特許第5873714号(P5873714)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873714
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】徐放性粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 25/10 20060101AFI20160216BHJP
   A01N 47/12 20060101ALI20160216BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   A01N25/10
   A01N47/12 Z
   A01P3/00
【請求項の数】3
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2011-288101(P2011-288101)
(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公開番号】特開2013-136534(P2013-136534A)
(43)【公開日】2013年7月11日
【審査請求日】2014年8月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】591147694
【氏名又は名称】大阪ガスケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】大島 純治
【審査官】 天野 皓己
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−532978(JP,A)
【文献】 特開2011−079816(JP,A)
【文献】 特表2007−534679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 25/10
A01N 47/12
A01P 3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメートを疎水性の重合性ビニルモノマーで溶解することにより、疎水性溶液を調製し、水と乳化剤とを配合して乳化剤水溶液を調製し、前記疎水性溶液を前記乳化剤水溶液中に一度で配合して乳化し、前記重合性ビニルモノマーを、重合開始剤の存在下、ミニエマルション重合して、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメートを含有する平均粒子径1μm未満の重合体を生成することにより得られる徐放性粒子であり、
ミニエマルション重合により得られる前記重合体は、Hansenで定義され、van Klevelen and Hoftyzer法で算出される溶解度パラメータδの双極子間力項δp,polymerが5.0〜6.0[(J/cm1/2]であり、前記溶解度パラメータδの水素結合力項δh,polymerが9.0〜9.9[(J/cm1/2]であり、
前記乳化剤は、アニオン系乳化剤およびノニオン系乳化剤が併用されていることを特徴とする、徐放性粒子の製造方法
【請求項2】
前記重合性ビニルモノマーは、第1モノマーを50質量%以上含有し、
前記第1モノマーは、前記第1モノマーから得られる重合体を構成するモノマー単位の前記溶解度パラメータδの双極子間力項δp,1st monomer unit(s)が5.6〜6.0[(J/cm1/2]であり、前記溶解度パラメータδの水素結合力項δh,1st monomer unit(s)が9.2〜9.9[(J/cm1/2]である第1モノマーを50質量%以上含有することを特徴とする、請求項1に記載の徐放性粒子の製造方法
【請求項3】
前記第1モノマーは、メタクリル酸メチルおよび/またはエチレングリコールジメタクリレートを含有することを特徴とする、請求項2に記載の徐放性粒子の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、徐放性粒子およびその製造方法、詳しくは、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメートを徐放する徐放性粒子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメートを含有する徐放性粒子が提案されている。
【0003】
そのような徐放性粒子の製造方法として、以下の方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
すなわち、特許文献1では、まず、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート(IPBC、防かび剤)、メタクリル酸メチルなどの重合性ビニルモノマーおよびジラウロイルパーオキシド(重合開始剤)を配合して、疎水性溶液を調製するとともに、水およびポリビニルアルコール(分散剤)を配合して、水溶液を調製する。
【0005】
その後、疎水性溶液および水溶液を配合して、懸濁液を調製して、その後、攪拌しながら昇温して、懸濁重合を行うことにより、IPBCを含有する徐放性粒子の懸濁液を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−79816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1で提案される徐放性粒子は、懸濁重合によって得られることから、メジアン径が1μm以上と大きい。そのため、徐放性粒子が懸濁液中で沈降して、ケーキングを生じる場合がある。
【0008】
本発明の目的は、徐放性は元より、分散性にも優れる徐放性粒子およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的の徐放性粒子およびその製造方法について鋭意検討したところ、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメートを疎水性の重合性ビニルモノマーで溶解することにより、疎水性溶液を調製し、水と乳化剤とを配合して乳化剤水溶液を調製し、疎水性溶液を乳化剤水溶液中に乳化させ、乳化された疎水性溶液の重合性ビニルモノマーを、重合開始剤の存在下、ミニエマルション重合することにより、徐放性は元より、分散性に優れる徐放性粒子を得ることができるという知見を見出し、さらに研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、
(1) 3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメートを疎水性の重合性ビニルモノマーで溶解することにより、疎水性溶液を調製し、水と乳化剤とを配合して乳化剤水溶液を調製し、前記疎水性溶液を前記乳化剤水溶液中に乳化し、前記重合性ビニルモノマーを、重合開始剤の存在下、ミニエマルション重合して、平均粒子径1μm未満の重合体を生成することにより得られる徐放性粒子であり、ミニエマルション重合により得られる前記重合体は、Hansenで定義され、van Klevelen and Hoftyzer法で算出される溶解度パラメータδの双極子間力項δp,polymerが5.0〜6.0[(J/cm1/2]であり、前記溶解度パラメータδの水素結合力項δh,polymerが9.0〜9.9[(J/cm1/2]であることを特徴とする、徐放性粒子、
(2) 前記重合性ビニルモノマーは、第1モノマーを50質量%以上含有し、前記第1モノマーは、前記第1モノマーから得られる重合体を構成するモノマー単位の前記溶解度パラメータδの双極子間力項δp,1st monomer unit(s)が5.6〜6.0[(J/cm1/2]であり、前記溶解度パラメータδの水素結合力項δh,1st monomer unit(s)が9.2〜9.9[(J/cm1/2]である第1モノマーを50質量%以上含有することを特徴とする、前記(1)に記載の徐放性粒子、
(3) 前記第1モノマーは、メタクリル酸メチルおよび/またはエチレングリコールジメタクリレートを含有することを特徴とする、前記(2)に記載の徐放性粒子、
(4) 3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメートを疎水性の重合性ビニルモノマーで溶解することにより、疎水性溶液を調製する工程、水と乳化剤とを配合して乳化剤水溶液を調製する工程、前記疎水性溶液を前記乳化剤水溶液中に乳化させる工程、および、乳化された前記疎水性溶液の前記重合性ビニルモノマーを、重合開始剤の存在下、ミニエマルション重合して、平均粒子径1μm未満の重合体を生成する工程を備える、徐放性粒子の製造方法であり、ミニエマルション重合により得られる前記重合体は、Hansenで定義され、van Klevelen and Hoftyzer法で算出される溶解度パラメータδの双極子間力項δp,polymerが5.0〜6.0[(J/cm1/2]であり、前記溶解度パラメータδの水素結合力項δh,polymerが9.0〜9.9[(J/cm1/2]であることを特徴とする、徐放性粒子の製造方法
である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の徐放性粒子の製造方法は、乳化された疎水性溶液の重合性ビニルモノマーを、重合開始剤の存在下、ミニエマルション重合して、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメートを含有する平均粒子径1μm未満の重合体を生成することにより、本発明の徐放性粒子を得るので、徐放性粒子は、分散性に優れる。
【0012】
