(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記反応物は、更に他の二酸無水物を含み、且つ前記シロキサン二酸無水物の含有量は、前記シロキサン二酸無水物と前記他の二酸無水物との総量の10mol%〜99mol%であることを特徴とする請求項1に記載の液晶配向剤。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのため、本発明は、溶解度に優れ、重合体、液晶配向剤及び液晶配向膜の調製に有利するシロキサン二酸無水物を提供する。
【0005】
次に、本発明は、完全に環化されていない場合、溶解度に優れ、完全に環化されて且つベーキングされると、付着性と機械的性質が良くなり、液晶配向剤及び液晶配向膜の調製に有利である、前記シロキサン二酸無水物とジアミンが重合反応して得られた重合体を提供する。
【0006】
また、本発明は、溶解度に優れ、塗布に有利であり、且つ必要な加工温度が低く、省エネと環境への負荷の軽減に有利である、前記重合体を含む液晶配向剤を提供する。
【0007】
そして、本発明は、優れた垂直配向性及び付着性を有し、製品の信頼性を向上させる、前記液晶配向剤で形成された液晶配向膜を提供する。
【0008】
最後、本発明は、前記液晶配向膜を含む、製品の信頼性が優れる液晶表示素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によるシロキサン二酸無水物は、式(I)に示す構造を有する。
【化1】
G
1が式(II)又は式(III)であり、R
1〜R
6の少なくとも2つがフェニル基であり又は少なくとも1つが‐CH
2CH
2CF
3であり、残りがそれぞれ独立に1価の有機基である。nが0〜30の整数であり且つnが0である場合、R
1、R
2、R
5及びR
6の少なくとも2つがフェニル基であり又は少なくとも1つが‐CH
2CH
2CF
3である。
【0010】
式(I)に示す構造のシロキサン二酸無水物のR
1〜R
6の少なくとも2つがフェニル基であり又は少なくとも1つが‐CH
2CH
2CF
3である以外、残りがそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基であってよい。
【0011】
本発明による重合体は、上記式(I)に示す構造を有するシロキサン二酸無水物を含む反応物とジアミンが重合反応して得られ、ポリアミド酸、ポリイミド又はポリアミド酸‐ポリイミド共重合体を含む。R
1〜R
6の少なくとも2つがフェニル基であり又は少なくとも1つが‐CH
2CH
2CF
3であり、残りがそれぞれ独立に1価の有機基であり、nが0〜30の整数である。nが0である場合、R
1、R
2、R
5及びR
6の少なくとも2つがフェニル基であり又は少なくとも1つが‐CH
2CH
2CF
3である。
【0012】
上記式(I)に示す構造のシロキサン二酸無水物のR
1〜R
6の少なくとも2つがフェニル基であり又は少なくとも1つが‐CH
2CH
2CF
3である以外、残りがそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基であってよい。
【0013】
上記式(I)に示す構造のシロキサン二酸無水物のnが1であってよく、R
3及びR
4がフェニル基であってよく、且つR
1、R
2、R
5及びR
6がそれぞれ独立に炭素数1のアルキル基であってよい。
【0014】
上記式(I)に示す構造のシロキサン二酸無水物のnが4であってよく、R
3が‐CH
2CH
2CF
3であってよく、且つR
1、R
2、R
4、R
5及びR
6がそれぞれ独立に炭素数1のアルキル基であってよい。
【0015】
反応物は、更に他の二酸無水物を含んでよく、且つシロキサン二酸無水物の含有量は、シロキサン二酸無水物と他の二酸無水物との総量の10mol%〜99mol%であってよい。
【0016】
本発明による液晶配向剤は、上記式(I)に示す構造を有するシロキサン二酸無水物を含む反応物とジアミンが重合反応して得られた、ポリアミド酸、ポリイミド又はポリアミド酸‐ポリイミド共重合体を含む重合体を含む。R
1〜R
6の少なくとも2つがフェニル基であり又は少なくとも1つが‐CH
2CH
2CF
3であり、残りがそれぞれ独立に1価の有機基であり、nが0〜30の整数である。nが0である場合、R
1、R
2、R
5及びR
6の少なくとも2つがフェニル基であり又は少なくとも1つが‐CH
