特許第5873569号(P5873569)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5873569オーバモールド成形されたホイールセットを有する時計アセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873569
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】オーバモールド成形されたホイールセットを有する時計アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G04B 17/06 20060101AFI20160216BHJP
   G04B 17/22 20060101ALI20160216BHJP
   G04B 15/14 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   G04B17/06 Z
   G04B17/22 Z
   G04B15/14 A
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-546399(P2014-546399)
(86)(22)【出願日】2012年11月27日
(65)【公表番号】特表2015-505041(P2015-505041A)
(43)【公表日】2015年2月16日
(86)【国際出願番号】EP2012073684
(87)【国際公開番号】WO2013087404
(87)【国際公開日】20130620
【審査請求日】2014年6月11日
(31)【優先権主張番号】11194061.5
(32)【優先日】2011年12月16日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ヴィラール,イヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ティングリー,グザヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ストラーム,フローラン
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 スイス国特許出願公開第609824(CH,A3)
【文献】 米国特許第3678683(US,A)
【文献】 仏国特許出願公開第2050375(FR,A1)
【文献】 米国特許第3425212(US,A)
【文献】 仏国特許発明第1555768(FR,A)
【文献】 独国特許出願公告第1698617(DE,B1)
【文献】 スイス国特許発明第342897(CH,A)
【文献】 スイス国特許発明第324746(CH,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B13/00−17/34
F16H55/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの対向するホイールセット(20)を含む時計アセンブリ(30)であって、
前記少なくとも2つの対向するホイールセット(20)は互いに連結され、周縁接触表面(200)上で互いに接触することによって協働し、
前記アセンブリ(30)内で連結された各前記ホイールセット(20)の各前記周縁接触表面(200)は、プラスチック材料の薄膜(210)の周縁表面である、時計アセンブリ(30)において、
前記アセンブリ(30)内で2つ1組にされた対向する2つの前記ホイールセット(20)それぞれの前記周縁接触表面(200)を形成する前記薄膜(210)は、基礎コア(250)上にオーバモールド成形されること;
平行な枢動軸の周りで枢動する前記ホイールセット(20)間の前記協働は、前記枢動軸に対して垂直な平面で発生すること;及び
接触点に対して垂直かつ前記2つのホイールセット(20)の前記枢動軸に対して平行な面内において測定した前記プラスチック材料の断面は等しいこと
を特徴とする、時計アセンブリ(30)。
【請求項2】
前記アセンブリ(30)内で2つ1組にして連結された複数の前記ホイールセット(20)の複数の前記周縁接触表面(200)を形成する複数の前記薄膜(210)は、同一のプラスチック材料で作製されることを特徴とする、請求項1に記載の時計アセンブリ(30)。
【請求項3】
前記接触表面(200)は、平行な軸の周りで枢動する2つの前記ホイールセット(20)の前記枢動軸に平行に延在すること;及び
前記2つのホイールセット(20)の前記薄膜(210)のプラスチック材料の断面は等しいこと
を特徴とする、請求項1又は2に記載の時計アセンブリ(30)。
【請求項4】
前記アセンブリは温度補償されること;すなわち
前記対向する2つの周縁接触表面(200)間の接触境界点において、前記2つの対向するホイールセット(20)の相対的な膨張は、前記境界点のいずれの微動変位も引き起こさないこと
を特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の時計アセンブリ(30)。
【請求項5】