さらに、本発明の徐放性粒子では、重合体は、Hansenで定義され、van Klevelen and Hoftyzer法で算出される溶解度パラメータδの双極子間力項δp,polymerが5.0〜6.0[(J/cm1/2]に、溶解度パラメータδの水素結合力項δh,polymerが9.0〜9.9[(J/cm1/2]に設定されるので、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメートとの相溶性がより一層顕著に優れている。その結果、重合体において、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメートが均一に存在するように、重合体が3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメートを含有する。
【0013】
そのため、本発明の徐放性粒子は、優れた徐放性と、優れた分散性とを有する徐放性粒子として、種々の工業製品に用いることができる。
【0014】
また、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメートがミニエマルション重合におけるハイドロホーブを兼用することができるので、別途、ハイドロホーブを配合することなく、簡易に、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメートを含有する平均粒子径1μm未満の重合体を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施例2の徐放性粒子のSEM写真の画像処理図を示す。
図2図2は、実施例2の徐放性粒子のSEM写真の画像処理図を示す。
図3図3は、実施例2の徐放性粒子のTEM写真の画像処理図を示す。
図4図4は、実施例2の徐放性粒子のTEM写真の画像処理図を示す。
図5図5は、実施例1、2および比較例3の徐放性試験のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の徐放性粒子は、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート(以下、単にIPBCという場合がある。)を疎水性の重合性ビニルモノマーで溶解することにより、疎水性溶液を調製し、別途、水と乳化剤とを配合して乳化剤水溶液を調製し、続いて、疎水性溶液を乳化剤水溶液中に乳化し、その後、重合性ビニルモノマーを、重合開始剤の存在下、ミニエマルション重合して、IPBCを含有する重合体を生成することにより得られる。
【0017】
IPBCは、ヨウ素系の抗生物活性化合物(例えば、防かび剤)である。
【0018】
IPBCは、ミニエマルション重合におけるハイドロホーブ(コスタビライザー)として作用し、具体的には、ミニエマルション重合におけるミニエマルション(後述)の安定化に寄与することにより、オストワルド熟成を防止して、ミニエマルション粒子の肥大化(粒子径の増大)を抑制する。
【0019】
IPBCは、実質的に疎水性であって、例えば、水に対する室温(20〜30℃、より具体的には、25℃)における溶解度が極めて小さく、具体的には、室温の溶解度が、質量基準で、0.015質量部/水100質量部(150ppm)である。
【0020】
また、IPBCは、Klevelen and Hoftyzer法で算出される溶解度パラメータδの双極子間力項δp,IPBCが、3.23であり、溶解度パラメータδの水素結合力項δh,IPBCが、7.83である。
【0021】
なお、溶解度パラメータδの双極子間力項δp,IPBCおよび水素結合力項δh,IPBCは、Hansenで定義され、van Klevelen and Hoftyzer法で算出され、具体的には、特開2011−79816号公報に詳述されている。
【0022】
なお、各項δ(δおよびδ)の添字IPBCは、IPBCを示し、後述する重合体、第1モノマーのモノマー単位(モノマーユニット)および第2モノマーのモノマー単位(モノマーユニット)についても、同様である。
【0023】
重合性ビニルモノマーは、例えば、重合性の炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ分子内に有する重合性モノマーであって、重合により得られる重合体の双極子間力項δp,polymerおよび水素結合力項δh,polymerが所望の範囲となるように選択される。
【0024】
重合性ビニルモノマーとしては、例えば、第1モノマーが挙げられる。
【0025】
第1モノマーは、それから得られる重合体を構成するモノマー単位(後述)の溶解度パラメータδの双極子間力項δp,1st monomer unit(s)が、例えば、5.6〜6.0[(J/cm1/2]、好ましくは、5.7〜6.0[(J/cm1/2]であり、溶解度パラメータδの水素結合力項δh,1st monomer unit(s)が、例えば、9.2〜9.9[(J/cm1/2]、好ましくは、9.2〜9.8[(J/cm1/2]である。
【0026】
なお、第1モノマーから得られる重合体を構成するモノマー単位の溶解度パラメータδの双極子間力項δp,1st monomer unit(s)および水素結合力項δh,1st monomer unit(s)を、以下、単に「第1モノマーに基づくモノマー単位の双極子間力項δp,1st monomer unit(s)および水素結合力項δh,1st monomer unit(s)」とそれぞれいう場合がある。第1モノマーに基づくモノマー単位については、後述する。
【0027】
第1モノマーは、重合性ビニルモノマーに主成分として含有される主モノマーであり、例えば、得られる重合体のIPBCに対する相溶性が高くなるように選択される相溶性モノマーが挙げられる。第1モノマーとして、具体的には、メタクリル酸メチル(MMA)、エチレングリコールジメタクレート(EGDMA)などが挙げられ、さらに好ましくは、MMAが挙げられる。
【0028】
具体的には、第1モノマーは、好ましくは、少なくともMMAを必須成分として含有する。
【0029】
第1モノマーは、単独使用または2種以上併用することができる。好ましくは、MMAの単独使用、MMAおよびEGDMAの併用が挙げられ、さらに好ましくは、MMAの単独使用が挙げられる。
【0030】
第1モノマーとしてMMAおよびEGDMAのみが併用されて使用される場合におけるMMAの配合割合は、第1モノマーに対して、例えば、50質量%以上、好ましくは、60質量%以上、さらに好ましくは、70質量%以上、さらには、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、98質量%以上が好ましく、また、100質量%未満でもある。また、第1モノマーとしてMMAおよびEGDMAのみが併用されて使用される場合におけるEGDMAの配合割合は、第1モノマーに対して、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下、さらに好ましくは、30質量%以下、さらには、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、2質量%以下が好ましく、また、0質量%超でもある。
【0031】
ミニエマルション粒子の表面積(界面面積)のミニエマルション粒子体積に対する比(表面積/体積)は、平均粒子径に反比例し、かつ、ミニエマルション粒子の平均粒子径が1μm未満(後述)であることから、IPBCは水相へ漏出し易くなる傾向にある。特に、IPBCに重合体が相溶状態であっても、得られる重合体の架橋などにより単位体積における重合体密度が高い場合には、重合体に対してIPBCが相溶する量(割合)が低下し、ミニエマルション重合中、重合後の冷却中、あるいは、冷却後数日以内にIPBCの結晶が一部析出する場合がある。
【0032】
しかしながら、第1モノマーとしてMMAおよびEGDMAのみが併用して使用される場合、MMAの配合割合が上記した下限以上であれば、架橋密度が低いので、重合体に対してIPBCが相溶する量(割合)が十分となる。そのため、上記した相溶性する量の低下を有効に防止して、IPBCの析出を有効に防止することができる。
【0033】
次に、第1モノマーに基づくモノマー単位の双極子間力項δp,1st monomer unit(s)および水素結合力項δh,1st monomer unit(s)について、第1モノマーとしてMMAが単独使用される場合、および、第1モノマーとしてMMAおよびEGDMAのみが併用されて使用される場合を例示にとってそれぞれ説明する。
【0034】
1.双極子間力項δおよび水素結合力項δの定義
双極子間力項δおよび水素結合力項δの定義は、特開2011−79816号公報に記載の通りであり、具体的には、下記式(1)および(2)でそれぞれ示される。
【0035】
【数1】
【0036】
(式中、Fは、分子間力の双極子間力要素(ポーラー・コンポーネント・オブ・ザ・モーラー・アトラクション・ファンクション(polar component of the molar attraction function)、Vはモル体積である。)
【0037】
【数2】
【0038】
(式中、Eは、分子間力の水素結合力の要素(コントリビューション・オブ・ザ・ハイドロジェン・ボンディング・フォーセズ・ツー・ザ・コーヘシヴ・エナジー(contribution of the hydrogen bonding forces to the cohesive energy)、Vはモル体積である。)
2.第1モノマーとしてMMAが単独使用される場合
(1)ポリメタクリル酸メチル(PMMA)の構造式
MMAの重合体であるPMMAは、下記式(3)で表される。
【0039】
【化1】
【0040】
(式中、nは、重合度を示す。)
(2)双極子間力項δp,monomer unit (=双極子間力項δp,MMA unit
上記式(3)のモノマー単位(−CH−C(CH)COOCH−)において、各原子団に対応するFおよびVを以下に記載する。
