(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
自走可能な車体と、該車体に俯仰動可能に設けられたブームと、該ブームの先端側に上,下方向に延びるように設けられ外筒および該外筒の内側に長さ方向に伸縮可能に収容された複数段の内筒を有する多段アームと、該多段アームを構成する前記外筒の長さ方向に沿って配置された油圧シリンダと、前記外筒に固定して設けられた伸縮用固定シーブと、該油圧シリンダに取付けられ前記伸縮用固定シーブに対し接近または離間するように前記外筒の長さ方向に移動するシーブ取付具と、該シーブ取付具に設けられた伸縮用可動シーブと、一端側が前記外筒に係止されると共に他端側が前記内筒のうち最も内側となる内筒に係止され、途中部位が前記伸縮用固定シーブと伸縮用可動シーブとに巻回された伸縮用ロープとを備えてなる深掘り掘削機において、
前記油圧シリンダは、チューブと、一側が該チューブ内でピストンに固定され他側が前記チューブから外部に突出したロッドとを有し、
前記油圧シリンダのロッドを上向きの状態で該ロッドの先端部を前記多段アームの前記外筒に取付けると共に前記油圧シリンダのチューブを自由端とし、
前記シーブ取付具は、前記油圧シリンダのチューブに取付け、
請求項1または請求項2に記載の多段アームの油圧装置をさらに備えることを特徴とする深掘り掘削機。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る多段アームの油圧装置および深掘り掘削機の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0013】
図1において、1は本実施の形態による深掘り掘削機を示し、該深掘り掘削機1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とからなる車体を有している。
【0014】
上部旋回体3は、ベースとなる旋回フレーム3Aと、該旋回フレーム3Aの前部左側に配設されたキャブ3Bと、旋回フレーム3Aの後端側に設けられたカウンタウエイト3Cと、内部にエンジン、油圧ポンプ等の搭載機器(いずれも
図1では図示せず)を収容した建屋カバー3Dとにより大略構成されている。
【0015】
4は上部旋回体3の前部側に俯仰動可能に設けられたブームを示している。ブーム4の基端側は旋回フレーム3Aの前部側に取付けられ、ブーム4の先端側には後述の掘削装置11が取付けられている。ブーム4と旋回フレーム3Aとの間にはブームシリンダ4Aが設けられ、該ブームシリンダ4Aを伸縮させることにより、ブーム4が上部旋回体3に対して俯仰動する。ブーム4の上面側には掘削装置揺動シリンダ4Bのボトム側が取付けられ、該掘削装置揺動シリンダ4Bのロッド側は掘削装置11に取付けられている。
【0016】
次に、ブーム4の先端側に取付けられ、地中深く縦坑を掘削する掘削装置11について説明する。
【0017】
11はブーム4の先端側に取付けられた掘削装置を示し、該掘削装置11は、後述する多段アーム(伸縮アーム)12と、伸縮シリンダ25と、シーブ取付具29と、伸縮用固定シーブ31と、伸縮用可動シーブ33と、伸縮用ロープ34とを備えて構成されている。なお、111は多段アーム駆動機構であり、上記伸縮シリンダ25と、シーブ取付具29と、伸縮用固定シーブ31と、伸縮用可動シーブ33と、伸縮用ロープ34などとを備えて構成されている。
【0018】
12はブーム4の先端側に上,下方向に延びるように取付けられたテレスコピック式の多段アーム(伸縮アーム)を示している。この伸縮アーム12は、
図9等に示すように、最も外側に位置する外筒13と、外筒13の内周側に長さ方向に伸縮可能(移動可能)に収容された後述する1段目の内筒21と、1段目の内筒21の内周側に長さ方向に伸縮可能に収容された後述する2段目の内筒23とにより構成されている。
【0019】
ここで、
図11ないし
図14に示すように、外筒13は、ブーム4の先端側に取付けられる後面13Aと、後面13Aと前,後方向で間隔をもって対面する前面13Bと、後面13Aおよび前面13Bを挟んで左,右方向で対面する左側面13C,右側面13Dと、後面13Aと左側面13Cとの間に斜めに傾斜して配置された左傾斜面13Eと、後面13Aと右側面13Dとの間に斜めに傾斜して配置された右傾斜面13Fとによって囲まれた六角形の断面形状を有する角筒体として形成されている。
【0020】
このように、ブーム4の先端側に取付けられる後面13Aと左側面13Cとの間に左傾斜面13Eを設けると共に、後面13Aと右側面13Dとの間に右傾斜面13Fを設けることにより、外筒13に作用する荷重に対する座屈強度を高めることができる構成となっている。一方、外筒13の上端部13Gと下端部13Hとは、それぞれ開口端となっている。
【0021】
