【課題を解決するための手段】
【0004】
当該技術分野においては、バイオテクノロジーおよび遺伝子治療においてタンパク質発現を調節するために有用であり得るもっと多くのTEEが要求されている。本開示はこの要求およびその他の要求に対処するものである。
【0005】
1つの局面において、翻訳エンハンサーとして機能し、かつ少なくとも1つのmRNA翻訳エンハンサーエレメント(TEE)を含む、単離または合成のポリヌクレオチド配列が提供される。TEEは、RNSGAGMGRMR(配列番号1)もしくはMSCSGCNGMWA(配列番号2)、またはそれと実質的に同一の配列からなるポリヌクレオチド配列中に存在する。これらのポリヌクレオチド配列中に、各TEEの2つ以上のコピー(例えば、2、5、10、25、50またはそれを超えるコピー)が存在していてもよい。
【0006】
ある実施形態において、TEEはR
1N
1S
1GAGM
1GR
2M
2R
2R
3R
4(配列番号3)もしくはR
5M
3S
2CS
3GCN
2GM
4WR
6(配列番号4)、またはそれと実質的に同一の配列からなる。これらの配列において、R
1は無いか、有るときにはAまたはGであり;N
1は無いか、有るときにはA、CまたはGであり、好ましくはA、CまたはGであり;S
1は無いか、有るときにはCまたはGであり、好ましくはCまたはGであり;M
1はAまたはCであり;R
2は無いか、有るときにはAまたはGであり、好ましくはAまたはGであり、R
1およびR
2は同じでも異なっていてもよく;M
2は無いか、有るときにはAまたはCであり、好ましくはAまたはCであり;R
3は無いか、有るときにはAまたはGであり、好ましくは無く;R
4は無いか、有るときにはCであり、好ましくは無く;R
5は無いか、有るときにはAであり、好ましくは無く;M
3は無いか、有るときにはCまたはAであり、好ましくはCまたはAであり;S
2は無いか、有るときにはCまたはGであり、好ましくはCまたはGであり;S
3はGまたはCであり;N
2はG、CまたはTであり;M
4はAまたはCであり;Wは無いか、有るときにはAまたはTであり、R
6は無いか、有るときにはAである。
【0007】
別の実施形態において、TEEはR
1N
1S
1GAGM
1GR
2M
2R
2R
3R
4からなる。この配列において、R
1、R
3およびR
4は無く;N
1はA、CまたはGであり;S
1はCまたはGであり;M
1はAまたはCであり;R
2はAまたはGであり、M
2はAまたはCである。別の実施形態において、TEEはR
5M
3S
2CS
3GCN
2GM
4WR
6からなる。この配列において、R
5およびR
6は無く;M
3は無いか、有るときにはAまたはCであり;S
2はCまたはGであり;S
3はCまたはGであり、S
2およびS
3は同じでも異なっていてもよく;N
2はG、CまたはTであり;M
2はAまたはCであり;Wは無いか、有るときにはAである。
【0008】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド配列は、配列番号5〜35からの配列と少なくとも90%同一の配列を有するTEEを含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド配列は、配列番号:5〜35の配列の1つと同一の配列を有するTEEを含む。
【0009】
ポリヌクレオチド配列のいくつかには、少なくとも2コピーのTEEが存在する。ポリヌクレオチド配列のいくつかには、3コピー以上のTEEが存在する。いくつかの他の実施形態において、ポリヌクレオチド配列は少なくとも5コピーのTEE、少なくとも10コピー、少なくとも25コピーまたはそれを超えるコピーのTEEを含む。
【0010】
関連する局面においては、真核生物細胞において組換えによってポリペプチドを発現するためのクローニングベクターまたは発現ベクターが提供される。ベクターは、本明細書に開示される少なくとも1つのmRNA翻訳エンハンサーエレメント(TEE)を含むポリヌクレオチド配列に動作可能に連結した真核生物プロモーターを含有する。ベクター中に存在するTEEは、RNSGAGMGRMR(配列番号1)もしくはMSCSGCNGMWA(配列番号2)、またはそれと実質的に同一の配列からなる。
【0011】
ある実施形態において、ベクター中に存在するTEEは、R
1N
1S
1GAGM
1GR
2M
2R
2R
3R