前記アセンブリは、互いに協働する前記ホイールセット(20)として、振り座切欠き部(9)を含む小型安全振り座(4)、及び補剛用フランジ(6)上にオーバモールド成形されたプラスチック材料製の振り石(5)を含むテンプ(1)と、前記振り石(5)と協働する角状部(22)、前記振り座切欠き部(9)と協働するガードピン(24)、及びガンギ車(25)と協働するよう配設される爪石(23)を含むアンクル(21)とを含む、アセンブリ(31)であり、
前記アンクル(21)は、少なくとも部分的にプラスチック材料で作製される
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の時計アセンブリ(30)。
【請求項6】
前記アンクル(21)は少なくとも、前記テンプ(1)との前記周縁接触表面(200)に属する前記角状部(22)上に、前記基礎コア(250)上にオーバモールド成形された前記薄膜(210)を含むことを特徴とする、請求項5に記載の時計アセンブリ(30)。
【請求項7】
前記アンクル(21)は少なくとも、前記爪石(23)上に、前記基礎コア(250)上にオーバモールド成形された前記薄膜(210)を備えることを特徴とする、請求項5に記載の時計アセンブリ(30)。
【請求項8】
前記アセンブリは、互いに協働する前記ホイールセット(20)として、前記角状部(22)、前記テンプ(1)と協働するよう配設される前記ガードピン(24)、及び前記ガンギ車(25)と協働するよう配設される前記爪石(23)を含む前記アンクル(21)と、前記爪石(23)と協働する歯(26)を含む前記ガンギ車(25)とを含む、アセンブリ(32)であり、
前記アンクル(21)は、少なくとも部分的にプラスチック材料で作製される
こと、並びに
前記ガンギ車(25)は少なくとも部分的にプラスチック材料で作製され、
前記ガンギ車(25)は少なくとも、前記歯(26)で形成された前記アンクル(21)と接触する前記周縁表面(200)上に、基礎コア(250)上にオーバモールド成形
されたプラスチック材料の前記薄膜(210)を含む
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の時計アセンブリ(30)。
【請求項9】
前記アセンブリは、前記アセンブリ(31、32)を、同一の前記アンクル(21)の周囲で組み合わせることによって作製され、
前記アンクル(21)の両側において、前記テンプ(1)と前記ガンギ車(25)が相互作用する
ことを特徴とする、請求項5及び8に記載の時計アセンブリ(30)。
【請求項10】
少なくとも1つの前記薄膜(210)は、熱的に安定な材料、即ちシリコン又は酸化シリコン又は石英等で作製された前記基礎コア(250)上にオーバモールド成形されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の時計アセンブリ(30)。
【請求項11】
前記アセンブリは、天真(2)上にオーバモールド成形された前記時計用テンプ(1)を含み、
前記テンプ(1)は、共に前記天真(2)上にオーバモールド成形された、前記小型安全振り座(4)及びプラスチック材料製の前記振り石(5)を含み、
前記天真(2)は前記補剛用フランジ(6)を含み、
前記補剛用フランジ(6)上に前記小型安全振り座(4)がオーバモールド成形されること、並びに
前記振り石(5)は、前記テンプ(1)の軸方向に前記小型安全振り座(4)を延長した本体(8) に対して径方向に突出すること
を特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の時計アセンブリ(30)。
【請求項12】
前記テンプ(1)は、前記小型安全振り座(4)及び前記振り石(5)と共に前記天真(2)及び前記フランジ(6)上にオーバモールド成形された、天輪(7)を含むことを特徴とする、請求項11に記載の時計アセンブリ(30)。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の時計アセンブリ(30)を少なくとも1つ含む、時計ムーブメント(100)。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の時計アセンブリ(30)を少なくとも1つ含む、時計(1000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの対向するホイールセットを含む時計アセンブリであって、上記少なくとも2つの対向するホイールセットは互いに連結され、周縁接触表面上で互いに接触することによって協働し、上記アセンブリ内で連結された各上記ホイールセットの各上記周縁接触表面は、プラスチック材料の薄膜の周縁表面である、時計アセンブリに関する。
【0002】
本発明はまた、少なくとも1つのこのタイプのアセンブリを含む時計ムーブメントにも関する。
【0003】
本発明はまた、少なくとも1つのこのタイプのアセンブリを備える時計にも関する。
【0004】
本発明は時計学の分野に関し、より具体的にはテンプを含む調速アセンブリの分野に関する。
【背景技術】
【0005】
時計機構及び特に調速アセンブリは、温度変化に敏感である。
【0006】
摩擦学的な理由からしばしば必要になる異なる材料の使用は、この状況を緩和するものではない。
【0007】
