特許第5873530号(P5873530)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイスの特許一覧

<>
  • 特許5873530-犠牲ピンを有する腕時計 図000002
  • 特許5873530-犠牲ピンを有する腕時計 図000003
  • 特許5873530-犠牲ピンを有する腕時計 図000004
  • 特許5873530-犠牲ピンを有する腕時計 図000005
  • 特許5873530-犠牲ピンを有する腕時計 図000006
  • 特許5873530-犠牲ピンを有する腕時計 図000007
  • 特許5873530-犠牲ピンを有する腕時計 図000008
  • 特許5873530-犠牲ピンを有する腕時計 図000009
  • 特許5873530-犠牲ピンを有する腕時計 図000010
  • 特許5873530-犠牲ピンを有する腕時計 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873530
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】犠牲ピンを有する腕時計
(51)【国際特許分類】
   G04B 37/16 20060101AFI20160216BHJP
【FI】
   G04B37/16 Q
【請求項の数】17
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-125131(P2014-125131)
(22)【出願日】2014年6月18日
(65)【公開番号】特開2015-11028(P2015-11028A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2014年6月18日
(31)【優先権主張番号】13174090.4
(32)【優先日】2013年6月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ステファーヌ・レオーニ
(72)【発明者】
【氏名】ティエリー・アルテンホーフェン
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル・バルメル
(72)【発明者】
【氏名】マルタン・ジュフェール
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン・シュムッツ
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0159987(US,A1)
【文献】 特開昭59−2704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B37/16
A44C 5/00− 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレスレットのストランド(3)を腕時計(4)のケース(2)に締結するためのデバイス(100)であって、
前記デバイスは、少なくとも1つの締結要素(101)を有し、前記締結要素(101)は、前記締結要素(101)に所定の力又はモーメントが加わった場合ときに、前記ブレスレットのストランド(3)を前記ケース(2)から分離させることがで
前記締結要素(101)は、軸線(D1)方向に延在する少なくとも1つの肩部(10を有する少なくとも1つの腕時計製作用ピン(1)を含むこと、及び
前記ピン(1)は犠牲ピンであり、機械抵抗が45MPa未満である少なくとも1つの領域(11)を前記肩部(10)上に有すること、
前記締結要素(101)は少なくとも1つの端部リンク(103)を有すること;並びに
前記端部リンク(103)は、前記ケース(2)に固定される第1の端部(104)及び前記ブレスレットのストランド(3)に固定される第2の端部(105)を有する可撓性リンクであり、
前記端部リンク(103)はねじりトルクを吸収する手段を有し、これによって、前記第2の端部(105)に印加される前記ねじりトルクと前記第1の端部(104)において生じるねじりトルクとの間の減衰係数が係数10より高くなること
を特徴とする、デバイス(100)。
【請求項2】
前記端部リンク(103)は、前記第1の端部(104)に前記ピン(1)を含むことを特徴とする、請求項に記載のデバイス(100)。
【請求項3】