−CH:0(J1/2・cm3/2・mol−1
V:33.5(cm・mol)
−CH− F:0(J1/2・cm3/2・mol−1
V:16.1(cm・mol)
>C< F:0(J1/2・cm3/2・mol−1
V:−19.2(cm・mol)
−COO− F:490(J1/2・cm3/2・mol−1
V:18(cm・mol)
従って、モノマー単位の双極子間力項δp,monomer unit(双極子間力項δp,MMA unit)は、下記式(4)に示すように、5.98[(J/cm1/2]と算出される。
【0041】
【数3】
【0042】
なお、上記したモノマー単位の双極子間力項δp,MMA unitは、モノマー単位の繰り返し構造であるポリメタクリル酸メチルの双極子間力項δp,PMMAと同値である。
(3)水素結合力項δh,monomer unit(水素結合力項δh,MMA unit
上記式(3)のモノマー単位(−CH−C(CH)COOCH−)において、各原子団に対応するEを以下に記載する。
−CH:0(J・mol−1
−CH− E:0(J・mol−1
>C< E:0(J・mol−1
−COO− E:7000(J・mol−1
従って、モノマー単位の水素結合力項δh,monomer unit(水素結合力項δh,MMA unit)は、下記式(5)に示すように、9.25[(J/cm1/2]と算出される。
【0043】
【数4】
【0044】
上記したモノマー単位の水素結合力項δh,MMA unitは、モノマー単位の繰り返し構造であるPMMAの水素結合力項δh,PMMAと同値である。
【0045】
3.第1モノマーとしてMMAおよびEGDMAのみが併用されて使用される場合
第1モノマーが複数種類のモノマーが併用されて使用される場合には、各モノマーに基づくモノマー単位の双極子間力項δp,1st monomer unitに、各モノマーの質量比を乗じて、それらを足し合わせること(相加平均)により、第1モノマー全体から得られる共重合体を構成するモノマー単位の双極子間力項δp,1st monomer unitsを算出する。
【0046】
また、各モノマーに基づくモノマー単位の水素結合力項δh,1st monomer unitに、モノマーの質量比を乗じて、それらを足し合わせること(相加平均)により、第1モノマー全体から得られる共重合体を構成するモノマー単位の水素結合力項δh,monomer unitsを算出する。
【0047】
次に、共重合体の一例として、MMAおよびEGDMAを、質量比で94:6で含む第1モノマーの共重合体であるポリ(メタクリル酸メチル−エチレングリコールジメタクリレート)(P(MMA−EGDMA))を挙げて、モノマー単位の溶解度パラメータδの双極子間力項δp,1st monomer unitsおよび水素結合力項δh,1st monomer unitsを算出する方法を説明する。
(1)双極子間力項δp,1st monomer units
MMAのモノマー単位の双極子間力項δp,MMA unitは、上記で算出したように、5.98[(J/cm1/2]である。
【0048】
また、EGDMAのモノマー単位の双極子間力項δp,EDGMA unitは、上記と同様に算出することにより、5.37[(J/cm1/2]である。
【0049】
そして、これら第1モノマーに基づくモノマー単位の双極子間力項δp,1st monomer unitsは、下記式(6)のように算出される。
δp,1st monomer units=(94/100)δp、MMA unit+(6/100)δp、EGDMA unit
=(94/100)×5.98+(6/100)×5.37
=5.95[(J/cm1/2] (6)
なお、この値は、ポリ(メタクリル酸メチル−エチレングリコールジメタクリレート)の双極子間力項δp,P(MMA−EGDMA)と同値である。
(2)水素結合力項δh,1st monomer units
MMAのモノマー単位の水素結合力項δh,MMA unitは、9.25[(J/cm1/2]である。
【0050】
また、EGDMAのモノマー単位の水素結合力項δh,EGDMAは、10.42[(J/cm1/2]である。
【0051】
そして、この第1モノマーの水素結合力項δh,1st monomer unitsは、下記式(7)のように算出される。
δh,1st monomer units=(94/100)δh,1st monomer unit+(6/100)δh,EGDMA unit
=(94/100)×9.25+(6/100)×10.42
=9.32[(J/cm1/2] (7)
なお、この値は、共重合体であるポリメタクリル酸メチル−エチレングリコールジメタクリレートの水素結合力項δh,PMMA−EGDMAと同値である。
【0052】
なお、第1モノマーに基づくモノマー単位の双極子間力項δp,1st monomer unit(s)および水素結合力項δh,1st monomer unit(s)の算出方法は、特開2011−79816号公報に詳述されている。
【0053】
上記から、第1モノマーの溶解度パラメータδ(双極子間力項δp,2nd monomer unitsおよび水素結合力項δh,2nd monomer units)は、異なる種類が併用される場合には、第1モノマー全体(つまり、異なる種類の混合物)として算出される値である。
【0054】
そして、第1モノマーの配合割合は、重合性ビニルモノマーに対して、例えば、50質量%以上、好ましくは、70質量%以上、さらに好ましくは、75質量%以上、とりわけ好ましくは、80質量%以上、さらには、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、98質量%以上が好ましく、また、100質量部%以下でもある。
【0055】
また、重合性ビニルモノマーは、第2モノマーを含有することもできる。
【0056】
第2モノマーは、第1モノマーとともに併用され、重合性ビニルモノマーに任意的に含有される副モノマーであり、具体的には、第1モノマーと共重合可能であり、第1モノマーとの共重合体の双極子間力項δp,polymerおよび水素結合力項δh,polymerが所望の範囲となるように選択される。
【0057】
第2モノマーとしては、例えば、MMAを除く(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、(メタ)アクリル酸系モノマー、芳香族系ビニルモノマー、ビニルエステル系モノマー、マレイン酸エステル系モノマー、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、窒素含有ビニルモノマー、EGDMAを除く架橋性モノマーなどが挙げられる。
【0058】
第2モノマーを重合性ビニルモノマーに配合することにより、第1モノマーとの共重合によって生成する共重合体のガラス転移温度を低下させる場合には、そのような共重合体は、架橋密度を、第1モノマーの単独重合によって生成する単独重合体に比べて、高めることが可能である。すなわち、第1モノマーおよび第2モノマーが併用されて使用され、かつ、第1モノマーのMMAおよびEGDMAが併用されて使用される場合におけるEGDMAの配合割合は、重合性ビニルモノマーに対して、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上、さらに好ましくは、20質量%以上、とりわけ好ましくは、30質量%以上であり、また、例えば、60質量%以下、好ましくは、50質量%以下、さらに好ましくは、40質量%以下でもある。
【0059】
また、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーも、上記した第1モノマーとの共重合体がIPBCに対する相溶性が比較的高いことから、相溶性モノマーとされる。
【0060】
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、例えば、メタクリル酸エステル(MMAを除く)および/アクリル酸エステルであって、具体的には、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどのアルキル部分の炭素数1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(MMAを除く)や、例えば、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどが挙げられる。好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(MMAを除く)が挙げられる。
【0061】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、さらに好ましくは、炭素数2以上のアルキル部分を有するアクリル酸アルキルエステル、とりわけ好ましくは、アクリル酸エチル、また、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso−プロピルなどのアクリル酸プロピル、さらには、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、アクリル酸tert−ブチルなどのアクリル酸ブチルなどが挙げられる。また、メタクリル酸アルキルエステルとして、さらに好ましくは、炭素数4以上のアルキル部分を有するメタクリル酸アルキルエステル、とりわけ好ましくは、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸iso−ブチル、メタクリル酸tert−ブチルなどのメタクリル酸ブチルが挙げられる。
【0062】
(メタ)アクリル酸系モノマーとしては、例えば、メタクリル酸、アクリル酸などが挙げられる。(メタ)アクリル酸系モノマーは、第1モノマーとの共重合体により形成する乳濁液のコロイド安定性を高める働きがあり、この効果を得るために必要により配合される。
