【実施例】
【0065】
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいてさらに詳述する。
【0066】
<実施例1:アパタイトの作製>
最初に、La
7.33BaYSi
6O
25.50の所定比となるように秤量した硝酸ランタン、硝酸バリウム、硝酸イットリウム及びコロイダルシリカを純水に加え、攪拌して透明溶液を得た。この透明溶液をアンモニア水と炭酸アンモニウムとの混合溶液中に滴下して沈殿物を得た。得られた沈殿物を40℃で24時間熟成させた後、水洗し、ろ過し、100℃で乾燥させて前駆体を得た。この前駆体を1000℃で6時間焼成してアパタイトとしてLa
7.33BaYSi
6O
25.50を得た。
【0067】
<比較例1>
市販のγ-Al
2O
3を用意した。
【0068】
<実施例2>
上記実施例1で得たアパタイト(La
7.33BaYSi
6O
25.50)90.5質量部を、Pdメタル換算で1.5質量部の硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施した後、無機系バインダーとしてアルミナゾルを8.0質量部添加し、Pd含有スラリーを得た。
得られたPd含有スラリーを、Φ105.7mm×L114.3mm−400セルのコージェライト製ハニカム基材に塗布し、次いで乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
なお、Pd塗布量は70g/cft、ウォッシュコート量は160g/Lであった。
【0069】
<比較例2>
La安定化アルミナ90.5質量部を、Pdメタル換算で1.5質量部の硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施した後、無機系バインダーとしてアルミナゾルを8.0質量部添加し、Pd含有スラリーを得た。
得られたPd含有スラリーを、Φ105.7mm×L114.3mm−400セルのコージェライト製ハニカム基材に塗布し、次いで乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
なお、Pd塗布量は70g/cft、ウォッシュコート量は160g/Lであった。
【0070】
<比較例3>
CeO
2-ZrO
2系複合酸化物55.0質量部と、La安定化アルミナ29.3質量部と、炭酸バリウム換算で7.0質量部に相当する量の酢酸バリウムとを、Pdメタル換算で0.7質量部に相当する硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施した後、無機系バインダーとしてアルミナゾルを8.0質量部添加し、Pd含有スラリーを得た。
得られたPd含有スラリーを、Φ105.7mm×L114.3mm−400セルのコージェライト製ハニカム基材に塗布し、次いで乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
なお、Pd塗布量は20g/cft、ウォッシュコート量は100g/Lであった。
【0071】
<実施例3>
(下層)
比較例3と同様にPd含有スラリーを得、得られたPd含有スラリーを、比較例3と同様に、Φ105.7mm×L114.3mm−400セルのコージェライト製ハニカム基材に塗布し、焼成処理を施した。
【0072】
(上層)
次に、上記実施例1で得たアパタイト(La
7.33BaYSi
6O
25.50)92.0質量部を純水に添加し、湿式粉砕処理を施した後、無機系バインダーとしてのアルミナゾルを8.0質量部添加し、スラリーを得た。
得られたスラリーを、上記の如く下層を塗布形成したコージェライト製ハニカム基材に塗布し、次いで乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
なお、上層におけるウォッシュコート量は70g/Lであった。
【0073】
<実施例4>
(下層)
実施例3と同様に、Φ105.7mm×L114.3mm−400セルのコージェライト製ハニカム基材に下層を形成した。
【0074】
(上層)
ウォッシュコート量が150g/Lであること以外は、実施例3と同様に上層を形成した。
【0075】
<実施例5>
(下層)
実施例3と同様に、Φ105.7mm×L114.3mm−400セルのコージェライト製ハニカム基材に下層を形成した。
【0076】
(上層)
ウォッシュコート量が200g/Lであること以外は、実施例3と同様に上層を形成した。
【0077】
<実施例6>
(下層)
実施例3と同様に、Φ105.7mm×L114.3mm−400セルのコージェライト製ハニカム基材に下層を形成した。
【0078】
(上層)
ウォッシュコート量が300g/Lであること以外は、実施例3と同様に上層を形成した。
【0079】
<比較例4>
(下層)
実施例3と同様に、Φ105.7mm×L114.3mm−400セルのコージェライト製ハニカム基材に下層を形成した。
【0080】
(上層)
