特許第5873600号(P5873600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873600
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】非鉄金属冶金スラグの処理方法
(51)【国際特許分類】
   C22B 7/04 20060101AFI20160216BHJP
   C22B 5/16 20060101ALI20160216BHJP
   F27D 17/00 20060101ALI20160216BHJP
   F27D 3/16 20060101ALI20160216BHJP
   C22B 5/02 20060101ALI20160216BHJP
   F27D 27/00 20100101ALI20160216BHJP
【FI】
   C22B7/04 AZAB
   C22B5/16
   F27D17/00 104G
   F27D17/00 105
   F27D3/16 Z
   C22B5/02
   F27D27/00
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-506272(P2015-506272)
(86)(22)【出願日】2013年4月15日
(65)【公表番号】特表2015-519473(P2015-519473A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】FI2013050409
(87)【国際公開番号】WO2013156676
(87)【国際公開日】20131024
【審査請求日】2014年10月21日
(31)【優先権主張番号】20125410
(32)【優先日】2012年4月16日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】514160582
【氏名又は名称】オウトテック (フィンランド) オサケ ユキチュア
【氏名又は名称原語表記】OUTOTEC (FINLAND) OY
(74)【代理人】
【識別番号】100079991
【弁理士】
【氏名又は名称】香取 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】メツァーリンタ、 マイヤ−レエナ
(72)【発明者】
【氏名】リイポ、 ユッシ
(72)【発明者】
【氏名】クルキ、 ペッカ
(72)【発明者】
【氏名】シェイデマ、 マデレイネ
【審査官】 越本 秀幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−236069(JP,A)
【文献】 特開2012−067375(JP,A)
【文献】 特開2000−282154(JP,A)
【文献】 特開2010−168641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 5/00−5/20
C22B 7/04
F27D 3/16
F27D 17/00
F27D 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄および有価金属を含有する非鉄冶金スラグの処理方法において、該方法は、
・還元炉にスラグを供給する工程と、
・還元剤を用いて前記還元炉内で前記スラグを還元し、少なくとも1の有価金属を金属形態とする工程と、
・前記スラグの前記鉄の少なくとも5%を金属に還元するとともに、少なくとも1の有価金属を気化させるまで還元を実施する工程と、
・前記還元中に前記還元炉の内容物を混合し、前記スラグからの金属液滴の沈降を防止する工程と、
・前記還元炉で生成された溶融スラグ・金属混合物を取り出す工程と、
・前記スラグ・金属混合物を冷却、破砕および磨鉱する工程と、
・金属部分を清浄なスラグから分離するため、前記スラグ・金属混合物を分離ステップにかける工程とを含み、