14は外筒13の長さ方向の中間部に位置して外筒13の外周側に一体に設けられた上フランジ板を示している。この上フランジ板14には、後述する押込み用ロープ42の一端側42Aが係止される。15は外筒13の下端部に一体に設けられた下フランジ板を示している。この下フランジ板15には、後述する支持用ロープ37の一端側37Aが係止される。
【0022】
16は外筒13の下部側に設けられたシーブ取付け開口を示している。このシーブ取付け開口16は、
図14に示すように、外筒13を構成する左側面13Cと左傾斜面13Eとが交わる部位と、右側面13Dと右傾斜面13Fとが交わる部位とに形成され、外筒13の内部に開口している。このシーブ取付け開口16には、後述する押込み用固定シーブ39の一部が挿入される。
【0023】
17は外筒13の外側であって後述するシーブ取付具29よりも下側部位に設けられた左,右一対のブームブラケットを示し、これら一対のブームブラケット17は、ブーム4の先端側に取付けられるものである。ここで、
図5および
図11に示すように、一対のブームブラケット17は、左,右方向で間隔をもって対面する板体からなり、各ブラケット17には、円筒状のブーム連結部17Aの左,右方向の両側が固着されている。一対のブームブラケット17は、外筒13の後面13Aに溶接等の手段を用いて一体的に固着され、ブームブラケット17のブーム連結部17Aは、ピン18(
図1参照)を用いてブーム4の先端側にピン結合されている。また、一対のブームブラケット17間には隙間17Bが形成され、この隙間17B内に、後述する伸縮シリンダ25が配置される構成となっている。
【0024】
19はブームブラケット17よりも上側に位置して外筒13の外側に設けられた左,右一対のシリンダブラケットを示し、該一対のシリンダブラケット19は、掘削装置揺動シリンダ4Bのロッド側に取付けられるものである。ここで、一対のシリンダブラケット19は、左,右方向で間隔をもって対面する板体からなり、掘削装置揺動シリンダ4Bのロッド先端部が、ピン20によって連結されるピン孔からなるシリンダ連結部を備え、外筒13の後面13Aであってブームブラケット17の上側近傍位置に溶接等の手段を用いて一体的に固着されている。これら一対シリンダブラケット19には、掘削装置揺動シリンダ4Bのロッド先端部が、ピン20(
図1参照)を用いて回動可能にピン結合されている。
【0025】
従って、掘削装置揺動シリンダ4Bを伸縮させることにより、伸縮アーム12の外筒13は、ブーム4の先端側でピン18を中心として前,後方向または上,下方向に揺動する構成となっている。なお、シリンダブラケット19は、掘削装置揺動シリンダ4Bの取付け位置によっては、ブームブラケット17よりも下側に位置して設けられることがある。
【0026】
21は外筒13の内側に適度な隙間をもって移動可能に収容された最外側内筒としての1段目の内筒を示している。
図11ないし
図14に示すように、内筒21は、後面21A、前面21B、左側面21Cおよび右側面21Dによって囲まれた四角形の断面形状を有する角筒体として形成され、上,下方向の両端部は開口端となっている。そして、内筒21は、外筒13の下端部13Hから外筒13の内側に収容され、外筒13に対し長さ方向(上,下方向)に移動可能となっている。
【0027】
ここで、外筒13の内側面と内筒21の外側面との間には、内筒21を外筒13に沿って円滑に摺動させるためのスライドプレート(図示せず)が設けられている。一方、内筒21の下端部には下フランジ板22が設けられ、該下フランジ板22には、後述する支持用固定シーブ35が取付けられている。
【0028】
23は1段目の内筒21の内側に適度な隙間をもって移動可能に収容された最も内側に位置する2段目の内筒を示している。この内筒23は、後面23A、前面23B、左側面23Cおよび右側面23Dによって囲まれ、内筒21よりも一回り小さな四角形の断面形状を有する角筒体として形成されている。内筒23は、内筒21の下端側から内筒21の内側に収容され、内筒21に対し長さ方向(上,下方向)に移動可能となっている。
【0029】
ここで、内筒21の内側面と内筒23の外側面との間には、内筒23を内筒21に沿って円滑に摺動させるためのスライドプレート(図示せず)が設けられている。一方、内筒23の下端部には取付アイ24が設けられ、該取付アイ24には後述するクラムシェルバケット43が取付けられる。
【0030】
次に、本実施の形態による伸縮シリンダ25と、伸縮シリンダ25に付設されたチューブガイド26、シーブ取付具ガイドレール27、シーブ取付具29等について説明する。
【0031】
25は伸縮アーム12を構成する外筒13の長さ方向に沿って配置された伸縮シリンダを示している。この伸縮シリンダ25は、チューブ25Aと、該チューブ25A内に摺動可能に設けられたピストン25E(
図17参照)と、一側がチューブ25A内でピストンに固定され他側がチューブ25Aから外部に突出したロッド25Bとからなる油圧シリンダにより構成されている。
【0032】
ここで、伸縮シリンダ25は、ブームブラケット17が設けられた外筒13の後面13A側で、かつ外筒13の左,右方向の中心位置に、ロッド25Bを上向きとした状態で配置されている。
