(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記移動柱部は、前記固定柱部の軸を中心として周方向に所定の間隔をあけて複数配置され、前記固定板部には複数の前記移動柱部がそれぞれ挿通される前記孔部が複数形成されていて、
前記引張バネは、周方向に隣り合う前記移動柱部の間にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1に記載の変位測定装置。
前記離間防止手段は、前記第2移動板部に設けられて水平方向の異なる複数の位置それぞれにおいて前記引張バネの一方の端部を係止可能な第1係止部と、前記固定板部に設けられて水平方向の異なる複数の位置それぞれにおいて前記引張バネの他方の端部を係止可能な第2係止部と、を有することを特徴とする請求項1または2に記載の変位測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態による変位測定装置について、
図1乃至
図6に基づいて説明する。
図1に示すように、第1実施形態による変位測定装置1Aは、免震構造物(構造物)11の免震層12に設置され、免震層12の下部側の床部(第1構造部)13と、上部側の梁部(第2構造部)14との相対変位を測定可能に構成されている。
変位測定装置1Aは、床部13の床面(設置面)15に沿って水平方向に移動可能に設置された移動部2と、梁部14に固定された固定部3と、固定部3に支持されて移動部2が床面15から離間することを防止する離間防止手段4と、移動部2に設置されて床面15に沿った方向(水平方向)の床部13と梁部14との相対変位量をそれぞれ測定可能な3つの第1変位測定部(変位測定手段)5,5,5と、固定部3に設置されて鉛直方向の床部13と梁部14との相対変位量をそれぞれ測定可能な3つの第2変位測定部(変位測定手段)6,6,6と、3つの第1変位測定部5,5,5および3つの第2変位測定部6,6,6の駆動を行うスイッチ部7と、3つの第1変位測定部5,5,5がそれぞれ測定した変位量および3つの第2変位測定部6,6,6がそれぞれ測定した変位量のデータの処理を行う処理部(不図示)と、3つの第1変位測定部5,5,5および3つの第2変位測定部6,6,6に電源を供給可能な電池(不図示)と、を備えている。
【0016】
移動部2は、床面15に設けられた照射板9上を移動可能に構成されている。
照射板9は、アルミ複合板、鋼板、アクリル板などの板材で構成されていて、上面が水平面となるように床面15に固定されている。照射板9は、地震の震動などによる移動部2の予測される移動領域よりも広い領域に設けられている。
【0017】
図1乃至
図5に示すように、移動部2は、第1移動板部21(
図1乃至3参照)と、第1移動板部21に立設する3つの移動柱部22,22,22(
図1および
図3乃至5参照)と、3つの移動柱部22,22,22の上部に固定された第2移動板部23(
図1および
図5参照)と、第1移動板部21に連結され第1移動板部21、3つの移動柱部22,22,22および第2移動板部23を照射板9(
図1参照)の上面に沿って移動可能に支持する3つの移動機構24,24,24(
図1および
図2参照)と、を有している。
【0018】
第1移動板部21は、板面が上下方向を向き平面視において略正三角形状に形成されている。第1移動板部21には、平面視における中央部に上下方向に貫通する平面視略円形状の孔部21aが形成されている。また、第1移動板部21の下部には、3つの第1変位測定部5,5,5および3つの移動機構24,24,24が配置されている。移動機構24,24,24が床面15(
図1参照)に当接し、第1移動板部21および第1変位測定部5,5,5は床面15と離間している。
【0019】
3つの移動柱部22,22,22は、それぞれ鉛直方向に延在し水平断面形状が略C字状のチャンネル材で構成されている。3つの移動柱部22,22,22は、第1移動板部21に対して第1移動板部21の平面視における中心21cの周りに周方向に等しく間隔をあけて配置されている。そして、3つの移動柱部22,22,22は、第1移動板部21の平面視における略正三角形の3つの角部21b,21b,21b近傍にそれぞれ配置され、角部21b,21b,21bと第1移動板部21の中心21cとを結ぶ線上に配置されている。
【0020】
第2移動板部23は、第1移動板部21と平面視における外形が略同じ外径となるように形成されている。第2移動板部23は、下面に3つの移動柱部22,22,22が固定されている。
第2移動板部23には、平面視における中心部に上下方向に貫通する平面視略円形状の孔部23aが形成されている。この孔部23aには固定部3の固定柱部32が挿通されるように構成されている。