上記する一連の工程によって、直接的にいくつかの実用的な用途に適する清浄なスラグが製造されることを特徴とする鉄および有価金属を含有する非鉄冶金スラグの処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記金属形態とされる有価金属は、銅およびニッケルのうちの少なくとも1の金属であることを特徴とする処理方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、前記気化される有価金属は、亜鉛、鉛、ヒ素およびカドミウムのうちの少なくとも1の金属であることを特徴とする処理方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法において、前記分離ステップは、磁気的分離、重力分離、浮選またはスクリーニングのうちの少なくとも1つの利用を含むことを特徴とする処理方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の方法はさらに、
・前記還元炉からの排ガスを酸化ステップに供給し、前記排ガス中に含まれる前記気化した金属を酸化して金属酸化物とする工程と、
・前記酸化ステップの後、前記排ガスを清浄化ステップに供給し、金属酸化物および他の固形物を前記ガスから分離する工程と、
・前記分離された金属酸化物を冶金工程での更なる利用のために供給する工程とを含むことを特徴とする処理方法。
【請求項6】
請求項に記載の方法において、前記清浄化ステップは、スクラバによる洗浄、繊維フィルタ、電気集塵、湿式電気集塵の使用のうち少なくとも1つの方法を含むことを特徴とする処理方法。
【請求項7】
請求項1ないしのいずれかに記載の方法において、前記還元炉は、交流(AC)電気炉、直流(DC)電気炉、トップ・サブマージド・ランス(TSL)炉、カルド炉、または浮遊溶解炉の沈降器であることを特徴とする処理方法。
【請求項8】
請求項1ないしのいずれかに記載の方法において、前記還元炉の内容物の混合は、前記還元剤の噴射供給、該還元剤の中空電極からの供給、ガス状またはガスを生成する還元剤の使用、前記還元炉の底部に取り付けられた有孔プラグからの不活性ガスの供給、または電磁攪拌のうち少なくとも1つの方法によって行なうことを特徴とする処理方法。
【請求項9】
請求項1ないしのいずれかに記載の方法において、前記還元炉内の還元は、前記スラグの前記鉄の5〜30%が金属鉄に還元されるまで行なうことを特徴とする処理方法。
【請求項10】
請求項1ないしのいずれかに記載の方法において、前記還元ステップにおける前記還元炉内温度、1400℃から1500℃の間に維持することを特徴とする処理方法。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の方法において、前記還元ステップにおける前記還元炉内温度を、1450℃に維持することを特徴とする処理方法。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載の方法において、前記還元炉内の滞留時間は0.5〜2時間であることを特徴とする処理方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、鉄および有価金属を含有する非鉄金属冶金スラグを処理して有害物質および有価金属を含まず原材料または建設資材としての使用に適する清浄なファイヤライトサンドの製造方法に関するものである。
【発明の背景】
【0002】
非鉄金属冶金スラグは、金属部分を不要部分から分離するための精鉱の製錬またはマットの転化の副産物として生成される。スラグは主として金属酸化物と酸化ケイ素の混合物であるが、金属硫化物および元素形態の金属も含むことがある。
【0003】
たとえば、銅自溶製錬炉から取り出されたスラグは、原材料に応じて、たとえばマグネタイト、ファイヤライト、亜鉛、銅、鉛、ヒ素、カドミウム、およびニッケルを含有する場合がある。現在、スラグは、電気炉によって還元するか、またはスラグ濃縮技術を利用することによって清浄化されている。この種の清浄化の後、依然としてスラグは、処理および原材料に応じて、約0.3〜1%の銅、約1〜4%の亜鉛、約0.1〜0.4%の鉛、および約0.1〜0.2%のヒ素を含有している。スラグ中のそのような銅および亜鉛の含有量は、経済上は全くの損失とみなされる。そのうえ、スラグ濃縮装置から得られた廃スラグは、粒径0.125 mm未満の非常に微細なものである。そのため、スラグに含有されている有害物質が投棄時に浸出する場合があり、そのため環境上の脅威を生じる。