ケース(2)及び少なくとも1つのブレスレットのストランド(3)を互いに固定された状態で有する腕時計(4)であって、
前記ブレスレットのストランド(3)と前記ケース(2)との間の接続は、請求項1または2に記載の締結要素(101)を有することを特徴とする、腕時計(4)
【請求項4】
前記ケース(2)及び前記ブレスレットのストランド(3)は、前記締結デバイス(100)を形成する前記ピン(1)の肩部(10)の周りで枢動可能にヒンジ留めされ、
前記ピン(1)は犠牲ピンであり、
前記犠牲ピン(1)は前記肩部(10)上に、前記ケース(2)の最も低い機械抵抗及び前記ブレスレットのストランド(3)の最も低い機械抵抗より低い機械抵抗を有する少なくとも1つの領域(11)を含む
ことを特徴とする請求項に記載の腕時計(4)。
【請求項5】
前記ケース(2)は、第1の軸(D1)に沿った第1の孔(50)を有する少なくとも1つの第1のクレビスマウント(5)を有すること;
前記少なくとも1つのブレスレットのストランド(3)は、第2の軸(D2)に沿った第2の孔(60)を有する少なくとも1つの第2のクレビスマウント(6)を有し、
前記少なくとも1つのブレスレットのストランド(3)は、前記犠牲ピン(1)によって前記ケース(2)の前記少なくとも1つの第1のクレビスマウント(5)に固定され、
前記少なくとも1つの肩部(10)は、前記ブレスレットのストランド(3)及び前記ケース(2)を枢動可能にガイドして固定するために、前記第1の孔(50)及び前記第2の孔(60)を通るように寸法決めされていること;並びに
牽引、剪断、ねじり及び疲労に対する前記ピン(1)の抵抗は、各場合において、前記ケース(2)の、及び前記ブレスレットのストランド(3)の最も低い機械抵抗よりも低いこと
を特徴とする、請求項に記載の腕時計(4)。
【請求項6】
各前記第1のクレビスマウント(5)は、前記第1の軸線(D1)に対して放射状に拡がる面である少なくとも1つの第1の側面(51)を有すこと;
各前記第2のクレビスマウント(6)は、第2の軸線(D2)に対して放射状に拡がる面である少なくとも1つの第2の側面(61)を有すること;及び
前記少なくとも1つのブレスレットのストランド(3)が前記ピン(1)によって前記ケース(2)上にヒンジ留めされる組み付け位置にあるときに、前記第1のクレビスマウント(5)は、前記第2のクレビスマウント(6)と交互に配列され、
これにより接触面領域(40)が設定され、
各前記接触面領域(40)において、前記第1の側面(51)は前記第2の側面(61)に対向し、0.000〜0.060mmの軸方向の遊びを有すること
を特徴とする、請求項に記載の腕時計(4)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのブレスレットのストランド(3)が前記ピン(1)によって前記ケース(2)にヒンジ留めされる組み付け位置にあるときに、前記ピン(1)の、低い機械抵抗を有する少なくとも1つの前記領域(11)は、前記境界面領域(40)に垂直に位置することを特徴とする、請求項に記載の腕時計(4)。
【請求項8】
少なくとも1つの前記第1のクレビスマウント(5)は、前記第1の孔(50)を有する金属インサート(52)でブッシュ加工されていることを特徴とする、請求項に記載の腕時計(4)。
【請求項9】
少なくとも1つの前記第2のクレビスマウント(6)は、前記第1の孔(60)を有する金属インサート(62)でブッシュ加工されていることを特徴とする、請求項に記載の腕時計(4)。
【請求項10】
前記ピン(1)の周縁肩部(10)は、前記ピン(1)の全長にわたって、より高い機械抵抗を有する第1の領域(13)を有し、前記第1の領域(13)は、より低い機械抵抗を有する第2の領域(14)と交互になっていることを特徴とする、請求項4〜9のいずれか1項に記載の腕時計(4)。
【請求項11】
より高い機械抵抗を有する前記第1の領域(13)は、剛性金属材料又はプラスチック材料製であること、並びに
より低い機械抵抗を有する第2の領域(14)は、より高い機械抵抗を有する前記第1の領域(13)上にオーバモールド成形された可撓性プラスチック材料又はエラストマ製であること
を特徴とする、請求項10に記載の腕時計(4)。
【請求項12】
低い機械抵抗を有する少なくとも1つの前記領域(11)は、より低い機械抵抗を有する前記第2の領域(14)で形成されていることを特徴とする、請求項10又11に記載の腕時計(4)。
【請求項13】
