【文献】
ZHANG Changsen,Pozzolanic Activity of Burned Coal Gangue and Its Effects on Structure of Cement Mortar,Journal of Wuhan University of Technology Materials Science,中国,2006年12月,Vol.21 No.4,P.150-153
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のポゾラン混和材は、石炭脈石を含む原料から形成され、非晶質を呈するとともに、構成成分として、少なくともSiO
2、Al
2O
3、CaOおよびSO
3を含有する。
石炭脈石とは、別名ボタなどとも称せられる工業廃棄物の一種であり、主として石炭を精製する過程で排出されるものである。石炭脈石は、現在、大気汚染をはじめとする様々な形態により深刻な環境汚染を引き起こしている原因物質とされている。本発明では、このような石炭脈石を原料として利用することによって、優れたモルタル活性作用を有するポゾラン混和材を得ることのみならず、環境汚染問題の解決にも貢献するという側面も有する。
【0015】
本発明において対象とする石炭脈石は、原料となる石炭の生産地等によって組成が異なるが、本発明において使用する石炭脈石としては、50重量%〜85重量%のSiO
2、および10〜30重量%のAl
2O
3を含有し、微量の石炭成分を含有するものを用いることが好ましい。
【0016】
石炭脈石は、本発明における原料の必須成分であり、一般的には、原料混合物において20重量%以上を有するべきであるが、その一部をSiO
2、およびAl
2O
3の成分量が類似している他の原料に置き換えることができる。このような他の好ましい原料としては、頁岩が挙げられるが、これに限定されるものではない。但し、原料中の石炭脈石を他の原料(例えば、頁岩)に置き換える場合には、他の原料/石炭脈石の割合が、原料中の重量比で1/4〜3/4の範囲内となることが好ましい。
【0017】
石炭脈石に上記他の原料(例えば、頁岩)を配合することによって、本発明に係るポゾラン混和材の原料が所望とするSiO
2およびAl
2O
3の配合比率となるように調製することができる。例えば、SiO
2の含有率が十分に高い(例えば、70重量%以上の)石炭脈石を使用する場合には、上記他の原料(例えば、頁岩)を配合しないとすることも可能である。また、例えば、SiO
2の含有率がやや低い(例えば、60重量%以下の)石炭脈石を使用する場合には、SiO
2成分を補うように、60重量%以上のSiO
2を含有する上記他の原料(例えば、頁岩)を配合するなどの原料の調製が可能である。
【0018】
本発明のポゾラン混和材が非晶質を呈することは、ポゾラン混和材を混和させて得られるコンクリートやモルタル等のセメント材料が非晶質を呈することを意味しており、当該セメント材料のXRDデータにより示される(後述の実施例参照)。
【0019】
本発明のポゾラン混和材の特徴の一つは、石炭脈石を含む原料から形成され、少なくともSiO
2、Al
2O
3、CaOおよびSO
3を含有し、SiO
2、Al
2O
3およびCaOが、
図1Aに示すSiO
2−Al
2O
3−CaO系三角座標上の点J、点K、点L、および点Mを順次直線で結んで囲まれる範囲内の組成比を有し、 比表面積が8000cm
2/g以上であり、SO
3の組成比が、重量で、SiO
2+Al
2O
3+CaOの全量に対して1/6から1/20であり、非晶質を呈するポゾラン混和材を提供するものである。
【0020】
ここで、点J〜Mは
図1Aに示されるように、次の各重量分率を表す。
【0021】
点J:(SiO
2 0.65;Al
2O
3 0.30;CaO 0.05)
点K:(SiO
2 0.65;Al
2O