【0063】
芳香族系ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
【0064】
ビニルエステル系モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどが挙げられる。
【0065】
マレイン酸エステル系モノマーとしては、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
【0066】
ハロゲン化ビニルとしては、例えば、塩化ビニル、フッ化ビニルなどが挙げられる。
【0067】
ハロゲン化ビニリデンとしては、例えば、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどが挙げられる。
【0068】
窒素含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、N−フェニルマレイミド、ビニルピリジンなどが挙げられる。
【0069】
架橋性モノマー(EGDMAを除く)としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのモノまたはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(EGDMAを除く)、例えば、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどのアルカンジオールジ(メタ)アクリレート、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレート、例えば、アリル(メタ)メタクリレート、トリアリル(イソ)シアヌレートなどのアリル系モノマー、例えば、ジビニルベンゼンなどのジビニル系モノマーなどが挙げられる。
【0070】
重合性ビニルモノマーとして、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーが挙げられる。
【0071】
第2モノマーは、溶解度パラメータδの双極子間力項δp,2nd monomer unit(s)が、例えば、3.0〜6.0[(J/cm1/2]、好ましくは、3.5〜6.0[(J/cm1/2]であり、溶解度パラメータδの水素結合力項δh,2nd monomer unit(s)が、例えば、7.0〜10.0[(J/cm1/2]、好ましくは、7.2〜9.5[(J/cm1/2]である。
【0072】
なお、第2モノマーの溶解度パラメータδ(双極子間力項δp,2nd monomer unitsおよび水素結合力項δh,2nd monomer units)は、異なる種類が併用される場合には、第2モノマー全体(つまり、異なる種類の混合物)として算出される値である。そのような算出方法は、上記した第1モノマー全体と同様である。
【0073】
第2モノマーの配合割合は、重合体の溶解度パラメータδ(双極子間力項δp,polymerおよび水素結合力項δh,polymer)が、第1モノマーの溶解度パラメータδ、その配合割合、第2モノマーの溶解度パラメータδおよびその配合割合から算出される(特開2011−79816号公報参照)ことから、適宜設定され、具体的には、重合性ビニルモノマーに対して、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下、さらに好ましくは、38質量%以下、さらには、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、2質量%以下が好ましく、また、0質量%を超過する。
【0074】
第2モノマーの配合割合が上記した上限を超える場合には、共重合体とIPBCとの相溶性が低下することがあり、その場合には、ミニエマルション重合中、重合後の冷却中、あるいは、冷却後数日以内にIPBCの結晶が一部析出する場合がある。
【0075】
上記した重合性ビニルモノマーは、実質的に疎水性であって、例えば、水に対する室温における溶解度が極めて小さく、具体的には、室温における溶解度が、例えば、8質量部/水100質量部以下、好ましくは、5質量部/水100質量部以下、さらに好ましくは、3質量部/水100質量部以下である。なお、重合性ビニルモノマーは、異なる種類が併用される場合(例えば、第1モノマーおよび第2モノマーが併用される場合や、例えば、異なる種類の第1モノマーが併用される場合)には、重合性ビニルモノマー全体(つまり、異なる種類の重合性ビニルモノマーの混合物)として実質的に疎水性である。
【0076】
そして、ミニエマルション重合により得られる重合性ビニルモノマーは、その重合体に関し、溶解度パラメータδの双極子間力項δp,polymerが、5.0〜6.0[(J/cm1/2]、好ましくは、5.1〜6.0[(J/cm1/2]であり、溶解度パラメータδの水素結合力項δh,polymerが、9.0〜9.9[(J/cm1/2]、好ましくは、9.0〜9.8[(J/cm1/2]である。
【0077】
重合体の双極子間力項δp,polymerおよび/または水素結合力項δh,polymerが上記範囲に満たないと、重合体の疎水性が過度に高くなり、IPBCとの十分な相溶性を得ることができない場合があり、たとえ相溶性を得ることができた場合でも、IPBCがミニエマルション重合中に徐放性粒子外へ漏出して、IPBCを十分内包した徐放性粒子の合成が困難となる場合がある。
【0078】
一方、重合体の双極子間力項δp,polymerおよび/または水素結合力項δh,polymerが上記範囲を超えると、重合体の親水性が過度に高くなり、IPBCとの十分な相溶性が得ることができない場合があり、たとえ相溶性を得ることができたとしても、ミニエマルション重合における水相との界面自由エネルギーが低くなり、IPBCがミニエマルション重合中に徐放性粒子外へ漏出して、IPBCを十分内包した徐放性粒子の合成が困難となる場合がある。
【0079】
さらに、溶解度パラメータδにおいて、重合体の双極子間力項δp,polymerからIPBCの双極子間力項δp,IPBC(=3.23)を差し引いた値Δδ(=δp,polymer−δp,IPBC)は、例えば、0〜3[(J/cm1/2]、好ましくは、1〜3[(J/cm1/2]である。
【0080】
また、重合体の水素結合力項δh,polymerからIPBCの水素結合力項δh,IPBC(=7.83)を差し引いた値Δδ(=δh,polymer−δh,IPBC)は、例えば、0〜3[(J/cm1/2]、好ましくは、1〜3[(J/cm1/2]である。
【0081】
ΔδおよびΔδが上記した範囲内にあれば、IPBCおよび重合体の優れた相溶性を確保して、優れた徐放性を確保することができる。
【0082】
IPBCの双極子間力項δp,IPBCおよび水素結合力項δh,IPBCが上記した値であって、重合体の双極子間力項δp,polymerおよび水素結合力項δh,polymerが上記した範囲内であれば、IPBCは、ミニエマルション重合中、徐放性粒子から漏出せずに重合体と相溶していると定義される。
【0083】
乳化剤は、ミニエマルション重合で通常用いられる乳化剤が挙げられ、例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ノニルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物ナトリウム塩などのアニオン系乳化剤が挙げられる。
【0084】
また、乳化剤として、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシアルキレンアラルキルアリールエーテル、ポリオキシアルキレンブロックコポリマー、ポリオキシアルキレンアリールエーテルなどのノニオン系乳化剤が挙げられる。
【0085】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどが挙げられる。
【0086】
ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどが挙げられる。
【0087】
ポリオキシアルキレンアラルキルアリールエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(例えば、ノイゲンEA−177(第一工業製薬社製))などが挙げられる。
【0088】
ポリオキシアルキレンブロックコポリマーとしては、例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーなどが挙げられる。
【0089】
ポリオキシアルキレンアリールエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンアリールエーテルなどが挙げられる。
【0090】
ノニオン系乳化剤のHLBは、例えば、11〜20、好ましくは、12〜19、さらに好ましくは、13〜18である。
【0091】
なお、HLBは、下記式(1)で示されるグリフィンの式によって計算される。
【0092】
HLB=20×(親水部の式量の総和/分子量) (1)
ノニオン系乳化剤としては、好ましくは、ポリオキシアルキレンアラルキルアリールエーテルが挙げられる。
【0093】
乳化剤は、単独使用または2種以上併用することができる。好ましくは、アニオン系乳化剤およびノニオン系乳化剤の併用が挙げられ、さらに好ましくは、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムおよびポリオキシアルキレンアラルキルアリールエーテルの併用が挙げられる。
【0094】
アニオン系乳化剤およびノニオン系乳化剤が併用される場合には、アニオン系乳化剤の配合割合が、乳化剤に対して、例えば、10〜60質量%、好ましくは、15〜50質量%であり、ノニオン系乳化剤の配合割合が、乳化剤に対して、例えば、40〜90質量%、好ましくは、50〜85質量%である。
