(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873669
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】2フォトン吸収を用いたレーザ・アシステッド・デバイス・オルタレーション
(51)【国際特許分類】
G01R 31/302 20060101AFI20160216BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
G01R31/28 L
H01L21/66 B
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-195895(P2011-195895)
(22)【出願日】2011年9月8日
(65)【公開番号】特開2012-58247(P2012-58247A)
(43)【公開日】2012年3月22日
【審査請求日】2014年8月29日
(31)【優先権主張番号】61/381,023
(32)【優先日】2010年9月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508261219
【氏名又は名称】ディーシージー システムズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077931
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100110939
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100110940
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋田 高久
(74)【代理人】
【識別番号】100113262
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 祐二
(74)【代理人】
【識別番号】100115059
【弁理士】
【氏名又は名称】今江 克実
(74)【代理人】
【識別番号】100117581
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 克也
(74)【代理人】
【識別番号】100117710
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智雄
(74)【代理人】
【識別番号】100124671
【弁理士】
【氏名又は名称】関 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100131060
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 靖也
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100131901
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 雅典
(74)【代理人】
【識別番号】100132012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩下 嗣也
(74)【代理人】
【識別番号】100141276
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 康二
(74)【代理人】
【識別番号】100143409
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100157093
【弁理士】
【氏名又は名称】間脇 八蔵
(74)【代理人】
【識別番号】100163186
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 裕吉
(74)【代理人】
【識別番号】100163197
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100163588
【弁理士】
【氏名又は名称】岡澤 祥平
(72)【発明者】
【氏名】プラヴィーン ヴェダガルバ
(72)【発明者】
【氏名】デリック リード
【審査官】
續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−075441(JP,A)
【文献】
特開2008−300486(JP,A)
【文献】
特開2010−181288(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/013419(WO,A1)
【文献】
特開2006−024774(JP,A)
【文献】
特開平10−332794(JP,A)
【文献】
特開平02−176479(JP,A)