2CH
2CF
3である。
【0017】
上記式(I)に示す構造のシロキサン二酸無水物のR
1〜R
6の少なくとも2つがフェニル基であり又は少なくとも1つが‐CH
2CH
2CF
3である以外、残りがそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基であってよい。
【0018】
上記式(I)に示す構造のシロキサン二酸無水物のnが1であってよく、R
3及びR
4がフェニル基であってよく、且つR
1、R
2、R
5及びR
6がそれぞれ独立に炭素数1のアルキル基であってよい。
【0019】
上記式(I)に示す構造のシロキサン二酸無水物のnが4であってよく、R
3が‐CH
2CH
2CF
3であってよく、且つR
1、R
2、R
4、R
5及びR
6がそれぞれ独立に炭素数1のアルキル基であってよい。
【0020】
反応物は、更に他の二酸無水物を含んでよく、且つシロキサン二酸無水物の含有量は、シロキサン二酸無水物と他の二酸無水物との総量の10mol%〜99mol%、30mol%〜99mol%又は70mol%〜99mol%であってよい。
【0021】
本発明による液晶配向膜は、前記液晶配向剤により形成されている。
本発明による液晶表示素子は、前記液晶配向膜を含む。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、シロキサン二酸無水物及びシロキサン二酸無水物で製造された一連の重合体、液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶配向膜を含む液晶表示素子を提供する。
【0024】
(シロキサン二酸無水物)
本発明によるシロキサン二酸無水物は、式(I)に示す構造を有するものであって、
【化1】
G
1が式(II)又は式(III)であり、R
1〜R
6の少なくとも2つがフェニル基であり又は少なくとも1つが‐CH
2CH
2CF
3であり、残りがそれぞれ独立に1価の有機基であり、好ましくは、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基である。一方、nが0〜30の整数であり且つnが0である場合、R
1、R
2、R
5及びR
6の少なくとも2つがフェニル基であり又は少なくとも1つが‐CH
2CH
2CF
3である。また、好ましくは、nが1〜15の整数であり、より好ましくは、1〜4の整数である。
【0025】
上記式(I)に示す構造のシロキサン二酸無水物は、典型的なヒドロシリル化反応(Hydrosilylation)によって調製されることができる。より具体的には、酸無水物前駆体を溶剤に溶解して、遷移金属の触媒作用でシロキサン前駆体とヒドロシリル化反応させて得られるものであり、また、反応の後、更に脱溶剤化して純度を向上させることができる。反応温度として、通常40℃〜110℃であり、好ましくは、90℃〜110℃であり、反応時間として、通常2時間〜30時間であり、好ましくは8時間〜12時間である。溶剤としては、例えば、典型的なヒドロシリル化反応の常用の溶媒であり、好ましくは、エチルエーテル、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran;THF)又は酢酸エチルであり、より好ましくはトルエンである。触媒としては、例えば、有名なSpeier触媒、Karstedt触媒(例えば、PC072、PC075等の市販製品、United Chemical Tech., Inc.)、Ashby触媒(例えば、PC085等の市販製品、United Chemical Tech., Inc.)、Lamoreaux触媒等の、遷移金属プラチナを含む触媒である。
【0026】
上記式(I)に示す構造のシロキサン二酸無水物を調製するためのシロキサン前駆体は、以下の表1に示す化合物から選択されたものであってよく、酸無水物前駆体は、以下の表2に示す化合物から選択されたものであってよい。ただし、シロキサン前駆体と酸無水物前駆体は、例示された化合物に限定されるものではなく、シロキサン前駆体が少なくとも2つのフェニル基又は少なくとも1つの‐CH
2CH
2CF
3基を有し、酸無水物前駆体がノルボルネン構造又はテトラヒドロ無水フタル酸構造を含有すればよい。
【0029】
(重合体)