低い機械抵抗を有する少なくとも1つの前記領域(11)は、より低い機械抵抗を有する前記第2の領域(14)と前記第1の領域(13)との間の境界面領域によって形成されていることを特徴とする、請求項10又は11に記載の腕時計(4)。
【請求項14】
前記ピン(1)の前記周縁肩部(10)は、前記ピン(1)の全長にわたって、より高い機械抵抗を有する第1の領域(13)を有し、前記第1の領域(13)は、より低い機械抵抗を有する前記第2の領域(14)と交互になっていること、及び
より高い機械抵抗を有する前記第1の領域(13)は、前記第1の孔(50)に対向していること
を特徴とする、請求項に記載の腕時計(4)。
【請求項15】
前記ピン(1)の前記周縁肩部(10)は、前記ピン(1)の全長にわたって、より高い機械抵抗を有する第1の領域(13)を有し、前記第1の領域(13)は、より低い機械抵抗を有する前記第2の領域(14)と交互に配列されていること、及び
より高い機械抵抗を有する前記第1の領域(13)は、前記第2の孔(60)に対向していること
を特徴とする、請求項に記載の腕時計(4)。
【請求項16】
前記ピン(1)は、低い機械抵抗を有する前記領域(11)において、少なくとも1つのノッチ(12)を含むことを特徴とする、請求項4〜15のいずれか1項に記載の腕時計(4)。
【請求項17】
前記ピン(1)は、ガラス繊維を充填したポリオキシメチレン(POM)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ガラス繊維を充填したポリ(p−フェニレンスルフィド)(PPS)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、更にはポリベンゾイミダゾール(PBI)から選択されるプラスチック材料で作製されることを特徴とする、請求項4から16のいずれか1項に記載の腕時計(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレスレット又は腕輪のストランドを腕時計ケースに取り付けるためのデバイスに関する。
【0002】
本発明は更に、ケース及び少なくとも1つのブレスレットのストランドを互いに固定された状態で有する腕時計に関する。
【0003】
本発明は、時計学及び宝飾品の分野に関し、より正確にはヒンジ接続によって互いに組み付けられた複数の構成部品を有する腕時計等の組み立て済みユニットに関する。
【背景技術】
【0004】
腕時計又は宝飾品のブレスレット又は腕輪をケース又は剛性構成部品に組み付ける領域は、常にユーザの運動によりユーザによって印加される応力が集中する領域である。力又は疲労の集中は、特にケースの角状部、又は特にケースがプラスチック材料若しくは脆性材料製である場合は、ケース自体でさえある特定の構成部品の劣化又は破損さえ引き起こす。修理又は交換のコストは高く、製作者のイメージを損なってしまう。
【0005】
ETAによる特許文献1は、腕時計内のスロットの面にそれぞれ設けられた溝に部分的に係合するピンによって端部がスロットに保持されるブレスレットを開示している。留め金具に所定の力が加えられると、ブレスレットはケースから離れない。
【0006】
GODWINによる特許文献2は、端部を互いの上に折り重ね、これら端部を、ピンを形成してブレスレットのストランドの横断孔と協働する横断チューブによって固定できる腕時計のブレスレットを開示しており、これらのチューブはばねを形成する金属ワイヤによって固定される。
【0007】
NORMANDによる特許文献3は、上記と同様のシステムを開示しており、このシステムは、弾性材料によって接続される角状部と協働するためのピンを形成する2つのスタッドを有する結合部材を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第0246449A1号
【特許文献2】米国特許第5235567A号
【特許文献3】フランス特許第2323350A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ケース及び/又はブレスレットが破損する以前に腕時計ユニットを分解できるようにすることで、先行技術の問題を克服することを提案する。本発明は、「ヒューズ(fuse)」の役割を果たし、主要構成部品及び最も高価な構成部品を保護する安価な犠牲となる構成部品を挿入することを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明はブレスレットのストランドを腕時計ケースに締結するためのデバイスに関し、このデバイスは少なくとも1つの締結要素を有し、この締結要素に所定の力又はモーメントが加わった場合に、上記ブレスレットのストランドを上記ケースから分離させることができることを特徴とする。