【文献】
特開2010−133958(JP,A)
【文献】
特開2005−228994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/302
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テスタによって刺激が与えられるテスト対象のデバイス(DUT)における故障位置測定を行うシステムであって、
フェムト秒パルス幅及びシリコンのバンドギャップより長い波長を有するレーザ光パルスを供給するレーザ光源と、
前記レーザ光パルスを受け取り、前記レーザ光パルスを前記DUTの関心領域に送出する光学素子と、
前記テスタから同期信号を受信し、前記同期信号に従って前記レーザ光源のタイミングを制御するタイミング電子回路とを備え、
前記レーザ光パルスのパルス幅及び波長は、前記DUTにおいて2フォトン吸収を生じさせるように選択され、
前記タイミング電子回路は、前記DUTに対する2フォトン効果の量を変化させるために前記レーザ光パルスのタイミングを制御して、前記DUTのスイッチング時間を増加又は減少させ、前記DUTにおける故障の重大度の決定を支援する
システム。
【請求項2】
前記レーザ光源は、1250nmと1550nmとの間の波長のレーザ光パルスを供給する
請求項1のシステム。
【請求項3】
前記レーザ光源は、約100フェムト秒のパルス幅のレーザ光パルスを供給する
請求項2のシステム。
【請求項4】
前記光学素子は、レーザ走査顕微鏡(LSM)を含む
請求項2のシステム。
【請求項5】
前記光学素子は、更にソリッドイマージョンレンズを含む
請求項4のシステム。
【請求項6】
テスタからのテストベクトルによって刺激が与えられるテスト対象のデバイス(DUT)のスイッチング時間を変更する方法であって、
フェムト秒パルス幅及びシリコンのバンドギャップより長い波長を有するレーザ光パルスを生成し、
前記レーザ光パルスを前記DUTの関心領域に送出し、
前記テスタからの同期信号に従って、前記レーザ光パルスを生成するレーザ光源のタイミングを制御し、
前記レーザ光パルスのパルス幅及び波長は、前記DUTにおいて2フォトン吸収を生じさせるように選択され、
前記方法は、更に、前記DUTに対する2フォトン効果の量を変化させるために前記レーザ光パルスのタイミングを変更して、前記DUTのスイッチング時間を増加又は減少させ、前記DUTにおける故障の重大度の決定を支援する
方法。
【請求項7】
前記レーザ光パルスは、1250nmと1550nmとの間の波長を有する
請求項6の方法。
【請求項8】
前記レーザ光パルスは、約100フェムト秒のパルス幅を有する
請求項6の方法。
【請求項9】
テスタによって刺激が与えられるテスト対象のデバイス(DUT)をテストする方法であって、
前記テスタからのテストベクトルの第1の組を前記DUTに適用して、前記DUTの限界の設定を決定し、
前記DUTの前記限界の設定に従って、前記テスタのテストベクトルの第2の組の電圧及び周波数を設定し、
前記テスタからのテストベクトルの前記第2の組を前記DUTに繰り返し適用し、
前記テスタから同期信号を受け取り、
前記同期信号をレーザ光源に適用して、フェムト秒パルス幅及びシリコンのバンドギャップより長い波長を有するレーザ光パルスを受け取り、
前記レーザ光パルスを前記DUTの関心領域に適用して、前記DUTのスイッチング時間を増加又は減少させ、
前記DUTの出力を監視して、故障の位置を決定し、
前記DUTに対する2フォトン効果の量を変化させるために前記レーザ光パルスのタイミングを変更して、前記DUTのスイッチング時間を増加又は減少させ、前記DUTにおける故障の重大度の決定を支援する
方法。
【請求項10】
前記DUTの出力の監視は、各時点において前記DUTの合否を監視し、前記合否の結果をその時点の前記レーザ光パルスが照射する場所に関連付けることを含む
請求項9の方法。
【請求項11】
前記限界の設定の決定は、テストベクトルの電圧及び周波数を、前記DUTが前記テストに不合格になる寸前になるように、又は前記テストにちょうど不合格になるように決定することを含む
請求項9の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)本願は、2010年9月8日に出願された米国仮特許出願第61/381,023号の優先権による利益を主張し、その開示は、全体が参照によりここに組み入れられる。
【0002】
本発明は、レーザに基づいた集積回路の欠陥位置解析の分野に関し、より具体的には、レーザ照射を用いた集積回路の設計デバッグ及び/又は故障解析の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