時計用テンプは一般に、1つ又は複数のアームで天真に接続された天輪、及び二重振り座で形成され、この二重振り座は、アンクルのガードピンと協働する振り座切欠き部を有する小型安全振り座と、アンクルのフォークと協働する振り石を支持する大型振り座とを含む。これらの様々な構成部品は別個に製造された後で組み立てられるが、これにはコストがかかる。
【0008】
KIENZLEによる特許文献1は、プラスチック材料製の構成部品及びプラスチック材料でコーティングされた金属製アンクルを有する、レバー脱進機を開示している。
【0009】
A VERDE, GENERAL TIME COによる特許文献2は、プラスチック材料製のガンギ車と、爪石、角状部及びガードピンと一体であるプラスチック製アンクルと、天輪、振り石及び振り座を有しかつ金属製天真に設置されたプラスチック製テンプとを開示している。
【0010】
FARによる特許文献3は、射出プラスチック製アンクルを開示しており、これは同一の材料製又は金属製のホイールと組み合わされる。
【0011】
HUGUENINによる特許文献4は、「Teflon(登録商標)」製の爪石又はガンギ車を開示している。
【0012】
LICENTIAによる特許文献5は、全体がプラスチック材料製である電子式置時計機構を開示している。
【0013】
CALORによる特許文献6は同様に、主歯車列が歯車列歯部及びアーバを備える単一ピースの形態で成形された、小型電子式置時計を開示している。
【0014】
LEPEEによる特許文献7は、金属製天真と、単一ピースの天輪、アーム、二重振り座及びハブとを有するテンプを開示しており、ここで特にハブは天真上にオーバモールド成形される。変形例では、天輪は金属製である。しかしながら振り石が圧入される。
【0015】
CIELASKZYK, GENERAL TIME COによる特許文献8は、径方向に突出する振り石と単一ピースとしてプラスチック材料で作製された二重テンプ振り座を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】スイス特許出願第324746A号
【特許文献2】米国特許出願第3425212A号
【特許文献3】スイス特許出願第609824A号
【特許文献4】スイス特許出願第342897A号
【特許文献5】ドイツ特許出願第1698617B1号
【特許文献6】フランス特許出願第1555768A号
【特許文献7】フランス特許出願第2050375A1号
【特許文献8】米国特許出願第3678683A号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、生産を効率化して生産コストを削減するために、構成部品、特に時計用テンプ等の調速アセンブリの構成部品の製造及び組み付けを容易にした上で、温度変化にも関わらず動作安定性と加工精度を保証できるよう、時計機構を改良することを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
従って本発明は、少なくとも2つの対向するホイールセットを含む時計アセンブリであって、上記少なくとも2つの対向するホイールセットは互いに連結され、周縁接触表面上で互いに接触することによって協働する、時計アセンブリにおいて、上記アセンブリ内で連結された各上記ホイールセットの各上記周縁接触表面は、プラスチック材料の薄膜の周縁表面であることを特徴とする、時計アセンブリに関する。
【0019】
本発明の特徴によると、上記アセンブリ内で2個1組にして連結された複数の上記ホイールセットの複数の上記周縁接触表面を形成する複数の上記薄膜は、同一のプラスチック材料で作製される。
【0020】
本発明の特徴によると、上記アセンブリ内の上記2個1組とされた対向する2つのホイールセットのうちの少なくとも一方の上記周縁接触表面を形成する上記薄膜は、基礎コア上にオーバモールド成形される。
【0021】
本発明の特徴によると、上記アセンブリ内の上記2個1組とされた対向する2つのホイールセットそれぞれの上記周縁接触表面を形成する上記薄膜は、基礎コア上にオーバモールド成形される。
【0022】
本発明はまた、少なくとも1つのこのタイプのアセンブリを含む時計ムーブメントにも関する。
【0023】
本発明はまた、少なくとも1つのこのタイプのアセンブリを備える時計にも関する。
【0024】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むことにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、互いに協働する2つの対向するホイールセットを含む、本発明による時計アセンブリの上面図である。
図2図2は、テンプ及びアンクルを含む、本発明による時計アセンブリの上面図である。
図3図3は、図1のアンクル及びガンギ車を含む、本発明による時計アセンブリの上面図である。
図4図4は、図2のテンプへの本発明の応用例の概略斜視透視図である。
図5図5は、本発明によるアセンブリを有する調速アセンブリを含むムーブメントを備える時計のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は時計学の分野に関し、より具体的にはテンプを含む調速アセンブリの分野に関して説明される。
【0027】