【0095】
なお、乳化剤は、予め水に適宜の割合で配合して溶解させ、乳化剤含有水溶液として調製することもできる。乳化剤含有水溶液における乳化剤の配合割合は、例えば、10〜90質量%、好ましくは、20〜80質量%である。
【0096】
重合開始剤は、ミニエマルション重合で通常用いられる重合開始剤が挙げられ、例えば、油溶性重合開始剤、水溶性重合開始剤などが挙げられる。
【0097】
油溶性重合開始剤としては、例えば、ジラウロイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキシドなどの油溶性有機過酸化物、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などの油溶性アゾ化合物などが挙げられる。
【0098】
水溶性重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩などの水溶性アゾ化合物、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩化合物、例えば、過酸化水素などの水溶性無機過酸化物、例えば、tert−ブチルパーオキサイド、クメンパーオキサイドなどの水溶性有機過酸化物などが挙げられる。さらに、水溶性重合開始剤として、例えば、水溶性アゾ化合物を除く水溶性重合開始剤と、アスコルビン酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウムなどの水溶性還元剤とを組み合わせたレドックス系水溶性重合開始剤なども挙げられる。
【0099】
重合開始剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0100】
好ましくは、油溶性重合開始剤、さらに好ましくは、油溶性有機過酸化物が挙げられる。
【0101】
そして、本発明の徐放性粒子の製造方法では、まず、IPBCを疎水性の重合性ビニルモノマーで溶解することにより、疎水性溶液を調製する。
【0102】
すなわち、IPBCおよび重合性ビニルモノマーを配合して、それらを均一に攪拌することにより、疎水性溶液を得る。
【0103】
なお、疎水性溶液は、例えば、IPBCを溶解できる溶剤(ヘキサン、トルエン、酢酸エチルなどの疎水性の有機溶剤)、および/または、ハイドロホーブ(セチルアルコール、ヘキサデカンなどのコスタビライザー)を配合することなく、調製される。これにより、環境負荷を低減することができる。
【0104】
IPBCの重合性ビニルモノマーに対する配合割合は、質量基準(つまり、IPBCの質量部/重合性ビニルモノマーの質量部)で、例えば、0.01〜1.5、好ましくは、0.05〜1.0である。
【0105】
疎水性溶液の調製は、例えば、常温で実施してもよく、あるいは、IPBCの重合性ビニルモノマーに対する溶解速度を高めるためには、加熱して実施することもできる。
【0106】
加熱温度は、例えば、30〜100℃、好ましくは、40〜80℃である。
【0107】
また、疎水性溶液の調製において、重合開始剤として油溶性重合開始剤が用いられる場合には、IPBCおよび重合性ビニルモノマーとともに、油溶性重合開始剤を配合する。油溶性重合開始剤の配合は、好ましくは、常温で実施する。IPBCおよび重合性ビニルモノマーを配合して、それらを加熱して、IPBCを重合性ビニルモノマーに溶解させた場合は、その溶液を室温に冷却し、その後、油溶性重合開始剤を配合する。
【0108】
油溶性重合開始剤の配合割合は、重合性ビニルモノマー100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.1質量部以上であり、例えば、5質量部以下、好ましくは、3質量部以下でもある。
【0109】
油溶性重合開始剤の配合割合が上記上限を超える場合には、重合体の分子量が過度に低下する場合があり、上記下限に満たない場合には、転化率が十分に向上せず、未反応の重合性ビニルモノマーが残存する場合がある。
【0110】
また、本発明の徐放性粒子の製造方法では、別途、水と乳化剤とを配合して乳化剤水溶液を調製する。
【0111】
具体的には、水と乳化剤とを配合して、それらを均一に攪拌することにより、乳化剤水溶液を得る。
【0112】
乳化剤の配合割合は、乳化剤が疎水性溶液乳化液滴の全表面に吸着されるに十分な量であり、過剰な乳化剤の存在によりIPBCを含まない新しい重合性ビニルモノマーの乳化重合粒子の発生を抑制する量が選ばれ、乳化剤の種類により異なるが、疎水性溶液に対して、例えば、乳化剤の有効成分量として、例えば、0.1〜20質量%、好ましくは、0.2〜10質量%である。
【0113】
乳化剤水溶液の調製は、例えば、常温で実施してもよく、あるいは、必要に応じて、加熱して実施することもできる。
【0114】
加熱温度は、例えば、40〜100℃、好ましくは、60〜80℃である。
【0115】
なお、乳化剤水溶液の調製において、重合開始剤として水溶性重合開始剤が用いられる場合には、水および乳化剤とともに、水溶性重合開始剤を配合する。水溶性重合開始剤の配合は、好ましくは、常温で実施する。水および乳化剤を配合して、それらを加熱して、乳化剤を水に溶解させた場合は、その水溶液を室温に冷却し、その後、水溶性重合開始剤を配合する。
【0116】
水溶性重合開始剤の配合割合は、水100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.1質量部以上であり、例えば、5質量部以下、好ましくは、3質量部以下でもある。
【0117】
水溶性重合開始剤の配合割合が上記上限を超える場合には、重合体の分子量が過度に低下する場合があり、上記下限に満たない場合には、転化率が十分に向上せず、未反応の重合性ビニルモノマーが残存する場合がある。
【0118】
本発明の徐放性粒子の製造方法では、次いで、疎水性溶液を乳化剤水溶液中に乳化する。
【0119】
具体的には、疎水性溶液を乳化剤水溶液に配合し、それらに高い剪断力を与えることにより、疎水性溶液を乳化剤水溶液中に乳化させて、ミニエマルションを調製する。
【0120】
疎水性溶液の乳化では、例えば、ホモミキサー(ホモミクサー)、超音波ホモジナイザー、加圧式ホモジナイザー、マイルダー、多孔膜圧入乳化機などの乳化機が用いられ、好ましくは、ホモミキサーが用いられる。
【0121】
攪拌条件は、適宜設定され、ホモミキサーを用いる場合には、その回転数を、例えば、6000rpm以上、好ましくは、8000rpm以上、さらに好ましくは、10000rpm以上に、例えば、30000rpm以下に設定する。
【0122】
回転数が上記下限に満たない場合には、粒子径1μm未満のミニエマルション粒子が形成されない場合がある。
【0123】
攪拌時間は、例えば、1分間以上、好ましくは、2分間以上であり、また、1時間以下でもある。
【0124】
また、ミニエマルションの調製は、例えば、常温で実施してもよく、あるいは、加熱して実施することもできる。好ましくは、ミニエマルションの調製は、常温で実施する。
【0125】
なお、乳化時に、加熱することもできる。加熱温度は、例えば、重合開始剤が分解する温度未満であり、具体的には、30℃以上50℃以下、好ましくは、35℃以上40℃以下である。
【0126】
疎水性溶液の配合割合は、乳化剤水溶液100質量部に対して、例えば、10〜1500質量部、好ましくは、25〜90質量部である。
【0127】
上記の方法により、疎水性溶液のミニエマルションを調製する。なお、疎水性溶液のミニエマルションは、乳化剤が、ミニエマルション粒子(疎水性溶液乳化液滴)に吸着しており、水媒体中に、平均粒子径1μm未満の疎水性溶液のミニエマルション粒子が形成されている。
【0128】
ミニエマルション粒子の平均粒子径(メジアン径、後述)は、例えば、1μm未満、好ましくは、750nm以下、さらに好ましくは、500nm以下、とりわけ好ましくは、300nm以下に、また、例えば、50nm以上に調節される。
【0129】
なお、このミニエマルション粒子の表面には、乳化剤が吸着されており、それによって、ミニエマルションが安定化されている。
【0130】
そのため、攪拌により調製されたミニエマルションを、調製して静置した後、次のミニエマルション重合に供することもできる。その場合には、静置時間を、例えば、24時間以上にすることもできる。
【0131】
ミニエマルション粒子の平均粒子径は、経時的に実質的に変化しないか、あるいは、変化率が極めて小さい。
【0132】
具体的には、ミニエマルションの調製から20分経過(室温にて静置)後の平均粒子径に対する、調製から24時間経過(室温にて静置)後の平均粒子径の比(調製から24時間経過後の平均粒子径/調製から20分間経過後の平均粒子径)が、例えば、0.9〜1.1、好ましくは、0.95〜1.05である。
【0133】
本発明では、その後、乳化された疎水性溶液の重合性ビニルモノマーを、重合開始剤の存在下、ミニエマルション重合して、重合体を生成する。
【0134】
このミニエマルション重合は、原料となる重合性ビニルモノマーがすべてミニエマルション粒子(疎水性液相)のみにあることから、インサイチュ(in situ)重合である。
【0135】
すなわち、ミニエマルション重合は、ミニエマルションを攪拌しながら加熱することにより、重合性ビニルモノマーがそのまま、ミニエマルション粒子中で重合を開始し、重合体が生成する。
【0136】
攪拌は、例えば、攪拌羽根を有する攪拌器によって実施でき、ミニエマルションへの均一な熱伝導、ミニエマルション粒子の器壁固着、ミニエマルション表面でのミニエマルションの滞留膜張りを制御するに十分なかき混ぜ効果が実現できればよく、過剰な攪拌はミニエマルション粒子の凝集の原因となる。攪拌速度は、攪拌羽根の周速が、例えば、10m/分以上、好ましくは、20m/分以上であり、また、400m/分以下、好ましくは200m/分以下でもある。
