(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873527
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】スリーブクランプ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/58 20060101AFI20160216BHJP
【FI】
A61B17/58
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-116462(P2014-116462)
(22)【出願日】2014年6月5日
(65)【公開番号】特開2014-236981(P2014-236981A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2014年6月5日
(31)【優先権主張番号】13171062.6
(32)【優先日】2013年6月7日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507015952
【氏名又は名称】ストライカー トラウマ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100133983
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 均
(72)【発明者】
【氏名】オーレ プリーン
【審査官】
沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】
欧州特許出願公開第02548523(EP,A1)
【文献】
特開2004−065977(JP,A)
【文献】
特開2004−154574(JP,A)
【文献】
特開平11−318934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリーブを受け入れるための貫通ボアを備える本体と、
クランプ縁とベースとを有するクランプ素子とを含む、
スリーブクランプであって、
前記貫通ボアは、長手軸を含み、前記クランプ素子は、前記貫通ボアの前記長手軸に対して実質的に垂直な方向において前記ベースから前記クランプ縁まで延び、
前記クランプ素子は、中立位置と偏向位置との間で移動可能であるよう前記本体に配置され、前記中立位置において、前記クランプ縁は、前記スリーブが前記貫通ボア内に受け入れられるときに前記スリーブによって占められる管腔内に横方向に突出し、前記偏向位置において、前記クランプ素子は、前記長手軸の方向において弾性的に変形させられ、前記クランプ縁は、前記管腔内に突出しない、
スリーブクランプ。
【請求項2】
前記クランプ素子は、板バネとして形成される、請求項1に記載のスリーブクランプ。
【請求項3】
前記クランプ素子は、前記本体と一体的に形成される、請求項1又は2に記載のスリーブクランプ。
【請求項4】
前記クランプ縁は、前記スリーブの外周のある区画に適合するよう湾曲させられる、請求項1乃至3のうちの何れか1項に記載のスリーブクランプ。
【請求項5】
前記クランプ素子を手動で偏向させるための押しボタンを更に含む、請求項1乃至4のうちの何れか1項に記載のスリーブクランプ。
【請求項6】
前記クランプ素子は、前記本体内に配置され、前記本体は、開口を更に含み、前記押しボタンは、前記開口内に配置される、請求項5に記載のスリーブクランプ。
【請求項7】
前記押しボタンは、前記開口を通じて前記開口から突出する、請求項6に記載のスリーブクランプ。
【請求項8】
前記クランプ素子は、ベース部分と、クランプ縁を含む自由端部分と、中央部分とを含み、前記クランプ素子は、前記ベース部分で、前記本体に取り付けられ、前記押しボタンは、前記クランプ素子の前記中央部分に取り付けられる、請求項5乃至7のうちの何れか1項に記載のスリーブクランプ。
【請求項9】
前記押しボタンは、前記クランプ素子と一体的に形成される、請求項8に記載のスリーブクランプ。
【請求項10】
前記押しボタンは、頂部表面を含み、前記本体は、前記開口を取り囲む外表面を含み、前記押しボタンの前記頂部表面は、前記クランプ素子が前記偏向位置にあるときに、前記本体の前記外表面と実質的に同じレベルにある、請求項6乃至9のうちの何れか1項に記載のスリーブクランプ。
【請求項11】