【0011】
本発明の特徴によると、上記締結要素は、軸方向に延在する少なくとも1つの肩部を含む少なくとも1つの腕時計製作用ピンを有し、このピンは犠牲ピンであり、機械抵抗が45MPa未満である少なくとも1つの領域を上記肩部上に有する。
【0012】
本発明はまた、ケース及び少なくとも1つのブレスレットのストランドを互いに固定された状態で有する腕時計にも関し、上記ブレスレットのストランドと上記ケースとの間の接続は、このタイプの締結要素を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の特徴によると、上記ケース及び上記ブレスレットのストランドは、上記締結要素を形成するピンの肩部の周りで枢動可能にヒンジ留めされ、上記ピンは、上記ケースの最も低い機械抵抗及び上記ブレスレットのストランドの最も低い機械抵抗より低い機械抵抗を有する少なくとも1つの領域を上記肩部上にもつ、犠牲ピンである。
【0014】
本発明の他の特徴及び利点は、添付した図面を参照し、以下の詳細な説明を読むことにより、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明による締結要素を用いた腕時計ケースとブレスレットのストランドとの接合を示す腕時計の詳細の概略斜視図である。
図2図2は、本発明による犠牲ピンの軸を通る概略断面図であり、この犠牲ピンはこの締結要素を第1の変形例の形態で形成しており、また犠牲ピンが断絶点を形成するノッチを含む第1の実施形態では、ケース及びブレスレットのストランドの交互のクレビスマウント(clevis mount)が備える一連の孔に嵌め込まれる。
図3図3は、第2の実施形態の図2と同様の概略断面図であり、ここでピンは、交互の剛性要素及び可撓性のオーバモールド成形された要素を有する。
図4図4は、第3の実施形態の図2と同様の概略断面図であり、ここでピンは、ケースのクレビスマウントに垂直に配設された剛性リング上にオーバモールド成形された可撓性本体を有する。
図5図5は、第4の実施形態の図2と同様の概略断面図であり、ここでピンは、その上にエラストマ等の可撓性材料製のリングがオーバモールド成形された剛性本体を有する。
図6図6は、他の実施形態の図2と同様の概略断面図であり、ここでは断絶点を形成するノッチが、ケースの角状部とブレスレットのストランドの端部との間に位置している。
図7図7は、他の実施形態の図2と同様の概略断面図であり、ここでは断絶点を形成するノッチが、角状部内の非貫通孔に収容されるポンプとブレスレットのストランドの端部との間に位置している。
図8図8は、同一の第1の実施形態の図2と同様の概略断面図であり、ここでケースのクレビスマウントの孔にはブッシュが取り付けられている。
図9図9は、同一の第1の実施形態の図2と同様の概略断面図であり、ここでブレスレットのストランドのクレビスマウントの孔にはブッシュが取り付けられている。
図10図10は、第2の変形例の概略斜視図であり、ここで締結要素はねじりトルクを吸収する手段を有し、ここでは上記吸収手段を、ブレスレットのストランドよりも柔軟な端部リンクを有する特定の実施形態で示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、時計学及び宝飾品の分野に関し、より具体的にはヒンジ接続によって互いに組み付けられた複数の構成部品を有する腕時計等の組み立て済みユニットに関する。
【0017】
ここで本発明を、特にヒンジ留めタイプの固定であるブレスレットのストランドの腕時計ケースへの固定に関する好ましい非限定的な応用例を用いて説明する。また、この応用例は、特にヒンジ留めタイプの固定であるブレスレットのストランドのクラスプへの固定、更には互いに固定及び又はヒンジ留めされるブレスレットの2つの構成部品の固定にも関するものである。
【0018】
本発明は、ブレスレットのストランド3を腕時計4のケース2に固定するためのデバイス100に関する。
【0019】