【0137】
加熱条件では、加熱温度が、例えば、IPBCの融点(60℃)以上であり、具体的には、40〜100℃、好ましくは、60〜80℃である。なお、IPBCが重合体と相溶している状態でミニエマルション重合が進行することから、少なくとも重合末期、好ましくは、重合初期から、加熱温度が、IPBCの融点以上、すなわち、60℃以上であることが必要である。また、加熱時間は、例えば、2〜12時間、好ましくは、3〜8時間である。さらに、所定温度に加熱後、その温度を所定時間維持し、その後、加熱および温度維持を繰り返すことにより、段階的に加熱することもできる。なお、IPBCが加熱より、黄褐色に着色する傾向があり、加熱条件は重合性ビニルモノマーから重合体への転化率が98%以上、好ましくは99%以上となる場合には、60℃以上の温度範囲において、好ましくは、できるだけ低温かつ短時間に設定される。
【0138】
重合末期で残留する重合性ビニルモノマーを低減するには、水相中に飽和溶解している重合性ビニルモノマーを重合させるために、水溶性重合開始剤(水溶性アゾ化合物を除く)および水溶性還元剤を添加することもできる。
【0139】
水溶性重合開始剤(水溶性アゾ化合物を除く)としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩化合物、例えば、ターシャリーブチルパーオキシド、クメンヒドロキシパーオキシドなどの有機過酸化物(水溶性有機過酸化物)、例えば、過酸化水素などの無機過酸化物などが挙げられる。
【0140】
水溶性還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、2価鉄塩、1価銅塩、アミン類などが挙げられる。
【0141】
水溶性重合開始剤の配合割合は、重合性ビニルモノマー100質量部に対して、例えば、0.01〜0.5質量部であり、また、水溶性還元剤の配合割合は、水溶性重合開始剤100質量部に対して、例えば、0.01〜0.5質量部である。
【0142】
そして、ミニエマルション重合は、上記したように、重合プロセスがインサイチュ重合である点で、重合プロセスが、インサイチュ重合でなく、重合性ビニルモノマーが物質移動して重合する乳化重合と、明らかに相違する。
【0143】
具体的に、乳化重合は、水相中で、乳化剤、重合性ビニルモノマーおよび重合開始剤(ラジカル重合開始剤)の存在下、攪拌を行い、ラジカル重合開始剤が分解して生成したラジカルにより重合を開始させる。このとき、重合性ビニルモノマーは、以下の3つの状態で存在する。つまり、(1)乳化剤のミセル中に可溶化された状態(平均粒子径数十nm未満の状態)、(2)水相中に溶解した状態、(3)油滴として存在する状態(粒子径数μm以上)の3つの状態で重合性ビニルモノマーが存在する。
【0144】
そして、ラジカル重合開始剤の分解により生成したラジカルは、この3つ状態の重合性ビニルモノマーに衝突・侵入し、重合性ビニルモノマーに付加して重合を開始させる可能性があるが、上記した(1)重合性ビニルモノマーを可溶化した乳化剤のミセルは、上記した(3)重合性ビニルモノマーの油滴より、粒子の数が圧倒的に多く、そのため、表面積が大きくて、ラジカルの侵入確率が高いため、(1)乳化剤のミセルの中で重合が開始して、重合体粒子を形成する。なお、重合性ビニルモノマーとして水溶性の高い重合性ビニルモノマーを使用する場合には、上記した(2)水相中に溶解したビニルモノマーへのラジカル付加も併せて起こり、生成した重合体が水相に溶解できず析出した時点で乳化剤により安定化され、重合体粒子が生成する。このような開始反応も乳化重合のプロセスで観察される。
【0145】
そして、乳化重合が開始すると、(3)重合性ビニルモノマーの油滴から水相中に重合性ビニルモノマーが溶解し、次いで、重合性ビニルモノマーが重合体粒子に移動し、重合が進行する。すなわち、重合の場は、重合体粒子であり、重合性ビニルモノマーの油滴は、重合性ビニルモノマーの供給源としての役割を担うのみであり、その場で重合、つまり、インサイチュ重合は起こらない。
【0146】
これに対して、ミニエマルション重合は、乳化剤およびハイドロホーブ(コスタビライザー)の存在下、ホモミキサー(ホモミクサー)、高圧ホモジナイザー、超音波照射などによって水相中の重合性ビニルモノマーの油滴に高剪断力を与えることによって粒子径1μm未満、好ましくは、0.5μm未満に微小化し、重合開始剤(ラジカル重合開始剤)が油溶性である場合には、その微小でかつ安定な重合性ビニルモノマーの油滴内で、重合開始剤が分解して生成したラジカルにより、あるいは、重合開始剤が水溶性である場合には、ラジカルが水相から油滴に侵入して、侵入したラジカルにより、重合が開始し、ラジカル重合が進行する重合法である。
【0147】
詳しくは、微小な重合性ビニルモノマーの油滴は、例えば、乳化剤としてアニオン系乳化剤を採用することにより、安定に存在する。同時に、微小な重合性ビニルモノマーの油滴は、ハイドロホーブ(コスタビライザー)を用いることにより、水相を介してより小さな(微小な)重合性ビニルモノマーの油滴からより大きな重合性ビニルモノマーの油滴への重合性ビニルモノマーの移動による肥大化(オストワルド熟成)を制御することにより、安定に存在する。
【0148】
一方、本発明において、ミニエマルション粒子(IPBCおよび重合性ビニルモノマーからなる微小な油滴)中で重合性ビニルモノマーが重合(ラジカル重合)するミニエマルション重合が進行する。ミニエマルション重合中、重合性ビニルモノマーの重合体は、好ましくは、IPBCに対して相溶している。つまり、重合体がIPBCに溶解されて、重合体のIPBC溶液とされており、そのIPBC溶液粒子が、水中で乳化されている。
【0149】
また、重合性ビニルモノマーは、上記したミニエマルション重合中の重合温度(加熱温度)において、好ましくは、上記したように重合性ビニルモノマーの重合体とIPBCとが相溶するような組み合わせが選択されていることから、ミニエマルション重合中に相分離が生じることを防止して、重合体(反応途中の重合体)がIPBCに溶解し、あるいは、重合体(反応途中の重合体)がIPBCに対して膨潤した状態で反応が進行し、均一相が形成された徐放粒子を得ることができる。
【0150】
一方、ミニエマルション粒子の平均粒子径が、1μm未満と小さいことから、重合性ビニルモノマーが水相中に分子拡散し易いところ、本発明のミニエマルション重合では、IPBCがハイドロホーブとして作用することができるので、上記した分子拡散を有効に防止する結果、オストワルド熟成を防止して、ミニエマルション粒子の肥大化(粒子径の増大)を抑制することができる。
【0151】
その後、重合後の乳濁液を、例えば、放冷などによって冷却する。
【0152】
冷却温度は、例えば、室温(20〜30℃、より具体的には、25℃)である。
【0153】
IPBCは、融点が60℃であるので、冷却により重合性ビニルモノマーの重合体とIPBCの相溶状態が凍結されて、均一な相として徐放性粒子を形成している。
【0154】
徐放性粒子が粉剤(後述)または粒剤(後述)として製剤化される場合には、徐放性粒子が互いに融着することを防止すべく、好ましくは、室温において、硬質のガラス状態とされるように、重合性ビニルモノマーが選択される。
【0155】
このようにして得られる徐放性粒子(重合体)の平均粒子径は、メジアン径で、1μm未満、好ましくは、750nm以下、さらに好ましくは、500nm以下、とりわけ好ましくは、300nm以下であり、また、例えば、10nm以上、好ましくは、50nm以上でもある。
【0156】
これにより、IPBCが均一に存在する徐放性粒子が微分散された乳濁液を得ることができる。
【0157】
そして、徐放性粒子を含む乳濁液に、必要により、その他の分散剤、増粘剤、凍結防止剤、防腐剤、微生物増殖抑制剤、比重調節剤などの公知の添加剤を適宜配合する。
【0158】
このようにして得られた徐放性粒子は、そのままの状態(乳濁液)、つまり、乳濁剤として用いてもよく、また、スプレードライ、または、凍結・融解や、塩析などにより凝集させた後、遠心分離・洗浄・乾燥などによって固液分離を行い、例えば、粉剤または粒剤などの公知の剤型に製剤化して用いてもよい。
【0159】
そして、本発明の徐放性粒子の製造方法は、乳化された疎水性溶液の重合性ビニルモノマーを、重合開始剤の存在下、ミニエマルション重合して、IPBCを含有する平均粒子径1μm未満の重合体を生成することにより、本発明の徐放性粒子を得るので、徐放性粒子は、分散性に優れる。
【0160】
さらに、この徐放性粒子では、重合体は、溶解度パラメータδの双極子間力項δp,polymerが5.0〜6.0[(J/cm1/2]に、溶解度パラメータδの水素結合力項δh,polymerが9.0〜9.9[(J/cm1/2]に設定されるので、IPBCとの相溶性が、より一層顕著に優れている。その結果、重合体において、IPBCが均一に存在するように、IPBCを含有する。
【0161】
そして、徐放性粒子は、平均粒子径が1μm未満であるので、重力に基づく沈降が生じにくく、徐放性粒子のブラウン運動によって、乳濁液中に均一に分散しており、この乳濁液を各種水系媒体中に添加すると、液中に均一に分散させることができる。
【0162】
そのため、本発明の徐放性粒子は、添加された媒体中で平均粒子径1μm未満(サブミクロンサイズ)で均質(均一)に分散することにより、優れた徐放性と、優れた分散性とを有する徐放性粒子として、種々の用途に用いることができる。
【0163】
