【実施例】
【0099】
以下の実施例によって、本発明をより具体的に説明するが、本発明の範囲は何らこれらによって限定されるものではない。
【0100】
(参考例1)トロンボモジュリンのAPC活性の測定方法
Biologicals(2002)30,69−76に従い、プロテインCの活性化を指標としたトロンボモジュリンのAPC活性を測定する。
20mM塩化カルシウム溶液75μLに0.05%ポリソルベート20を含むトリス・イミダゾール緩衝液で希釈した試料溶液25μLを添加し氷冷した後、40U/mLのヒトトロンビン(米国、シグマ)溶液25μLを添加撹拌し、37℃で加温する。ヒトトロンビン溶液を添加してから10分後に12U/mLのヒトプロテインC(米国、エンザイムリサーチ)溶液25μLを添加撹拌し、37℃で加温する。ヒトプロテインC溶液を添加してから10分後に、ヘパリン−アンチトロンビンIII溶液100μLを添加撹拌し、37℃で加温する。ヘパリン−アンチトロンビンIII溶液を添加してから10分後に、あらかじめ37℃に加温した合成基質S−2366(スウェーデン国、クロモジェニックス)溶液250μLを添加撹拌し、37℃で加温する。基質溶液を添加してから10分後に、50%酢酸1.5mLを添加攪拌し、水を対照として405nmにおける吸光度を測定する。
【0101】
トロンボモジュリンのAPC活性は以下の式に従って算出する。なお、トロンボモジュリン1Uは、1分間に0.1μmolのp−ニトロアニリンを生じる量と定義する。
【数2】
A
sample:試料溶液の吸光度
A
blank:対照(水)の吸光度
M:p−ニトロアニリンのモル吸光係数 9.6×10
-3[1/μM]
V
1:吸光度測定時の液量 2.0×10
-3(L)
V
2:試料溶液の液量 0.025(mL)
T:基質切断反応時間 10(分)
k:トロンボモジュリン1Uより生成した活性化プロテインCが遊離させるp−ニトロアニリンのモル数 0.1(μmol/分/U)
【0102】
なお、試薬は以下のとおりである。
<トリス・イミダゾール緩衝液>
B液100mLにA液を加えpH8.4に調整し、水で10倍に希釈する。
A液:2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール3.03g及びイミダゾール1.70gを、1M塩酸50mLに溶解し、水を加えて100mLとし、塩化ナトリウム11.7gを加えて溶解する。
B液:2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール4.04g、イミダゾール2.27g及び塩化ナトリウム1.95gを水に溶解し100mLとし、塩化ナトリウム11.7g加えて溶解する。
<20mM塩化カルシウム溶液>
60mM塩化カルシウム溶液1mLにトリス・イミダゾール緩衝液2mLを加える。
<ヘパリン−アンチトロンビンIII溶液>
2U/mLのアンチトロンビンIII(日本国、三菱ウェルファーマ)溶液7.5μL、トリス・イミダゾール緩衝液42.5μL及び30U/mLのヘパリン(日本国、持田製薬)溶液50μLを加えて振り混ぜる。用時調製し、使用直前まで氷冷する。
【0103】
(参考例2)HCP濃度の測定方法
トロンボモジュリン遺伝子を導入した遺伝子組換えCHO細胞を無血清培養する。培養上清を抗トロンボモジュリン抗体カラムに供し非吸着画分を得る。この非吸着画分について参考例1に従ってトロンボモジュリンのAPC活性を測定し、活性が検出されないことを確認した後、限外ろ過膜にて濃縮したものをHCPとする。HCPを抗原としてウサギに感作して得た抗HCP抗血清を硫安塩析及びプロテインAカラムにより精製した後、トロンボモジュリンをリガンドとしたアフィニティカラムに供し非吸着画分を得る。このようにしてトロンボモジュリンを認識しないウサギ抗HCP抗体を得る。
【0104】
予想されるHCP濃度が0〜500ng/mLとなるように0.05%ポリソルベート80を含むPBSで希釈し、試料溶液とする。なお、試料溶液のHCP濃度が低い場合は、限外ろ過膜等を使用して適切な濃度まで濃縮する。別にHCPに0.05%ポリソルベート80を含むPBSを加えて、その1mL中に500、400、300、200、100、50、25、及び0ngを含む8種類の液を調製し、標準溶液とする。
【0105】
ポリスチレン製96穴プレートに、炭酸ナトリウム緩衝液で希釈した25μg/mLのウサギ抗HCP抗体溶液を1穴当たり100μLずつ加えた後、25℃で約2時間静置する。次いで250μLの0.05%ポリソルベート80を含むPBSで各穴を5回洗浄し、1%ゼラチンを含むPBSを200μLずつ加え、25℃で約1時間静置する。250μLの0.05%ポリソルベート80を含むPBSで各穴を5回洗浄した後、100μLの試料溶液及び標準溶液をそれぞれの穴に加え、25℃で約16時間静置する。次いで250μLの0.05%ポリソルベート80を含むPBSで各穴を5回洗浄した後、ビオチン化したウサギ抗HCP抗体溶液を100μLずつ加え、25℃で約2時間静置する。250μLの0.05%ポリソルベート80を含むPBSで各穴を5回洗浄した後、アビジン−ペルオキシダーゼ溶液を100μLずつ加え、25℃で約2時間静置する。250μLの0.05%ポリソルベート80を含むPBSで各穴を5回洗浄した後、酵素基質溶液を100μLずつ加え、室温暗所に静置する。適度に発色したら、25%硫酸を50μLずつ加えて反応を停止させ、96穴プレート用吸光度計(日本国、テカンジャパン)で492nmの吸光度を測定する。標準溶液による検量線から、試料1mL中のHCP含量を求める。なお、本測定法の定量限界の一例は、25ng/mLである。必要に応じて次の式に従ってトロンボモジュリン10,000U当たりのHCP含量を算出する。
【0106】
トロンボモジュリン10,000U当たりのHCP含量(ng/10,000U)
=a/b×10,000
a:試料1mL当たりのHCP含量(ng/mL)
b:試料1mL当たりのトロンボモジュリンのAPC活性(U/mL)
【0107】
なお、試薬は以下のとおりである。
<炭酸ナトリウム緩衝液>
無水炭酸ナトリウム0.16g 及び炭酸水素ナトリウム 0.29g に水を加えて溶解し 100mLとする。
<アビジン−ペルオキシダーゼ溶液>
アビジンDを結合した西洋わさびペルオキシダーゼ原液(米国、ベクターラボラトリーズ)を、0.05%ポリソルベート80を含むPBSで約30,000倍に希釈する。
<酵素基質溶液>
オルト−フェニレンジアミン二塩酸塩10mgをクエン酸・リン酸塩緩衝液(クエン酸一水和物2.56g及びリン酸水素二ナトリウム十二水和物9.12gを水に溶解し500mLとする)20mLに加えて溶解し、使用する直前に過酸化水素水10μLを加える。
【0108】
(参考例3)マウスIgG濃度の測定方法
マウスIgGを抗原としてウサギに感作して得た抗マウスIgG抗血清を硫安塩析及びプロテインAカラムにより精製し、ウサギ抗マウスIgG抗体を得る。
予想されるマウスIgG濃度が0〜25ng/mLとなるように0.05%ポリソルベート80を含むPBSで希釈し、試料溶液とする。なお、試料溶液のIgG濃度が低い場合は、限外ろ過膜等を使用して適切な濃度まで濃縮する。別にマウスIgGに0.05%ポリソルベート80を含むPBSを加えて、その1mL中に25、20、15、10、5、2.5、1.25、0.63及び0ngを含む9種類の液を調製し、標準溶液とする。
【0109】
ポリスチレン製96穴プレートに、炭酸ナトリウム緩衝液で希釈した1.5μg/mLのウサギ抗マウスIgG抗体溶液を1穴当たり100μLずつ加えた後、25℃で約2時間静置する。次いで250μLの0.05%ポリソルベート80を含むPBSで各穴を5回洗浄し、1%ゼラチンを含むPBSを200μLずつ加え、25℃で約1時間静置する。250μLの0.05%ポリソルベート80を含むPBSで各穴を5回洗浄した後、100μLの試料溶液及び標準溶液をそれぞれの穴に加え、25℃で約16時間静置する。次いで250μLの0.05%ポリソルベート80を含むPBSで各穴を5回洗浄した後、ビオチン化したウサギ抗マウスIgG抗体溶液を100μLずつ加え、25℃で約2時間静置する。250μLの0.05%ポリソルベート80を含むPBSで各穴を5回洗浄した後、アビジン−ペルオキシダーゼ溶液を100μLずつ加え、25℃で約2時間静置する。250μLの0.05%ポリソルベート80を含むPBSで各穴を5回洗浄した後、酵素基質溶液を100μLずつ加え、室温暗所に静置する。適度に発色したら、25%硫酸を50μLずつ加えて反応を停止させ、96穴プレート用吸光度計(日本国、テカンジャパン)で492nmの吸光度を測定する。標準溶液による検量線から、試料1mL中のマウスIgG含量を求める。本測定法の定量限界の一例は、0.63ng/mLである。必要に応じて次の式に従ってトロンボモジュリン10,000U当たりのマウスIgG含量を算出する。
【0110】
トロンボモジュリン10,000U当たりのマウスIgG含量(ng/10,000U)
=a/b×10,000
a:試料1mL当たりのマウスIgG含量(ng/mL)
b:試料1mL当たりのトロンボモジュリンのAPC活性(U/mL)
【0111】
なお、試薬は以下のとおりである。
<炭酸ナトリウム緩衝液>
無水炭酸ナトリウム0.16g 及び炭酸水素ナトリウム 0.29g に水を加えて溶解し 100mLとする。
<アビジン−ペルオキシダーゼ溶液>