本発明による重合体は、反応物とジアミンが重合反応して得られる。より具体的には、反応物を溶剤に溶解して、ジアミンを添加して重合反応して得られるものであり、反応過程において必要に応じて同じ溶剤で重合体の固形分を調整してよい。反応温度として、通常20℃〜180℃であり、好ましくは60℃〜110℃であり、反応時間として、通常2時間〜24時間であり、好ましくは4時間〜12時間であり、より好ましくは8時間である。固形分としては、通常10wt%〜50wt%であり、好ましくは10wt%〜30wt%であり、より好ましくは15wt%である。
【0030】
反応物としては、上記式(I)に示す構造のシロキサン二酸無水物を含み、且つ上記式(I)に示す構造のシロキサン二酸無水物は、好ましくは、nが1であり、R
3及びR
4がフェニル基であり、且つR
1、R
2、R
5及びR
6がそれぞれ独立に炭素数1のアルキル基であり、あるいは、nが4であり、R
3が‐CH
2CH
2CF
3であり、且つR
1、R
2、R
4、R
5及びR
6がそれぞれ独立に炭素数1のアルキル基である。溶剤としては、例えば、N‐メチルピロリドン(N‐methylpyrrolidinone;NMP)、N,N‐ジメチルホルムアミド(dimethylformamide;DMF)、N,N‐ジメチルアセトアミド(dimethylacetamide;DMAc)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide;DMSO)、N‐メチルカプロラクタム、イソプロパノール(isopropyl alcohol;IPA)等である。
【0031】
また、反応物としては、二酸無水物化合物であってよく、2種以上の二酸無水物化合物を混合した混合物、例えば、上記式(I)に示す構造のシロキサン二酸無水物と他の二酸無水物を混合したものであってもよい。ジアミンとしては、ジアミン化合物であってよく、2種以上のジアミン化合物を混合した混合物であってもよい。重合体について、重合反応過程における重合と脱水閉環の程度に応じてポリアミド酸、ポリイミド又はポリアミド酸‐ポリイミド共重合体を含んでよい。換言すれば、前記重合反応は、二酸無水物とジアミンの重合を含む以外、後の脱水閉環反応を含んでよい。
【0032】
より具体的には、好ましくは、反応物は、上記式(I)に示す構造のシロキサン二酸無水物と他の二酸無水物を含む混合物であり、且つ前者の含有量が前後両者の総量の10mol%〜99mol%であり、好ましくは30mol%〜99mol%であり、より好ましくは70mol%〜99mol%である。好ましくは、ジアミンは2種以上のジアミン化合物を混合した混合物である。
【0033】
他の二酸無水物としては、例えば、1,2,3,4‐シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(1,2,3,4‐cyclobutane tetracarboxylic dianhydride;CBDA)、ピロメリト酸二無水物(pyromellitic dianhydride;PMDA)、3,3',4,4'‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3',4,4'‐biphenyl tetracarboxylic dianhydride;BPDA)、3,4‐ジカルボキシ‐1,2,3,4‐テトラヒドロ‐1‐ナフタレンコハク酸無水物(3,4‐dicarboxy‐1,2,3,4‐tetrahydro‐1‐naphthalene succinicanhydride;TDA)、Rikacid BT‐100(1,2,3,4‐ブタンテトラカルボン酸二無水物(1,2,3,4‐butanetetracarboxylic dianhydride))、Rikacid TMEG‐100(エチレングリコールビス(トリメリット無水物)(ethylene glycol bis‐anhydro trimellitate))又は5,9‐メタノ‐1H‐ピラノ[3,4‐d]オキセピン‐1,3,6,8(4H)‐テトラオン,テトラヒドロ(TCA‐AH、化学物質の登録番号CAS:6053‐46‐9)等であり、ジアミン化合物としては、例えば、5(6)‐アミノ‐1,3,3‐トリメチル‐1‐(4‐アミノフェニル)‐インダン(TMDA、化学物質の登録番号CAS:54628‐89‐6)又は4'‐プロピルビ(シクロヘキサン)‐4‐イル‐3,5‐ジアミノ‐2‐メチルベンゾエート(3CC、Daxin Materials Co., Ltd)等であるが、それらに限定されるものではなく、他の二酸無水物及びジアミン化合物も、如何なる公知の前記重合体を合成するための従来の二酸無水物とジアミン化合物であってもよい。