【0021】
3つの移動機構24,24,24は、それぞれ照射板9の上面を滑動可能な滑動板部241と、滑動板部241を第1移動板部21の下面に連結する連結部242、とを有している。滑動板部241は、下面が照射板9の上面と面接触した状態で照射板9の上面を滑動するように構成されている。本実施形態では、滑動板部241の下面にはテフロン(登録商標)シートが貼りつけられていて、滑動板部241と照射板9との摩擦力が低減されている。
【0022】
3つの移動機構24,24,24は、第1移動板部21に対して第1移動板部21の中心21cの周りに周方向に等しく間隔をあけて配置されている。そして、3つの移動機構24,24,24は、第1移動板部21の平面視における略正三角形の3つの角部21b,21b,21b近傍にそれぞれ配置され、角部21b,21b,21bと第1移動板部21の中心21cとを結ぶ線上に配置されている。
【0023】
図1、
図4および
図5に示すように、固定部3は、板面が上下方向を向き平面視において略正三角形状に形成された固定板部31(
図1および
図4参照)と、固定板部31上に立設し固定板部31を梁部14(
図1参照)に連結する固定柱部32と、を有している。
固定板部31は、第1移動板部21と平面視における外形が略同じ外径となるように形成されている。固定板部31は、平面視における略正三角形の3つの角部311b,311b,311bが、第1移動板部21の平面視における略正三角形の3つの角部21b,21b,21bとそれぞれ重なるように第1移動板部21と第2移動板部23との間に配置されている。
【0024】
また、固定板部31には、平面視における中心31cを中心として等間隔をあけた位置に上下方向に貫通する平面視略矩形状の3つの孔部31a,31a,31aが形成されている。これらの孔部31a,31a,31aは、それぞれ固定板部31の平面視の中心31cと角部31bと、を結ぶ線上に形成されている。これらの孔部31a,31a,31aには、移動部2の移動柱部22,22,22が挿通されている。
【0025】
固定板部31の孔部31aの内形は、移動柱部22の外形よりもやや大きく形成されていて、固定板部31と移動柱部22とは固定板部31の孔部31aに移動柱部22が挿通された状態で上下方向に相対移動可能に構成されている。本実施形態では、固定板部31の孔部31aに移動柱部22が挿通されると、固定板部31の孔部31aの縁部と移動柱部22の外周面との間に約0.1mmの隙間が形成されている。
なお、固定板部31の孔部31aに移動柱部22が挿通された状態において、固定板部31と移動柱部22とが上下方向に相対移動可能であれば、固定板部31と移動柱部22とが当接していてもよい。
また、固定板部31の孔部31aに移動柱部22が挿通された状態では、移動柱部22と、固定板部31とは水平方向の相対変位が拘束されている。これにより、移動部2と固定部3とは水平方向の相対変位が拘束されている。
【0026】
固定柱部32は、上下方向に延在する円柱状または円筒状の部材で、移動部2の第2移動板部23の孔部23aに挿通されている。固定柱部32は、上端部が梁部14に固定され、下端部に固定板部31が固定されている。固定柱部32の下端部は、固定板部31の上面の平面視における中心31c近傍に固定されている。
【0027】
固定柱部32は、梁部14に支持された上側固定柱部321と、固定板部31に固定され、第2移動板部23の孔部23aに挿通される下側固定柱部322と、上側固定柱部321と下側固定柱部322とを連結する連結プレート323と、を有している。
下側固定柱部322と固定板部31とは、例えばビスや接着剤などで固定されている。
下側固定柱部322の外径は、第2移動板部23の孔部23aの内径よりもやや小さく形成されていて、第2移動板部23と下側固定柱部322とは、下側固定柱部322が第2移動板部23の孔部23aに挿通された状態で上下方向に相対移動可能に構成されている。本実施形態では、第2移動板部23の孔部23aに下側固定柱部322が挿通されると、第2移動板部23の孔部23aの縁部と下側固定柱部322の外周面との間に約0.1mmの隙間が形成されている。
なお、第2移動板部23の孔部23aに下側固定柱部322が挿通された状態において、第2移動板部23と下側固定柱部322とが上下方向に相対移動可能であれば、第2移動板部23と下側固定柱部322とが当接していてもよい。
【0028】
連結プレート323には、上側固定柱部321に連結プレート323を係止するためのビスが挿通可能で複数の上側長孔323aと、下側固定柱部322に連結プレート323を係止するためのビスが挿通可能な複数の下側長孔323bと、が形成されている。これらの上側長孔323aおよび下側長孔323bは、上下方向に延びるように形成されている。これにより、上側固定柱部321に対する下側固定柱部322の上下方向の位置が調整可能となり、梁部14に対する固定板部31の上下方向の位置が調整可能に構成されている。