次に、La安定化アルミナ92.0質量部を純水に添加し、湿式粉砕処理を施した後、無機系バインダーとしてのアルミナゾルを8.0質量部添加し、スラリーを得た。
得られたスラリーを、上記の如く下層を塗布形成したコージェライト製ハニカム基材に塗布し、次いで乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
なお、上層におけるウォッシュコート量は70g/Lであった。
【0081】
<比較例5>
(下層)
比較例4と同様に、Φ105.7mm×L114.3mm−400セルのコージェライト製ハニカム基材に下層を形成した。
【0082】
(上層)
ウォッシュコート量が150g/Lであること以外は、比較例4と同様に上層を形成した。
【0083】
<比較例6>
(下層)
比較例4と同様に、Φ105.7mm×L114.3mm−400セルのコージェライト製ハニカム基材に下層を形成した。
【0084】
(上層)
ウォッシュコート量が200g/Lであること以外は、比較例4と同様に上層を形成した。
【0085】
<比較例7>
(下層)
比較例4と同様に、Φ105.7mm×L114.3mm−400セルのコージェライト製ハニカム基材に下層を形成した。
【0086】
(上層)
ウォッシュコート量が300g/Lであること以外は、比較例4と同様に上層を形成した。
【0087】
<実施例7>
(下層)
CeO
2-ZrO
2系複合酸化物55.0質量部と、La安定化アルミナ29.7質量部と、炭酸バリウム換算で7.0質量部に相当する量の酢酸バリウムとを、Pdメタル換算で0.3質量部に相当する硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施した後、無機系バインダーとしてアルミナゾルを8.0質量部添加し、Pd含有スラリーを得た。
得られたPd含有スラリーを、Φ105.7mm×L114.3mm−400セルのコージェライト製ハニカム基材に塗布し、次いで乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
なお、下層におけるPd塗布量は15g/cft、ウォッシュコート量は160g/Lであった。
【0088】
(上層)
次に、上記実施例1で得たアパタイト(La
7.33BaYSi
6O
25.50)84.7質量部と、炭酸バリウム換算で7.0質量部に相当する量の酢酸バリウムとを、Pdメタル換算で0.3質量部に相当する硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施した後、無機系バインダーとしてのアルミナゾルを8.0質量部添加し、Pd含有スラリーを得た。
得られたPd含有スラリーを、上記の如く下層を塗布形成したコージェライト製ハニカム基材に塗布し、次いで、乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
なお、上層におけるPd塗布量は5g/cft、ウォッシュコート量は70g/Lであった。
【0089】
<実施例8>
(下層)
実施例7と同様に、Φ105.7mm×L114.3mm−400セルのコージェライト製ハニカム基材に下層を形成した。
【0090】
(上層)
次に、上記実施例1で得たアパタイト(La
7.33BaYSi
6O
25.50)64.7質量部と、CeO
2-ZrO
2系複合酸化物20.0質量部と、炭酸バリウム換算で7.0質量部に相当する量の酢酸バリウムとを、Pdメタル換算で0.3質量部に相当する硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施した後、無機系バインダーとしてのアルミナゾルを8.0質量部添加し、Pd含有スラリーを得た。
得られたPd含有スラリーを、上記の如く下層を塗布形成したコージェライト製ハニカム基材に塗布し、次いで、乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
なお、上層におけるPd塗布量は5g/cft、ウォッシュコート量は70g/Lであった。
【0091】
<実施例9>
(下層)
CeO
2-ZrO
2系複合酸化物55.0質量部と、La安定化アルミナ28.9質量部と、炭酸バリウム換算で7.0質量部に相当する量の酢酸バリウムとを、Pdメタル換算で1.1質量部に相当する硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施した後、無機系バインダーとしてアルミナゾルを8.0質量部添加し、Pd含有スラリーを得た。
得られたPd含有スラリーを、Φ105.7mm×L114.3mm−400セルのコージェライト製ハニカム基材に塗布し、次いで乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
なお、下層におけるPd塗布量は50g/cft、ウォッシュコート量は160g/Lであった。
【0092】
(上層)
次に、上記実施例1で得たアパタイト(La
7.33BaYSi
6O
