(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ユーザインタフェースは、前記選択された針の患者端を前記装置の外側に露出させ、前記選択された針の非患者端を前記薬物容器と流体的に接続して、前記選択された針を再び覆うために前記固定マウントに対して軸方向に摺動可能であり、前記選択された針の前記患者端と前記非患者端は流体的に接続されることを特徴とする請求項2に記載の装置。
前記ユーザインタフェースの前記薬物送達デバイスの方への近位軸方向変位によって、前記選択された針の患者端が前記装置の外側に露出し、前記選択された針の非患者端が前記薬物容器と流体的に接続し、前記ロックリングが前記選択された針に対して変位し、前記下部傾斜部の上にある前記足が、前記上部停止部に隣接する位置に変位し、それによって前記ユーザインタフェースの遠位軸方向変位が防止され、
その後で前記第2のユーザインタフェースの半径方向内向きの変位によって、前記足が、前記上部停止部に隣接する前記位置から前記上部傾斜部に隣接する位置に変位し、それによって前記ユーザインタフェースの遠位軸方向変位が可能になり、それにより前記選択された針が前記装置で再び覆われることを特徴とする請求項9に記載の装置。
前記選択された針に対する前記ロックリングの前記変位によって、前記選択された針を再び覆った後の前記ロックリングと前記固定ポストの前記ロック機能との係合が防止され、それによって、別の針を選択するための前記ユーザインタフェースの回転を可能にすることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下において、本発明の実施形態を詳細に説明し、その例を添付の図面に示す。同様の参照番号は、図面を通して同じ要素を示す。本明細書で説明する実施形態は、図面を参照することによって本発明を例示するが、本発明を限定するものではない。当業者には理解されるように、上、下、底部、および頂部などの用語は相対的であり、説明を助けるために用いられているが、限定的ではない。
【0019】
図3は、本発明の一実施形態による針交換デバイス100の斜視図である。
図28に示すように、使用者は、たとえばペン型注入器50を交換デバイス100にねじ込むことによって、
ペン型注入器50と交換デバイス100を結合する。簡略化するため、以下では、「針交換デバイス100」の代わりに「交換デバイス100」という用語を使用する。
図3に示すように、交換デバイス100は、ユーザダイヤルまたはユーザインタフェース104と、キャップ窓112を含むキャップ108と、針カウンタ116と、ユーザボタンまたは第2のユーザインタフェース120と、内側トラックまたは内側ハウジングまたは底部ハウジング124とを含む。
【0020】
図4は、ユーザダイヤル104の斜視図である。ユーザダイヤル104は、使用者が握るユーザインタフェース部分126を含む。ユーザダイヤル104は、その頂面から伸長する複数のボス128と、ユーザダイヤル104の頂部から内側に伸長する複数の片持ち(cantilevered)係合アーム132も含む。加えて、ユーザダイヤル104は、ユーザダイヤル104の内表面のまわりに径方向に配列された複数の内部係合構造または丸い軸方向溝136を含む。
【0021】
図5は、キャップ108の斜視図である。キャップ108は、次の未使用針の番号を表す針カウンタ116の番号を示すためのキャップ窓112を含む。本発明のこの実施形態では、針の番号に関して数が増えるように示されているが、この番号が、本発明の範囲から逸脱することなく、残っている未使用針の番号を逆に数えてもよいことは、当業者には理解されよう。
【0022】
図6は、交換デバイス100内に回転可能に配置された針カウンタ116の斜視図である。針カウンタ116は、次の未使用針の番号を識別するための複数の識別番号140と、針カウンタ116のまわりに径方向に配列され、そこから外側に伸長する複数の指または歯144とを含む。
【0023】
図7は、ユーザボタン120の斜視図である。
図7に示すように、ユーザボタン120は、使用者とインタフェースするための使用者押圧部分(user pressing portion)148を含む。ユーザボタン120は、使用者がユーザボタン120を押下したときに針カウンタ116を回転させるように歯144と係合するための歯との係合部分(tooth engaging portion)152も含む。以下により詳細に説明するように、ユーザボタン120は、その遠位端に配置された足160を有する片持ち摺動部材156をさらに含む。
【0024】
図8は、交換デバイス100のラチェットトップ164の斜視図である。ラチェットトップ164は、交換デバイス100内に配置され、ユーザダイヤル104の係合アーム132と選択的に係合するための複数のギア歯168を含む。使用者がユーザダイヤル104を回転させると、片持ち係合アーム132はギア歯168から離れ、隣接するギア歯168と係合する。一実施形態によれば、ギア歯168および係合アーム132は、ユーザダイヤル104が一方向にのみ回転できるように成形される。
【0025】
図9は、交換デバイス100の固定マウント部材または固定マウント172の斜視図である。以下により詳細に説明するように、固定マウント部材172は、ユーザボタン120の摺動部材156と相互作用するための摺動案内体176を含む。
【0026】
図10は迷路または迷路部材または案内部材178の斜視図であり、
図11は、迷路部材178の
上面図である。迷路部材178は、ガイド壁180と、片持ち針スナップアーム184とを含む。
図11に示すように、針スナップアーム184は入れ子部分(nesting portion)188を含む。一実施形態によれば、入れ子部分188は丸い軸方向溝を備える。
【0027】
図12は、内側トラック124の斜視図である。組み立てる際、以下により詳細に説明するように、迷路部材178および固定マウント172は、内側トラック124内に配置される。
【0028】
