(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
はじめに、光弾性実験法を用いた物体内部応力解析の原理について
図1を参照しつつ説明する。光弾性とは、外力を受けた弾性体が複屈折を生じさせる性質をいい、光弾性を有する物体を光弾性体という。
図1に示すように、透明な光弾性を有する試料100に外力P
1〜P
4を加えて、外力P
1〜P
4に垂直な方向に直線偏光を透過させる。すると、直線偏光は、試料100内で複屈折して主応力σ
1およびσ
2の方向に振動し、2つの偏光として試料100内を進む。試料100は、外力P
1〜P
4によって応力を生じているので、試料100の屈折率は主応力の方向にそれぞれ最初の値から変化している。このため、2つの偏光は、試料100内での光速度が異なることとなり、試料100を透過した後には相対的な位相差δが生じる。光弾性実験法を用いた応力解析は、この位相差δによって生ずる干渉縞を観察することにより試料100に生じている応力を解析するものである。
【0011】
試料100の屈折率は、下記の式(1)および(2)で表わされるように、外力による主応力σ
1、σ
2の方向に変化する。
【0012】
n
1−n
0=Mσ
1+Nσ
2 ・・・(1)
n
2−n
0=Mσ
2+Nσ
1 ・・・(2)
【0013】
ここで、n
0は試料の無応力状態における屈折率であり、n
1およびn
2は、それぞれ、主応力σ
1およびσ
2方向の屈折率、MおよびNは試料の材料による定数である。上記の式(1)および(2)より、下記の式(3)が導かれる。
【0014】
n
1−n
2=(M−N)(σ
1−σ
2)=C(σ
1−σ
2)・・・(3)
【0015】
光の真空中の速度をv、波長をλとし、σ
1およびσ
2の方向に振動する光が試料100内を透過する速度をそれぞれv
1およびv
2、振動の角速度をω、試料100の厚さをdとすると、試料100内でσ
1およびσ
2の方向に振動する光が試料100内を通過する時間差Δtは、下記の式(4)で表わされる。
【0016】
Δt=d/v
1−d/v
2=(d/v)(n
1−n
2)・・・(4)
また、Δtによる位相差δは、下記の式(5)で表わされる。
【0017】
δ=Δtω=(ωd/v)(n
1−n
2)
=(2πd/λ)C(σ
1−σ
2)・・・(5)
【0018】
ここで、Cは光弾性定数であり、試料100の材質や入射する偏光の波長などによって定まる値である。式(5)で表わされる位相差δに起因して生じる干渉縞を観測して、応力の方向および大きさ(2次元分布)を評価するのが光弾性実験法による応力解析である。光弾性実験法では応力の向きを測定するための等傾線測定と、応力の大きさと分布を測定するための等色線測定の2つの手法がある。
【0019】
図2は、等傾線の測定方法を示す図である。
図2に示すように、光透過性を有する試料100を間に挟んで光学主軸が互いに直交した偏光子A
1と検光子A
2とを配置する。偏光子A
1に光を照射すると、偏光子A
1によって偏光となり試料100に入射する。試料100内において偏光は、上記したように、主応力σ
1およびσ
2の方向に振動する2つの偏光となり、これら2つの偏光に位相差δが生じる。その後、試料100を透過した光が検光子A
2を通過する。検光子A
2を通過した偏光の強さI
0は、入射した偏光の振幅をa、偏光子A
1の主面と主応力σ
1とのなす角をφとすると、下記の式(6)で表わすことができる。
【0020】
I
0=a
2sin
22φ・sin
2[{πd/λ・C(σ
1−σ
2)}] ・・・(6)
ここで、平板100内のある一点に着目してI
0=0、すなわち視野が暗黒となる場合は、sin2φ=0のときである。すなわち、検光子A
2を透過した光の像においてφ=0またはπ/2による黒線が現れることになる。この黒線を等傾線という。等傾線は、主応力の向きと等しい方向に現れる線であり、主応力σ
1の方向(これと直角なσ
2)の方向を求めるのに用いられる。
【0021】