25.50)84.0質量部と、炭酸バリウム換算で7.0質量部に相当する量の酢酸バリウムとを、Pdメタル換算で1.0質量部に相当する硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施した後、無機系バインダーとしてのアルミナゾルを8.0質量部添加し、Pd含有スラリーを得た。
得られたPd含有スラリーを、上記の如く下層を塗布形成したコージェライト製ハニカム基材に塗布し、次いで、乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
なお、上層におけるPd塗布量は20g/cft、ウォッシュコート量は70g/Lであった。
【0093】
<実施例10>
(下層)
実施例9と同様に、Φ105.7mm×L114.3mm−400セルのコージェライト製ハニカム基材に下層を形成した。
【0094】
(上層)
次に、上記実施例1で得たアパタイト(La
7.33BaYSi
6O
25.50)78.0質量部と、La安定化アルミナ6.0質量部と、炭酸バリウム換算で7.0質量部に相当する量の酢酸バリウムとを、Pdメタル換算で1.0質量部に相当する硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施した後、無機系バインダーとしてのアルミナゾルを8.0質量部添加し、Pd含有スラリーを得た。
得られたPd含有スラリーを、上記の如く下層を塗布形成したコージェライト製ハニカム基材に塗布し、次いで、乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
なお、上層におけるPd塗布量は20g/cft、ウォッシュコート量は70g/Lであった。
【0095】
<実施例11>
(下層)
実施例9と同様に、Φ105.7mm×L114.3mm−400セルのコージェライト製ハニカム基材に下層を形成した。
【0096】
(上層)
次に、上記実施例1で得たアパタイト(La
7.33BaYSi
6O
25.50)72.0質量部と、La安定化アルミナ12.0質量部と、炭酸バリウム換算で7.0質量部に相当する量の酢酸バリウムとを、Pdメタル換算で1.0質量部に相当する硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施した後、無機系バインダーとしてのアルミナゾルを8.0質量部添加し、Pd含有スラリーを得た。
得られたPd含有スラリーを、上記の如く下層を塗布形成したコージェライト製ハニカム基材に塗布し、次いで、乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
なお、上層におけるPd塗布量は20g/cft、ウォッシュコート量は70g/Lであった。
【0097】
<実施例12>
上記実施例1で得たアパタイト(La
7.33BaYSi
6O
25.50)90.9質量部を、Pdメタル換算で1.1質量部の硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施した後、無機系バインダーとしてアルミナゾルを8.0質量部添加し、Pd含有スラリーを得た。
得られたPd含有スラリーを、Φ105.7mm×L114.3mm−400セルのコージェライト製ハニカム基材に塗布し、次いで乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
なお、Pd塗布量は50g/cft、ウォッシュコート量は160g/Lであった。
【0098】
<実施例13>
上記実施例1で得たアパタイト(La
7.33BaYSi
6O
25.50)83.3質量部と、炭酸バリウム換算で7.6質量部に相当する量の酢酸バリウムとを、Pdメタル換算で1.1質量部の硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施した後、無機系バインダーとしてアルミナゾルを8.0質量部添加し、Pd含有スラリーを得た。
得られたPd含有スラリーを、Φ105.7mm×L114.3mm−400セルのコージェライト製ハニカム基材に塗布し、次いで乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
なお、Pd塗布量は50g/cft、ウォッシュコート量は160g/Lであった。
【0099】
<実施例14>
上記実施例1で得たアパタイト(La
7.33BaYSi
6O
25.50)75.7質量部と、炭酸バリウム換算で15.2質量部に相当する量の酢酸バリウムとを、Pdメタル換算で1.1質量部の硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施した後、無機系バインダーとしてアルミナゾルを8.0質量部添加し、Pd含有スラリーを得た。
得られたPd含有スラリーを、Φ105.7mm×L114.3mm−400セルのコージェライト製ハニカム基材に塗布し、次いで乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
