(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873490
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】簡単なインプラント除去のための自己分離層
(51)【国際特許分類】
A61F 2/28 20060101AFI20160216BHJP
A61L 27/00 20060101ALI20160216BHJP
A61B 17/58 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
A61F2/28
A61L27/00 F
A61B17/58
【請求項の数】20
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-518802(P2013-518802)
(86)(22)【出願日】2011年7月6日
(65)【公表番号】特表2013-535239(P2013-535239A)
(43)【公表日】2013年9月12日
(86)【国際出願番号】US2011043048
(87)【国際公開番号】WO2012006334
(87)【国際公開日】20120112
【審査請求日】2014年6月25日
(31)【優先権主張番号】61/362,923
(32)【優先日】2010年7月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507215725
【氏名又は名称】シンセス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】SYNTHES GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【弁理士】
【氏名又は名称】浜田 治雄
(74)【代理人】
【識別番号】100173587
【弁理士】
【氏名又は名称】西口 克
(74)【代理人】
【識別番号】100173602
【弁理士】
【氏名又は名称】赤津 悌二
(74)【代理人】
【識別番号】100183139
【弁理士】
【氏名又は名称】田辺 稜
(72)【発明者】
【氏名】トアヴァルト,ゲッツ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォワザール,シリル
【審査官】
石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】
特表2009−500087(JP,A)
【文献】
特表2005−537909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/28
A61B 17/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨インプラントにおいて、
骨インプラントの第一の外側表面の上に備えられ、水溶性及び体液に分解性のいずれか一方を有する第一の材料を含む第一の層であって、第一の厚さを有する、第一の層と、
前記第一の層の外側表面の上に備えられ、第二の、生体適合性材料から形成される第二の層であって、前記第一の厚さよりも小さい第二の厚さを有し、前記第一の層の全体にわたって広がり、前記インプラントの外側表面を形成する、第二の層と、
を含む、骨インプラント。
【請求項2】
前記第二の層は生体吸収性または生体溶解性を有する材料を含む、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項3】
前記第二の層は非吸収性または非溶解性の材料を含む、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項4】
前記第二の厚さは1nmから100nmの間である、請求項3に記載の骨インプラント。
【請求項5】
前記第二の層の吸収/溶解比率は、前記第一の層の吸収/溶解比率よりも小さい、請求項2に記載の骨インプラント。
【請求項6】
前記第二の層の吸収/溶解比率は、体内に埋め込まれた後2週間から3ヶ月の間である、請求項5に記載の骨インプラント。
【請求項7】
前記第一の層は吸収性材料で作られる、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項8】
前記第一の層の前記第一の厚さは、およそ10μmから1000μmの間であり、前記第一の厚さの前記第二の厚さに対する比率は、10,000:1と1,000:1の範囲内にある、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項9】