図13は、交換デバイス100の針ホルダまたは帯または弾薬帯(bandolier)192の斜視図である。以下により詳細に説明するように、針ホルダ192は可撓性の帯であり、患者用の針200を保持するための複数の上部針ガイド196および下部針ガイド198を有する。
【0029】
図14は、交換デバイス100の患者用の針または針200の斜視図である。
図14に示すように、針200は、ペン型注入器たとえばペン型注入器50のカートリッジ隔壁16を穿通するための非患者端または隔壁端204を有する。他のペン型注入器を使用できることは当業者には理解されようが、簡略化するため、以下では、ペン型注入器50を例示的なペン型注入器として使用する。針200は患者端208も有する。隔壁端204は、患者端208と流体連通する。以下により詳細に説明するように、針200は、ハブ212と、リフティングハブ216も含む。
【0030】
図15は、交換デバイス100のロックリングまたは針ドーナツ(needle donut)220の斜視図である。
図15に示すように、ロックリング220は、針200を収めるための、それを通る軸方向穴を有する。
【0031】
図16は、交換デバイス100の無菌バリア224の斜視図である。一実施形態によれば、以下により詳細に説明するように、無菌バリア224は、針200の隔壁端204上に配置される。別の実施形態によれば、無菌バリア224は、針200の隔壁端204と患者端208の両方の上に配置される。
【0032】
図17は、交換デバイス100の分解斜視図である。ここで、
図17〜
図27を参照して、交換デバイス100の組み立ての方法について説明する。最初に、複数のハブ212のそれぞれの基部がそれぞれの下部針ガイド198と接触するまで、針200を針ホルダ192の針ガイド196および198に挿入する(
図18)。その後で、ロックリング220を針200の隔壁端204の上に挿入して、それぞれの上部針ガイド196と接触させ、無菌バリア224を針200の隔壁端204と患者端208の両方の上に挿入する(
図19)。
【0033】
次に、組み立て者(assembler)が、たとえば内側トラック124と迷路部材178を合わせて嵌めることによって、内側トラック124と迷路部材178を結合する(
図20)。次いで、組み立て者は、(迂遠なループ状に形成された)針ホルダ192を内側トラック124および迷路部材178のアセンブリ上に摺動させる(
図21)。
【0034】
その後、組み立て者は、固定マウント172を迷路部材178に挿入し(
図22)、たとえば嵌めることによって、ラチェットトップ164をアセンブリ上に取り付ける(
図23)。次いで、組み立て者は、ユーザダイヤル104をアセンブリ上に置く(
図24)。次に、組み立て者は、針カウンタ116をキャップ108内に置き(
図25)、ユーザボタン120をキャップアセンブリ内に摺動させる(
図26)。最後に、組み立て者は、キャップアセンブリを取り付け、交換デバイス100を完成させる(
図27)。
【0035】
次に、交換デバイス100の操作の概要について、
図28〜
図34を参照して説明する。
図28に示すように、使用者は、たとえばペン型注入器50を交換デバイス100にねじ込むことによって、ペン型注入器50と交換デバイス100を結合する。次に、使用者は、次の未使用針200を選択するためにユーザダイヤル104を回転させる(
図29)。ユーザダイヤル104を回転させると、ユーザボタン120が交換デバイス100から径方向に伸長する(
図30)。次いで、使用者は、ユーザダイヤル104をペン型注入器50の方へ軸方向に摺動させ、患者用の針200の隔壁端204にペン型注入器50のカートリッジ隔壁16を穿通させ、患者用の針200の患者端208およびその上に配置された無菌バリア224を露出させる(
図31)。
【0036】
その後で、例示的実施形態によれば、使用者は、たとえば無菌バリア224を患者用の針200から摺動させることによって、患者用の針200から無菌バリア224を取り外す(
図32)。これで、デバイスは使用者が薬物を注射する準備が整ったことになる。注射の後で、以下により詳細に説明するように、使用者は、ユーザボタン120を押下し(
図33)、それによって、針カウンタ116を進める。一実施形態によれば、使用者は次に、ユーザダイヤル104を軸方向に摺動させてペン型注入器から遠ざけ、針200を再び覆う。別の例示的実施形態(図示せず)によれば、ユーザボタン120を押下すると、ユーザダイヤル104を軸方向に移動させてペン型注入器50から遠ざける、ばね付勢された復帰機構が作動され、針200が再び覆われる。ユーザダイヤル104がその下り行程を完了し、軸方向に移動してペン型注入器50から遠ざかると、交換デバイス100は、使用者がユーザダイヤル104を再び回転させて次の未使用針200を選択する準備が整う(
図34)。
【0037】
より詳細には、
図35に示すように、ユーザダイヤル104の一体的な係合構造または軸方向溝136は、内側トラック124の壁228の径方向に最も外側の部分に配置された針ホルダ192内の針200に対応する、上部針ガイド196、下部針ガイド198、およびロックリング220の径方向に最も外側の表面と係合する。使用者がユーザダイヤル104を回転させると(
図29)、上部針ガイド196、下部針ガイド198、およびロックリング220が軸方向溝136と係合するので、針ホルダ192は、内側トラック124、迷路178、および固定マウント172の間の迂回経路に沿って前進する。図示のこの実施形態では、使用者は、ユーザダイヤル104を、したがって針ホルダ192の最も外側の部分を、矢印Aが示す方向に回転させる。しかし、使用者が本発明の範囲から逸脱することなくユーザダイヤル104を反対方向に回転できることは、当業者には理解されよう。ユーザボタン120を、ラチェットトップ164に対するラチェット−インタフェースと組み合わせることにより、使用者が使用済みの針を再使用することが防止される。
【0038】