アビジンDを結合した西洋わさびペルオキシダーゼ原液(米国、ベクターラボラトリーズ)を、0.05%ポリソルベート80を含むPBSで約30,000倍に希釈する。
<酵素基質溶液>
オルト−フェニレンジアミン二塩酸塩10mgをクエン酸・リン酸塩緩衝液(クエン酸一水和物2.56g及びリン酸水素二ナトリウム十二水和物9.12gを水に溶解し500mLとする)20mLに加えて溶解し、使用する直前に過酸化水素水10μLを加える。
【0112】
(参考例4)ウシ血清たん白質濃度の測定方法
ウシ血清を抗原としてウサギに感作して得た抗ウシ血清たん白質抗血清を硫安塩析及びプロテインAカラムにより精製し、ウサギ抗ウシ血清たん白質抗体を得る。
予想されるウシ血清たん白質濃度が0〜25ng/mLとなるように0.05%ポリソルベート80を含むPBSで希釈し、試料溶液とする。なお、試料溶液のウシ血清たん白質濃度が低い場合は、限外ろ過膜等を使用して適切な濃度まで濃縮する。別にウシ血清に0.05%ポリソルベート80を含むPBSを加えて、その1mL中に25、20、15、10、5、2.5、1.25及び0ngを含む8種類の液を調製し、標準溶液とする。
【0113】
ポリスチレン製96穴プレートに、炭酸ナトリウム緩衝液で希釈した10μg/mLのウサギ抗ウシ血清たん白質抗体溶液を1穴当たり100μLずつ加えた後、25℃で約2時間静置する。次いで250μLの0.05%ポリソルベート80を含むPBSで各穴を5回洗浄し、1%ゼラチンを含むPBSを200μLずつ加え、25℃で約1時間静置する。250μLの0.05%ポリソルベート80を含むPBSで各穴を5回洗浄した後、100μLの試料溶液及び標準溶液をそれぞれの穴に加え、25℃で約16時間静置する。次いで250μLの0.05%ポリソルベート80を含むPBSで各穴を5回洗浄した後、ビオチン化したウサギ抗ウシ血清たん白質抗体溶液を100μLずつ加え、25℃で約2時間静置する。250μLの0.05%ポリソルベート80を含むPBSで各穴を5回洗浄した後、アビジン−ペルオキシダーゼ溶液を100μLずつ加え、25℃で約2時間静置する。250μLの0.05%ポリソルベート80を含むPBSで各穴を5回洗浄した後、酵素基質溶液を100μLずつ加え、室温暗所に静置する。適度に発色したら、25%硫酸を50μLずつ加えて反応を停止させ、96穴プレート用吸光度計(日本国、テカンジャパン)で492nmの吸光度を測定する。標準溶液による検量線から、試料1mL中のウシ血清たん白質含量を求める。本測定法の定量限界の一例は、1.25ng/mLである。必要に応じて次の式に従ってトロンボモジュリン10,000U当たりのウシ血清たん白質含量を算出する。
【0114】
トロンボモジュリン10,000U当たりのウシ血清たん白質含量(ng/10,000U)
=a/b×10,000
a:試料1mL当たりのウシ血清たん白質含量(ng/mL)
b:試料1mL当たりのトロンボモジュリンのAPC活性(U/mL)
【0115】
なお、試薬は以下のとおりである。
<炭酸ナトリウム緩衝液>
無水炭酸ナトリウム0.16g 及び炭酸水素ナトリウム 0.29g に水を加えて溶解し 100mLとする。
<アビジン−ペルオキシダーゼ溶液>
アビジンDを結合した西洋わさびペルオキシダーゼ原液(米国、ベクターラボラトリーズ)を、0.05%ポリソルベート80を含むPBSで約30,000倍に希釈する。
<酵素基質溶液>
オルト−フェニレンジアミン二塩酸塩10mgをクエン酸・リン酸塩緩衝液(クエン酸一水和物2.56g及びリン酸水素二ナトリウム十二水和物9.12gを水に溶解し500mLとする)20mLに加えて溶解し、使用する直前に過酸化水素水10μLを加える。
【0116】
(比較例1)可溶性トロンボモジュリンの製造1
特開平11−341990号公報の実施例1に従って、配列番号9に記載のアミノ酸配列をコードするDNAを遺伝子操作技術により組み込んだ遺伝子組換えCHO細胞を作製した後、150mg/LのL-プロリン(日本国、味の素)、60mg/Lのカナマイシン硫酸塩(日本国、明治製菓)、1mg/Lの酒石酸タイロシン(日本国、メルシャン)、及び10%ウシ血清(米国、ハイクロン)を含むDMEM培地(米国、インビトロジェン)に播種し、CO
2インキュベーター内、37℃で培養した。培養液を遠心分離して得られた細胞を150mg/LのL-プロリン(日本国、味の素)、60mg/Lのカナマイシン硫酸塩(日本国、明治製菓)、1mg/Lの酒石酸タイロシン(日本国、メルシャン)、10%ジメチルスルフォキシド(独国、メルク)、及び10%ウシ血清(米国、ハイクロン)を含むDMEM培地(米国、インビトロジェン)にけん濁した後、バイアルに分注し(4×10
7 cells/本)、液体窒素中に凍結保存した。
【0117】
特開平11−341990号公報の成分表2に示された培地のNaHCO
3濃度を5,700mg/Lに、NaCl濃度を2,410mg/Lに改変したものを基本培地として細胞培養行った。増殖培地は基本培地に60mg/Lのカナマイシン硫酸塩(米国、インビトロジェン)、1mg/Lの酒石酸タイロシン(米国、シグマ−アルドリッチ)、及び8%ウシ血清(米国、ハイクロン)を添加して用いた。また、生産培地は増殖培地の血清濃度を3%とした。
【0118】
細胞のバイアル1本を融解し、その細胞を100mLの増殖培地に播種し、CO
2インキュベーター内、スピナーフラスコを用いて37℃で5日間攪拌培養した。生細胞密度が7.0×10
5 cells/mL以上になった時点で、培養液全量を0.9Lの増殖培地に継代し、CO
2インキュベーター内、スピナーフラスコを用いて37℃で5日間攪拌培養した。生細胞密度が7.0×10
5 cells/mL以上になった時点で、培養液全量を9Lの増殖培地に継代し、培養槽を用いて37℃、pH7.2、溶存酸素50%で5日間攪拌培養した。生細胞密度が7.0×10
5 cells/mL以上になった時点で、培養液全量を120Lの増殖培地に継代し、灌流培養槽を用いて37℃、pH7.2、溶存酸素50%で7日間攪拌培養した。生細胞密度が7.0×10
5 cells/mL以上になった時点で、生産培地の添加と培養上清液の回収を連続的に行う灌流培養を開始した。培養条件は、37℃、pH7.2、溶存酸素50%、培地交換130〜200L/day、上面加圧0〜0.2MPaとした。生細胞密度が7.5×10
6 cells/mLに達したから36日間培養を継続し、培養上清液を生産液として回収した。回収した生産液はろ過フィルターのスープラディスクII(米国、ポール)、及びスーポアEBV(米国、ポール)を用いて澄明化し、ろ過後生産液として2〜10℃で保存した。
【0119】
約700Lのろ過後生産液を、150mM 塩化ナトリウムを含む20mMトリス塩緩衝液(pH7.7)で平衡化したQ−Sepharose Fast Flow(米国、GEヘルスケア)カラム(直径63cm、高さ25cm)に供した。次に6カラムボリューム(CV)の180mM 塩化ナトリウムを含む20mM酢酸緩衝液(pH5.5)で洗浄し、更に280nmの吸収がベースラインに戻るまで180mM 塩化ナトリウムを含む20mMトリス塩緩衝液(pH7.7)で洗浄を行ない、300mM 塩化ナトリウムを含む20mMトリス塩緩衝液(pH7.7)で溶出を開始し、溶出液の吸光度280nmのピーク立ち上がりからの0.5カラムボリューム容量の溶出液を粗精製液として取得した。同様の操作を6回繰り返し実施し、6ロットの粗精製液を取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は109L/時で実施した。
【0120】
特開平11−341990号公報の実施例10に従って、ヒト肺由来トロンボモジュリンを抗原とした抗トロンボモジュリンモノクローナル抗体を作製し、CNBr−activated Sepharose 4Fast Flow(米国、GEヘルスケア)と接触反応させ、抗トロンボモジュリンモノクローナル抗体をカップリングし、抗トロンボモジュリンモノクローナル抗体結合Sepharose 4Fast Flowを作製し、カラムに充填してモノクローナル抗体カラムとした。約40Lの粗精製液を、0.3M 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)で平衡化したモノクローナル抗体カラム(直径44cm、高さ13cm)に供した。6CVの1.0M 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)を流し、更に3CVの0.1M酢酸緩衝液(pH5.0)を流し洗浄し、0.3M 塩化ナトリウム含む0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)で溶出を開始した。溶出液の吸光度280nmのピーク立ち上がりから立ち下がりまでの溶出液を得、溶出液に1/10容量の0.5Mリン酸緩衝液(pH7.3)を添加して精製液1として取得した。同様の操作を6回繰り返し実施し、6ロットの精製液1を取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は46L/時で実施した。
【0121】
