(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コイル端部の内側ねじに切欠が形成されたタングレスコイルスレッド挿入体を、取付穴に取り付けまたはこれから取り外すためのタングレスコイルスレッド用工具であって、
前記タングレスコイルスレッド挿入体を保持するための雄螺子部を先端側の側周部に形成し、軸線方向に沿って溝を形成するとともに、該溝に連通する開口部を前記雄螺子部の先端側に形成し、後端側に取っ手を有した樹脂製のマンドルと、
前記マンドルの前記溝内に設けられた、先端部に前記タングレスコイルスレッド挿入体の切欠に係脱可能に係合する爪部を有するパウルと、を備え、
前記パウルは、前記爪部が前記マンドルの前記開口部から出没可能となるように前記溝内に配置され、
前記パウルには、前記爪部を前記開口部から出没させる出没手段が設けられ、
前記爪部は、前記タングレスコイルスレッド挿入体の、先端側の切欠と後端側の切欠の双方に係合可能なよう、平板状に形成されていることを特徴とするタングレスコイルスレッド用工具。
【背景技術】
【0002】
慣用的なワイヤからなるタングレスコイルスレッド挿入体(ワイヤ・コイル状のねじ挿入体)は、外周面と内周面とにそれぞれ外側ねじと内側ねじとを形成したコイルであり、その内側ねじの両端部に、取り付けあるいは取り外し用の切欠を形成したものである。
タングレスコイルスレッド用工具は、前記タングレスコイルスレッド挿入体の切欠に駆動力(回転力)を付与して該挿入体を他部材(母材)のタップ穴(取付穴)に取り付け、または取り外しを行うためのものである。このようなタングレスコイルスレッド用工具によって取付穴に取り付けられるタングレスコイルスレッド挿入体は、硬度の不足する部材に雌ねじを形成する場合に広く利用されており、挿入時の引っ掛け用で後に折り取る必要のあるタングが最初からないことを特徴としている。
【0003】
タングレスコイルスレッド用工具としては、管状体内に、その先端部が該管状体から突出するように、かつその突出寸法が調整可能となるようにマンドルが挿入配置され、前記マンドルに、該マンドルの軸線に沿って該マンドルの側面側が開口する溝が形成されると共に、該溝内に先端部にフック部を有する長尺のパウルが挿入配置され、該パウルが、その中間部がピンを介して前記マンドルに回動自在、かつ回動したときに前記フック部が前記マンドルの先端部にて前記溝の開口部から出没自在となるように取り付けられ、前記溝内には、常態において前記フック部を前記溝の開口部から突出するように付勢する付勢部材が配置され、前記溝は、少なくとも前記ピンの位置する部位から前記先端部に到る間が前記マンドルの軸線に沿って直線的に連続する前記フック部の出没する開口部を含む開口部とされているものが提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このタングレスコイルスレッド用工具によれば、パウルが装着される溝の開口部は、パウルのフック部が突出する開口部を含んでいるので、この溝を機械加工する際に、内部に段差が生じることがなく、パウルが回動不良を起こすことが阻止される。また、従来必要とされていた、溝加工部の段差を取り除く研削加工が不要となり、加工工数が減るのでコストを下げて安価とすることが可能となる。また、開口部の数が従来に比較して少なくて済むので、マンドルの強度を上げることが可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記のタングレスコイルスレッド用工具は、前述のように機能的には大変優れているものの、部品を構成する点数が多いことから機構が複雑になり、加工工数や組立工数も多くなるためコストが高いという課題がある。
また、前記のタングレスコイルスレッド用工具は、特に規定されていないものの各部材が金属製であるものと推察されるが、その場合には重くなることで操作性が悪くなり、また、錆び防止のための手入れも必要になるなど、使い勝手が良くないといった課題もある。