【0034】
(液晶配向剤)
本発明による液晶配向剤は、前記本発明による重合体を含む。好ましくは、液晶配向剤は、前記本発明による重合体及び他の重合体を含み、他の重合体とは、前記他の二酸無水物と前記ジアミンが重合反応して得られるものである。より具体的には、液晶配向剤は、本発明による重合体と他の重合体を均一に混合し、必要に応じて溶剤で液晶配向剤の固形分を調整する。混合際の温度として、通常20℃〜60℃であり、好ましくは、25℃〜40℃であり、液晶配向剤の固形分として、通常3.0wt%〜8.0wt%であり、好ましくは3.5wt%〜6.5wt%であり、より好ましくは6.5wt%である。溶剤としては、例えば、NMPとジエチレングリコールモノブチルエーテル(butyl carbitol;BC)の混合物であり、好ましくは、両者の重量比が1:1である。適用する溶剤は、これらに限定されるものではなく、如何なる公知の液晶配向剤の固形分を調整するための従来の溶剤であってもよい。
【0035】
(液晶配向膜)
本発明による液晶配向膜は、前記本発明による液晶配向剤で形成されたものである。まず、液晶配向剤をガラス基板に塗布し、塗布方法としては、ローラー塗布、スピン塗布又は印刷等の従来の塗布方法であってよい。次に、加熱ベーキングして、ガラス基板に塗布された液晶配向剤を液晶配向膜として形成させる。加熱ベーキング温度として、通常180℃〜250℃であり、好ましくは200℃〜230℃であり、より好ましくは230℃であり、加熱ベーキング時間として、通常20分〜120分であり、好ましくは30分〜60分であり、より好ましくは30分であり、形成された液晶配向膜の厚さとして、通常0.05μm〜0.20μmであり、好ましくは0.06μm〜0.15μmであり、より好ましくは0.12μmである。
【0036】
(液晶表示素子)
本発明による液晶表示素子は、前記本発明による液晶配向膜を含む。液晶表示素子の製造方法としては、例を挙げると、まず2つの前記本発明による液晶配向膜が形成されたガラス基板を取って、次に、一方のガラス基板にシール剤を塗布し、他方のガラス基板にスペーサをスプレーする。その後、2つのガラス基板を、互いの膜のブラッシング方向が互いに垂直又は平行となるように組み合わせる。最後に、2つのガラス基板の間隙に液晶分子を注入し、次に注入孔を密封して完成する。
【0037】
以下、本発明によるシロキサン二酸無水物及びシロキサン二酸無水物で製造された一連の重合体、液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶配向膜を含む液晶表示素子について更に説明する。
【0038】
(第一実施形態:シロキサン二酸無水物(I‐1))
シロキサン二酸無水物(I‐1)は、以下の反応式(1)により取得することができる。
【化2】
【0039】
先ず、328.32gの酸無水物前駆体(2‐1)を330.47gのトルエンに混合し、1.0gのPC085触媒(United Chemical Tech., Inc.)を添加して均一に撹拌した。次に110℃に昇温し8時間保持し、その後90℃に低下し349.25gのシロキサン前駆体(1‐2)を添加して、温度を90℃で12時間保持した。最後にトルエンを排出し切ってシロキサン二酸無水物(I‐1)を取得することができ、収率は93%であった。
【0040】
図1は、シロキサン二酸無水物(I‐1)の
1H核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance;NMR)スペクトルであり、このスペクトルにより、前記調製方法でシロキサン二酸無水物(I‐1)を確かに取得することができることが確認できた。また、シロキサン二酸無水物(I‐1)は、室温で透明固体であり、且つ示差走査熱量計(differential scanning calorimeter;DSC)によりその融点が40℃〜55℃であることを測定することができた。
【0041】
(第二実施形態:シロキサン二酸無水物(I‐2))
シロキサン二酸無水物(I‐2)は、以下の反応式(2)により取得することができる。
【化3】
【0042】
先ず、328.32gの酸無水物前駆体(2‐1)を50.07gのトルエンに混合し、0.01gのPC085触媒を添加し均一に撹拌した。次に110℃に昇温し8時間保持し、その後90℃に低下して70.68gのシロキサン前駆体(1‐7)を添加して、温度を90℃で12時間保持した。最後にトルエンを排出し切ってシロキサン二酸無水物(I‐2)を取得することができ、収率は97%であった。
