【実施例】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を、
図1〜
図8を用いて詳細に説明する。
(第1の本発明の浮体式フラップゲート:
図1〜
図3)
【0015】
図1〜
図3において、1は例えば防波堤の、開口部の路面rsに設置される第1の本発明の浮体式フラップゲートである。この浮体式フラップゲート1は、海洋(或いは河川)から生活空間や地下空間等の後背域に水wが流入しようとする際、流入する水wの水圧を利用して、基端側2aの回転軸2aaを支点として扉体2の先端側2bを起立揺動させて開口部を水密状態に遮断するものである。なお、
図1〜
図3では、扉体2の前記回転軸2aaは路面rsに設けた扉体受座3に取り付けられたものを示している。
【0016】
この浮体式フラップゲート1を構成する扉体2は、
図1〜
図3では、上部扉体2Aと下部扉体2Bで形成され、上部扉体2Aは下部扉体2Bとの連結点2Cを支点として下部扉体2Bに対して所定角度だけさらに起立方向に回動できる構成のものを示している。
【0017】
また、この扉体2は、遮断する開口部の幅が広い場合は、複数の扉体2を開口部の幅方向に連結した構成とされ、各扉体2の間は扉間水密ゴムによって連結されている。また、両側の扉体2の、防波堤の開口部に設けた戸当りと相対する側には水密ゴムが設けられている。
【0018】
第1の本発明の浮体式フラップゲート1は、前記扉体2(下部扉体2B)の側面に先端側を回転自在に取り付け、基端側は扉体2の起立揺動に伴い路面rsに設けたレール4に沿って扉体2の基端側2aに接近移動が自在なように、テンションロッド装置5を設置した構成である。
【0019】
このテンションロッド装置5は、基端側である路面rs側に配置されるロッド5aと、先端側である扉体2側に配置される有底の円筒状ケース5bと、これら円筒状ケース5bとロッド5aの間に介在させる圧縮ばね5cと、この圧縮ばね5cに圧縮力を付与するセットピース5dを組み合わせて構成されている。
【0020】
すなわち、前記円筒状ケース5bは、ロッド5aに沿う移動が自在なように、その底部5baがロッド5aの基端側となるようにロッド5aの先端部に嵌められている。また、前記セットピース5dは、この円筒状ケース5b内を移動自在な大きさとなされ、ロッド5aの先端部に設けた雄ねじ5aaに螺合するナット5eによって、ロッド5aの先端から抜け出ないようになされている。
【0021】
そして、円筒状ケース5bの底部5baとセットピース5dにより挟持される前記圧縮ばね5cの初期圧縮力を、ナット5eの前記雄ねじ5aaへのねじ込み量によって調整し、常時は円筒状ケース5bをロッド5aの基端側5abに押付けた状態にしておく(
図4参照)。
【0022】
上記構成の本発明の浮体式フラップゲート1では、扉体2の起立時、及び扉体2の倒伏時は、以下に説明するような作用を奏する。
【0023】
・倒伏状態時:
図1、
図4
扉体2が倒伏状態の場合、テンションロッド装置5のロッドの基端側5abは、扉体2の基端側2aから最も離反した位置にあり、円筒状ケース5bはロッド5aの基端側5abに押付けられた状態を維持している(テンションロッド装置5の支点間距離はLmin)。
【0024】
・起立動作時:
図2
水wの流入に伴って扉体2が起立すると、扉体2の起立に伴って円筒状ケース5bがロッド5aの基端側5abに押付けられた状態を維持したまま、テンションロッド装置5のロッド5aの基端側5abは扉体2の基端側2aに移動する。
【0025】
そして、円筒状ケース5bがロッド5aの基端側5abに押付けられた状態を維持したまま、テンションロッド装置5のロッド5aの基端側5abが最も扉体2の基端側2aに移動した状態のときに、扉体2の起立角度θが例えば60°となるようにしておく。この起立角度θの設定は、テンションロッド装置5の支点間距離Lminと、扉体2の回転軸2aaとテンションロッド装置5の先端側における扉体2との取付位置間の距離Hによって決定される。
【0026】
図2の状態から更に水wが流入して扉体2が起立すると、圧縮ばね5cが