3 0.10;CaO 0.25)
点L:(SiO
2 0.40;Al
2O
3 0.10;CaO 0.50)
点M:(SiO
2 0.40;Al
2O
3 0.30;CaO 0.30)
【0022】
また、本発明のポゾラン混和材の特徴の一つは、特に原料の石炭脈石の一部を他の材料(例えば、頁岩)に置き換える場合には、原料中のSiO
2、Al
2O
3およびCaOの組成比が、
図1Aに示すSiO
2−Al
2O
3−CaO系三角座標上の上記の点J、点K、点L、および点Mを順次直線で結んで囲まれる範囲内の組成比のうち、
図1Bに示すように、点A、点B、点C、および点Dを順次直線で結んで囲まれる範囲内の組成比を有するポゾラン混和材を提供するものである。
【0023】
ここで、点A〜Dは
図1Bに示されるように、次の各重量分率を表す。
【0024】
点A:(SiO
2 0.60;Al
2O
3 0.30;CaO 0.10)
点B:(SiO
2 0.60;Al
2O
3 0.10;CaO 0.30)
点C:(SiO
2 0.40;Al
2O
3 0.10;CaO 0.50)
点D:(SiO
2 0.40;Al
2O
3 0.30;CaO 0.30)
【0025】
上記の点A、点B、点C、および点Dを順次直線で結んで囲まれる範囲内の組成比のうち、より好ましくは、本発明に係るポゾラン混和材は、SiO
2、Al
2O
3およびCaOが、
図1Bに示すSiO
2−Al
2O
3−CaO系三角座標上の点E、点F、点G、および点Hを順次直線で結んで囲まれる範囲内の組成比を有するものである。
【0026】
ここで、点E〜Hは
図1Bに示されるように、次の各重量分率を表す。
【0027】
点E:(SiO
2 0.55;Al
2O
3 0.25;CaO 0.20)
点F:(SiO
2 0.55;Al
2O
3 0.15;CaO 0.30)
点G:(SiO
2 0.45;Al
2O
3 0.15;CaO 0.40)
点H:(SiO
2 0.45;Al
2O
3 0.25;CaO 0.30)
【0028】
また、本発明のポゾラン混和材の特徴の一つは、特に原料の石炭脈石の一部を他の材料に置き換えない場合には、原料中のSiO
2、Al
2O
3およびCaOの組成比が、
図1Aに示すSiO
2−Al
2O
3−CaO系三角座標上の上記の点J、点K、点L、および点Mを順次直線で結んで囲まれる範囲内の組成比のうち、
図1Cに示すように、点A’、点B’、点C’、および点D’を順次直線で結んで囲まれる範囲内の組成比を有するポゾラン混和材を提供するものである。
【0029】
ここで、点A’〜D’は
図1Cに示されるように、次の各重量分率を表す。
【0030】
点A’:(SiO
2 0.65;Al
2O
3 0.25;CaO 0.10)
点B’:(SiO
2 0.65;Al
2O
3 0.10;CaO 0.25)
点C’:(SiO
2 0.50;Al
2O
3 0.10;CaO 0.40)
点D’:(SiO
2 0.50;Al
2O
3 0.25;CaO 0.25)
【0031】
上記の点A’、点B’、点C’、および点D’を順次直線で結んで囲まれる範囲内の組成比のうち、より好ましくは、本発明に係るポゾラン混和材は、SiO
2、Al
2O
3およびCaOが、
図1Cに示すSiO
2−Al
2O
3−CaO系三角座標上の点E’、点F’、点G’、および点H’を順次直線で結んで囲まれる範囲内の組成比を有するものである。
【0032】
ここで、点E’〜H’は
図1Cに示されるように、次の各重量分率を表す。
【0033】
点E’:(SiO
2 0.65;Al
2O
3 0.20;CaO 0.15)
点F’:(SiO
2 0.65;Al
2O
3 0.15;CaO 0.20)
点G’:(SiO
2 0.50;Al
2O
3 0.15;CaO 0.35)
点H’:(SiO
2 0.50;Al