【0007】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、構成を簡易にして部品点数や加工工数・組立工数を少なくし、これによってコストの低減化を図るとともに、使い勝手も良くしたタングレスコイルスレッド用工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のタングレスコイルスレッド用工具は、コイル端部の内側ねじに切欠が形成されたタングレスコイルスレッド挿入体を、取付穴に取り付けまたはこれから取り外すためのタングレスコイルスレッド用工具であって、前記タングレスコイルスレッド挿入体を保持するための雄螺子部を先端側の側周部に形成し、軸線方向に沿って溝を形成するとともに、該溝に連通する開口部を前記雄螺子部の先端側に形成し、後端側に取っ手を有した樹脂製のマンドルと、前記マンドルの前記溝内に設けられた、先端部に前記タングレスコイルスレッド挿入体の切欠に係脱可能に係合する爪部を有するパウルと、を備え、前記パウルは、前記爪部が前記マンドルの前記開口部から出没可能となるように前記溝内に配置され、前記パウルには、前記爪部を前記開口部から出没させる出没手段が設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のタングレスコイルスレッド用工具において、前記パウルは、前記マンドルとは別に形成された部材からなることが好ましい。
【0010】
また、本発明のタングレスコイルスレッド用工具において、前記爪部は、前記タングレスコイルスレッド挿入体の、先端側の切欠と後端側の切欠の双方に係合可能なよう、平板状に形成されていることが好ましい。
【0011】
また、本発明のタングレスコイルスレッド用工具において、前記パウルは、後端部が前記マンドルの後端側に固定されたことで先端側が可撓性を有して構成され、かつ、中間部に操作部を有することで該操作部の操作によって前記爪部が前記開口部から出没するように構成され、前記操作部は、前記マンドルにおける前記雄螺子部の後端部またはその近傍に形成された第2の開口部から突出して配設された突起により、形成されていることが好ましい。
【0012】
また、本発明のタングレスコイルスレッド用工具においては、コイル端部の内側ねじに切欠が形成されたタングレスコイルスレッド挿入体を、取付穴に取り付けるためのタングレスコイルスレッド用工具であって、前記開口部は、その先端が、前記雄螺子部の先端側の螺子山3つ以内に位置するように、前記マンドルに形成されたことが好ましい。
【0013】
また、本発明のタングレスコイルスレッド用工具においては、コイル端部の内側ねじに切欠が形成されたタングレスコイルスレッド挿入体を、取付穴から取り外すためのタングレスコイルスレッド用工具であって、前記マンドルには、前記雄螺子部より先端側に柱状の非螺子部が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のタングレスコイルスレッド用工具によれば、マンドルとパウルとによって構成されているので、部品点数が少なく、したがって加工工数・組立工数が少なくなるため、コストが充分に低減化されたものとなる。
また、マンドルが樹脂製であるため軽量で操作性が良く、また錆びることもないため手入れもほとんど不要になり、したがって使い勝手も良いものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明のタングレスコイルスレッド用工具を詳しく説明する。なお、以下の図面においては、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0017】
図1(a)、(b)は本発明のタングレスコイルスレッド用工具の一実施形態を示す図であり、(a)はタングレスコイルスレッド用工具の平面図、(b)は(a)のA−A線矢視断面図である。これらの図において符号1はタングレスコイルスレッド用工具であり、このタングレスコイルスレッド用工具(以下、工具と記す)1は、後述するタングレスコイルスレッド挿入体を取付穴に取り付け、またはこれから取り外すためのものである。
【0018】
すなわち、この工具1は、マンドル2と、
図1(b)に示すようにマンドル2内に配設されたパウル3とを備えて構成されている。
マンドル2は、
図1(a)に示すようにその先端側の側周部に、後述するタングレスコイルスレッド挿入体を螺合した状態で保持するための雄螺子部4を有し、この雄螺子部4より後端側に柱状部5を有し、さらにこの柱状部5の後端部に取っ手6を有したもので、平面視T字状に形成されたものである。このマンドル2は、例えばポリアミド系樹脂(ナイロン)などの硬質の樹脂によって製造された一体成形品である。
【0019】
このマンドル2には、
図1(b)に示すようにその軸線方向に沿って溝7が形成されている。この溝7は、前記雄螺子部4の先端より少し後端側から、柱状部5の後端側にまで延びて形成されたもので、マンドル2の半径方向における一方の側に開口して形成されている。この溝7には、その先端側、すなわち雄螺子部4の先端側に第1の連通孔8が連通して形成され、中間部、すなわち雄螺子部4と柱状部5との境界部(雄螺子部4の後端部またはその近傍)に第2の連通孔9が連通して形成され、後端部、すなわち柱状部5の後端側に第3の連通孔10が連通して形成されている。これら第1の連通孔8、第2の連通孔9、第3の連通孔10には、
