(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ピッキング作業又は仕分け作業が行われる現場においてピッキング又は仕分けされる物品を保管する棚の各間口に設置され、ピッキング作業又は仕分け作業に関する作業情報を表示するための表示器であって、
前面側筐体と背面側筐体とからなる表示器本体を備え、
前記前面側筐体と背面側筐体には、前面側筐体と背面側筐体とが開いた状態でその左右一方端同士を係合可能とし、かつ前記係合を維持したまま閉じた状態となる方向へ互いに回動可能となる係合手段が設けられると共に、前記閉じた状態において、前面側筐体と背面側筐体とをその他方端側で固定する固定手段が設けられ、
前記閉じた状態において、表示器に信号伝送と電力供給を行う導電ケーブルと導通するようになされ、
前記係合手段は、前記前面側筐体の一方端に設けられた相対向する係合突部が突設された上下突部と、前記背面側筐体の一方端に設けられ、前記係合のために前記上下突部に突設された係合突部が挿通される上下リブに形成された係合溝部とを有し、
前記導電ケーブルは、前記背面側筐体と前記前面側筐体とが係合された状態において、前記係合溝部が形成された前記上下リブを介して前記上下突部で挟み込まれることを特徴とする表示器。
固定手段は、前面側筐体の上下両側端にそれぞれ係止され、かつ各々上下に動作可能な一対のコ字状の係止片で、背面側筐体の上下両側端を挟むようにして、前面側筐体と背面側筐体とを固定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の表示器。
背面側筐体内には、前面側筐体と背面側筐体とを閉じた状態において接続端子の先端部を受け入れ可能な受入溝が形成され、これにより、前記閉じた状態において接続端子は導電ケーブルを貫通し、その先端部が前記受入溝に挿通されるようになされたことを特徴とする請求項3に記載の表示器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のとおり従来の表示器を配線レールに取り付ける際、作業者が違えば、また同一の作業者であっても、一つ一つの表示器の取り付けるときに手で表示器を押さえつける位置、押し付ける強さなどがその都度微妙に違うため、接続端子の配線(導通ケーブル)への導通状態が若干異なり、そのため導通状態が悪い場合も生じる可能性がある。しかも、これを目視で確認することは困難である。
【0008】
また、この種の表示器にはその前面に作業終了確認のための押釦スイッチが配されている場合が多い。上記のような従来の表示器においては、作業終了確認のたびに押釦スイッチが押され、その都度接続端子が導電ケーブルに押し付けられることとなるので、徐々に導電ケーブルが傷んでくる。それゆえ、導通状態も違ってくることとなる。
【0009】
本発明は上記のような問題点を克服するためになされたものであり、容易に取り付け可能であって、かつ確実な導通状態を維持できる表示器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明に係る表示器は、ピッキング作業又は仕分け作業が行われる現場においてピッキング又は仕分けされる物品を保管する棚の各間口に設置され、ピッキング作業又は仕分け作業に関する作業情報を表示するための表示器であって、前面側筐体と背面側筐体とからなる表示器本体を備え、前記前面側筐体と背面側筐体には、前面側筐体と背面側筐体とが開いた状態でその左右一方端同士を係合可能とし、かつ前記係合を維持したまま閉じた状態となる方向へ互いに回動可能となる係合手段が設けられると共に、前記閉じた状態において、前面側筐体と背面側筐体とをその他方端側で固定する固定手段が設けられ、前記閉じた状態において、表示器に信号伝送と電力供給を行う導電ケーブルと導通するようになされ、前記係合手段は、前記前面側筐体の一方端に設けられた相対向する
係合突部が突設された上下突部と、前記背面側筐体の一方端に設けられ、前記係合のために前記上下突部
に突設された係合突部が挿通される
上下リブに形成された係合溝部とを有し、前記導電ケーブルは、前記背面側筐体と前記前面側筐体とが係合された状態において、