前記第一の層は、ポリビニルアルコール(PVA)およびポリ乳酸の一方から形成される、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項10】
前記第二の層は、最大100nmの第二の厚さを持つチタンまたはチタン合金から形成される、請求項9に記載の骨インプラント。
【請求項11】
前記第二の層は、ヒドロキシアパタイトから形成され、最大10μmの第二の厚さを有する、請求項9に記載の骨インプラント。
【請求項12】
前記第一及び第二の層の少なくとも一方は、マグネシウム、鉄、及びそれらの合金を含む群から選択された生体分解性の金属または合金の少なくとも一つを含む、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項13】
前記第1の層と前記第二の層との間に挿入された中間層を更に含み、前記中間層は前記第一及び第二の層の材料の混合物から形成される、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項14】
前記第二の層の外側表面の上に備えられた第三の層を更に含み、前記第三の層は水溶性及び体液に分解性のいずれか一方を有する材料から形成される、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項15】
前記第三の層の外側表面の上に備えられた第四の層を更に含み、前記第四の層は生体適合性材料から形成される、請求項14に記載の骨インプラント。
【請求項16】
水溶性または体液に分解性の材料を含む層と生体適合性材料を含む層の交互の層の数は2xであって、xは3またはそれより大きい数である、請求項15に記載の骨インプラント。
【請求項17】
前記第一の層の材料は、前記第二の層の材料と異なる、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項18】
骨インプラントを製造する方法において、
骨インプラントの第一の表面の上に、水溶性及び体液に分解性のいずれか一方または両方を有する第一の材料の、第一の厚さを有する第一の層を塗布することと、
前記第一の層の外側表面の上に、生体適合性である第二の材料の第二の層を塗布することであって、前記第二の層が、前記第一の厚さよりも小さい第二の厚さを有し、前記第一の層の全体にわたって広がり、前記インプラントの外側表面を形成することと、
を含む、骨インプラントを製造する方法。
【請求項19】
前記第二の層を塗布するより前に、前記第一及び第二の材料の混合物から形成される中間層を前記第一の層の上に塗布する工程、
を更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第一及び第二の層は、ディップ・コーティング及びスプレー・コーティングのいずれか一つにより塗布される、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は、ゲッツ トアヴァルト及びシリル ヴォワザールの2010年7月9日に出願された「簡単なインプラント除去のための自己分離層」と称する米国仮特許出願第61/362,923号の優先権を主張するものであり、その全開示内容がそれの参考としてここに組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本願は、概して、骨から骨インプラントを除去するための器具に関する。
【背景技術】
【0003】
外傷及び頭蓋顎顔面の分野を含む整形外科において、治療の望ましい段階を経て骨インプラント部品を除去することは大抵望ましい。これは、外見上の理由及び/またはインプラント部位の周囲を完全に再生することを考慮したことによるものであろう。生体適合性合金(例えば、チタン−アルミニウム−ニオブ合金「Ti−Al−Nb」)からなる多くの最新技術インプラントで、その周辺組織とあまりによく一体化し、除去する際に必要以上に侵襲性でかつ損傷を与えてしまうインプラントに、外科医はしばしば直面する。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、骨インプラントの組織に面した表面との直接の組織接触を防ぐ可溶性または生体分解性の層及び生体適合性の層で、その骨インプラントをコーティングするシステムと方法に関する。本発明による典型的なコーティングは、ディップまたはスプレーでのコーティング及び物理的または化学的蒸着(PVD/CVD)を含む、様々な技術によって行われる可能性がある。これは、インプラントの周囲で有効な治療を提供している組織接触面の上に、生体適合性の「シールド」を直接形成することになる。しかし、体内で所定の期間後により簡単に分離され、周辺組織からインプラントを解放し、侵襲性と損傷を与える除去プロセスをより少なくすることができるのはどれか。第一のシールド上に形成される外側の生体適合性の層は、体内に埋め込まれるときにいかなる副作用も大した影響のないものとするのに選択されたより長い時間スケール、その全体積及び材料特性において、その後再吸収される。