図8に示すように、伸縮シリンダ25のロッド25Bの先端部25Cは、外筒13の上端部13Gの近傍部位に設けられたブラケット13Jに、ピン25Dを介してピン結合されている。
【0033】
一方、伸縮シリンダ25のチューブ25Aは、自由端となって下方に延び、左,右方向で対をなすブームブラケット17間に形成された隙間17B内に配置されている。また、チューブ25Aの上部側には、後述するシーブ取付具29が取付けられている。従って、伸縮シリンダ25を、
図1に示す最伸長状態と、
図2に示す最縮小状態との間で伸縮させることにより、チューブ25Aが、シーブ取付具29と一緒に外筒13に沿って上,下に移動する構成となっている。
【0034】
ここで、伸縮シリンダ25を
図2に示す最縮小状態としたときに、チューブ25Aの底部からロッド25Bの先端部25C(ピン25Dの位置)までの長さ寸法(最縮小状態の伸縮シリンダ25の長さ寸法)をL1とし、外筒13の上端近傍部位13G1(ロッド25Bが外筒13に連結されるピン25Dの位置)から下端部13Hまでの長さ寸法(外筒13の長さ寸法)をL2とすると、最縮小状態の伸縮シリンダ25の長さ寸法L1は、外筒13の長さ寸法L2のほぼ1/2の長さ寸法に設定されている。
【0035】
即ち、最縮小状態の伸縮シリンダ25の長さ寸法L1と、外筒13の長さ寸法L2とは、下記の関係に設定されている。
【0037】
さらに好ましくは、最縮小状態の伸縮シリンダ25の長さ寸法L1と、外筒13の長さ寸法L2とは、下記の関係に設定されている。
【0039】
このように、最縮小状態の伸縮シリンダ25の長さ寸法L1を、外筒13の長さ寸法L2のほぼ1/2の長さ寸法に設定することにより、伸縮シリンダ25のストロークを大きく確保することができる。これにより、後述する伸縮用固定シーブ31と伸縮用可動シーブ33との間に伸縮用ロープ34を4回掛けまわすだけで、伸縮アーム12を
図1に示す最縮小状態と
図2に示す最伸長状態との間で伸縮させることができる。
【0040】
26は外筒13の後面13Aの外側に設けられたチューブガイドを示し、該チューブガイド26は、伸縮シリンダ25のチューブ25Aを移動可能に収容するものである。
図12および
図13に示すように、チューブガイド26は、ほぼ正方形の断面形状を有する角筒体により形成され、一対のブームブラケット17間に形成された隙間17B内に配置された状態で外筒13の後面13Aにその長さ方向に沿って固定されている。従って、自由端となった伸縮シリンダ25のチューブ25Aは、チューブガイド26に案内されつつ外筒13の長さ方向に移動することができる。
【0041】
27は外筒13の外側に設けられた2本のシーブ取付具ガイドレールを示し、該各シーブ取付具ガイドレール27は、後述するシーブ取付具29を案内するものである。これら2本のシーブ取付具ガイドレール27は、外筒13の後面13Aに伸縮シリンダ25を挟んで左,右に1本ずつ配置されている。
【0042】
ここで、シーブ取付具ガイドレール27は、長方形の断面形状を有する角筒体により形成されている。シーブ取付具ガイドレール27の上端部は、外筒13の上端部13Gの近傍にブラケット27Aを介して固定され、シーブ取付具ガイドレール27の下端部は、外筒13の上フランジ板14の近傍にブラケット27Aを介して固定されている。これにより、シーブ取付具ガイドレール27は、外筒13の後面13Aとの間に一定の間隔を形成した状態で、後面13Aと平行して長さ方向に延びている。この場合、角筒体からなる2本のシーブ取付具ガイドレール27を外筒13に固定することにより、外筒13の強度を高めることができる構成となっている。
【0043】
28は外筒13の上端部13Gに固定して設けられたシーブ取付基板を示し、該シーブ取付基板28は、後述する伸縮用固定シーブ31等が取付けられるものである。ここで、シーブ取付基板28は、外筒13の後面13Aから後側(ブーム4側)に張出すシーブ取付部28Aと、該シーブ取付部28Aよりも前側に位置するロープ係止部28Bとを有している。シーブ取付基板28のシーブ取付部28Aには、伸縮用固定シーブ31が回転可能に支持され、ロープ係止部28Bには、後述する伸縮用ロープ34の一端側34Aが係止される。
【0044】
29は伸縮シリンダ25のチューブ25Aに取付けられたシーブ取付具を示し、該シーブ取付具29は、後述する伸縮用可動シーブ33が取付けられるものである。ここで、
図7、
図12および
図13に示すように、シーブ取付具29は、伸縮シリンダ25のチューブ25Aの上部側に固定された本体部29Aと、本体部29Aの上部側に位置し、伸縮用可動シーブ33を回転可能に支持する上側シーブ支持部29Bと、本体部29Aの下部側に位置し、後述する押込み用可動シーブ41を回転可能に支持する下側シーブ支持部29Cとにより構成されている。
【0045】
この場合、