【0029】
離間防止手段4は、引張バネ41と、移動部2の第2移動板部23の下面に固定されて引張バネ41の上端部(一方の端部)を係止可能な第1係止部42と、固定部3の固定板部31の上面に固定されて引張バネ41の下端部(他方の端部)を係止可能な第2係止部43と、を有している。
本実施形態では、1つの変位測定装置1Aに対して3つの離間防止手段4,4,4が設けられており、3つの引張バネ41,41,41、3つの第1係止部42,42,42、および3つの第2係止部43,43,43が設けられている。
3つの引張バネ41,41,41は、それぞれ同じバネ定数のコイルバネで構成されている。引張バネ41は、常時引張力が働くように第1係止部42および第2係止部43に係止されている。
【0030】
3つの第1係止部42,42,42は、第2移動板部23の平面視における略三角形状の3つの辺の近傍に配置されている。3つの第1係止部42,42,42は、それぞれの近傍の辺の延びる方向に延在し板面が水平方向を向く板状に形成されている。3つの第1係止部42,42,42は、それぞれ第2移動板部23の下面から下方に突出している。
3つの第1係止部42,42,42には、それぞれ延在方向に所定の間隔をあけて複数の孔部42a,42a…が形成されている。これらの孔部42a,42a…(
図1参照)には、それぞれ引張バネ41の上端部を引っ掛けることが可能となっている。
【0031】
3つの第2係止部43,43,43は、固定板部31の平面視における略三角形状の3つの辺の近傍に配置されている。3つの第2係止部43,43,43は、それぞれの近傍の辺の延びる方向に延在し板面が水平方向を向く板状に形成されている。3つの第2係止部43,43,43は、それぞれ固定板部31の上面から上方に突出している。
3つの第2係止部43,43,43には、それぞれ延在方向に所定の間隔をあけて複数の孔部43a,43a…(
図1参照)が形成されている。これらの孔部43a,43a…には、それぞれ引張バネ41の下端部を引っ掛けることが可能となっている。
【0032】
これらの第1係止部42,42,42と第2係止部43,43,43とは、上下方向に重なる位置に配置され、第1係止部42,42,42と第2係止部43,43,43との間には、引張バネ41,41,41による張力が作用している。
このため、引張バネ41の上端部が引っ掛けられる第1係止部42の孔部42aと、引張バネ41の下端部が引っ掛けられる第2係止部43の孔部43aとが上下方向に重なる位置に配置されていると、第1係止部42と第2係止部43との間には、引張バネ41,41,41による上下方向の張力が作用することになる。
また、引張バネ41の上端部が引っ掛けられる第1係止部42の孔部42aと、引張バネ41の下端部が引っ掛けられる第2係止部43の孔部43aとが上下方向に重ならない位置に配置されていると、第1係止部42と第2係止部43との間には、引張バネ41,41,41による上下方向に対して斜め方向となる張力が作用することになる。
このように、引張バネ41の上端部が引っ掛けられる第1係止部42の孔部42aと、引張バネ41の下端部が引っ掛けられる第2係止部43の孔部43aとを選択することで、引張バネ41の位置や向きを調整することができる。これにより、引張バネ41によって第2移動板部23と固定板部31との間に作用する張力の方向を調整することができる。
【0033】
3つの第1変位測定部5,5,5は、床面15に沿った面内(略水平面内)における移動部2と床面15(照射板9)との相対変位量(以下水平方向の変位量とする)を測定可能な変位センサで構成されている。例えば、3つの第1変位測定部5,5,5は、バーコードリーダーや、光学式マウスなどを利用した光学式の変位センサや、アノトペンを利用した変位センサ、差動トランス式の変位センサなどで構成されている。
また、本実施形態では、3つの第1変位測定部5,5,5は、第1移動板部21に対して第1移動板部21の中心21cの周りに周方向に等しく間隔をあけて配置されている。そして、3つの第1変位測定部5,5,5は、3つの移動機構24,24,24と第1移動板部21の中心21cとの間にそれぞれ配置されている。なお、3つの第1変位測定部5,5,5は、隣り合う移動機構24,24間の中央部にそれぞれ配置されていてもよい。
【0034】
3つの第2変位測定部6,6,6は、それぞれ固定板部31と移動柱部22との上下方向の相対変位量を測定可能に構成されている。これにより、第2変位測定部6,6,6は、それぞれ梁部14と、床部13との上下方向の相対変位量(以下、上下方向の変位量とする)を測定可能に構成されている。