図1(a)に示すようにマンドル2の半径方向における他方の側に、それぞれ第1の開口部8a、第2の開口部9a、第3の開口部10aが形成されている。
【0020】
パウル3は、
図1(b)に示すようにステンレス等の金属製の細長い板材によって形成されており、マンドル2の前記溝7内に挿入されて、該溝7内に保持されている。すなわち、このパウル3には、その先端部に爪部11が形成され、中間部に操作部12が形成され、後端部に固定部13が形成されている。そして、円柱状(丸棒状)の固定部13が前記第3の連通孔10に圧入されたことにより、パウル3は溝7内に保持固定されている。
【0021】
爪部11は、本実施形態では平板状の突起によって形成されており、第1の連通孔8内に移動可能に挿入配置されている。すなわち、爪部11はその平板状の突起の表裏両面が、マンドル2(雄螺子部4)の軸線方向と直交する方向に向くように形成配置されている。操作部12も、平板状の突起によって形成されており、第2の連通孔9内に移動可能に挿入配置されている。これら爪部11、操作部12は、前記固定部13と異なり、対応する連通孔8(9)内に充分な遊びを持って挿入され、したがってこれら連通孔8(9)の内面に干渉されることなく、その長さ方向に移動可能になっている。
【0022】
また、これら爪部11、操作部12は、
図1(b)に示した通常時にはそれぞれ第1の開口部8a、第2の開口部9aから外側に所定長さ突出するように構成されている。爪部11は、使用時において雄螺子部4に保持されるタングレスコイルスレッド挿入体の切欠に係合可能なように突出している。また、操作部12は、これを押圧することでパウル3の先端側を撓ませ、爪部11を第1の開口部8aから下方に埋没させることができるように突出している。
【0023】
また、パウル3は、その後端部の固定部13のみがマンドル2に固定され、残部は全てマンドル2に対して固定されることなく自由な状態で、溝7内に保持されている。したがって、パウル3は固定部13と反対の側、すなわち先端側が可撓性を有したもの、すなわちバネ性を有したものとなっている。そして、これによってパウル3の先端側は、第1の連通孔8や第2の連通孔9の軸方向に移動可能となっている。
【0024】
また、パウル3は、
図1(b)に示したように操作部12が押圧されない通常時には、その爪部11と操作部12との間がマンドル2の溝7の底部、すなわち第1の連通孔8や第2の連通孔9、第3の連通孔10を形成した側に当接した状態に保持される。そして、この通常時の状態において、パウル3は前記したようにその爪部11が本発明の開口部となる第1の開口部8aより所定長さ突出し、操作部12も第2の開口部9aより所定長さ突出した状態に保持される。
【0025】
このような構成のもとに、通常時の状態において第2の開口部9aより突出した操作部12を押圧すると、パウル3はその後端部の固定部13が固定されていることで先端側が溝7側に撓み(弾性変形し)、爪部11が第1の連通孔8内に埋没する。また、その状態から操作部12に対する押圧を解除すると、パウル3はバネ性(可撓性)を発揮して弾性復帰し、爪部11は第1の開口部8aから再度突出する。これにより、爪部11は第1の開口部8aから出没可能に構成されている。また、このような爪部11の出没が、操作部12の押圧操作によってなされるようになっている。すなわち、操作部12によって本発明の出没手段が形成されている。
【0026】
また、爪部11には、
図2に示すように第1の開口部8aから突出する部位に、その一部、すなわちパウル3の先端側が切り欠かれたことにより、突出部11aが形成されている。突出部11aは、
図2中二点鎖線で示すタングレスコイルスレッド挿入体20の一巻目の切欠部に係脱可能に係合するように構成されたもので、その幅がタングレスコイルスレッド挿入体20の一巻分(一山分)の幅にほぼ等しくなるように形成されている。
【0027】
ここで、爪部11の幅(パウル3の長さ方向に沿う幅)を突出部11aの幅より大きくし、突出部11a側においてその一部を切り欠いて幅の狭い突出部11aを形成しているのは、使用時、すなわちタングレスコイルスレッド挿入体20の挿入時に力が突出部11aに集中してかかるため、この突出部11aを補強するためである。また、パウル3の先端側を切り欠いたのは、タングレスコイルスレッド挿入体20を他部材(母材)21の取付穴(タップ穴)22に挿入し取り付ける際、爪部11が他部材21の取付穴22の開口縁に当接し干渉することで、取付穴22へのタングレスコイルスレッド挿入体20の挿入が妨げられるのを防ぐためである。
