にある。
【0040】
図2Dには、計測ヘッドがクランクピン10に接触する計測位置における計測ヘッド12が示されている。
【0041】
図2Eは
図2Cに対応し、計測ヘッド12は、その探査位置において、クランクピン10’に対してより大きな径で示されている。
【0042】
図3には計測ヘッド12の短載置における計測装置2が示されており、この探査位置は、
図2Cにも示されている。
図1と
図3を比べるとわかるように、レバー54は、
図1における油圧シリンダ48のピストンロッド50の動出時にレバー装置42を用いて、レバー54の
図3に示す角度位置に到達するまで半時計周りに旋回される。
図3に示すように、この角度位置において、ピン56は、第1の旋回軸16の周方向において第1の連接棒要素20に対して離間している。そのため、第1の連接棒要素20及びこれに伴う連接棒14全体は、保持アーム35を含む計測ヘッド12の重力及びばね44によって作用する押圧力の作用下で自由に移動可能となっている。計測位置(
図2D参照)においては計測ヘッド12がクランクピン10に当接しており、計測ヘッドは、研削過程中におけるクランクピン10のクランクシャフト周りの周回運動に追従する。これに対して、計測装置2の本体部18は、変位しないよう研削ディスク8のホルダに結合されている。そのため、計測装置2は、回転軸6の径方向における研削ディスク8の直線運動に追従する。
【0043】
計測ヘッド12のクランクピン10への接触中には、計測探触子36が計測値を記録し、この計測値に基づいて、計測探触子36に後続配置された解析コンピュータにおいてクランク便の真円度及び/又は直径が判断され得るようになっている。例えば、直径の所定の値が達成されると、研削ディスク8のクランクピン10との係合が解除される。
【0044】
計測の終了後に計測ヘッド12を内側への旋回方向46とは反対に外側へ旋回するために、制御装置は、
図3におけるピストンロッド50が左方へ移動するよう油圧ピストン48を制御する。このとき、レバー54は、
図3におけるレバー装置42を用いてと径方向へ旋回される。ローラ56が第1の旋回軸16の周方向へ第1の連接棒要素20に対して離間している限り、計測ヘッド12は、当面計測位置に維持される。ローラ56が
図3におけるレバー54の旋回軸16周りの時計回りである更なる旋回時に第1の連接棒20へ当接すると、レバー54は、時計回りへの更なる旋回時に連行部材として機能するとともに、第1の連接棒要素20及びこれに伴う連接棒14全体を時計回りに連行する。したがって、計測ヘッドは、
図1に示す中立位置へ至るまで、内側への旋回方向46とは反対に外側へ旋回される。
【0045】
計測過程中に、計測ヘッドは、クランクピン10の周方向において、図示の実施例においては−7°〜+5°すなわち12°である角度ストロークをもって移動する。
【0046】
以下に、どのように本発明による計測装置がキャリブレーションモードにおいて本発明による方法を用いて動作され、これによりキャリブレーションされるかを図
面に基づいて詳細に説明する。
【0047】
図4には本発明による計測装置2のブロック回路状の構成要素が示されており、これら構成要素は、キャリブレーション時に使用されるものである。
【0048】
本発明による計測装置2は制御装置80を備えており、この制御装置は、計測装置2が計測過程を実行可能な計測モードとキャリブレーションを行うことが可能なキャリブレーションモードの間で切り換えられるよう形成されているとともに設けられている。さらに、制御装置80は、計測装置がキャリブレーションモードにおいてキャリブレーション可能であるよう形成されているとともに設けられている。
【0049】
計測過程中には、計測探触子は連続して計測値を記録し、この計測値は、解析装置82へ供給される。この解析装置は、計測値に基づき、試験片の形状を再構成する。この再構成は、特に特許文献6に基づく反復法を用いて行うことができる。しかし、特許文献5に基づくフーリエ解析によっても再構築可能である。
【0050】
計測装置2を本発明に基づきキャリブレーションするために、制御装置80は、計測装置2を計測モードからキャリブレーションモードへと切り換える。キャリブレーションモードにおいては、図示の実施例では精密円筒を用いて計測装置2のキャリブレーションが行われる。なお、これについては
図5を参照して後述する。キャリブレーションモードにおいては、まず、精密円筒が、回転駆動部84に割り当てて設けられた適当な締付装置によって締め付けられる。そのため、精密円筒は、計測ヘッド12に対して相対的に回転可能となっている。
【0051】
さらに、計測ヘッド12が内側へ旋回され、計測用プリズム38及び計測探触子36が精密円筒に接触するよう、制御装置80が内方旋回装置40を制御する。これにつづいて、精密円筒が計測探触子36に対して相対的に回転するよう、制御装置80が精密円筒の回転駆動部84を制御する。
【0052】
精密円筒の計測探触子36に対する回転中に、この計測探触子36は、精密円筒を探触する。このとき得られる計測値がキャリブレーションデータを形成し、このキャリブレーションデータに基づき、後述のように計測装置のキャリブレーションが実行される。キャリブレーションデータは制御装置80の記憶装置86にメモリされ、この記憶装置は、解析装置82とデータ交換可能に接続されている。キャリブレーションデータの取得後、制御装置80は、計測装置2を計測モードへ復帰するよう切り換える。これについて、計測ヘッド12を計測位置から中立位置へ復帰させるように移動する外方旋回装置42が制御される。そのほか、回転駆動部84は非動作状態にされるため、精密円筒は、締付解除され、計測過程の実行のために、試験片において当該試験片が緊張され得る。