図12に示すように、シーブ取付具29の本体部29Aには、左,右のシーブ取付具ガイドレール27が摺動可能に挿通される角筒状の左,右のガイド挿通部29Dが設けられ、シーブ取付具29は、左,右のシーブ取付具ガイドレール27に案内されつつ、外筒13の長さ方向(上,下方向)に移動可能となっている。
【0046】
なお、
図11ないし
図13に示すチューブガイド26の内側面には、スライドプレート30が設けられ、自由端となった伸縮シリンダ25のチューブ25Aは、スライドプレート30に摺接することにより、チューブガイド26に沿って円滑に外筒13の長さ方向に移動することができる構成となっている。
【0047】
次に、伸縮アーム12を構成する外筒13と、1段目の内筒21と、2段目の内筒23とを伸縮可能に連結するための伸縮用固定シーブ31、伸縮用可動シーブ33、伸縮用ロープ34、支持用固定シーブ35、支持用ロープ37について説明する。
【0048】
ここで、伸縮用固定シーブ31、伸縮用可動シーブ33、伸縮用ロープ34、支持用固定シーブ35、支持用ロープ37は、外筒13に対し伸縮シリンダ25を挟んで左,右対称となるように2組設けられ、互いに同一の構造を有している。このため、以下、外筒13の左側に配置された伸縮用固定シーブ31、伸縮用可動シーブ33、伸縮用ロープ34、支持用固定シーブ35、支持用ロープ37について説明し、右側に配置されたものについては、対応する構成要素に符号に「′」を付し、その説明は省略する。
【0049】
31はシーブ取付基板28を介して外筒13の上端側に固定された伸縮用固定シーブを示し、この伸縮用固定シーブ31は、等しい直径を有する2枚の固定シーブ31A,31Bによって構成されている。一方の固定シーブ31Aは、シーブ取付基板28のシーブ取付部28Aにブラケット32Aを介して回転可能に支持され、他方の固定シーブ31Bは、他のブラケット32Bを介して回転可能に支持されている。この場合、各固定シーブ31A,31Bの支持軸(図示せず)は、それぞれ外筒13の後面13Aに対して非平行となるように配置されている。
【0050】
33はシーブ取付具29に回転可能に支持された伸縮用可動シーブを示し、この伸縮用可動シーブ33は、等しい直径を有する2枚の可動シーブ33A,33Bによって構成されている。ここで、
図12に示すように、一方の可動シーブ33Aと他方の可動シーブ33Bとは、シーブ取付具29の上側シーブ支持部29Bに取付けられた1本の支持軸33Cに隣接して回転可能に支持されている。この場合、各可動シーブ33A,33Bの支持軸33Cは、外筒13の後面13Aに対して平行に配置されている。そして、伸縮用可動シーブ33は、伸縮シリンダ25の伸縮に応じてシーブ取付具29が上,下方向に移動することにより、伸縮用固定シーブ31に対して接近または離間する。
【0051】
この場合、シーブ取付具29に支持された伸縮用可動シーブ33は、外筒13の左側面13Cよりも外側に配置され、当該左側面13Cと僅かな間隔をもって左,右方向で対面している。これにより、伸縮用可動シーブ33が、外筒13の後面13A側に大きく突出するのを抑え、伸縮用可動シーブ33の周囲を小型化することができる。
【0052】
34は外筒13と最も内側に位置する内筒23との間を連結する伸縮用ロープを示し、該伸縮用ロープ34は、ワイヤロープによって構成されている。ここで、
図9および
図10に示すように、伸縮用ロープ34の一端側34Aは、外筒13の上端部13Gに設けられたシーブ取付基板28のロープ係止部28Bに係止され、伸縮用ロープ34の他端側34Bは、外筒13および内筒21の内側に挿通された、内筒23の上部側に係止されている。また、伸縮用ロープ34の途中部位は、伸縮用固定シーブ31を構成する2枚の固定シーブ31A,31Bと、伸縮用可動シーブ33を構成する2枚の可動シーブ33A,33Bとの間に4回掛けまわされている。
【0053】
即ち、シーブ取付基板28に一端側34Aが係止された伸縮用ロープ34は、伸縮用可動シーブ33の一方の可動シーブ33A、伸縮用固定シーブ31の一方の固定シーブ31A、伸縮用可動シーブ33の他方の可動シーブ33B、伸縮用固定シーブ31の他方の固定シーブ31Bに順次巻回される。そして、伸縮用ロープ34の他端側34Bは、伸縮用固定シーブ31の他方の固定シーブ31Bから外筒13および内筒21の内側に挿通され、内筒23の上部側に係止されている。
【0054】
このように、伸縮用固定シーブ31を2枚の固定シーブ31A,31Bによって構成すると共に、伸縮用可動シーブ33を2枚の可動シーブ33A,33Bによって構成し、伸縮用ロープ34を、2枚の固定シーブ31A,31Bと2枚の可動シーブ33A,33Bとに4回掛けまわすことにより、例えば従来技術のように、伸縮用ロープを4枚の伸縮用固定シーブと4枚の伸縮用可動シーブとの間に8回掛けまわす構成に比較して、伸縮用ロープ34がシーブに接触する回数を半減させることができる構成となっている。
【0055】
35は1段目の内筒21の下フランジ板22に設けられた1枚の支持用固定シーブを示している。この支持用固定シーブ35は、内筒21の下フランジ板22に固定されたブラケット36に回転可能に支持されている。
