(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873729
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】シンク付き天板
(51)【国際特許分類】
A47B 96/18 20060101AFI20160216BHJP
E03C 1/18 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
A47B96/18 H
A47B96/18 D
E03C1/18
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-20728(P2012-20728)
(22)【出願日】2012年2月2日
(65)【公開番号】特開2013-159919(P2013-159919A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2014年11月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000413
【氏名又は名称】永大産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104640
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 陽一
(72)【発明者】
【氏名】岡本 章司
【審査官】
油原 博
(56)【参考文献】
【文献】
特公平07−113228(JP,B2)
【文献】
特開2002−348932(JP,A)
【文献】
特開昭64−080633(JP,A)
【文献】
特開2012−183167(JP,A)
【文献】
実開昭56−105579(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 96/18
E03C 1/12−1/33
A47K 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非金属製の天板に金属製のシンクを取り付けたシンク付き天板において、
前記天板は、前記シンクに対応する開口部を有し、
前記天板と前記シンクとの境界部分には、その境界部分に段差が形成されないように充填材が充填されており、
前記天板は、その下側平面における前記開口部側の終端が、対応する前記シンクの上部内周面に対して、前記シンクの内側方向に−1.5〜1.5mmの範囲内に位置するように、前記開口部を形成している内周面が前記シンクの上部内周面より内側に張り出しており、
前記天板の開口部を形成している内周面における最も張り出した部分の高さ位置よりも下側の部分が、上下方向に湾曲した凹曲面を全周にわたって有しており、
前記天板の前記開口部を形成している内周面における前記下側平面の前記開口部側の終端から上側に向かって前記開口部側に張り出した部分は、前記天板の下側水平面を含む仮想平面における、前記天板の下側水平面の開口部側の終端から前記シンクの内側に1.5mmだけ偏倚した位置から斜め上方に延びる前記仮想平面に対する前記天板の開口方向側の角度が60度のラインよりも上側(前記シンクの外側)の領域内に位置しており、かつ、角部を有していないことを特徴とするシンク付き天板。
【請求項2】
前記天板の開口部を形成している内周面における最も張り出した部分の高さ位置よりも下側の部分及び前記充填材が充填された前記天板と前記シンクとの境界部分に、水平面に対して60度未満の傾斜面または水平面が存在していない請求項1に記載のシンク付き天板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、非金属製の天板に金属製のシンクを取り付けたシンク付き天板に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のシンク付き天板としては、例えば、
図12に示すようなものがある。このシンク付き天板50は、同図に示すように、上端にフランジ部52を有するシンク51と、このシンク51に対応する開口部54が形成された天板53とから構成されており、天板53とシンク51とは、天板53の下面とシンク51のフランジ52との間に充填されたシリコンコーキング材55によって接着固定されている。
【0003】