4(配列番号3)もしくはR
5M
3S
2CS
3GCN
2GM
4WR
6(配列番号4)、またはそれと実質的に同一の配列からなる。これらの配列において、R
1は無いか、有るときにはAまたはGであり;N
1は無いか、有るときにはA、CまたはGであり、好ましくはA、CまたはGであり;S
1は無いか、有るときにはCまたはGであり、好ましくはCまたはGであり;M
1はAまたはCであり;R
2は無いか、有るときにはAまたはGであり、好ましくはAまたはGであり、R
1およびR
2は同じでも異なっていてもよく;M
2は無いか、有るときにはAまたはCであり、好ましくはAまたはCであり;R
3は無いか、有るときにはAまたはGであり、好ましくは無く;R
4は無いか、有るときにはCであり、好ましくは無く;R
5は無いか、有るときにはAであり、好ましくは無く;M
3は無いか、有るときにはCまたはAであり、好ましくはCまたはAであり;S
2は無いか、有るときにはCまたはGであり、好ましくはCまたはGであり;S
3はGまたはCであり;N
2はG、CまたはTであり;M
4はAまたはCであり;Wは無いか、有るときにはAまたはTであり、R
6は無いか、有るときにはAである。
【0012】
別の実施形態において、ベクター中に存在するTEEは、R
1N
1S
1GAGM
1GR
2M
2R
2R
3R
4からなる。この配列において、R
1、R
3およびR
4は無く;N
1はA、CまたはGであり;S
1はCまたはGであり;M
1はAまたはCであり;R
2はAまたはGであり、M
2はAまたはCである。別の実施形態において、ベクター中に存在するTEEは、R
5M
3S
2CS
3GCN
2GM
4WR
6からなる。この配列において、R
5およびR
6は無く;M
3は無いか、有るときにはAまたはCであり;S
2はCまたはGであり;S
3はCまたはGであり、S
2およびS
3は同じでも異なっていてもよく;N
2はG、CまたはTであり;M
2はAまたはCであり;Wは無いか、有るときにはAである。
【0013】
ベクターのいくつかにおいて、TEEは、配列番号5〜35から選択される配列と実質的に同一の配列からなる。いくつかのその他のベクターにおいて、TEEは、配列番号5〜35から選択される配列と同一の配列からなる。
【0014】
いくつかのベクターにおいて、mRNA翻訳エンハンサーエレメントは、プロモーターに対して3’に位置し、目的のポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチド配列の方向性ライゲーション(directional ligation)に対して適合される。これらのベクターのいくつかは、mRNA翻訳エンハンサーエレメントに動作可能に連結した目的のポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチド配列をさらに含む。いくつかのベクターにおいて、mRNA翻訳エンハンサーエレメントは、第2のポリヌクレオチド配列の5’リーダーに位置する。本明細書に開示されるとおりの、目的の抗原を発現するベクターを含むDNAワクチンがさらに提供される。このベクターによってトランスフェクトされる宿主細胞(例えば、CHO細胞などの真核生物宿主細胞)がさらに提供される。
【0015】
さらなる局面において、目的のポリペプチドを組換えによって生成するための方法が提供される。この方法は、目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに各々動作可能に連結した真核生物プロモーターと、少なくとも1コピー(例えば、1、2、3、4、5、10、25、50コピーまたはそれを超えるコピー)のmRNA翻訳エンハンサーエレメントとを含む発現ベクターを構築する工程を伴う。その後、この発現ベクターを真核生物宿主細胞(例えば、CHO細胞)にトランスフェクトし、次いで発現ベクターによってトランスフェクトされた宿主細胞を培養する。ある実施形態において、ベクター中に存在するmRNA翻訳エンハンサーエレメント(TEE)は、RNSGAGMGRMR(配列番号1)もしくはMSCSGCNGMWA(配列番号2)、またはそれと実質的に同一の配列からなる。
【0016】
ある実施形態において、ベクター中に存在するTEEは、R
1N
1S
1GAGM
1GR
2M
2R
2R
3R
4(配列番号3)もしくはR
5M
3S
2CS
3GCN
2GM
4WR