【0005】
本発明は、水溶性または体液で分解可能な材料からなる厚さDを有する第一の層と、第一の層の上に配置された生体適合性材料からなる厚さd<Dを有する第二の層で被覆された、金属または金属合金からなる基板材料を備えたインプラントに関する。
【0006】
このインプラントは、金属性インプラント基板上に、治療プロセスを妨げることなく骨のオングロース(on-growth)または内方成長(ingrowth)からそのインプラントを保護する自己分離コーティングを提供する。これは、インプラントが体内で一時的な機能を果たした後の簡単な除去を可能にする。
【0007】
このインプラントの典型的な実施態様で、第二の層は、生体吸収性または生体溶解する材料からなる。
【0008】
このインプラントの他の実施態様では、第二の層は、非吸収性または非溶解の材料からなる。
【0009】
このインプラントの更なる実施態様では、第二の層は、1nm、好ましくは10nmの最小肉厚dを有する。10nmの厚さで、第二の層は、関連性のある拡散メカニズムを減少させるか遮断するための、成長中の細胞への効果的な障壁として機能を果たす。
【0010】
このインプラントの更なる実施態様では、第二の層は、100nmの最大肉厚dを有する。
【0011】
このインプラントの再度更なる実施態様では、第二の層は、第一の層の吸収/溶解比率よりも小さい吸収/溶解比率を有する。
【0012】
このインプラントの更に他の実施態様では、第二の層の吸収/溶解に要する時間は、2週間〜3ヶ月の範囲である。
【0013】
このインプラントの他の実施態様では、第一の層は、吸収性材料からなる。好ましい材料は、ポリ乳酸(PLA)とリン酸カルシウム(CaP)である。この構成は、バルクインプラントの除去において簡単に壊れる、弱くなった「細胞−第二の層−細胞」構造に通じるおそれがある成長中の細胞を考慮している。第一の層が溶解し/吸収された後、第二の層はより長い時間スケールで吸収される。
【0014】
このインプラントの他の実施態様では、第一の層の厚さDは、最低10μm、好ましくは最低100μmである。
【0015】
このインプラントの更に他の実施態様では、第一の層の厚さDは、最大1000μm、好ましくは最大500μmである。
【0016】
このインプラントの更に他の実施態様では、D/dの比率は、10,000:1と1,000:1の範囲内にある。
【0017】
このインプラントの更なる実施態様では、第一の層は、ポリビニルアルコール(PVA)またはポリ乳酸からなる。
【0018】
このインプラントの他の実施態様では、第二の層は、非吸収性金属、好ましくはチタンまたはチタン合金からなり、最大100nmの厚さdを有する。
【0019】
このインプラントの他の実施態様では、第二の層は、ヒドロキシアパタイトからなり、最大10μmの厚さdを有する。
【0020】
このインプラントの再度他の実施態様では、第一及び第二の層の材料の混合物からなる第三の層は、その第1の層とその第二の層との間に挿入される。
【0021】
このインプラントの更に他の実施態様では、更なる追加の層は第二の層の上に塗布され、そして、この追加の層の上に生体適合性材料からなるもう一つの層が塗布される。この追加の層は、水溶性または体液で分解可能な材料からなる。
【0022】
このインプラントの更なる実施態様では、水溶性または体液で分解可能な材料と生体適合性材料とからなる交互の層の数は2xであって、xは3またはそれより大きい数である。
【0023】
このインプラントの更なる実施態様では、第一の層の材料は、第二の層の材料と異なる。
【0024】
他の側面に従えば、金属または金属合金からなる基板の上に第一の層を形成するためその基板に水溶性または体液で分解可能な材料を塗布する工程と、その第一の層の上に生体適合材料を塗布する工程と、からなるインプラントを製造する方法が提供される。
【0025】
この方法の他の実施態様では、工程A及びBで使用される材料の混合物は、工程Bを実行する前に第一の層に塗布される。
【0026】
この方法の更なる実施態様では、これらの層の塗布は、ディップまたはスプレーでのコーティングにより為される。
【0027】