レーザ・アシステッド・デバイス・オルタレーション(LADA:laser assisted device alteration)は、チップ設計のテスト及びデバッグ段階において用いられる技術である。これは特に、複雑な、欠陥のない集積回路において、クリティカルな、性能を制限するノードを分離するために用いられる。LADA効果はプロセス欠陥と同じパスにおいてトランジスタ特性を容易に変化させるので、LADAはプロセス欠陥の位置を特定するのに広く使えることが分かっている。
【0004】
LADA技術は、連続波(CW:continuous wave)レーザが集積回路の裏面に局所的な光電流を発生させ、「敏感な」トランジスタに対するテスト刺激の合否結果を変化させ、故障箇所を特定することができることに基づいている。レーザは、典型的には1064nm程度の短波長であり、フォトンのエネルギーはシリコンの間接的バンドギャップ(約1107nm)より大きい。このフォトンのエネルギーは、トランジスタの挙動を変化させるために使われる単一フォトン効果の開始のために必要である。レーザ波長の選択には限度があるので、位置が特定された故障の現在の空間分解能は、約240nmである。
【0005】
図1は、従来のLADAシステムを示しており、このシステムは、チップの背面からCWレーザを使って、テスト対象デバイス(DUT:device under test)に単一フォトンによる電子・正孔対を誘起する。DUT110は、例えば従来の自動テスト装置(ATE:automated testing equipment)であるテスタ115に結合されており、ATEはコンピュータ150に接続されている。ATEは、従来のやり方でDUTにテストベクトルで刺激を与え、そのテストベクトルに対するDUTの応答を調べるために使われる。そのテストベクトルに対するDUTの応答は、LADAを用いて更に詳細に調べることができる。例えば、DUTがあるテストに不合格になるのであれば、そのDUTがある条件下で合格できるか、もし合格できるなら、どのデバイス(すなわち、トランジスタ)が不合格の原因であるのかを詳しく調べるために、LADAを用いることができる。逆に、DUTがあるテストに合格するのであれば、どの条件下でDUTがこれらのテストに不合格になるのか、もし不合格になるのであれば、どのデバイス(すなわち、トランジスタ)が不合格の原因であるのかを詳しく調べるために、LADAを用いることができる。
【0006】
LADAシステムは以下のように動作する。チルト可能な鏡130及び135並びに対物レンズ140は、CWレーザ120からDUT110上への光線の焦点を合わせ、スキャンするために使われる。これにより、レーザ120は、局所的に加熱しないようにしながらDUTのシリコンに光キャリアを発生させることができる。このようにして発生した電子・正孔対は、近傍のトランジスタのタイミングに影響する。すなわち、トランジスタのスイッチング時間を減少又は増加させる。テスタは、選択された電圧及び周波数の繰り返しテストループを適用することにより、DUTの動作点を限界の状態にするように構成されている。そしてレーザ刺激がテスタの合否結果を変更するために用いられる。各点における光線の位置はテスタの合否結果に関係しており、変化が検出される場合、すなわち、以前は合格だったトランジスタが今は不合格になったり、その逆の場合には、その時のレーザ光線の座標が「ボーダーライン」トランジスタの位置を示す。
【0007】
レーザに支援された故障位置測定における現在の最新技術は、約240nmの分解能のものである。単一フォトンLADAの分解能の更なる向上は、レーザ光の波長によって制限されている。シリコンの1064nm未満における光吸収が、背面を通してトランジスタへ光を届ける際の主な障害となる。しかし、チップ設計のスケール変更が続いているため、最新のチップにおいて故障位置測定をするためにはより高い分解能が必要である。例えば、22nmデザインルールにおいて従来のLADAが近接する4個のトランジスタを区別することができるかについては、疑わしい。
【0008】
OBIC(optical beam induced current)は、レーザ光がDUTを照射する、テスト及びデバッグによるもう1つの分析法である。しかし、LADAとは異なり、OBICはDUTに刺激信号を与えないという意味で静的なテストである。そのかわり、DUTに電流を誘導するためにレーザ光が使われ、DUTは低雑音、高利得の電圧又は電流アンプを用いて測定される。OBICは、単一フォトンモード、及び、TOBIC又は2P−OBIC(two-photon optical beam induced current)とも呼ばれる2フォトン吸収モードで使われている。
【0009】
2フォトン吸収(TPA)は、分子をある状態(通常は基底状態)からより高エネルギーの電子状態に励起するための、同一の又は異なる周波数の2個のフォトンの同時吸収である。波長は、同時に到着する2個のフォトンのフォトンエネルギーの合計が分子の低エネルギー状態と高エネルギー状態との間のエネルギー差に等しくなるように選択される。2フォトン吸収は2次的な(second-order)プロセスであり、線形(単一フォトン)吸収より規模が数桁小さい。吸収の強さが光の強度の2乗に依存し、非線形の光プロセスであるという点で、2フォトン吸収は線形吸収とは異なる。