以下に、本発明に係るレーザ加工装置の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図3は、本発明の実施形態に係るレーザ加工装置1の概略の構成を示す図である。レーザ加工装置1は、レーザ光を用いて加工対象材料の融着加工を行いつつ、この融着加工に伴って加工対象材料の融着加工面に生ずる応力に関する等傾線の像を取得して、取得した等傾線の像に基づいてレーザ光のパワー制御を行うものである。
【0022】
加工対象材料10aおよび10bは、本発明の実施形態に係るレーザ加工装置1によって融着加工が施される材料であり、例えばプラスチック、ガラス、サファイア等の光透過性を有する平板状の光弾性体である。加工対象材料10aおよび10bは、融着加工を行う面を当接させた状態で、搬送機構11上に載置されて支持される。尚、加工対象材料10aと10bは、同種材料であってもよいし、異種材料であってもよい。
【0023】
搬送機構11は、加工対象材料10aおよび10bを支持するとともに、これらを融着加工面faと平行な矢印Xの方向に移動させる。搬送機構11は、加工対象材料10aおよび10bを矢印Xの方向に移動させることにより融着加工位置の位置決めを行う。
【0024】
加工用レーザ光源12は、加工対象材料10aおよび10bの融着加工を行うためのレーザ光L
aを生成する。加工用レーザ光源12は、例えばレーザ媒質としてNd:YAGを用いて構成されたYAGレーザであり、波長1064nmの赤外線をフェムト秒程度の時間幅の超短パルス光として出力する。加工用レーザ光源12は、レーザ光L
aの光軸が融着加工面faと略直交するように配置される。尚、加工用レーザ光源は、YAGレーザに限定されず、例えばチタンサファイアをレーザ媒質として使用したレーザやファイバレーザ等を使用することも可能である。
集光レンズ13は、加工用レーザ光源12のレーザ出射方向前方に配置され、融着加工面faの近傍に焦点を有する。すなわち、加工用レーザ光源12から出射されるレーザ光L
aは、集光レンズ13によって融着加工面fa近傍に集光されてビームスポットを形成する。
【0025】
測定用光源20は、加工対象材料10aおよび10bの融着加工面内に生じる応力を光弾性実験法の原理を用いて観測するためのプローブ光L
pを生成する。プローブ光L
pは白色光であってもよいし、単色光であってもよい。すなわち、測定用光源20は、種々の光源を用いて構成することができる。光弾性実験法による応力解析においては、偏光を利用することから、本実施形態において測定用光源20はレーザ光源により構成されている。測定用光源20は、加工対象材料10aおよび10bを間に挟んで、加工用レーザ光源12と対向する位置に配置されている。すなわち、プローブ光L
pは、レーザ光L
aとは反対側から加工対象材料10aおよび10bに入射する。また、測定用光源20は、プローブ光L
pの光軸が融着加工面faと略直交し且つ加工用レーザ光源12から出射されるレーザ光L
aの光軸と略一致するように配置されている。
【0026】
ビームエキスパンダ21は、測定用光源20に対してプローブ光L
pの出射方向前方に配置され、プローブ光L
pのスポット径を所定倍率で拡大して平行光を出射する。
【0027】
偏光ビームスプリッタ22は、プローブ光L
pの光軸に対して45°の傾きを持ち且つ誘電体偏光膜でコーティングされた分岐面を有し、入射光の偏光成分をこの分岐面において分岐させる偏光素子(ポラライザー)である。偏光ビームスプリッタ22は、プローブ光L
pの光軸上において測定用光源20と加工対象材料10aおよび10bとの間に設けられている。偏光ビームスプリッタ22は、入射するプローブ光L
pから第1の直線偏光PO
1を生成してこれをプローブ光L
pの光軸方向に出射する。第1の直線偏光PO
1は、加工対象材料10aおよび10bの融着加工面faに照射される。一方。偏光ビームスプリッタ22は、第1の直線偏光PO
1に対して偏光面が90°回転した第2の直線偏光PO
2を分岐面で反射させてこれをプローブ光L
pの光軸と垂直な方向に出射する。
【0028】