図35に示された状態では、ユーザダイヤル104の次の回転時に、針200Aは、壁228の開口を通過して、内側トラック124の壁228と迷路178の間に入る。同様に、
図35で迷路178と壁228の間に配置されている針200Bは、壁228の開口を通過して、壁228の径方向外側の位置に至る。加えて、ユーザダイヤル104の次の回転時に、軸方向溝136Aは、
針200Bが壁228の開口を通過すると針200Aから離れ、
針200Bが壁228の開口を通過して
図35の136Bとして図示される位置で停止すると針200Bと係合する。
【0039】
ユーザダイヤル104を回転させる(さらに、それに対応して針ホルダ192がその迂回経路に沿って前進する)と、次の未使用針200が、交換デバイス100のほぼ中央の「選択」位置に移動する。
図35に示すように、針200が選択位置に移動すると、上部針ガイド196および下部針ガイド198は、針スナップアーム184と係合する。より具体的には、上部針ガイド196および下部針ガイド198は、針スナップアーム184の入れ子部分188と係合する。加えて、針
200が選択位置または作動位置に移動すると、ロックリング220が固定マウント172のロック機能(lock feature)232と係合する。一実施形態によれば、ロック機能232は、単一ユニットとして固定マウント172と一体的に形成される。別の実施形態によれば、ロック機能232は、固定マウント172に挿入された要素の一部である。上部針ガイド196および下部針ガイド198の入れ子部分188との係合ならびにロックリング220のロック機能232との係合によって、「選択された」針200が、(以下により詳細に説明する)内側トラック124の開口と、さらにカートリッジ隔壁16と軸方向に位置合わせすることができる。
【0040】
次の未使用針200を選択することに加えて、前述のように、ユーザダイヤル104が回転することによっても、ユーザボタン120が交換デバイス100から径方向に伸長する。
図36は交換デバイス100の斜視図であるが、例示を目的としていくつかの要素が省かれている。たとえば、ユーザボタン120に関しては底部部分のみが
図36に示されている。図示のように、ユーザボタン120の底部部分は、傾斜部分236を含む。
図36に示すように、使用者がユーザダイヤル104を回転させると、その頂面にあるボス128のうちの1つが傾斜部分236と係合し、
ユーザボタン120を径方向外側に強制的に押し出す。
図36は、加えて、どのようにしてユーザダイヤル104の係合アーム132がラチェットトップ164のギア歯168と順次係合してユーザダイヤル104の後方回転を防止するかを示す。
【0041】
図37は交換デバイス100の部分斜視図であり、
図38〜
図41は、交換デバイス100の操作中のユーザボタン120と摺動案内体176の相互作用を示す部分斜視図である。
図38は、「走行(transport)」状態または「消費済み(expended)」状態の交換デバイス100を示す。
図38〜
図41では、ユーザボタン120の大半が省かれている。摺動部材156に関しては足160のみが示されている。走行状態では、足160は、摺動案内体176の下部停止部分240(
図41に最も良く示されている)の下に配置される。使用者がユーザダイヤル104を回転させてユーザボタン120が径方向外側に動くと、
図39に示すように、足160は、下部停止部分240の下から、下部傾斜部分244に隣接する位置に移動する(
図40および
図41に最も良く示されている)。
【0042】
使用者がユーザダイヤル104を近位方向に、またはペン型注入器50の方へ軸方向に、摺動させると、足160は、
図40に示すように、下部傾斜部分244から上へ進み、摺動案内体176の端から端まで移動して、上部停止部分248の上の位置に至る。次に、使用者がユーザボタン120を押下すると、足160は、
図41に示す上部停止部分248の上から、上部傾斜部分252に隣接する位置まで移動する。その後で、使用者(および/またはばね)が、行程を完了するためにユーザダイヤル104を軸方向に摺動させてペン型注入器50から遠ざかると、足160は、上部傾斜部分252から上へ摺動し、摺動案内体176の端から端まで移動して、
図38に示される下部停止部分240の下にある走行位置に戻る。
【0043】
図42〜
図44は、ペン型注入器50の方へのユーザダイヤル104の軸方向移動中の針スナップアーム184、針200、およびカートリッジ隔壁16の相互作用を示す交換デバイス100の切欠斜視図である。
図42に示すように、使用者がユーザダイヤル104をペン型注入器50の方へ軸方向に移動させると、患者端208が内側トラック124の動きにより内側トラック124の開口256を通して露出されるので、針200はほぼ静止した状態を保つ。加えて、針スナップアーム184は、針ホルダ192およびロックリング220をペン型注入器50の方へ軸方向に持ち上げ、針ホルダ192およびロックリング220をハブ212に対して上方に摺動させる。
【0044】
その後で、
図43に示すように、開口256の傾斜した部分がリフティングハブ216と接触し、針200をペン型注入器50の方へ軸方向に持ち上げ始め、その結果、針200の隔壁端204上の無菌バリア224が隔壁カートリッジ16と接触する。次いで、
図44に示すように、開口256の傾斜した部分は、ユーザダイヤル104がその行程の最も上の点に達するまでリフティングハブ216を介して針200を持ち上げ続け、その時点で、選択された針200の隔壁端204は、無菌バリア224およびカートリッジ隔壁16の頂部を穿通し、カートリッジ12の薬物を連通させる。この時点で、以前に説明したように、使用者は、針200の患者端208上の無菌バリアを取り外し、ペン型注入器50を使用して、選択された針200を通して薬物を注射する。
【0045】
その後で、