【0056】
37は外筒13と内筒23との間で内筒21を支持する支持用ロープを示し、該支持用ロープ37は、ワイヤロープによって構成されている。ここで、
図9および
図10に示すように、支持用ロープ37の一端側37Aは、外筒13の下フランジ板15に係止され、支持用ロープ37の途中部位は、支持用固定シーブ35に巻回されている。そして、支持用ロープ37の他端側37Bは、支持用固定シーブ35から内筒21の内側に挿入され、該内筒21の内側で内筒23の上部側に係止されている。
【0057】
次に、伸縮シリンダ25によって内筒21を外筒13から伸長させたときに内筒21を伸長方向に押込む押込み機構38について説明する。
【0058】
即ち、38は外筒13と1段目の内筒21との間に設けられた押込み機構を示し、該押込み機構38は、伸縮シリンダ25によって内筒21を外筒13から伸長させたときに、この内筒21を伸長状態に保持するものである。
【0059】
ここで、押込み機構38は、押込み用固定シーブ39と、押込み用可動シーブ41と、押込み用ロープ42とにより構成され、外筒13に対し伸縮シリンダ25を挟んで左,右対称となるように2組設けられ、互いに同一の構造を有している。このため、以下、外筒13の左側に配置された押込み機構38について説明し、右側に配置されたものについては、対応する構成要素に符号「′」を付し、その説明は省略する。
【0060】
39は外筒13の下部側に設けられた1枚の押込み用固定シーブを示している。
図14に示すように、押込み用固定シーブ39は、外筒13に形成されたシーブ取付け開口16を跨いで外筒13に固定されたブラケット40に、支持軸39Aを介して回転可能に支持されている。この場合、押込み用固定シーブ39の支持軸39Aは、外筒13の左側面13Cに対して角度θの傾斜角度をもって配置されている。即ち、押込み用固定シーブ39の支持軸39Aは、外筒13の後面13Aに対して非平行に配置され、支持軸39Aによって支持された押込み用固定シーブ39は、その一部が外筒13の内側に収容されている。
【0061】
41は伸縮用可動シーブ33よりも下側位置でシーブ取付具29に設けられた1枚の押込み用可動シーブを示している。
図13に示すように、押込み用可動シーブ41は、シーブ取付具29の下側シーブ支持部29Cに、支持軸41Aを介して回転可能に支持されている。この場合、押込み用可動シーブ41の支持軸41Aは、外筒13の後面13Aに対して平行に配置されている。そして、押込み用可動シーブ41は、伸縮シリンダ25の伸縮に応じてシーブ取付具29が上,下方向に移動することにより、押込み用固定シーブ39に対して接近または離間する。
【0062】
42は外筒13と内筒21との間を連結する押込み用ロープを示し、該押込み用ロープ42は、ワイヤロープによって構成されている。ここで、
図9および
図10に示すように、押込み用ロープ42の一端側42Aは、外筒13の上フランジ板14に係止され、押込み用ロープ42の途中部位は、押込み用可動シーブ41と押込み用固定シーブ39とに巻回されている。そして、押込み用ロープ42の他端側42Bは、押込み用固定シーブ39から外筒13の内側に挿入され、該外筒13の内側で内筒21の上部側に係止されている。
【0063】
従って、伸縮シリンダ25を
図1および
図9に示す最伸長状態から縮小させた場合には、伸縮シリンダ25のチューブ25Aがシーブ取付具29と一緒に上方に移動し、伸縮用可動シーブ33が伸縮用固定シーブ31に接近する。これにより、伸縮用可動シーブ33と伸縮用固定シーブ31とに巻回された伸縮用ロープ34が繰出され、内筒23は自重によって外筒13から下方に伸長する。このとき、内筒23の上部側に係止された支持用ロープ37の他端側37Bが内筒23と共に下方に移動するので、支持用ロープ37によって支持された内筒21も自重によって外筒13から下方に伸長する。かくして、
図2および
図10に示すように、チューブ25Aが上限位置まで移動して伸縮シリンダ25が最縮小状態に達することにより、伸縮アーム12は最伸長状態となる。
【0064】
ここで、シーブ取付具29が伸縮用固定シーブ31に接近すると、押込み用可動シーブ41と押込み用固定シーブ39との間に押込み用ロープ42が巻き取られ、押込み用ロープ42の他端側42Bが内筒21に伴って下方に移動する。これにより、押込み用ロープ42は常に一定の張力を保つ。また、内筒21は支持用ロープ37に支持された状態で伸長するので、支持用ロープ37も常に一定の張力を保つ。
【0065】
従って、外筒13から内筒21,23が伸長した状態で、後述するクラムシェルバケット43を用いて掘削作業を行うことにより、内筒21,23に対して上向きの掘削反力が作用した場合でも、押込み用ロープ42、支持用ロープ37の張力によって、内筒21,23が縮小側に移動してしまうのを抑えることができる。
【0066】
次に、伸縮シリンダ25を、
図2および