前記係合溝部が形成された前記上下リブを介して前記上下突部で挟み込まれることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る表示器によれば、前面側筐体と背面側筐体とが開いた状態でその左右一方端同士を係合させ、前記係合を維持したまま閉じた状態となる方向へ前面側筐体を回動させたのちに、固定手段で固定するだけで容易に導電ケーブルとの導通が可能となり、一つ一つの表示器の取り付け状態や導通状態が異なることがないので、一定の導通状態を確保できる。また、係合手段および固定手段によって、前面側筐体と背面側筐体とを固定するので、確実な導通状態を維持することが可能となる。
【0012】
また、本発明に係る表示器において、固定手段は、前面側筐体の上下両側端にそれぞれ係止され、かつ各々上下に動作可能な一対のコ字状の係止片で、背面側筐体の上下両側端を挟むようにして、前面側筐体と背面側筐体とを固定するようにしてもよい。このようにすれば、前面側筐体の前後方向への動きが制限されるので、確実に導通状態を維持することができる。
【0013】
さらに、本発明に係る表示器において、背面側筐体には、信号伝送と電力供給を行う導電ケーブルを左右方向へ貫通させて保持することのできる導電ケーブル保持溝が形成されており、これによって、前面側筐体と背面側筐体との間に、前記導電ケーブルを挟持して保持することができるようになされ、前記前面側筐体内には、表示装置が配されると共に、該表示装置に電気的に接続された接続端子が背面側筐体の方向へ向けて突出するようにして設けられており、前面側筐体を背面側筐体に対して前記閉じた状態としたときに、前記接続端子が前記導電ケーブルに突き刺さって導通するようにしてもよい。
【0014】
また、本発明に係る表示器において、背面側筐体内には、前面側筐体と背面側筐体とを閉じた状態において接続端子の先端部を受け入れ可能な受入溝が形成され、これにより、前記閉じた状態において接続端子は導電ケーブルを貫通し、その先端部が前記受入溝に挿通されるようにすることもできる。
【0015】
さらに、本発明に係る表示器において、接続端子は、その先端部が、導電ケーブルが延設される方向に沿って幅広の板状部材からなるようにしてもよい。このようにすれば、接続端子が導電ケーブルに突き刺さり易く、かつその際に接続端子が折れ曲がってしまう可能性が低くなる。
【発明の効果】
【0016】
以上のとおり、本発明に係る表示器によれば、前面側筐体と背面側筐体とが開いた状態でその左右一方端同士を係合させ、前記係合を維持したまま閉じた状態となる方向へ前面側筐体を回動させたのちに、固定手段で固定するだけで容易に導電ケーブルとの導通が可能となり、一つ一つの表示器の取り付け状態や導通状態が異なることがないので、一定の導通状態を確保できる。また、係合手段および固定手段によって、前面側筐体と背面側筐体とを固定するので、確実な導通状態を維持することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る表示器1が設置される作業場の一例を示す図であり、ピッキング作業場において、ピッキングされる物品を保管する棚Sの各間口S1に表示器1が設置された状態を示している。この
図1に示すように、表示器1は、導電ケーブルLによって接続され、当該導電ケーブルを介して電源及び制御信号が供給されるようになされている。表示器1は、例えば
図2に示すように導電ケーブルを介して制御端末に接続され、(制御用コンピュータからの指令に基づく)制御端末の制御により、ピッキング作業の発生する間口に設置された表示器1のランプ3を点灯(発光)させて、作業者に作業の発生を知らせるとともに数量表示部4においてピッキングする物品の数量を表示して作業者にこれを知らせるものである。また、ランプ3は押釦スイッチを備えており、ランプ3の点灯した間口における作業を終了した作業者がランプ3を押すと、押釦スイッチが押下され、ランプ3が消灯するとともに、作業終了を知らせる信号が制御端末へ送信される。
【0020】
図2は、本発明に係る表示器1を含むピッキング支援システムの構成の一実施例を示したブロック図である。この
図2に示すピッキング支援システムは、制御用コンピュータC101、複数の制御端末C201〜C20n、及び複数のピッキング表示器1a1〜1ax,1b1〜1by,・・・,1n1〜1nzを備えている。
【0021】