2O
3 0.20;CaO 0.30)
【0034】
本発明のポゾラン混和材は、上述した石炭脈石[その一部を他の材料(例えば、頁岩)に置き換えてもよい]を含む各種の原料から調製することができ、例えば、少なくとも石炭脈石およびカルシウムを含み、SiO
230重量%以上且つAl
2O
310重量%以上を含有するものの1種以上を主原料とすることができる。主原料にCaO成分やSO
3成分が充分に含まれていない場合は、それらの成分を含有するものを原料として使用する。
【0035】
上述のカルシウムを含有する原料としては、例えば、炭酸カルシウムが挙げられる。
【0036】
如上の主原料とともに、本発明のポゾラン混和材の原料として使用されるものとしては、SO
3を含む原料、および各種の人工灰として知られているような各種の原料が挙げられる。このうち、SO
3成分は、主に石膏を使用することにより供給される。ここで、石膏とは、硫酸カルシウムの各水和物および無水物を主成分とする鉱物であり、例えば、生石膏、硬石膏(無水石膏)、焼石膏(半水石膏)、脱硫石膏(二水石膏)などが挙げられる。このようなことから、如上の主原料とともに、本発明のポゾラン混和材の原料として使用されるものとしては、例えば、脱硫石膏(GPS)、フライアッシュ(FA)、および高炉スラグ(BFS)などが挙げられる。
【0037】
かくして、本発明のポゾラン混和材を得るのに用いられる原料の組合せとして、例えば、石炭脈石/頁岩/炭酸カルシウム/フライアッシュ/高炉スラグ/脱硫石膏や、石炭脈石/炭酸カルシウム/フライアッシュ/高炉スラグ/脱硫石膏が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
本発明の第二の重要な特徴は、上述した石炭脈石を含むSiO
230重量%以上およびAl
2O
310重量%以上を含有する原料(主原料)を650〜850℃の温度で焼成することであり、これによって、セメント材料に混和されたときに優れた諸特性が発揮される。本発明に従い、このような比較的低温で焼成することにより優れたポゾラン混和材が得られる理由は未だ充分には解明されていないが、主原料(特に石炭脈石)に含まれているカオリナイトが消滅することなく、脱水されたメタカオリンなどが存在していることに因るものと推測される。なお、焼成後には、このような優れたポゾラン混和材の特性を維持するために、常温まで急冷することが好ましい。
【0039】
勿論、用いる主原料の種類に応じて、焼成温度は変動するが、主原料の石炭脈石に含まれている石炭成分の燃焼により、一般的な粘土やカオリン土よりも低温でカオリナイトの脱水が起り得るものと考えられる。このようなことから、焼成温度については、1000℃という高温にまで加熱することは、必要ではなく、寧ろポゾラン混和材としての性能を低下させてしまうために、高くても850℃までが上限であることを本発明者は確認している。また、その一方で、500℃程度の低温ではカオリナイトの脱水が充分に得られず、低くとも650℃の焼成温度は必要であることも確認している(後述の比較例3参照)。
【0040】
このような事象が起きる原因としては、次の理由が推察される。先ず、焼成温度が低すぎると、ポゾラン混和材の原料が充分に焼成されないことから、主に石炭脈石に含まれるカオリンが反応せずに残り、非晶質ハンプが存在しないためと推察される。一方、焼成温度が高すぎると、カオリンが完全に脱水してしまいメタカオリンが消失してしまっているためと推察される。かくして、上述した石炭脈石を含む主原料を650〜850℃の範囲の温度で焼成することが、性能の高いポゾラン混和材を得るための本発明の重要な特徴となっている。
【0041】
なお、本発明のポゾラン混和材は、セメント材料に混和した際に充分なポゾラン作用効果を発現させるために、比表面積が8000cm
2/g以上、好ましくは、9000cm