【0010】
図3は、左の単一フォトン吸収と右の2フォトン吸収との比較を示す。2フォトン吸収は2次的なプロセスであるので、単一フォトン吸収に対して1.4(√2)倍の高分解能が可能になる。しかし、2個のフォトンが正確に同時に到着する確率が劇的に増加するように、ピークパワーがより高い、パルス状の光線が必要である。したがって、2フォトン吸収を生じさせるために、この技術においてはパルス幅が約100fsのフェムト秒レーザパルスが使われてきた。
【発明の概要】
【0011】
本開示の以下の概要は、本発明のいくつかの局面及び特徴の基本的な理解をさせるために含まれている。この概要は、本発明の詳細な全体像ではなく、このため、本発明の不可欠な又は重要な要素を特定したり、本発明の範囲を詳細に示すことは意図されていない。その唯一の目的は、以下に示されたより詳細な説明の前置きとして、簡単な形で本発明のいくつかの概念を提示することである。
【0012】
本発明の実施形態によると、非線形2フォトン吸収機構を利用することにより、より高分解能の故障位置測定においてLADA効果を起こさせることが可能になる。この技術を、ここでは2フォトン・レーザ・アシステッド・デバイス・オルタレーション(two-photon laser assisted device alteration)技術と称する。
【0013】
本発明の実施形態によると、DUTを刺激するテストベクトルを使い、同時にフェムト秒パルスのレーザを使うことにより、より高分解能の故障位置測定において、DUTの関心領域をスキャンし、スキャン中にDUTのテストベクトルに対する応答を検査することが可能になる。波長がシリコンのバンドギャップより低いフォトンエネルギーを供給し、フェムト秒パルス幅を有するパルスを供給するように、レーザ光源が選択される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の他の局面及び特徴は、詳細な説明から明らかであろう。詳細な説明は、以下の図面を参照して行われる。詳細な説明及び図面は、本発明の様々な実施形態の様々な限定的ではない例を提供すると理解されるべきであり、本発明は添付の請求項によって定義される。
【
図1】
図1は、先行技術によるLADAシステムの図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態による2フォトン・レーザ・アシステッド・デバイス・オルタレーション技術を実現するシステムの図である。
【
図3】
図3は、左の単一フォトン吸収と右の2フォトン吸収との比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態は、LADA技術を用いた故障位置測定を目的として、2フォトン吸収(TPA:two-photon absorption)をICへのキャリアの正確な注入に適用する。TPAを生じさせるために、本発明の実施形態は、適切なエネルギーを有するフェムト秒パルスレーザを使用する。この技術は、トランジスタにおける焦点に同時に到着する2個のフォトンに基づいており、このため、フォトンエネルギーの合計は、電子・正孔対の生成に必要なものより大きい。2フォトンによる刺激は、テスト対象の半導体のバンドギャップより小さなフォトンエネルギーを有するフェムト秒レーザパルスによる励起を必要とする。より具体的には、入射レーザのフォトンエネルギーは、その物質のバンドギャップの半分に正確に等しい又はそれより大きいように設定される。2フォトン吸収はピーク強度の2乗に応じて決まるので、信号はレーザの焦点に強力に集中されて、故障位置測定の性能及び画像解像度を単一フォトンLADA技術に対して直ちに向上させる。
【0016】
本発明の実施形態は、また、テスタ(例えばATE)のクロックのエッジの遷移に対するレーザパルスのタイミングを正確に制御するために、タイミング電子回路を用いる。この種の制御により、注目しているトランジスタを通って伝搬する信号の遅延又は進みを精密に変更することができる。
【0017】
2フォトン技術の利点は、トランジスタにわずかな損失で到達され得る、より長い波長の光を利用することができるということである。例えば、1250nm光の2個のフォトンの場合には、これらのフォトンは、波長625nmの単一のフォトンの効果を生じ、LADA効果に必要な電子・正孔対を生成する。これは、それだけで現在のシステムの分解能をほぼ1.21倍に向上させるであろう。更に、2フォトン生成の非線形な性質を利用することにより、電子・正孔対の生成が行われる部分の体積を減少させることができる。単一フォトンLADAとは対照的に、2フォトン吸収によるキャリア生成は入射パワーとは非線形に変化し、実効的な焦点面積を半分に縮小し、軸方向の吸収深さを基板厚さと同等の値からわずか約100nmに縮小する。このため、2フォトン刺激によると、LADAキャリア生成体積を潜在的には2000分の1にも縮小することができる。