6(配列番号4)、またはそれと実質的に同一の配列からなる。これらの配列において、R
1は無いか、有るときにはAまたはGであり;N
1は無いか、有るときにはA、CまたはGであり、好ましくはA、CまたはGであり;S
1は無いか、有るときにはCまたはGであり、好ましくはCまたはGであり;M
1はAまたはCであり;R
2は無いか、有るときにはAまたはGであり、好ましくはAまたはGであり、R
1およびR
2は同じでも異なっていてもよく;M
2は無いか、有るときにはAまたはCであり、好ましくはAまたはCであり;R
3は無いか、有るときにはAまたはGであり、好ましくは無く;R
4は無いか、有るときにはCであり、好ましくは無く;R
5は無いか、有るときにはAであり、好ましくは無く;M
3は無いか、有るときにはCまたはAであり、好ましくはCまたはAであり;S
2は無いか、有るときにはCまたはGであり、好ましくはCまたはGであり;S
3はGまたはCであり;N
2はG、CまたはTであり;M
4はAまたはCであり;Wは無いか、有るときにはAまたはTであり、R
6は無いか、有るときにはAである。
【0017】
別の実施形態において、ベクター中に存在するTEEは、R
1N
1S
1GAGM
1GR
2M
2R
2R
3R
4からなる。この配列において、R
1、R
3およびR
4は無く;N
1はA、CまたはGであり;S
1はCまたはGであり;M
1はAまたはCであり;R
2はAまたはGであり、M
2はAまたはCである。別の実施形態において、ベクター中に存在するTEEは、R
5M
3S
2CS
3GCN
2GM
4WR
6からなる。この配列において、R
5およびR
6は無く;M
3は無いか、有るときにはAまたはCであり;S
2はCまたはGであり;S
3はCまたはGであり、S
2およびS
3は同じでも異なっていてもよく;N
2はG、CまたはTであり;M
2はAまたはCであり;Wは無いか、有るときにはAである。
【0018】
mRNA翻訳エンハンサーエレメントは、配列番号5〜35からなる群より選択される配列と実質的に同一の配列からなっていてもよい。いくつかの方法において、mRNA翻訳エンハンサーエレメントは、配列番号5〜35からなる群より選択される配列と同一の配列からなる。いくつかの方法は、発現された組換えポリペプチドを、宿主細胞からまたは培養された宿主細胞を囲む培地から精製する工程をさらに伴うことがある。本明細書に記載される方法によって、目的とするさまざまなポリペプチドを生成できる。たとえば、臨床的重要性の高いいくつかの治療タンパク質は、本方法に対して好適である。
【0019】
本発明の性質および利点のさらなる理解は、本明細書の残りの部分および特許請求の範囲を参照することによって実現するであろう。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
少なくとも1つのmRNA翻訳エンハンサーエレメント(TEE)を含む単離ポリヌクレオチド配列であって、前記TEEはR
1N
1S
1GAGM
1GR
2M
2R
2R
3R
4(配列番号3)もしくはR
5M
3S
2CS
3GCN
2GM
4WR
6(配列番号4)、またはそれと実質的に同一の配列からなり、ここで:
R
1は無いか、有るときにはAまたはGであり;N
1は無いか、有るときにはA、CまたはGであり、好ましくはA、CまたはGであり;S
1は無いか、有るときにはCまたはGであり、好ましくはCまたはGであり;M
1はAまたはCであり;R
2は無いか、有るときにはAまたはGであり、好ましくはAまたはGであり、R
1およびR
2は同じでも異なっていてもよく;M
2は無いか、有るときにはAまたはCであり、好ましくはAまたはCであり;R
3は無いか、有るときにはAまたはGであり、好ましくは無く;R
4は無いか、有るときにはCであり、好ましくは無く;さらに、
R
5は無いか、有るときにはAであり、好ましくは無く;M
3は無いか、有るときにはCまたはAであり、好ましくはCまたはAであり;S
2は無いか、有るときにはCまたはGであり、好ましくはCまたはGであり;S
3はGまたはCであり;N
2はG、CまたはTであり;M
4はAまたはCであり;Wは無いか、有るときにはAまたはTであり、R
6は無いか、有るときにはAである、
単離ポリヌクレオチド配列。
(項目2)
前記TEEはR
1N
1S
1GAGM
1GR
2M
2R
2R
3R
4からなり、ここでR
1、R
3およびR
4は無く;N