このような第2変位測定部6,6,6は、例えば、バーコードリーダーや、光学式マウスなどを利用した光学式の変位センサや、アノトペンを利用した変位センサ、差動トランス式の変位センサなどで構成されている。
また、本実施形態では、3つの第2変位測定部6,6,6は、固定板部31に対して固定板部31の中心31cの周りに周方向に等しく間隔をあけて配置されている。そして、3つの第2変位測定部6,6,6は、固定板部31に形成された3つの孔部91,91,91と固定板部31の中心31cとの間にそれぞれ配置されている。
【0035】
そして、本実施形態では、3つの第1変位測定部5,5,5がそれぞれ測定した水平方向の変位量のデータと、3つの第2変位測定部6,6,6がそれぞれ測定した鉛直方向の変位量のデータと、が処理部(不図示)へ通信され、処理部がこれらのデータをもとにより正確な水平方向の変位量および鉛直方向の変位量を算出するように構成されている。なお、変位測定装置1Aには、これらのデータを3つの第1変位測定部5,5,5および3つの第2変位測定部6,6,6から処理部へ通信するための通信装置や、3つの第1変位測定部5,5,5および3つの第2変位測定部6,6,6がそれぞれ測定した変位量のデータや処理部が処理した変位量のデータなどを記憶するための記憶部などが適宜設置されている。
【0036】
次に、3つの第1変位測定部5,5,5がそれぞれ測定した変位量のデータ(以下データとする)の処理部による処理方法について
図6に示すフローチャートを基に説明する。
なお、3つの第2変位測定部6,6,6がそれぞれ測定した変位量のデータの処理部による処理方法は、3つの第1変位測定部5,5,5がそれぞれ測定した変位量のデータ(以下データとする)の処理部による処理方法と同様に行うものとし、説明を省略する。
【0037】
(測定ステップ)
上述した変位測定装置1Aの3つの第1変位測定部5,5,5によって、移動部2と床面15との相対変位量をそれぞれ測定する(S−1)。
【0038】
(補正ステップ)
測定ステップ(S−1)において3つの第1変位測定部5,5,5が測定した移動部2と床面15との相対変位量のデータ(以下データとする)を軸補正し、基準となる1つのデータ以外の2つのデータの時刻歴を基準となる1つのデータに合せる(S−2)。
【0039】
(選出ステップ)
補正ステップ(S−2)において軸補正された3つのデータのうち、後の平均値算出ステップを行うデータを選出する(S−3)。
まず、3つのデータに欠落がないかどうかを判定する(S−4)。
この判断(S−3)においてデータの欠落がないと判断された場合は、3つのデータから標準偏差を算出する(S−5)。
そして、データの中にこの標準偏差の範囲外の異常値がないかどうかを判定する(S−6)。
この判断(S−6)においてデータに標準偏差の範囲外の異常値がないと判断された場合は、3つのデータを選出する(S−7)。
【0040】
また、この判断(S−6)においてデータに標準偏差の範囲外の異常値があると判断された場合は、測定ステップ(S−1)において標準偏差の範囲外のデータを測定した第1変位測定部5によって標準偏差の範囲外のデータが測定される直前に測定されたデータを基準とし、標準偏差の範囲内のデータを測定した第1変位測定部5によって測定されたデータの変化を適用させて補正データを算出する(S−8)。
そして、この補正データおよび標準偏差の範囲内のデータを選出する(S−9)。
【0041】
また、3つのデータに欠落がないかどうかの判定(S−4)において、データの欠落がある場合は、欠落していないデータを選出する(S−10)。
【0042】
(平均値算出ステップ)
選出ステップ(S−3)の選出処理(S7,S9,S10)選出されたデータの平均値を算出し、この平均値を移動部2と床面15との相対変位量(代表値)とする(S−11)。
【0043】
図1乃至
図3に戻り、スイッチ部7は、移動部2の第1移動板部21の孔部21aに挿入された状態で床面15に沿って回転しながら移動可能なスイッチ用球体71と、スイッチ用球体71が当接すると3つの3つの第1変位測定部5,5,5および3つの第2変位測定部6,6,6を駆動させる4つの機械式スイッチ72,72,…と、を有している。
スイッチ用球体71は、その径が第1移動板部21の孔部21aの内径よりもやや小さい径に形成されていて、第1移動板部21の孔部21aに挿入されると、第1移動板部21の孔部21aの内部で移動可能に構成されている。
【0044】
このようなスイッチ用球体71は、免震構造物11と比べて質量が非常に小さく、免震構造物11が変位(変形)しないような微振動でも変位可能に構成されている。このため、スイッチ用球体71は、移動部2が変位しないような微振動でも変位可能となり、微振動によって移動部2とスイッチ用球体71とが異なる挙動をするように構成されている。