当該スリーブクランプは、骨ネジの挿入用のスリーブを前記骨ネジを受け入れるための骨釘の係止孔と整列させるための標的装置の一部として形成される、請求項1乃至10のうちの何れか1項に記載のスリーブクランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスリーブを保持するための装置に関する。具体的には、本発明はスリーブクランプに関する。
【背景技術】
【0002】
所定の経路に沿ってネジを導くためにスリーブを利用し得る。具体的には、例えば、骨の骨折を固定するために、骨ネジを骨内に挿入するときに、軟組織を傍らで保持するために、組織保護スリーブを利用し得る。
【0003】
ネジの挿入に先立ち、スリーブはボアを穿孔するためのドリルのような器具又は挿入されるべきネジのアプローチ長を決定するための測定器具の挿入を容易化し得る。
【0004】
しかしながら、骨を取り囲む軟組織構造によってスリーブを移動させ得るので、ネジ挿入に影響を及ぼし得る。
【0005】
特許文献1は、キルシュナー銅線用のクランプを記載している。キルシュナー銅線を所定の場所に保持するために、スリーブ内に受け入れられるキルシュナー銅線は、スリーブの縁に対して横方向に押される。しかしながら、キルシュナー銅線はスリーブ内で傾く、即ち、銅線軸はスリーブ軸に対して傾斜させられる。
【0006】
特許文献2及び特許文献3は、標的アームを備える標的装置を開示しており、標的アームは、固体部分と、弾性部分とを含む。弾性部分は、スリットによって固体部分から分離されている。ワイヤ又はスリーブを受け入れるための貫通ボアが、固体部分及び弾性部分の両方を通じて形成されている。貫通ボア内に挿入されるときに、ワイヤ又はスリーブの位置を固定するために弾性部分を用い得る。
【0007】
特許文献4は、スリーブと協働し得る可撓に偏向可能なレバーを記載しており、レバーが弛緩又は解放状態にあるとき、スリーブは締付け式に標的アーム部分の横断ボアを通じて案内される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2082698号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1415599号明細書
【特許文献3】米国特許第6039739号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2004/0059329号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ワイヤ又はスリーブのような細長い素子の位置及び向きに影響を及ぼすことなく、ワイヤ又はスリーブのような細長い素子を容易に且つ堅固に保持するための装置を提供することを、本発明の目的として定め得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は独立項の主題によって達成される。更なる実施態様は従属項中に記載される。
【0011】
一般的には、スリーブクランプは、スリーブを受け入れるための貫通ボアを備える本体と、クランプ素子とを含む。クランプ素子は、クランプ縁を含み、2つの位置、即ち、中立位置と偏向位置との間で移動可能であるよう、本体に配置され得る。中立位置において、クランプ縁は、スリーブが貫通ボア内に受け入れられるときにスリーブによって占められる管腔内に横方向に突出する。偏向位置(撓み位置)において、クランプ素子を弾性的に変形させることができ、クランプ縁は、スリーブが貫通ボア内に受け入れられるときにスリーブによって占められる管腔内に突出しない。
【0012】
換言すれば、クランプ素子は、スリーブクランプの本体に設けられ、クランプ素子は、自由管腔内にスリーブが挿入されていない限り、自由管腔、例えば、貫通ボア内に突出する。スリーブが管腔内に挿入されるや否や、クランプ素子を管腔から外に移動させ得る。
【0013】
ある実施態様によれば、クランプ素子を弾性的に変形させ、クランプ素子のクランプ縁をスリーブの外表面に対して押し得る復元力をもたらし得る。更に、クランプ素子の復元力に抗してスリーブを挿入し、スリーブクランプの本体の貫通ボアを通じて押し得る。スリーブに対するクランプ縁の押付けは、スリーブを所定位置に保持する。クランプ素子の偏向(撓み)は、具体的には、スリーブ挿入方向と反対の方向において、スリーブに対して作用する如何なる力にさえも抗して、スリーブの軸方向移動を妨げる軸方向力成分を更にもたらす。
【0014】
ある実施態様によれば、クランプ素子を板バネとして形成し得る。他の実施態様によれば、クランプ素子は、スリーブを受け入れ得る貫通ボアの長手軸に対して実質的に垂直に延び得る。
【0015】