図45に示すように、使用者がユーザボタン120を押下すると、ユーザボタン120の歯との係合部分152は、針カウンタ116の複数の歯144のうちの1つと係合し、針カウンタ116を進め、その結果、次の識別番号がキャップ108の窓112から視認できる。加えて、前述のように、使用者がユーザボタン120を押下すると、足160が、上部停止部分248の上から、上部傾斜部分252に隣接する位置まで移動し、それによって、使用者は次に、ユーザダイヤル104を遠位方向に摺動させるか、または軸方向に摺動させてペン型注入器50から遠ざかることができる。
【0046】
図46に示すように、使用者(および/またはばね)がユーザダイヤル104を完全に移動させてペン型注入器50から遠ざけた後、ロックリング220は、ロック機能232と係合しなくなり、したがって使用者はユーザダイヤル104を回転させて次の未使用針200を選択することができる。
【0047】
図47は、本発明の別の実施形態による交換デバイス280の斜視図である。交換デバイス100では、針200は、その迂回経路を通じて交換デバイス100の長手方向の一次軸(primary longitudinal axis)と略平行な状態を維持する。しかし、対照的に、交換デバイス280の底部には、内向きの角度が付けられている。したがって、針ホルダ192の迂回経路全体における交換デバイス280の長手方向の一次軸と略平行な残りの部分とは異なり、針200が壁228を径方向外側に通過するとき、針200は、交換デバイス280の内向きにテーパが付いている外面と略平行である。しかし、針200が壁228の内部に達すると、次に、交換デバイス100と同様に、針は交換デバイス280の長手方向の一次軸と略平行である。
【0048】
図48は、本発明の別の実施形態による交換デバイス284の斜視図である。
図48に示すように、交換デバイス284は、ばね付勢された針シールド288を含む。針シールド288は、使用者がユーザダイヤル104をペン型注入器50の方へ軸方向に移動させるときに展開し、患者が針に触れないように保護し、針シールド288が押下されて交換デバイス284内に戻るまで薬物が針200から流れるのを防止する。針シールド288を押下してデバイス内に戻らせることによって、交換デバイス100が自動的にその開始状態にリセットされる。この例示的実施形態では、使用者が実施するステップの数が減少し、患者の好ましい使用経験(experience)を実現する。
【0049】
図49は、本発明の別の実施形態による交換デバイス292の部分斜視図である。
図49に示すように、軸方向溝136とは異なり、交換デバイス292は、ピニオンギア296および円周方向のラック298を用いて針ホルダ192を前進させる。
【0050】
図50〜
図52は、針ホルダの代替的実施形態を示す部分平面図である。
図50に示される実施形態では、針ホルダ300は、針が中央部分を去るまで、針が、選択位置を中心とする中央部分に入ろうとすると緊張状態に保持される。中央部分の外側では、針ホルダ300は張力がかけられず、自由に浮遊することができる。この実施形態は、所与の空間に多数の針を収容するように設計される。
【0051】
図51では、2つの完全な別個の針ホルダ304および308はほぼ同じ経路をたどり、ほぼ同じピッチ(針ホルダに沿った針の間の距離)を有する。ただし、別個の針ホルダ304および308は、交互に針を選択位置に次に前進させる。
【0052】
図52に示すように、針ホルダ312は、ダミーハブ316によって中央部分を通して緊張状態に保持される。
図52では、針200はすべて未使用である。
【0053】
図53は、針200の患者端208のための代替の無菌バリア(または下部無菌バリア)320の斜視図である。
図54〜
図59は、下部無菌バリア320の製造工程の斜視図である。しかし、下部無菌バリア320は連続したパーツとして製造される。言い換えれば、針200のための
無菌バリア320は、連続的に接続される。しかし、分かりやすくするため、単一の下部無菌バリア320のみを示す。
図54に示すように、紙324は、針ホルダ192に接続された針200の両側に置かれる。
図55に示される操作では、針200に対する上部バリア328はハブ212で封止され、下部バリア332は針200の下で封止される。
図56は、
図55で示される操作の側面図を示す。その後で、
図57および
図58に示すように、紙324の下部部分は上向きに折り畳まれ、針ホルダ192に付着される。
図58は、
図57で示される操作の側面図を示す。最後に、
図59に示すように、開口縁部が付着されて閉じられる。
【0054】
図60は、下部無菌バリア320の取り外しを示す。使用者がユーザダイヤル104を
ペン型注入器50の方へ軸方向に移動させると、
針ホルダ192がペン型注入器50の
方へ軸方向に移動されて針200が静止状態を維持するので、紙324は上向きに剥離さ
れ、下部バリアまたは付着部(bond)332を破って針200の患者端208を露出
させる。
【0055】
図61〜
図87は、さらなる代替の無菌バリアを示す図である。
図61および
図62は、爪楊枝の包装紙と同様に、針200がそれぞれ個別に紙バリアに格納される無菌バリア336を示す。
【0056】
図63〜
図67は、針200がそれぞれ紙片の間に含まれる無菌バリア340を示す。これらの実施形態では、針200が回転して選択位置に入って紙片を分けるために急な曲線を利用する(
図63)。一実施形態(
図65)によれば、巻き取り歯車(take−up wheel)344は、紙片の2つの部分のうち1つのみを巻き取る。別の実施形態によれば、巻き取り歯車348および352は、紙片の両方の部分を巻き取る(
図66)。さらに別の実施形態によれば、細片のどちらも巻き取られず、その代わりに、急な曲線で分けられるに過ぎない(
図64)。さらに別の実施形態(
図67)によれば、針ホルダ192が急な曲線を回ると、2つの別個のトラックが2つの細片のために作成される。これによって、針200が、選択位置で細片から解放される。次に、針200が選択位置から出ると、トラックは、紙片に針200を再び被覆させる。この実施形態では、細片は、接着剤によって一体に保持され得て、したがって針200が選択位置から出ると紙片が針200を再び被覆する場合、接着剤は紙片を再び結合する。