6ロット分の精製液1約170Lを1.0Mグリシン塩酸緩衝液(pH2.0)にてpH3.5に調製し、0.3M NaClを含む0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3.5)で平衡化したSP−SepharoseFF(米国 GEヘルスケアバイオサイエンス)カラム(直径45cm、高さ10cm)に供した。0.3M NaClを含む0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3.5)で洗浄を開始し、吸光度280nmのピーク立ち上がりから立ち下がりまでの素通り画分を得、直ちに0.5Mりん酸緩衝液(pH7.3)でpH7に中和し、精製液2として取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は160L/時で実施した。
【0122】
約200Lの精製液2を限外ろ過膜のマイクローザUFモジュールSIP−2013(日本国、旭化成ケミカルズ)で約10Lまで濃縮した後に、50mM 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)で平衡化したSephacryl S−300 HR(米国 GEヘルスケアバイオサイエンス)カラム(直径63cm、高さ94cm)に供した。280nmにおける吸収がもっとも大きい溶出ピークを分取した後、限外ろ過膜のマイクローザUFモジュールSIP−1013(日本国、旭化成ケミカルズ)で約12Lまで濃縮し、精製液3として取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は6.2L/時で実施した。
【0123】
室温下で、精製液3を50mM 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)で平衡化したウイルス除去膜のPLANOVA 15N(日本国、旭化成メディカル、膜面積1m
2)に圧力0.1MPa以下で通液後、さらに0.22μmのPVDF製ろ過膜(米国、ミリポア)に通液し、全量を回収した。これを可溶性トロンボモジュリン精製品とした。
同様の操作により、3ロット(A1、A2、A3)の精製品を取得した。
A1、A2、A3のトロンボモジュリンのAPC活性は、それぞれ69000U/mL、68000U/mL、72000U/mLであった。
A1、A2、A3の溶液における可溶性トロンボモジュリン濃度は、それぞれ10.5mg/mL、10.2mg/mL、10.3mg/mLであった。
【0124】
(比較例2)可溶性トロンボモジュリンの製造2
特開平11−341990号公報の成分表2に示された培地を基本培地として使用した。増殖培地は基本培地に60mg/Lのカナマイシン硫酸塩(米国、インビトロジェン)、1mg/Lの酒石酸タイロシン(日本国、塩野義製薬)、及び8%ウシ血清(米国、ハイクロン)を添加して用いた。また、生産培地は増殖培地の血清濃度を4%とした。
【0125】
比較例1で作製した細胞のバイアル1本を融解し、その細胞を100mLの増殖培地に播種し、CO
2インキュベーター内、スピナーフラスコを用いて37℃で3日間攪拌培養した。生細胞密度が5.0×10
5 cells/mL以上になった時点で、培養液全量を400mLの増殖培地に継代し、CO
2インキュベーター内、スピナーフラスコを用いて37℃で3日間攪拌培養した。生細胞密度が5.0×10
5 cells/mL以上になった時点で、培養液全量を2Lの増殖培地に継代し、CO
2インキュベーター内、球形ボトルを用いて37℃で3日間攪拌培養した。生細胞密度が5.0×10
5 cells/mL以上になった時点で、培養液全量を7.5Lの増殖培地に継代し、CO
2インキュベーター内、球形ボトルを用いて37℃で4日間攪拌培養した。生細胞密度が5.0×10
5 cells/mL以上になった時点で、生産培地の添加と培養上清液の回収を連続的に行う灌流培養を開始した。培養条件は、37℃、pH7.2、溶存酸素50%、培地交換10L/day、上面加圧0〜0.2MPaとした。生細胞密度が7.5×10
6 cells/mLに達したから40日間培養を継続し、培養上清液を生産液として回収した。
回収した生産液は、孔径0.7μm及び0.22μmのろ過フィルター(米国、ポール)を用いて澄明化し、ろ過後生産液として2〜10℃で保存した。
【0126】
約400Lのろ過後生産液を、150mM 塩化ナトリウムを含む20mMトリス塩緩衝液(pH7.4)で平衡化したQ−Sepharose Fast Flow(米国、GEヘルスケア)カラム(直径44cm、高さ26cm)に供した。次に6CVの180mM 塩化ナトリウムを含む20mM酢酸緩衝液(pH5.5)で洗浄し、更に280nmの吸収がベースラインに戻るまで180mM 塩化ナトリウムを含む20mMトリス塩緩衝液(pH7.4)で洗浄を行ない、300mM 塩化ナトリウムを含む20mMトリス塩緩衝液(pH7.4)で溶出を開始し、溶出液の吸光度280nmのピーク立ち上がりからの0.5カラムボリューム容量の溶出液を粗精製液として取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は45L/時で実施した。
【0127】
約20Lの粗精製液を、0.3M 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)で平衡化したモノクローナル抗体カラム(直径44cm、高さ12cm)に供した。6CVの1.0M 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)を流し、更に3CVの0.1M酢酸緩衝液(pH5.0)を流し洗浄し、0.3M 塩化ナトリウム含む0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)で溶出を開始した。溶出液の吸光度280nmのピーク立ち上がりから立ち下がりまでの溶出液を得、溶出液に1/10容量の0.5Mリン酸緩衝液(pH7.3)を添加して精製液1として取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は45L/時で実施した。
【0128】
約12Lの精製液1を1.0Mグリシン塩酸緩衝液(pH2.0)にてpH3.5に調製し、0.3M NaClを含む0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3.5)で平衡化したSP−SepharoseFF(米国 GEヘルスケアバイオサイエンス)カラム(直径14cm、高さ13cm)に供した。0.3M NaClを含む0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3.5)で洗浄を開始し、吸光度280nmのピーク立ち上がりから立ち下がりまでの素通り画分を得、直ちに0.5Mりん酸緩衝液(pH7.3)でpH7に中和し、精製液2として取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は15L/時で実施した。
【0129】
約16Lの精製液2を限外ろ過膜のマイクローザUFモジュールSIP−1013(日本国、旭化成ケミカルズ)で約1.2Lまで濃縮した後に50mM 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)で平衡化したSephacryl S−300 HR(米国 GEヘルスケアバイオサイエンス)カラム(直径25cm、高さ85cm)に供した。280nmにおける吸収がもっとも大きい溶出ピークを分取した後、限外ろ過膜のマイクローザUFモジュールSIP−1013(日本国、旭化成ケミカルズ)で約0.8Lまで濃縮し、精製液3として取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は1L/時で実施した。
【0130】
室温下で、精製液3を50mM 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)で平衡化したウイルス除去膜のPLANOVA 15N(日本国、旭化成メディカル、膜面積0.3m
2)に圧力0.1MPa以下で通液後、さらに0.22μmのPVDF製ろ過膜(米国、ミリポア)に通液し、全量を回収した。これを可溶性トロンボモジュリン精製品とした(ロット:B1)。
B1のトロンボモジュリンのAPC活性は、79000U/mLであった。
B1の溶液における可溶性トロンボモジュリン濃度は、12.6mg/mLであった。
【0131】
(比較例3)可溶性トロンボモジュリンの製造3
DMEM培地(米国、インビトロジェン)を基本培地として使用した。増殖培地は基本培地に150mg/LのL-プロリン(日本国、味の素)、60mg/Lのカナマイシン硫酸塩(日本国、明治製菓)、1mg/Lの酒石酸タイロシン(日本国、メルシャン)、及び10%ウシ血清(米国、ハイクロン)を添加して用いた。また、生産培地は増殖培地の血清濃度を1〜3%とした。
【0132】
比較例1で作製した細胞のバイアル1本を融解し、その細胞を100mLの増殖培地に播種し、CO
2インキュベーター内、スピナーフラスコを用いて37℃で5日間攪拌培養した。培養液全量を400mLの増殖培地に継代し、CO
2インキュベーター内、スピナーフラスコを用いて37℃で5日間攪拌培養した。培養液全量を1.6Lの増殖培地に継代し、エアーとCO
2を吹き込みながら球形ボトルを用いて37℃で5日間攪拌培養した。培養液全量を6Lの増殖培地に継代し、エアー、CO
2及び酸素を吹き込みながら球形ボトルを用いて37℃で5日間攪拌培養した。培養液全量を56Lの増殖培地に継代し、エアー、CO