【0053】
解析装置82において使用可能なキャリブレーションデータは、後続の計測過程において計測装置のキャリブレーションのために考慮に入れられる。計測装置2のキャリブレーションは、必要であれば、及び/又はあらかじめ設定した所定の計測過程回数後に、及び/又は計測装置2のあらかじめ定めた所定の動作時間後に行われ得る。
【0054】
以下に、キャリブレーションについて
図5に基づき説明する。
【0055】
図5には、非常に簡略化された計測用プリズム38が精密円筒88と共に示されている。
【0056】
精密円筒88は、当業者に一般に知られているように、その輪郭の円形状について理想的な円筒であって、外周部90において所定の変形部(深さ)Ptを有する平坦部を有するものである。
図5は、計測用プリズム38が精密円筒88に当接する場合に生じる幾何学的な関係を明確にするためのものであり、この
図5における計測探触子36の線形の軸は、符号92で示されている。
【0057】
図5には、計測用プリズム38の開口角度α(第1の角度)が示されている。さらに、精密円筒88が2つの接触点94,96において計測用プリズム38に接触している一方、計測探触子36は、精密円筒88の周方向においてその間に位置する接触点において精密円筒88に接触している。計測用プリズム38の対称軸は、
図5において、破線100によって示されているとともに、後述の考察のために、右手式のデカルト座標系のy軸を形成している。計測探触子36の線形の軸は、角度β(第2の角度)で前記座標系のx軸に対して延びている。結果的に、
図5に示された状況においては、精密円筒88と計測装置2の間に3つの接触点94,96,98が生じることになる。
【0058】
部材輪郭は、後述の考察のために、部材座標系において極座標φ及びR(φ)によって記載されている。計測探触子36は、計測用プリズム38における部材の回転角度φに依存して間隔A(φ)を検出する。これに対応して、特徴的な離間関数(計測探触子36の振出)A(φ)に対する真円度の差が得られる。そして、角度に依存した部材輪郭R(φ)と離間関数A(φ)の間の以下の関係が数学的に得られる。
【0059】
【数1】
ここで、αは第1の角度、βは第2の角度、φは部材の回転角度、R(φ)は回転角度に依存した部材(部材輪郭)の半径、A(φ)は離間関数である。
【0060】
計測モードにおいて、解析装置82において行われた解析あるいは再構成の目的は、部材輪郭R(φ)を離間関数A(φ)から計算によって再構成することにある。公知の再構築方法においては、再構築のために角度α及びβが分かっている必要がある点で共通している。実際の角度α及びβの想定されたこれらの角度の値との差により、計測誤差が生じてしまい、この計測誤差は、本発明により行われるキャリブレーションにより回避される。
【0061】
精密円筒88が、その輪郭が円形状に画成された範囲において半径R
0を有していれば、最も小さな半径は、R
0−Ptであり、角度φ
0で生じる。ここで、精密円筒の平坦部は、常に計測装置2のみと接触点を有していることが前提となっている。しかしながら、このことは、平坦部90を適当に寸法設定することで容易に保障することが可能である。
【0062】
精密円筒が360°回転されると、
図6に示す関数変化が生じる。上記方程式に基づく変換規則は、
図6におけるピークが同様の形状を有するものの異なる増幅を有することを保障するものである。明らかとなっていない角度は、局所的な極限が同定されるか、又はフーリエ変換を用いて離間関数の積分解析を行うことで算出され得る。
【0063】
フーリエ変換により、離間関数の積分解析は以下のように行われることができる。
【0064】
上述のように、計測は、精密円筒の使用の下で行われる。この計測関数の結果は、離間関数A(φ)である。このことから、離間関数の中央値が算出され得るとともに、非周期的な関数ΔA(φ)が算出され得る。この非周期的な関数は、数学的に3つの部分関数に分解され、各部分関数は、各接触点に対する相対運動の経過を表している。
【0065】
そして、これら3つの部分関数はフーリエ変換されることが可能であり、フーリエ変換された3つの部分関数が生じる。このことから、右側のプリズム接触と左側のプリズム接触を表す両離間関数が、複雑に結合されつつフーリエ変換されたまさに探触子との接触を表す離間関数と乗算されることで、形状偏差ΔR(φ)及び計測が開始される角度φ
0が消去される。結果は複数の線形位相の関数であり、これら関数の位相周期は、明らかとなっていない角度α及びβのみを含んでいる。また、位相周期は位相スペクトルにおいてそれぞれ1つの直線を生じ、この直線は、原点を通って延びている。明らかとなっていない直線の傾きは最良適合直線によって算出することが可能であり、この最良適合直線も原点を通って延びている。これにより、明らかとなっていない角度α及びβが算出される。
【0066】
そして、これにより算出された第1の角度α及び第2の角度βの実際の値は、部材輪郭の再構成に際して、上記方程式に合わせて考慮され、これにより、計測装置2がキャリブレーションされる。
【0067】
これにより、計測装置2の実際の幾何学的な関係の想定された幾何学的な関係からの差に関する計測誤差が、従来技術に比して信頼性をもって回避される。これにより、本発明は、従来技術に基づく計測装置に比して比較的少ないコストでより良好な計測精度を提供するものである。
【0068】
図面における各図においては、同様のあるいは対応する部材には統一の符号が付されている。
図2A〜
図2Eは、
図1及び
図3による実施例のバリエーションとは構造的に若干異なるものが示されているものの、本発明による基本原理は、
図1及び
図3に基づく実施例においても一致している。