【課題を解決するための手段】
【0021】
この目的を達成するために、本発明は、金属サレン錯体又は当該金属サレン錯体の誘導体の複数分子がそれぞれの金属原子の部分で水を介して多量体化されており、基剤に混合されて軟膏となる金属サレン錯体化合物を提供するものである。
【0022】
また、本発明に係る金属サレン錯体化合物は、前記複数分子が2分子であり、当該2分子がそれぞれの金属原子の部分で水を介して2量体化されていることがさらに望ましい。
【0023】
この金属サレン錯体化合物は、基剤に混合されて軟膏とすることができるため、軟膏として患部に投与することができる。したがって、優れた非侵襲性を有し、疾患部位へ効率よく移行させることができる。
【0024】
なお、本発明でいう「軟膏」とは、例えば、油脂性基剤を用いたものの他、日本薬局方で規定されているように、乳剤性基剤を用いたクリーム剤等も含まれるものである。軟膏を作成するための「基剤」は、皮膚に付着し、有効成分を長く皮膚にとどめる働きをするものであり、塗りやすく、皮膚に対する刺激性が無く、有効成分の安定性に影響しないものが求められる。
【0025】
また、本発明に係る金属サレン錯体化合物は、口腔内に使用可能な基剤に混合することで、例えば、舌や歯茎、ほほの内側等に適用することもできる。
【0026】
このような基剤としては、疎水性基剤(油脂性基剤)、親水性基剤(乳剤性基剤、水溶性基剤、懸濁性基剤)、特殊な剤型(糊膏(リニメント)、泥膏(パスタ)、硬膏、ローション・スプレー等)、口腔用軟膏剤、眼軟膏剤等が挙げられる。より具体的には、例えば、ワセリン(黄色ワセリン、親水ワセリン、白色ワセリン)、ケナログ、流動パラフィン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、マクロゴール、ゲル化炭化水素、等の軟膏基剤等が挙げられる。
【0027】
本発明の好適な形態は、下記式(I)、(II)、(III)で示される自己磁性金属サレン錯体及びその誘導体である。
【0028】
式(I)
【0029】
式(II)
【0030】
式(III)
【0031】
但し、式(I)、(II)、(III)共に、Mは、Fe(鉄)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Mo(モリブデン)、Ru(ルビジウム)、Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、W(タングステン)、Re(レニウム)、Os(オスミウム)、Ir(イリジウム)、Pt(白金)、Nd(ニオブ)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロピウム)、又は、Gd(ガドリニウム)であり、a〜f、Yのそれぞれは、水素(MがFeの場合は、a〜f、Yの全てが水素である場合を除く)であるか、下記(イ)〜(ト)のいずれかである。
【0032】
(イ)−CO
2Me
(ロ)−CO(OCH
2CH
2)
2OCH
3
(ハ)
(ニ)
(但し、R
2はアデニン、グアニン、チミン、シトシン、ないしウラシルからなる核酸が複数結合されてなる)
(ホ)−NHCOH、−NH
2、−NHR
1、又は、−NR
1R
2
(但し、R
1、R
2は同一又は炭素数1から6までのアルキル又はアルカン)
(へ)−NHR
3−、−NHCOR
3、又は、−R
3
(但し、R
3は水素又は水酸基等の感応基が脱離して結合した置換基)
(ト)塩素、臭素、弗素等のハロゲン原子
【0033】
また、前記R
3は、電荷移動が0.5電子(e)未満であることが好ましい。
【0034】
さらにまた、前記R
3としては、下記式(1)〜(27)のいずれかの化合物を挙げることができる。
【0035】
(1)イブプロフェンピコノール、フェニルプロピオン酸系鎮痛・消炎剤
【0036】
(2)メフェナム酸、アントラニル酸系解熱消炎鎮痛剤
【0037】
(3)高脂血症治療剤
【0038】
(4)抗菌剤
【0039】
(5)蛍光色素(ローダミン)
【0040】
(6)ホルモン(エストロゲン)
【0041】
