(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873531
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】計時器のムーブメント
(51)【国際特許分類】
G04B 31/00 20060101AFI20160216BHJP
G04B 31/02 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
G04B31/00 Z
G04B31/02
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-133642(P2014-133642)
(22)【出願日】2014年6月30日
(65)【公開番号】特開2015-17975(P2015-17975A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2014年6月30日
(31)【優先権主張番号】13175834.4
(32)【優先日】2013年7月10日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィエ・レベテ
(72)【発明者】
【氏名】バプティスト・ヴィスブロード
【審査官】
藤田 憲二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−169547(JP,A)
【文献】
特開2011−080880(JP,A)
【文献】
スイス国特許発明第00339136(CH,A)
【文献】
スイス国特許発明第00356090(CH,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 31/00,35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのホイールセット(2)を装備する少なくとも1つの構造(3)を有する計時器のムーブメント(100)であって、
前記少なくとも1つの構造(3)に対する前記少なくとも1つのホイールセット(2)の軸線(D)に沿ったエンドシェークが調整可能であり、
ホイールセット(2)の少なくとも1つのベアリング(4)を有するエンドシェーク微細調整デバイス(1)によって、
前記少なくとも1つのベアリング(4)は、前記軸線(D)の軸方向において前記ホイールセット(2)のための少なくとも1つの軸方向止めメンバーを形成し、
当該エンドシェーク微細調整デバイス(1)は、前記軸方向における可変な厚みを有する第1の調整ステージ(5)を有し、
前記第1の調整ステージ(5)は、一方では、工具によって動かすためにアクセス可能であってベアリング(4)を装備する回転駆動手段(7)を備える第1の構成部品(6)を有し、
他方では、少なくとも1つの弾性戻し手段(9)によって前記第1の構成部品(6)から押される第2の構成部品(8)を有し、
前記第2の構成部品(8)は、少なくとも1つのケース(10)を介して前記構造(3)に固定されており、
前記弾性戻し手段(9)は、少なくとも1つのケース(10)を介して又は前記デバイス(1)を有するケース装備体(20)によって前記構造(3)に支持され、 前記第1の調整ステージ(5)を有するケース(10)を有し、
前記第2の構成部品(8)は前記ケース(10)と全周にわたって固定され、
前記弾性戻し手段(9)は、前記ケース(10)内で支持され、
前記少なくとも1つのケース(10)は、少なくとも1つの第1の調整ステージ(5)を受けるカウンターボアを有し、
前記第1の構成部品(6)及び前記第2の構成部品(8)は、前記カウンターボアのボア内でガイドされる、
ことを特徴とする計時器のムーブメント(100)。
【請求項2】
前記弾性戻し手段(9)は、前記少なくとも1つのケース(10)を介して前記構造(3)に支持され、
前記第2の構成部品(8)は、軸方向における固定位置及び固定角度位置で前記ケース(10)に固定される
ことを特徴とする請求項1に記載のムーブメント(100)。
【請求項3】
前記弾性戻し手段(9)は、前記ケース(10)に対する角度位置の指標を与える第1の手段(91)を有し、