2及び酸素を吹き込みながら球形ボトルを用いて37℃で4日間攪拌培養した。全量培地交換を行った後に3日間培養し、さらに全量培地交換した後、生細胞密度が1×10
6 cells/mLに達してから生産培地へと切り替えた。CC−100連続遠心分離機(スウェーデン国、アルファーラバル)を用い、毎日生産液を回収し、新鮮培地へ交換した。生産培養は100日間実施した。回収した生産液は、孔径0.7μm及び0.22μmのろ過フィルター(米国、ポール)を用いて澄明化し、ろ過後生産液として2〜10℃で保存した。
【0133】
約2400Lのろ過後生産液を、150mM 塩化ナトリウムを含む20mMトリス塩緩衝液(pH7.4)で平衡化したQ−Sepharose Fast Flow(米国、GEヘルスケア)カラム(直径44cm、高さ25cm)に供した。次に6CVの180mM 塩化ナトリウムを含む20mM酢酸緩衝液(pH5.5)で洗浄し、更に2CVの180mM 塩化ナトリウムを含む20mMトリス塩緩衝液(pH7.4)で洗浄を行ない、300mM 塩化ナトリウムを含む20mMトリス塩緩衝液(pH7.4)で溶出を開始し、溶出液の吸光度280nmのピーク立ち上がりから約15Lの溶出液を粗精製液1として取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は45L/時で実施した。
【0134】
上記粗精製液1を、0.3M NaClを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化したButyl−SepharoseFF(米国 GEヘルスケアバイオサイエンス)カラム(直径25cm、高さ10cm)に供した。0.3M NaClを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.0)で洗浄を開始し、吸光度280nmのピーク立ち上がりから立ち下がりまでの素通り画分を粗精製液2として取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は13L/時で実施した。
【0135】
約20Lの粗精製液を、0.3M 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)で平衡化したモノクローナル抗体カラム(直径44cm、高さ18cm)に供した。6CVの1.0M 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)を流し、更に3CVの0.1M酢酸緩衝液(pH5.0)を流し洗浄し、0.3M 塩化ナトリウム含む0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)で溶出を開始した。溶出液の吸光度280nmのピーク立ち上がりから立ち下がりまでの溶出液を得、溶出液に1/10容量の1Mグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH9.0)と1/25容量の0.5Mリン酸緩衝液(pH7.3)を添加して精製液1として取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は50L/時で実施した。
【0136】
約15Lの精製液1を限外ろ過膜のマイクローザUFモジュールSIP−1013(日本国、旭化成ケミカルズ)で約1Lまで濃縮した後に150mM 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)で平衡化したSephacryl S−300 HR(米国 GEヘルスケアバイオサイエンス)カラム(直径25cm、高さ80cm)に供した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は1L/時で実施した。280nmにおける吸収がもっとも大きい溶出ピークを分取した後、0.22μmのPVDF製ろ過膜(米国、ミリポア)に通液し、約3Lを回収した。これを可溶性トロンボモジュリン精製品とした(ロット:B2)。
B2のトロンボモジュリンのAPC活性は、28000U/mLであった。
B2の溶液における可溶性トロンボモジュリン濃度は、3.8mg/mLであった。
【0137】
(比較例4)可溶性トロンボモジュリンの製造4
比較例1で凍結保存された細胞のバイアルを1本融解し、8mMのL−グルタミン(米国、インビトロジェン)、50μMのヒポキサンチン(米国、インビトロジェン)、及び8μMのチミジン(米国、インビトロジェン)を含む無血清培地IS CHO−CD(米国、アーバイン サイエンティフィック)に播種し、CO
2インキュベーター内、37℃で培養した。培養液を遠心分離して得られた細胞を8mMのL−グルタミン(米国、インビトロジェン)、50μMのヒポキサンチン(米国、インビトロジェン)、8μMのチミジン(米国、インビトロジェン)、及び10%ジメチルスルフォキシド(米国、シグマ−アルドリッチ)を含む無血清培地IS CHO−CD(米国、アーバイン サイエンティフィック)にけん濁した後、バイアルに分注し(2×10
7 cells/本)、液体窒素中に凍結保存した。
【0138】
増殖培地は1Lの水に対し、20.78gのIS CHO−CD−A3(米国、アーバイン サイエンティフィック)、4.06gの塩化ナトリウム(日本国、富田製薬)、及び2.20gの炭酸水素ナトリウム(日本国、和光純薬工業)を溶解して作製した。また、生産培地は1Lの水に対し、20.78gのIS CHO−CD−A3(米国、アーバイン サイエンティフィック)、2.63gの塩化ナトリウム(日本国、富田製薬)、及び4.40gの炭酸水素ナトリウム(日本国、和光純薬工業)を溶解して作製した。
【0139】
細胞のバイアル1本を融解し、その細胞を100mLの増殖培地に播種し、CO
2インキュベーター内、T−フラスコを用いて36℃で5日間静置培養した。生細胞密度が7.0×10
5 cells/mL以上になった時点で、培養液40mLを360mLの増殖培地に継代し、CO
2インキュベーター内、スピナーフラスコを用いて36℃で7日間攪拌培養した。生細胞密度が7.0×10
5 cells/mL以上になった時点で、培養液80mLを720mLの増殖培地に継代し、CO
2インキュベーター内、スピナーフラスコを用いて36℃で6日間攪拌培養した。生細胞密度が7.0×10
5 cells/mL以上になった時点で、培養液全量を9.2Lの増殖培地に継代し、灌流培養槽を用いて36℃、pH7.1、溶存酸素50%で8日間攪拌培養した。生細胞密度が7.0×10
5 cells/mL以上になった時点で、生産培地の添加と培養上清液の回収を連続的に行う灌流培養を開始した。培養条件は、36℃、pH7.1、溶存酸素50%、培地交換10L/day、上面加圧0〜0.2MPaとした。生細胞密度が7.5×10
6 cells/mLに達したから26日間培養を継続し、培養上清液を生産液として回収した。
【0140】
回収した生産液はろ過フィルターのスープラキャップ(米国、ポール)、及びスーポアEBV(米国、ポール)を用いて澄明化し、ろ過後生産液として2〜10℃で保存した。
約250Lのろ過後生産液を、150mM 塩化ナトリウムを含む20mMトリス塩緩衝液(pH7.7)で平衡化したQ−Sepharose Fast Flow(米国、GEヘルスケア)カラム(直径25cm、高さ25cm)に供した。次に6CVの180mM 塩化ナトリウムを含む20mM酢酸緩衝液(pH5.6)で洗浄し、更に4CVの180mM 塩化ナトリウムを含む20mMトリス塩緩衝液(pH7.7)で洗浄を行ない、290mM 塩化ナトリウムを含む20mMトリス塩緩衝液(pH7.7)で溶出を開始し、溶出液の吸光度280nmのピーク立ち上がりからの0.5カラムボリューム容量の溶出液を粗精製液として取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は18L/時で実施した。
【0141】
約6Lの上記粗精製液を、0.3M 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)で平衡化したモノクローナル抗体カラム(直径44cm、高さ8cm)に供した。6CVの1.0M 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)を流し、更に3CVの0.1M酢酸緩衝液(pH5.0)を流し洗浄し、0.3M 塩化ナトリウム含む0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)で溶出を開始した。溶出液の吸光度280nmのピーク立ち上がりから立ち下がりまでの溶出液を得、溶出液に1/10容量の0.5Mリン酸緩衝液(pH7.3)を添加して精製液1として取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は46L/時で実施した。
【0142】
約14Lの精製液1を1.0Mグリシン塩酸緩衝液(pH2.0)にてpH3.5に調製し、0.3M NaClを含む0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3.5)で平衡化したSP−SepharoseFF(米国 GEヘルスケアバイオサイエンス)カラム(直径14cm、高さ13cm)に供した。0.3M NaClを含む0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3.5)で洗浄を開始し、吸光度280nmのピーク立ち上がりから立ち下がりまでの素通り画分を得、直ちに0.5Mりん酸緩衝液(pH7.3)でpH7に中和し、精製液2として取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は15L/時で実施した。
