特許第5873730号(P5873730)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873730
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】物流用棚装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/08 20060101AFI20160216BHJP
   B65G 47/52 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   B65G1/08 N
   B65G1/08 D
   B65G1/08 G
   B65G47/52 101A
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-22686(P2012-22686)
(22)【出願日】2012年2月6日
(65)【公開番号】特開2013-159445(P2013-159445A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2014年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】504195428
【氏名又は名称】スペーシア株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山口 勇
(72)【発明者】
【氏名】清水 亘
【審査官】 中島 慎一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−335548(JP,A)
【文献】 特開2010−235273(JP,A)
【文献】 実開昭51−035881(JP,U)
【文献】 実開昭60−187119(JP,U)
【文献】 米国特許第01823220(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00 − 1/133 ; 1/14 − 1/20
B65G 47/52 , 47/56 − 47/62 , 47/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送棚本体と、
該搬送棚本体に設けられた上流側搬送棚と、
前記搬送棚本体に設けられた下流側搬送棚と、
前記上流側搬送棚から搬送されてくる被搬送物を、前記下流側搬送棚に搬送するための切替棚と、
前記上流側搬送棚から搬送されてくる被搬送物を一時的に係止して切替棚への移動を阻止するストッパとを備え、
前記切替棚は、搬送棚本体に棚支軸を介して回動自在に取り付けられて、被搬送物を上流側の搬送棚から受け入れる受入姿勢と、被搬送物を下流側の搬送棚に搬送する搬送姿勢とに切替手段によって切り替え自在とされ、
前記ストッパは、前記上流側搬送棚の下流側に配されており、該上流側搬送棚の搬送面よりも上方に該搬送面を横切るように設けられた水平バーを有するストッパ本体を備え、
該ストッパ本体、前記上流側搬送棚から搬送されてくる被搬送物に係止して切替棚への移動を阻止する係止状態と、前記係止状態を解除して被搬送物が切替棚へ移動するようにした係止解除状態とに前記切替手段によって切り替え自在となされ
前記切替手段は、電力によって動作する動力源を用いずに、前記切替棚を回動させ上下動させて前記受入姿勢と搬送姿勢とを切り替えると共に、該切替棚の前記上下動の動きを伝達させて前記ストッパ本体を上下動させ、該ストッパ本体の前記係止状態と係止解除状態とを切り替えることを特徴とする物流用棚装置。
【請求項2】
ストッパ本体は、水平バーが適宜間隔を空けて配された2本の縦支柱の上端部近傍間に差し渡されて連結されることにより門型形状となされ、ストッパが係止状態にあるときは、前記水平バーが上流側搬送棚から搬送されてくる被搬送物に係止して切替棚への移動を阻止するようになされ、係止解除状態にあるときは、ストッパ本体が上昇して、前記係止状態を解除する共に被搬送物が前記水平バーの下を通過して切替棚へと移動するようになされたことを特徴とする請求項1に記載の物流用棚装置。