前記ケース(10)は、前記第1の手段(91)に対して相補的な第1の指標付け手段(11)を有し、
前記弾性戻し手段(9)は、前記第1の構成部品(6)に対する角度上の配置用の第2の指標付け手段(92)を有する
ことを特徴とする請求項2に記載のムーブメント(100)。
【請求項4】
前記第1の構成部品(6)は、角度位置に応じて軸方向において漸進する第1の接触面(16)を有し、
前記第2の構成部品(8)は、角度位置に応じて軸方向において漸進する第2の接触面(18)を有し、
前記第2の接触面(18)は、前記弾性戻し手段(9)のばね作用の下で前記第1の接触面(16)に接して連係している
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のムーブメント(100)。
【請求項5】
少なくとも前記第1の接触面(16)又は前記第2の接触表面(18)は、
軸方向に垂直なすべての放射状の線に幅全体にわたって接する少なくとも1つの環状のらせん状のカムパスを有する
ことを特徴とする請求項4に記載のムーブメント(100)。
【請求項6】
少なくとも前記第1の接触面(16)又は前記第2の接触面(18)は、それぞれ軸方向に垂直なすべての放射状の線に幅全体にわたって接する少なくとも1つの環状のらせん状のカムパスを有する
ことを特徴とする請求項5に記載のムーブメント(100)。
【請求項7】
前記第1の接触面(16)及び前記第2の接触面(18)は、それぞれ同じ角度振幅を有する同数のカムパスを有し、
同じカムピッチを有し、互いが相補的な輪郭を有するように形成されている
ことを特徴とする請求項6に記載のムーブメント(100)。
【請求項8】
前記第2の構成部品(8)は、軸方向における可変な厚みを有する少なくとも1つの他のスムースな調整ステージ(50)によって前記構造(3)に固定され、
一方では、工具によって動かすためにアクセス可能な回転駆動手段(70)を備える第3の構成部品(60)を有し、
前記第3の構成部品(60)は、前記第2の構成部品(8)と一体であり、前記第2の接触面(18)と反対側に第3の接触面(160)を有し、
他方では、前記少なくとも1つの弾性戻し手段(9)によって前記第3の構成部品(60)から押される第4の構成部品(80)を有し、
前記第4の構成部品(80)は、前記第3の接触面(160)と連係する第4の接触面(180)を備え、
前記第4の構成部品(80)は、直接、又は少なくとも1つの他の調整ステージによって、前記構造(3)に固定される
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のムーブメント(100)。
【請求項9】
前記第2の構成部品(8)は、前記カウンターボア(30)に設けられた肩部(33)に全周にわたって固定されるカラー(81)を有する
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のムーブメント(100)。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載のムーブメント(100)を少なくとも1つ有する計時器(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのホイールセットを装備する少なくとも1つの構造を有する計時器のムーブメントに関し、これにおいて、前記少なくとも1つの構造に対する前記少なくとも1つのホイールセットの旋回軸に沿ったエンドシェーク(縦あがき)が調整可能であり、ホイールセットの少なくとも1つの旋回ベアリングを有するエンドシェーク微細調整デバイスによって、前記少なくとも1つの旋回ベアリングは、前記軸の軸方向にて前記ホイールセットのための少なくとも1つの軸方向止めメンバーを定め、当該エンドシェーク微細調整デバイスは、前記軸方向における可変な厚みを有する第1の円滑な調整ステージを有し、前記第1の調整ステージは、一方では、工具によって動かすためにアクセス可能であってベアリングを装備する旋回駆動手段を備える第1の構成部品を有し、他方では、少なくとも1つの弾性戻し手段によって前記第1の構成部品から押される第2の構成部品を有し、前記第2の構成部品は、直接、又は少なくとも1つのケースを介して前記構造に固定されており、前記弾性戻し手段は、直接、又は少なくとも1つのケースを介して又は前記デバイスを有するケース装備体によって前記構造に支持され、前記第1の調整ステージを有するケースを有し、前記第2の構成部品は前記ケースと全周にわたって固定され、前記弾性戻し手段は、前記ケース内で支持され、前記少なくとも1つの構造は、少なくとも1つの第1の円滑な調整ステージを受けるカウンターボアを有し、前記第1の構成部品及び前記第2の構成部品は、前記カウンターボアのボア内でガイドされ、前記第2の構成部品は、前記構造に直接固定され、前記弾性戻し手段は、前記カウンターボアの底に支持されている。