本発明は、少なくとも2つの対向するホイールセット20、即ち20A、20Bを含む時計アセンブリ30であって、上記少なくとも2つの対向するホイールセット20A、20Bは互いに連結され、図5に示すように、周縁接触表面200、即ちそれぞれ200A、200B上で互いに接触することによって協働する。
【0028】
本発明によると、このタイプのアセンブリ30内で連結された各ホイールセット20の各周縁接触表面200は、プラスチック材料の薄膜210の周縁表面である。
【0029】
好ましくは、オーバモールド成形される薄膜210に使用するプラスチック材料は、0.15未満、好ましくは0.07〜0.15という低い摩擦係数を有する材料であり、対向する構成部品によって生成される摩擦トルクが最小となるように選択される。
【0030】
好ましい変形例では、同一のアセンブリ30内で2つ1組にして連結された複数のホイールセット20の複数の周縁接触表面200を形成する複数の薄膜210は、同一のプラスチック材料で作製される。
【0031】
好ましい変形例では、このタイプのアセンブリ30内の、2個1組とされた対向する2つのホイールセット20のうちの少なくとも一方の周縁接触表面200を形成する薄膜210は、基礎コア250上にオーバモールド成形される。
【0032】
特定の変形例では、このタイプのアセンブリ30内の、2個1組とされた対向する2つのホイールセット20それぞれの周縁接触表面200を形成する薄膜210は、基礎コア250上にオーバモールド成形される。
【0033】
また、少なくとも1つの薄膜210は、熱的に安定な材料、即ちシリコン又は酸化シリコン又は石英等で作製された基礎コア250上にオーバモールド成形される。
【0034】
更に、接触表面200が、平行な軸DA、DBの周りで枢動する2つのホイールセット20A、20Bの枢動軸に平行に延在する場合、これら2つのホイールセット20の薄膜210の周縁プラスチック材料の径方向断面は等しい。
【0035】
図3、4は別の場合を図示しており、ここではホイールセット20間の協働は、同一のアセンブリ30の2つのホイールセット20の2つの平行な枢動軸DA、DBに対して垂直な平面で発生する。この場合、接触点に対して垂直かつこれら2つのホイールセット20の枢動軸に対して平行な面内において測定した周縁プラスチック材料の断面を釣り合わせることが好ましい。
【0036】
本発明は特に、脱進機機構のホイールセット20に関する。
【0037】
図1、2に示す特定の実施形態では、第1のホイールセット20は、天真2上にオーバモールド成形された時計用テンプ1である。
【0038】
本発明によると、オーバモールド成形されたこのテンプ1は、小型安全振り座4と、プラスチック材料製の振り石5とを含み、これらはいずれも天真2上にオーバモールド成形される。
【0039】
有利には、天真2は補剛用フランジ6を含み、その上に小型安全振り座4がオーバモールド成形される。様々な実施形態が可能であり、フランジ6は、天真2上に嵌め込まれ、好ましくは圧入、接着、溶接、蝋接若しくは別の適切な方法で天真2上にロックされた、別個の構成部品であるか、又はフランジ6は、天真2を形成する突出肩部である。
【0040】
第1の実施形態では、フランジ6は、天真2上に圧入される天輪7のための軸受け表面を形成する。
【0041】
第2の実施形態では、フランジ6は、天真2上にオーバモールド成形される天輪7のための支持フレームを形成する。この第2の実施形態では、テンプ1はある変形例に従って作製してよく、この変形例ではテンプ1は、小型安全振り座4及び振り石5と共に天真2上及びフランジ6上にオーバモールド成形された天輪7を含む。他の変形例では、オーバモールド成形はいくつかのステップにおいて行ってよい。
【0042】
有利には、振り石5は、テンプ1の軸方向に振り座4を延長した本体8に対して径方向に突出する。
【0043】
好ましくは、小型安全振り座4は円筒形であり、周縁振り座切欠き部9を含む。また、本体8も小型安全振り座4と同一の直径の円筒形であり、振り石5は径方向アームによって、本体8に対して、振り座切欠き部9と位置合わせされた状態で支持される。
【0044】
小型安全振り座4が、振り石5に径方向に位置合わせされた周縁振り座切欠き部9を含む、この好ましいバージョンでは、小型安全振り座4及び振り石5は、これらが形成するアセンブリの慣性の主軸がテンプ1の軸Dと同一となるようにサイズ設定される。
【0045】
更に、天真2は、プラスチックオーバモールド成形材料を繋留するための、実質的に径方向の羽状部を含み、またこの羽状部11は、テンプ1の軸Dに対して釣り合うよう配設される。
【0046】
好ましくは、小型安全振り座4及び振り石5をオーバモールド成形するために使用するプラスチック材料は、0.15未満、好ましくは0.07〜0.15という低い摩擦係数を有する材料であり、アンクルの材料に応じて、テンプが協働するアンクルによって生成される摩擦トルクが最小となるように選択される。
【0047】
図3は、テンプ1及びアンクル21を含むアセンブリ31を示す。
【0048】
従って図3、4に示すように、別のホイールセット20はアンクル21であり、このアンクル21は、振り石5と協働する角状部22、振り座切欠き部9と協働するガードピン24、ガンギ車25と協働するよう配設される爪石23を含む。このアンクル21は:
−少なくとも部分的にプラスチック材料で作製されるか;又は