【0143】
約20Lの精製液2を限外ろ過膜のマイクローザUFモジュールSIP−1013(日本国、旭化成ケミカルズ)で約1Lまで濃縮した後に50mM 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)で平衡化したSephacryl S−300 HR(米国 GEヘルスケアバイオサイエンス)カラム(直径25cm、高さ79cm)に供した。280nmにおける吸収がもっとも大きい溶出ピークを分取した後、限外ろ過膜のマイクローザUFモジュールSIP−1013(日本国、旭化成ケミカルズ)で約0.7Lまで濃縮し、精製液3として取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は1L/時で実施した。
【0144】
室温下で、精製液3全量を50mM 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)で平衡化したウイルス除去膜のPLANOVA 15N(日本国、旭化成メディカル、膜面積0.12m
2)に圧力0.1MPa以下で通液後、さらに0.22μmのPVDF製ろ過膜(米国、ミリポア)に通液し、全量を回収した。これを可溶性トロンボモジュリン精製品とした(ロット:B3)。
【0145】
(実施例1)高純度可溶性トロンボモジュリンの製造1
特開平11−341990号公報の成分表2に示された培地のNaHCO
3濃度を5,700mg/Lに、NaCl濃度を2,410mg/Lに改変したものを基本培地として細胞培養行った。増殖培地は基本培地に60mg/Lのカナマイシン硫酸塩(米国、インビトロジェン)、1mg/Lの酒石酸タイロシン(米国、シグマ−アルドリッチ)、及び8%ウシ血清(米国、ハイクロン)を添加して用いた。また、生産培地は増殖培地の血清濃度を3%とした。
【0146】
比較例1で作製した細胞のバイアル1本を融解し、その細胞を100mLの増殖培地に播種し、CO
2インキュベーター内、スピナーフラスコを用いて37℃で5日間攪拌培養した。生細胞密度が7.0×10
5 cells/mL以上になった時点で、培養液全量を0.9Lの増殖培地に継代し、CO
2インキュベーター内、スピナーフラスコを用いて37℃で5日間攪拌培養した。生細胞密度が7.0×10
5 cells/mL以上になった時点で、培養液全量を9Lの増殖培地に継代し、培養槽を用いて37℃、pH7.2、溶存酸素50%で5日間攪拌培養した。生細胞密度が7.0×10
5 cells/mL以上になった時点で、培養液全量を120Lの増殖培地に継代し、灌流培養槽を用いて37℃、pH7.2、溶存酸素50%で7日間攪拌培養した。生細胞密度が7.0×10
5 cells/mL以上になった時点で、生産培地の添加と培養上清液の回収を連続的に行う灌流培養を開始した。培養条件は、37℃、pH7.2、溶存酸素50%、培地交換130〜200L/day、上面加圧0〜0.2MPaとした。生細胞密度が7.5×10
6 cells/mLに達したから40日間培養を継続し、培養上清液を生産液として回収した。回収した生産液はろ過フィルターのスープラディスクII(米国、ポール)、及びスーポアEBV(米国、ポール)を用いて澄明化し、ろ過後生産液として2〜10℃で保存した。
【0147】
約700Lのろ過後生産液を、150mM 塩化ナトリウムを含む20mMトリス塩緩衝液(pH7.7)で平衡化したQ−Sepharose Fast Flow(米国、GEヘルスケア)カラム(直径63cm、高さ25cm)に供した。次に6CVの180mM 塩化ナトリウムを含む20mM酢酸緩衝液(pH5.5)で洗浄し、更に280nmの吸収がベースラインに戻るまで180mM 塩化ナトリウムを含む20mMトリス塩緩衝液(pH7.7)で洗浄を行ない、300mM 塩化ナトリウムを含む20mMトリス塩緩衝液(pH7.7)で溶出を開始し、溶出液の吸光度280nmのピーク立ち上がりからの0.5カラムボリューム容量の溶出液を粗精製液として取得した。同様の操作を3回繰り返し実施し、3ロットの粗精製液を取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は109L/時で実施した。
【0148】
約20Lの粗精製液を、0.3M 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)で平衡化したモノクローナル抗体カラム(直径44cm、高さ13cm)に供した。6CVの1.0M 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)を流し、更に3CVの0.1M酢酸緩衝液(pH5.0)を流し洗浄し、0.3M 塩化ナトリウム含む0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)で溶出を開始した。溶出液の吸光度280nmのピーク立ち上がりから立ち下がりまでの溶出液を得、溶出液に1/10容量の0.5Mリン酸緩衝液(pH7.3)を添加して精製液1として取得した。同様の操作を6回繰り返し実施し、6ロットの精製液1を取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は46L/時で実施した。
【0149】
6ロット分の精製液1約130Lをナイロン製ろ過膜(独国、ザルトリウス社、SARTOLON Maxi Caps 5101307H3、孔径0.4μm+0.2μm、膜面積1.8m
2)に5L/分の流速で通液した後(HCP1mgに対し約0.07m
2膜面積を使用)、1.0Mグリシン塩酸緩衝液(pH2.0)にてpH3.5に調製し、0.3M NaClを含む0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3.5)で平衡化したSP−SepharoseFF(米国 GEヘルスケアバイオサイエンス)カラム(直径45cm、高さ10cm)に供した。0.3M NaClを含む0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3.5)で洗浄を開始し、吸光度280nmのピーク立ち上がりから立ち下がりまでの素通り画分を得、直ちに0.5Mりん酸緩衝液(pH7.3)でpH7に中和し、精製液2として取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は160L/時で実施した。
【0150】
約160Lの精製液2を限外ろ過膜のマイクローザUFモジュールSIP−2013(日本国、旭化成ケミカルズ)で約10Lまで濃縮した後に、50mM 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)で平衡化したSephacryl S−300 HR(米国 GEヘルスケアバイオサイエンス)カラム(直径63cm、高さ94cm)に供した。280nmにおける吸収がもっとも大きい溶出ピークを分取した後、限外ろ過膜のマイクローザUFモジュールSIP−1013(日本国、旭化成ケミカルズ)で約6Lまで濃縮し、精製液3として取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は6.2L/時で実施した。
【0151】
室温下で、精製液3を50mM 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)で平衡化したウイルス除去膜のPLANOVA 15N(日本国、旭化成メディカル、膜面積1m
2)に圧力0.1MPa以下で通液後、さらに0.22μmのPVDF製ろ過膜(米国、ミリポア)に通液し、全量を回収した。これを高純度可溶性トロンボモジュリン精製品(ロット:A4)とした。
A4のトロンボモジュリンのAPC活性は、60000U/mLであった。
A4の溶液における可溶性トロンボモジュリン濃度は、9.3mg/mLであった。
【0152】
(実施例2)高純度可溶性トロンボモジュリンの製造2
実施例1で取得した約2,000Lのろ過後生産液を、150mM 塩化ナトリウムを含む20mMトリス塩緩衝液(pH7.7)で平衡化したQ−Sepharose Fast Flow(米国、GEヘルスケア)カラム(直径63cm、高さ25cm)に供した。次に6CVの170mM 塩化ナトリウムを含む20mM酢酸緩衝液(pH5.45)で洗浄し、更に4CVの170mM 塩化ナトリウムを含む20mMトリス塩緩衝液(pH7.7)で洗浄を行ない、300mM 塩化ナトリウムを含む20mMトリス塩緩衝液(pH7.7)で溶出を開始し、溶出液の吸光度280nmのピーク立ち上がりからの0.5カラムボリューム容量の溶出液を粗精製液として取得した。同様の操作を2回繰り返し実施し、2ロットの粗精製液を取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は109L/時で実施した。
【0153】