【0002】
本発明は、さらに、当該種類の少なくとも1つのムーブメントを有する計時器に関する。
【0003】
本発明は、計時器のムーブメントの分野に関し、より具体的には、計時器のホイールセットの支持及び調整の分野に関する。
【背景技術】
【0004】
計時器のホイールセットのエンドシェークの調整は、難しい操作であって、高度に熟練した者によって行われている。これは、構造用部材、棒体等の弾性変形によって、あるいは宝石を動かして外してから元に戻すことによって、しばしば行われる。機構が調整手段を備えているのは希である。要求される調整範囲が非常に小さく、すなわち、数μmであったり、高々数百分の1mmであり、このような値は、雄ねじ−雌ねじのような伝統的な微細手段を使用してできるものではない。要求される調整範囲よりも大きい動作遊びが要求されるためである。また、調整機構において必要な空間が、計時器のムーブメントの空間で十分なことは希である。
【0005】
BUREAU TECHNIQUE ERARD名義のスイス特許出願第339136A号公報は、ベアリング体を形成するメンバーと、及び少なくとも1つの宝石ホールを装備する中央メンバーとの同心配置を有する計時器ベアリングを記載している。この中央のメンバーの軸方向における位置は、ベアリング体に対して回転させることによって、調整することができる。
【0006】
SEITZ & CO名義のスイス特許出願第356090A号公報には、突出部の1つを有するベアリング体に取り外し可能なように取り付けられた軸方向止めメンバーを備えたベアリングが記載されており、この突出部は、軸方向止めメンバーを形成する台に設けられたらせん状の傾斜路と連係している。
【0007】
ROBINSON名義の米国特許第4192136号公報には、らせん状の傾斜区画の連係に基づいた計時器における軸調整機構を記載している。
【0008】
SEIKO(FUJIEDA HISASHI)名義の米国特許出願第2010/188941号公報では、完全に軸方向の調整構成を有するベアリング構造を記載しており、これは、ベース体に対するホイールアーバーのフロントエンド部分を回転させながら支持し、ベアリングと、前記ベアリングを装備し、ホイールアーバーの外周面に雄ねじ部分を有するベアリング支持体と、ベアリング支持体の雄ねじ部分とねじ係合する雌ねじ部分を備える調整ナットとを備え、この調整ナットは、ベースボデーによってホイールアーバーが延びる方向にムーブメント内で調整され、ベアリング支持メンバーによってアーバーが延びる方向に対してベアリングの位置を調整するように構成している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、計時器機構においてエンドシェーク微細調整機能を導入することを提案するものであり、これは、より小さな厚みにて、数μm単位の調整が可能な感度を有し、エンドシェークの調整が必要なホイールセットベアリングを収容する構造部品の限定範囲内かつ廉価な変換によって既存のムーブメントに適応可能である。