制御用コンピュータC101と複数の制御端末C201〜C20nは、ローカル・エリア・ネットワーク(以下、「LAN」と記載する。)用ケーブルECを介して相互通信可能に接続され、LANを構成している。尚、この実施形態においては、LAN用ケーブルECとしてハブ(図示省略)に接続された10BASE−Tケーブルを用いているが、必ずしもこの形態に限られるものではなく、このLANに関しては、汎用的に用いられるLANであれば様々な形態のLANを適用することが可能であり、また当該LANは有線のものに限られず、無線であってもよく、又有線と無線を組み合わせたものであってもよい。
【0022】
制御用コンピュータC101は、一般のパーソナルコンピュータ、あるいはサーバ等のコンピュータが任意に選択されて用いられ、内部に装着されたLANアダプタ等を介してLAN用ケーブルECに接続されている。また、この制御用コンピュータC101は、所定の制御プログラムを実行することによってピッキング表示器1a1〜1ax,1b1〜1by,・・・,1n1〜1nzを制御するための制御指令等を制御端末C201〜C20nに送信すると共に、制御端末C201〜C20nからの応答を受信し、制御端末C201〜C02nの動作を制御する。尚、この制御用コンピュータC101は1台に限られるものではなく、必要に応じて複数台を用いるようにすることもできる。その場合、各制御用コンピュータには、LANにおいて各制御用コンピュータを識別・特定するためのIPアドレスが設定される。また、必要に応じてプリンタ等の他の機器をLANを介して接続するようにしてもよい。
【0023】
各制御端末C201〜C20nは、LANインターフェイス機能を有し、LANケーブルECを介して制御用コンピュータC101から送信される制御指令を受信し、当該制御指令に基づいてピッキング表示器1a1〜1ax,1b1〜1by,・・・,1n1〜1nzを制御すると共に、制御指令に対するピッキング表示器1a1〜1ax,1b1〜1by,・・・,1n1〜1nzからの応答を受信して、これを制御用コンピュータC101へ送信する。尚、各制御端末C201〜C20nには、LANにおいて各制御端末C201〜C20nを識別・特定するためのIPアドレスが設定されており、このIPアドレスを用いて制御用コンピュータC101との通信が行われる。
【0024】
制御端末C201は、2本の導電線L1a,L1bを介して複数のピッキング表示器1a1〜1axに接続され、制御用コンピュータC101から受信した制御指令等をピッキング表示器1a1〜1axが解読可能な形式に変換して各ピッキング表示器1a1〜1axに送信し、これにより各ピッキング表示器1a1〜1axの動作を制御する。また、制御端末C201は、ピッキング表示器1a1〜1axからの応答信号を制御用コンピュータC101が解読可能な形式に変換して、この応答に対応する制御指令を発信した制御用コンピュータC101へ送信する。他の制御端末C202〜C20nも上記制御端末C201と同様に構成される。
【0025】
複数のピッキング表示器1a1〜1axは、それぞれに各端末1a1〜1axを識別・特定するためのアドレスが設定されており、
図2に示すように、物品が保管される棚Sの間口S1毎に取り付けられる。各ピッキング表示器1a1〜1axは、2本の導電線L1a,L1bを介して制御端末C201から給電されると共に、制御端末C201と通信可能に接続され、制御端末C201からの指令に基づいて動作し、また当該指令に対する所定の応答を制御端末C201へ送信する。尚、他のピッキング表示器1b1〜1by,・・・,1n1〜1nzも、上記ピッキング表示器1a1〜1axと同様に構成されている。
【0026】
例えば、各ピッキング表示器1は、ピッキング対象となる物品を作業者に教示するためのランプ3及び当該物品のピッキング数量を表示する数量表示部4を備えており、自身が設置された棚に保管されている物品がピッキング対象となる場合には、制御端末の制御に従い、ランプ3が点灯するとともに数量表示部4にピッキング数量を表示する。これにより、ピッキング作業者は、多数の間口の中からピッキング対象の物品が保管された間口を容易に特定できると共に、ピッキング数量を知ることができ、作業者のピッキング作業を支援することができる。
【0027】