具体的には、徐放性粒子は、各種の工業製品に適用することができ、例えば、屋内外の塗料、ゴム、繊維、樹脂、プラスチック、接着剤、目地剤、シーリング剤、建材、コーキング剤、土壌処理剤、木材、製紙工程における白水、顔料、印刷版用処理液、冷却用水、インキ、切削油、化粧用品、不織布、紡糸油、皮革などに、抗生物活性(具体的には、防かび性)を発現する添加剤(防かび剤)として添加することができる。なお、これらの工業製品に対する徐放性粒子中のIPBCの添加量は、例えば、10mg/kg〜100g/kg(製品質量)である。
【0164】
また、この徐放性粒子は、乳化剤水溶液に配合される乳化剤と共通する乳化剤が用いられる水性塗料に好適に配合することができる。水性塗料は、屋内外に用いられる水性塗料であって、具体的には、例えば、アクリル系、アクリル−スチレン系、スチレン系、酢酸ビニル系、酢酸ビニル−アクリル系、ポリエステル系、シリコーン系、ウレタン系、アルキッド系、フッ素系の樹脂のエマルションまたは水性樹脂およびこれらの混合物などをビヒクルとする塗料が挙げられ、なかでも、ゼロVOC塗料に配合すれば、環境に優しく、かつ、徐放性粒子の安定性を良好に維持して、効力持続性の向上を、より一層図ることができる。
【0165】
また、IPBCがミニエマルション重合におけるハイドロホーブを兼用することができるので、別途、ハイドロホーブを配合することなく、簡易に、平均粒子径1μm未満の徐放性粒子を生成することができる。
【0166】
また、徐放性粒子の平均粒子径が、750nm以下100nm以上であれば、徐放性粒子の屈折率と媒体の屈折率との間に、例えば、0.2以上の差がある場合には、徐放性粒子と媒体との界面で、光(可視光線、波長360〜760nm)の反射が大きく、媒体に配合された徐放性粒子は、目視で白色に見えるようになる。
【0167】
さらに、徐放性粒子の平均粒子径が、100nm未満であれば、媒体によらず光(可視光線、波長360〜760nm)は徐放性粒子を透過する割合が高くなり、透明感が強くなる。
【0168】
従って、適当な媒体に配合された本発明の徐放性粒子は、IPBCが、実質的に変色しても、目視では変色が抑えられるので、塗料の添加剤として好適に用いることができる。
【実施例】
【0169】
各実施例および各比較例で用いる原料または測定方法の詳細を次に記載する。
【0170】
IPBC:商品名「ファンギトロール400」、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート、分子量281、融点:60℃、水への溶解度:150ppm、溶解度パラメータδの双極子間力項δp,IPBC:3.23[(J/cm1/2]、溶解度パラメータδの水素結合力項δh,IPBC:7.83[(J/cm1/2]、インターナショナル・スペシャリティ・プロダクツ社製
MMA:メタクリル酸メチル、商品名「アクリルエステルM」、水への溶解度:1.6質量%、溶解度パラメータδの双極子間力項δp,1st monomer unit:5.98[(J/cm1/2]、溶解度パラメータδの水素結合力項δh,1st monomer unit:9.25[(J/cm1/2]、三菱レイヨン社製
EGDMA:エチレングリコールジメタクリレート、商品名「ライトエステルEG」、水への溶解度:不溶、溶解度パラメータδの双極子間力項δp,1st monomer unit:5.37[(J/cm1/2]、溶解度パラメータδの水素結合力項δh,1st monomer unit:10.42[(J/cm1/2]、共栄社化学社製
nBMA:メタクリル酸n−ブチル、水への溶解度:0.08質量%、溶解度パラメータδの双極子間力項δp,2nd monomer unit:3.76(J/cm1/2]、溶解度パラメータδの水素結合力項δh,2nd monomer unit:7.33[(J/cm1/2]、三菱レイヨン社製
MA:アクリル酸メチル、水への溶解度:5.7質量%、溶解度パラメータδの双極子間力項δp,2nd monomer unit:7.36[(J/cm1/2]、溶解度パラメータδの水素結合力項δh,2nd monomer unit:10.25[(J/cm1/2]、日本触媒社製
EA:アクリル酸エチル、水への溶解度:1.5質量%、溶解度パラメータδの双極子間力項δp,2nd monomer unit:5.93[(J/cm1/2]、溶解度パラメータδの水素結合力項δh,2nd monomer unit:9.20[(J/cm1/2]、日本触媒社製
nBA:アクリル酸n−ブチル、水への溶解度:0.2質量%、溶解度パラメータδの双極子間力項δp,2nd monomer unit:4.26[(J/cm1/2]、溶解度パラメータδの水素結合力項δh,2nd monomer unit:7.81[(J/cm1/2]、日本触媒社製
SM:スチレン、水に不溶、溶解度パラメータδの双極子間力項δp,2nd monomer unit:1.27[(J/cm1/2]、溶解度パラメータδの水素結合力項δh,2nd monomer unit:0.00[(J/cm1/2
パーロイルL:商品名(「パーロイル」は登録商標)、ジラウロイルパーオキシド、日油社製
ネオコールSW−C:商品名、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(アニオン系乳化剤)の70質量%イソプロパノール溶液、第一工業製薬社製
ノイゲンEA−177:商品名、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(ノニオン系乳化剤、HLB:15.6)、第一工業製薬社製
平均粒子径:下記のサンプルを、下記の測定方法にて評価した。
【0171】
実施例1〜20および比較例4〜6の疎水性溶液分散粒子および徐放性粒子と、比較例1および2の疎水性溶液分散粒子:
粒径アナライザー(FPAR−1000、測定可能平均粒子径3nm〜7μm、ただし、粒子径が数μmを超えて、ブラウン運動に重力の影響が大きくなる領域では測定精度は著しく低下、大塚電子株式会社)を用いる動的光散乱法により、体積基準のメジアン径として測定。
【0172】
疎水性溶液分散粒子については、調製から20分経過後のミニエマルションを測定。
【0173】
徐放性粒子については、100目の濾布で濾過した濾液を測定。
【0174】
比較例3の徐放性粒子:
レーザー回析散乱式粒子径分布測定装置LA−920(測定可能平均粒子径20nm〜2000μm、ただし、粒子径が1μm以下ではミュー散乱の角度依存性がなくなり、測定精度は著しく低下、堀場製作所社製)を用いるレーザー回折法により、100目の濾布で濾過した濾液を、体積基準のメジアン径として測定。
【0175】
実施例1
(ミニエマルション重合による、IPBCを含有する徐放性粒子の製造)
200mLの容器に、IPBC25g、MMA75gおよびパーロイルL 0.5gを仕込み、室温で攪拌することにより、均一な疎水性溶液を調製した。
【0176】
別途、500mLのビーカーに、脱イオン水125.5g、ネオコールSW−C 4.0gおよびノイゲンEA−177の25質量%水溶液20gを仕込み、室温で攪拌することにより、均一な乳化剤水溶液を調製した。
【0177】
次いで、500mLビーカーの乳化剤水溶液に、疎水性溶液を加え、T.K.ホモミクサーMARK2.5型(プライミクス社製)により回転数12000rpmで5分間攪拌することにより、疎水性溶液を乳化剤水溶液中に乳化させて、ミニエマルションを調製した。
【0178】
その後、調製したミニエマルションを、攪拌器、還流冷却器、温度計および窒素導入管を装備した300mLの4口フラスコに移し、窒素気流下、6cm径の攪拌器により回転数125rpm(周速23.6m/分)で攪拌しながら、4口フラスコをウォーターバスにより、昇温して、ミニエマルション重合を実施した。
【0179】
ミニエマルション重合は、55℃到達時点を重合開始とし、その後、60±2℃で1時間、70±2℃で3.5時間、連続して実施した。
【0180】
続いて、ウォーターバスを昇温して、反応液の温度を78±2℃に昇温し、その温度で2.5時間、熟成した。
【0181】
その後、反応液を30℃以下に冷却することにより、IPBCを含有する徐放性粒子の乳濁液を得た。
【0182】
その後、乳濁液を、100目の濾布で濾過した後、濾液中の徐放性粒子のメジアン径を測定したところ、その結果が201nmであった。
【0183】
この乳濁液は、通常のポリマーラテックスと同様に安定したコロイド分散液であり、室温で貯蔵中に徐放性粒子の沈降や相分離の傾向は認められなかった。
【0184】
実施例2、3、7〜9、13および17
表1および表2に準拠して、重合性ビニルモノマーの配合処方を変更した以外は、実施例1と同様に処理して、徐放性粒子を得た。
【0185】
実施例2、3、7〜9、13および17のいずれの乳濁液も、通常のポリマーラテックスと同様に安定したコロイド分散液であり、室温で貯蔵中に粒子の沈降や相分離の傾向は認められなかった。
【0186】
実施例4
(ミニエマルション重合による、IPBCを含有する徐放性粒子の製造)
200mLの容器に、IPBC40g、MMA54g、EGDMA6gおよびパーロイルL 0.5gを仕込み、室温で攪拌することにより、均一な疎水性溶液を調製した。
【0187】
別途、1000mLのビーカーに、脱イオン水275.5g、ネオコールSW−C 4.0gおよびノイゲンEA−177の25質量%水溶液20gを仕込み、室温で攪拌することにより、均一な乳化剤水溶液を調製した。
【0188】
次いで、1000mLビーカーの乳化剤水溶液に、疎水性溶液を加え、T.K.ホモミクサーMARK2.5型(プライミクス社製)により回転数12000rpmで5分間攪拌することにより、疎水性溶液を乳化剤水溶液中に乳化させて、ミニエマルションを調製した。
【0189】
その後、調製したミニエマルションを、攪拌器、還流冷却器、温度計および窒素導入管を装備した500mLの4口フラスコに移し、実施例1と同じ手順により、ミニエマルション重合を実施した。
【0190】