約10Lの粗精製液を、0.3M 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)で平衡化したモノクローナル抗体カラム(直径44cm、高さ13cm)に供した。6CVの1.0M 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)を流し、更に3CVの0.1M酢酸緩衝液(pH5.0)を流し洗浄し、0.3M 塩化ナトリウム含む0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)で溶出を開始した。溶出液の吸光度280nmのピーク立ち上がりから立ち下がりまでの溶出液を得、溶出液に1/10容量の0.5Mリン酸緩衝液(pH7.3)を添加して精製液1として取得した。同様の操作を8回繰り返し実施し、8ロットの精製液1を取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は46L/時で実施した。
【0154】
6ロット分の精製液1約180Lをナイロン製ろ過膜(独国、ザルトリウス社、SARTOLON Maxi Caps 5101307H3、孔径0.4μm+0.2μm、膜面積1.8m
2)に5L/分の流速で通液した後(HCP1mgに対し約0.05m
2膜面積を使用)、1.0Mグリシン塩酸緩衝液(pH2.0)にてpH3.5に調製し、0.3M NaClを含む0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3.5)で平衡化したSP−SepharoseFF(米国 GEヘルスケアバイオサイエンス)カラム(直径45cm、高さ10cm)に供した。0.3M NaClを含む0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3.5)で洗浄を開始し、吸光度280nmのピーク立ち上がりから立ち下がりまでの素通り画分を得、直ちに0.5Mりん酸緩衝液(pH7.3)でpH7に中和し、精製液2として取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は160L/時で実施した。
【0155】
約220Lの精製液2を限外ろ過膜のマイクローザUFモジュールSIP−2013(日本国、旭化成ケミカルズ)で約5Lまで濃縮した後に、50mM 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)で平衡化したSephacryl S−300 HR(米国 GEヘルスケアバイオサイエンス)カラム(直径63cm、高さ94cm)に供した。280nmにおける吸収がもっとも大きい溶出ピークを分取した後、限外ろ過膜のマイクローザUFモジュールSIP−1013(日本国、旭化成ケミカルズ)で約10Lまで濃縮し、精製液3として取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は6.2L/時で実施した。
【0156】
室温下で、精製液3を50mM 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)で平衡化したウイルス除去膜のPLANOVA 15N(日本国、旭化成メディカル、膜面積1m
2)に圧力0.1MPa以下で通液後、さらに0.22μmのPVDF製ろ過膜(米国、ミリポア)に通液し、全量を回収した。これを高純度可溶性トロンボモジュリン精製品(ロット:A5)とした。
A5のトロンボモジュリンのAPC活性は、69000U/mLであった。
A5の溶液における可溶性トロンボモジュリン濃度は、10.9mg/mLであった。
【0157】
(実施例3)高純度可溶性トロンボモジュリンの製造3
特開平11−341990号公報の成分表2に示された培地のNaHCO
3濃度を5,700mg/Lに、NaCl濃度を2,410mg/Lに改変したものを基本培地として細胞培養行った。増殖培地は基本培地に60mg/Lのカナマイシン硫酸塩(米国、インビトロジェン)、1mg/Lの酒石酸タイロシン(米国、シグマ−アルドリッチ)、及び8%ウシ血清(米国、ハイクロン)を添加して用いた。また、生産培地は増殖培地の血清濃度を3%とした。
【0158】
比較例1で作製した細胞のバイアル1本を融解し、その細胞を100mLの増殖培地に播種し、CO
2インキュベーター内、スピナーフラスコを用いて37℃で5日間攪拌培養した。生細胞密度が7.0×10
5 cells/mL以上になった時点で、培養液全量を0.9Lの増殖培地に継代し、CO
2インキュベーター内、スピナーフラスコを用いて37℃で5日間攪拌培養した。生細胞密度が7.0×10
5 cells/mL以上になった時点で、培養液全量を9Lの増殖培地に継代し、培養槽を用いて37℃、pH7.2、溶存酸素50%で5日間攪拌培養した。生細胞密度が7.0×10
5 cells/mL以上になった時点で、培養液全量を120Lの増殖培地に継代し、灌流培養槽を用いて37℃、pH7.2、溶存酸素50%で7日間攪拌培養した。生細胞密度が7.0×10
5 cells/mL以上になった時点で、生産培地の添加と培養上清液の回収を連続的に行う灌流培養を開始した。培養条件は、37℃、pH7.2、溶存酸素50%、培地交換130〜200L/day、上面加圧0〜0.2MPaとした。生細胞密度が7.5×10
6 cells/mLに達したから36日間培養を継続し、培養上清液を生産液として回収した。回収した生産液はろ過フィルターのスープラディスクII(米国、ポール)、及びスーポアEBV(米国、ポール)を用いて澄明化し、ろ過後生産液として2〜10℃で保存した。
【0159】
約700Lのろ過後生産液を、150mM 塩化ナトリウムを含む20mMトリス塩緩衝液(pH7.7)で平衡化したQ−Sepharose Fast Flow(米国、GEヘルスケア)カラム(直径63cm、高さ25cm)に供した。次に6CVの180mM 塩化ナトリウムを含む20mM酢酸緩衝液(pH5.5)で洗浄し、更に280nmの吸収がベースラインに戻るまで180mM 塩化ナトリウムを含む20mMトリス塩緩衝液(pH7.7)で洗浄を行ない、300mM 塩化ナトリウムを含む20mMトリス塩緩衝液(pH7.7)で溶出を開始し、溶出液の吸光度280nmのピーク立ち上がりからの0.5カラムボリューム容量の溶出液を粗精製液として取得した。同様の操作を6回繰り返し実施し、6ロットの粗精製液を取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は109L/時で実施した。
【0160】
約20Lの粗精製液を、0.3M 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)で平衡化したモノクローナル抗体カラム(直径44cm、高さ13cm)に供した。6CVの1.0M 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)を流し、更に3CVの0.1M酢酸緩衝液(pH5.0)を流し洗浄し、0.3M 塩化ナトリウム含む0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)で溶出を開始した。溶出液の吸光度280nmのピーク立ち上がりから立ち下がりまでの溶出液を得、溶出液に1/10容量の0.5Mリン酸緩衝液(pH7.3)を添加して精製液1として取得した。同様の操作を12回繰り返し実施し、12ロットの精製液1を取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は46L/時で実施した。
【0161】
12ロット分の精製液1約270Lをナイロン製ろ過膜(独国、ザルトリウス社、SARTOLON Maxi Caps 5101307H3、孔径0.4μm+0.2μm、膜面積1.8m
2)に5L/分の流速で通液した後(HCP1mgに対し約0.05m
2膜面積を使用)、1.0Mグリシン塩酸緩衝液(pH2.0)にてpH3.5に調製し、0.3M NaClを含む0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3.5)で平衡化したSP−SepharoseFF(米国 GEヘルスケアバイオサイエンス)カラム(直径45cm、高さ10cm)に供した。0.3M NaClを含む0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3.5)で洗浄を開始し、吸光度280nmのピーク立ち上がりから立ち下がりまでの素通り画分を得、直ちに0.5Mりん酸緩衝液(pH7.3)でpH7に中和し、精製液2として取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は160L/時で実施した。
【0162】
約300Lの精製液2を限外ろ過膜のマイクローザUFモジュールSIP−2013(日本国、旭化成ケミカルズ)で約11Lまで濃縮した後に、50mM 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)で平衡化したSephacryl S−300 HR(米国 GEヘルスケアバイオサイエンス)カラム(直径63cm、高さ94cm)に供した。280nmにおける吸収がもっとも大きい溶出ピークを分取した後、限外ろ過膜のマイクローザUFモジュールSIP−1013(日本国、旭化成ケミカルズ)で約13Lまで濃縮し、精製液3として取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は6.2L/時で実施した。
【0163】