(7)ホルモン(エストロゲン)
【0042】
(8)タキソール(パクリタキセル)
【0043】
(9)アミノ酸(グリシン)
【0044】
(10)アミノ酸(アラニン)
【0045】
(11)アミノ酸(アルギニン)
【0046】
(12)アミノ酸(アスパギン)
【0047】
(13)アミノ酸(アスパラギン酸)
【0048】
(14)アミノ酸(システイン)
【0049】
(15)アミノ酸(グルタミン酸)
【0050】
(16)アミノ酸(ヒスチジン)
【0051】
(17)アミノ酸(イソロイシン)
【0052】
(18)アミノ酸(ロイシン)
【0053】
(19)アミノ酸(リシン)
【0054】
(20)アミノ酸(メチオニン)
【0055】
(21)アミノ酸(フェニルアラニン)
【0056】
(22)アミノ酸(ブロリン)
【0057】
(23)アミノ酸(セリン)
【0058】
(24)アミノ酸(トレオニン)
【0059】
(25)アミノ酸(トリブトファン)
【0060】
(26)アミノ酸(チロシン)
【0061】
(27)アミノ酸(バリン)
【0062】
さらに、本発明は、前記R
3が、メチル基を有し、電荷移動が0.5電子(e)未満である化合物から水素が脱離した下記式(28)〜(38)の置換基のいずれかである自己磁性金属サレン錯体化合物を有する局所麻酔薬剤である。
【0063】
(28)一般名:リドカイン
【0064】
(29)一般名:アミノ安息香酸エチル
【0065】
(30)一般名:オキシブブロカイン塩酸塩
【0066】
(31)一般名:オキセサゼイン
【0067】
(32)一般名:シブカイン
【0068】
(33)一般名:ビベリノアセチルアミノ安息香酸エチル
【0069】
(34)一般名:ブロカイン
【0070】
(35)一般名:メビバカイン
【0071】
(36)一般名:塩酸パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル
【0072】
(37)一般名:塩酸ブビバカイン
【0073】
(38)一般名:塩酸ロビバカイン水和物
【0074】
さらに、本発明は、R
3が、下記式(39)〜(103)のいずれかの化合物であって、水素が脱離してなる結合基の部分で前記式Iの化合物の主骨格に結合してなるものである自己磁性金属サレン錯体化合物を有する抗悪性腫瘍薬剤である。
(但し、式(83)の化合物では、シアン基(−CN)が結合基である。)
【0075】
(39)一般名:イホスファミド、アルキル系抗悪性腫瘍薬
【0076】
(40)一般名:シクロホスファミド、アルキル系抗悪性腫瘍薬
【0077】
(41)一般名:ダカルバジン、アルキル系抗悪性腫瘍薬
【0078】
(42)一般名:ブスルファン、アルキル系抗悪性腫瘍薬
【0079】
(43)一般名:メルファラン、アルキル系抗悪性腫瘍薬
【0080】
(44)一般名:ラニムスチン、アルキル系抗悪性腫瘍薬
【0081】
(45)一般名:リン酸エストラムスチンナトリウム、アルキル系抗悪性腫瘍薬
【0082】
(46)一般名:塩酸ニムスチン、アルキル系抗悪性腫瘍薬
【0083】
(47)一般名:エノシタビン、代謝拮抗系抗悪性腫瘍薬
【0084】
(48)一般名:カベシタビン、代謝拮抗系抗悪性腫瘍薬
【0085】
(49)一般名:カモフール、代謝拮抗系抗悪性腫瘍薬
【0086】
(50)一般名:ギメラシル、代謝拮抗系抗悪性腫瘍薬
【0087】
(51)一般名:オテラシルカリウム、代謝拮抗系抗悪性腫瘍薬
【0088】
(52)一般名:シタラビン、代謝拮抗系抗悪性腫瘍薬
【0089】
(53)一般名:シタラビンオクホスファート、代謝拮抗系抗悪性腫瘍薬
【0090】
(54)一般名:デガフール、代謝拮抗系抗悪性腫瘍薬
【0091】
(55)一般名:ドキシフルリジン、代謝拮抗系抗悪性腫瘍薬
【0092】
(56)一般名:ヒドロキシカルバミド、代謝拮抗系抗悪性腫瘍薬
【0093】
(57)一般名:フルキロウラシル、代謝拮抗系抗悪性腫瘍薬
【0094】
(58)一般名:メルカブトブリン水和物、代謝拮抗系抗悪性腫瘍薬
【0095】