その後、反応液を30℃以下に冷却することにより、IPBCを含有する徐放性粒子の乳濁液を得た。乳濁液を、100目の濾布で濾過した後、濾液中の徐放性粒子のメジアン径を測定したところ、その結果が238nmであった。
【0191】
この乳濁液は、通常のポリマーラテックスと同様に安定したコロイド分散液であり、室温で貯蔵中に粒子の沈降や相分離の傾向は認められなかった。
【0192】
実施例5、6、10〜12,14〜16および18〜20
表1および表2に準拠して、重合性ビニルモノマーの配合処方を変更した以外は、実施例4と同様に処理して、徐放性粒子を得た。
【0193】
実施例5、6、10〜12,14〜16および18〜20のいずれの乳濁液も、通常のポリマーラテックスと同様に安定したコロイド分散液であり、室温で貯蔵中に粒子の沈降や相分離の傾向は認められなかった。
【0194】
比較例1
(乳化剤を配合しなかった水分散液の調製)
乳化剤水溶液の調製において、ネオコールSW−CおよびノイゲンEA−177(以上、乳化剤)を配合しなかった以外は、実施例1と同様に処理して、疎水性溶液の水分散液を調製した。
【0195】
しかし、疎水性溶液からなる油滴は、ミニエマルション粒子として形成されず、そのため、ミニエマルション重合を実施することができなかった。
【0196】
比較例2
(IPBCを配合しなかった水分散液の調製)
疎水性溶液の調製において、IPBC25gおよびMMA75gをMMA100gに置き換えた以外は、実施例1と同様に処理して、疎水性溶液の水分散液を調製した。
【0197】
しかし、疎水性溶液からなる油滴は、平均粒子径が1μm未満のミニエマルション粒子に形成されず、そのため、ミニエマルション重合を実施することができなかった。
【0198】
比較例3
(懸濁重合による、IPBCを含有する徐放性粒子の製造)
200mLの容器に、IPBC25g、MMA67.5g、EGDMA7.5gおよびパーロイルL 0.5gを仕込み、室温で攪拌することにより、均一な疎水性溶液を調製した。
【0199】
別途、500mLのビーカーに、脱イオン水109.3g、PVA−217の10質量%水溶液40gおよびDBNの5%水溶液200mgを仕込み、室温で攪拌することにより、均一な水溶液を調製した。
【0200】
次いで、この500mLのビーカーに、疎水性溶液を加え、T.K.ホモミクサー(プライミクス社製)により回転数3000rpmで10分間攪拌することにより、疎水性溶液を水溶液中に分散させて、懸濁液を調製した。
【0201】
その後、懸濁液を、攪拌器、還流冷却器、温度計および窒素導入管を装備した300mL4口フラスコに移し、窒素気流下、攪拌器により回転数125rpmで攪拌しながら、4口フラスコをウォーターバスにより、昇温して、懸濁重合を実施した。
【0202】
懸濁重合は、55℃到達時点を重合開始とし、その後、60±2℃で1時間、70±2℃で3時間、80±2℃で2時間、連続して反応した。
【0203】
その後、反応後の懸濁液を30℃以下に冷却することにより、IPBCを含有する徐放性粒子の懸濁液を得た。
【0204】
その後、懸濁液のメジアン径を測定したところ、その結果がメジアン径10μmであった。
【0205】
得られた懸濁液を4口フラスコから半透明ポリエチレン容器に移し、室温で数時間静置した時の徐放性粒子の状態を観察したところ、徐放性粒子が沈降して、2層に分離したことが確認された。
【0206】
続いて、室温で3日経過後した時には、沈降した下層が、強く振り混ぜても再分散できないハードケーキが形成されていた。
【0207】
比較例4〜6
表3に準拠して、重合性ビニルモノマーの配合処方を変更した以外は、実施例4と同様に処理して、徐放性粒子の合成を試みた。
【0208】
しかしながら、後述するミニエマルションの重合安定性(表3の100目濾布残存量欄参照)が低く、IPBCの針状結晶が多量に析出し、濾過時に100目濾布上に残存した。そのため、IPBCを十分に内包するミニエマルション重合を実施することができなかった。
【0209】
(配合処方)
各実施例および各比較例における配合処方を表1〜表4に記載する。
【0210】
各表中、原料の配合処方欄の数値は、単位を特に言及しない限り、配合g数を示す。
【0211】
【表1】
【0212】
【表2】
【0213】
【表3】
【0214】
【表4】
【0215】
(評価)
1. ミニエマルションの安定性
(1) 実施例1〜20
実施例1〜20のミニエマルションを室温で所定時間静置した時、疎水性溶液分散粒子(ミニエマルション粒子)のメジアン径を測定した。その結果を以下に示す。
(1−1) 実施例1
調製から20分経過後 194nm
調製から5時間経過後 195nm
調製から24時間経過後 192nm
(1−2) 実施例2
調製から20分経過後 223nm
調製から16時間経過後 223nm
(1−3) 実施例3
調製から20分経過後 231m
調製から5時間経過後 233nm
調製から24時間経過後 233nnm
(1−4) 実施例4〜20
調製から20分経過後のメジアン径の、調製から5時間経過後のメジアン径に対する比は、いずれも0.95〜1.05の範囲内であった。
【0216】
また、調製から20分経過後のメジアン径の、調製から24時間経過後のメジアン径に対する比も、いずれも0.95〜1.05の範囲内であった。
(2)比較例1および2
比較例1および2の水分散液を室温で所定時間静置した時、疎水性溶液分散粒子(油滴)の状態を観察し、あるいは、メジアン径を測定した。その結果を以下に示す。
(2−1) 比較例1
調製から1時間経過後 油滴の肥大化(つまり、油滴の合一、相分離)
(2−2) 比較例2
調製から20分経過後 2.06μm
調製から5時間経過後 2.54μm
調製から24時間経過後 3.31μm
2. 100目濾布残存量
実施例1〜20および比較例4〜6のミニエマルション重合後16時間静置後の反応液を、100目の濾布で濾過し、濾布に残存するIPBCの針状結晶の量(質量)を測定した。
【0217】
その結果、表1および表2に示す。
3. SEM(走査型電子顕微鏡、Scanning Electron Microscope)観察
実施例2で得られた乳濁液を自然乾燥し、さらに、金属コート(導電処理)して、サンプルを調製した。調製したサンプルを、走査型電子顕微鏡(型番「S−4800」、日立ハイテクノロジーズ社製)で、SEM観察した。
【0218】
実施例2のSEM写真の画像処理図を、図1および図2に示す。
【0219】
徐放性粒子は、メジアン径測定値230nmに相当する粒子であることを確認することができる。
4. TEM(透過型電子顕微鏡、Transmission Electron Microscope)観察
実施例2の乳濁液を自然乾燥し、ビスフェノール型液状エポキシ樹脂に分散して、アミンで硬化させた。これをウルトラミクロトームで切断することにより断面を出し、四酸化ルテニウムで染色し、これをウルトラミクロトームで超薄切片に切り出して、サンプルを調製した。調製したサンプルを、透過型電子顕微鏡(型番「H−7100」、日立製作所社製)で、TEM観察した。
【0220】
実施例2のTEM写真の画像処理図を、図3および図4に示す。
【0221】
徐放性粒子の外層(表面)は、四酸化ルテニウムで染色された、極めて薄い乳化剤層に覆われており、徐放性粒子の内層(内部)は、相分離の無い均一な構造であることが分かる。
5. IPBCを含有する徐放性粒子(実施例1、2および比較例3)の徐放性試験
以下の操作に従って、IPBCを含有する実施例1、2および比較例3の徐放性粒子について、IPBCの徐放性試験を実施した。
【0222】
すなわち、まず、実施例1、2および比較例3の乳濁液(IPBC濃度10質量%)と、ブランクとしての、IPBCが水に懸濁されたIPBC懸濁液(IPBC濃度30質量%)とを、それぞれ、徐放性試験のサンプルとして用意した。ブランクのサンプルを比較例7とした。
【0223】
次いで、ポリプロピレン製50mL遠沈管5本に、用意したサンプルをIPBC質量として、それぞれ20mgとなる量で投入し、次いで、脱イオン水で総量40gとして、IPBC濃度0.05質量%のIPBC含有液を調製した。
【0224】
次いで、この遠沈管5本を振とう機(タイテック・コーポレーション製 TAITEC RECIPRO SHAKER SR−1)にかけて140回/分の振とうを実施し、所定時間毎に振とうを止めて、遠沈管を遠心分離機(マイクロ冷却遠心機3740、久保田製作所社製)にかけて15000rpm、5分間で固液分離した。
【0225】
固体部は、脱イオン水を添加して総量40gとし、ミクロスパーテルで再分散後、再度、振とう機にかけて振とうを継続した。
【0226】
一方、液体部は、島津製作所製HPLCを用いて、IPBCを定量し、徐放率を算出した。
【0227】
各振とう時間における徐放率は、積算値(つまり、総徐放率)として算出した。
【0228】
その結果を図5に示す。
【0229】
ミニエマルション重合により得られた実施例1および2の徐放性粒子は、ブランクである比較例7のIPBC懸濁液のIPBCに比べて、徐放速度が遅い一方、懸濁重合により得られた比較例3で調製したIPBCに比べて、徐放速度が速かった。
【0230】
上記を考察すると、実施例1の徐放性粒子は、平均粒子径が201nmであることから、表面積が、平均粒子径が10μmの比較例3の徐放性粒子の表面積に対して約50倍広いことを考慮すると、比較例3の徐放性粒子に比べて、徐放性粒子の単位表面積当たりの徐放性に優れている。
【産業上の利用可能性】
【0231】
本発明の徐放性粒子は、各種の工業製品に適用することができ、例えば、屋内外の塗料、ゴム、繊維、樹脂、プラスチック、接着剤、目地剤、シーリング剤、建材、コーキング剤、土壌処理剤、木材、製紙工程における白水、顔料、印刷版用処理液、冷却用水、インキ、切削油、化粧用品、不織布、紡糸油、皮革などに、抗生物活性(防かび性)を発現する添加剤として添加することができる。
図1
図2
図3
図4
図5