2/g以上、より好ましくは10000cm
2/g以上であるような非常に高い比表面積を有する微粉末とすべきである。
【0042】
本発明のポゾラン混和材は、上記のようにして石炭脈石を含む1種またはそれ以上の主原料を焼成した後、少なくともSO
3を含有する他の原料と混合することによって得られる。この際、当該混合後に、混合物全体を粉砕処理に供してその表面積(比表面積)を増大させることが好ましい。勿論、本発明のポゾラン混和材はコンクリートやモルタル等のセメント材料に混和させるための微粉末として使用されることから、当該粉砕処理は、水分を含有させない粉砕処理、所謂、乾式粉砕により行われるものであり、水分を含有させる粉砕処理、所謂、湿式粉砕は行われない。この処理によって、ポゾラン混和材としての性能が向上される。
【0043】
図2には、下記の実施例1で例示するように、石炭脈石/頁岩/炭酸カルシウム/FA(フライアッシュ)/スラグ(高炉スラグ)/無水石膏(脱硫石膏)の組合せから成る原料を用い、石炭脈石、頁岩、および炭酸カルシウムを750℃で焼成して、本発明のポゾラン混和材を調製する場合のフローチャートが示されている。なお、頁岩を含まない場合には、当該
図2に記載された頁岩を原料から除外した場合のフローチャートが適用される。
【0044】
以下に実施例を示すが、これらの実施例は本発明のポゾラン混和材を単に例示するためのものであり、本発明を限定するものではない。実施例1は、石炭脈石の一部を他の材料である頁岩に置き換えた例である。実施例2は、石炭脈石の一部を他の材料に置き換えなかった例である。
【0045】
(実施例1)
原材料及びポゾラン混和材の組成
下記の表1に示す組成の原材料を用いて、下記の表2に示すSiO
2/Al
2O
3/CaO組成比のポゾラン混和材のサンプルを調製した。
【0046】
【表1】
注1:数値は重量%を表す
注2:粉末度は、cm
2/gで表される比表面積で示す
【0047】
【表2】
注1:数値は重量分率を表す。
注2:サンプルは、原材料に由来する他の成分も含有している。例えば、サンプルIの全体組成(重量%)は、SiO
2(38.66)、Al
2O
3(15.10)、CaO(23.03)、Fe
2O
3(3.616)、MgO(3.387)、SO
3(11.67)、Na
2O(0)、K
2O(0.803)、TiO
2(0.974)、Cl(0)であり、SO
3の組成比(11.67)は、重量で、SiO
2+Al
2O
3+CaOの全量(76.79)に対して1/(6.6)であり、1/6から1/20の範囲に含まれることが確認された。また、サンプルIIの全体組成は、SiO
2(40.52)、Al
2O
3(19.23)、CaO(22.36)、Fe
2O
3(3.832)、MgO(4.571)、SO
3(4.89)、Na
2O(0)、K
2O(0.811)、TiO
2(0.986)、Cl(0)であり、SO
3の組成比(4.89)は、重量で、SiO
2+Al
2O
3+CaOの全量(82.11)に対して1/(16.8)であり、1/6から1/20の範囲に含まれることが確認された。このように、サンプルI、サンプルIIともに、SiO
230重量%以上およびAl
2O
310重量%以上含有していた。
【0048】
(XRDデータ)
本発明に従うポゾラン混和材のXRDデータを、上記表2に記載の各サンプルから取得した。なお、このXRDデータは、CuKα線を用いたX線回折測定により得られたものであり、次の実施条件に従って実施した。
・X線出力:40kV、20mA
・スキャンスピード/計数時間:4.0000 deg./分
・ゴニオメーター:Ultima IV (ADS)
・検出器:D/teX Ultra
・フィルター:Kβフィルター
・ステップ幅:0.0200 deg.
・スキャン軸:2Theta/Theta
・スキャン範囲:4.0000 − 64.0000 deg.