【請求項3】
ストッパ本体は、2本の縦支柱のそれぞれに、該縦支柱を基端として適宜上下に間隔を空けて水平方向に延びる2本の平行杆が設けられ、
切替棚には、該切替棚に固定され、切替棚の左右方向に突出して水平方向に延びる作用杆が設けられ、
該作用杆は少なくともその一部が前記2本の平行杆の間に配されており、切替棚が棚支軸を中心に回動して上下動するのに連動して、ストッパ本体が上下動するようになされたことを特徴とする請求項2に記載の物流用棚装置。
【請求項4】
切替手段は、手動式又は足踏み式で切り替えをするものであることを特徴とする請求項1乃至3に記載の物流用棚装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流用棚装置に関するものであり、より詳しくは、例えば箱詰めされた電気部品等を作業者が取り出して所定の作業をするための物流用棚装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物流用棚装置として、箱詰めされた電気部品等の被搬送物を組み立て作業者が箱から取り出し、部品等を取り出した後の空箱を、重力を利用して所定の場所まで搬送する棚装置がある(特許文献1参照)。この従来の棚装置においては、作業者に向けて下傾斜する供給棚と、排出側に向けて下傾斜する排出棚と、両棚の傾斜に沿うよう往復回動可能に設けられた切替棚とを備えている。この物流用棚装置では、切替棚が供給棚の傾斜に沿った姿勢とされた状態で箱が切替棚に供給搬送され、作業者により電気部品等の取り出し作業を終えた空箱は、排出棚の傾斜に沿うよう回動した切替棚から排出棚に送られるものである。
【0003】
このような棚装置においては、通常、切替棚に搬送されてきた箱から電気部品等を取り出す作業中に、次の箱は供給棚に順次載置されるが、作業者の作業中は、供給棚に載置した箱が切替棚側へ移動してこないよう停止させておく必要がある。このため、上記棚装置では、供給棚の途中に、供給棚の荷搬送面にストッパを出退自在に設け、作業のタイミングに応じてこのストッパを出退させるようにしている。そしてストッパ出退のタイミングの制御するために、箱の到着を検出する検出器、この検出器からの信号に応じて駆動し、あるいは駆動を停止するシリンダ装置などが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7−23713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
確かに、上記従来の物流用棚装置によれば、順次供給棚から搬送されてくる箱をタイミング良く切替棚に移動させることができる。しかしながら、上記従来の棚装置では、ストッパを出退させるために検出器等の電気的に作動する手段を用いている。通常、この種の棚装置においては、作業内容や作業現場の状況(製品組立ライン)等に応じて適宜移動や配置転換が必要となるので、棚装置を移動させた場所ごとに電気を供給するといった特別な設備が必須となってしまう。また、それによって電気配線の取り回しが必要になり、これが作業の邪魔となって、結局のところ、工場内での棚装置のレイアウトの自由度を制限してしまうという問題点があった。
【0006】
さらに、上記従来の物流用棚装置によれば、供給棚から搬送されてくる箱を一時的に停止させるためのストッパは、その先端部が搬送面の下方から上方へ突出する突出片からなるものであるが、箱の重量が重い場合や、箱が搬送されてくる速度が速い場合には、箱がストッパを乗り越えて下方へ流れてしまう恐れがあった。
【0007】