なお、Pd塗布量は50g/cft、ウォッシュコート量は160g/Lであった。
【0100】
<実施例15>
上記実施例1で得たアパタイト(La
7.33BaYSi
6O
25.50)99.5質量部を、Pdメタル換算で0.5質量部の硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施してPd含有スラリーを得た。次いで乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
【0101】
<実施例16>
上記実施例1で得たアパタイト(La
7.33BaYSi
6O
25.50)99.0質量部を、Pdメタル換算で1.0質量部の硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施してPd含有スラリーを得た。次いで乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
【0102】
<実施例17>
上記実施例1で得たアパタイト(La
7.33BaYSi
6O
25.50)98.5質量部を、Pdメタル換算で1.5質量部の硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施してPd含有スラリーを得た。次いで乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
【0103】
<実施例18>
上記実施例1で得たアパタイト(La
7.33BaYSi
6O
25.50)98.0質量部を、Pdメタル換算で2.0質量部の硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施してPd含有スラリーを得た。次いで乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
【0104】
<実施例19>
(下層)
CeO
2-ZrO
2系複合酸化物55.0質量部と、La安定化アルミナ28.7質量部と、炭酸バリウム換算で7.0質量部に相当する量の酢酸バリウムとを、Pdメタル換算で1.3質量部に相当する硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施した後、無機系バインダーとしてアルミナゾルを8.0質量部添加し、Pd含有スラリーを得た。
得られたPd含有スラリーを、Φ105.7mm×L114.3mm−400セルのコージェライト製ハニカム基材に塗布し、次いで乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
なお、下層におけるPd塗布量は60g/cft、ウォッシュコート量は160g/Lであった。
【0105】
(上層)
次に、上記実施例1で得たアパタイト(La
7.33BaYSi
6O
25.50)91.5質量部を、Pdメタル換算で0.5質量部に相当する硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施した後、無機系バインダーとしてのアルミナゾルを8.0質量部添加し、Pd含有スラリーを得た。
得られたPd含有スラリーを、上記の如く下層を塗布形成したコージェライト製ハニカム基材に塗布し、次いで、乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
なお、上層におけるPd塗布量は10g/cft、ウォッシュコート量は70g/Lであった。
【0106】
<実施例20>
(下層)
CeO
2-ZrO
2系複合酸化物55.0質量部と、La安定化アルミナ28.9質量部と、炭酸バリウム換算で7.0質量部に相当する量の酢酸バリウムとを、Pdメタル換算で1.1質量部に相当する硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施した後、無機系バインダーとしてアルミナゾルを8.0質量部添加し、Pd含有スラリーを得た。
得られたPd含有スラリーを、Φ105.7mm×L114.3mm−400セルのコージェライト製ハニカム基材に塗布し、次いで乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
なお、下層におけるPd塗布量は50g/cft、ウォッシュコート量は160g/Lであった。
【0107】
(上層)
次に、上記実施例1で得たアパタイト(La
7.33BaYSi
6O
25.50)91.0質量部を、Pdメタル換算で1.0質量部に相当する硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施した後、無機系バインダーとしてのアルミナゾルを8.0質量部添加し、Pd含有スラリーを得た。
得られたPd含有スラリーを、上記の如く下層を塗布形成したコージェライト製ハニカム基材に塗布し、次いで、乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
