【実施例】
【0033】
例示的実施形態:
NMRスペクトルの記録および解釈は、当業者に公知である。Marcel Dekker Inc.によって2000年に出版された、A. BrandoliniおよびD. Hills著の「NMR Spectra of Polymers and Polymer Additives」という書籍が、参照により本明細書に援用され得る。ポリシロキサンの置換基間のモル比は、NMR分光法により、より特定的には定量的
13C NMR法により、第一級および第二級および第三級アミン構造の窒素を選択的に決定することで補完して求めることができる。
【0034】
合成実施例
実施例1:式2bのグルコノラクタムプロピルジエトキシメチルシランの製造
35gの2−プロパノールに溶かした35.62gのD(+)−グルコノ−δ−ラクトン(純度99%、Sigma Aldrich)を、KPG攪拌器、滴下漏斗、還流冷却器および内部温度計が連結装備された250mlの四つ口フラスコ中で、70℃で懸濁し、1時間攪拌した。38.62gの3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(ダイナシラン(Dynasylan)(登録商標)1505、Evonik Degussa GmbH)を、75℃で5分間滴下添加する。この後、さらに4時間75℃で攪拌して、固形分64.8%の透明の淡黄色の生成物を得る。60℃、20mbarでのロータリーエバポレータで2時間溶媒を留去し、その後秤量することによって、固形分を求める。
13C NMRスペクトルは、CH
2−NH
2基の残量を示す45ppmにおけるシグナルがないため、グルコノラクトンとの完全な反応を示している。
【0035】
実施例2:式2cの3−グアニジノプロピルメチルジエトキシシランおよび3−アミノプロピルメチルジエトキシシランの製造
KPG攪拌器、滴下漏斗、還流冷却器および内部温度計が連結装備された500mlの四つ口フラスコに、最初に、95.67gの3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(ダイナシラン(Dynasylan)(登録商標)1505、Evonik Degussa GmbH)および70gのエタノールを入れる。攪拌しながら、27gの酢酸(純度99〜100%、J. T. Baker)を室温で15分間滴下添加する。この後、79℃に加熱し、攪拌しながら、30gのエタノールに溶解させた10.51gのシアナミド(Cyanamid)F 1000(Alzchem Trostberg GmbH)を2時間の期間にわたって滴下添加する。この後、79℃でさらに4時間攪拌して、固形分54.9%の無色透明の生成物を得る。
13C NMRによって求めたアミノプロピルシラン対グアニジノプロピルシランのモル比は、3:2である。
【0036】
実施例3:グルコノラクタムプロピル官能性ポリシロキサンおよびアミノプロピル官能性ポリシロキサンの製造
KPG攪拌器、滴下漏斗、還流冷却器および内部温度計が連結装備された500mlの四つ口フラスコを用いて、47.2のジメチルシロキサン単位の鎖長を有する200gのジヒドロキシ官能性ポリジメチルシロキサン、6.52gの3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(ダイナシラン(Dynasylan)(登録商標)1505、Evonik Degussa GmbH)および6.48gの、実施例1の64.8%の2−プロパノールシラン溶液を、攪拌しながら85℃に加熱する。0.68gの酢酸(純度99〜100%、J. T. Baker)を添加し、真空をかける。混合物を85℃、20mbarで1時間攪拌する。真空を中断し、1.28gのヘキサメチルジシラザン(純度98.5%、ABCR GmbH)を添加し、混合物を85℃および室温で1時間攪拌する。この後、85℃、20mbarで1時間蒸留する。53.57gのテゴソフト(Tegosoft)(登録商標)P(Evonik Goldschmidt GmbH)を添加してからさらに2時間蒸留して、25℃で320000mPa
*sの粘度を有する透明の淡黄色の生成物を得る。トリメチルシリルで末端ブロックされた鎖の末端の割合は、
29Si NMRで求めたところ、全ての鎖の末端の合計を基準にして65%である。
【0037】
実施例4:グアニジノプロピル官能性ポリシロキサンおよびアミノプロピル官能性ポリシロキサンの製造