本発明は上記のような問題点を克服するためになされたものであり、特別な電気的設備を不要とすると共に、上流から搬送されてくる被搬送物を好適に一時停止させることのできる物流用棚装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明に係る物流用棚装置は、搬送棚本体と、該搬送棚本体に設けられた上流側搬送棚と、前記搬送棚本体に設けられた下流側搬送棚と、前記上流側搬送棚から搬送されてくる被搬送物を、前記下流側搬送棚に搬送するための切替棚と、前記上流側搬送棚から搬送されてくる被搬送物を一時的に係止して切替棚への移動を阻止するストッパとを備え、前記切替棚は、搬送棚本体に棚支軸を介して回動自在に取り付けられて、被搬送物を上流側の搬送棚から受け入れる受入姿勢と、被搬送物を下流側の搬送棚に搬送する搬送姿勢とに切替手段によって切り替え自在とされ、前記ストッパは、前記上流側搬送棚の下流側に配されており、該上流側搬送棚の搬送面よりも上方に該搬送面を横切るように設けられた水平バーを有するストッパ本体を備え、該ストッパ本体、前記上流側搬送棚から搬送されてくる被搬送物に係止して切替棚への移動を阻止する係止状態と、前記係止状態を解除して被搬送物が切替棚へ移動するようにした係止解除状態とに前記切替手段によって切り替え自在となされ、前記切替手段は、電力によって動作する動力源を用いずに、前記切替棚を回動させ上下動させて前記受入姿勢と搬送姿勢とを切り替えると共に、該切替棚の前記上下動の動きを伝達させて前記ストッパ本体を上下動させ、該ストッパ本体の前記係止状態と係止解除状態とを切り替えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る物流用棚装置によれば、ストッパ本体が切替棚に連動して動作し、これによって上流側搬送棚から搬送されてくる被搬送物に係止して切替棚への移動を阻止する係止状態と、前記係止状態を解除して被搬送物が切替棚へ移動するようにした係止解除状態とに切り替えることができるので、特別な電気的設備を不要とでき、また、係止状態においてはストッパ本体の水平バーが被搬送物に係止するので、被搬送物の切替棚への移動を確実に阻止することができる。
【0010】
また、本発明に係る物流用棚装置において、ストッパ本体は、水平バーが適宜間隔を空けて配された2本の縦支柱の上端部近傍間に差し渡されて連結されることにより門型形状となされ、ストッパが係止状態にあるときは、前記水平バーが上流側搬送棚から搬送されてくる被搬送物に係止して切替棚への移動を阻止するようになされ、係止解除状態にあるときは、ストッパ本体が上昇して、前記係止状態を解除する共に被搬送物が前記水平バーの下を通過して切替棚へと移動するようにしてもよい。
【0011】
さらに、本発明に係る物流用棚装置において、ストッパ本体は、2本の縦支柱のそれぞれに、該縦支柱を基端として適宜上下に間隔を空けて水平方向に延びる2本の平行杆が設けられ、切替棚には、該切替棚に固定され、切替棚の左右方向に突出して水平方向に延びる作用杆が設けられ、該作用杆は少なくともその一部が前記2本の平行杆の間に配されており、切替棚が棚支軸を中心に回動して上下動するのに連動して、ストッパ本体が上下動するようにすることもできる。このようにすれば、切替棚が上下に動作すると、作用杆が同様に上下に動作し、これによって平行杆が上下に押されてストッパ本体は上下動する。このとき、作用杆は、2本の平行杆の間に配され、切替棚の上下動に連動してこの2本の平行杆を上下に押圧するものである。それゆえ、この作用杆は、切替棚の回動運動に合わせて回動させることなく、単純に上下運動させることが可能となる。
【0012】
また、本発明に係る物流用棚装置において、切替棚を受入姿勢と、搬送姿勢とに切り替える切替手段を備えるので、確実に受入姿勢と搬送姿勢との切り替え動作およびその制御が可能となる。
【0013】
さらに、本発明に係る物流用棚装置において、切替手段は、手動式又は足踏み式で切り替えをするものとすることができる。このようにすれば、電力によって動作する動力源を用いる必要がなく、省エネルギーに資するものとなる。
【発明の効果】
【0014】