なお、上層におけるPd塗布量は20g/cft、ウォッシュコート量は70g/Lであった。
【0108】
<実施例21>
(下層)
CeO
2-ZrO
2系複合酸化物55.0質量部と、La安定化アルミナ29.1質量部と、炭酸バリウム換算で7.0質量部に相当する量の酢酸バリウムとを、Pdメタル換算で0.9質量部に相当する硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施した後、無機系バインダーとしてアルミナゾルを8.0質量部添加し、Pd含有スラリーを得た。
得られたPd含有スラリーを、Φ105.7mm×L114.3mm−400セルのコージェライト製ハニカム基材に塗布し、次いで乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
なお、下層におけるPd塗布量は40g/cft、ウォッシュコート量は160g/Lであった。
【0109】
(上層)
次に、上記実施例1で得たアパタイト(La
7.33BaYSi
6O
25.50)90.5質量部を、Pdメタル換算で1.5質量部に相当する硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施した後、無機系バインダーとしてのアルミナゾルを8.0質量部添加し、Pd含有スラリーを得た。
得られたPd含有スラリーを、上記の如く下層を塗布形成したコージェライト製ハニカム基材に塗布し、次いで、乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
なお、上層におけるPd塗布量は30g/cft、ウォッシュコート量は70g/Lであった。
【0110】
<実施例22>
(下層)
CeO
2-ZrO
2系複合酸化物55.0質量部と、La安定化アルミナ29.3質量部と、炭酸バリウム換算で7.0質量部に相当する量の酢酸バリウムとを、Pdメタル換算で0.7質量部に相当する硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施した後、無機系バインダーとしてアルミナゾルを8.0質量部添加し、Pd含有スラリーを得た。
得られたPd含有スラリーを、Φ105.7mm×L114.3mm−400セルのコージェライト製ハニカム基材に塗布し、次いで乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
なお、下層におけるPd塗布量は30g/cft、ウォッシュコート量は160g/Lであった。
【0111】
(上層)
次に、上記実施例1で得たアパタイト(La
7.33BaYSi
6O
25.50)90.0質量部を、Pdメタル換算で2.0質量部に相当する硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施した後、無機系バインダーとしてのアルミナゾルを8.0質量部添加し、Pd含有スラリーを得た。
得られたPd含有スラリーを、上記の如く下層を塗布形成したコージェライト製ハニカム基材に塗布し、次いで、乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
なお、上層におけるPd塗布量は40g/cft、ウォッシュコート量は70g/Lであった。
【0112】
<実施例23>
(下層)
CeO
2-ZrO
2系複合酸化物48.9質量部と、La安定化アルミナ35.8質量部と、炭酸バリウム換算で6.2質量部に相当する量の酢酸バリウムとを、Pdメタル換算で1.1質量部に相当する硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施した後、無機系バインダーとしてアルミナゾルを8.0質量部添加し、Pd含有スラリーを得た。
得られたPd含有スラリーを、Φ105.7mm×L114.3mm−400セルのコージェライト製ハニカム基材に塗布し、次いで乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
なお、下層におけるPd塗布量は56g/cft、ウォッシュコート量は180g/Lであった。
【0113】
(上層)
次に、上記実施例1で得たアパタイト(La
7.33BaYSi
6O
25.50)91.0質量部を、Pdメタル換算で1.0質量部に相当する硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施した後、無機系バインダーとしてのアルミナゾルを8.0質量部添加し、Pd含有スラリーを得た。
得られたPd含有スラリーを、上記の如く下層を塗布形成したコージェライト製ハニカム基材に塗布し、次いで、乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
なお、上層におけるPd塗布量は14g/cft、ウォッシュコート量は50g/Lであった。
【0114】
<実施例24>
(下層)
CeO