なお、スイッチ用球体71は、床面15との間の摩擦係数が、移動機構24の移動用球体24bと床面15との間の摩擦係数よりも小さく、地震などの震動が生じてもほとんど震動せずに略一点に留まるように構成されていてもよい。そして、床面15と移動部2とが相対変位すると、移動部2とスイッチ用球体71とが異なる挙動をするように構成されていてもよい。
【0045】
機械式スイッチ72,72,…は、第1移動板部21の孔部21aの縁部に沿って等間隔に配置されている。
このようなスイッチ部7は、地震の振動などが生じていない通常時には、移動部2および移動部2の第1移動板部21の孔部21aに挿入されたスイッチ用球体71が静止して、スイッチ用球体71と第1移動板部21の孔部21aの縁部に設けられた機械式スイッチ72,72,…とが離間している。そして、スイッチ部7は、地震の震動などが生じると、スイッチ用球体71が移動部2と異なる挙動をして、4つの機械式スイッチ72,72,…のうちのいずれか1つ以上と当接する。
【0046】
そして、本実施形態では、スイッチ用球体71が4つの機械式スイッチ72,72,…のうちのいずれか1つ以上と当接すると、電池から3つの第1変位測定部5,5,5および3つの第2変位測定部6,6,6に電源が供給されて、3つの第1変位測定部5,5,5および3つの第2変位測定部6,6,6が駆動するように構成されている。このとき、スイッチ用球体71が微振動によって変位可能に構成されていると、微振動によってスイッチ用球体71が4つの機械式スイッチ72,72,…のうちのいずれか1つ以上と当接可能なため、微振動の状態から移動部2と床面15との相対変位量を測定することができる。
そして、駆動している3つの第1変位測定部5,5,5および3つの第2変位測定部6,6,6は、所定の値以上の変位量を測定しない状態が設定された一定期間経過すると、電池からの電源の供給が停止されて測定が停止されるように構成されている。
【0047】
本実施形態では、駆動している3つの第1変位測定部5,5,5および3つの第2変位測定部6,6,6は、測定している変位量が0mmである状態が連続して10秒経過すると、電池からの電源の供給が停止されて測定が停止されるように構成されている。
なお、本実施形態には、スイッチ部7からの信号や3つの第1変位測定部5,5,5および3つの第2変位測定部6,6,6が測定している測定量の値によって電池から3つの第1変位測定部5,5,5および3つの第2変位測定部6,6,6への電源の供給を制御し、3つの第1変位測定部5,5,5および3つの第2変位測定部6,6,6の駆動および停止を制御する制御部(不図示)が設けられている。
【0048】
電池は、例えば、移動部2の第1移動板部21と固定板部31との間や、固定板部31の上部などに配置されている。なお、電池が固定板部31の上部に配置されていると、電池の交換などが行いやすい。
【0049】
次に、上述した第1実施形態による変位測定装置1Aの作用・効果について図面を用いて説明する。
上述した第1実施形態による変位測定装置1Aでは、移動部2と固定部3とは、床面15に沿った水平方向の相対移動が拘束されていることにより、移動部2が固定部3とともに床面15に沿って水平方向に移動することになる。このため、第1変位測定部5で移動部2と床面15との水平方向の相対変位を測定することで、床部13と梁部14との水平方向の相対変位を測定することができる。
また、移動部2と固定部3とは、鉛直方向の相対移動が許容されていることにより、第2変位測定部6で移動部2と固定部3との鉛直方向の相対変位量を測定することで、床部13と梁部14との床面15に交差する方向の相対変位を測定することができる。
そして、変位測定装置1Aは、離間防止手段4を有することにより、移動部2が床面15から離れることが防止されるため、移動部2が床面15から離れることによって床部13と梁部14との相対変位量が測定できないことがなく、床部13と梁部14との相対変位量を確実に測定することができる。
【0050】
また、移動柱部22が固定板部31の孔部31aに挿通された状態で固定板部31と鉛直方向に相対移動可能であるとともに、固定柱部32が第2移動板部23の孔部23aに挿通された状態で第2移動板部23と鉛直方向に相対移動可能であることにより、移動部2と固定部3との水平方向の相対変位を拘束しつつ移動部2と固定部3との鉛直方向の相対変位を許容することができる。これにより、移動部2と床面15との水平方向の相対変位量を測定することで床部13と梁部14との水平方向の相対変位量を測定できるとともに、移動部2と固定部3との鉛直方向の鉛直方向の相対変位量を測定することで床部13と梁部14との相対変位量を測定することができる。