【0004】
廃スラグが依然として有価金属および有害物質を含有しているのはごく一般的であり、それによってスラグは利用に不適な問題廃棄物となりがちである。投棄場所は高密度の基礎を必要とし、また保管には長期の監視を必要とする場合があるため、そのようなスラグの投棄は高くつく。
【0005】
多くの場合、スラグ清浄化工程の目的は、合金中のコバルト、ニッケルおよび銅などの有価金属を最大限回収するとともに、鉄含有量を可能な限り最小とすることである。生成される金属鉄の量は最小限にすべきであるが、それは、結果として生じるマットまたは合金中に存在する鉄が多ければ多いほど、後続の有価金属の湿式製錬分離およびその結果として生じる鉄残差の廃棄のコストが高くなるからである。
【0006】
一般に、電気炉での銅含有スラグの清浄化の目的は、酸化銅を金属銅に、また三価の鉄を二価の鉄に還元することと、金属銅液滴をスラグから沈降させ、それによってスラグ層の真下に金属層を形成することである。スラグの酸素ポテンシャルがさらに減少するにつれ、二価の鉄から金属鉄への還元、酸化鉛から金属鉛への還元等の更なる還元も起きる。電気炉内材料の攪拌を用いて還元反応を強めることができる。
【0007】
非鉄冶金スラグの電気炉内還元による清浄化工程は、たとえばフィンランド特許公報第84368(B)号、米国特許第4717419(A)号、米国特許第5332414(A)号および米国特許第5411572(A)号に示されている。これらのプロセスではすべて、還元が部分還元として実施され、言い換えると、金属鉄が形成し始める前に終了している。この段階において、まだいくらかの銅が残留スラグ中に残されている。また、亜鉛、鉛、カドミウム、およびヒ素はまだ完全には気化していない。そのような還元は多くの場合にコークスによる表面還元で行なわれ、還元の際に形成された金属液滴を沈降させて溶融スラグ層の下方に溶融金属層を形成する必要があるため、長い時間を要する。
【0008】
電気炉内でのスラグ還元をさらに実行すると、鉄も還元し始め、亜鉛、鉛、カドミウム、ヒ素等の低沸点金属が気化する。国際公開第2009/077651(A1)号公報によれば、浮遊溶解炉からのスラグを電気炉内で還元する従来技術により、今までのところは、スラグ還元後のスラグの銅含有量が非常に低いため、電気炉から取得した廃スラグをさらに処理するのは経済的に採算が合わないことが知られている。
【0009】
米国特許第8088192(B2)号は、冶金残渣から非鉄金属を回収する3段工程を開示している。その工程は、(A)かなりの量の鉄が還元されて銅浴に入る溶融および還元段階と、(B)金属液滴をスラグから銅浴に沈降させ、スラグの一部を炉から取り出す沈降段階と、(C)銅浴中の鉄の酸化を含む酸化段階とを含む。特定の非鉄化合物は段階Aで揮発し、ヒュームによって運び去る。揮発性重金属、とくに亜鉛および鉛は、セパレータを用いてヒュームから回収する。この参照文献には、冶金残渣を処理する交流プラズマアーク炉に不活性ガスを吹き込むことによって銅浴を攪拌することも教示されている。その工程は複雑で、長時間を要し、大きな還元炉を必要とする。
【0010】
電気炉内における還元を改善する別の方法には、炉の底部に取り付けられた有孔プラグを通して不活性ガスを導入することが含まれる。
【0011】
従来技術には、スラグ還元において還元剤として使用できる多くの種類の物質が含まれている。2つの例を挙げておく。国際公開第20060240069号公報には、合金鉄製造における金属酸化物還元剤として石炭系ポリマを使用することが教示されている。独国特許出願公開第19541673(A1)号公報には、高炉における還元剤としてプラスチック粉砕物を用いることが教示され、Isasmelt(商標)反応炉においてはコークスをプラスチックに置き換えることができる。
【0012】