室温下で、精製液3を50mM 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)で平衡化したウイルス除去膜のPLANOVA 15N(日本国、旭化成メディカル、膜面積1m
2)に圧力0.1MPa以下で通液後、さらに0.22μmのPVDF製ろ過膜(米国、ミリポア)に通液し、全量を回収した。これを高純度可溶性トロンボモジュリン精製品(ロット:A6)とした。
A6のトロンボモジュリンのAPC活性は、81000U/mLであった。
A6の溶液における可溶性トロンボモジュリン濃度は、11.9mg/mLであった。
【0164】
(実施例4)高純度可溶性トロンボモジュリンの製造4
増殖培地は20.78gのIS CHO−CD−A3(米国、アーバイン サイエンティフィック)、4.06gの塩化ナトリウム(日本国、富田製薬)、及び2.20gの炭酸水素ナトリウム(日本国、和光純薬工業)を1Lの水に溶解して作製した。また、生産培地は1Lの水に対し、20.78gのIS CHO−CD−A3(米国、アーバイン サイエンティフィック)、2.63gの塩化ナトリウム(日本国、富田製薬)、及び4.40gの炭酸水素ナトリウム(日本国、和光純薬工業)を溶解して作製した。
【0165】
比較例4で作製した細胞のバイアル1本を融解し、その細胞を100mLの増殖培地に播種し、CO
2インキュベーター内、T−フラスコを用いて36℃で5日間静置培養した。生細胞密度が7.0×10
5 cells/mL以上になった時点で、培養液全量を0.9Lの増殖培地に継代し、CO
2インキュベーター内、スピナーフラスコを用いて36℃で5日間攪拌培養した。生細胞密度が7.0×10
5 cells/mL以上になった時点で、培養液全量を9Lの増殖培地に継代し、培養槽を用いて36℃、pH7.1、溶存酸素50%で5日間攪拌培養した。生細胞密度が7.0×10
5 cells/mL以上になった時点で、培養液全量を120Lの増殖培地に継代し、灌流培養槽を用いて36℃、pH7.1、溶存酸素50%で7日間攪拌培養した。生細胞密度が7.0×10
5 cells/mL以上になった時点で、生産培地の添加と培養上清液の回収を連続的に行う灌流培養を開始した。培養条件は、36℃、pH7.1、溶存酸素50%、培地交換130L/day、上面加圧0〜0.2MPaとした。生細胞密度が7.5×10
6 cells/mLに達したから20日間培養を継続し、培養上清液を生産液として回収した。
【0166】
回収した生産液はろ過フィルターのスープラディスクII(米国、ポール)、及びスーポアEBV(米国、ポール)を用いて澄明化し、ろ過後生産液として2〜10℃で保存した。
約1,400Lのろ過後生産液を、150mM 塩化ナトリウムを含む20mMトリス塩緩衝液(pH7.7)で平衡化したQ−Sepharose Fast Flow(米国、GEヘルスケア)カラム(直径63cm、高さ25cm)に供した。次に6CVの180mM 塩化ナトリウムを含む20mM酢酸緩衝液(pH5.6)で洗浄し、更に4CVの180mM 塩化ナトリウムを含む20mMトリス塩緩衝液(pH7.7)で洗浄を行ない、290mM 塩化ナトリウムを含む20mMトリス塩緩衝液(pH7.7)で溶出を開始し、溶出液の吸光度280nmのピーク立ち上がりからの0.5カラムボリューム容量の溶出液を粗精製液として取得した。約900Lのろ過後生産液についても同様の操作を行い、2ロットの粗精製液を取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は109L/時で実施した。
【0167】
約13Lの粗精製液を、0.3M 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)で平衡化したモノクローナル抗体カラム(直径44cm、高さ13cm)に供した。6CVの1.0M 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)を流し、更に3CVの0.1M酢酸緩衝液(pH5.0)を流し洗浄し、0.3M 塩化ナトリウム含む0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)で溶出を開始した。溶出液の吸光度280nmのピーク立ち上がりから立ち下がりまでの溶出液を得、溶出液に1/10容量の0.5Mリン酸緩衝液(pH7.3)を添加して精製液1として取得した。同様の操作を5回繰り返し実施し、5ロットの精製液1を取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は46L/時で実施した。
【0168】
5ロット分の精製液1約110Lをナイロン製ろ過膜(独国、ザルトリウス社、SARTOLON Maxi Caps 5101307H3、孔径0.4μm+0.2μm、膜面積1.8m
2)に5L/分の流速で通液した後(HCP1mgに対し約0.03m
2膜面積を使用)、1.0Mグリシン塩酸緩衝液(pH2.0)にてpH3.5に調製し、0.3M NaClを含む0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3.5)で平衡化したSP−SepharoseFF(米国 GEヘルスケアバイオサイエンス)カラム(直径45cm、高さ10cm)に供した。0.3M NaClを含む0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3.5)で洗浄を開始し、吸光度280nmのピーク立ち上がりから立ち下がりまでの素通り画分を得、直ちに0.5Mりん酸緩衝液(pH7.3)でpH7に中和し、精製液2として取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は160L/時で実施した。
【0169】
約120Lの精製液2を限外ろ過膜のマイクローザUFモジュールSIP−2013(日本国、旭化成ケミカルズ)で約5Lまで濃縮した後に50mM 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)で平衡化したSephacryl S−300 HR(米国 GEヘルスケアバイオサイエンス)カラム(直径63cm、高さ94cm)に供した。280nmにおける吸収がもっとも大きい溶出ピークを分取した後、限外ろ過膜のマイクローザUFモジュールSIP−1013(日本国、旭化成ケミカルズ)で約5Lまで濃縮し、精製液3として取得した。なお、温度は2〜10℃、クロマト流速は6.2L/時で実施した。
【0170】
室温下で、精製液3全量を50mM 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)で平衡化したウイルス除去膜のPLANOVA 15N(日本国、旭化成メディカル、膜面積1m
2)に圧力0.1MPa以下で通液後、さらに0.22μmのPVDF製ろ過膜(米国、ミリポア)に通液し、全量を回収した。これを高純度可溶性トロンボモジュリン精製品(ロット:A7)とした。
A7のトロンボモジュリンのAPC活性は、69000U/mLであった。
A7の溶液における可溶性トロンボモジュリン濃度は、10.4mg/mLであった。
【0171】
(試験例1)各種ろ過膜によるHCP除去評価
比較例1で得られた精製液1(HCP濃度:462ng/ml)を異なる材質のろ過膜に通液した後のHCP濃度を比較した。すなわち、(1)PVDF(ポリフッ化ビニリデン)製(米国、ミリポア、Millex GV)、(2)CA(セルロースアセテート)製(独国、ザルトリウス、Minisart)、(3)PES(ポリエーテルスルホン)製(独国、ザルトリウス、Minisart High−Flow)、(4)ナイロン製(米国、サーモフィッシャサイエンティフィック、NALGENE Syringe Filter)、(5)CA+GF(セルロースアセテート+グラスファイバー)製(ザルトリウス、Minisart Plus)の各ろ過膜に5mlの精製液1を1ml/分の流速で通液し、全量をろ過液として回収した。
【0172】
ろ過前後の液について、たん白質濃度とHCP濃度の測定を行った。たん白質濃度は280nmの吸光度から求め、HCP濃度は参考例2に示した方法に従って測定した。その結果、すべてのろ過膜に対してろ過前後でのたん白質濃度の変化はほとんど認められなかったが、ナイロン製ろ過膜及びPES製ろ過膜には高いHCP除去効果が認められ、それぞれHCP濃度を28%及び36%に減少させることがわかった(表1)。また、同じ孔径にもかかわらず、HCP濃度の低下が膜材質によって大きく異なることから、凝集して不溶化したHCPが除去されたのではなく、HCPの膜による吸着除去であると考えられた。なお、評価した各ろ過膜の径は25mm又は26mmであり、各メーカーのデータシート記載のろ過膜の有効膜面積からHCP1mgに対する膜面積は0.17m
2又は0.23m
2であった。
【0173】
【表1】
【0174】
(試験例2)ナイロン製及びPES製ろ過膜によるHCP除去能比較
試験例1において、ナイロン製ろ過膜とPES製ろ過膜は高いHCP除去能を有することが判明したため、これらのろ過膜について通液量によるHCP除去能の変化を評価した。なお、ろ過膜は各材質について2種類のメーカーの商品を準備し、通液する精製液1については、試験例2で使用したロットとは異なるロットを用いた(HCP濃度:303ng/ml)。ろ過膜は、コントロールとしてPVDF製(米国、ミリポア、Millex GV:孔径0.22μm、膜径25mm、有効膜面積3.9cm