本発明によると、このデバイス100は少なくとも1つの締結要素101を有し、この締結要素101により、この締結要素101に所定の力又はモーメント、具体的には300N未満の牽引力が加わったときに、ブレスレットのストランド3をケース2から分離させることができる。好ましくは、締結要素101は、300〜330Nの力が加わった場合に破損するように設けられる。
【0020】
図1〜9に示す第1の変形例では、この締結要素101は、軸線D1に延在する少なくとも1つの肩部10を有する少なくとも1つの腕時計製作用ピン1である。このピン1は犠牲ピンであり、腕時計ケースがMABS又はABS等で製作される場合、肩部10上に機械抵抗が45MPa未満である少なくとも1つの領域11を有する。
【0021】
図10に示すように、第2の変形例では、締結要素101は少なくとも1つの端部リンク103を有し、この端部リンク103は、ケース2に固定される第1の端部104及びブレスレットのストランド3に固定される第2の端部105を含む可撓性リンクであり、また端部リンク103はねじりトルクを吸収する手段を有し、これによって第2の端部105に印加されるねじりトルクと第1の端部104において結果として生じるねじりトルクとの間の減衰係数が係数10より高くなる。この締結要素101は、特にねじりモーメントの殆どを吸収できるように、エラストマ材料等又は可撓性材料の単一ピースとして製作してもよい。締結要素101は、また継手のソケットとボールとの間に自由接続を有するボール−ソケット継手、又は他の要素を備えていてもよい。
【0022】
これらの2つの変形例を組み合わせた実施形態では、端部リンク103は、第1の端部104にこのタイプのピン1を含む。
【0023】
本発明はまた、ケース2及び少なくとも1つのブレスレットのリンク3を互いに固定された状態で有する腕時計4にも関する。本発明によると、ブレスレットのストランド3とケース2との間の接続は、このタイプの締結デバイス100を有する。
【0024】
図1〜9に示す腕時計4の有利な実施形態では、ケース2及びブレスレットのストランド3は、ピン1の肩部10の周りで枢動可能にヒンジ留めされ、ピン1は、ヒンジピン及び締結デバイス100の両方を形成し、またこれは犠牲ピンである。本発明によると、この犠牲ピン1は肩部10上に、ケース2の最も低い機械抵抗及びブレスレットのストランド3の最も低い機械抵抗より低い機械抵抗をもつ、少なくとも1つの領域11を有する。
【0025】
ピン1はブレスレットのストランド3をケース2に固定し、過度な応力が印加された場合又はブレスレットが不適切に操作されたときにケース2を保護する。
【0026】
図示した特定の実施形態では、ピン1は低い機械抵抗をもつ複数の領域11を有する。
【0027】
ユーザがブレスレットに加えた有意な力によって、有意な力がヒンジに印加されること、及び本発明により、この場合最も安価で最も容易に交換できる犠牲要素を事前に選択できることが理解される。ピン1の破損は、特に剪断力である力が高すぎる場合に起こる。
【0028】
ユーザは、本発明によるピン1の破損を視覚的に観察できるが、ピン1が複数の地点で保持されている場合、この破損によって必ずしもケース2とブレスレットのストランド3との分離が即座に生じるわけではない。
【0029】
本発明による脆性ピンの構成は、様々なタイプのアセンブリに応用可能である。図1〜5は、ブレスレットのストランド3が備える一列の第2のクレビスマウント6と交互に配置された、一列の第1のクレビスマウント5を含む腕時計の変形例を示す。
【0030】
図6は他の変形例を示し、ここではピンは、ケース2の角状部24の2つの端部孔25の間に単に挿入され、これがブレスレットのストランド3のループを支持する。図1と比較して、この変形例は、交互に配置されたクレビスマウントがなく、小孔(eye)を有するストランドと、2つの角状部の間のピンとのみが存在する最も簡素な場合を説明している。
【0031】
図7は更に他の変形例を示し、ここでピン1は両端部にポンプ19を有し、これらポンプ19は、ケース2の角状部28における非貫通孔29内に弾性的に収容される。
【0032】