その後、指示された棚の間口S1からのピッキング作業を完了すると、作業者は点灯しているランプ3を押す。ランプ3を押すと、ピッキング表示器1は当該ランプ3を消灯させると共に、作業が完了したことを示す作業終了応答信号を2本の導電線を介して制御端末へ送信する。制御端末は、受信した作業終了応答信号を制御用コンピュータが解読可能な形式に変換して制御用コンピュータへ送信し、当該制御用コンピュータはピッキング作業が完了したことを検知する。したがって、作業管理者は、ピッキング作業が完了したことを即座に知ることができるので、ピッキング作業を容易に管理することができる。
次に、表示器(ピッキング表示器)1について、詳細に説明する。
【0028】
図3は、本発明に係る表示器1の一実施形態を示す斜視図であり、(a)は、導電ケーブルLに接続した状態を、(b)は、表示器1のみを示した図である。
【0029】
図3に示すように、この実施形態における表示器1は、略直方体状をした表示部本体2の前面にランプ部3と数量表示部4とを備えている。このランプ部3は、レンズ31を備えている。レンズ31は、この実施形態においてはポリカーボネートにより作製され、透光性を有するものであって、前方へ向かって先細りの略四角錐台形状となされている。このレンズ31の背面側には、自発光体(チップLED)32が配されており、
図2に示した制御端末からの点灯指令に基づいて発光するようになされている。また、レンズ31の背面側には、該レンズ31に接して押釦スイッチ33が配されており、レンズ31を押すと押釦スイッチ33が押下され、自発光体32が消灯するようになされている。また、数量表示部4は、液晶パネル41により構成され、
図2に示した制御端末からの指令に基づいてピッキングすべき物品の数量を表示するようになされている。更に、各表示器側において作業指令のキャンセルができるように、キャンセルボタン5が設けられている。
【0030】
図3に示した表示器は、
図5に示すように、背面側筐体6と前面側筐体7とに分割できる。また、前面側筐体7は、
図4に示すように、前面カバー7a、基板7b及び本体部7cに分割可能なものとなされているが、これらは予め一体とされている(この実施形態においては、前面カバー7a、基板7b及び本体部7cは複数のネジNにより予めネジ留めされて一体的に構成されている)。尚、この実施形態においては、前面カバー7a、本体部7b及び背面側筐体6は、いずれもABS樹脂により各々一体的に形成されている。また、
図4に示すように、基板7b上には自発光体(チップLED)32、押釦スイッチ33、数量表示部4の液晶パネル41、キャンセルボタン5、および図示しないがこれらを電気的に接続し動作させるための配線その他の必要な部材が配されている。
【0031】
背面側筐体6と前面側筐体7は、後述するように、背面側筐体6に設けた保持溝63に導電ケーブルLを保持させ、その状態で背面側筐体6と前面側筐体7との間に導電ケーブルLを挟むようにして一体となされる。すなわち、
図6〜
図10に示すように一体となされるものであって、先ずは導電ケーブルLを背面側筐体6に形成された導電ケーブル保持溝63に保持させ(
図6参照)、続いて
図7〜
図8に示すように背面側筐体6と前面側筐体7とを互いに開いた状態で係合手段81において係合させ(この実施形態においては、
図7の矢印Xに示すように、前面側筐体7が背面側筐体6に対して略直角の角度を成す状態で係合させ)、当該係合手段81を軸として前面側筐体7を背面側筐体6に対して回動させる(
図9の矢印Y)。これによって、前面側筐体7の背面開口部71を背面側筐体6に被せるようにして重ね合わせ、前面側筐体7と背面側筐体6とを一体化する(
図10)。更に、
図10において示すように開いた状態の固定手段82を上下から挟むようにして押圧して
図3(a)に示すような閉じた状態とし、これによって前面側筐体7を背面側筐体6にしっかりと固定できる。
【0032】
尚、この実施形態においては、導電ケーブルLとしてAS−i(Actuator Sensor Interface)ケーブルを用いている。言うまでもなく、AS−iケーブルは、世界的に普及してきているFAネットワークシステム(AS−Interfaceバスシステム)に用いられる導電ケーブルであり、絶縁材料によって被覆された2本の導電線La、Lbが平行して配され、該2本の導電線La、Lbをさらに樹脂又はゴム材料によって被覆して1本のケーブルとして形成し、このケーブルによってセンサーその他のI/Oモジュールへ電源供給と信号の伝送とを同時に行えるようにした所謂2線式の導電ケーブルである。