以上のとおり、本発明に係る物流用棚装置によれば、ストッパ本体が切替棚に連動して動作し、これによって上流側搬送棚から搬送されてくる被搬送物に係止して切替棚への移動を阻止する係止状態と、前記係止状態を解除して被搬送物が切替棚へ移動するようにした係止解除状態とに切り替えることができるので、特別な電気的設備を不要とでき、また、係止状態においてはストッパ本体の水平バーが被搬送物に係止するので、被搬送物の切替棚への移動を確実に阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る物流用棚装置の一実施形態を示す斜視図であり、当該装置を動作させない状態(係止解除状態)を示した図である。
図2図1に示した物流用棚装置の側面図であって、その切替棚が、上流側搬送棚からの搬送されてくる被搬送物を受け入れ可能な受入姿勢にある状態を示したものであり、かつこの物流用棚装置の動作を説明するために必要な構成要素のみを表した説明図である。
図3図2に示した物流用棚装置の側面図において、棚上に被搬送物を載置した状態を示す説明図である。
図4図3に示した物流用棚装置において、切替棚を途中まで動作させた様子を示す説明図である。
図5図3に示した物流用棚装置において、切替棚を動作させて送出姿勢とした状態を示す図であって、当該切替棚に載置された先の被搬送物を下流側搬送棚へ送り出すと共に、上流側搬送棚から搬送されてくる被搬送物の移動を規制する状態を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る物流用棚装置の一実施形態を示した斜視図である。この物流用棚装置1は、搬送棚本体2に、上流側搬送棚3と、上流側搬送棚3よりも下方に設けられ当該上流側搬送棚3の搬送方向とは反対方向(図1のY軸方向における反対方向)へ被搬送物Wを搬送する下流側搬送棚4と、上流側搬送棚3から被搬送物Wを受け入れて下流側搬送棚4へ送り出す切替棚5とを備えてなるものである。この切替棚5は、上流側搬送棚3から上記被搬送物Wを受け入れる受入姿勢(図2及び図3の状態)と、受け入れた被搬送物Wを下流側搬送棚4へ送り出す送出姿勢(図5の状態)とに、作業者の操作によって、切替自在となされている(尚、前記作業者の操作は、特に限定されるものではないが、この実施形態においては足踏み操作としている)。上記構成により、この物流用棚装置1は、切替棚5が受入姿勢で上流側搬送棚3から受け入れた被搬送物Wを受入姿勢のまま保持し、その間に作業者が当該被搬送物W(例えば箱、コンテナなど)から電気部品等の取り出し作業を行い、当該作業を終えたのち作業者が切り替え操作を行うことによって切替棚5が受入姿勢から送出姿勢に切り替えられ、切替棚5上に載置された被搬送物Wが切替棚5から下流側搬送棚4へ送出されるようになされている。
【0018】
搬送棚本体2は、主に複数のパイプ部材21〜23と当該パイプ部材同士を接続するジョイント部材24とにより構成される。より詳しくは、搬送棚本体2は、平面視で略矩形状に形成された下端のベース枠体21や、当該ベース枠体21から上方へ立ち上がる複数の支柱部材22、支柱部材同士を接続する横桟部材23などにより形成された組立体である。また、ベース枠体21の四隅の下側にはそれぞれキャスター25が設けられていて、これにより、物流用棚装置1の移動が容易なものとなされている。
【0019】
上流側搬送棚3と下流側搬送棚4とは、それぞれ搬送棚本体2の所定位置に、所定の角度に傾斜するようにして固定されている(無論、前記所定位置及び角度は、各部材を組み替えることによって任意に変更することが可能なものである)。図1に示すように、この実施形態においては、上流側搬送棚3は、搬送棚本体2のY軸方向最奥部かつ上端近傍から、切替棚5の方向へ下方に傾斜するようにして配設されている。また、下流側搬送棚4は、送出位置にある切替棚5から被搬送物Wを受入可能な位置から、搬送棚本体2のY軸方向最奥部かつ下端部近傍へ向かって下方に傾斜するようにして配設されている。
【0020】