1/4波長板23は、光の縦偏光成分もしくは横偏光成分のいずれか一方に1/4波長(90°)の位相ずれを生じさせる光学素子であり、プローブ光L
pの光軸上において加工対象材料10aおよび10bと加工用レーザ光源12との間に設けられている。1/4波長板23は、レーザ光L
aの光軸上に中心が位置する貫通孔を有しており、レーザ光L
aはこの貫通孔を通って加工対象材料10aおよび10bに照射される。
【0029】
反射ミラー24は、プローブ光L
pの光軸に対して垂直な光反射面を有しており、プローブ光L
pの光軸上において1/4波長板23と加工用レーザ光源12との間に設けられている。反射ミラー24は、レーザ光L
aの光軸上に中心が位置する貫通孔を有しており、レーザ光L
aはこの貫通孔を通って加工対象材料10aおよび10bに照射される。
【0030】
レンズ25は、偏光ビームスプリッタ22からプローブ光L
pの光軸と直交する方向に出射される第2の直線偏光PO
2を撮像素子26の受光面に結像するためのレンズである。
【0031】
撮像素子26は、例えば、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の撮像素子であり、偏光ビームスプリッタ22から出射される直線偏光PO
2の像の明暗を光電変換して、画像信号S
Iを生成する。撮像素子26は、例えばシリコン基板上に形成された多数の受光素子(例えばフォトダイオード)を有し、この受光素子の並びで光電変換を行って画像信号S
Iを生成する。偏光ビームスプリッタ22から出射される第2の直線偏光PO
2には、加工対象材料10aおよび10bの融着加工面faに生じている応力に関する等傾線の像を含んでいる。撮像素子26は、この等傾線の像をリアルタイムで撮像して画像信号S
Iを生成し、画像信号S
Iを逐次レーザ駆動制御部28に供給する。
【0032】
レーザ駆動制御部28は、コンピュータで構成され、撮像素子26から供給される画像信号S
Iに基づいて、レーザ光L
aのパワーを調整するべくレーザ駆動信号S
Dを生成する。例えば、レーザ駆動制御部28は、撮像素子26から逐次供給される画像信号S
Iにおいて示される等傾線の位置や向きの、融着加工開始前の初期状態からの変動量が所定範囲内に収まるようにレーザ光L
aのパワーを調整する。レーザ光L
aのパワーは、例えばレーザ光の尖頭値またはレーザパルスのくりかえし周波数を変化させることにより調整することができる。加工用レーザ光源12は、レーザ駆動制御部28から供給されるレーザ駆動信号S
Dに応じたパワーでレーザ光L
aを出射することにより、加工対象材料10aおよび10bの融着加工面faに生じる応力を最小化させる。このように、レーザ光L
aのパワーは、融着加工面faに現れる等傾線のリアルタイム画像に基づいてフィードバック制御される。尚、レーザ駆動制御部28は、等傾線の向きが所定の方向に向かないようにレーザパワーを調整してもよい。また、等傾線が所定の領域に生じないようにレーザパワーを調整することとしてもよい。
【0033】
次に、上記した構成を有するレーザ加工装置1の動作について説明する。加工対象材料10aおよび10bは、融着加工を行う面同士を当接させた状態で搬送機構11上に載置されて支持される。レーザ駆動制御部28は、例えばユーザのマニュアル操作などによって初期設定がなされて初期のレーザ駆動信号S
Dを生成し、これを加工用レーザ光源12に供給する。加工用レーザ光源12は、レーザ駆動制御部28から供給される初期のレーザ駆動信号S
Dに基づいて、所定パワーのパルス状のレーザ光L
aを出射する。
【0034】
レーザ光L
aは、集光レンズ13によって加工対象材料10aおよび10bの当接面近傍に集光される。レーザ光L
aは、パルス幅がフェムト秒領域で出力されて非常に高いピークパワーを有する故にレーザ光L
aの中に含まれる多数の光子が加工対象材料10aおよび10bの電子に対して同時に相互作用して吸収される。レーザ加工装置1は、かかる多光子吸収過程を利用して加工対象材料10aおよび10bの融着加工を行う。加工対象材料10aおよび10bは、搬送機構11によって融着加工面faと平行な方向(