クランプ素子は、例えば、ネジ又はピンを用いて、接着剤の使用によって、或いは、溶接によってスリーブクランプの本体に取り付けられる、別個の素子であり得ることが理解されよう。1つの実施態様によれば、クランプ素子を本体と一体的に形成し得る。
【0016】
より十分な保持力を達成するために、クランプ縁をスリーブの外周のある区画のように湾曲させ得る。よって、スリーブの外周面でのクランプ素子の線接触を達成し得る。
【0017】
更なる実施態様によれば、スリーブクランプは、手動で作動させる、例えば、クランプ素子を偏向させる(撓ませる)ための押しボタンを含み得る。よって、力を妨げることなくスリーブを解放するよう或いはスリーブを受け入れるための管腔を完全に開放させるよう、クランプ素子を作動させ得る。
【0018】
ある実施態様によれば、クランプ素子を本体内に配置し得るし、本体は押しボタンを配置し得る開口を更に含み得る。また、押しボタンは、開口を通じて開口から外に突出し得る。
【0019】
クランプ素子は、ベース部分と、クランプ端を含む自由端部分と、中央部分とを含み得る。ベース部分で、クランプ素子を本体に取り付け得る。具体的には、押しボタンをクランプ素子の中央部分に取り付け得る。
【0020】
押しボタンをクランプ素子に取り付ける1つの可能性として、押しボタンをクランプ素子と一体的に形成し得る。
【0021】
ある実施態様によれば、クランプ素子が偏向位置にあるときに、押しボタンの頂部表面は、本体の外表面と実質的に同じレベルにあり得る。「実質的に同じレベル」は、特定の偏差を伴って実質的に1つの平面内にあるこものとして理解されるべきである。例えば、偏差(逸脱)は、クランプ素子の中立位置とクランプ素子の偏向位置との間の押しボタンの移動の経路長の最大30パーセント、特に15パーセントの範囲内にあり得る。
【0022】
ある実施態様によれば、本体の開口は、押しボタンの幅よりも僅かに大きいだけであり得る。そのような場合には、クランプ素子が偏向位置にある位置まで押しボタンを押すとき、指が本体の外表面と接触するようになり得る。押しボタン、よって、クランプ素子を更に移動させるのは困難であるので、クランプ素子の過剰な偏向(撓み)を防止し得る。
【0023】
ある実施態様によれば、上述のようなスリーブクランプを、骨ネジの挿入用のスリーブを骨ネジを受け入れるための骨釘の係止孔と整列させるための標的装置の一部として形成し得る。
【0024】
当業者は、上述の及び以下の記載から、特段に知らされない限り、1つの実施態様に属する機能の任意の組み合わせに加えて、他の実施態様に関する機能の任意の組み合わせもこの出願で開示されているものと考えられることを推察することを、記さなければならない。
【0025】
本発明の例示的な実施態様のこれらの及び他の目的、機能、及び利点は、付属の請求項と共に解釈されるときに、例示的な実施態様の以下の詳細な記載を判読した後に明らかになるであろう。
【0026】
次に、添付の図面を参照して、例示的な実施態様によって、本発明を詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】スリーブクランプのある実施態様を示す等角図である。
【
図2】クランプ素子が中立位置にある状態の
図1のスリーブクランプを示す断面図である。
【
図3】クランプ素子が偏向位置にある状態の
図1のスリーブクランプを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図面中の例示は概略的であるに過ぎず原寸通りでないことを記す。図面を通じて、同じ参照番号及び記号は、特段の断りのない限り、例示の実施態様の同等の機能、素子、構成部品、又は部分を示すために用いられる。その上、図面を参照して本発明を詳細に記載するが、例示的な実施態様に関してそのように行われ、本発明は付属の請求項によって定められるような図面中に例示される特定の実施態様によって限定されない。
【0029】
図1は、スリーブクランプ100のある実施態様の等角的な例示である。スリーブクランプ100は、本体140と、貫通ボア110と、クランプ素子120(締付け素子)と、押しボタン130とを含む。
【0030】
クランプ素子120は、本体140と一体的に形成され、クランプ素子120のベース124(基部)に移行部を備える。更に、クランプ素子120は、ベース124からある平面に実質的に沿って貫通ボア110の方向に並びに貫通ボア110内に延びており、クランプ縁122(締付け縁)を含むクランプ素子120の前端が、貫通ボアの管腔内に突出している。ここで、クランプ素子120は、本体140内で横方向凹部144によって形成される空間内に配置されており、横方向凹部144は、貫通ボア110と交差している。クランプ素子120は、軸112に対して概ね垂直である。