【0033】
背面側筐体6は、略長方形状の板状部材61の周囲に所定高さのリブ62が形成されてなるものである。背面側筐体6の前面側には、左右方向に導電ケーブルLを配して保持できる導電ケーブル保持溝63が形成されている。この導電ケーブル保持溝63は、この実施形態においてはAS−iケーブルLをその極性を間違えないように取り付け可能なように、同ケーブルLの断面形状に沿った形状の溝となされている。また、導電ケーブル保持溝63に保持された導電ケーブルLが容易に脱落しないように複数の保持爪631が形成されている。
【0034】
さらに、
図5に示す背面側筐体6の右端部には、被係合部65が形成されている。この被係合部65は、背面側筐体6の板状部材61から右方向へ突設されてなるものである。この被係合部は、背面側筐体6の長手方向、すなわち導電ケーブルLの延設方向に沿って前方に突出して延びた、上下2条の相対向する上下リブ65a、65bを備えている。上下リブ65a、65bの外側、すなわち上側リブ65aの上面及び下側リブ65bの下面には、後述する係合部75の係合突部751、751が係合される係合溝部651、651が形成されている。この係合溝部651は、
図5、
図13及び
図14に示すように、後述する係合突部751を挿通可能な凹溝となされ、その前面端は、前面側から背面方向へ真っ直ぐに係合突部751を挿通可能な導入溝部651aが形成され、導入溝部651aから奥へは、右方(即ち背面側筐体6の右端部方向)へ円弧状にカーブする円弧形状溝部651bが形成されている。これを
図14(a)に示す断面図で見ると、係合溝部651は略L字状であって、その導入溝部651aを除いた部分、すなわち円弧形状溝部651bは、その外周部が円弧形状となされている(尚、この円弧形状溝部651bは、
図14に示すように、略半円の右端部側を一部切り欠いた形状となされている)。
【0035】
また、背面側筐体6には、複数箇所のネジ孔69が形成されている。これにより、背面側筐体6を棚Sの所定位置にネジNによりネジ留めして固定することができるようになされている。
【0036】
前面側筐体7は、上述のとおり、前面カバー7a、基板7b及び本体部7cをネジ留めによって予め一体としたものであり、
図6に示すように、その背面側が大きく開口して背面開口部(凹部)71が形成され、この凹部71を背面側筐体6に被せるようにして、背面側筐体6に取り付けられるものである。前面側筐体7は、その正面視で右側端部が一部切り欠かれて略コ字状となされ、背面側筐体6の被係合部65に係合させるための係合部75が形成されている。
【0037】
係合部75は、上下突部75a、75bの相対向する面にそれぞれ突設された係合突部751、751を備えている。係合突部751は、係合溝部651に挿通可能な高さ寸法を備え、
図14に示すように、その断面形状が半円を一部切り欠いたような、より詳しくは、半円形状の突部の右端部を、半円の直線部と垂直な線上で切り欠いた形状となされている。また、係合突部751の断面円弧形状は、係合溝部651の円弧形状に沿った形状となされている。これにより、
図7(矢印X)及び
図14(a)〜(b)に示すように係合突部751を係合溝部651の導入溝部651aから挿通させるようにして係合突部751と係合溝部651を係合させ、
図9(矢印Y)及び
図14(c)に示すように係合部75及び被係合部65を回動軸として前面側筐体7を背面側筐体6に対して閉じる方向(重なる方向)へ回動させると、係合突部751の円弧形状部751aが係合溝部651の円弧形状部651bに摺動するようにして、係合突部751は係合溝部651の奥方へ導かれる。そして、前面側筐体7を背面側筐体6に対して閉じた状態、即ち前面側筐体7と背面側筐体6とを完全に重ね合わせた状態にすると、
図14(d)に示すように、係合突部751が係合溝部651の最奥部(即ち円弧形状部651b)に収まるようになされている。
【0038】
尚、係合突部751と係合溝部651とを本実施形態のような形状、特に係合突部751を4分の1(中心角90度)の円弧形状ではなく、更に大きくすることで、前面側筐体7を背面側筐体6に対して略直角をなす状態にしなければ、前面側筐体7を背面側筐体6に対して着脱できないようになされている。それゆえ、