KPG攪拌器、滴下漏斗、還流冷却器および内部温度計が連結装備された1000mlの四つ口フラスコを用いて、47.6のジメチルシロキサン単位の鎖長を有する656.3gのジヒドロキシ官能性ポリジメチルシロキサン、10.62gの3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(ダイナシラン(Dynasylan)(登録商標)1505、Evonik Degussa GmbH)および26.95gの、実施例2の54.9%のエタノールシラン溶液を、攪拌しながら85℃に加熱する。混合物を、85℃、20mbarで1時間攪拌する。真空を中断し、4.18gのヘキサメチルジシラザン(純度98.5%、ABCR GmbH)を添加し、混合物を85℃および室温で1時間攪拌する。この後、85℃、20mbarで3時間蒸留して、25℃で41500mPa
*sの粘度を有する濁った無色の生成物を得る。トリメチルシリルで末端ブロックされた鎖の末端の割合は、
29Si NMRで求めると、全ての鎖の末端の合計を基準にして80%である。塩基度の異なる2つの窒素含有基を有する生成物の電位差滴定により、2つの端点が示される。
【0038】
実施例5:オクタデシル変性アミノシロキサンの製造
KPG攪拌器、滴下漏斗、還流冷却器および内部温度計が連結装備された500mlの四つ口フラスコを用いて、47.2のジメチルシロキサン単位の鎖長を有する246.6gのジヒドロキシ官能性ポリジメチルシロキサン、9.64gの3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(ダイナシラン(Dynasylan)(登録商標)1505、Evonik Degussa GmbH)、2.01gのオクタデシルメチルジメトキシシラン(Wacker AG)および1.18gの酢酸(純度99〜100%、J. T. Baker)を、攪拌しながら85℃に加熱する。この後、85℃、20mbarで1時間蒸留する。真空を中断し、1.28gのヘキサメチルジシラザン(純度98.5%、ABCR GmbH)を添加し、混合物を85℃および室温で1時間攪拌する。この後、85℃、20mbarで3時間蒸留して、25℃で1520mPa
*sの粘度を有するやや濁った無色の生成物を得る。トリメチルシリル末端ブロックされた鎖の末端の割合は、
29Si NMRで求めたところ、全ての鎖の末端の合計を基準にして75%である。
【0039】
織物調整に関する使用実施例
一般的な配合:
5重量%〜50重量%の本発明に係るシロキサンまたはその溶液を、6〜10のエトキシ化度を有する1.25重量%〜12.5重量%のラウリルアルコールエトキシレートの混合物、または異なるエトキシ化度を有する混合物、0.05重量%〜0.5重量%の濃酢酸および37.0重量%〜93.7重量%の水を含むプロペラ攪拌式ガラスビーカーに添加する。
【0040】
配合実施例1−本発明:
20重量%の合成実施例1の生成物を、6のエトキシ化度を有する8.0重量%のラウリルアルコールエトキシレートと10のエトキシ化度を有する2.0重量%のラウリルアルコールエトキシレートとの混合物、0.4重量%の濃酢酸、および69.6重量%の水を含むプロペラ攪拌式ガラスビーカーに添加して、白色の低粘度の配合物を得る。
【0041】
表1に示される配合物は、一般的な配合物と同様に製造した。比較例の製品であるバイオソフト(Biosoft)09(BT Biotex SDN BHD(マレーシア)製)は、繊維および織物用の柔軟剤(soft-handle agent)として使用可能なアミノ官能性シリコーン流体である。
【0042】
【表1】
【0043】
適用実施例:
本発明に係る生成物の手触り(handle)および親水性を確認するために、天然繊維からなる製品を以下のプロセスを用いて仕上げた。
【0044】
パディング(padding)プロセス:
各エマルジョンによって与えられる柔軟性を調べるために、綿のニット織布(160g/m
2)および綿のテリー織布(400g/m
2)を、いずれの場合も12.5g/lの対応するエマルジョンを含有する液でパディングし、ウェットピックアップ(wet pick-up)が約100%になるまで搾り、100℃で3分間乾燥させた。
【0045】
親水性を調べるために、綿織物(200g/m
2)を、いずれの場合も150g/lの対応するエマルジョンを含有する液でパディングし、ウェットピックアップが約100%になるまで搾り、130℃で3〜5分間乾燥させた。
【0046】
吸尽(exhaust)法:
柔軟性を調べるために、綿のニット織布(160g/m
2)および綿のテリー織布(400g/m
2)を、12:1の液体比を有する(有効なシリコーン成分を基準にして)0.025重量%の液に穏やかに攪拌しながら20分間浸漬し、軽く絞り、オーブン中で100℃で乾燥させた。親水性を調べるために、綿織物(200g/m