【0031】
クランプ素子120の中央部分で、押しボタン130がクランプ素子120に取り付けられている。具体的には、押しボタン130はクランプ素子120と一体的に形成されており、ベース132(基部)がクランプ素子120にあり、頂部表面134が本体140の開口142から突出している。
【0032】
図2の断面図には、横方向凹部144、開口142、及びクランプ縁122の位置が、より明確に記されている。横方向凹部144は、貫通ボア110と交差し、よって、貫通ボア110の表面において可視的な縁146を生成している。押しボタン130は、開口142内に配置されている。クランプ縁122は、貫通ボア110の管腔内に、即ち、貫通ボア110の表面を超えて突出している。更に、クランプ素子120が貫通ボア110の長手軸112に対して実質的に垂直に延びることが分かるように、貫通ボア110の長手軸112が描かれている。
【0033】
本体140から離れる方向に延びる部分300は、標的装置の一部であり得る。
【0034】
クランプ素子120は
図1及び2に示される中立位置にあるが、クランプ素子120は
図3に示される偏向位置(撓み位置)にもある。
【0035】
図3では、スリーブ200がスリーブクランプ100の貫通ボア内に挿入されている。スリーブクランプ100の貫通ボア110内のスリーブ200の如何なる横方向移動又は傾斜も妨げ得るよう、即ち、スリーブ200の長手軸230が貫通ボア110の軸112と一致するよう或いは同軸であるよう、スリーブ200のシャフト210は、貫通ボア110の直径に適合する直径を有する。スリーブシャフト210の前端(図示せず)から開始して、貫通ボア110内にスリーブ200を挿入するとき、スリーブシャフト210の前端は、先ず、クランプ縁122を含むクランプ素子120の端と接触するようになり、次に、クランプ素子120を偏向させる(撓ませる)ことによって、クランプ縁122を含むクランプ素子120の端を貫通ボア110の管腔から押し出す。クランプ素子120が偏向させられるとき、クランプ素子120は貫通ボア110の管腔に向かって作用するバネ力を発達させる。この力はクランプ素子120の縁122をスリーブ200の外表面と係合させ、スリーブ200を貫通ボア110内の所定の場所に自動的に保持する。
【0036】
締付け素子120が偏向位置にある状態で、押しボタン130の頂部表面134は、開口142を取り囲む本体140の外表面146のレベルに実質的にあるか、或いはそれよりも僅かに上のレベルにある。
【0037】
図3中の二重矢印は、クランプ素子120の偏向動作を示しており、その動作は、スリーブの長手軸230と実質的に平行である、即ち、偏向動作は、スリーブ軸230と一緒の平面内にある。押しボタン130を更に押すことによってクランプ素子120を更に偏向させることによって、クランプ縁122はスリーブシャフト210との接触から外れるので、スリーブ200は解放され、貫通ボア110から外に引き戻され得る。スリーブ200が取り外されるや否や、押しボタン130が解放され、クランプ素子120がその中立位置に戻るのを可能にする。
【0038】
本発明を図面中に詳細に例示し且つ上述の記述中に詳細に記載したが、そのような例示及び記述は例示的又は例証的であると考えられるべきであり、限定的であると考えられるべきではない。本発明は開示の実施態様に限定されない。請求項の発明を実施する当業者は、図面、本開示、及び付属の請求項の研究から、本開示の実施態様に対する他の変形を理解し且つ行い得る。
【0039】
請求項中、「含む」という用語は他の素子を排除せず、単数形の使用は複数形を排除しない。
【0040】
特定の手段が相互に異なる従属項において引用されているという単なる事実は、それらの手段の組み合わせを有利に用い得ないことを示さない。請求項中の如何なる参照符号も本発明の範囲を限定するものとして解釈されてはならない。
【符号の説明】
【0041】
100 スリーブクランプ
110 貫通ボア
112 (貫通ボアの)軸
120 クランプ素子
122 クランプ縁
124 (クランプ素子の)ベース
130 押しボタン
132 (押しボタンの)ベース
134 (押しボタンの)頂部表面
140 本体
142 開口
144 凹部
146 (本体の)外表面
200 スリーブ
210 (スリーブの)シャフト
220 (スリーブの)ヘッド
230 (スリーブの)軸
300 (本体から離れる方向に延びる)部分