【0057】
図68〜
図70は、3つの折り畳み可能な無菌バリアを示す。
図68に示すように、剛性の嵌合するカップ(inter−fitting cup)356および360は、針200の隔壁端204および患者端208を被覆する。使用者がユーザダイヤル104をペン型注入器50の方へ軸方向に移動させると、嵌合するカップ356および360は互いに押圧され、針200の隔壁端および患者端によってそれぞれ穿通される。一実施形態によれば、嵌合するカップ356および360はプラスチックで作製される。同様に、
図69および
図70はそれぞれ、使用者がユーザダイヤル104をペン型注入器50の方へ軸方向に移動させると圧壊する無菌バリア364および368を示す。
【0058】
図71および
図72は、針の係合中に分解する剛性の無菌バリア370を示す。分解は、剛性のより高い物体による無菌バリア370の頂部または底部の軸方向の貫通によって達成することができる。あるいは、無菌バリア370は、無菌バリアのハブを側方に(両面から)圧縮することによって分解することができ、その結果、剛性のバリアを分解させる。無菌バリア370は、針200の
隔壁端204および
患者端208を両方とも被覆する。対照的に、
図73および
図74に示される剛性の無菌バリア374は、針200の
患者端208のみを被覆する。一実施形態によれば、無菌バリア370および374はプラスチックで作製される。一実施形態によれば、無菌バリア370および374は、たとえば、一体ヒンジを介して針ハブを有する単一ユニットとして一体的に形成され、針がデバイス100から伸長すると分解される。
【0059】
図75および
図76は、ハブ384に接続され、それぞれ針200の
隔壁端204および
患者端208を被覆する可撓性の(エラストマーの)ドーム376および380を示す。一実施形態によれば、ドーム376および380は、たとえば一体ヒンジによってハブ384に接続される。
図76に示すように、ドーム376および380は、係合中に針ハブ384に圧壊する。一実施形態によれば、ドーム376および380は折り畳み可能であるが、着脱可能ではない。一実施形態によれば、ドーム376および380は、自身の上で内側に上下反転し、上下反転したままでいる。上下反転中に、針200はバリアを突き破る。
【0060】
図77および
図78は、中空コアのキャップ388および392を示す。
図78に示すように、中空コアのキャップは、係合中に針ハブ396に圧壊する。一実施形態によれば、ハブの形状は、それぞれのキャップ388および392の穿通された端を過ぎた、針200の延長された長さを制限するために、キャップ388および392に対応する。
【0061】
図79〜
図81は、無菌バリア400が、内側トラック124の底床部に配置された剛性ブレード404によって剥がされた実施形態を示す。
図80に示すように、側面バリア408および412は蛇行経路バリアである。さらに、これらの蛇行経路バリア408および412は、組み立て中の無菌バリア400の収納場所の位置合わせを維持するのに役立つ。
図81に示すように、ユーザダイヤル104がペン型注入器50の方へ軸方向に移動されるとき、剛性ブレード404は無菌バリア400を剥がす。
【0062】
図82は、ハブ212の下部部分に接続する剛性の下部無菌バリア416を示す。無菌バリア416は、針200の患者端208と接触しない。操作では、使用者は、薬物の送達の前に内側トラック124の床部の開口から無菌バリア416を引き出すだけである。
【0063】
図83および
図84は、接着剤428を介してハブ424に接続された剛性の上部無菌バリア420を示す。針200がペン型注入器50の方へ軸方向に進められると、無菌バリア420がハブ424を滑り落ちるので、隔壁端204は、無菌バリア420およびカートリッジ隔壁16を穿通する。
【0064】
図67の実施形態と同様に、
図85は、針ホルダ192の針200が、選択位置に移動する前に無菌バリア432から解放される、無菌バリア432を示す。選択位置から移動した後に、針200は無菌バリア432を再結合する。
【0065】
図86および
図87に示すように、無菌バリア436(その遠位端が開いている)は内側トラック124の床部に沿って載る。しかし、
図87に示すように、選択位置に、内側トラック124の床部の開口440があり、それによって、患者端208を露出させることを可能にする。
【0066】
図88は、交換デバイス100のための別の代替の無菌バリア436の断面における部分斜視図である。分かりやすくするため、単一の針200のみの患者端が示されている。無菌バリア436は、患者の一部分ならびに針200、イントロデューサ440、およびブーツ(boot)444のまわりに配置された下部針ハブ438を含む。下部針ハブ438は、イントロデューサ440上の対応する円周方向の突起452と選択的に係合する少なくとも1つの円周方向の凹部448を含む。イントロデューサ440は、肩456と、斜めの遠位切断先端またはたがね460も有する。
【0067】
図88に示すように、内側トラック124の床部は、それを通る開口256を有する。一実施形態によれば、開口256は、内側トラック124の中心軸に実質的に配置される。
【0068】
図88の操作の途中に示されるように、針200が内側トラック124に対して遠位方向に変位されると、円周方向の突起452と円周方向の凹部448の間の摩擦係合ならびにイントロデューサ440とブーツ444の間の摩擦係合が生じるために、ブーツ444が内側トラック124の床部と接触するまで、無菌バリア436は針200と共に進む。
【0069】