本発明は、工具を使用する外部操作によって、組み立て済みの組立体を分解せずにエンドシェーク調整を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、少なくとも1つのホイールセットを装備する少なくとも1つの構造を有する計時器のムーブメントに関し、これにおいて、前記少なくとも1つの構造に対する前記少なくとも1つのホイールセットの旋回軸に沿ったエンドシェークが調整可能であり、ホイールセットの少なくとも1つの旋回ベアリングを有するエンドシェーク微細調整デバイスによって、前記少なくとも1つの旋回ベアリングは、前記軸の軸方向にて前記ホイールセットのための少なくとも1つの軸方向止めメンバーを定め、当該エンドシェーク微細調整デバイスは、前記軸方向における可変な厚みを有する第1の円滑な調整ステージを有し、前記第1の調整ステージは、一方では、工具によって動かすためにアクセス可能であってベアリングを装備する旋回駆動手段を備える第1の構成部品を有し、他方では、少なくとも1つの弾性戻し手段によって前記第1の構成部品から押される第2の構成部品を有し、前記第2の構成部品は、直接、又は少なくとも1つのケースを介して前記構造に固定されており、前記弾性戻し手段は、直接、又は少なくとも1つのケースを介して又は前記デバイスを有するケース装備体によって前記構造に支持され、前記第1の調整ステージを少なくとも有するケースを有し、前記第2の構成部品は前記ケースと全周にわたって固定され、前記弾性戻し手段は、前記ケース内で支持されている。
【0011】
本発明の特定の特徴によって、前記弾性戻し手段は、前記少なくとも1つのケースを介して前記構造に支持され、前記第2の構成部品は、軸方向における固定位置及び固定角度位置で前記ケースに固定される。
【0012】
本発明の特定の特徴によって、前記弾性戻し手段は、前記ケースに対する角度位置の指標を与える第1の手段を有し、前記ケースは、前記第1の手段に対して相補的な第1の指標付け手段を有し、前記弾性戻し手段は、前記第1の構成部品に対する角度上の配置用の第2の指標付け手段を有する。
【0013】
本発明の特定の特徴によって、前記第1の構成部品は、角度位置に応じて軸方向において漸進する第1の接触面を有し、前記第2の構成部品は、角度位置に応じて軸方向において漸進する第2の接触面を有し、前記第2の接触面は、前記弾性戻し手段の作用の下で前記第1の接触面に接して連係している。
【0014】
本発明の特定の特徴によって、少なくとも第1の接触面又は第2の接触表面は、軸方向に垂直なすべての放射状の線に幅全体にわたって接する少なくとも1つの環状のらせん状のカムパスを有する。
【0015】
本発明の特定の特徴によって、少なくとも第1の接触面又は第2の接触面は、それぞれ軸方向に垂直なすべての放射状の線に幅全体にわたって接する少なくとも1つの環状のらせん状のカムパスを有する。
【0016】
本発明の特定の特徴によって、前記第1の接触面及び前記第2の接触面は、それぞれ同じ角度振幅を有する同数のカムパスを有し、同じカムピッチを有し、互いが相補的な輪郭を有するように構成されている。
【0017】
本発明は、さらに、当該種類の少なくとも1つのムーブメントを有する計時器に関する。
【0018】
添付図面を参照しながら下記の詳細な説明を読むことで、本発明の他の特徴及び利点を理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る計時器のホイールセット用のエンドシェーク微細調整デバイスの概略的な斜視図を示す。これは、溝における工具によって操作することができる軸方向においてベアリングの位置を調整する手段を有するケース装備体の第1の変形例の形態で示されている。
【
図2】
図1に示すケース装備体の構成部品の概略的な分解斜視図を示す。
【
図3】3つのらせん状のカムセクションによって形成された第1の漸進する接触面を有する第1の構成部品の概略的な斜視図を示す。
【
図4】
図3の第1の接触面に対して相補的である3つのらせん状のカムセクションによって形成された第2の漸進する接触面を有する第2の構成部品の概略的な斜視図を示す。
【
図5】少なくとも1つの弾性戻し手段の概略的な斜視図を示し、
図3の第1の構成部品を
図4に示す第2の構成部品に押しつける、押し込まれたばねの形態で作られており、これらの第1の構成部品と第2の構成部品は、ともに第1のエンドシェーク調整ステージを構成する。
【
図6】2つの調整ステージを備えたケース装備体の第2の変形例の概略的な斜視図を示す。
【
図7】
図6のケース装備体の構成部品の概略的な分解斜視図を示す。
【
図8】
図1のケース装備体のホイールセットの旋回軸を通る断面の概略的な断面図を示す。
【
図9】本発明に係るベアリングエンドシェーク調整機構を採り入れたカウンターボアを有する構造のホイールセットの旋回軸を通る断面の概略的な断面図を示す。