この発明のいくつかの実施態様を、実施例により、また添付の図面を参照しつつ、以下に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明によるインプラントの第一の実施形態の断面を示す。
【
図2】
図2は、本発明によるインプラントの他の実施形態の断面を示す。
【
図3】
図3は、本発明によるインプラントの更なる実施形態の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、折れたか若しくは損傷したか、または弱められた骨を固定するためにコーティングされた骨インプラントと、そのような骨インプラントを製造する方法に関する。本発明の実施態様は、骨インプラントの短期または長期の埋め込みを要する整形外科での固定、頭蓋顎顔面の固定、または生体内におけるその他の骨の固定に使用される可能性がある。本発明の実施形態による骨プレートは、体内における短期または長期のインプラントの間、その骨プレートがその骨インプラントの周辺組織と一体化することを防ぐために選択された1以上の材料でコーティングされる。その骨プレートの例における材料でのより多くの層の1つは、所望の特性(例えば、吸収率、生体適合性、等)を示す吸収性材料から形成されていてもよい。本発明の実施態様は、特定の層の厚さ及び構成とともに記載されており、また具体的な骨の固定について記載されているが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなしに、いかなる骨の固定においても他のいかなる厚さと構成をも採用することができることに留意すべきである。さらに、本発明の実施態様では、骨インプラントの一面だけの層の堆積が示されているが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなしに、いかなる或いは全ての骨インプラントの面にコーティングされていてもよい。
【0030】
図1に示すように、本発明の最初の実施態様によるインプラント10は、基板材料1を具備するインプラントボディ12(例えば、骨プレートまたは髄内釘)を備える。インプラントが埋め込まれたときに第二の層3が周辺組織との接触層を形成する、インプラント10の外側表面を形成できるように、インプラントボディ12の最初の表面14は、第一の層2
の一面に
広がる第二の層3とともに第一の層2でコーティングされている。当業者によって理解されるように、インプラント10の基板材料1は、いかなる適当な金属、金属合金、またはポリマーであってもよい。通常、外科的インプラントとしての利用目的では、当業者が理解するように、基板材料1は、チタン(Ti)、TiAl
6Nb
7(「TAN」)のようなTi合金、鋼、またはPEEKである。
【0031】
第一の層2は、厚さDを有し、ポリビニルアルコール(PVA)またはポリ乳酸を含む吸収性材料を具備する。第一の層2の厚さDは、およそ10μmから1000μmの範囲とすることができ、また実施形態においては、およそ100μmから500μmの間であろう。
【0032】
第二の層3は、厚さdを有し、生体吸収性または生体溶解する材料のいずれか1つであるとすることができ、同様に、非吸収性または非溶解の材料であるとしてもよい生体適合性材料を具備する。実施態様において、第二の層3は、非吸収性金属、例えば、チタンまたはチタン合金、及び/またはヒドロキシアパタイトからなる。第二の層3の厚さdは、第一の層2の厚さDよりも小さく、また、1nmから100nmの範囲とすることができ、そして、好ましい実施形態においては、10μmの最大肉厚dを有する。さらに、第二の層3の吸収/溶解時間は、第一の層2のそれよりも長く、2週間から3ヶ月の範囲とする。
【0033】
インプラントボディ12の表面14に形成され第一の層2、及びその第一の層2上に形成される第二の層3により、組織とインプラントボディ12の表面14との間の接触は防がれる。体内で所定の期間後に少なくとも第一の層2をインプラントボディ12から分離するという事実のために、より侵襲性と損傷が少ないインプラント10の除去手段と同様に、第一の層及び第二の層2、3がインプラント10の周囲の有効な治療を可能とすることによって、生体適合性層システムは形成される。
【0034】
図2において、インプラントの他の実施態様が図示されているが、
図1の実施態様との違いは、インプラント10’の第一及び第二の層2、3の間に中間層4が形成されているという点のみである。第三の層4は、第一及び第二の層2、3の材料の混合物からなる。
図1の実施態様と同様に、基板材料1で構成され、また骨プレートもしくは髄内釘の形状を有するインプラントボディ12’は、厚さDを有する第一の層2でコーティングされている。中間層4は、第一の層の上に配置され、また例えば、第一の層2よりも小さく、そして周辺組織との接触層を形成する第二の層3の厚さdよりも大きい厚さδ