上流側搬送棚3及び下流側搬送棚4は、この実施形態においては、それぞれ主に平行して配された2本のレール部材31、41からなるものであって、各レール部材31、41その上面側(搬送面)には、レール部材31、41の長さ方向(被搬送物Wの搬送方向)に沿って複数の回転ローラ311、411が配されている。このように構成されることで、上流側搬送棚3又は下流側搬送棚4の搬送面に載置された被搬送物Wは、その自重及び回転ローラ311、411の回転により上流側搬送棚3又は下流側搬送棚4の上面(搬送面)を、その搬送方向に沿って下るように移動する。
【0021】
尚、上流側搬送棚3及び下流側搬送棚4は被搬送物Wの搬送方向に向かって下方に傾斜しているので、この回転ローラ部材311、411が無くとも被搬送物Wはその自重により上流側搬送棚3及び下流側搬送棚4上を滑るようにして搬送されるが、搬送をより確実かつ円滑にするため、上記のとおり、回転ローラ311、411を配するのが好ましい。また、上流側搬送棚3及び下流側搬送棚4のそれぞれについて2本のレール部材31、41を配するようにしているが、2本に限られるものではなく、3本以上配するようにしてもよく、或いは幅広な1本のレール部材あるいは1枚の板状部材等を用いて上流側搬送棚3又は下流側搬送棚4を形成するようにしてもよい。
【0022】
切替棚5は、主に複数のパイプ部材51と当該パイプ部材51同士を接続するジョイント部材52とによって搬送面を形成してなるものである。また、この切替棚5は、その上流側搬送棚3及び下流側搬送棚4から最も遠い位置において(当該位置にある水平パイプ部材51aが)、2つのジョイント53を介して搬送棚本体2の横桟部材27に接続されている。この水平パイプ部材51aは、ジョイント53に対して遊嵌状態に挿通されてその軸線回りに回動可能となされている。これにより、切替棚5は、水平パイプ部材51aを回転軸として回動自在となされ、前記受入姿勢と送出姿勢とに切替可能となされている。尚、この実施形態においては、切替棚5は、上述した上流側搬送棚3又は下流側搬送棚4とは異なり回転ローラを備えたレール部材を用いていないが、上流側搬送棚3又は下流側搬送棚4と同様に、回転ローラを備えたレール部材を用い、これを切替棚5の搬送面に配するようにしてもよい。
【0023】
切替棚5は、支持機構6によって所定の位置及び角度に維持される。この実施形態においては、支持機構6は、切替棚5に接続されるとともに切替棚5を下方から支持する屈曲可能な支持杆部材61と、作業者が何も操作しない状態においては支持杆部材61を直線状(屈曲しない状態)に維持し(これによって切替棚5を受入姿勢に維持し)、作業者の操作によって支持杆部材61を屈曲させる(これによって切替棚5を送出姿勢に切り替える)ように作用する作用手段62(この実施形態においては、油圧ダンパー62)と、作業者が足踏み操作を行うことによって作用手段(油圧ダンパー)62を作用させ、支持杆部材61を屈曲させる足踏み杆63とを備えている。尚、上記支持杆61、油圧ダンパー62及び足踏み杆63は、複数のパイプ部材及びジョイント部材を介して接続されている。また、足踏み杆63は、図1に示すように、作業者がその足Fで踏んで動作させるものである。
【0024】
より詳細に説明すると、切替棚5は、上述のとおり支持機構6により支持されており、作業者が何も操作しない状態においては、上記受入姿勢にあるものとしている。すなわち、支持機構6は、切替棚5を下方から支持すると共に、その中間部で屈曲可能な支持杆部材61を備えており、また、油圧ダンパー62がパイプ部材64を介してこの支持杆部材61に接続されていて、作業者が何も操作をしない状態においては、当該油圧ダンパー62が伸長状態で支持杆部材61を直線状に(屈曲しない状態に)維持するようになされ、これによって、切替棚5を受入姿勢に維持している(図2の状態)。
【0025】
また、作業者がその足Fで足踏み杆63を踏むと、この足踏み杆63に加えられた力が、足踏み杆63に接続された支え杆(パイプ部材)64を介して、油圧ダンパー62をその伸長しようとする力に抗して収縮させつつ、支持杆部材61を屈曲させ、これにより、切替棚5を引き下げて送出姿勢となるようになされている(図5の状態)。