図10に示す最縮小状態から伸長させた場合には、伸縮シリンダ25のチューブ25Aがシーブ取付具29と一緒に下方に移動し、伸縮用可動シーブ33が伸縮用固定シーブ31から離間する。これにより、伸縮用可動シーブ33と伸縮用固定シーブ31との間で伸縮用ロープ34が巻き取られ、内筒23は上方に移動して内筒21内に収容されていく。このとき、内筒23の上部側に係止された支持用ロープ37の他端側37Bが内筒23と共に上方に移動するので、支持用ロープ37によって支持された内筒21も上方に移動して外筒13内に収容されていく。かくして、
図1および
図9に示すように、チューブ25Aが下限位置まで移動して伸縮シリンダ25が最伸長状態に達することにより、伸縮アーム12は最縮小状態となる。
【0067】
一方、伸縮アーム12が最縮小状態と最伸長状態との間で伸縮するときには、伸縮シリンダ25を挟んで右側に配置された伸縮用固定シーブ31′、伸縮用可動シーブ33′、伸縮用ロープ34′、支持用固定シーブ35′、支持用ロープ37′押込み用固定シーブ39′、および押込み機構38′を構成する押込み用可動シーブ41′、押込み用ロープ42′も上述したと同様に作動するものである。
【0068】
ここで、
図13および
図14に示すように、外筒13は、後面13A、前面13B、左,右の側面13C,13D、左,右の傾斜面13E,13Fによって囲まれた六角形の断面形状を有し、押込み用可動シーブ41は、左傾斜面13Eと左,右方向で対面する位置に配置されている。このため、
図13中に矢印Xで示すように、押込み用可動シーブ41を左傾斜面13Eに接近させて配置することができ、好ましくは左,右の側面13C,13Dと同等位置か、より内側の位置に設けると良い。この場合には、押込み用可動シーブ41との間で押込み用ロープ42が巻回される押込み用固定シーブ39の支持軸39Aと、外筒13の左側面13Cとがなす角度θを大きくすることにより、
図14中に矢印Yで示すように、押込み用固定シーブ39のうち外筒13内に収容された一部を、内筒21から十分に離間させることができ、また、押込み用固定シーブ39のうち外筒13から外部に露出する部分の外筒13の左,右の側面13C,13Dからの突出量を少なくすることができる。この結果、外筒13の左,右の側面13C,13D間の寸法を大きくすることなく、押込み用固定シーブ39と内筒21との間に両者が干渉しない充分な間隔を確保することができ、伸縮アーム12全体をコンパクトに構成することができる。このことは、伸縮シリンダ25を挟んで右側に配置された押込み用可動シーブ41′、押込み用ロープ42′についても同様である。
【0069】
43は内筒23の先端側(下端側)に設けられた取付アイ24に揺動可能に取付けられたクラムシェルバケットを示している。このクラムシェルバケット43は、バケットシリンダ44を伸縮させることにより開,閉し、土砂を掘削するものである。
【0070】
本実施の形態による深掘り掘削機1は上述の如き構成を有するもので、以下、深掘り掘削すべき地面100に対し、深掘り掘削機1を用いて縦坑101を掘削する作業について説明する。なお、伸縮シリンダ25を伸長、収縮させる油圧回路については後に詳述する。
【0071】
まず、
図1に示すように、深掘り掘削機1は、伸縮シリンダ25を最伸長させて伸縮アーム12を最縮小状態とし、縦坑101を掘削すべき地面100に対して伸縮アーム12を垂直な姿勢に保持する。
【0072】
この状態で、伸縮シリンダ25を縮小させることにより、伸縮シリンダ25のチューブ25Aをシーブ取付具29と一緒に上方に移動させ、伸縮用可動シーブ33を伸縮用固定シーブ31に接近させる。これにより、伸縮用可動シーブ33と伸縮用固定シーブ31とに巻回された伸縮用ロープ34が繰出され、内筒23が自重によって外筒13から下方に伸長すると共に、支持用ロープ37によって支持された内筒21も自重によって外筒13から下方に伸長する。
【0073】
このとき、シーブ取付具29に支持された押込み用可動シーブ41と押込み用固定シーブ39との間で押込み用ロープ42が巻き取られることにより、押込み用ロープ42は常に一定の張力を保つ。また、外筒13と内筒23との間で内筒21を支持する支持用ロープ37も常に一定の張力を保つ。
【0074】
この結果、押込み用ロープ42、支持用ロープ37の張力によって、外筒13から内筒21,23が伸長した状態を保持することができ、クラムシェルバケット43を縦坑101の底面に押込むことができる。この状態で、バケットシリンダ44によってクラムシェルバケット43を開,閉させることにより、クラムシェルバケット43を用いて縦坑101を深く掘削することができ、クラムシェルバケット43によって大量の土砂を掬い取ることができる。
【0075】
クラムシェルバケット43によって土砂を掬い取った後には、伸縮シリンダ25を伸長させることにより、伸縮シリンダ25のチューブ25Aをシーブ取付具29と一緒に下方に移動させ、伸縮用可動シーブ33を伸縮用固定シーブ31から離間させる。
【0076】