1を有する。
【0035】
図3ではインプラントの他の実施態様が図示されているが、
図1の実施態様との違いは、第三の層21が第二の層3の上に形成されているという点のみである。第三の層21は、水溶性または体液で分解可能な材料を具備する。第三の層21の上に形成される第四の層31は、生体適合性材料を具備する。骨プレートまたは髄内釘として形成される基板材料1で構成され、厚さDを有する第一の層2と厚さdを有する第二の層でコーティングされているインプラントボディ12”を有するインプラント10”は、第一の層2の上に配置される。第三の層は、第二の層の上に配置され、また例えば、第一の層2の厚さDと同じ厚さであろう厚さδ
Fを有し、さらに第四および最外層31は、例えば、第二の層3の厚さdと同じ厚さであろう厚さδ
Aを有する。第四の層31は、周辺組織との接触層を形成する。
【0036】
本発明によるインプラント上に層を堆積する典型的な方法に従えば、骨ネジと組み合わせて骨折固定のために一般に使用される骨プレートが使用される。そのような骨プレートの体内における通常の使用期間は、数週間から数ヶ月の範囲であり、その後それらは大抵除去される。骨プレートは、TAN合金または鋼から通常は製造されるが、また、PEEKのようなプラスチックから作ることもできる。しかしながら、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく要求されるならば、本発明による典型的な骨プレートは、無期限に埋め込まれていてもよいことに留意すべきである。
【0037】
第一の典型的な工程によれば、TAN骨プレートは、最初に、50/50の体積パーセントのエタノールとアセトンの混合物に浸水して洗浄され、その後に、およそ5分間超音波洗浄器に入れられる。この工程後に、そのインプラントは、乾燥したCO
2の気体噴流中で洗浄される。それから、そのインプラントは、XX mm/sの除去速度でポリビニルアルコール(PVA)/水溶液中においてディップ・コーティングすることにより、PVAの水溶性の第一の層2でコーティングされ、乾いた後にXXマイクロメートル強度のPVA層が得られる。そこでの除去速度は、当業者が理解するように、そのPVA層の強さの結果と直接関連している。第一の実施形態において、その除去速度は1mm/sであってよく、その結果およそ50マイクロメートルのPVA層が得られる。それから、骨プレートは、1e−4 mbarより小さな圧力を加える真空システムに挿入される。それから、10nmのチタン酸化物の薄膜は、例えば、90%のArと10%のO
2の混合物の中に5e−3 mbarの作動圧力で、反応性のマグネトロンスパッタリングによってPVA層の上に堆積される。その結果として得られる第2の層3は、生体適合性であり、また、既に堆積されたPVA層の水溶解を遅らせる。それから、そのコーティングされた骨インプラント10は、真空チャンバーから除去され、また乾燥空気または真空中でパックされる。第一のPVA層2はおよそ1ヶ月後に体内で分離され、このようにして、そこから骨ネジを除去した後に、骨インプラントを除去すべく解放する。
【0038】
本発明の種々の改良及び改変が添付の請求項の広い範囲から逸脱することなく当業者によってなされることが理解されるであろう。これらのうちのいくつかは前に述べたが、他のものについては当業者に明らかであろう。例えば、本発明による典型的な層形成は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、キルシュナー鋼線または髄内釘の上で実行されてもよい。本発明による典型的な技術に従えば、キルシュナー鋼線は、熱蒸発過程が次に続くディップ・コーティングで、前述したような大体同じ方法にてコーティングされてもよい。もし髄内釘が使用されるならば、その釘は100μmの厚い生体分解性の層でスプレー・コーティングされてもよい。それから、生体分解性の層は、ヒドロキシアパタイト層でコーティングされてもよい。生体分解性の層の溶解(すなわち、所定の期間の体内へのインプラント後)において、まだその周囲の弱い組織の内方成長を防いでいる間、髄内釘の除去を可能にするため、その髄内釘とヒドロキシアパタイト層との間に十分な空間が残る。
【0039】