したがって、スラグの還元に使用できる数々の還元剤が存在し、また電気炉における還元を促進する多数の方法、たとえば混合による方法が存在する。しかし、従来技術による工程においては、混合ステップの後に、スラグからの金属相の分離のために必ず沈降ステップを必要とする。溶融スラグ相からの金属液滴の沈降は、緩慢な工程である。その結果、炉内を所望の温度に維持するためには、大きな電気炉と大量のエネルギーを必要とする。
【発明の目的】
【0013】
本発明の目的は、従来技術の欠点を除去し、有価金属および有害物質を含まずそのまま原材料および/または建築資材としての更なる利用に適した清浄なスラグを製造する、改良された方法を提供することである。
【0014】
本発明の更なる目的は、有価金属の損失を最小化し、非鉄冶金工業における使用に適さない廃棄物の発生を減らすことである。
【概要】
【0015】
本発明による方法は、請求項1に示されている事項を特徴とする。
【0016】
本発明は、非鉄冶金工業のスラグの処理に関するものである。更なる利用に適する清浄な残留スラグを製造するため、スラグ中の少なくとも一部の鉄が金属単体となり、有害な亜鉛、鉛、ヒ素およびカドミウム成分が気化するまで、スラグは還元剤を用いて還元炉内で還元される。還元は効率的な攪拌によって促進され、またスラグからの金属相の分離も防止される。このようにして製造された金属とスラグの混合物は、取鍋へ取り出して徐冷するか、さもなければ水砕工程へ取り出し、これによって混合物は急冷する。冷却後、スラグ・金属混合物は破砕され、もし必要なら十分微細な粒径に磨鉱される。スラグ粒子と金属粒子は適切な手段によって互いに分離される。金属相は冶金工程中に再循環されるが、一方、スラグ相は原材料または建設資材としての更なる利用の準備が整う。気化した金属を含み還元炉から放出される排ガスは、酸化されて金属を金属酸化物に転化させ、金属酸化物はその後適切な手段によって分離される。このようにして製造された金属酸化物は、たとえば亜鉛工業の原材料としてさらに利用するために供給できる。
【0017】
本発明において、スラグは、任意の第1還元ステージの後、少なくともスラグのマグネタイトおよびファイヤライトの一部が還元されて元素鉄が生成するまで、還元炉内で還元される。これに関連して、スラグのいくつかの有価金属、たとえば銅およびニッケルが還元して金属となり、スラグ中に介在物を形成する。同時に、スラグの他のいくつかの有価金属、たとえばヒ素、鉛および亜鉛が気化してガス相に移行する。
【0018】
還元は電気炉で行なうのが好ましく、直流(DC)型でも交流(AC)型でもよい。他の好適な還元炉には、トップ・サブマージド・ランス炉、カルド炉、または浮遊溶解炉の沈降器が含まれる。
【0019】
還元炉内で用いられる還元剤は、固形状、ガス状またはこれらの組合せでよい。還元剤は、コークス、粉炭、黒鉛、褐炭、木炭、バイオコークス、バイオマス(たとえばおが屑、泥炭)、天然ガス、炭化水素(たとえばブタン、メタン、プロパン、油、再生プラスチック、廃ゴム、一酸化炭素、水素、アンモニア、炭化ケイ素、炭化カルシウム、フェロシリコン、アルミニウム、電子機器スクラップ、他の金属屑、金属硫化物、リン含有銅および他のリン化合物およびその混合物、ならびに還元剤の任意の組合せ、および/または蒸気との組合せからなる群から選択できる。
【0020】
還元ステップ中、混合は、還元剤の噴射供給、中空電極からの還元剤の供給、ガス状またはガス発生型還元剤の使用、炉の底部に取り付けられた有孔プラグからの不活性ガスの供給、および電磁攪拌の使用のうち少なくとも1つの方法によって強化できる。
【0021】
溶融したスラグ・金属混合物は取鍋へ取り出して徐冷してもよく、または取り出して水砕し、この冷却は急冷であってもよい。冷却後、スラグ・金属混合物は破砕され、もし必要なら、十分微細な粒径に磨鉱する。磨鉱後、スラグ・金属混合物は分離工程にかけ、分離工程には磁気的分離、重力分離、浮選、スクリーニング、またはこれらの組合せを含んでよい。
【0022】