2)を使用し、ナイロン製として(1)米国、ポール社のAcrodisc AP−4436T、:孔径0.2μm、膜径25mm、有効膜面積3.9cm
2、及び(2)独国、ザルトリウス社のMinisart NY25:孔径0.2μm、膜径25mm、有効膜面積4.8cm
2を、PES製として(3)米ポール社のAcrodisc PN4612:孔径0.2μm、膜径25mm、有効膜面積2.8cm
2、及び(4)ザルトリウス社のMinisart High−Flow:孔径0.2μm、膜径26mm、有効膜面積5.3cm
2を用いた。ろ過膜当りの精製液1の通液量は10ml/分の流速で100mlとし、20ml通液毎にろ過液をサンプリングして参考例2に示した方法に従ってHCP濃度を、280nmの吸収からたん白質濃度を測定した。
【0175】
その結果、すべてのサンプルにおいてたん白質濃度の変化は認められなかったが、ナイロン製及びPES製ろ過膜共にHCP除去効果が認められた(表2)。HCP除去効果は特にナイロン製ろ過膜が高く、HCP濃度を最大25%に低下させた。ろ過膜への通液量が少ないほど、すなわちHCP1mgに対するろ過膜面積が大きいほどHCP除去効果が高いことがわかった。
【0176】
【表2】
【0177】
(試験例3)異なる液組成におけるナイロン製ろ過膜のHCP除去能評価
緩衝液組成及び可溶性トロンボモジュリン濃度の違いがナイロン製ろ過膜のHCP除去能に与える影響を評価した。比較例4で得られた精製液1、精製液2、精製液2濃縮後、精製液3、及び精製品について各5mLを膜径25mm、有効膜面積4.8cm
2、孔径0.2μmのナイロン製ろ過膜(独国、ザルトリウス社、Minisart NY25)に1mL/分の流速で通液し、全量をろ過液として回収した。各サンプルに含まれるHCP1mgに対するろ過膜面積は、精製液1:0.77m
2、精製液2:1.7m
2、精製液2濃縮後:0.43m
2、精製液3:0.72m
2、精製品:0.81m
2であった。得られたろ過液について、参考例2に示した方法に従ってHCP濃度を測定し、たん白質濃度を280nmの吸収から求めた。その結果、ナイロン製膜は全てのサンプルに対して高いHCP除去効果が認められ、たん白質濃度回収率は90%以上の高い値が得られた(表3)。
【0178】
【表3】
【0179】
(試験例4)各種製造方法により取得した可溶性トロンボモジュリン精製品からのHCP除去評価
異なった製造方法により取得した可溶性トロンボモジュリンを、さらにナイロン製ろ過膜に通液することによりHCPが除去されるかどうか検討した。比較例1〜3で取得した可溶性トロンボモジュリン精製品(それぞれ、A1、B1及びB2)について各5mLを膜径25mm、有効膜面積4.8cm
2、孔径0.2μmのナイロン製ろ過膜(独国、ザルトリウス社、Minisart NY25)に1mL/分の流速で通液し、全量をろ過液として回収した。各可溶性トロンボモジュリン精製品に含まれるHCP1mgに対するろ過膜面積は各可溶性トロンボモジュリン精製品に含まれるHCP1mgに対するろ過膜面積は、A1:0.34m
2、B1:0.46m
2、B2:1.7m
2であった。ろ過前後の液について、参考例2〜4に示した方法に従ってHCP含量、マウスIgG含量及びウシ血清たん白質含量を測定した。全ての精製品においてナイロン製ろ過膜はHCPに対してのみ強い除去効果が認められた(表4)。このことからナイロン製ろ過膜はたん白質を非特異的に吸着するのではなく、HCPを特異的に吸着する作用を有すると考えられた。
【0180】
【表4】
【0181】
(試験例5)ナイロン製ろ過膜の使用の有無によるトロンボモジュリン精製品の純度の比較
ナイロン製ろ過膜未使用の工業化レベル製造(比較例1)及びナイロン製ろ過膜を使用した工業化レベル製造(実施例1〜4)で得られたトロンボモジュリン精製品について、参考例2〜4に示した方法に従ってHCP含量、マウスIgG含量及びウシ血清たん白質含量を測定した。
ナイロン製ろ過膜を通液していない比較例1の3ロット(A1、A2及びA3)は10ng/10,000U以上の高いHCP含量を有していたが、ナイロン製ろ過膜を通液した実施例1〜4の4ロット(A4、A5、A6及びA7)のHCP含量は定量限界未満であった。その他の不純物のマウスIgG含量及びウシ血清たん白質含量についてはナイロン製ろ過膜の使用の有無でその含量に際は認められなかった(表5)。このように工業化レベルでの製造においてもナイロン製ろ過膜は、HCPに特異的な除去能を有し、HCP含量が10ng/10,000U未満という高純度可溶性トロンボモジュリンの製造を可能にした。
実施例1〜4で得られた高純度可溶性トロンボモジュリンの総たん白質中純度をゲルろ過液体クロマトグラフィー及びイオン交換液体クロマトグラフィーにて測定した。ゲルろ過液体クロマトグラフィーについては、TOSOH TSKgel G3000SWXL(日本国、東ソー)を用いて、0.1M硫酸ナトリウムを含む50mMリン酸塩緩衝液(pH7.3)、温度40℃、流速0.9mL/分という条件下で測定を行った結果、全ての精製品(A4、A5、A6及びA7)の純度は99%以上であった。また、イオン交換液体クロマトグラフィーについては、TOSOH DEAE 5PW(日本国、東ソー)を用いて、50mM塩化ナトリウムを含む20mMピペラジン塩酸緩衝液(pH5.6)から350mM塩化ナトリウムを含む20mMピペラジン塩酸緩衝液(pH5.6)への30分間直線グラジエント溶出、温度40℃、流速0.9mL/分という条件下で測定を行った結果、全ての精製品(A4、A5、A6及びA7)の純度は99%以上であった。
【0182】
また、比較例1に準じて製造し、MALDI−TOF−MS法にて分子量が64,000であることことが確認されている可溶性トロンボモジュリン精製品と、実施例1〜4で得られた高純度可溶性トロンボモジュリン精製品の分子量をSDS−PAGEで比較したところ、同じ位置にバンドが検出された。このことから高純度可溶性トロンボモジュリンの分子量は、64,000と考えられた。
さらに、日本薬局方一般試験法のエンドトキシン試験法<4.01>のゲル化法に従って試験を実施した結果、エンドトキシン含量が0.004〜0.03EU/10,000Uであり、非常に低いレベルであった(表6)
【0183】
【表5】
【0184】
【表6】
【0185】
(試験例6)ナイロン製ろ過膜で除去されたHCPの解析
実施例3と同様の方法により高純度可溶性トロンボモジュリンを製造した後、製造で使用したナイロン製ろ過膜(独国、ザルトリウス、SARTOLON Maxi Caps 5101307H3、孔径0.4μm+0.2μm、膜面積1.8m
2)をハウジングから取り出し、膜を約3gの断片になるように切断した。5枚の断片を50mM 塩化ナトリウム含む20mMリン酸緩衝液(pH7.3)で十分洗浄した後、40mLの0.5%CHAPS、200mM 塩化ナトリウムを含む50mM トリス塩酸緩衝液(pH8.0)が入った試験管に断片を1枚ずつ入れた。室温で一晩振とうすることにより、膜に吸着したたん白質を緩衝液中に抽出した。抽出液全量を限外ろ過膜のVivaspin20(独国、ザルトリウス)とAmiconUltra−0.5mL(米国、ミリポア)を用いて、15μLになるまで濃縮した。この濃縮液のうち約1/5量をSDS−PAGE(日本国、アトー、e−PAGEL5/20)に供し、CBB染色(日本国、和光純薬工業、Quick−CBB)した。分子量10,000付近に認められたバンドを切り出して、そのゲル断片をジチオトレイトールで還元後、ヨードアセトアミドによりカルバミドメチル化し、トリプシンによる酵素消化を終夜で実施した。酵素消化物をLC/MS/MSに供し、得られたマススペクトルデータから、NCBIのデータベースを用いてMascot検索を行い、酵素消化物のアミノ酸配列を解析した。
【0186】
LC/MS/MSの測定条件
LC/MS/MS(測定装置):
DiNa−2A多次元オートインジェクターシステム(日本国、KYA technologies)
MS測定範囲:
MS1(m/z400−1500)MS2(m/z50−1500)×3(data dependentスキャンモード)
イオン化モード:nanoESI
+
カラム:
PicoFrit Column BataBasic C18(米国、New Objective)
移動相:
移動相A:0.1%ギ酸/2%アセトニトリル
移動相B:0.1%ギ酸/80%アセトニトリル
グラジエント: 0→30分 移動相B 5→40%
30→40分 移動相B 40→100%
40→60分 移動相B 100%
流量:300nL/分
【0187】
マススペクトルデータから予想される各フラグメントのアミノ酸配列は以下の(1)〜(7)に示す通りであり、以下に示すヒストンH2B(Biochimie, 61(1), 61−69(1979))の部分配列と一致した。このことから、ナイロンフィルターで除去されるHCPの一つは、ヒストンH2Bであることがわかった。
(1)KESYSVYVYK
(2)VLKQVHPDTGISSK
(3)STITSREIQTAVR
(4)EIQTAVR
(5)EIQTAVRLLLPGELAK
(6)LLLPGELAK
(7)LLLPGELAKHAVSEGTK
【0188】
【表7】
(□で囲った配列は、ヒストンH2Bアミノ酸配列中、マススペクトルデータから予想される上記(1)〜(7)のアミノ酸配列と一致するアミノ酸配列範囲を示す。)