図1〜5では、ケース2は第1の軸線D1に沿った第1の孔50を有する少なくとも1つの第1のクレビスマウント5を有し、少なくとも1つのブレスレットのストランド3は、第2の軸線D2に沿った第2の孔60を有する少なくとも1つの第2のクレビスマウント6を有する。このブレスレットのストランド3は、犠牲ピン1によってケース2の上記少なくとも1つの第1のクレビスマウント5に固定される。少なくとも1つの肩部10は、ブレスレットのストランド3及びケース2を枢動可能にガイドして組み付けるために、第1の孔50及び第2の孔60を通るよう寸法決めされている。簡素かつ経済的な実施形態では、肩部10は円筒柱形であり、第1の孔50は全て位置合わせされて同一の直径を有し、第2の孔60に関しても同様であるが、異なる幾何学的形状を有する変形例も想定できる。よって、ピン1が自由状態である場合、肩部10がその全長にわたって円筒柱形ではない変形可能な変形例を以下に示す。牽引、剪断、ねじり及び疲労に対するピン1の機械抵抗は、各場合において、ケース2の、及びピンが枢動可能にガイドするブレスレットのストランド3の最も低い機械抵抗よりも低い。
【0033】
図1〜5に示すように、一列のクレビスマウントを有する特定の変形例では、各第1のクレビスマウント5は、第1の軸線D1に対して放射状に拡がる少なくとも1つの第1の側面51、即ち各端部クレビスマウント5に関する第1の側面51、及び各内側クレビスマウント5の両側の2つの第1の側面51を有する。同じ様式で、各第2のクレビスマウント6は、第2の軸D2に対して放射状に拡がる少なくとも1つ(図示した場合においては2つ)の第2の側面61を有し、図には、第2のクレビスマウント6より多くの第1のクレビスマウント5が示されている。ブレスレットのストランド3がピン1によってケース2上に組み付け及びヒンジ留めされる位置において、上記第1のクレビスマウント5は第2のクレビスマウント6と交互に配列され、これにより接触面領域40が設定され、各接触面領域40において第1の側面51は第2の側面61に面し、0.000〜0.060mmの軸方向の遊びJAを有する。
【0034】
この値は、直径1.0mmのDIN 1.4404鋼鉄で作製されたピン1と、MABS「Terlux」又はABS「Magnum」等の剛性プラスチック材料製のケース2と、ヒンジ付きであるか、又は可撓性プラスチック材料、ゴム、皮、鋼鉄等の可撓性材料製であり、公称直径1.0〜1.1mmの孔50、公称直径1.0〜1.2mmの孔60を有するブレスレット3とを有する特定の実施形態に適しており、上記孔50、60は、第1のクレビスマウント5及び/又は第2のクレビスマウント6に打ち込まれるDIN1.4404鋼鉄チューブの孔である。
【0035】
過度の負荷がかかった場合にバーが破損するように、本発明によるバーを、ケースと、バーが接続するブレスレットとに適合させなければならないことが明白である。最も脆弱なバーを採用することにより、全ての応用例に対して一般化できる。
【0036】
いずれの場合も、いずれの方向に300Nをはるかに下回る力が印加された場合、ピン1は破損しなければならない。
【0037】
好ましい実施形態では、ブレスレットのストランド3がピン1によってケース2の所定の位置に組み付け及びヒンジ留めされる場合に、ピン1の、低い機械抵抗を有する少なくとも1つの領域11は、剪断応力が最も高い境界面領域40に垂直に位置する。
【0038】
図8に示す変形例では、少なくとも1つの第1のクレビスマウント5は、第1の孔50を含む金属インサート52でブッシュ加工される。
【0039】
しかしながら好ましくは、図9に示すように、リングはケース上ではなくブレスレットのストランド上にある。
【0040】
図9に示す変形例では、少なくとも1つの第1のクレビスマウント6は、第2の孔60を含む金属インサート62でブッシュ加工されている。この配置は、ピン1の剛性のガイドが可能となるため、ブレスレットのストランド3が可撓性である場合に有利である。
【0041】
更に他の変形例では、第1のクレビスマウント5はインサート51でブッシュ加工され、また第2のクレビスマウント6はインサート62でブッシュ加工される。
【0042】
有利には、ピン1の肩部10は、ピン1の全長にわたって、より高い機械抵抗を有する第1の領域13を有し、この第1の領域13は、より低い機械抵抗を有する第2の領域14と交互になっている。
【0043】
図3は、より高い機械抵抗を有する第1の領域13が剛性金属材料又は硬質プラスチック材料製であり、より低い機械抵抗を有する第2の領域14がより高い機械抵抗を有する第1の領域13上にオーバモールド成形された可撓性エラストマ製である例示的な実施形態を示す。
【0044】
有利には、低い機械抵抗を有する少なくとも1つの上記領域11は、より低い機械抵抗を有する第2の領域14と第1の領域13との間の境界面領域によって形成される。
【0045】