図3において矢印Xで示される方向)に搬送され、これによって、融着加工位置が順次移動する。
【0035】
加工用レーザ光源12からのレーザ光L
aの出射と同時に測定用光源20からプローブ光L
pが出射される。プローブ光L
pの光軸は、レーザ光L
aの光軸とほぼ一致するように位置合わせがなされている。プローブ光L
pはビームエキスパンダ21によってスポット径が拡大されて平行光として出射される。プローブ光L
pのスポット径を拡大しておくことにより、融着加工面faの広い範囲について等傾線の観測を行うことが可能となる。
【0036】
ビームエキスパンダ21によってスポット径が拡大されたプローブ光L
pは、偏光ビームスプリッタ22に入射する。プローブ光L
pは、偏光ビームスプリッタ22の分岐面において第1の直線偏光PO
1となってプローブ光L
pの光軸方向に直進する。第1の直線偏光PO
1は、加工対象材料10aおよび10bの融着加工面faに対して略垂直に入射する。融着加工面faに照射される直線偏光PO
1の照射範囲は、融着加工面fa上に形成された加工用のレーザ光L
aによるスポットを包含する。
【0037】
加工対象材料10aおよび10bの融着加工面faには、レーザ光L
aによる融着加工によって応力が生じている。第1の直線偏光PO
1は、加工対象材料10aおよび10b内において複屈折を生じて主応力σ
1およびσ
2の方向に振動する2つの偏光となる。これら2つの偏光には位相差δが生じている。
【0038】
加工対象材料10aおよび10bを透過した第1の直線偏光PO
1は、1/4波長板23に入射して円偏光となる。円偏光は、反射ミラー24によって入射方向と反対の方向に反射されて再び1/4波長板23に入射する。これにより、第1の直線偏光PO
1に対して偏光面が90°回転した第2の直線偏光PO
2が生成される。第2の直線偏光PO
2の光強度I
0は、上記の式(6)によって表される。すなわち、第2の直線偏光PO
2は、融着加工面faにおいて生じている応力に関する等傾線の像を含んでいる。第2の直線偏光PO
2は、加工対象材料10aおよび10bを透過して、偏光ビームスプリッタ22に入射する。
【0039】
第2の直線偏光PO
2は、偏光ビームスプリッタ22の分岐面において反射されてプローブ光L
Pの光軸に対して90°の方向に出射される。偏光ビームスプリッタ22で反射された第2の直線偏光PO
2に含まれる等傾線の像は、レンズ25を介して撮像素子26の受光面上に結像される。撮像素子26は、受光面上において2次元配置された複数の受光素子によって等傾線の像を受光し、受光素子の並びで光電変換を行って画像信号S
Iを生成する。撮像素子26は、融着加工の進行に伴って変化する等傾線の像からリアルタイムで画像信号S
Iを生成し、これを逐次レーザ駆動制御部28に供給する。
【0040】
レーザ駆動制御部28は、撮像素子26から逐次供給される画像信号S
Iから等傾線の像を再構築して融着加工面faにおける等傾線の位置および向きを検出する。レーザ駆動制御部28は、融着加工前の融着加工面faにおける等傾線の画像を予め保持おり、融着加工開始後において逐次変化する等傾線の像が融着加工開始前における等傾線の像に対して変動が生じないように、あるいは変動が一定範囲内に収まるようにレーザ光L
aのパワーを増減させる。すなわち、レーザ駆動制御部28は、撮像素子26から供給される画像信号S
Iに基づいて、加工対象材料10aおよび10bの融着加工面faに生じる応力がより小さくなるようにレーザパワーを調整するべくレーザ駆動信号S
Dを生成してこれを加工用レーザ光源12に供給する。レーザ光L
aのパワーは、例えば、尖頭値またはレーザパルスのくりかえし周波数を変化させることにより調整することができる。
【0041】
ここで、
図4は、レーザ駆動制御部28によるレーザパワー制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【0042】
ステップS1において、レーザ駆動制御部28は、レーザ光L