図14(c)に示すように、係合突部751と係合溝部651とを係合させて前面側筐体7を背面側筐体6に対して少し回動させた状態では、係合突部751が係合溝部651の縁部に引っ掛かって、前面側筐体7を前方に引き抜くことが出来ない。したがって、この状態で、取り付け作業者がいったん前面側筐体7から手を離したとしても、前面側筐体7が容易に背面側筐体6から脱落することがなく、作業の安全が確保できるようになされている。また、無論、前面側筐体7を背面側筐体6に対して完全に重ね合わせた「閉じた状態」としたときにも、係合突部751と係合溝部651との係合は外れないようになされている。
【0039】
さらに、前面側筐体7の背面からは、基板7b上に配された自発光体(チップLED)32、押釦スイッチ33、数量表示部4の液晶パネル41等と電気的に接続された2本の接続端子77a、77bが突出するように配されている。この2本の接続端子77a、77bは、前面側筐体7を背面側筐体6に対して閉じた状態としたときに、
図11に示すように、導電ケーブルLの各導電線La、Lbに突き刺さって導通する位置に配されている。この実施形態においては、接続端子77a、77bは、ステンレスの板状部材により形成されており、導電ケーブルLの延設方向、かつ前面側筐体7を背面側筐体6に対して閉じる方向、即ち
図7におけるZ方向に沿って幅広となされ、また先端部に向かって先細りの形状となされている。これにより、接続端子77a、77bは導電ケーブルLに対してストレスが少ない状態で突き刺さるので、確実に導通状態が確保でき、また接続端子77a、77bが折れ曲がったり破損したりする恐れが非常に小さくなる。
【0040】
尚、
図11に示すように、前面側筐体7を背面側筐体6に対して閉じた状態としたとき、接続端子77a、77bの先端部は、導電ケーブルLを貫通してその背面側に突出するようになされている。また、背面側筐体6には、前記貫通した接続端子77a、77bの先端部を受け入れ可能な端子受入溝67が形成されている。これにより、安定的な導通状態が確保でき、また接続端子77a、77bが破損しない世になされている。
【0041】
また、この実施形態においては、背面側筐体6の上下両側壁(リブ)62は、所定の高さ寸法を備えると共に導電ケーブルLの延設方向に沿って平行して延びるものであって、また前面側筐体7の背面開口部71における内側の上下両側壁71a、71bは、同じく導電ケーブルLの延設方向に沿って平行して延びるものである。また、背面側筐体6の上下高さ寸法(
図8におけるp)は、前面側筐体7の背面開口部71の高さ寸法(
図8におけるq)とほぼ同じ寸法(背面側筐体6の上下高さ寸法pが、前面側筐体7の背面開口部の高さ寸法qよりも僅かに小さい寸法)となされている。これにより、背面側筐体6の上下両側壁62a、62bと前面側筐体7の背面開口部71における内側の上下両側壁71a、71bとが、背面側筐体6に対して前面側筐体7に対して閉じる際(係合部75及び被係合部65を回動軸として回動させて一体化する際)のガイドとなるので、前面側筐体7を上下にズレることなく回動することができ、よって、接続端子77a、77bを確実に導電ケーブルLの導電線La、Lbに突き刺し導通させることが可能となる。
【0042】
次に、最終的に前面側筐体7を背面側筐体6にしっかりと固定するための固定手段82について、図面に基づき説明する。
図12(b)は、
図10におけるC−C線断面を示す図であって、固定手段82を解除した状態を示す図である。固定手段82は、主に前面側筐体7に設けられた断面コ字状の固定用係止具78からなるものである。固定用係止具78は、前面側筐体7における係合部75とは左右反対側(左側)に設けられており、前面側筐体7の上下両端に各1つずつ設けられている。各固定用係止具78は、その前面側片(基端部側)781が前面側筐体7の本体部7cと前面カバー7aとの間に挟持されるようにして配され、それぞれ上下にスライドして動作させることが可能であって、これにより、前面側筐体7の上下端面から出没自在となされている。
【0043】
前面側筐体7を背面側筐体6に取り付ける際には、
図12(b)に示すように上下の固定用係止具78をそれぞれ上方及び下方に突出させた状態(固定解除状態、あるいは開いた状態)とし、前面側筐体7を背面側筐体6に対して取り付け、重ね合わせて一体とした状態で、上下の固定用係止具78をそれぞれ下方および上方へスライドさせて、上側の固定用係止具78の上端面及び下側の固定用係止具78の下端面が、それぞれ前面側筐体7の上下側壁面と面一になるようにしてしっかりと固定する(固定状態、あるいは閉じた状態)。