【0026】
尚、支持機構6は、上記の形態に限られるものではなく、作業者の簡単な操作により切替棚5を受入姿勢と送出姿勢とに切り替え自在とできる機構であれば、どのような形態の機構でも任意に選択して利用することができる。例えば、支持杆部材61は、この実施形態においては屈曲することによって切替棚5を受入姿勢から送出姿勢に切り替えるものであるが、これに限られず、伸縮自在な支持杆部材61を用いることも可能である。また、作用手段61についても、この実施形態においては油圧ダンパー62を用いているが、これに限られず、各種ショックアブソーバーや弾性体(ばね体)、あるいはこれらと同様に支持杆部材61を直線状に維持し、また屈曲させることの可能な任意の手段を用いることが可能である。
【0027】
受入姿勢にある切替棚5は、上流側搬送棚3に一番近い側の上面(搬送面)が、上流側搬送棚3の上面(搬送面)の延長線上又は延長線上よりも僅かに低い位置となるようになされており、これによって上流側搬送棚3から搬送されてくる被搬送物Wがスムーズに切替棚5上へ搬送される。また、送出姿勢にある切替棚5は、下流側搬送棚4に向かって下方に傾斜すると共に、下流側搬送棚4に一番近い側の上面(搬送面)が、下流側搬送棚4の上面(搬送面)の延長線上又は延長線上よりも僅かに高い位置となるようになされている。これによって、切替棚5が受入姿勢から送出姿勢に切り替えられると、切替棚5上に載置された被搬送物Wが下流側搬送棚4上へスムーズに送出される。
【0028】
さらに、この物流用棚装置1においては、上流側搬送棚3から搬送されてくる被搬送物Wの移動を一時的に規制するストッパ7が設けられている。このストッパは、図3〜5に示すように、切替棚5がその受入姿勢から動作して送出姿勢となって先の被搬送物W1を下流側搬送棚4へ送り出し、それから再び受入姿勢に戻るまでの間、後続の被搬送物W2が切替棚5に移動するのを規制するためのものである。
【0029】
尚、切替棚5が受入姿勢であって先の被搬送物W1が切替棚5上にあるときは、図3に示すように、先の被搬送物W1の後端面(被搬送物Wの搬送方向における後側端面)に、後続の被搬送物W2の前端部が接するようになされ、これによって後続の被搬送物W2の切替棚5への移動が規制される(通常、その状態で、作業者は先の被搬送物W1に収納された部品等を取り出す作業を行う)。また、先の被搬送物W1を下流側搬送棚4に送り出し、切替棚5が元の受入姿勢に戻ったとき(すなわち、切替棚5が受入姿勢であって、先の被搬送物W1が切替棚5上にないとき)には、後続の被搬送物W2は、ストッパ7による規制が解除されて、切替棚5に移動する。尚、図示しないが、このとき更に後続の被搬送物W3が上流側搬送棚3上にあれば、当該被搬送物W3の前端部が、被搬送物W2の後端面(被搬送物W2の搬送方向における後側端面)に接し、これにより被搬送物W3の切替棚5への移動が規制される。
【0030】
ストッパ7は、後述の通り切替棚5の動作(上下動)に連動して上下動することによって、上述のように被搬送物Wの上流側搬送棚3から切替棚5への移動を規制し、また、当該規制を解除して被搬送物Wが切替棚5に移動するのを可能とするものである。
【0031】
ストッパ7は、被搬送物Wに接してその移動を規制する水平バー711と、当該水平バー711の両端部近傍に接続され、略鉛直下方へ延びる2本の縦支柱712、712とからなる門型のストッパ本体71を備えている。このストッパ本体71の2本の縦支柱712は、それぞれ搬送棚本体2に固定された保持ジョイント28内に挿通されている。すなわち、保持ジョイント28には、上下方向に開口して挿通する円柱形状の挿通孔281が形成され(図2参照)、この挿通孔281内に縦支柱712が挿通されている。当該挿通孔281の内径は、縦支柱712の外径よりも僅かに大きいものとなされている。また、当該挿通孔281は、所定の高さ寸法を備えている。