【0043】
図2は、シロキサン二酸無水物(I‐2)の
1H NMRスペクトルであり、このスペクトルにより、前記調製方法でシロキサン二酸無水物(I‐2)を確かに取得することができることが確認できた。また、シロキサン二酸無水物(I‐2)は、室温で透明液体である。
【0044】
シロキサン二酸無水物(I‐1)とシロキサン二酸無水物(I‐2)は、他の二酸無水物と比べて、異なる溶剤に対する溶解度が表3に示されている。溶解度の試験方法としては、室温環境(約25℃)で、0.5gの二酸無水物を取って30gの溶剤に入れて30分撹拌し、二酸無水物が各種の溶剤での溶解状況を観察した。溶解状況が清澄状態のもの(溶解可能)を「+」として表記し、懸濁状態のもの(溶解可能)を「±」として表記し、沈殿状態のもの(溶解不可能)を「−」として表記した。試験用の他の二酸無水物としては、CBDA、PMDA、BPDA、TDA、Rikacid BT‐100及びRikacid TMEG‐100であった。溶剤としては、Equamide M100(製品名、idemitsu Kosan Co., Ltd,Japan)、メタクレゾール(m‐cresol)、THF、NMP、DMSO、DMF、DMAc、アセトン(Acetone)及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(Propylene glycol monomethyl ether acetate;PGMEA)であった。
【0046】
表3から、シロキサン二酸無水物(I‐1)とシロキサン二酸無水物(I‐2)は、他の二酸無水物と比べて、より優れた溶解度特性を示すことができるため、ポリアミド酸又はポリイミド等の重合体及び液晶配向剤と液晶配向膜の調製に有利することが判明した。
【0047】
(第三実施形態:重合体(PAA))
ジアミンと反応して重合体を取得するための二酸無水物について、シロキサン二酸無水物(I‐1)又はシロキサン二酸無水物(I‐2)の何れを採用しても、反応して得られた、完全に環化されていない重合体(例えば、ポリアミド酸)が優れた溶解度を有することができる。
【0048】
シロキサン二酸無水物(I‐1)を例として、先ず、0.1molのシロキサン二酸無水物(I‐1)を150mlのNMPに溶解し、その後、0.1molのTMDAを添加して重合反応を行いながら、NMPで固形分が15wt%になるように調整し、8時間反応した後、固形分が15wt%のポリアミド酸溶液(PAA‐1)を取得することができた。
【0049】
0.05molのシロキサン二酸無水物(I‐1)と0.05molのRikacid BT‐100を150mlのNMPに溶解し、その後、0.1molのTMDAを添加して重合反応を行いながら、NMPで固形分が15wt%になるように調整し、8時間反応した後、固形分が15wt%のポリアミド酸溶液(PAA‐2)を取得することができた。
【0050】
比較を容易に行うために、0.1molのTMDAを150mlのNMPに溶解し、その後、0.1molのRikacid BT‐100を添加して重合反応を行いながら、NMPで固形分が15wt%になるように調整し、8時間反応した後、固形分が15wt%のポリアミド酸溶液(C‐PAA)を取得することができ、これにより、ポリアミド酸溶液(PAA‐1)及びポリアミド酸溶液(PAA‐2)との比較をした。
【0051】
同じ固形分のポリアミド酸溶液(PAA‐1)、ポリアミド酸溶液(PAA‐2)及びポリアミド酸溶液(C‐PAA)の異なる溶剤に対する溶解度は、表4に示す。溶解度の試験方法としては、室温環境(約25℃)で、2gのポリアミド酸溶液を20gの溶剤に入れて30分撹拌し、固形分が何れも15wt%のポリアミド酸溶液の各種の溶剤での溶解状況を観察した。溶解状況が清澄状態のもの(溶解可能)を「+」として表記し、懸濁状態のもの(溶解可能)を「±」として表記し、沈殿状態のもの(溶解不可能)を「−」として表記した。
【0053】
表4から、ジアミンと重合反応する二酸無水物において、シロキサン二酸無水物(I‐1)の含有量が多いほど、反応して得られたポリアミド酸の各種の溶剤に対する溶解度も良くなるので、液晶配向剤と液晶配向膜の調製に有利することが判明した。
【0054】
(第四実施形態:重合体(PI))