本発明とその利点について詳細に説明したが、添付の請求項によって定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく本明細書において種々の変更、代替及び改変がなされ得ることが理解されるべきである。例えば、本発明のいずれの生体分解性の層も、溶解する中間層と取り替えてよく、それは、例えば、体内の所定の温度(例えば、静止体温)に達した後に周辺組織中に溶解し得る。さらに他の例では、短期インプラントだけを必要とする骨インプラントは、その上の組織の成長を防止するか減らすための潤滑油を具備していてもよい。さらに本願の範囲は、本明細書に記載のプロセス、機械、製品、物質の合成物、手段、方法及び工程の特定の実施形態に限定されるものとは意図されていない。当業者であれば本発明の開示内容から容易に理解し得るように、本明細書に記載される対応する実施形態と実質的に同じ機能を為しあるいは実質的に同じ結果を達成する、現存のもしくは後に開発されるプロセス、機械、製品、物質の合成物、手段、方法または工程は、本発明に基づいて利用することができる。
〔実施の態様〕
(1) 骨インプラントにおいて、
骨インプラントの第一の外側表面の上に備えられ、水溶性及び体液での分解性のいずれか一つである第一の材料を含む第一の層であって、第一の厚さを有する該第一の層と、
前記第一の層の外側表面の上に備えられ、第二の、生体適合性材料から形成される第二の層であって、前記第一の厚さよりも小さい第二の厚さを有する該第二の層とからなる骨インプラント。
(2) 前記第二の層は生体吸収性または生体溶解する材料を含むことを特徴とする実施態様1に記載の骨インプラント。
(3) 前記第二の層は非吸収性または非溶解の材料を含むことを特徴とする実施態様1に記載の骨インプラント。
(4) 前記第二の厚さは1nmから100nmの間であることを特徴とする実施態様3に記載の骨インプラント。
(5) 前記第二の層の吸収/溶解比率は、第一の層の吸収/溶解比率よりも小さいことを特徴とする実施態様2に記載の骨インプラント。
(6) 前記第二の層の吸収/溶解比率は、体内に埋め込まれた後2週間から3ヶ月の間であることを特徴とする実施態様5に記載の骨インプラント。
(7) 前記第一の層は吸収性材料を含むことを特徴とする実施態様1に記載の骨インプラント。
(8) 前記第一の層の前記第一の厚さは、およそ10μmから1000μmの間であり、前記第一の厚さの前記第二の厚さに対する比率は、10,000:1と1,000:1の範囲内にあることを特徴とする実施態様1に記載の骨インプラント。
(9) 前記第一の層は、ポリビニルアルコール(PVA)とポリ乳酸の一つから形成されることを特徴とする実施態様1に記載の骨インプラント。
(10) 前記第二の層は、非吸収性材料、好ましくは100nmの最大の第二の厚さを持つチタンまたはチタン合金であることを特徴とする実施態様9に記載の骨インプラント。
(11) 前記第二の層は、ヒドロキシアパタイトから形成され、10μmの最大の第二の厚さを有することを特徴とする実施態様9に記載の骨インプラント。
(12) 前記第一及び第二の層の少なくとも一つは、マグネシウム、鉄、及びそれらの合金を含む一群から選択された生体分解性の金属または合金の少なくとも一つであることを特徴とする実施態様1に記載の骨インプラント。
(13) 更に前記第1の層と前記第二の層との間に挿入された中間層とからなり、前記中間層は前記第一及び前記第二の層の材料の混合物を含むことを特徴とする実施態様1に記載の骨インプラント。
(14) 更に前記第二の層の外側表面の上に備えられた第三の層とからなり、該第三の層は水溶性及び体液での分解性のいずれか一つである材料から形成されることを特徴とする実施態様1に記載の骨インプラント。
(15) 更に前記第三の層の外側表面の上に備えられた第四の層とからなり、該第四の層は生体適合性材料から形成されることを特徴とする実施態様14に記載の骨インプラント。
(16) 水溶性または体液で分解可能な材料と生体適合性材料とからなる交互の層の数は2xであって、xは3またはそれより大きい数であることを特徴とする実施態様15に記載の骨インプラント。
(17) 前記第一の層の材料は、前記第二の層の材料と異なることを特徴とする実施態様1に記載の骨インプラント。
(18) 骨インプラントを製造する方法において、
骨インプラントの第一の表面の上に、水溶性及び体液での分解性のいずれか一つまたは両方である第一の材料の第一の層を塗布することと、
前記第一の層の外側表面の上に、生体適合性である第二の材料の第二の層を塗布することを特徴とする骨インプラントを製造する方法。
(19) 更に前記第二の層を塗布するより前に、前記第一及び第二の材料の混合物から形成される中間層を塗布する工程とからなること特徴とする実施態様18に記載の方法。
(20) 前記第一及び第二の層は、ディップ・コーティング及びスプレー・コーティングのいずれか一つにより塗布されることを特徴とする実施態様18に記載の方法。