針200が内側トラック124に対して継続的に遠位方向に変位することにより、ブーツ444とイントロデューサ440の間の摩擦がなくなり、遠位切断先端460がブーツ444の床部を切断し、肩456がブーツ444の近位端と接触するまで針200と共に遠位方向に進む。針200が内側トラック124に対して遠位方向にさらに変位することにより、円周方向の凹部448と円周方向の突起452の間の摩擦がなくなり、針200の遠位端は、遠位切断先端460によって切断されたブーツ444の開口を通して、および内側トラック124の床部の開口256を通して、交換デバイス100の外側に露出される。針200が内側トラック124に再び覆われると、針ハブ438、イントロデューサ440、およびブーツ444は、針の行程の遠位端で持っていた相対的な位置を維持する。
【0070】
一実施形態によれば、イントロデューサ440の遠位切断先端460は、イントロデューサ440の遠位端の周囲全体のまわりに配置される。別の実施形態によれば、遠位切断先端460は、イントロデューサ440の遠位端の周囲の一部分(たとえば、180°または270°)のまわりのみに配置される。このような実施形態では、イントロデューサ440は、針200が交換デバイス100の外側に露出されるときに邪魔にならない所に折り重なる(folds out of the way)するフラップを切断する。このような実施形態では、微粒子(たとえばブーツ444から完全に切断されたもの)が交換デバイス100から落ちるのも防止される。
【0071】
図89は、交換デバイス100のための別の無菌バリア464の断面における部分斜視図である。分かりやすくするため、単一の針200のみの患者端が示されている。無菌バリア464はブーツ468を含む。
図89に示すように、内側トラック124の床部は、それを通る開口256を有する。一実施形態によれば、開口256は、内側トラック124の中心軸に実質的に配置される。
【0072】
図89の操作の途中に示されるように、針200が遠位方向に変位されると、ブーツ468が内側トラック124の床部と接触するまで、ブーツ468は針200と共に進む。遠位方向にさらに変位することにより、針200がブーツ468を穿通し、開口256を通して交換デバイス100の外側に露出される。一実施形態によれば、内側トラック124の床部は、ブーツ468を案内するための斜めの近位縁部を有するカラー472も含む。針200が内側トラック124で再び覆われるとき、ブーツ468は、針の行程の遠位端で持っていた相対的な位置を維持する。
【0073】
図90は、本発明の別の実施形態による針交換デバイス500(簡略化するため、以下では交換デバイス500)の斜視図である。
図90に示すように、交換デバイス500は、底部ハウジングまたは内側ハウジング504と、ユーザダイヤルまたはユーザインタフェース508と、キャップ512と、ユーザボタンまたは第2のユーザインタフェース516と、針カウンタ520と、頂部カバー524とを含む。内部では、以下により詳細に説明するように、交換デバイス500は、固定マウント528と、迷路または案内部材532と、固定ポスト536も含む。
【0074】
図91および
図92はそれぞれ、固定マウント528の斜視側面図および斜視上面図である。
図91および
図92に示すように、固定マウント528は、摺動案内体540と、固定ポスト536を受けるための開口544とを含む。摺動案内体540は、交換デバイス100の摺動案内体176とほぼ同様に機能する。したがって、簡略化するため、摺動案内体540の詳細な説明は省略する。固定マウント528は、固定マウントをペン型注入器50と接続するための手段を含む。一実施形態によれば、ペン型注入器50を接続するための手段は雌ねじを含む。別の実施形態によれば、ペン型注入器50を接続するための手段は、相対的に摺動して次に接続を回転させるためにペン型注入器50上の半径方向の突起と嵌合するL−形状のスロットを含む。加えて、一実施形態(図示せず)によれば、交換デバイス500は、固定マウント528にしっかりと固着された固定床部を含む。
【0075】
図93および
図94はそれぞれ、迷路532の斜視側面図および斜視上面図である。交換デバイス100の迷路178と同様に、迷路532は、入れ子部分552をその上に有する片持ち針スナップアーム548を含む。迷路532は、針スナップアームが
固定マウント528の中心部分内に配置されるように、固定マウント540のまわりに摺動可能に嵌まる。
【0076】
図95および
図96はそれぞれ、固定ポスト536の斜視正面図および斜視背面図である。固定ポスト536はロック機能556を含み、ロック機能556は、交換デバイス100のロック機能232と同様に機能する。交換デバイス100では、ロック機構232は固定マウント172の一部分の上に配置され、固定マウント172は一体構造として一体的に形成される。しかし、交換デバイス500では、潜在的に製造および組み立てを単純化するために、固定ポスト536は、固定マウント528とは別のユニットである。以下により詳細に説明するように、可撓性の帯または針ホルダ560の設置(
図97)の後で、固定ポスト536は、固定マウント528の開口544に挿入され、固定マウント528にしっかりと固着される。固定ポスト536は、たとえば1つまたは複数のねじによって、またはスナップばめ機構によって、固定マウント528に固着される。
【0077】
迷路532および固定ポスト536は一緒に、針ホルダ560のための迂回経路を形成する。
図97に示されるように、針ホルダ560は迂回経路に成形され、識別された針200は作動位置に配置される。
【0078】
図98に示されるユーザダイヤル508は、複数の内部係合構造または径方向内向きの突起572を含む。ユーザダイヤル508の回転時に、内向きの突起572は、迂回経路に沿って針ホルダを前進させるために、上部針ガイド564および下部針ガイド568と係合する(
図97を参照)。
【0079】
図99〜
図108は、針交換デバイス500の組み立ての方法を示す図である。最初に、組み立て者は、固定マウント528と迷路532を共に軸方向に摺動させる。その後で、
図99に示すように、組み立て者は、針ホルダ560を固定マウント−迷路アセンブリの上に置く。次に、組み立て者は、固定ポスト536を開口544に挿入して、迂回経路を形成する(