前記天板53は、その開口部54の上端角部が面取りされてR状に形成されているが、開口部54の下端角部は面取りされておらず、開口部54を形成している内周面がシンク51の内周面より内側に張り出しているので、天板53の開口部54とシンク51との間に段差が形成され、天板53の開口部54の周縁において天板53の下面が露出した状態となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平07−113228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したようなシンク付き天板50では、天板53の開口部54とシンク51との間に段差が形成され、天板53の開口部54の周縁において天板53の下面が露出した状態となっているので、この露出した天板53の下面、露出したシリコンコーキング材55の傾斜面及びシンク51の上端部とによって形成される隅部に、ごみや食べ物のかす等が付着しやすいと共にカビも生えやすく、非衛生的であるといった問題がある。また、そういった隅部は掃除がし難く、天板53における開口部54の下端角部は面取りされていないので、掃除する際の手触りも悪いといった問題もある。
【0006】
そこで、この発明の課題は、衛生的で掃除がし易く、掃除する際の手触りもよいシンク付き天板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、非金属製の天板に金属製のシンクを取り付けたシンク付き天板において、前記天板は、前記シンクに対応する開口部を有し、前記天板と前記シンクとの境界部分には、その境界部分に段差が形成されないように充填材が充填されており、前記天板は、その下側平面における前記開口部側の終端が、対応する前記シンクの上部内周面に対して、前記シンクの内側方向に−1.5〜1.5mmの範囲内に位置するように、前記開口部を形成している内周面が前記シンクの上部内周面より内側に張り出しており、
前記天板の開口部を形成している内周面における最も張り出した部分の高さ位置よりも下側の部分が、上下方向に湾曲した凹曲面を全周にわたって有しており、前記天板の前記開口部を形成している内周面における前記下側平面の前記開口部側の終端から上側に向かって前記開口部側に張り出した部分は、前記天板の下側水平面を含む仮想平面における、前記天板の下側水平面の開口部側の終端から前記シンクの内側に1.5mmだけ偏倚した位置から斜め上方に延びる前記仮想平面に対する前記天板の開口方向側の角度が60度のラインよりも上側(前記シンクの外側)の領域内に位置しており、かつ、角部を有していないことを特徴とするシンク付き天板を提供するものである。なお、ここにいう「シンクの上部内周面」とは、R状に面取りされた上端コーナ部を含まない。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明のシンク付き天板において、前記天板の開口部を形成している内周面における最も張り出した部分の高さ位置よりも下側の部分及び前記充填材が充填された前記天板と前記シンクとの境界部分に、水平面に対して60度未満の傾斜面または水平面が存在していないことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、請求項1に係る発明のシンク付き天板は、天板とシンクとの境界部分には、その境界部分に段差が形成されないように充填材が充填されており、天板の開口部を形成している内周面がシンクの上部内周面より内側に張り出しているが、天板の下側平面における開口部側の終端が、対応するシンクの上部内周面に対して、シンクの内側方向に−1.5〜1.5mmの範囲内に位置していると共に、天板の開口部を形成している内周面における下側平面の開口部側の終端から上側に向かって開口部側に張り出した部分は、天板の下側水平面を含む仮想平面における、天板の下側平面の開口部側の終端からシンクの内側に1.5mmだけ偏倚した位置から斜め上方に延びる仮想平面に対する天板の開口方向側の角度が60度のラインよりも上側(前記シンクの外側)の領域内に位置しており、かつ、角部を有していないので、ごみや食べ物のかす等が付着した場合でも拭き取りやすく、衛生的である。
また、天板の開口部を形成している内周面における最も張り出した部分の高さ位置よりも下側の部分が、上下方向に湾曲した凹曲面を全周にわたって有しているので、天板とシンクとの境界部分に付着したごみや食べ物のかす等がさらに拭き取りやすく、手触りもよい。
【0011】
また、請求項2に係る発明のシンク付き天板は、天板の開口部を形成している内周面における最も張り出した部分の高さ位置よりも下側の部分及び充填材が充填された天板と前記シンクとの境界部分に、水平面に対して60度未満の傾斜面または水平面が存在していないので、ごみや食べ物のかす等が付着し難いという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】この発明に係るシンク付き天板の一実施形態を示す部分断面図である。
【
図2】同上のシンクの天板への取付部分を示す拡大断面図である。
【
図3】同上の天板の開口部を形成している内周面の張出形状を説明するための説明図である。
【
図4】同上の天板の開口部を形成している内周面及びコーキング材が充填された天板とシンクとの境界部分の形状を説明するための説明図である。
【
図5】他の実施形態であるシンク付き天板におけるシンクの天板への取付状態を示す拡大断面図である。