そして、離間防止手段は、第2移動板部23と固定板部31とを連結する引張バネであることにより、移動部2が振動などによって床面15と離間して上方に移動しようとすると、引張バネの復元力によって下方に戻されるため、移動部2が床面15から離れることを防止できる。
【0051】
また、移動柱部22が複数配置されていて、それぞれ固定板部31の孔部31aに挿入されていることにより、移動部2と固定部3との水平方向の相対変位を複数の箇所において拘束することができる。また、引張バネ41は、周方向に隣り合う移動柱部22の間隔にそれぞれ配置されていることにより、各引張バネ41の復元力によって移動部2が床面15から離れることを確実に防止できる。
【0052】
また、離間防止手段4は、第2移動板部23に設けられて水平方向の異なる複数の位置それぞれにおいて引張バネ41の一方の端部を係止可能な第1係止部42と、固定板部31に設けられて水平方向の異なる複数の位置それぞれにおいて引張バネ41の他方の端部を係止可能な第2係止部43と、を有することにより、任意の位置に引張バネ41を設置することができるとともに、引張バネ41の伸縮方向を調整することができる。これにより、引張バネ41によって移動部2を床面15に付勢する位置や、付勢力の大きさを調整することができる。
【0053】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、
図7乃至
図13に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
図7および
図8に示すように、第2実施形態による変位測定装置1Bは、第1実施形態による変位測定装置1Aと比べてスイッチ部7(
図1参照)を有しておらず、床面15に対する移動部2の位置を検出する位置検出手段8を有している。
第2実施形態による変位測定装置1Bでは、第1移動板部21にスイッチ用球体71が挿通される孔部71aが形成されていない。
図8では、第1移動板部21の外形を実線で示している。
【0054】
図8に示すように、位置検出手段8は、移動部2に設けられたホール素子(第1位置検出部)81と、移動部2に設けられた3つのフォトリフレクター(第2位置検出部)82,82,82と、ホール素子81と、および3つのフォトリフレクター82,82,82の検出を処理する演算処理部(不図示)と、を有している。そして、
図9に示すように、照射板9には、ホール素子81が検知可能な永久磁石(指標)91が埋め込まれているとともに、3つのフォトリフレクター82,82,82がそれぞれ検知可能な4本の線92,92,…が描かれている。
【0055】
ホール素子81は、移動部2の第1移動板部21の下面に照射板9と対向するように取り付けられていて、移動部2とともに移動するように構成されている。
永久磁石91は、移動部2が原点(初期位置)に配置された状態におけるホール素子81の直下に配置されている。このため、移動部2は、ホール素子81が照射板の永久磁石91の鉛直上に配置されて永久磁石91を検知すると、移動部2が原点に配置されたと判断されるように構成されている。本実施形態では、ホール素子81が永久磁石91を検知すると移動部2の水平方向の変位量が0にリセットされるように構成されている。
【0056】
3つのフォトリフレクター82,82,82は、移動部2の第1移動板部21の下面にホール素子81を囲むように取り付けられていて、移動部2とともに移動するように構成されている。
本実施形態では、照射板9が黒色で4本の線92,92,…が白色となっており、3つのフォトリフレクター82,82,82は、それぞれ照射板9に照射した光の反射率から4本の線92,92,…を検知可能に構成されている。
【0057】
ここで、照射板9の上面に沿った互いに直交する2方向をX方向およびY方向とし、4本の線92,92,…を第1線92A、第2線92B、第3線92C、第4線92Dとする。
第1線92Aおよび第2線92BはX方向に延在し、第3線92Cおよび第4線92DはY方向に延在している。第1線92Aと第2線92BとはY方向に間隔D1をあけて配置され、第3線92Cと第4線92DとはX方向に間隔D2をあけて配置されている。間隔D1と間隔D2とは異なる寸法に設定されている。
【0058】
図8に戻り、3つのフォトリフレクター82,82,82を第1フォトリフレクター82A、第2フォトリフレクター82B、第3フォトリフレクター82Cとする。
第1フォトリフレクター82Aと第2フォトリフレクター82Bとは、X方向に間隔D2(第3線92Cと第4線92Dとの間隔)をあけて配置されている。なお、第1フォトリフレクター82Aと第2フォトリフレクター82Bとは、互いにX方向に重ならないとともに、Y方向の間隔が間隔D1(第1線92Aと第2線92Bとの間隔)とならないように配置されている。