図100)。次いで、
図101に示すように、組み立て者は、たとえばねじまたはボルトを使用して底部ハウジング504を迷路532に固着する。また、
図101に示されるように、底部ハウジング504の近位表面576は、下部針ガイド568と相互作用し、迂回経路に沿って迷路532の外表面上を進むときに針ホルダ560のための案内表面として機能する。加えて、底部ハウジング504は、たとえばユーザダイヤル508、底部ハウジング504、および迷路532の軸方向の摺動時に固定ポスト536の支持を提供する径方向内向きの突起580を含む。
【0080】
次に、
図102に示すように、組み立て者は、ユーザダイヤル508が迷路532に対して単一の方向のみに回転できるようにするためのダイヤルラチェット(dial ratchet)584を固着する。その後で、組み立て者は、ユーザダイヤル508およびそれに固着されたダイヤルトップ(dial top)588をデバイス上に置く(
図103)。次いで、
図104および
図105に示すように、組み立て者は、ユーザボタン516を設置し、たとえばねじまたはボルトを使用してキャップ512をダイヤルラチェット584に固着する。
【0081】
図106に示すように、組み立て者はその後で、ガイドピン592をユーザダイヤル516およびキャップ512に挿入する。ガイドピン592は、たとえば接着剤を使用してユーザボタン516に固定される。最後に、
図107および
図108に示すように、組み立て者は、針カウンタ520を挿入して、頂部カバー524をデバイスに固定する。
【0082】
操作の際、交換デバイス100と同様に、交換デバイス500は最初にペン型注入器50に接続される。その後で、使用者は、複数の針200のうちの選択された1つが作動位置に配置されるように、ユーザダイヤル508を迂回経路に沿って針ホルダ560に対して回転させる。また、ユーザダイヤル508がこのように回転することによって、ユーザボタン516が径方向に伸長する。次に、使用者は、ユーザダイヤル508を近位方向に摺動させる。この行動によって、患者および針200が交換デバイス500の外側に露出し、針200の非患者端をペン型注入器50の薬物容器12と流体的に接続する。
【0083】
次いで、薬物の投与量を送達した後で、使用者はユーザボタン516を径方向内側に押し、それによって、針カウンタ520を進め、以降でユーザダイヤル508を遠位方向に摺動することを可能にする。ユーザダイヤル508をこのように遠位方向に摺動することによって、針200の患者端が底部ハウジング504で再び覆われ、針200の非患者端が薬物容器12から分離される。ユーザダイヤル508を遠位方向に摺動させると、複数の針200のうちの別の1つを選択するためにユーザダイヤル508の以降の回転も可能にする。
【0084】
図109および
図110に示される一実施形態によれば、交換デバイス100または500は、ユーザボタン120ではなく、薬物を送達する準備が整っている状態にデバイスを保つ単純な受けスナップ(passive snap)を含む。
【0085】
以前に説明した実施形態ではペン型注入デバイスに言及しているが、本発明の実施形態は注射器などの他の薬物注入デバイスと共に使用できることが当業者には理解されよう。
【0086】
典型的なインスリン送達ペンでは、注射のたびにその後で使用者が針を交換することが必要である。これらの針は、ペンを設置してこれから取り外すのに最大6つの使用者ステップを要する。さらに、使用者は、針を操作するときに誤って針を突き刺しやすい。本発明の実施形態は、被覆され(contained)効率良く使いやすい方法で針を交換するための新規な手段を提供する。針の配列が、デバイス内に含まれるか、典型的なペン型注入器50の端に取り付けられるか、または同様に、特別に設計された送達デバイスに組み込まれる。デバイス自体は、使用者が新しい針を送達位置に前進させるための外部のねじれた(twisting)ダイヤルを有する。このダイヤルは、次に、ペン本体の近位方向に引っ張ることができる。使用者がダイヤルを元に戻すとき、新しい針の近位端がペンカートリッジ隔壁を穿通し、遠位端が送達部位に挿入するためにそれ自体を露出させる。一実施形態によれば、送達が完了すると、デバイスは急激に初期の引っ張られていない状態に戻り、ペンの隔壁から針を外し、針の露出された遠位端を覆う。別の実施形態によれば、使用者は、デバイスを摺動させて引っ張られていない状態に戻す。使用者は、ここで、次の針を送達位置または選択位置に前進させ、処理を再び開始してもよい。
【0087】
デバイス内において、迷路様の経路では、針がペン型注入器の遠位端のまわりに位置付けされる。1本の針が隔壁の直下で送達位置にクランプされるが、他の針はペンに対して同じ鉛直高さにある。デバイスがペンの方へ引き上げられると、送達針はその針ハブを通って摺動し、隔壁を穿通する。他の針は、ペン本体の上のより高いレベルに移動し、送達針の遠位端を露出させることを可能にする。一実施形態によれば、送達後、送達針は次に、針を隔壁内に持ち上げた同じクランプ機構に力を伝達するばねを介して隔壁から外される。隔壁から外された送達針は、残りの針と同じ高さに(ペンに沿って)戻る。使用済み針はこれで、迂回経路に移動され、送達位置から離れる準備が整い、新しい針が前進し、所定の位置に着く。次に、プロセスを繰り返すことができる。
【0088】
現在、全自動の針交換デバイスは市場にはない。針の格納、針の取り付け、針の取り外し、および針の処分を含む針交換プロセスの個々のステップを支援するデバイスがある。しかし、これらのデバイスのいずれも針交換プロセスを単一のデバイスに統合しない。
【0089】
本発明のデバイス内に収容される針の迂遠な帯(circuitous band)は、優れた格納機構として作用する。新しい針の上に無菌バリアがあると、汚染の可能性が大きく減少する。さらに、針の収容された帯は、格納部をペンと統合し、使用者が大型で扱いにくいキットを持ち運ぶ必要性を低減する。