気化した金属は酸化して金属酸化物になる。還元炉内で還元剤から生成されたガス状成分は後燃焼させる。こうして発生した金属酸化物および他の固形物は、スクラバ、繊維フィルタ、電気集塵器、湿式電気集塵器、またはそれらの組合せを用いて排ガスから分離する。分離された金属を含有するダストは、更なる利用のため、たとえば原材料として利用するため亜鉛製造所に供給される。
【0023】
本発明によるスラグ清浄化方法によれば、有価金属のより良い回収、より小さい炉寸法、より短い滞留時間、そしてなんといっても販売可能な原材料へのスラグの効率的転換が可能になるため、経済的に採算がとれる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
添付図面は、本発明の更なる理解をもたらし本明細書の一部を構成するために提示され、本発明の実施形態を図解し、明細書とともに本発明の原理の説明の助けとなる。
図1】本発明による実行可能な1つのスラグ処理工程を図解する流れ図である。
図2】ダイレクトブリスタ自溶炉精錬に関連するスラグ処理を図解する流れ図である。
図3】自溶炉および自溶転炉を含む工程に関連するスラグ処理を図解する流れ図である。
【発明の詳細な説明】
【0025】
冶金スラグをそのまま更なる利用に適した、有害物を含まない粉砕された材料に変換しようとする場合、スラグ中の鉄が少なくとも部分的に元素金属に還元されるように、スラグ還元を従来技術による方法よりもさらに延長すべきである。これに関連して、有価金属、たとえば銅の介在物が鉄液滴中に形成される。鉄は、金属層相に磁性を持たせるのに十分な量の鉄を金属相が含有する程度に還元される必要がある。スラグから金属を磁気的に分離できるようにするため、好ましくは、5〜30%の鉄を還元すべきである。これに関連して、スラグと鉄を含む金属の混合物を溶融状態に保ち、炉壁への付着を防止するため、温度は十分高く保ち、実際には1400℃から1500℃とすべきである。滞留時間は、0.5〜2時間程度でよい。
【0026】
本発明の方法において、還元剤と金属酸化物の接触は混合によって促進され、形成された金属液滴間の衝突も混合によって増加する。このことは液滴の粒径の増大につながり、後続の磁気的分離におけるスラグからの金属液滴の分離をさらに改善する。本発明の方法は、金属液滴を溶融スラグ内に保つことを目標とし、前記液滴を炉底に沈降させることを目標としているのではない。有利には、混合は中空電極を用いて行なわれ、それによって電極下方に効率的な混合ゾーンが生じ、還元剤はスラグ中に吸い込まれる。この方法において、多大な時間を要する別個の沈降相は必要なく、それが従来のスラグ還元炉より処理時間が短い理由である。エネルギー消費量は削減され、還元炉の大きさは従来のスラグ還元炉の大きさより小さくなるだろう。
【0027】
多種多様な固形状およびガス状物質が本発明による方法における還元剤として使用できる。気化可能で混合を促進するガスを生成する還元剤を使用するのが有利な場合がある。
【0028】
還元炉から排出されるガスには、スラグ由来の金属蒸気と一酸化炭素、水素等の還元剤由来の成分の両方が含まれている。排ガスは酸化および後燃焼させる。使用される還元剤に応じ、排ガスに少量の塩素も含まれることがあり、その場合は後燃焼ステップに十分な滞留時間と温度をかけることが必要なことがある。
【0029】
酸化および後燃焼後に、排ガスを浄化する。金属酸化物および他の固形物は、スクラバによる洗浄、もしくは繊維フィルタ、電気集塵器、湿式電気集塵の使用、またはそれらの組合せによって、ガスから回収できる。ガス浄化ステップから得られたダストは、原材料としてたとえば亜鉛製造工場に供給できる。
【0030】
還元炉で生成したスラグ・金属混合物は炉から取り出し、冷却される。冷却されたスラグは、有利には20 μm〜15 mmの粒径に破砕および磨鉱する。金属および存在することのある硫化物は、たとえば磁気的分離および/または重力分離および/または浮選および/またはスクリーニングによってスラグから分離する。清浄化されたスラグは、たとえば道路建設、他の埋め立て用途、または建設資材の原材料として使用できる。
【0031】