第2フォトリフレクター82Bと第3フォトリフレクター82Cとは、Y方向に間隔D1をあけて配置されている。なお、第2フォトリフレクター82Bと第3フォトリフレクター82Cとは、互いにY方向に重ならないとともに、X方向の間隔が間隔D2とならないように配置されている。
第1フォトリフレクター82Aと第3フォトリフレクター82Cとは、X方向およびY方向それぞれに重ならないとともに、X方向の間隔が間隔D2とならないように、さらにY方向の間隔が間隔D1とならないように配置されている。
【0059】
そして、
図10に示すように、移動部2が原点(初期位置)に配置されると、第1フォトリフレクター82Aが第4線92Dの直上に配置され、第2フォトリフレクター82Bが第1線92Aと第3線92Cとの交点の直上に配置され、第3フォトリフレクター82Cが第2線92Bの直上に配置される。
なお、移動部2は、鉛直の軸回りに回転しないように不図示のガイドなどにより支持されている。また、第1〜第3フォトリフレクター82A〜82Cは、移動部2とともに移動して第1〜第4線92A〜92Dの上部を横切った際にX方向に延びる線(第1線91Aおよび第2線91B)の上部を横切ったか、Y方向に延びる線(第3線91Cおよび第4線91D)の上部を横切ったかを判別可能に構成されている。
【0060】
続いて、位置検出手段8による検出状態について説明する。
図10に示すように、移動部2が移動し、第1フォトリフレクター82Aが第4線92Dの直上に配置され、第2フォトリフレクター82Bが第1線92Aと第3線92Cとの交点の直上に配置され、第3フォトリフレクター82Cが第2線92Bの直上に配置されて、ホール素子81が永久磁石91の直上に配置された状態となり、第1〜第3フォトリフレクター82A〜82Cがそれぞれ線を検出し、ホール素子81が永久磁石91を検出すると、演算処理部は、移動部2がX方向およびY方向ともに正位置(原点)に配置されていると出力する。これにより、移動部2のX方向の変位量およびY方向の変位量がともに0にリセットされる。
【0061】
図11(a)、(b)に示すように、移動部2が移動し、第1フォトリフレクター82Aが第4線92Dの直上に配置され、第2フォトリフレクター82Bが第3線92Cの直上に配置され、第1フォトリフレクター82Aおよび第2フォトリフレクター82Bがそれぞれ線を検出し、第3フォトリフレクター82Cが線を検出せず、さらにホール素子81が永久磁石91を検出しないと、演算処理部は、移動部2がX方向に正位置に配置されていると出力する。これにより、移動部2のX方向の変位量が0にリセットされる。
【0062】
図12(a)、(b)に示すように、移動部2が移動し、第2フォトリフレクター82Bが第1線92Aの直上に配置され、第3フォトリフレクター82Cが第2線92Bの直上に配置され、第2フォトリフレクター82Bおよび第3フォトリフレクター82Cがそれぞれ線を検出し、第1フォトリフレクター82Aが線を検出せず、さらにホール素子81が永久磁石91を検出しないと、演算処理部は、移動部2がY方向に正位置に配置されていると出力する。これにより、移動部2のY方向の変位量が0にリセットされる。
【0063】
なお、上記以外の場合は、演算処理部は、移動部2がX方向およびY方向ともに正位置に配置されているとは判断しないように構成されている。
また、
図13に示すように、移動部2が移動して第1フォトリフレクター82Aが第3線92Cの直上に配置され、第2フォトリフレクター82Bが第1線92Aの直上に配置され、第3フォトリフレクター82Cが第2線92Bの直上に配置されて、第1〜第3フォトリフレクター82A〜82Cがそれぞれ線を検出しても、ホール素子81が永久磁石91を検出しないと、演算処理部は、移動部2がX方向およびY方向ともに正位置(原点)に配置されているとは判断しないように構成されている。
【0064】
第2実施形態による変位測定装置1Bは、第1実施形態と同様の効果を奏するとともに、位置検出手段8を有することにより、変位測定装置1Bの位置精度を高めることができる。
【0065】
以上、本発明による変位測定装置の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、免震構造物11の免震層12に変位測定装置1A,1Bを設置しているが、免震層12以外に設置されてもよいし、免震構造物11以外の構造物に設置されてもよい。また、上記の実施形態では、移動部2は床面15に沿って移動可能に構成され、固定部3は梁部14に固定されているが、移動部2が移動する設置面や固定部3が固定される構造物の構造部分は適宜設定されてよい。
【0066】