【0090】
扱いにくく潜在的に危険な針の取り付けは、使用者にとってより簡単になるようになされた。デバイスのインタフェースは、典型的なペン型針ハブより使いやすい。本発明の実施形態では、使用者は、使い慣れたツイストグリップとインタフェースし、針を挿入して捻ってから引っ張る動作を行うことができる。現在、使用者は、針容器の頂部を取り外し、針をペンにねじり込み、針容器を除去して、次いで最後に針キャップを取り外す。針ハブをペン上に置くのに役立つ針格納デバイスはいくつかあるが、使用者は依然として、内側の針シースを含めて針ハブの包装を取り外して針ハブを典型的なインスリンペン上に置く必要がある。本発明の実施形態では、細心の注意を要する(meticulous)、小型で鋭利な針ハブを用いる典型的な4つのステップが、人間工学的なユーザインタフェースを用いる2つの直感的なステップに減少されている。
【0091】
針の取り外しおよび処分は、本発明の実施形態によって単純化されている。ペン本体から針を引っ張る針クリップデバイスおよび鋭利器具(sharps)容器を含む、使用後に針をペンから取り外すのに役立つデバイスがある。しかし、これらのデバイスは、本発明の実施形態より扱いにくい。本発明の一実施形態は、自動化された取り外しステップを含む。加えて、針シールドまたは覆いを含むことによって、本発明の実施形態は、送達後に隔壁から針を取り外し、使用者がさらに入力しなくても針を使用済み針格納部に置くことができる。
【0092】
いくつかの要因により、本発明の実施形態の信頼性は高い。たとえば、針ホルダは針の位置を固定することができる。加えて、ギア歯または軸方向溝を可撓性の針ホルダおよび中心スナップアームと組み合わせると、単純な前進機構を形成することができる。さらに、デバイスの底部に針を隔壁内に挿入させ、針ホルダを通して針を摺動させることによって、単純な係合機構を形成する。
【0093】
ユーザギア(user gear)/軸方向溝と針ホルダの間の係合は弾力的であり、それによって、システムの公差が緩くなる、すなわち製作公差はあまり小さくない。さらに、針の直線性および位置合わせは、適切な隔壁の係合には重要でない。
【0094】
ユーザダイヤルの回転度は、患者の器用さの問題に対応するために、本発明の実施形態では大きくすることができる。さらに、針ホルダは、デバイスが衝撃を受けた後でも針が所定の位置に留まることを確実にし、それによって本発明の実施形態を堅牢なものとすることができる。
【0095】
本発明の実施形態は、針交換プロセスを単一のデバイスに統合することができる。これで、針の格納、針の取り付け、針の取り外し、および針の処分は、単一のシステムにより達成することができる。
【0096】
新しい針は隔壁の下にあり、針の連続する帯を介してペン型注入器の流体系に取り付けられることができる。この帯は、針が摺動可能に装着されるハブを含むことができる。使用者は、この帯をダイヤルを用いて回転させ、新しい針を所定の位置に置いて、使用済みの針を格納部に移動させることができる。このダイヤルをペンに沿って上方に引っ張ることによって、送達針は次に帯ハブを通して摺動し、無菌バリアは針を滑り落ち、針が隔壁を穿通して、送達のためにそれ自体を露出させることを可能にする。
【0097】
本発明の一実施形態によれば、針は隔壁から取り外され、針シールドに取り付けられたロック解除機構を介して、デバイスに覆われる。このシールドは、針の挿入時に圧縮され、送達が行われていることを示す。本発明の一実施形態によれば、シールドがデバイス内に入ると、シールドは、針の取り付け時に圧縮されたばねのロックを解除する。次に、このばねがデバイスを解放して、ペンの遠位端の方へ戻す。デバイスは、ペンの隔壁から針を引っ張るアームを有する。
【0098】
本発明の一実施形態によれば、針ホルダは、外部ユーザダイヤル上のアームを介して迂回経路を通して引っ張られる。本発明の別の実施形態によれば、針ホルダは、ユーザダイヤルの軸方向スロットとの係合を介して迂回経路を通して引っ張られる。本発明のさらに別の実施形態によれば、針ホルダは、オピニオンシステムとラックの係合を介して迂回経路を通して引っ張られる。針ホルダがデバイスの中を蛇行するとき、単一のアームが曲がり部の全体にわたって係合される場合は、摩擦力が大きくなる。この原理は、アンカーに巻き付くロープと同様である。
図111に示すように、各巻き付き度(degree of wrap)において、アンカー上のロープを引っ張るのに必要な力は増加する。
【0100】
上式で、F
S1はロープによって引っ張られるのに必要な力、F
S2はロープでF
S1を引っ張るのに必要な力、μ
0は摩擦係数、およびαは巻き付き角度である。
【0101】
本発明の一実施形態によれば、可撓性ハブインタフェースアームは、ユーザダイヤルの力が過剰でないことを確実にするために用いられる。
【0102】
針ホルダを介して針をリンクすることによって、各針に既知の位置が与えられ、処理を支援することができる。この針ホルダは、デバイスに突然のショック/衝撃が加えられた場合に針を安全に保つこともできる。
【0103】
本発明の例示的実施形態では、針交換デバイスに格納された新しい針、すなわち注射に使用される前の針は、それぞれ個別に滅菌され、それによって使用済みの針による新しい針の汚染を防止する。たとえば、無菌バリアは、新しい針それぞれに対して設けられる。
【0104】
本発明の別の例示的実施形態では、使用済みの針はそれぞれ、緊急時に使用者が使用済みの針を利用できるように、利用可能な状態を維持する。あるいは、前回使用した針のみが常に利用可能であり、それによって緊急時に利用可能な針を提供する。
【0105】
本発明の数個の実施形態を図示し説明してきたが、本発明は、説明した実施形態に限定されるものではない。代わりに、その範囲が特許請求の範囲およびその等価物によって定義される本発明の原理および趣旨から逸脱することなく、これらの実施形態に変更を加えることができることが当業者には理解されよう。