ジアミンと反応して重合体を取得するための二酸無水物について、シロキサン二酸無水物(I‐1)又はシロキサン二酸無水物(I‐2)の何れを採用しても、反応して得られた、完全に環化された重合体(例えば、ポリイミド)がベーキングされた後で優れた付着性と機械的性質を示すことができる。
【0055】
シロキサン二酸無水物(I‐1)を例として、先ず、0.1molのシロキサン二酸無水物(I‐1)を150mlのNMPに溶解し、その後、0.1molのTMDAを添加して重合反応を行いながら、NMPで固形分が15wt%になるように調整し、8時間反応した後、トルエンを用いて脱水環化し、固形分が15wt%のポリイミド溶液(PI‐1)を取得することができた。
【0056】
比較を容易に行うために、0.1molのヘキサメチルトリシロキサン二酸無水物を150mlのNMPに溶解し、その後、0.1molのTMDAを添加して重合反応を行いながら、NMPで固形分が15wt%になるように調整し、8時間反応した後トルエンを用いて脱水環化し、固形分が15wt%のポリイミド溶液(C‐PI)を取得することができ、これにより、ポリイミド溶液(PI‐1)との比較をした。ヘキサメチルトリシロキサン二酸無水物の調製方法については、2008年6月出版の定期刊行物高性能高分子(High Performance Polymers, June 2008, vol. 20, no. 3, pp281‐295)を参照してよい。
【0057】
比較の方法としては、先ずポリイミド溶液(PI‐1)とポリイミド溶液(C‐PI)をそれぞれ溶剤に溶解し、且つ溶剤を用いて固形分が6.5wt%になるように調整した。ここでの溶剤としては、NMPとBCを用いて重量比1:1の比例で配合してなるものであった。その後、固形分が6.5wt%に調整されたポリイミド溶液(PI‐1)とポリイミド溶液(C‐PI)をそれぞれスピン塗布法でインジウムスズ酸化物(indium tin oxide;ITO)基板に塗布し、オーブンを用いて230℃で30分ベーキングすることにより、ポリイミド薄膜を形成した。
【0058】
次に、1000回/分の回転数、60mm/秒のプラットホーム移動速度でポリイミド薄膜に10回の指向ブラッシングを行って、偏光顕微鏡によりブラッシング後の表面を目視観察した。顕微鏡の観察により、ポリイミド溶液(PI‐1)で形成されたポリイミド薄膜は、前記数回のブラッシングした後、そのエッジに残留された粒子数がポリイミド溶液(C‐PI)で形成されたポリイミド薄膜よりも明らかに少なくなった。
【0059】
また、米国材料試験協会により開発された鉛筆試験方法(ASTM D3363)でポリイミド薄膜の硬度を試験した。その結果、ポリイミド溶液(PI‐1)で形成されたポリイミド薄膜の鉛筆硬度が1Bであるが、ポリイミド溶液(C‐PI)で形成されたポリイミド薄膜の鉛筆硬度が4Bであることを示した。以上から、ジアミンと反応して重合体を取得するための二酸無水物について、本発明によるシロキサン二酸無水物によれば、反応して得られた、完全に環化された重合体がベーキングされた後、確かに優れた付着性と機械的性質を示し、これにより、液晶配向剤と液晶配向膜の調製に有利することが判明した。
【0060】
(第五実施形態:液晶配向剤(AA)、液晶配向膜及び液晶表示素子)
表5に示す二酸無水物とジアミンの使用量に従って、先ず二酸無水物を150mlのNMPに溶解し、その後、ジアミンを添加して重合反応を行いながら、NMPで固形分が15wt%になるように調整し、8時間反応した後トルエンで脱水環化し、8種の固形分が何れも15wt%のポリイミド溶液、即ちポリイミド溶液(PI‐M1)〜ポリイミド溶液(PI‐M8)を取得できた。
【0062】
一方、0.1molのTMDAを取って130mlのNMPに溶解し、その後、0.1molのCBDAを添加して重合反応を行いながら、NMPで固形分が15wt%になるように調整し、8時間反応し、固形分が15wt%のポリアミド酸溶液(M‐PAA)を取得することができた。
【0063】
次に、前記8種のポリイミド溶液、即ちポリイミド溶液(PI‐M1)〜ポリイミド溶液(PI‐M8)をそれぞれポリアミド酸溶液(M‐PAA)と重量比1:1の比例で混合し、且つ溶剤で固形分が6.5wt%になるように調整した。ここでの溶剤としては、NMPとBCを用いて重量比1:1の比例で配合してなるものであった。このように、8種の液晶配向剤、即ち液晶配向剤(AA‐1)〜液晶配向剤(AA‐8)を取得することができた。シロキサン二酸無水物(I‐1)又はシロキサン二酸無水物(I‐2)を採用したので、液晶配向剤(AA‐1)〜液晶配向剤(AA‐8)は、何れも優れた溶解度を示して、塗布し易いものであった。