aを照射する前の融着加工面faにおける等傾線の像を撮像素子26から取得する。
【0043】
ステップS2において、レーザ駆動制御部28は、レーザ光L
aのパワーを初期状態に設定する。レーザパワーの初期設定は、例えばユーザのマニュアル操作によって行われるものであってもよい。
【0044】
ステップS3において、レーザ駆動制御部28は、初期設定されたレーザパワーにて加工対象材料10aおよび10bにレーザ光Laを照射したときの加工面faにおける等傾線の像を取得する。
【0045】
ステップS4において、レーザ駆動制御部28は、ステップS1において取得したレーザ光照射前の等傾線の像とステップS3において取得したレーザ光照射後における等傾線の像を比較して、レーザ照射前後で等傾線の向きや位置の変動量が所定の許容範囲を超えているか否かを判断する。
【0046】
ステップS5において、レーザ駆動制御部28は、レーザ光L
aの照射前後で等傾線の向きや位置が許容範囲を超えて変動していると判断した場合には、レーザ光L
aのパワーを所定量だけ低下させるべくレーザ駆動信号S
Dを生成する。
【0047】
レーザ駆動制御部28は、レーザ光L
aの照射前後で等傾線の向きや位置の初期状態からの変動量が所定範囲内となるまでステップS3からステップS5までの処理を繰り返す。
【0048】
一方、レーザ駆動制御部28は、ステップS4においてレーザ光L
aの照射前後で等傾線の向きや位置の変動が許容範囲内であると判断した場合には、ステップS2に戻ってレーザパワーを初期状態に設定すべくレーザ駆動信号S
Dを生成する。
【0049】
このように、レーザ光L
aのパワーは、融着加工面faに生じている等傾線のリアルタイム画像に基づいてフィードバック制御される。尚、レーザ駆動制御部28は、等傾線の向きが所定の方向に向かないようにレーザパワーを調整してもよく、また、等傾線が所定領域に生じないようにレーザパワーを調整してもよい。
【0050】
以上の説明から明らかなように、本発明の実施形態に係るレーザ加工装置1において、加工用レーザ光源12と測定用光源20は、加工対象材料10aおよび10bを間に挟んで互いに対向するように配置され且つ加工用レーザ光源12から出射されるレーザ光L
aの光軸と、測定用光源20から出射されるプローブ光L
pおよびこれに基づく直線偏光PO
1およびPO
2の光軸とが略一致するように配置されている。加工対象材料10aおよび10bの融着加工面faは、これらの光軸に対して略垂直に配置される。このような構成によれば、レーザ光L
aによって融着加工を行いつつ、融着加工面faに生じる応力を融着加工面faの広い範囲に亘ってリアルタイムに観察することが可能となる。すなわち、本発明の実施形態に係るレーザ加工装置1によれば、融着加工面faに生じる応力を、融着加工面faの広い範囲に亘ってリアルタイムで観察することができる観測系を組み込んだレーザ加工装置を提供することが可能となる。
【0051】
また、観測系は、等傾線のみを観測対象として構成されているので、光学部品の点数を比較的少なくすることができる。また、観測系は、プローブ光を反射ミラー24で折り返す反射型の形態を有するので、装置をコンパクトに構成することが可能となる。また、観測系を反射型とすることで、プローブ光L
pに基づく直線偏光は、融着加工面faを2回透過することとなるので、等傾線の観測精度を透過型の2倍とすることができる。
【0052】
また、本発明の実施形態に係るレーザ加工装置1によれば、観測系において得られた融着加工面faにおける等傾線のリアルタイム画像に基づいて、融着加工面faにおける応力が小さくなるようにレーザ光L
aのパワーがフィードバック制御されるので、残留応力の小さい良好な融着加工を行うことが可能となり、加工対象材料10aおよび10bの形状変形を防止するとともに経年安定性を向上させることが可能となる。
【0053】
また、本発明の実施形態に係るレーザ加工装置1によれば、等傾線の像を撮像する撮像素子26は、フレームレートの比較的遅い市販のCCDイメージセンサやCMOSセンサ等を使用することができるので、低コストで製造することが可能となる。