また、上記の実施形態では、3つの第1変位測定部5,5,5および3つの第2変位測定部6,6,6を備えているが、設置される第1変位測定部5の数および第2変位測定部6の数は、1や2、あるいは4以上として適宜設定されてよい。また、第1変位測定部5が設置される位置や第2変位測定部6が設置される位置についても適宜設定されてよい。また、複数の第1変位測定部5,5…によって測定された変位量のデータの処理方法および複数の第2変位測定部6,6…によって測定された変位量のデータの処理方法についても上記以外の処理方法に適宜設定されてよい。また、第1変位測定部5および第2変位測定部6のうちのいずれか1つが設けられていてもよい。
【0067】
また、上記の第1実施形態では、スイッチ部7が設けられているが、スイッチ部7が設けられておらず、第1変位測定部5および第2変位測定部6が常に変位量を測定するように構成されていてもよい。また、スイッチ部7の配置される位置や数、形態は適宜設定されてよい。
また、上記の実施形態では、変位測定装置1A,1Bには、第1変位測定部5および第2変位測定部6へ電源を供給可能な電池が設けられているが、このような電池が設けられておらず、例えば、免震構造物11に設けられた電源装置から第1変位測定部5および第2変位測定部6に電源が供給されるように構成されていてもよい。
【0068】
また、上記の実施形態では、移動部2は、平面視において略正三角形状や略十字形状に形成された第1移動板部21および固定板部31を有しているが、第1移動板部21および固定板部31の形状は上記以外の形状でもよい。
また、上記の実施形態では、スイッチ用球体71が床面15と当接して床面15上を転がって移動するように構成されているが、板面が上下方向を向く板材が設けられて、この板材の上をスイッチ用球体71が移動するように構成されていてもよい。なお、この板材は、床部13や梁部14に支持されていてもよいし、移動部2に支持されていてもよい。
【0069】
また、上記の実施形態では、移動機構24は、照射板9の上面を滑動可能な滑動板部241と、滑動板部241を第1移動板部21の下面に連結する連結部242、とを有しているが、第1移動板部21の下側に設けられえ第1移動板部21と連結されたベアリングや車輪などとしてもよい。また、上記の実施形態では、滑動板部241の下面に貼りつけられて滑動板部241と照射板9との摩擦力を低減させる部材としてテフロン(登録商標)シートを採用しているが、テフロン(登録商標)シート以外を採用してもよい。
【0070】
また、上記の実施形態では、固定柱部32は、梁部14に支持された上側固定柱部321と、固定板部31に固定され、第2移動板部23の孔部23aに挿通される下側固定柱部322と、上側固定柱部321と下側固定柱部322とを連結する連結プレート323と、を有しているが、固定柱部32は、1つの柱状部材から形成されていてもよい。また固定柱部32は、複数の柱状部材から形成されている場合にそれぞれの柱状部材が連結される形態は適宜設定されてよい。例えば、上記のような連結プレート323を設けずに、上側固定柱部321および下側固定柱部322の一方に上下方向に延びるネジ部が形成され、他方にこのネジ部が螺合可能なネジ孔が形成されていて、ネジ部とネジ孔とを螺合させる量を調整することで上側固定柱部321に対する下側固定柱部322の上下方向の位置が調整可能に構成されていてもよい。
【0071】
また、上記の第2実施形態において、ホール素子81および永久磁石91の数や位置は適宜設定されてよい。
また、上記の第2実施形態において、フォトリフレクター82の数や照射板9に描かれた線92の数や形状は適宜設定されてよい。例えば、照射板9に描かれた線92は、曲線状や円を描く線であってもよい。また線92の延びる方向は、Y方向およびX方向以外であってもよい。
また、位置検出手段8は、フォトリフレクター82のみを有していてもよいし、ホール素子81のみを有していてもよい。
また、上記の第2実施形態において、第1実施形態のようなスイッチ部7が設けられていてもよい。
【解決手段】床部(第1構造部)13と梁部(第2構造部)14とを有する免震構造物(構造物)11の床部13と梁部14との相対変位量を測定する変位測定装置において、床部13に設けられた床面(設置面)15に沿って移動可能に設置された移動部2と、梁部14に固定された固定部3と、移動部2および固定部3の少なくとも一方に設置され床部13と梁部14との相対変位量を測定可能な第1、第2変位測定部(変位測定手段)5,6と、を有し、移動部2と固定部3とは、床面15に沿った方向の相対移動が拘束されているとともに床面15に直交する方向の相対移動が許容されていて、固定部3に支持されて移動部2と床面15との離間を防止する離間防止手段4を更に有する。