図4の状態から圧縮されてテンションロッド装置5の支点間距離が伸び、圧縮によって発生するばね力が扉体2を倒伏する方向に作用する。従って、扉体2の起立速度が減速されて、起立完了時に発生する衝撃力を緩和する。
【0027】
・起立完了時:
図3
起立完了時には、圧縮ばね5cが
図5の状態まで圧縮されてテンションロッド装置5の支点間距離がLmaxとなり、圧縮ばね5cの圧縮により生じたばね力が作用して扉体2を倒伏方向に引っ張っている。
【0028】
・倒伏開始時:
図3
起立完了状態からの倒伏開始時には、圧縮ばね5cの圧縮により生じたばね力で扉体2を倒伏方向に引っ張っているので、倒伏動作が速くなって水位に追従した倒伏が可能になる。従って、扉体2や扉体2の格納部に対する衝撃が緩和される。
【0029】
(第2の本発明の浮体式フラップゲート:
図6〜
図8)
この第2の本発明の浮体式フラップゲート11は、
図1〜
図3で説明したテンションロッド装置5の円筒状ケース5bに上部ロッド12aの基端部12aaを回転自在に取り付け、その先端部12abを扉体2に回転自在に取り付けたテンションロッド装置12とし
たものである。
【0030】
この
図6〜
図8に示した構成のテンションロッド装置12の場合は、
図1〜
図3に示した構成のテンションロッド装置5の場合のように、基端側を扉体2の起立揺動に伴い路面rsに沿って扉体2の基端側2aに接近移動自在にする必要はなく、路面rsに回転自在に取り付ければよい。
【0031】
上記構成の第2の本発明の浮体式フラップゲート11では、扉体2の起立時、及び扉体2の倒伏時、テンションロッド装置12は以下に説明するような状態となる。
【0032】
・倒伏状態時:
図6
扉体2が倒伏状態の場合、テンションロッド装置12は円筒状ケース5bと上部ロッド12aの連結点12bで2つ折りになった状態となっている。
【0033】
・起立動作時:
図7
水wの流入に伴って扉体2が起立すると、扉体2の起立に伴って、円筒状ケース5bがロッド5aの基端側5abに押付けられた状態を維持したまま、テンションロッド装置11は上部ロッド12aが円筒状ケース5bとの連結点12bを支点として回動する。
【0034】
そして、円筒状ケース5bがロッド5aの基端側5abに押付けられた状態を維持したまま、テンションロッド装置12の上部ロッド12aが連結点12bを支点として回動してロッド5aと一直線になったときに、扉体2の起立角度θが例えば60°となるようにしておく。この起立角度θの設定は、テンションロッド装置12の支点間距離Lminと、扉体2の回転軸2aaとテンションロッド装置12の先端側における扉体2との取付位置間の距離Hによって決定される。
【0035】
図7の状態から更に水wが流入して扉体2が起立すると、圧縮ばね5cが圧縮されてテンションロッド装置12の支点間距離が伸び、圧縮によって発生するばね力が扉体2を倒伏する方向に作用し、扉体2の起立速度が減速されて、起立完了時に発生する衝撃力を緩和することは第1の発明と同様である。
【0036】
・起立完了時及び倒伏開始時:
図8
起立完了時には、圧縮ばね5cが最も圧縮されてテンションロッド装置12の支点間距離がLmaxとなり、圧縮ばね5cの圧縮により生じたばね力が作用して扉体2を倒伏方向に引っ張っている。そして、この起立完了状態からの倒伏開始時には、圧縮ばね5cの圧縮により生じたばね力で扉体2を倒伏方向に引っ張っているので、倒伏動作が速くなって水位に追従した倒伏が可能になって、扉体2や扉体2の格納部に対する衝撃が緩和される。
【0037】
本発明は、前記の例に限るものではなく、各請求項に記載の技術的思想の範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
【0038】
上記の例では、上部扉体2Aと下部扉体2Bを高さ方向に連結した浮体連結式フラップゲートを示したが、扉体2が単一の浮体で構成された浮体式フラップゲートに適用しても良い。
【0039】
また、上記の例では、テンションロッド装置5,12の先端側を扉体2の側面に取り付けているが、扉体2の水の流入側に取り付けても良い。但し、この場合は、路面rsにテンションロッド装置5,12の格納部を設けておく必要がある。