・スキャンモード:CONTINUOUS
・CBO選択スリット:BB
・入射スリット:1/2°
・長手制限スリット:10mm
・受光スリット1:開放
・受光スリット2:開放
【0049】
得られた各サンプルにおけるXRDデータから、いずれも、カオリナイトの鋭い回折ピークは観測されず、ブロードなピークが観測され、またメタカオリンのメインピークも観測された。例えば、上記XRDデータの一例として、上記表2に記載されたサンプルIに対する測定結果を
図3に示す。
同図から理解されるように、XRDデータの観察によりカオリナイトの鋭い回折ピークは観測されず、図中の領域Xで示されるブロードなピークが観測されたことから、上記で得たポゾラン混和材は、非晶質を呈していることがわかった。また、図中のa点はメタカオリンのメインピークであることから、上記で得たポゾラン混和材は、メタカオリンを含有していることが確認された。
【0050】
サンプルI〜VIのSiO
2/Al
2O
3/CaO組成比は、
図1Dの三角座標中に示されている。
ポゾラン混和材の強度特性
調製したポゾラン混和材サンプルについて、普通ポルトランドセメントとセメント協会標準砂を用いて40mm×40mm×160mmの角柱供試体を製作し圧縮強度の値を基準モルタルと比較して性能を評価した。配合は、表3のとおりとし基準モルタルと試験モルタルを製作した。表中の数値は重量割合を示す。
【0051】
【表3】
それぞれの供試体で圧縮試験を行い、次のように活性度指数を求めた。
【0052】
【数1】
なお、練り混ぜは、JIS R 5201で規定されたホバートミキサーを使用して行い、供試体成形型および型詰め機もJIS R 5201の規定するものを用いた。
【0053】
上記のサンプルIの組成を有し、石炭脈石、頁岩、および炭酸カルシウムは750℃で焼成し、フライアッシュ、高炉スラグ粉末、および脱硫石膏粉末は、原粉のまま6成分に混合したものと、6成分混合した後、それぞれの表中の比表面積まで粉砕したものについて測定した活性度指数を表4に示す。
【0055】
なお、上記表4の比表面積については、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置 (HORIBA LA−300、堀場製作所製)を用いて測定した。例えば、本発明に従うポゾラン混和材の測定結果の一例として、上記表4に記載の6成分粉砕の場合の1サンプルに対する粒子径分布の測定結果を
図4に示す。また、
図4に記載された粒子径分布の測定結果とともに、メジアン径6.9004(μm)、算術平均径8.1341(μm)、比表面積11338cm
2/gが当該測定装置により算出された。このことから、本発明に従うポゾラン混和材の比表面積は、8000cm
2/g以上であることが確認された。
【0056】
表4に示すように本発明に従うポゾラン混和材を用いると基準モルタルに比べて活性度指数が明らかに増加してモルタルの圧縮強度を増加させている。特に、ポゾラン混和材を構成する6成分を混合した後、粉砕して比表面積を8000cm
2/g以上に大きくすると、強度を増加する機能が一層高められている。
【0057】
サンプルIの組成を有し、上記と同様に調製して850℃で焼成したものについても、活性度指数を測定したところ、材齢1日、3日および7日の値は、それぞれ、117、112および105であり、圧縮強度を増加させる効果を奏することが認められた。
【0058】
さらに、上記のサンプルI〜VIの組成を有し上記と同様に調製して650℃で焼成したものについて、活性度指数を測定したところ、下記の表5に示す結果が得られ、いずれの場合も、モルタルの圧縮強度を増加させることが認められた。このうち特に、サンプルI〜IVは、モルタルの圧縮強度を一層良好に増加させており、これらは、
図1Dに示す点E:(SiO
2 0.55;Al
2O
3 0.25;CaO 0.20)、点F:(SiO
2 0.55;Al
2O
3 0.15;CaO 0.30)、点G:(SiO
2 0.45;Al
2O
3 0.15;CaO 0.40)、および点H:(SiO
2 0.45;Al
2O
3 0.25;CaO 0.30)を順次直線で結んで囲まれる範囲内の組成比を有していた。
すなわち、本発明に従うポゾラン混和材は、SiO
2/Al
2O
3/CaO組成比について、上記