1はA、CまたはGであり;S
1はCまたはGであり;M
1はAまたはCであり;R
2はAまたはGであり、M
2はAまたはCである、項目1に記載の単離ポリヌクレオチド配列。
(項目3)
前記TEEはR
5M
3S
2CS
3GCN
2GM
4WR
6からなり、ここでR
5およびR
6は無く;M
3は無いか、有るときにはAまたはCであり;S
2はCまたはGであり;S
3はCまたはGであり、S
2およびS
3は同じでも異なっていてもよく;N
2はG、CまたはTであり;M
2はAまたはCであり;Wは無いか、有るときにはAである、項目1に記載の単離ポリヌクレオチド配列。
(項目4)
前記TEEは、配列番号5〜35からなる群より選択される配列と少なくとも90%同一の配列からなる、項目1、2または3に記載の単離ポリヌクレオチド配列。
(項目5)
前記TEEは、配列番号5〜35からなる群より選択される配列と同一の配列からなる、項目1、2または3に記載の単離ポリヌクレオチド配列。
(項目6)
少なくとも2コピーの前記TEEを含む、項目1、2または3に記載のポリヌクレオチド配列。
(項目7)
少なくとも5コピーの前記TEEを含む、項目1、2または3に記載のポリヌクレオチド配列。
(項目8)
少なくとも10コピーの前記TEEを含む、項目1、2または3に記載のポリヌクレオチド配列。
(項目9)
真核生物細胞においてポリペプチドを組換えによって発現するためのベクターであって、少なくとも1つのmRNA翻訳エンハンサーエレメント(TEE)を含むポリヌクレオチド配列に動作可能に連結した真核生物プロモーターを含み、前記TEEは項目1、2または3に記載の前記TEEから選択される、ベクター。
(項目10)
前記mRNA翻訳エンハンサーエレメントは、配列番号5〜35からなる群より選択される配列と実質的に同一の配列からなる、項目9に記載のベクター。
(項目11)
前記mRNA翻訳エンハンサーエレメントは、配列番号5〜35からなる群より選択される配列と同一の配列からなる、項目9に記載のベクター。
(項目12)
前記mRNA翻訳エンハンサーエレメントは、前記プロモーターに対して3’に位置し、目的のポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチド配列の方向性ライゲーションに対して適合される、項目9に記載のベクター。
(項目13)
前記mRNA翻訳エンハンサーエレメントに動作可能に連結した目的のポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチド配列をさらに含む、項目9に記載のベクター。
(項目14)
前記mRNA翻訳エンハンサーエレメントは、前記第2のポリヌクレオチド配列の5’リーダー配列中に位置する、項目13に記載のベクター。
(項目15)
項目9に記載のベクターを含む、DNAワクチン。
(項目16)
項目9に記載のベクターによってトランスフェクトされる、真核生物宿主細胞。
(項目17)
前記宿主細胞はCHO細胞である、項目16に記載の宿主細胞。
(項目18)
ポリペプチドを組換えによって生成するための方法であって、前記方法が、
(i)前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに各々動作可能に連結した真核生物プロモーターとmRNA翻訳エンハンサーエレメントとを含む発現ベクターを構築する工程であって、前記TEEは項目1、2または3のいずれか1項に記載の前記TEEから選択される、構築する工程と
(ii)前記発現ベクターを真核生物宿主細胞にトランスフェクトする工程と;
(iii)前記発現ベクターによってトランスフェクトされた前記宿主細胞を培養する工程と
を含み、これにより前記ポリペプチドを生成する、方法。
(項目19)
前記mRNA翻訳エンハンサーエレメントは、配列番号5〜35からなる群より選択される配列と実質的に同一の配列からなる、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記mRNA翻訳エンハンサーエレメントは、配列番号5〜35からなる群より選択される配列と同一の配列からなる、項目18に記載の方法。
(項目21)
前記組換えポリペプチドを精製する工程をさらに含む、項目18に記載の方法。
(項目22)
前記宿主細胞はCHO細胞である、項目18に記載の方法。
(項目23)
前記ポリペプチドは治療タンパク質である、項目18に記載の方法。