【
図6】他の実施形態であるシンク付き天板におけるシンクの天板への取付状態を示す拡大断面図である。
【
図7】他の実施形態であるシンク付き天板の開口部を形成している内周面の形状を示す概略図である。
【
図8】他の実施形態であるシンク付き天板の開口部を形成している内周面の形状を示す概略図である。
【
図9】(a)、(b)は他の実施形態であるシンク付き天板の開口部を形成している内周面の形状を示す概略図である。
【
図10】(a)、(b)は他の実施形態であるシンク付き天板の開口部を形成している内周面の形状を示す概略図である。
【
図11】(a)、(b)は他の実施形態であるシンク付き天板の開口部を形成している内周面の形状を示す概略図である。
【
図12】シンク付き天板の従来例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
図1及び
図2は、この発明に係るシンク付き天板を示している。このシンク付き天板1は、同図に示すように、人工大理石によって形成された厚さ6mmの天板10と、この天板10の下面に取り付けられたステンレス製のシンク20とから構成されており、天板10には、シンク20に対応する開口部11が形成されている。
【0015】
前記天板10の下面には、
図2に示すように、開口部11の周囲に厚さ9mmのパーティクルボードからなる補強材12が貼着されており、その補強材12は、開口部11側の端面が、下方に向かって開口部11側に傾斜した傾斜面12aとなっている。
【0016】
前記シンク20は、同図に示すように、四隅が曲率半径の大きなR状に形成された略長方形状の本体部21と、この本体部21の上端にR状の上端コーナ部22を介して連設されたフランジ部23とを備えており、このフランジ部23部分において、充填材の1つであるコーキング材CC及びウレタン樹脂URによって、天板10の下面に固定されている。
【0017】
前記天板10とシンク20との固定作業は、以下のようにして行われる。まず、天板10を上下反転した状態で、天板10の下面における開口部11と補強材12との間の領域にコーキング材CCを塗布した後、フランジ部23の上面にコーキング材CCを塗布したシンク20を、そのフランジ部23が天板10の下面における開口部11と補強材12との間の領域に位置するように載置し、天板10に対してシンク20を位置調整した状態でコーキング材CCによって仮止めする。続いて、ウレタン樹脂URを、補強材12の下面と面一になるように、天板10の補強材12とシンク20の本体部21との間に注入し、これを硬化させると、ウレタン樹脂URがシンク20のフランジ部23及び補強材12の傾斜面12aに固着されると共に、硬化したウレタン樹脂URが補強材12の傾斜面12aに掛止された状態となって、シンク20の天板10からの脱落が阻止され、天板10とシンク20とが固定される。
【0018】
前記天板10は、
図2に示すように、開口部11を形成している内周面が、概ね下方に向かってシンク20の外側に傾斜しており、上端角部が曲率半径8.5mm、1.5mmの2種類の連続した大きな円弧面によって面取りされた上端面取部11aと、下端角部が曲率半径0.5mmの小さな円弧面によって面取りされた下端面取部11bと、上端面取部11aと下端面取部11bとを接続する、曲率半径15mm、5.75mmの2種類の連続した大きな円弧面からなる凹曲面部11cとによって形成されている。
【0019】
また、天板10は、
図3に示すように、その下側平面における開口部11側の終端(下端面取部11bとの境界)EEが、対応するシンク20の上部内周面から0.32mmだけシンク20の内側に位置するように、開口部11を形成している内周面がシンク20の上部内周面より内側に張り出しており、その張出部分は、天板10の下側水平面を含む仮想平面VPにおける、天板10の下側水平面の開口部11側の終端EEからシンク20の内側に1.5mmだけ偏倚した位置Pを通る、仮想平面VPに対する角度αが60度のラインLよりも上側(シンク20の外側)の領域(
図3における網掛け表示領域)内に位置している。
【0020】
また、天板10とシンク20との境界部分には、
図2に示すように、コーキング材CCが充填されており、
図4に示すように、天板10の開口部11を形成している内周面における最も張り出した部分の高さ位置hよりも下側の部分PT1及び天板10とシンク20との境界部分におけるコーキング材CCが充填された部分PT2は、水平面に対して60度以下の傾斜面または水平面が存在しないような外形形状を有している。
【0021】