2-ZrO
2系複合酸化物62.9質量部と、La安定化アルミナ20.0質量部と、炭酸バリウム換算で8.0質量部に相当する量の酢酸バリウムとを、Pdメタル換算で1.1質量部に相当する硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施した後、無機系バインダーとしてアルミナゾルを8.0質量部添加し、Pd含有スラリーを得た。
得られたPd含有スラリーを、Φ105.7mm×L114.3mm−400セルのコージェライト製ハニカム基材に塗布し、次いで乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
なお、下層におけるPd塗布量は44g/cft、ウォッシュコート量は140g/Lであった。
【0115】
(上層)
次に、上記実施例1で得たアパタイト(La
7.33BaYSi
6O
25.50)91.0質量部を、Pdメタル換算で1.0質量部に相当する硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施した後、無機系バインダーとしてのアルミナゾルを8.0質量部添加し、Pd含有スラリーを得た。
得られたPd含有スラリーを、上記の如く下層を塗布形成したコージェライト製ハニカム基材に塗布し、次いで、乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
なお、上層におけるPd塗布量は26g/cft、ウォッシュコート量は90g/Lであった。
【0116】
<実施例25>
(下層)
CeO
2-ZrO
2系複合酸化物73.3質量部と、La安定化アルミナ8.3質量部と、炭酸バリウム換算で9.3質量部に相当する量の酢酸バリウムとを、Pdメタル換算で1.1質量部に相当する硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施した後、無機系バインダーとしてアルミナゾルを8.0質量部添加し、Pd含有スラリーを得た。
得られたPd含有スラリーを、Φ105.7mm×L114.3mm−400セルのコージェライト製ハニカム基材に塗布し、次いで乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
なお、下層におけるPd塗布量は39g/cft、ウォッシュコート量は120g/Lであった。
【0117】
(上層)
次に、上記実施例1で得たアパタイト(La
7.33BaYSi
6O
25.50)91.0質量部を、Pdメタル換算で1.0質量部に相当する硝酸Pd溶液に添加し、湿式粉砕処理を施した後、無機系バインダーとしてのアルミナゾルを8.0質量部添加し、Pd含有スラリーを得た。
得られたPd含有スラリーを、上記の如く下層を塗布形成したコージェライト製ハニカム基材に塗布し、次いで、乾燥及び500℃で1時間焼成処理を施した。
なお、上層におけるPd塗布量は31g/cft、ウォッシュコート量は110g/Lであった。
【0118】
<対数微分空隙容積分布測定>
対数微分空隙容積分布の測定は、水銀に加える圧力を変化させ、その際の細孔中に進入した水銀の量を測定することにより、細孔(空隙)分布を測定する方法である。
細孔内に水銀が侵入し得る条件は、圧力P、細孔直径D、水銀の接触角と表面張力をそれぞれθとσとすると、力の釣り合いからPD=−4σCOSθで表すことができる。この際、接触角と表面張力を定数とすれば、圧力Pとそのとき水銀が侵入し得る細孔直径Dは反比例することになる。このため、圧力Pとそのときに侵入する液量Vを、圧力を変えて測定し、得られたP−V曲線の横軸Pを、そのままこの式から細孔直径に置き換え、細孔分布を求めることができる。
【0119】
測定装置としては、株式会社島津製作所製自動ポロシメータ「オートポアIV9520」を用いて、下記条件・手順で測定を行った。
【0120】
(測定条件)
測定環境:25℃
測定セル:試料室体積 3cm
3、圧入体積 0.39cm
3
測定範囲:0.0048MPa から 255.106MPa まで
測定点:131点(細孔径を対数で取ったときに等間隔になるように点を刻んだ)
圧入体積:25%以上80%以下になるように調節した。
【0121】
(低圧パラメーター)
排気圧力:50μmHg
排気時間:5.0min
水銀注入圧力:0.0034MPa
平衡時間:10secs
(高圧パラメーター)
平衡時間:10secs
(水銀パラメーター)
前進接触角:130.0degrees
後退接触角:130.0degrees
表面張力:485.0mN/m(485.0dynes/cm)
水銀密度:13.5335g/mL
【0122】
(測定手順)
(1)触媒粉末約0.15g若しくはハニカム約0.5gを秤取し、測定を行った。
(2)低圧部で0.0048MPaから0.2068MPa以下の範囲で46点測定。
(3)高圧部で0.2241MPaから255.1060MPa以下の範囲で85点測定。
(4)水銀注入圧力及び水銀注入量から、細孔径分布を算出する。