図1Aに示す点J、点K、点L、および点Mを順次直線で結んで囲まれる範囲内のうち、特に原料の石炭脈石の一部を他の材料(例えば、頁岩)に置き換える場合には、上記
図1Bで示されるように、点A、点B、点C、および点Dを順次直線で結んで囲まれる範囲内の組成比を有するものであり、さらに、モルタルの圧縮強度を一層高める観点から、点E、点F、点G、および点Hを順次直線で結んで囲まれる範囲内の組成比を有することが好ましいことがわかった。
本発明に従うポゾラン混和材は、特に原料の石炭脈石の一部を他の材料(例えば、頁岩)に置き換える場合には、SiO
2/Al
2O
3/CaO組成比について、上記の
図1Bにおける点A、点B、点C、および点Dを順次直線で結んで囲まれる範囲内の組成比を有するとともに、好適な組成比のSO
3が配合されることによって、混和したコンクリート材料の初期のエトリンガイト生成によるコンクリートの緻密化と、コンクリートの膨張化のバランスが最適な状態に維持されているものと推察される。
【0060】
(比較例1)
比較例1として、上述の表1に示す組成の原材料を用いて、下記の表6に示すSiO
2/Al
2O
3/CaO組成比のポゾラン混和材のサンプルを調製した。
【0061】
【表6】
注1:数値は重量分率を表す。
【0062】
上記のサンプルa、b、cの原料組成(
図1Dの三角座標上にプロットした)を有し、上記と同様に調製して650℃で焼成したものについて、活性度指数を測定したところ、下記の表7に示す結果が得られた。得られた結果から、SiO
2/Al
2O
3/CaO組成比が、上記
図1Bの三角座標における点A、B、C、Dを順次直線で結んで囲まれる範囲に含まれないポゾラン混和材では、本発明のポゾラン混和材が示す高い圧縮強度が得られなかった。
【0064】
(比較例2)
比較例2として、フライアッシュ(FA)、高炉スラグ(BFS)の各々1成分のみから構成されるポゾラン混和材を得た。配合比率は、モルタル:FA=モルタル:BFS=90:10とした。さらに比較例として、石炭脈石、頁岩、および炭酸カルシウムの3成分を750℃で焼成し、その他の成分を混合することなく当該3成分のみで構成されるポゾラン混和材も得た。配合比率は、モルタル:当該3成分(石炭脈石、頁岩、および炭酸カルシウム)=90:10とした。これらについて、活性度指数を測定したところ、下記の表8に示す結果が得られた。
【0066】
表8の結果から、石炭脈石、頁岩、および炭酸カルシウムの3成分を焼成しその他の成分を混合することなく当該3成分のみで構成されるポゾラン混和材を混和させたモルタルの圧縮強度は、特に材齢1日目において、本発明のポゾラン混和材を混和させて得られたモルタル(表4の6成分粉砕の結果)と比較して、74%程度にとどまっていた。また、表8の結果から、フライアッシュ(FA)、高炉スラグ(BFS)の各々1成分のみから構成されるポゾラン混和材を混和させて得られたモルタルの圧縮強度は、特に材齢1日目において、同じく本発明のポゾラン混和材(表4の6成分粉砕の結果)と比較して、各々70%程度にとどまっていた。
【0067】
このような結果から、単に石炭脈石、頁岩、および炭酸カルシウムの3成分を焼成しその他の成分を混合することなく当該3成分のみで構成されるポゾラン混和材では、本発明のポゾラン混和材のように十分な圧縮強度は得られず、また、フライアッシュ(FA)、高炉スラグ(BFS)の各々1成分のみから構成されるポゾラン混和材では、これら3成分を焼成したことのみからなるポゾラン混和材よりもさらに圧縮強度が得られなかったことが判明した。
【0068】
(比較例3)
比較例3として、焼成温度による初期材令(初期材齢)の活性度の違いを確認した。上記のサンプルIの組成を有し上記と同様に調製して、650〜850℃の温度領域以外の各温度(550℃、600℃、900℃、1000℃)で焼成して得られたポゾラン混和材について、活性度指数を測定したところ、下記の表9に示す結果が得られた。この結果から、本発明に係るポゾラン混和材は、650〜850℃以外の温度で主原料を加熱して形成された場合には、十分な圧縮強度が得られなかったことが判明した。
【0070】
(実施例2)
原材料及びポゾラン混和材の組成
上記の実施例1と同様の手順に従い、下記の表10に示す組成の原材料を用いて、下記の表11に示すSiO
2/Al
2O