以上のように、このシンク付き天板1は、天板10の開口部11を形成している内周面がシンク20の上部内周面より内側に張り出しているが、天板10の下側平面における開口部11側の終端EEが、対応するシンク20の上部内周面から0.32mmだけシンク20の内側に位置していると共に、天板10の下側平面における開口部11側の終端EEから開口部11側に張り出した部分は、天板10の下側水平面を含む仮想平面VPにおける、天板10の下側平面の開口部11側の終端EEからシンク20の内側に1.5mmだけ偏倚した位置を通る、仮想平面VPに対する角度が60度のラインよりも上側の領域内に位置していると共に角部を有しておらず、天板10の開口部11を形成している内周面における最も張り出した部分の高さ位置hよりも下側の部分及びコーキング材CCが充填された天板10とシンク20との境界部分に、水平面に対して60度未満の傾斜面または水平面が存在していないので、天板10とシンク20との境界部分に段差が形成されることがなく、ごみや食べ物のかす等が付着し難いと共に、ごみや食べ物のかす等が付着した場合でも拭き取りやすく、衛生的である。
【0022】
また、このシンク付き天板1は、天板10の開口部11を形成している内周面における最も張り出した部分の高さ位置hよりも下側の部分が、上下方向に湾曲した凹曲面部11cを全周にわたって有しているので、天板10とシンク20との境界部分に付着したごみや食べ物のかす等が拭き取りやすく、手触りもよい。
【0023】
なお、上述した実施形態では、天板10の下側平面における開口部11側の終端EEが、対応するシンク20の上部内周面から0.32mmだけシンク20の内側に位置するように、開口部11を形成している内周面がシンク20の上部内周面より内側に張り出しているが、これに限定されるものではなく、例えば、
図5に示すシンク付き天板2や
図6に示すシンク付き天板3のように、開口部11を形成している内周面は、天板10の下側平面における開口部11側の終端EEが、対応するシンク20の上部内周面に対して、シンク20の内側方向に−1.5〜1.5mmの範囲内に位置するように、シンク20の上部内周面より内側に張り出していればよい。
【0024】
また、上述した各実施形態では、開口部11を形成している内周面が、概ね下方に向かってシンク20の外側に傾斜しているが、これに限定されるものではなく、例えば、
図7に示すように、上半部が緩やかに湾曲したものであってもよい。
【0025】
また、上述した各実施形態では、天板10の開口部11を形成している内周面における最も張り出した部分の高さ位置hよりも下側の部分が、上下方向に湾曲した凹曲面部11cを全周にわたって有しているが、これに限定されるものではなく、例えば、
図8及び
図9(a)、(b)に示すように、上述した凹曲面部11cに代えて、湾曲していないフラットな傾斜面を採用することも可能である。
【0026】
また、上述した各実施形態では、天板10の開口部11を形成している内周面における最も張り出した部分の高さ位置hよりも下側の部分及びコーキング材CCが充填された天板10とシンク20との境界部分に、水平面に対して60度未満の傾斜面または水平面が存在していないが、これに限定されるものではなく、例えば、
図10(a)、(b)及び
図11(a)、(b)に示すように、水平面に対して60度以下の傾斜面または水平面が存在していてもよい。
【0027】
また、上述した各実施形態では、天板10とシンク20との境界部分に、コーキング材CCを充填しているが、これに限定されるものではなく、目地材やパッキン材を充填することも可能である。
【0028】
また、上述した各実施形態では、厚みが6mmの天板10を使用したシンク付き天板について説明したが、これに限定されるものではなく、天板10の厚みは、例えば、5mmや7mm等適宜設定すればよい。
【0029】
また、上述した各実施形態では、開口部11側の端面が下方に向かって開口部11側に傾斜した傾斜面12aを有する補強材12を天板10の下面に固着し、シンク20のフランジ部23を覆うように、天板10の補強材12とシンク20の本体部21との間にウレタン樹脂を注入し、これを硬化させることによって、天板10とシンク20とが固定するようにしているが、これに限定されるものではなく、種々の固定方法によって、シンクを天板に固定することができる。
【0030】
また、上述した各実施形態では、人工大理石によって形成された天板10にステンレス製のシンク20を取り付けたシンク付き天板について説明したが、これに限定されるものではなく、本発明は非金属製の天板に金属製のシンクを取り付けた種々のシンク付き天板に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
システムキッチンや流し台等に搭載されるシンク付き天板として利用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1、2、3 シンク付き天板
10 天板
11 開口部
11a 上端面取部
11b 下端面取部
11c 凹曲面部
12 補強材
12a 傾斜面
20 シンク
21 本体部
22 上端コーナ部
23 フランジ部
CC コーキング材
UR ウレタン樹脂