上記のような構成を備えることにより、2本の縦支柱712は、挿通孔281内を上下方向へ自由に動作可能なように搬送棚本体2に対して取り付けられ、かつ、前後左右方向(水平方向)への動作が規制されて縦支柱712の水平方向へのぐらつきが防止されるようになされている。それゆえ、ストッパ本体71は、ぐらつくことなく自由に上下方向へ動作可能である。尚、ストッパ本体71は、上流側搬送棚3と切替棚5との境界近傍に配され、また、その水平バー711が、被搬送物Wの搬送方向に対してこれを横断するように配されている。さらに、被搬送物Wの上流側搬送棚3から切替棚5への移動を規制する状態においても、また当該規制を解除して被搬送物Wが上流側搬送棚3から切替棚5へ移動可能とした状態においても、水平バー711は、上流側搬送棚3と切替棚5のそれぞれの搬送面(上面)よりも上方に位置するように配されている。
【0032】
また、各縦支柱712の下端部近傍には、当該縦支柱712から略水平方向に延びる2本の水平杆73(上側水平杆731と下側水平杆732)が設けられている。上側水平杆731と下側水平杆732とは所定の間隔を空けて配されており、この上側水平杆731と下側水平杆732との間に形成された間隔(空隙74)に入り込むように、切替棚5に固定された作用杆55が配されている。
【0033】
作用杆55は、物流用棚装置1の搬送方向を横切って左右方向かつ略水平方向へ延びるパイプ部材であり、切替棚5の下面に固定され、かつ切替棚5の幅寸法よりも長く、左右方向へ突出するものとなされている。この作用杆55の先端部近傍が、上述のとおり、上側水平杆731と下側水平杆732との間に形成された空隙74に入るように配されているが、当該作用杆55は、上側水平杆731、下側水平杆732又は縦支柱712のいずれにも固定或いは接続されていない。上側水平杆731と下側水平杆732とはそれぞれ所定の長さを備え、また空隙74の上下高さ寸法は作用杆55の外径寸法よりも大きくなされており、作業者が何も操作をしない状態においては、作用杆55の上端面が、上側水平杆731の下端面に載置されるようにして、ストッパ7が所定高さに保持される。このとき、ストッパ7の水平バー711は一番高い位置にあり、この水平バー711の下を被搬送物Wが通過移動可能となされている。尚、このとき、上述したように、上流側棚装置3に載置された先の被搬送物W1は、切替棚5に移動し、後続の被搬送物W2は、その前端部が先の被搬送物W1の後端面(被搬送物Wの搬送方向において後端面)に接するようになされ、これによって後続の被搬送物W2の切替棚5への移動が規制される(通常、その状態で、作業者は先の被搬送物W1に収納された部品等を取り出す作業を行うものである)。
【0034】
作業者が先の被搬送物W1に収納された部品等を取り出す作業を終えると、作業者は、足踏み杆63を足踏み操作して、被搬送物W1を切替棚5から下流側搬送棚4へと移動させ、さらに後続の被搬送物W2を上流側搬送棚3から切替棚5へ移動させる。この動作を詳細に説明すると、先ず作業者が足踏み杆63を踏んで、切替棚5が受入姿勢から送出姿勢へ(下方へ)動作すると、これに連動してストッパ7も下方へ動作する。すなわち、前記切替棚5の動作と共に作用杆55が下方へ下がり、当該作用杆55の下端面が下側水平杆732の上端面を押し下げることによって、ストッパ7は下方へ下がる(或いは、上側水平杆731の下端面を下方から支える作用杆55が下方へ下がることによって、ストッパ7はその自重により下方へ下がる)。
【0035】
これにより、切替棚5及びストッパ7は、図3の状態(受入姿勢)から図4の状態を経て、図5の状態(送出姿勢)となる。この送出姿勢においては、先の被搬送物W1は、下流側搬送棚4へ送り出される。また、ストッパ7の水平バー711は、上流側搬送棚3の搬送面よりも高い位置、かつ被搬送物Wの上端部よりも低い位置にあり、これによって、水平バー711が後続の被搬送物W2の前端面に接し、被搬送物W2の移動を規制する。
【0036】