【
図10】本発明の有利な実施形態の部分図を
図8と同様な形態で示す。
【
図11】ホイールセットを装備する構造を有する計時器のムーブメントを有する計時器をブロック図の形態で示しており、これにおいて、当該構造に対するエンドシェークが本発明に係る微細調整デバイスによって調整可能である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、計時器のホイールセットのガイド及び調整の分野に関する。
【0021】
ホイールセットのための単一の旋回ガイドベアリングのエンドシェーク調整に対して本発明を説明する。当然、ホイールセットの各旋回ガイドベアリングを同様な機構で装備することも可能である。
【0022】
本発明は、さらに、少なくとも1つのホイールセット2を装備する少なくとも1つの構造3を有する計時器のムーブメント100に関する。この少なくとも1つの構造3に対する少なくとも1つのホイールセット2のエンドシェークを、軸線Dに沿って調整可能である。これは、エンドシェーク微細調整デバイス1によって又はケース装備体20によって、行うことができる。
【0023】
エンドシェーク微細調整デバイス1は、ホイールセット2のための少なくとも1つのベアリング4を有する。当該少なくとも1つのベアリング4は、軸線Dの軸方向においてホイールセット2用の少なくとも1つの軸方向止めメンバーを形成する。デバイス1は、軸方向に可変な厚みを有する少なくとも1つの円滑な調整ステージ5(すなわち、雌ねじや雄ねじなしで)を有する。当該調整ステージ5は、一方では、工具によって動かすためにアクセス可能であってベアリング4を装備する回転駆動手段7を備えた第1の構成部品6を有し、また、他方では、少なくとも1つの弾性戻し手段9によって第1の構成部品6から押される第2の構成部品8を有する。この第2の構成部品8は、直接、又は少なくとも1つのケース10によって構造3に固定されている。弾性戻し手段9は、直接、又は少なくとも1つのケース10によって構造3に支持されている。
【0024】
ケース装備体20は、デバイス1を有し、少なくとも1つの第1の調整ステージ5を有するケース10を有し、ここにおいて、第2の構成部品8は、ケース10に全周にわたって固定され、弾性戻し手段9は、ケース10の内部で支持されている。
【0025】
本発明によると、当該少なくとも1つの構造3は、
図9に示すように、少なくとも1つの第1の円滑な調整ステージ5を受けるカウンターボア30を有し、これにおいて、第1の構成部品6及び第2の構成部品8は、カウンターボア30のボア32にガイドされ、第2の構成部品8は、構造3に直接固定され、弾性戻し手段9は、カウンターボア30の底31に支持されている。
【0026】
したがって、計時器のホイールセット2は、キャリア構造3に対して軸線Dを中心に回転する。構造3に対するホイールセット2のエンドシェーク微細調整用デバイス1は、ホイールセット2のための少なくとも1つのベアリング4を有する。このベアリング4は、軸線Dの軸方向にてホイールセット2用の少なくとも1つの軸方向止めメンバーを形成する。「ベアリング」4は、広義な意味で、ホイールセット2をガイドする機能を意味する。すなわち、実際の回転のガイド、任意の軸の支持体、任意の抗衝撃ダンパーであり、ベアリング4は、一又は複数の部分にあり、特に、シリコンを使用する「Liga」又は「MEMS」技術によって単一の部品として作ることができ、放射状のガイド、軸の支持体、及び衝撃のダンピングを導入することができる。
【0027】
本発明によれば、デバイス1は、少なくとも第1の調整ステージ5を有し、これは、スムースであり(雌ねじ又は雄ねじがない)、構成部品の相対的な調整に応じて、軸方向において可変な厚みを有し、一方では、工具(ねじ回し又はレンチ等)を動かすためにアクセス可能であってベアリング4を装備する回転駆動手段7を備えた第1の構成部品6を有し、また、他方では、少なくとも1つの弾性戻し手段9によって第1の構成部品6から押される第2の構成部品8を有する。
【0028】
この第2の構成部品8は、
図9の変形例におけるように直接、又は
図1、2、6及び8におけるように少なくとも1つのケース10を介して構造3に固定されている。また、