図1に、自溶炉スラグの清浄化工程の概略的流れ図を示す。微細な精鉱11が空気または酸素または酸素富化空気12と混合され、浮遊溶解炉10内で急速に反応する浮遊物を形成する。原材料11の硫化物成分が着火、酸化して熱を放出し、プロセス用燃料としての役目を果たすため、溶解のための外部エネルギーを必要としない。炉10の沈降器において、溶融液滴はガス流から分離し、その固有密度に応じた明確なマット層およびスラグ層として炉10の底部に沈降する。
【0032】
自溶製錬炉10内で製造された高純度の溶融マット13は、転炉15に供給する。転炉15によってブリスタ金属16、および依然として比較的高い金属含有量を有する少量のスラグ17が製造される。転炉は、たとえば、ピアース・スミス転炉、ホボケン転炉、または他の適切な形式の転炉でよい。
【0033】
自溶製錬炉10からのスラグ14および転炉15からのスラグ17は還元炉18に送られるが、還元炉は、たとえば電気アーク炉でよい。還元炉18において、スラグ14および17に含まれる金属の還元は、同じく炉18に加えられた還元剤19の助けによって行なわれる。スラグ中に含まれる銅化合物は還元されて金属銅になり、スラグ中に含まれる鉄化合物は、少なくとも部分的に還元されて金属鉄になる。同時に、比較的低い沸点を有する金属、たとえばヒ素、鉛および亜鉛は、気化してガス相に移行する。これらの気化した金属は、排ガス20とともに還元炉18から排出される。
【0034】
スラグの液滴と銅介在物を含む鉄の液滴は、通常では還元炉18内で沈降によって互いを分離することは出来ない。その代り、スラグ・金属混合物は、金属銅が金属液滴中に包み込まれたままになるように効率的な混合によって動かし続ける。
【0035】
スラグ・金属混合物21は還元炉18から取り出して冷却(図示せず)、破砕22、および磨鉱23にかけ、固形化したスラグ・金属混合物の粒径が小さくなる。磨鉱23の後、磁性金属部分26は、分離ステップ24において残りの清浄なスラグ25から分離される。分離ステップは、適切な分離方法、たとえば磁気的分離、重力分離、浮選、濾過およびこれらの組合せを含んでよい。
【0036】
分離ステップ24によって清浄なファイヤライトサンド25が製造され、これは、基本的に有価金属および有害物質が無く、種々の用途、たとえばコンクリートおよびセメントの構成物質として使用でき、あるいは道路建設用の他の材料と混合できるものである。
【0037】
還元炉18から放出された排ガス20は酸化ステップ27に送り、ここで気化した金属は金属酸化物に変換され、還元剤由来の物質は、必要であれば後燃焼させる。酸化ステップ27の後、排ガスは冷却ステップ28および清浄化ステップ29に送られる。清浄化ステップ29は、たとえば、スクラバ、繊維フィルタ装置、電気集塵器、湿式電気集塵器、およびこれらの任意の組合せを含んでよい。
【0038】
ガス清浄化ステップ29からの金属酸化物含有ダスト30は、たとえば亜鉛製造工場に供給してよい。クリーンガス31は大気中に放出してよい。
【0039】
図2に、ダイレクトブリスタ製錬工程に関連して利用される新しいスラグ清浄化工程の実施例を示す。同じ構成要素は図1と同じ参照番号で示す。
【0040】
ダイレクトブリスタ自溶炉32内で実行される直接ブリスタ化工程において、精鉱から1ステップで直接、粗銅35が製造される。この方法は、鉄含有量の低い鉱石精鉱にとくに適する。ダイレクトブリスタ自溶炉32から得られたスラグ33は依然として相当な量の銅および他の有価金属を含有し、そのためスラグ33は、粗銅36の更なる回収のために、まず電気炉34に供給される。電気炉34の後、残留スラグ37は還元炉18に送られるが、その操作は図1に関連して説明した操作と同じである。スラグ・金属混合物および排ガス20の更なる処理も、図1に関連して説明した処理と同じである。金属部分26を残留清浄スラグ25から分離する分離ステップ24の後、銅含有金属部分26はダイレクトブリスタ自溶炉32に再循環される。
【0041】
図3に、自溶炉10および自溶転炉15を含む工程に関連して利用される本発明によるスラグ清浄化プロセスの実施例を示す。この種の工程はとくに、鉱石精鉱の鉄含有量が高い場合に利用できる。図1図3の主な相違点は、図3の工程には電気炉34が含まれ、自溶転炉15から得られたスラグ33を還元炉18へ供給する前にスラグから銅36を回収することである。分離ステップ24から得られた銅含有金属部分26は、自溶転炉15に再循環させる。自溶転炉15内の自溶転換工程は、炉10内の自溶製錬プロセスと酷似している。マットの酸化は強酸化条件下で進行し、硫化物マットが金属銅に転換する。
【実施例1】
【0042】
スラグの組成は、Fe 42%、Si02 28%、Zn 4%、Pb 0.3%、As 0.3%、Ni 0.06%、A1203 4%、CaO 2%、Cu 1.5%およびMgO 1%であった。X線屈折計分析において、ファイヤライト、マグネタイトおよびヘマタイトがスラグの主要鉱物であることが確認された。800 gのスラグを炭化ケイ素とともに600 mlのるつぼに入れて1350°Cで1時間還元した。得られた生成物は、以下の組成の金属合金とスラグの混合物を含んでいた。すなわち、その組成は、Fe 29%、Si02 45%、Zn 0.13%、Pb < 0.02%、As 0.005%、Ni <0.004%、Al203 7%、CaO 2.6%、Cu 0.25%および MgO 1.3%であった。スラグは、銅および鉄の両方を含有する金属介在物を含んでいた。
【0043】
還元されたスラグは、1 mm未満の粒径に粉砕した。金属を回収するために磁気的分離を行なった。残留非磁性スラグ部分は非常に清浄で、少数の小さな金属介在物を含んでいたにすぎない。
【実施例2】
【0044】
スラグの組成は、Fe 38%、Si02 32%、Zn 2.4%、Pb 0.5%、As 0.26%、Ni 0.09%、A1203 5%、CaO 1%、Cu 1.8%およびMgO 1%であった。X線屈折計分析において、ファイヤライト、マグネタイトおよびヘマタイトがスラグの主要鉱物であることが確認された。300 gのスラグを炭化ケイ素とともに360 mlのるつぼに入れて1450℃で0.5時間還元した。得られた生成物は、以下の組成の金属合金とスラグの混合物を含んでいた。すなわち、その組成は、Fe 32%、Si02 36.5%、Zn 0.43%、Pb 0.056%、As < 0.002%、Ni < 0.002%、Al2O3 5%、CaO 1%、Cu 0.22%およびMgO 11%であった。スラグは、銅および鉄の両方を含有する金属介在物を含んでいた。
【実施例3】
【0045】
スラグの組成は、Fe 38%、Si02 32%、Zn 2.4%、Pb 0.5%、As 0.26%、Ni 0.09%、Al2O3 5%、CaO 1%、Cu 1.8%およびMgO 1%であった。X線屈折計分析において、ファイヤライト、マグネタイトおよびヘマタイトがスラグの主要鉱物であることが確認された。還元剤として作用する59 gの炭素と混合した600 gのスラグを600 mlの酸化アルミニウム製るつぼに入れて,1450℃で1時間、そのうち30分を還元、30分を窒素バブリングとして還元した。得られた生成物は、以下の組成の金属合金とスラグの混合物を含んでいた。すなわち、その組成は、Fe 34%、Si02 36%、Zn 0.66%、Pb 0.08%、As < 0.004%、Ni < 0.004%、Al203 13%、CaO 1.3%、Cu 0.42%およびMgO 1.3%であった。スラグは、銅および鉄の両方を含有する金属介在物を含んでいた。
【0046】
還元されたスラグは、約1.2 mmの粒径に破砕し、粗い金属部分をスクリーニングにより分離した。スラグ部分はロールミルで粉砕し、金属を回収するために3段式の磁気的分離にかけた。残留非磁性スラグ部分は、組成がFe 33.9%、Si02 36%、Zn 0.59%、Pb 0.08%、As < 0.004%、Ni < 0.004%、Al203 8.2%、CaO 1.4%、Cu 0.36%およびMgO 1%であった。
【0047】
当業者にとって、技術の進歩にともない、本発明の基本概念が種々の方法で実施できることは明白である。したがって、本発明およびその実施形態は上述の実施例に限定されず、特許請求の範囲内において変化できる。
図1
図2
図3