3/CaO組成比のポゾラン混和材のサンプル(1)〜(7)を調製した。サンプル(1)〜(7)をSiO
2−Al
2O
3−CaO系三角座標上にプロットした結果を
図1Eに示す。
【0071】
【表10】
注1:数値は重量%を表す。
注2:粉末度は、cm
2/gで表される比表面積で示す。
【0072】
【表11】
注1:数値は重量分率を表す。
注2:実施例1(表2)と同手法により、各サンプルがSiO
230重量%以上およびAl
2O
310重量%以上含有していることを確認した。
【0073】
(XRDデータ)
上記実施例1と同様の手順に従い、CuKα線を用いたX線回折測定により、本発明に従うポゾラン混和材のXRDデータを、上記表10に記載の各サンプルから取得した。例えば、上記XRDデータの一例として、上記表11に記載されたサンプル(2)に対する測定結果を
図5に示す。
これらの図から理解されるように、カオリナイトの鋭い回折ピークは観測されず、ブロードなピークが観測されたことから、上記で得たポゾラン混和材は、非晶質を呈していることがわかった。また、図中のY点はメタカオリンのメインピークであることから、上記で得たポゾラン混和材は、メタカオリンを含有していることが確認された。
【0074】
(初期材令の活性度測定)
サンプル(1)〜(7)と同じ原料組成を有し、上記の実施例1と同様に調製して750℃で焼成したものについて、活性度指数を測定したところ、下記の表12に示す結果が得られた。この結果から、原料の組成比について、
図1Eに示すように、SiO
2−Al
2O
3−CaO系三角座標上の点A’(SiO
2 0.65;Al
2O
3 0.25;CaO 0.10)、点B’(SiO
2 0.65;Al
2O
3 0.10;CaO 0.25)、点C’(SiO
2 0.50;Al
2O
3 0.10;CaO 0.40)、および点D’(SiO
2 0.50;Al
2O
3 0.25;CaO 0.25)を順次直線で結んで囲まれる範囲内に含まれるサンプル(1)〜(3)については、モルタルの圧縮強度を有意に増加させることが認められた。その一方で、当該範囲に含まれないサンプル(4)〜(7)については、モルタルの圧縮強度が低下したことが認められた。
【0075】
すなわち、本発明に従うポゾラン混和材は、SiO
2/Al
2O
3/CaO組成比について、
図1Aにおける点J、点K、点L、および点Mを順次直線で結んで囲まれる範囲内のうち、特に原料の石炭脈石の一部を他の材料に置き換えない場合には、上記
図1Cで示されるように、上記の点A’、点B’、点C’、および点D’を順次直線で結んで囲まれる範囲内の組成比を有するものであり、さらに、モルタルの圧縮強度を一層高める観点から、点E’(SiO
2 0.65;Al
2O
3 0.20;CaO 0.15)、点F’(SiO
2 0.65;Al
2O
3 0.15;CaO 0.20)、点G’(SiO
2 0.50;Al
2O
3 0.15;CaO 0.35)、および点H’(SiO
2 0.50;Al
2O
3 0.20;CaO 0.30)を順次直線で結んで囲まれる範囲内の組成比を有することが好ましいことがわかった。
本発明に従うポゾラン混和材は、特に原料の石炭脈石の一部を他の材料に置き換えない場合には、SiO
2/Al
2O
3/CaO組成比について、上記の
図1Cにおける点A’、点B’、点C’、および点D’を順次直線で結んで囲まれる範囲内の組成比を有するとともに、好適な組成比のSO
3が配合されることによって、混和したコンクリート材料の初期のエトリンガイト生成によるコンクリートの緻密化と、コンクリートの膨張化のバランスが最適な状態に維持されているものと推察される。
【0077】
(耐乾燥収縮測定)
サンプル(1)の組成を有し、上記の実施例1と同様に調製して750℃で焼成したポゾラン混和材を添加した。ポゾラン混和材の添加量が10重量%、15重量%、および20重量%の各場合に対して経時的なコンクリートのひずみ量を測定したところ、乾燥材齢(日)とひずみ変化量の関係を示す下記の表13の結果が得られた。表中、コンクリートの結合材をセメントだけとしたものを、比較用の通常コンクリート(セメント100%)として示している。この結果をグラフ化したものを
図6に示す。この結果から、本発明に係るポゾラン混和材は、ポゾラン混和材を添加しない場合と比較して、優れた耐乾燥収縮性を示した。