図6及び7におけるように軸方向に可変な厚みを有する少なくとも1つの他の調整ステージ50を介して構成部品8を固定することも想定することができる。これは、各ステージを角度的にロックできるということを前提とする。
【0029】
弾性戻し手段9は、
図9の変形例におけるように直接、又は
図1、2、6〜8におけるように少なくとも1つのケース10を介して構造3に支持されている。
【0030】
図1、2、6〜8のケースにおいては、弾性戻し手段9は、少なくとも1つのケース10を介して構造3に支持され、第2の構成部品8は、軸方向における固定位置及び固定角度位置でケース10に固定されている。
【0031】
特定の一実施形態において、
図2、5及び9に見られるように、弾性戻し手段9(押し込まれたばねの形態で作られる)は、ケース10に対する角度上の配置のために、周辺部の爪やノッチのような第1の指標付け手段91を有し、これは、ノッチ、対応するボスのような相補的な第1の指標付け手段11を有する。弾性戻し手段9は、さらに、第1の構成部品6に対する角度上の配置のための突起やノッチのような第2の指標付け手段92を有し、これは、それぞれノッチや突起のような対向する相補的な手段(図を複雑にしないように図示せず)を有する。
【0032】
図示した好ましい実施形態において、第1の構成部品6は、角度位置に応じて軸方向において漸進する第1の接触面16を有し、第2の構成部品8は、角度位置に応じて軸方向において漸進する第2の接触面18を有する。この第2の接触面18は、少なくとも1つの弾性戻し手段9の作用の下で第1の接触面16に接して連係している。
【0033】
第1の構成部品6及び第2の構成部品8によって形成される相対的角度に応じて、接触面が特定の高さに対応し、よって、これらの2つの構成部品を積み重ねることによって形成されたステージ5の全体の厚さは、それらの間の角度上のオフセットに依存する。有利なことに、与えられたオフセット角が特定の総厚み値に対応して再現性を得られるように、接触面を作ることができ、必要であれば、結果としてもたらされるエンドシェークの可変性をユーザーに示すために、回転駆動手段7(ここでは、直線状の放射状の溝)に対向するように、第2の構成部品8のビジュアル面に目盛りを付すことを可能にする。
【0034】
図示した好ましい変形例において、少なくとも第1の接触面16又は第2の接触面18は、軸方向に垂直なすべての放射状の線に対して幅全体にわたって接する、少なくとも1つの環状のらせん状のカムパスを有する。対向する接触面は、別のカム、一連の段、一連のボス又はノッチのような起伏要素を有することができる。また、接触面のそれぞれは、これらの例の1つに従って作ることができる。なお、本発明の場合、非常に精密なピッチカムを備えた変形例が好ましい。なぜなら、これによって、連続的な調整、大きな角度的クリアランスのために非常に低い軸方向の変化を可能にし、よって、高感度を可能にする。また、低いカム傾斜によって、カムを特定位置に保持する十分な摩擦を確保できる。弾性戻し手段9によってもたらされる摩擦は、同一位置保持機能を果たす。
【0035】
図の好ましい変形例において、第1の接触面16及び第2の接触面18の両方は、少なくとも1つの環状のらせん状のカムパスを有し、これは、軸方向に垂直なすべての放射状の線に対して幅全体にわたって接触する。
【0036】
より具体的には、第1の接触面16及び第2の接触面18はそれぞれ、同数のカムパス(ここでは、3つ)を有し、これらは、同じ角度振幅を有し、同じカムピッチを有し、相補的な輪郭を有するように形成する。小さな傾斜のこれらのカムは、さらに、小さな厚みを有し、これは、空間の節約のため、また、平坦ないし超平坦なムーブメント内にエンドシェーク調整デバイス1を内蔵させるために好ましい。
【0037】
図10は、特定の一実施形態の詳細を示し、ここにおいて、弾性戻し手段9は、球状のカロット(縁なし帽)体に入れられた押し込まれたばねであり、第1の構成部品6は、放射方向にガイドするためにケース10の対向する面102と連係するガイド面62を有する。第1の構成部品6は、さらに、指標付け手段92を形成するばね9の突起92の回転を受けて止めるためのハウジング61を有し、ハウジング61は、相補的な指標付け手段を形成する。