なお、上記(2)、(3)、(4)は、装置付属のソフトウエアにて、自動で行った。
【0123】
<触媒性能評価方法>
エージングは、上記の触媒を1000℃に保持した電気炉にセットし、C
3H
6とO
2が完全燃焼比となるように混合したガスを90秒流通させた後、次に空気を10秒流通させるように周期させながら24時間実施した。
触媒の浄化性能は、CO、CO
2、C
3H
6、H
2、O
2、NO、H
2O及びN
2バランスから成る完全燃焼比となるように混合したガスを、SV=100,000h
-1となるように流通させて、100〜500℃における出口ガス成分をCO/HC/NO分析計を用いて測定した。
【0124】
得られた温度−浄化率のデータから、CO/HC/NOそれぞれの50%浄化率に到達した温度(以下T50)と、400℃における浄化率(以下η400)を求め、各サンプルの触媒性能を比較した。
また、実施例2と比較例2については、温度は350℃、A/F=14.6で、SV=60,000、100,000、150,000、200,000、2500,00h
-1の5水準でCO、HC、NOxの浄化率を測定した。
実施例3〜6、19〜22、比較例3〜7については、温度は350℃、A/F=14.6、SV=250000h
-1でCO、HC、NOxの浄化率を測定した。
実施例7,8、12〜14については、温度は400℃、A/F=14.6で、SV=100,000でCO、HC、NOxの浄化率を測定した。
実施例9〜11、20、23〜25については、温度は400℃、A/F=14.6で、SV=100,000、150,000、200,000、2500,00h
-1の4水準でCO、HC、NOxの浄化率を測定した。
【0125】
<CO吸着法によるPd分散度評価>
エージングは、上記の触媒を1000℃に保持した電気炉にセットし、C
3H
6とO
2が完全燃焼比となるように混合したガスを80秒流通させた後、次に空気を20秒流通させるように周期させながら25時間実施した。そして、エージング後の触媒粉末のCO吸着量及びPd担持量から、Pd分散度を見積もった。
【0126】
<結果及び考察>
図1は、実施例1で作製したアパタイトのTEM写真を示し、
図2は比較例1で準備したγ―Al
2O
3のSEM写真を示し、
図3は、水銀圧入ポロシメータ(「Hgポロシメータ」と略す場合もある。)により測定したこれらの対数微分空隙容積分布(細孔分布)を示した図である。
【0127】
図1を見ると、実施例1のアパタイトは、立体網目の構造をとっており、100nm〜1000nm程度の細孔を持つことが分かった。これに対し、比較例1のγ-Al
2O
3(
図2)は、このようなマクロな細孔や立体網目の構造をとっていないことが分かった。
また、
図3のHgポロシメータの測定結果を見ると、実施例1のアパタイトは空隙容積径100nm〜1000nmの範囲にピークトップを有するという特徴を有するのに対し、比較例1のγ-Al
2O
3はかかる範囲にピークトップを有しないことが分かった。
また、実施例1のアパタイトにおいて、空隙容積径100nm〜1000nmの範囲に存在するピークトップは、微分細孔容積が少なくとも0.05ml/g以上であった。
【0128】
次に、
図4及び
図5は、実施例7及び実施例11で作製した触媒構造体のHgポロシメータにより測定した対数微分空隙容積分布(細孔分布)を示した図である。
なお、
図4において、空隙容積径100nm〜1000nmの範囲に存在するピークトップは、バックグラウンドBからの高さLが0.023ml/gであり、
図5のピークトップの当該高さLは0.020ml/gであった。
【0129】
表1には、実施例・比較例における対数微分空隙容積分布(細孔分布)の結果とガス浄化性能の評価結果を示し、表2には、実施例2と比較例2のSVを変えたときの浄化率(η350(%))のデータを示した。
この際、ガス浄化性能の評価は、HCの浄化率が97%以上の場合を「A:very good」、90%以上97%未満の場合を「B(good)」、90%未満の場合を「C(poor)」と評価して表1に示した。(ただし、SVが異なる測定の場合は、SVが一番低いデータを採用した。)
【0130】
【表1】
【0131】
【表2】
【0132】
表1の結果を見ると、各実施例で得た触媒構造体はいずれも、水銀圧入ポロシメータにより測定される対数微分空隙容積分布において、空隙容積径100nm〜1000nmの範囲にピークトップを有するのに対し、各比較例で得た触媒構造体はいずれも、空隙容積径100nm〜1000nmの範囲にピークトップが無いことが確認された。
そして、当該範囲にピークトップを有する実施例の触媒構造体は、当該範囲にピークトップを有さない比較例の触媒構造体に比べて、浄化性能が高いことが確認された。
また、表2の結果を見ると、高SVでの浄化率の低下は、アパタイト触媒層を有する実施例2の方が、アルミナで構成される比較例2より小さく、触媒深層部へのガス拡散が良いことが分かった。
【0133】