2)を、120:1の液体比を有する(有効なシリコーン成分を基準にして)0.025重量%の液に、穏やかに攪拌しながら20分間浸漬し、オーブン中で100℃で乾燥させた。
【0047】
試験方法:
手触り評価:
熟練したチームによって、織布の手触りを評価した。チームは、ハンドパネル試験によって、エマルジョンで仕上げられた綿のニット織布および綿テリー織布の手触り試料を名を伏せて評価した。ニット織布の手触り試料には、明白にラベル表示されていない未処理の試料がさらに含まれていた。
【0048】
洗濯作業:
Miele Novotronic W 918という市販の洗濯機で、wfk規格の洗濯洗剤であるIECA基剤および3kgの綿のバラスト織布を用いて、40℃で予洗なしの色柄用洗濯(coloured wash)によって洗濯作業を行った。このように処理した織布を、最終的に、室温で12時間乾燥させた。
【0049】
親水性試験:
ドイツ標準規格DIN 53924に準拠して、水の上昇高を測定するための自家試験方法を用いて、親水性試験を行った。仕上げられた試験用綿織物を、各々の長さが25cm、幅が1.5cmの5つの片に切り分け、水性ペンで印を付け、張力を加えずに、ピンと張った垂直な位置でホルダに固定する。次に、片が2cm水につかるようにホルダを5分間水浴に入れる。ホルダを10分間、水浴の外に立てた後、上昇高をcm単位で読み取り、空試験値(未処理の綿片の上昇高×cm=100%)に対して評価し、空試験値のパーセント表示として報告する。
【0050】
柔軟性に関する試験結果を表2、3および4に報告し、親水性に関しては、表5に報告する。
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】
【0055】
評価のまとめ:
結果は、本発明に係る生成物で仕上げられた織布の手触りが、柔軟で、非常にふんわりして、滑らかである(例えば配合物1、表3および4)。このように仕上げられた織布は、高い弾力性(springability)および改良されたしわ取り性も示す。より特定的には、配合物実施例1の軟化効果は、吸尽法による適用後の配合物実施例2より優れている(表4)。織布は、より高い再湿潤性の値によって反映されるように、優れた吸水率も示す(表5)。優れた耐久性は、表2の結果によって証明される。
【0056】
織物再調整に関する使用実施例:
織物に対する本発明に係るシロキサンの軟化効果を測定するために、それを用いて綿布を処理する。この目的のため、以下の処方にしたがってシロキサンを用いてエマルジョンを製造する。
【0057】
40℃〜80℃で加熱された本発明に係るポリシロキサン20部を、最初に、プロペラ攪拌式ガラスビーカーに入れる。次に、5〜25重量部のジプロピレングリコール、6のエトキシ度を有する5〜25重量部の脂肪アルコールエトキシレートを、攪拌しながら逐次添加する。最後に、混合物を水により100重量部になるようにし、次に、室温に冷めるまで、ただし少なくとも15分間攪拌する。
【0058】
綿織布の前処理:
約350g/m
2の坪量を有する80cm×50cmの綿のテリー織布を、fully-built粉末で2回洗浄し、2回すすぎ、脱水し、空気中で単層で自然乾燥させた。
【0059】
綿織布の処理:
上述した本発明のシロキサンの配合物を、冷たい水道水で希釈して、0.025重量%の本発明のシロキサンを含むすすぎ溶液を形成した。綿布を、2リットルのすすぎ溶液に10分間浸漬した。ここで、布がすすぎ溶液によって確実にむらなく湿るように注意しなければならない。次に、布を脱水し、単層で室温で自然乾燥させた。処理された綿のテリー織布を、16cm×25cmの大きさに10等分に切り分けた。
【0060】
9人編成の熟練したチームによって柔軟性を評価した。チームは、ハンドパネル試験によって、エマルジョンで仕上げられた綿織布の名を伏せた手触り試料を評価した。各評価者に評価のための別々の綿布が与えられた。評価スケールは、整数の中間値を与える可能性も含めて、0(ざらざらして、手触りが悪い)から5(柔らかく、手触りが良い)の範囲であった。柔軟性を評価するために、個々の評価を合計した。これは、9人の評価者によって最大で45の柔軟性スコアが可能であることを意味している。
【0061】
手触り試料には、常に、明白にラベル表示されていない未処理の試料(空試験)がさらに含まれていた。
【0062】
比較例:
20重量%の固形分を有するTEGOSIVIN(登録商標)IE 11/59などの市販のアミノ官能化シロキサンのマイクロエマルジョンを従来技術とする。
【0063】
【表6】
【0064】
表6のデータから、本発明の変性シロキサンでは、従来技術のシロキサンと比較して改良された乃至非常に改良された柔軟性が達成されることが明らかに分かる。