【0038】
本発明は、さらに、例えば、数μm単位の値での調整を可能にするような、より広い調整範囲を享受するために、いくつかの調整ステージを組み合わせることを可能する。この場合、第2の構成部品8は、軸方向における可変な厚みを有する少なくとも1つの他の調整ステージ50を介して構造3に固定される。この他のステージ50の構成は、第1の調整ステージ5の構成と同様であることが好ましく、一方では、工具によって動かすためにアクセス可能な旋回駆動手段70が設けられた第3の構成部品60を有し、この第3の構成部品60は、第2の構成部品8と一体であり、第2の接触面18と反対側に第3の接触面160を有し、他方では、第3の接触面160と連係する第4の接触面180を備えた第4の構成部品80を有し、この第4の構成部品80は、直接、又は少なくとも1つの他の調整ステージを介して構造3に固定されている。
図6及び7は、同心状の調整手段7、70を備えた2つのステージ5及び50を有する当該種類の組立体を示しており、これは、同じ側の操作者からアクセス可能である。
【0039】
本発明は、さらに、当該種類のデバイス1を有するケース装備体20に関する。これは、好ましくは、当該種類のケース10を有し、これは、少なくとも1つの第1の調整ステージ5を有し、第2の構成部品8はケース10と全周にわたって固定され、弾性戻し手段9がケース10の内部で支持されている。このケース装備体20は、構造3のボア又はカウンターボアに収容するのが容易である小さな厚みを有する完全な微細調整手段を形成する。これは、ベアリング4と、放射状のガイド、軸ベアリング及びショック吸収の各機能のすべて又は一部とを統合して、特定のカボションを形成し、これは、伝統的なカボションの空間よりもかろうじて大きな同様な大きさの空間内において軸調整を行うという長所がある。当然、ケース10は、スムースなボアにおける組み立てのために、板体又は棒体の面に支持される外部の肩部を有することができる。当該構造のカウンターボアにおいて組み立てられる場合には、ケース10は円筒状の外径形状を有していてもよく、腕時計業者に知られているいずれの方法によって駆動されても固定されていてもよい。
【0040】
本発明は、さらに、少なくとも1つのホイールセット2を装備する少なくとも1つの構造3を有する計時器のムーブメント100に関する。この少なくとも1つのホイールセット2の少なくとも1つの構造3に対するエンドシェークは、微細調整デバイス1によって又はケース装備体20によって調整可能である。
【0041】
図9に示した実施形態では、ムーブメント100は構造3を有し、この構造3は、雌ねじ及び雄ねじがない少なくとも1つの第1の調整ステージ5を受けるカウンターボア30を有する。ステージ5の第1の構成部品6及び第2の構成部品8は、カウンターボア30のボア32にガイドされ、第2の構成部品8は、構造3に直接固定されており、弾性戻し手段9は、カウンターボア30の底31に支持されている。図示した特定の一実施形態において、第2の構成部品8は、カウンターボア30に設けられた肩部33と全周にわたって固定されたカラー81を有する。
【0042】
本発明は、さらに、このようなムーブメント100の少なくとも1つを有する計時器200に関する。
【0043】
異なる調整範囲を有するケース装備体の利用によって、同じ大きさの外部空間に対して、いくつかの種類のケース(狭い調整範囲又は反対に非常に広い調整範囲を有するもの)を適応させることを可能にする。第1及び第2の構成部品、及びケースは、ミクロ注入、又は「MEMS」タイプの技術によって作ることができ、機械加工を必要としない。これに対し、弾性戻し手段を形成するばねはスタンピングによって形成し切り取ることができる。唯一必要な機械加工は、本発明に係るデバイスを受ける構造の機械加工である。
【0044】
すなわち、本発明は、高感度、通常の資格を有する腕時計製造業人員がアクセス可能な、調整の容易さ、小型化、及び製造コスト削減の目的を達成する。本発明は、単に板体又は棒体におけるボア又はカウンターボアの機械加工によって、既存の口径を容易に変更して、エンドシェーク調整機能を取り入れ、測時性能を改善することを可能にし、よって、関心事の口径を採り入れた計時器の拡張を可能にする。