これにより、伸縮用可動シーブ33と伸縮用固定シーブ31との間で伸縮用ロープ34が巻き取られ、内筒23は上方に移動して内筒21内に収容されていく。このとき、外筒13と内筒23との間を連結する支持用ロープ37の他端側37Bが、内筒23と共に上方に移動することにより、支持用ロープ37によって支持された内筒21も上方に移動して外筒13内に収容されていく。
【0077】
図1に示すように、伸縮シリンダ25が最伸長状態に達し、伸縮アーム12が最縮小状態となった後には、ブーム4の先端側を持上げてクラムシェルバケット43を縦坑101から抜出す。そして、下部走行体2によって所望の排土場所まで自走した後、この排土場所に、クラムシェルバケット43によって把持した土砂を排出する。
【0078】
ここで、本実施の形態による深掘り掘削機1は、伸縮シリンダ25のロッド25Bの先端部25Cを、伸縮アーム12の外筒13に設けられたブラケット13Jにピン25Dを用いてピン結合し、自由端となったチューブ25Aに、伸縮用可動シーブ33を支持するシーブ取付具29を取付ける構成としている。このため、クラムシェルバケット43によって掘削した土砂を地面上に持上げるために、伸縮シリンダ25を伸長させて伸縮アーム12を縮小させるときには、重量物であるチューブ25Aとシーブ取付具29とが一緒に下方に移動する。これにより、伸縮用可動シーブ33と伸縮用固定シーブ31とに巻回された伸縮用ロープ34に対し、チューブ25Aとシーブ取付具29の重量による下向きの荷重が作用する。この結果、チューブ25Aとシーブ取付具29の重量を利用して内筒21,23の引上げ力を増大させることができ、伸縮シリンダ25による内筒21,23の引上げ動作を効率よく行うことができる。
【0079】
また、本実施の形態による深掘り掘削機1は、伸縮用固定シーブ31を2枚の固定シーブ31A,31Bによって構成すると共に、伸縮用可動シーブ33を2枚の可動シーブ33A,33Bによって構成し、伸縮用ロープ34を、2枚の固定シーブ31A,31Bと2枚の可動シーブ33A,33Bとに4回掛けまわす構成としている。この結果、例えば従来技術のように、伸縮用ロープを4枚の伸縮用固定シーブと4枚の伸縮用可動シーブとの間に8回掛けまわす構成に比較して、伸縮用ロープの寿命を延ばすことができる。
【0080】
しかも、伸縮用固定シーブ31を構成する2枚の固定シーブ31A,31Bと、伸縮用可動シーブ33を構成する2枚の可動シーブ33A,33Bとの間に伸縮用ロープ34を4回掛けまわすことにより、伸縮用ロープ34を用いて内筒21,23を引上げるときの引上げ量を伸縮シリンダ25のストロークの4倍とすることができ、内筒21,23を効率良く引上げることができる。
【0081】
また、本実施の形態では、伸縮シリンダ25のロッド25Bを、外筒13の上部側でかつ伸縮用固定シーブ31よりも下側に固定している。これにより、シーブ取付具29が取付けられた伸縮シリンダ25のチューブ25Aを、上,下方向に延びた外筒13のほぼ上半分の範囲で上,下方向に移動させることができる。このため、例えば
図1に示すように、縦坑101の掘削時に外筒13の下半分が地下にもぐった場合でも、上部旋回体3のキャブ3B内のオペレータは、伸縮シリンダ25の伸縮動作等を目視して確認することができるので、掘削作業の作業性や安全性を高めることができる。
【0082】
また、本実施の形態では、外筒13の外側に、外筒13と平行して長さ方向に延びる2本のシーブ取付具ガイドレール27を固定して設け、シーブ取付具29は、伸縮シリンダ25の伸縮に応じ、シーブ取付具ガイドレール27に沿って外筒13の長さ方向に移動する構成としている。
【0083】
従って、シーブ取付具29は、シーブ取付具ガイドレール27に案内されて常に一定の軌道上を移動することができる。この結果、伸縮用固定シーブ31と伸縮用可動シーブ33とに巻回された伸縮用ロープ34は、伸縮用可動シーブ33の移動に円滑に追従することができるので、外筒13に対する内筒21,23の伸縮動作の安定性を高めることができる。しかも、外筒13に固定した2本のシーブ取付具ガイドレール27によって外筒13の強度を高めることができるので、伸縮アーム12全体の信頼性を高めることができる。
【0084】
一方、シーブ取付具29が取付けられた伸縮シリンダ25のチューブ25Aも、シーブ取付具ガイドレール27に沿って一定の軌道上を移動することができる。この結果、伸縮シリンダ25の座屈や横荷重に対する強度を高めることができ、伸縮シリンダ25の信頼性を高めることができる。
【0085】
また、本実施の形態では、外筒13のうち、上部旋回体3のキャブ3B側に位置する後面13Aに一対のブームブラケット17を設け、これら一対のブームブラケット17をブーム4の先端側に取付けると共に、ブームブラケット17間に形成された隙間17B内に伸縮シリンダ25を配置している。
【0086】