図3は、より高い機械抵抗を有する各第1の領域13が第2の孔60に面する変形例を示す。断面13は第2のクレビスマウント6の第2の孔60に垂直に位置し、第2の領域14(特に断面13上にオーバモールド成形された可撓性エラストマ製であり、第1の断面13と交互になっている)は、第1のクレビスマウント5の第1の孔50に面に対向している。上記第2の領域14はフランジ141、142を有し、ピン1はこれらのフランジを介して達成される締め付けによって孔50、60に挿入される。
【0046】
図4は、第2のクレビスマウント6の第2の孔60に垂直なチューブ状の断面13を示し、第2の領域14(特にポリアミド等のプラスチック材料製であり、断面13上にオーバモールド成形され、ピン1の全長にわたって単一ピース要素を形成する)は、第1のクレビスマウント5の第1の孔50に対向している。
【0047】
図5は、図4の逆の構成を示す。剛性であるのはコアであり、チューブはピン上にオーバモールド成形されたプラスチック製である。
【0048】
図示していない他の変形例では、より高い機械抵抗を有する各第1の領域13は、第1の孔50に対向している。チューブ状断面13は第1のクレビスマウント5の第1の孔50に垂直であり、第2の領域14(断面13上にオーバモールド成形されたエラストマ製であり、ピン1の全長にわたって単一ピース要素を形成する)は、第2のクレビスマウント6の第2の孔60に対向している。
【0049】
いくつかの変形例では、低い機械抵抗を有する少なくとも1つの領域11は、より低い機械抵抗を有する第2の領域14によって形成されている。
【0050】
図1、6〜9は、低い機械抵抗を有する少なくとも1つの領域11が少なくとも1つのノッチ12を有するか、又は低い機械抵抗を有する全ての領域11がノッチ12を含む変形例を示す。このノッチは好ましくは、断絶点を形成するためにV字型の外形等を有する。
【0051】
特定の実施形態では、ピン1は、機械的特性を改善するためにガラス繊維を充填したポリオキシメチレン(POM)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、機械的特性を改善するためにガラス繊維を充填したポリ(p−フェニレンスルフィド)(PPS)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、更にはポリベンゾイミダゾール(PBI)等から選択されるプラスチック材料で製作される。
【0052】
本発明はまた、軸方向D1に延在する少なくとも1つの肩部10を含む少なくとも1つの腕時計製作用ピン1にも関し、このピン1は、上記肩部10上に機械抵抗が45MPa未満である少なくとも1つの領域11を含み、この値は腕時計ケース2の構造及び材料によって決まり、上記値45MPaはMABS又はABS製のケース2に対応する。
【0053】
腕時計4のピン1に関して上で説明し、図示した配置のいずれかに従って、この犠牲ピン1を製作してもよい。
【0054】
本発明は、特に腕時計ケースが中空である、及び/又はブレスレット締結要素上に厚さの薄い壁を有した状態で製作される場合に、プラスチック材料、軽合金、ガラス等の軽材料又は脆性材料製の腕時計ケースの保護に特によく適している。本発明は、ケース及び関連するブレスレットのストランドの両方を保護するという利点を提供する。
【0055】
本発明により、初期組み立てにおいて又はアフターサービス後に、本発明による犠牲ピンを有する既存のピン又はバーを交換するだけで腕時計を改善できるようになり、これは安価であり、また組み立てプロセスの変更を必要としない。
【符号の説明】
【0056】
1 ピン、犠牲ピン
2 ケース
3 ブレスレットのストランド
4 腕時計
5 第1のクレビスマウント
6 第2のクレビスマウント
10 肩部
11 領域
12 ノッチ
13 第1の領域、チューブ状断面
14 第2の領域
19 ポンプ
24 角状部
25 角状部の端部孔
28 角状部
29 非貫通孔
34 ループ
40 接触面領域、境界面領域
50 第1の孔
51 第1の側面
52 金属インサート
60 第2の孔
61 第2の側面
62 金属インサート
100 締結デバイス
101 締結要素
103 端部リンク
104 第1の端部
105 第2の端部
141 フランジ
142 フランジ
D1 第1の軸線
D2 第2の軸線
JA 遊び
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10