【0028】
また、爪部11は平板状に形成されており、したがって突出部11aも、
図3に示すように平板状に形成されている。したがって、その一方の面側と他方の面側との間で差異がなく、これによっていずれの面もタングレスコイルスレッド挿入体20の切欠20aに容易に係合するようになっている。
【0029】
このような構成の工具1によって他部材21、例えばアルミニウムや樹脂からなる強度の低い部材の取付穴(タップ穴)22にタングレスコイルスレッド挿入体20を取り付けるには、まず、
図1(a)、(b)に示した工具1のマンドル2の雄螺子部4にタングレスコイルスレッド挿入体20を装着(螺着)させる。すなわち、操作部12を押圧して爪部11の突出部11aを第1の開口部8aより下に埋没させる。そして、その状態でタングレスコイルスレッド挿入体20に対してマンドル2を前進させ、その先端側の雄螺子部4をタングレスコイルスレッド挿入体20の中に挿通させ、かつ螺合させる。その際、必要に応じてマンドル2をタングレスコイルスレッド挿入体20に対して相対的に回転させる。
【0030】
そして、パウル3の爪部11の突出部11aがタングレスコイルスレッド挿入体20の一巻目を通過したら、操作部12の押圧を解除して爪部11の突出部11aを第1の開口部8aから再度突出させる。そして、その状態でタングレスコイルスレッド挿入体20を雄螺子部4に対して相対的に回転させる。すると、タングレスコイルスレッド挿入体20にはその先端部の内側ねじに
図3に示したように切欠20aが形成されているので、突出部11aの一方の面が切欠20aに係合することにより、雄螺子部4に対するタングレスコイルスレッド挿入体20の相対的な回転が停止する。
【0031】
なお、タングレスコイルスレッド挿入体20には、その後端部の内側ねじにも、切欠20aが形成されている。ただし、タングレスコイルスレッド挿入体20はその先端部と後端部が互いに逆方向に向いているため、切欠20aの切欠方向も逆になっている。
【0032】
このようにしてタングレスコイルスレッド挿入体20の先端側の切欠20aに爪部11の突出部11aを係合させたら、他部材21の取付穴22にタングレスコイルスレッド挿入体20を挿入する。すなわち、他部材21に対して垂直に工具1を保持し、その状態で強く押し付けないようにしながら工具1を回し、タングレスコイルスレッド挿入体20を順方向に回転させて取付穴22の所定位置まで挿入する。
【0033】
タングレスコイルスレッド挿入体20を取付穴22の所定位置まで挿入したら、工具1を逆方向に回転させ、雄螺子部4をタングレスコイルスレッド挿入体20から引き出す。その際、タングレスコイルスレッド挿入体20には後端部の内側ねじにも切欠20aが形成されているため、爪部11の突出部11aがこの切欠20aを通過するときには、操作部12を押圧して突出部11aを第1の開口部8aより下に埋没させる。これにより、突出部11aが後端部側の切欠20aに係合するのを回避することができる。このようにして工具1の雄螺子部4をタングレスコイルスレッド挿入体20から引き出すことにより、タングレスコイルスレッド挿入体20を取付穴22の所定位置に取り付けることができる。
【0034】
なお、タングレスコイルスレッド挿入体20については、異なるサイズのものが複数用意されており、取付穴22の大きさ等によって適宜選択され用いられる。一方、工具1についても、タングレスコイルスレッド挿入体20のサイズに対応して、特に雄螺子部4の螺子径が異なる複数種のものが用意される。
【0035】
また、取付穴22からタングレスコイルスレッド挿入体20を取り外す場合には、工具1を他部材21に対して垂直に保持し、その状態で操作部12を押圧し、突出部11aを第1の開口部8aより下に埋没させておく。そして、その状態で雄螺子部4の先端部をタングレスコイルスレッド挿入体20に回し入れる。爪部11がタングレスコイルスレッド挿入体20の後端側の一巻目を通過したら、操作部12の押圧を解除し、突出部11aを再度突出させる。
【0036】
続いて、マンドル2を逆方向に回し、突出部11aをタングレスコイルスレッド挿入体20の後端部側の切欠20aに係合させる。そして、工具1を逆方向に回転することによってタングレスコイルスレッド挿入体20を回転させ、このタングレスコイルスレッド挿入体20を他部材21から取り外す。その後、再度操作部12を押圧し、突出部11aを第1の開口部8aより下に埋没させた状態でタングレスコイルスレッド挿入体20を雄螺子部4に対して相対的に回転させ、タングレスコイルスレッド挿入体20を雄螺子部4から取り外す。