よって、上記実施例の結果とこれまでの試験結果を考慮すると、空隙容積径100nm〜1000nmにピークトップを有するように触媒構造体を形成することにより、ガス流量が多い条件下においても、触媒層の深層部へのガス拡散性を維持することができ、浄化率を高めることができることが分かった。
この際、空隙容積径100nm〜1000nmに有するピークトップは、その微分細孔容積が0.01ml/g以上であるのが好ましく、中でも0.05ml/g以上或いは5ml/g以下、その中でも好ましく0.10ml/g以上或いは2ml/g以下であるのが好ましいものと考えることができる。
また、空隙容積径100nm〜1000nmの範囲にピークトップを有する特徴を備えたアパタイトを用いて形成することで、上記のような触媒構造体を形成できることも分かった。
【0134】
【表3】
【0135】
表3には、実施例3〜6と比較例3〜7の高SVでの浄化率(η350(%))のデータを示した。
この表3の結果を見ると、アパタイト触媒層を上層として備えた触媒構造体(実施例3〜6)の方が、比較例3〜7の触媒構造体よりも、コート層すなわち上層及び下層の厚みを大きくしても浄化率を高く維持できることが分かった。
このように、アパタイトのような100nm〜1000nm程度のマクロの細孔を有する材料を上層に用いることで、高SVでも下層までガス拡散が起こり、浄化率を高く保つことができることが分かった。
【0136】
【表4】
【0137】
表4には、下層にアパタイトとOSC材を共存させない場合(実施例7)と、共存させた場合(実施例8)の模擬排ガス浄化性能評価結果を示した。
この結果、アパタイトが含まれる同一層、すなわちアパタイト触媒層はOSC材を含まない方が好ましいことが分かった。
【0138】
【表5】
【0139】
表5には、上層におけるアパタイトとAl
2O
3の混合比を変えた場合(実施例9〜11)の模擬排ガス浄化性能(η400(%))の評価結果を示した。
この結果、上層にAl
2O
3が入ると、浄化率が低下しており、その量を増やすほど浄化率の低下が顕著になることが分かった。そして、この傾向は、SVが高いほど強いことが分かった。この理由は、三次元的に立体網目構造を有するアパタイトに対してAl
2O
3を入れることで、アパタイトのガス拡散性が阻害されるものと考えることができる。
かかる観点から、同一層に含有されるアルミナの含有量に対するアパタイトの含有量の比率は1以上、特に3以上或いは30以下、中でも6以上或いは20以下であるのが好ましいと考えることができる。
【0140】
【表6】
【0141】
表6には、アパタイト触媒に対してBaの添加量を変えた場合(実施例12〜14)の模擬排ガス浄化性能評価結果を示した。
この結果、Baを添加すると、η400が向上することが分かった。ただし、Ba/アパタイト比が1/5ほどの量のBaを添加すると、T50に特に顕著な低下が見られた。
従来から、Pd触媒に対しBaを添加すると、Pdのシンタリングを抑えられるとの報告があるが、Pd/アパタイト触媒も例外ではなく、Baを添加すると性能向上が認められた。ただし、Ba添加量が多すぎると、逆効果である場合があるので注意が必要である。
【0142】
【表7】
【0143】
表7には、エージング後のアパタイト触媒(実施例15〜18)のPd分散度を示した。なお、表7におけるPd濃度(wt%)は、アパタイト触媒層に含まれるPd含有量の割合(wt%)を示すものである。
Pd濃度が1.5wt%までは高いが、それ以上になると分散度が低下していることが分かった。
【0144】
【表8】
【0145】
表8には、実施例19〜22の浄化率(η350(%))のデータを示した。表8におけるPd濃度(wt%)も、アパタイト触媒層に含まれるPd含有量の割合(wt%)を示すものである。
この結果、こちらも、Pd濃度が1.5wt%までは高いが、それ以上になると低下することが確認された。おそらく、アパタイトは比表面積が小さく、高濃度だとシンタリングが進みやすくなるものと思われる。アパタイトに対してPd濃度は1.5wt%以下にした方がよいことが分かった。
【0146】
表7及び表8の結果を考慮すると、触媒活性成分の分散性及びシンタリング抑制の観点から、触媒構造体に含まれる触媒活性成分の含有量は、触媒構造体に含まれるアパタイトの量100質量部に対して0.01〜1.5質量部、中でも0.05質量部以上或いは1.5質量部以下、その中でも0.1質量部以上或いは1.0質量部以下であるのが好ましい、と考えることができる。
【0147】
【表9】
【0148】
表9には、上層の貴金属濃度を一定にし、コート量を増やしたサンプル(実施例20、23〜25)の模擬排ガス浄化性能(η400(%))の評価結果を示した。
実施例20、23と比較して、コート量の厚い実施例24、25は、高SVでの性能が落ちていることが分かった。アパタイトは、3次元の立体網目構造を有し、ガス拡散が良いのが特徴であるが、コート量が厚いと、その特徴が生かせず、性能が低下するものと思われる。このことから、上層のコート量は80g/L以下、中でも70g/L以下であるのが好ましいと考えることができる。