【0064】
比較を容易に行うために、表6に示す二酸無水物とジアミンの使用量に従って、先ず二酸無水物を150mlのNMPに溶解し、その後、ジアミンを添加して重合反応を行いながら、NMPで固形分が15wt%になるように調整し、8時間反応した後、トルエンで脱水環化し、固形分が何れも15wt%の3種のポリイミド溶液、即ちポリイミド溶液(C‐PI‐M1)〜ポリイミド溶液(C‐PI‐M3)を取得することができた。
【0066】
次に、前記3種のポリイミド溶液、即ちポリイミド溶液(C‐PI‐M1)〜ポリイミド溶液(C‐PI‐M3)をそれぞれポリアミド酸溶液(M‐PAA)と重量比1:1の比例で混合し、且つ溶剤で固形分が6.5wt%になるように調整した。ここでの溶剤としては、NMPとBCを用いて重量比1:1の比例で配合してなるものであった。このように、比較するための3種の液晶配向剤、即ち液晶配向剤(C‐AA‐1)、液晶配向剤(C‐AA‐2)及び液晶配向剤(C‐AA‐3)を取得でき、これにより、液晶配向剤(AA‐1)〜液晶配向剤(AA‐8)との比較をした。
【0067】
比較の方法としては、先ず前記各液晶配向剤を液晶配向膜として製造し、更に、液晶分子や電極等の部材を合わせて液晶表示素子を組み立てた。より具体的には、液晶配向膜は、先ず前記各液晶配向剤をスピン塗布法でガラス基板に塗布することにより、厚さ1200・100・(約0.12μm)の薄膜を形成し、次にオーブンを用いて230℃で30分ベーキング(一般的に「ポストベーキング」と称する)し、液晶配向膜を取得できた。液晶表示素子について、先ず前記液晶配向膜が形成された2つのガラス基板を取って、一方にシール剤を塗布し、他方にスペーサをスプレーした。完成した後、2つのガラス基板を組み合わせて2つのガラス基板の間隙に液晶分子(MJ012008,Merck)を注入し、次に注入孔を密封すればよい。
【0068】
表7は、各液晶配向剤が異なるポストベーキング温度で形成された液晶配向膜の沸騰水碁盤目についての試験結果、及び液晶配向膜を含む液晶表示素子のプレチルト角についての試験結果を示す。沸騰水碁盤目試験は、各液晶配向膜を水煮した後、米国材料試験協会により開発された試験方法(ASTM M3359)を採用して試験し、試験結果はその区分されたASTM等級(表8に示す)によって記録された。プレチルト角試験については、液晶分子を注入した液晶表示素子を結晶回転法によって計測した。
【0071】
表7から、液晶配向剤(C‐AA‐1)〜液晶配向剤(C‐AA‐3)を低いポストベーキング温度で加工して形成された液晶配向膜は、垂直配向性と付着性の何れの表現も悪いことが判明した。これに対して、液晶配向剤(AA‐1)〜液晶配向剤(AA‐8)を各種のポストベーキング温度で加工して形成された液晶配向膜は、何れも優れた垂直配向性と付着性を有した。換言すれば、液晶配向剤(AA‐1)〜液晶配向剤(AA‐8)は、加工温度を効果的に低下させ、省エネと環境への負荷の軽減に有利し、それで形成された液晶配向膜は、優れた配向性と付着性を備え、ついでに液晶表示素子の信頼性を向上させることができた。
【0072】
上記本発明の実施形態と実施例から、本発明によるシロキサン二酸無水物は、溶解度に優れ、ジアミンと重合反応して得られた重合体が完全に環化されていない場合(例えば、ポリアミド酸)溶解度に優れる特性を継承し、完全に環化(例えば、ポリイミド)してベーキングされた後、優れた付着性と機械的性質を示すことができ、何れも液晶配向剤、液晶配向膜等の調製に有利することが判明した。次に、前記重合体を含む液晶配向剤は、溶解度が良く塗布し易くなり、且つ必要な加工温度が低く、省エネと環境への負荷の軽減に有利する。また、前記液晶配向剤で形成された液晶配向膜は、優れた垂直配向性と付着性を有し、液晶表示素子の製品信頼性を向上させることができる。ついでに、前記液晶配向膜を含む液晶表示は、優れた製品信頼性を有する。
【0073】
本発明を実施形態で前述の通り開示したが、これは本発明を限定するためのものではなく、当業者であれば、本発明の精神と範囲から逸脱しない限り、多様の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の保護範囲は、後の特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。