(59)一般名:リン酸フルダラビン、代謝拮抗系抗悪性腫瘍薬
【0096】
(60)一般名:塩酸ゲムシタビン、代謝拮抗系抗悪性腫瘍薬
【0097】
(61)一般名:アクチノマイシンD、抗腫瘍性抗生物質
【0098】
(62)一般名:アクラルビシン塩酸塩、抗腫瘍性抗生物質
【0099】
(63)一般名:イダルビシン塩酸塩、抗腫瘍性抗生物質
【0100】
(64)一般名:エビルビシン塩酸塩、抗腫瘍性抗生物質
【0101】
(65)一般名:ジノスタチンスチラマー、抗腫瘍性抗生物質
【0102】
(66)一般名:ダウノルビシン塩酸塩、抗腫瘍性抗生物質
【0103】
(67)一般名:トキソルビシンン塩酸塩、抗腫瘍性抗生物質
【0104】
(68)一般名:ブレオマイシン塩酸塩、抗腫瘍性抗生物質
【0105】
(69)一般名:ベブロマイシン硫酸塩、抗腫瘍性抗生物質
【0106】
(70)一般名:マイトマイシンC、抗腫瘍性抗生物質
【0107】
(71)一般名:塩酸アムルビシン、抗腫瘍性抗生物質
【0108】
(72)一般名:塩酸ビブラマイシン、抗腫瘍性抗生物質
【0109】
(73)一般名:塩酸ビラルビシン、抗腫瘍性抗生物質
【0110】
(74)一般名:ドセタキセル水和物、微小管阻害薬
【0111】
(75)一般名:ビンクリスチン硫酸塩、微小管阻害薬
【0112】
(76)一般名:ビンブラスチン硫酸塩、微小管阻害薬
【0113】
(77)一般名:酒石酸ビノレルビン、微小管阻害薬
【0114】
(78)一般名:硫酸ヒンデシン、微小管阻害薬
【0115】
(79)一般名:オキサプラチン、白金製剤
【0116】
(80)一般名:カルボプラチン、白金製剤
【0117】
(81)一般名:シスプラチン、白金製剤
【0118】
(82)一般名:ネダプラチン、白金製剤
【0119】
(83)一般名:アナストロゾール、ホルモン類似薬
【0120】
(84)一般名:アフェマ、ホルモン類似薬
【0121】
(85)一般名:エキセメスタン、ホルモン類似薬
【0122】
(86)一般名:クエン酸タモキシフェン、ホルモン類似薬
【0123】
(87)一般名:クエン酸トレミフェン、ホルモン類似薬
【0124】
(88)一般名:ビカルタミド、ホルモン類似薬
【0125】
(89)一般名:フルタミド、ホルモン類似薬
【0126】
(90)一般名:メビチオスタン、ホルモン類似薬
【0127】
(91)一般名:リン酸エストラムスチンナトリウム、ホルモン類似薬
【0128】
(92)一般名:酢酸メドロキシブロゲステロン、ホルモン類似薬
【0129】
(93)一般名:タミバロチン、分子標的治療薬
【0130】
(94)一般名:ゲフィチニブ、分子標的治療薬
【0131】
(95)一般名:トレチノイン、分子標的治療薬
【0132】
(96)一般名:メシル酸イマチニブ、分子標的治療薬
【0133】
(97)一般名:エトポシド、トポイソメラーゼ阻害薬
【0134】
(98)一般名:ソブゾキサン、トポイソメラーゼ阻害薬
【0135】
(99)一般名:塩酸イリノカテン、トポイソメラーゼ阻害薬
【0136】
(100)一般名:塩酸ノギテカン、トポイソメラーゼ阻害薬
【0137】
(101)一般名:ウベニメクス、非特異的免疫賦活薬
【0138】
(102)一般名:ジゾフィラン、非特異的免疫賦活薬
【0139】
(103)一般名:レンチナン、非特異的免疫賦活薬
【0140】
さらに、本発明は、R
3が、下記式(104)〜(109)のいずれかの化合物からなる自己磁性金属サレン錯体化合物を有する抗悪性腫瘍薬である。
【0141】
(104)製品名:リュープリン、一般名:酢酸リュープロレリン、抗がん剤
【0142】
(105)製品名:メソトレキセート、一般名:メトトレキサート、抗がん剤
【0143】
(106)製品名:ノバントロン、一般名:塩酸ミトキサントロン、抗がん剤
【0144】
(107)製品名:フォトフリン、一般名:ポルフィマーナトリウム、抗がん剤
【0145】
(108)製品名:フォトフリン、一般名:ポルフィマーナトリウム、抗がん剤
【0146】
(109)製品名:マイロターグ、一般名:ゲムツズマブオゾガマイシン、抗がん剤