【0037】
このように本実施形態の工具1にあっては、本発明の出没手段となる操作部12の押圧操作およびその解除操作によって突出部11aを雄螺子部4上に出没させることにより、突出部11aをタングレスコイルスレッド挿入体20の切欠20aに容易に係合させることができる。したがって、タングレスコイルスレッド挿入体20を他部材21の取付穴22に容易に取り付けることができ、また、タングレスコイルスレッド挿入体20を取付穴22から容易に取り外すことができる。
【0038】
そして、このような工具1をマンドル2とパウル3とによって構成しているので、部品点数が少なく、したがって加工工数・組立工数を少なくすることができるため、コストを充分に低減化することができる。
また、マンドル2を樹脂製にしたため、工具1が軽量で操作性が良くなり、またマンドル2が錆びることもないため手入れがほとんど不要になり、したがって使い勝手を良くすることができる。
【0039】
また、突出部11aを含む爪部11を平板状に形成し、突出部11aを、タングレスコイルスレッド挿入体20の先端側の切欠20aと後端側の切欠20aの双方に係合可能にしたので、同一の工具1によってタングレスコイルスレッド挿入体20の取り付けと取り外しを共に行うことができ、したがって使い勝手をより良くすることができる。
【0040】
また、操作部12を、雄螺子部4と柱状部5との境界部、すなわち雄螺子部4の後端部またはその近傍となる位置に形成された第2の開口部9aに対応して、パウル3の中間部に設けたので、操作部12によって雄螺子部4の機能を損なうことなく、雄螺子部4のほぼ全長を雄螺子として機能させることができる。また、操作部12を作用点となる爪部11と比較的近い位置に配置しているので、操作部12の押圧操作をより軽い力で行うことができる。
【0041】
また、工具1を樹脂製のマンドル2と金属製のパウル3とによって構成しているので、例えば廃棄する際にはマンドル2からパウル3を取り外すことにより、容易に分別廃棄を行うことができる。
【0042】
次に、本発明の変形例を説明する。
図4(a)、(b)は本発明のタングレスコイルスレッド用工具の第1変形例を示す図であり、(a)はタングレスコイルスレッド用工具の平面図、(b)は(a)のB−B線矢視断面図である。これらの図において符号30はタングレスコイルスレッド用工具であり、このタングレスコイルスレッド用工具30は、
図2、
図3に示したタングレスコイルスレッド挿入体20を取付穴22に取り付ける(挿入する)ためのもの、すなわち取り付け専用(挿入専用)の工具である。
【0043】
この工具30は、基本的には
図1(a)、(b)に示したタングレスコイルスレッド用工具1と同様の構成からなるものである。したがって、タングレスコイルスレッド用工具1と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
第1変形例の工具30が前記工具1と主に異なるところは、
図4(a)に示すようにそのマンドル2の取っ手6にT字状の凹部31を形成し、該凹部31内に二つの貫通孔32、33を形成している点と、マンドル2の取っ手6側の側周面に、切欠部34を形成した点である。
【0044】
貫通孔32、33は、ここに紐や取り付けリングなどを挿通することにより、工具30をキーホルダーなどの他のアイテムに締結できるようにしたものである。
切欠部34は、樹脂製のマンドル2の成形上の精度を確保するための肉抜き部である。
【0045】
また、この工具30は、マンドル2の先端、すなわちパウル3の爪部11を突出させる開口部8aより先端側が、充分に短く形成されている。具体的には、開口部8aはその先端(マンドル2の先端側の端縁)が、雄螺子部4の先端側の螺子山3つ以内に位置するように、マンドル2に形成されている。本例では、
図4(a)、(b)に示すように開口部8aの先端が、雄螺子部4の先端からほぼ2つ目の螺子山に、すなわち2つ目の螺子山から3つ目の螺子山にかけて、位置させられている。
【0046】
このような構成によって工具30は、他部材21の取付穴(タップ穴)22にタングレスコイルスレッド挿入体20を取り付ける際、マンドル2の先端が取付穴22の最深部に干渉してしまうことが防止されている。すなわち、