【0044】
このとき、上下の固定用係止具78、78が背面側筐体6を上下から挟持するようになされ、また、固定用係止具78の背面側片(先端部)782の内側面が、背面側筐体6の背面側の被係止部68に係止するようになされている。尚、この固定用係止具78の背面側片782の内側面には、背面側筐体6の被係止部68に形成された係止突部681を受入可能な係止用溝782aが形成されており、上記固定状態が容易に解除されないようになされている。
【0045】
また、固定用係止具78の前面側片781の前面には、前面側筐体7の本体部背面に突出して形成された係止突起791に、上記固定状態(閉じた状態)において嵌合する係止突起嵌合凹部781aが形成されている。これにより、いったん固定状態とすれば、容易にこの固定状態が解除されないので、背面側筐体6に前面側筐体7にしっかりと固定した状態が維持される。
【0046】
尚、前面側筐体7側に設けられた係止突起791は、固定用係止具78を開いた状態としたときに、固定用係止具78の一部に係止して、容易に閉じた状態とならないようになされている。この実施形態においては、上側の固定用係止具78の前面側片781の下端部781mおよび下側の固定用係止具78の前面側片781の上端部781nに係止するようになされている。これにより、上下の固定用係止具78を開いた状態(上下の固定用係止具78を前面側筐体7の上下端面からそれぞれ上方及び下方に突出させた状態)で、固定用係止具78に手を添えなくとも前記開いた状態を維持できるので、背面側筐体6への前面側筐体7の取り付け作業が容易となる。
【0047】
また、上下の固定用係止具78の前面側片781の基端部(上側の固定用係止具78の前面側片781の下端部781m、及び下側の固定用係止具78の前面側片781の上端部781n)には、それぞれ背面方向へ延びるストッパー部781c、781dが形成され、固定用係止具78を開いた状態としたときに、ストッパー部781c、781dが本体部の一部に係合して、固定用係止具78が前面側筐体7から抜け落ちないようになされている。
【0048】
以上のような構成を備えた本実施形態における表示器1の取り付け方法を改めて説明すると、先ず、背面側筐体6を物品が保管される棚Sの各間口S1に対応した所定位置に取り付ける(
図6)。尚、この実施形態においては、ネジ留めにより取り付けるようにしているが、これに限られず、例えば接着剤や両面テープ、その他任意の手段により取り付けることができる。
【0049】
次に、棚Sに取り付けた背面側筐体6の導電ケーブル保持部63に、導電ケーブル(AS−iケーブル)Lを配し、保持させる(
図6)。その上で、背面側筐体6の被係合部65に対して、前面側筐体7の係合部75を係合させる。より具体的には、前面側筐体7が背面側筐体6に対して略直角をなすようにして、係合部75の係合突部751を被係合部65の係合溝部651へ押し込むように挿通させて係合させる(
図6〜
図7)。このとき、前面側筐体7の背面に設けた2つの接続端子77a、77bは、それぞれ導電ケーブルLの導電線La、Lbに突き刺さって、各導電線La、Lbに導通する(
図11)。
【0050】
更に、この係合部75及び被係合部65を軸として、前面側筐体7を回動させ、前面側筐体7の背面開口部を背面側筐体6に被せるようにして重ね合わせて、両者が一体になるようにする(
図9〜
図10)。そして最後に、固定手段82(すなわち、固定係止具78、78)を上下から挟むように押圧して閉じた状態とし、これにより前面側筐体7を背面側筐体6にしっかりと固定する。
【0051】
以上のとおり、具体的な実施形態を示して本発明に係る表示器を説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々に形態等を変更することが可能なものである。すなわち、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定され、また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれるものである。