(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873657
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】ペダルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B60K 26/02 20060101AFI20160216BHJP
【FI】
B60K26/02
【請求項の数】11
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-144297(P2011-144297)
(22)【出願日】2011年6月29日
(65)【公開番号】特開2012-20727(P2012-20727A)
(43)【公開日】2012年2月2日
【審査請求日】2014年6月30日
(31)【優先権主張番号】10 2010 026 956.5
(32)【優先日】2010年7月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502173523
【氏名又は名称】メソッド・エレクトロニクス・マルタ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・ガレア
【審査官】
川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−253265(JP,A)
【文献】
特開2002−283872(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第10315589(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 26/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に使用するペダルアセンブリ、特にアクセルペダルアセンブリであり、支点(3)の周りを回転するように筺体(4)に取り付けられたペダル部材(2)と、ペダル部材(2)を初期位置に付勢する少なくとも1つの加圧ばね(11)を含み、前記ペダル部材(2)は、加圧ばね(11)の力に対して支点(3)の周りを枢動可能なペダルアセンブリであって、板ばねの形態のばね部材(8)が、筺体(4)内に配置され、ばね部材(8)の一端部(9)が、筺体(4)に固定締結され、ばね部材(8)の反対側の他端部(10)が、自由に可動するように筺体(4)に取り付けられ、ペダル部材(2)は、前記ペダル部材が作動すると、ばね部材(8)の一側面上に沿って摺動し、ばね部材に圧力を加える摺動部分(7)を有することを特徴とするペダルアセンブリ。
【請求項2】
ばね部材(8)の反対端(10)は、筺体(4)の支持部分(12)に隣接することを特徴とする請求項1に記載のペダルアセンブリ。
【請求項3】
摺動部分(7)は、プラスチック材から成ることを特徴とする請求項1または2に記載のペダルアセンブリ。
【請求項4】
ばね部材(8)は板ばねであり、防食性が良好な金属材料から成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のペダルアセンブリ。
【請求項5】
ペダル部材(2)は、初期位置から開始して完全に押圧作動すると筺体(4)の領域(13)と係合する隣接部分(5)を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のペダルアセンブリ。
【請求項6】
加圧ばね(11)は、ペダル部材(2)に支持されるばねの一端部と、筺体(4)に支持される反対端部とを有する圧縮ばねであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のペダルアセンブリ。
【請求項7】
ばね部材(8)は、筺体(4)内に支点(3)に対してペダル部材(2)の踏み板(6)の反対側に、配置されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のペダルアセンブリ。
【請求項8】
加圧ばね(11)は、筺体(4)内に支点(3)に対してペダル部材(2)の踏み板(6)の反対側に、配置されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のペダルアセンブリ。
【請求項9】
ペダル部材(2)が支点(3)の周りを枢動し、摺動部分(7)が動作すると、ばね部材(8)は、摺動部分(7)に対して対向力を加え、同時に弾性変形を受けることを特徴付とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のペダルアセンブリ。
【請求項10】
ペダル部材(2)は、支点(3)の周りを初期位置から回転して、支点(3)の周りの回転によって前記初期位置へ戻ると、加圧ばね(11)とばね部材(8)は、さまざまな力勾配(それぞれP1−P2とF2−F1とP3−P1、F4−F5)を得ることによって協働することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のペダルアセンブリ。
【請求項11】
摺動部分(7)とばね部材(8)との間の相対運動の下で、ばね部材(8)で生成され、摺動部分(7)に対して向けられる力は、初期位置の方へのペダル部材(2)の自動枢動に寄与することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のペダルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のペダルアセンブリ、特にアクセルペダルアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第102007018962A1号明細書は、車両のドライブトレインに含まれるクラッチの電子制御の基礎となる信号を提供する位置センサーを含む自動車のクラッチペダルであって、それに応じて、前記クラッチは補助エネルギー源によって動力が供給されるアクチュエータによって作動するクラッチペダルを開示している。クラッチペダルを係合するばね部材が提供され、ペダルパスに沿って運転者の感知可能な踏力を示す踏力変位性が生成され、これによって、この踏力特性は、ペダルのニュートラル位置から開始して、作動力が最大に達するまで連続的に増加し、その後、徐々に減少するプロファイルを示す。ニュートラル位置にクラッチペダルを移動させる加圧ばねのほか、前記踏力特性を生成するオーバーセンタースプリングが提供される。
【0003】
独国特許出願公告第10315589B4号明細書は、ペダルアセンブリに使用されるばねを開示しており、前記ペダルは、ベースプレート、ペダルアームおよび軸を含み、軸の周りでペダルアームがベースプレートに対して枢動可能である。ベースプレートとペダルアームとの間にばねが提供される。ばねの一端部は、ベースプレートに固定接続され、ばねのもう一方の端部はペダルアームに摺動して隣接する。ばね自体は、補強材と包装複合材を含む繊維複合材要素から成る。複数の層が、製造工程で個別に導入され、ばねの一端部で互いにしっかりと接続され、反対端部では互いに重なり合ってゆるく配置される。各層の剛性は、材料の厚さ、使用される素材の種類および強化繊維の配向性によって得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の基本目的は、自動車に使用するペダルアセンブリ、特にアクセルペダルアセンブリを提供することであり、このペダルアセンブリは、構造が比較的単純であり、ペダルアセンブリが作動する量だけ再現可能かつ信頼性のある触覚感覚を自動車運転者に伝達する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的は、自動車で使用するペダルアセンブリ、特にアクセルペダルアセンブリによって実現され、このアセンブリは、筐体内に取り付けられ、支点の周りを回転するペダル部材と、ペダル部材を初期位置に付勢する少なくとも1つの加圧ばねとを含む。ペダル部材は、加圧ばねの力に対して支点の周りを枢動可能である。板ばねの形態のばね部材(8)が筐体内に配置され、ばね部材の一端部が、筐体に固定締結され、ばね部材のもう一方の端部が、自由に可動するように筐体に取り付けられる。ペダル部材は、ペダル部材が作動すると、ばね部材の一側面上に沿って摺動し、ばね部材に対して圧力を加える摺動部分を有する。
【0006】
本発明のペダルアセンブリの本質的な利点は、車両運転者に対して確実に感知可能なペダル部材の動作に関して再現性のある触覚感覚を生成するばねアセンブリを含むということである。さらに、ペダル部材の自動復帰機能に冗長性を与えることが好ましい。
【0007】
本発明の別の利点によると、本発明のペダルアセンブリは、ペダル部材の動作を検出し、検出した動作を計算手段で内部的に処理して、車両制御システムへの入力として使用するペダル部材の動作を表す信号を生成する電気サブシステムを含む。
【0008】
主題発明のさらに重要な利点は、プラスチックス材料から作製される摺動部分は、金属から成る板ばね部材上で摺動係合すると摩擦が発生し、ペダル部材の降下や、これによって発生する対向力から生じる特性のヒステリシス機能をもたらす。金属から成る板ばね要素の場合、さらに正確な結果が得られる数学モデルが容易に設定される。これは、製造工程を大きく単純化する。
【0009】
本ペダルアセンブリの別の利点は、ばね部材の表面が、多数回にわたる作動後もほとんど変化せず、ペダルアセンブリの動作特性はペダルアセンブリの全耐用年数にわたって変化しない。
【0010】
本発明のペダルアセンブリのばね部分は、金属から成り、ペダルアセンブリの作動によってばね部材上に発生する摩擦熱は、きわめて良好に分散されるようになる。ばね部材の金属摺動面も、その上を摺動部分が摺動することによって発生する摩擦熱による悪影響を受けない。
【0011】
有利なことに、力成分が、ばね部材自体で発生することになり、これにより本発明のペダルアセンブリのペダル部材を開始位置に戻す。これは、大きくかつ予測不能な摩擦力によってペダル部材が初期位置に戻らない危険性を取り除く。
【0012】
本発明のペダルアセンブリの好ましい有利な実施形態では、ばね部材の反対端は、筐体の支持部に隣接する。板ばねと摺動部分との間で発生する摩擦の点では、摺動部分はプラスチック材から成り、ばね部材は金属材料から成るのが好ましいということが、特に有利である。本ペダルアセンブリは、金属材料の防食性が良好な場合に耐用年数が長くなる。
【0013】
本発明の特に有利な実施形態では、ペダル部材はペダル部材の初期位置で筐体の領域を係合する隣接部分を含む。本発明のペダルアセンブリの単純構造では、加圧ばねは圧縮ばねであり、端部のうち一方がペダル部材に支持され、その反対端部は筐体に支持される。ばね部材は、筐体内に支点に対してペダル部材の踏み板の反対側に配置することができる。同じように、加圧ばねは、筐体内に支点に対してペダル部材の踏み板の反対側に配置することができる。
【0014】
ペダル部材が支点の周りを枢動する間、摺動部分が作動すると、ばね部材は、摺動部分に対して対向力を加え、同時に弾性変形を受ける。
【0015】
ペダル部材が初期位置から支点の周りを回転し、支点の周りの回転によって初期位置に戻る時には、さまざまな力勾配を得ることによって加圧ばねとばね部材が協働するのが好ましい。これにより、制御可能かつ予測可能な力−変位曲線を得ることができる。摺動部分とばね部材との間の相対運動の下で、ばね部材によって生成され、摺動部分に対して向けられた力は、初期位置に向かうペダル部材の自動枢動に寄与することが好ましい。
【0016】
本発明とその実施形態を、図面を参照して、さらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明のペダルアセンブリの概略側面図である。
【
図2】
図1のペダルアセンブリのばねアセンブリの拡大図である。
【
図3】本発明のペダルアセンブリのばねアセンブリが、ペダル部材が作動することによって生成し、車両運転者に触覚感覚を与える力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示すように、本発明のペダルアセンブリ1、好ましくは、アクセルペダルアセンブリは、筐体4内の支点3の周りを回転するように取り付けられたペダル部材2を含む。
【0019】
ペダル部材2は、初期位置から開始して完全に押圧作動すると筐体4の領域13と係合する隣接部分5を有する。隣接部材5は、支点3のいずれの側に配置してもよい。
【0020】
支点3から離れた側では、ペダル部材2は踏み板6を有し、この踏み板に対して車両運転者が足を押して、ペダル部材2を作動させたり、枢動させたりする。特に
図2に示すように、支点3に対してペダル部材2の反対側には、ペダル部材2に固定接続された摺動部分7が提供されることが好ましい。摺動部材7は、ペダル部材2の素材とは異なるプラスチック材から成るのが好ましく、摺動部分7は、その点14でペダル部材2に締結される。
【0021】
ペダル部材2が作動する時、摺動部分7は防食性が良好な金属の板ばねの形態のばね部材8に沿って摺動する。ばね部材8の一端部9は、筐体4にしっかりと締結され、一方では、ばね部材8の反対端部は、筐体4の支持部分12に隣接して、その上を自由に摺動運動し、これにより、ペダル部材2が作動すると、摺動部分7はばね部材8に沿って摺動し、ばね部材8は弾性変形することができる。このように、ペダル部材2によって摺動部分7が作動すると、対向力がペダル部材2に作用し、ペダル部材が支点3の周りを回転し、摺動部分7はばね部材8に沿って移動する。上記の対向力は、ペダルを作動する運転者に再現可能な触覚感覚を伝達する。
【0022】
さらに、ペダルアセンブリ1は、ペダル部材2と筐体4との間の適した位置に配置される少なくとも1つの加圧ばね11を含む。車両運転者がペダル部材2を押し下げると、加圧ばね11は、ペダル部材2の運動に対して作用する力を発生させる。加圧ばね11は支点3のいずれの側に配置されてもよい。
【0023】
運転者に真の触覚感覚を伝達するには、ペダル部材2が往復する間、さまざまな力勾配を生成する必要があり、
図3には、X軸に沿ってペダル部材2が移動し、この移動によってY軸に沿って力が発生することを示す。ペダル部材2を押圧した時の前進動作を、区間P1−P2、線分F1−F2で示し、戻り動作を、区間P3−P1と線分F4−F5で示す。通常、力ヒステリシスF2−F4およびF1−F5が必要とされる。
【0024】
図に示す力勾配は、少なくとも1つの加圧ばね11と、摺動部分7とばね部材8との間の相対運動から生じ、変化する摩擦力との組合せによって得られる。また、摺動部分7とばね部材8との間の反作用から生じる力成分は、ペダル部材2の自動復帰機能に寄与し、加圧ばね11が機能しなくなった場合に重要である。
【0025】
ペダル部材2が押圧されると、ペダル部材に対して垂直に作用する摩擦力成分と反力成分は、ばね部材8と協働する摺動部分7から生じ、踏み板6に加わる力が増大することに寄与する。ペダル部材2を解放すると、摩擦力成分はその方向を反転し、踏み板6に作用する力の大きさおよび変化率の減少に寄与する。これにより、
図3に示すような、制御可能かつ予測可能な力−変位曲線が得られる。
【符号の説明】
【0026】
1ペダルアセンブリ
2ペダル部材
3支点
4筐体
5隣接部分
6踏み板
7摺動部分
8ばね部材
9端部
10端部
11加圧ばね
12支持部分
13領域