−その全体がプラスチック材料で作製されるか;又は
−好ましくは、以下に示すように、少なくともテンプ1及びガンギ車25と協働する領域(それぞれ角状部22及び爪石23)上に、別の材料(例えば打抜き加工用材料、鋳造用材料、シリコン、酸化シリコン又は石英等)製のコア250上にオーバモールド成形されたプラスチック材料製薄膜210を含む。
【0049】
図4は、このタイプのアンクル21と、アンクル21の爪石23と協働する歯26を含むガンギ車25である別のホイールセット20とを含む、別のアセンブリ32を示す。
【0050】
このガンギ車25は:
−少なくとも部分的にプラスチック材料で作製されるか;又は
−その全体がプラスチック材料で作製されるか;又は
−好ましくは、以下に示すように、少なくともアンクル21と協働する歯26で形成された領域上に、別の材料(例えば打抜き加工用材料、鋳造用材料、シリコン、酸化シリコン又は石英等)製のコア27上にオーバモールド成形されたプラスチック材料製薄膜28を含む。
【0051】
いずれの場合においても、アセンブリ30、31又は32は、この機構が温度補償されるよう、即ち対向する周縁接触表面200間の接触境界点(アセンブリ31では角状部22−振り石5、アセンブリ32では歯26−爪石23)における熱膨張が、2つの対向するホイールセットの相対的な膨張が、この境界点においていずれの微動変位も引き起こさないようなものとなるよう、配設される。従って表面の膨隆又は収縮は、動作中にいずれの望ましくない遊びを発生させることもない。
【0052】
各アセンブリ30の2つのホイールセット20のうちの少なくとも一方を、複合材料をオーバモールド成形して製造することによって、プラスチックオーバモールド成形材料の周縁部における量を制限でき、対向する部品の膨張又は収縮と等しいプラスチックの膨張又は収縮を提供できる。最適な様式では当然、同一のアセンブリ30の対向するホイールセット20の組において、各ホイールセット20の薄膜210がオーバモールド成形される基礎コア又は本体250は、対向するホイールセット20の薄膜210がオーバモールド成形される基礎コア又は本体250と等しい、枢動軸に対する径方向膨張を有するように考案される。この点に関して有利には、これら基礎コア又は本体250を、熱に対して比較的不活性な材料、特にシリコン等の微細技術用の材料で作製する。周縁オーバモールド成形によって、複数のホイールセット20の複数の接触領域200に対して、基礎コア又は本体250とは異なる摩擦特性を与えることができる。
【0053】
従ってテンプ1については、小型安全振り座4は好ましくは、補剛用フランジ6の径方向周縁部にのみオーバモールド成形される。
【0054】
ガンギ車25の場合には、例えば中間ワッシャ又は星形車の形態で作製されたコア27によって、ガンギ車25の周縁部上のオーバモールド成形プラスチック材料の量を制限でき、爪石23におけるアンクル21の膨張と等しいプラスチック材料の膨張を得ることができる。このようにして、歯26とアンクル21の爪石23との間で温度補償系を得る。
【0055】
オーバモールド成形されたテンプ1の場合、同様の特性を得ることによって、振り石5とアンクル21の角状部22との間での温度補償系を達成できる。
【0056】
これら2つのアセンブリ31、32に関して、コア上にアンクル21をオーバモールド成形することによって、アンクル上の膨張/収縮にさらされる材料の量に影響を及ぼすことができ、これにより、一方では小型安全振り座4及び/又はフランジ6、他方では周縁領域28及びそのコア27に特定の寸法を与えることができることがわかる。
【0057】
好ましくは、アセンブリ30の各ホイールセット20をオーバモールド成形する(又は完成させる)ために同一の材料を使用することで、いずれの他のデバイスを使用することなく温度補償を確実なものとすることができる。
【0058】
本実施例では、アセンブリ31、32を同一のアンクル21の周囲で組み合わせることによって、3つ以上のホイールセット22が形成されたアセンブリ30が形成され、上記アンクル21の両側において、上述の特徴に従ってそれぞれ作製されたテンプ1とガンギ車25とが相互作用する。
【0059】
本発明はまた、少なくとも1つのこのようなアセンブリ30を含み、特にこのタイプのオーバモールド成形されたテンプ1を含む、時計用調速アセンブリ10にも関する。
【0060】
本発明はまた、少なくとも1つのこのような時計用調速アセンブリ10又は少なくとも1つのこのタイプのアセンブリ30を含む、時計ムーブメント100にも関する。
【0061】
本発明はまた、少なくとも1つのこのような時計ムーブメント100又は少なくとも1つの時計用調速アセンブリ10若しくは少なくとも1つのこのタイプのアセンブリ30を含む、時計1000にも関する。
【0062】
特定の有利な応用例(ガンギ車の応用例)について本発明を説明したが、特に対向するホイールセット間の膨張差分が動作を妨害し得る場合、効率性に負の影響を与える場合、更には機構をロックしてしまう場合に、本発明を時計内部の他の構成にも応用できることは、当業者には理解される。従って以上の説明は、記載した特定の機構に限定されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5