【0018】
図2は、本発明の実施形態を図示し、先行技術と同様にDUT210はATE215に結合されている。しかし、
図2の実施形態においては、フェムト秒レーザパルスがパルスレーザ光源225によって生成され、レーザパルスは、チルト可能な鏡230及び235並びに対物レンズ240を用いて、DUT210上に焦点が合わせられる。レーザ光源は、シリコンのバンドギャップより長い、すなわち、1107nmより長い波長のレーザ光線を供給する。一実施形態では1550nmの波長が用いられ、他の実施形態では1340nm又は1250nmが用いられる。この実施形態では、チルト可能な鏡230及び235は、レーザ走査顕微鏡(LSM)として実装されている。また、ソリッドイマージョンレンズ(SIL:solid immersion lens)が対物レンズ機構の一部として用いられるような実施形態もある。
【0019】
従来のLADAシステムでは、レーザは常に出力されている。しかし、本発明の実施形態によると、非常に短いパルスが使用される。したがって、レーザパルスがデバイスに到達するときにデバイス遷移が生じるということは重要である。これを実現するために、トリガー信号245がATEから得られてタイミング電子回路260に入力され、この回路はパルスレーザ225を制御してレーザパルスをATEのテスト信号に同期させる。
【0020】
図2に示されたシステムを用い、DUT210の限界の設定を決定するために、最初にテスタ(ATE)215が操作されてテストベクトルの組が適用される。すなわち、DUTがテストに不合格になる寸前の点又はテストにちょうど不合格になる点を決定するために、テストベクトルの電圧及び周波数が変更される。これが、そのDUTの合否境界である。そして、DUTをその合否境界で繰り返し刺激するための反復テスト信号を生成するために、この電圧及び周波数の設定が用いられる。
【0021】
DUTが境界条件で刺激されるときに、同期信号245がテスタ215からタイミング電子回路260に送信される。タイミング電子回路260は、レーザ光源225を制御して、フェムト秒パルス幅を有しシリコンのバンドギャップより長い波長を有するレーザパルスを得る。一般に、波長は約1250nmから1550nmであり、パルス幅は約100fsである。レーザパルスはDUT210上の関心領域をスキャンして、DUTのスイッチング時間を増加又は減少させ、DUTが境界を越えるようにする。すなわち、DUTが不合格になる寸前になるようにテストベクトルの電圧/周波数が設定されている場合には、DUTが不合格になるようにレーザパルスのタイミングが決められる。反対に、DUTがちょうど不合格なるようにテストベクトルの電圧/周波数が設定されている場合には、DUTがテストに合格するようにレーザパルスのタイミングが決められる。この間、DUTの出力は故障の位置を決定するために監視される。すなわち、DUTからの出力信号が不合格を示す瞬間(レーザ光線がなければDUTは合格するであろう)において、DUT上の光線の位置が求められ、不合格の原因となっているトランジスタの位置を求めることができる。反対に、DUTからの出力信号が合格を示す瞬間(レーザ光線がなければDUTは不合格となるであろう)において、DUT上の光線の位置が求められ、以前は不合格の原因となり、現在は合格しているトランジスタの位置を求めることができる。
【0022】
同期信号がテスタから得られるので、トランジスタに対する2フォトン効果の量を変化させるためにレーザパルスのタイミングが変更可能であるということが理解されるべきである。すなわち、DUTのスイッチング時間の量を増加又は減少させるために、レーザパルスのタイミングが変更可能である。この能力は、故障の位置に加えて故障の重大度を決定する助けになり得る。
【0023】
ここで説明されたプロセス及び技術は、本質的にいかなる特定の装置にも関係しておらず、構成要素のいかなる適切な組合せによっても実現され得る。更に、様々なタイプの汎用のデバイスをここに記載された教示に従って用いてもよい。また、ここに記載された方法のステップを実行するための専用の装置を構成することは、有益であることが分かるかも知れない。
【0024】
本発明を特定の例に関して説明したが、これは全ての点において、限定的ではなく例示的であることが意図されている。ハードウェア、ソフトウェア、及びファームウェアの多くの異なる組合せが本発明の実施に適することを当業者は理解するであろう。更に、ここに開示された本発明の明細書及び実施を考慮することにより、本発明の他の実施態様が当業者には明らかであろう。本明細書及び例は、例示としてのみ考慮されることが意図されており、本発明の本質的な範囲及び趣旨は以下の請求項に示されている。