図5に示すように他部材21の取付穴(タップ穴)22にタングレスコイルスレッド挿入体20を取り付ける際、マンドル2の先端部となる部分35(パウル3の爪部11を突出させる開口部8aより先端側に位置する部分35)が充分に短く形成されていることから、この先端部分35が袋穴である取付穴22の最深部に当接して干渉してしまい、タングレスコイルスレッド挿入体20の挿入が妨げられてしまうことが防止されている。
【0047】
よって、本例の取り付け専用(挿入専用)の工具30にあっては、マンドル2の開口部8aより先端側の部分35を充分に短く形成しているので、他部材21の取付穴22にタングレスコイルスレッド挿入体20を取り付ける際、マンドル2の先端が取付穴22の最深部に干渉してしまうことがなく、したがってタングレスコイルスレッド挿入体20を取付穴22に容易に、かつ良好に取り付けることができる。
【0048】
図6(a)、(b)は本発明のタングレスコイルスレッド用工具の第2変形例を示す図であり、(a)はタングレスコイルスレッド用工具の平面図、(b)は(a)のC−C線矢視断面図である。これらの図において符号40はタングレスコイルスレッド用工具であり、このタングレスコイルスレッド用工具40は、
図2、
図3に示したタングレスコイルスレッド挿入体20を取付穴から取り外す(抜き取る)ためのもの、すなわち取り外し専用(抜き取り専用)の工具である。
【0049】
この工具40も、基本的には
図1(a)、(b)に示したタングレスコイルスレッド用工具1、および
図4(a)、(b)に示したタングレスコイルスレッド用工具30と同様の構成からなるものである。したがって、これらタングレスコイルスレッド用工具1、30と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
第2変形例の工具40にも、
図4(a)、(b)に示したタングレスコイルスレッド用工具30と同様に、マンドル2の取っ手6にT字状の凹部31を形成し、該凹部31内に二つの貫通孔32、33を形成している。また、マンドル2の取っ手6側の側周面に、切欠部34を形成している。
【0050】
しかし、この工具40では、前記工具1、30と異なり、
図6(a)に示すようにマンドル2の先端部、すなわち前記雄螺子部4より先端側に、円柱状の非螺子部41が形成されている。この非螺子部41は、雄螺子部4の谷部における外径とほぼ同じ外径に形成されたもので、長さが、例えば対象とするタングレスコイルスレッド挿入体20の呼び長さとほぼ同じ長さに形成されている。このような構成によって非螺子部41は、タングレスコイルスレッド挿入体20を取付穴22から取り外す(抜き取る)際に、パイロット部として機能するようになっている。
【0051】
すなわち、他部材21の取付穴22に取り付けられているタングレスコイルスレッド挿入体20を取付穴22から取り外す際、
図7(a)に示すように工具40を、取付穴22内のタングレスコイルスレッド挿入体20内に挿入し、爪部11の突出部11aをタングレスコイルスレッド挿入体20の後端部側の切欠(図示せず)に係合させる。その際、雄螺子部4より先端側に非螺子部41を形成しているので、この非螺子部41が取付穴22内のタングレスコイルスレッド挿入体20内にてパイロット部として機能し、雄螺子部4の中心軸が取付穴22の中心軸に対して傾いてしまうのを防止することができる。
【0052】
したがって、その状態で工具40を回転することにより、
図7(b)に示すようにタングレスコイルスレッド挿入体20を取付穴22から取り外すことができる。その際、非螺子部41によって雄螺子部4の中心軸が取付穴22の中心軸に対して傾いてしまうのが防止されているため、タングレスコイルスレッド挿入体20に対して斜めに力が加わることなく、その中心軸線に沿って力が伝わることにより、タングレスコイルスレッド挿入体20が取付穴22から真っ直ぐに取り外されるようになる。
【0053】
よって、本例の取り外し専用(抜き取り専用)の工具40にあっては、マンドル2の先端部(雄螺子部4より先端側)に非螺子部41を形成しているので、タングレスコイルスレッド挿入体20を取付穴22から取り外す際に非螺子部41をパイロット部として機能させることでタングレスコイルスレッド挿入体20を真っ直ぐ引き出すことができ、これによってタングレスコイルスレッド挿入体20を取付穴22から容易に、かつ良好に取り外すことができる。
【0054】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、工具1を樹脂製のマンドル2と金属製のパウル3の異なる部材によって構成したが、パウル3も樹脂製とすることで、マンドル2とパウル3とを同じ樹脂によって一体に形成してもよい。