そして、作業者が足踏み杆63から足Fを離すと、切替棚5が送出姿勢(図5の状態)から逆に図4の状態を経て受入姿勢(図3の状態)へ動作する。すなわち、作業者が足踏み杆63から足を離すことによって、油圧ダンパー62が伸長して元の状態に復帰し、切替棚5が上方へ動作して受入姿勢となり、当該切替棚5の動作と共に作用杆55が上方へ上がり、当該作用杆55の上端面が上側水平杆731の下端面を押し上げて、ストッパ7も元の位置、すなわち一番高い位置に戻る。
【0037】
この状態において、ストッパ7の水平バー711は後続の被搬送物W2の上端よりも上方に位置するようになされており、これにより、水平バー711による規制が解除された被搬送物W2は、切替棚5へと移動する(尚、図示しないが、更に後続する被搬送物W3、W4、W5、・・・は、作業者の足踏み操作によって順次上流側棚装置3の搬送面に載置され、同じ動作を繰り返す)。
【0038】
尚、上述のとおり、作用杆55は、上側水平杆731と下側水平杆732との間に形成された空隙74に入るように配されているが、上側水平杆731、下側水平杆732又は縦支柱712のいずれにも固定或いは接続されていない。それゆえ、図3図5の側面視で示されるように、受入姿勢と送出姿勢との切り替えによって切替棚5及び切替棚に固定された作用杆55は水平パイプ部材51aを回転軸として円弧を描くように下方へ(又は上方へ)動作するが、ストッパ7は、切替棚5及び作用杆55の動作に連動はするものの、その円弧状の動作に関係なく、上下方向にのみ動作可能となされている。よって、ストッパ7にはその動作に不要な力が作用しないため、ストッパ7の破損の恐れが少ない。
【0039】
また、切替棚5の搬送面の傾斜角度は、その受入姿勢においては、上流側搬送棚3の傾斜角度よりも大きくなされている。そうすると、図3に示すように、切替棚5上にある先の被搬送物W1の傾きと、上流側搬送棚3上にある後続の被搬送物W2の傾きとを比較すれば、後続の被搬送物W2の傾きよりも先の被搬送物W2の傾きの方が大きくなる。したがって、このとき先の被搬送物W1の後端面(被搬送物Wの搬送方向における後側端面)と後続の被搬送物W2の前端部とは、その下端部近傍において互いに接するが、その上端部間には、すき間Mが生じる。このような構成とすることで、切替棚5を受入姿勢から送出姿勢に動作させる際に、ストッパ7の水平バーが前記すき間に入り込み易くなり、後続の被搬送物W2の切替棚5への移動を好適に規制することが可能となる。
【0040】
尚、搬送棚本体2をはじめ、本願発明に係る物流用棚装置1の各部材の寸法は、任意に変更可能である。この物流用棚装置1においては、多くの部材はパイプ部材とパイプ部材同士を接続するジョイント部材とで構成されており、それゆえパイプ部材の長さを適宜調節し、また最適な長さのパイプ部材を用いることで、被搬送物Wの大きさや、当該被搬送物を搬送すべき距離などに応じて、任意の寸法の物流用棚装置1を構成できるものである。
【0041】
以上のとおり、具体的な実施形態を示して本発明に係る物流用棚装置1を説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々に形態等を変更することが可能なものである。すなわち、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定され、また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれるものである。
【符号の説明】
【0042】
1 物流用棚装置
2 搬送棚本体
3 上流側搬送棚
31 レール部材
4 下流側搬送棚
41 レール部材
5 切替棚
51 パイプ部材
51a 水平パイプ部材
55 作用杆
6 支持機構
61 支持杆部材
62 油圧ダンパー
63 足踏み杆
7 ストッパ
71 ストッパ本体
711 水平バー
712 縦支柱
73 水平杆
731 上側水平杆
732 下側水平杆
74 空隙
W 被搬送物


図1
図2
図3
図4
図5