これにより、伸縮シリンダ25のチューブ25Aに取付けられたシーブ取付具29、シーブ取付具29に支持された伸縮用可動シーブ33、伸縮用固定シーブ31と伸縮用可動シーブ33とに巻回された伸縮用ロープ34等を、上部旋回体3のキャブ3B側から直接的に目視することができる。これにより、キャブ3B内のオペレータは、伸縮シリンダ25等を目視しつつ外筒13に対して内筒21,23を伸縮させることができ、この伸縮動作を的確に行うことができる。
【0087】
また、外筒13のうちブームブラケット17が設けられた後面13Aとは反対側となる前面13Bには、伸縮シリンダ25、伸縮用固定シーブ31、シーブ取付具29、伸縮用可動シーブ33等を設ける必要がない。このため、縦坑101の掘削時にこれら伸縮シリンダ25等が障害物と接触して損傷することがなく、掘削作業の作業性を高めることができる。
【0088】
一方、
図15に示すように、深掘り掘削機1を輸送姿勢にするために、外筒13のうちブーム4に取付けられる後面13Aとは反対側の前面13Bを地面に置いた場合には、格別な置台等を用いることなく、伸縮シリンダ25、シーブ取付具29、伸縮用固定シーブ31、伸縮用可動シーブ33等を、伸縮アームの重量が作用することがない上向きの姿勢に保持することができる。
【0089】
従って、深掘り掘削機1を輸送姿勢にした状態では、外筒13に取付けられた伸縮シリンダ25、伸縮用固定シーブ31、シーブ取付具29、伸縮用可動シーブ33等に対するメンテナンス作業を、地面に近い位置で行うことができるので、このメンテナンス作業の作業性を高めることができる。
【0090】
また、本実施の形態では、外筒13の後面13Aに角筒状のチューブガイド26を設け、このチューブガイド26内に伸縮シリンダ25のチューブ25Aを移動(摺動)可能に収容している。これにより、自由端となった伸縮シリンダ25のチューブ25Aを、チューブガイド26によって外筒13の長さ方向に案内することができ、シーブ取付具29が取付けられたチューブ25Aを円滑に移動させることができる。
【0091】
しかも、伸縮シリンダ25のチューブ25Aは、チューブガイド26に沿って一定の軌道上を移動することができるので、伸縮シリンダ25の座屈や横荷重に対する強度を高めることができる。また、チューブガイド26内にチューブ25Aを収容することにより、縦坑101の掘削作業による落石等からチューブ25Aを保護することができる。
【0092】
また、本実施の形態では、外筒13を六角形の断面形状を有する筒状に形成し、ブーム4の先端側に取付けられる後面13Aと左,右の側面13C,13Dとの間に左,右の傾斜面13E,13Fを設ける構成としている。これにより、外筒13に作用する荷重に対して座屈強度を高めることができ、外筒13の寿命を延ばすことができるので、伸縮アーム12全体の信頼性を高めることができる。
【0093】
しかも、伸縮用可動シーブ33を、外筒13の左側面13Cよりも外側に配置することにより、伸縮用可動シーブ33が外筒13の左側面13Cと僅かな間隔をもって左,右方向で対面する構成としている。これにより、伸縮用可動シーブ33が、外筒13の後面13A側に大きく突出するのを抑えることができ、直径の大きな伸縮用可動シーブ33を用いた場合でも、この伸縮用可動シーブ33の周囲を小型化することができる。この結果、直径の大きな伸縮用可動シーブ33を用いることにより、伸縮用ロープ34の寿命を延ばすことができる。
【0094】
このように、本実施の形態による深掘り掘削機1は、伸縮用ロープ34の寿命を延ばすことができる構造であるため、伸縮用ロープ34に作用する負荷を大きく設定することができる。この結果、伸縮用ロープ34が接続された内筒23の先端側に取付けられるクラムシェルバケット43の容量を大きくすることができ、大量の土砂を掘削することによって掘削効率を高めることができる。
【0095】
さらに、本実施の形態による深掘り掘削機1は、外筒13の下部側にシーブ取付け開口16を設け、押込み用固定シーブ39の一部をシーブ取付け開口16を通じて外筒13の内側に配置する構成としている。これにより、押込み用固定シーブ39の直径を大きく設定した場合でも、外筒13に対して押込み用固定シーブ39をコンパクトに取付けることができる。この結果、直径の大きな押込み用固定シーブ39を用いることにより、押込み用ロープ42の寿命を延ばすことができる。
【0096】
しかも、外筒13の下部側に設けたシーブ取付け開口16の位置に押込み用固定シーブ39を配置することにより、従来技術のように外筒の下端部に押込み用固定シーブを配置する必要がない。これにより、内筒21を外筒13内に収容したときに、内筒21の下端部に設けた下フランジ板22が押込み用固定シーブ39に干渉することがなく、内筒21の下フランジ板22を外筒13の下端部13Hの近傍まで接近させることができる。この結果、伸縮アーム12を最縮小させたときの全長を短縮することができ、例えば深掘り掘削機1を輸送するときにコンパクトな輸送姿勢とすることができる。
【0097】
なお、上述した実施の形態では、伸縮アーム12を構成する外筒13のうち、ブームブラケット17が取付けられる後面13A側に、伸縮シリンダ25、シーブ取付具ガイドレール27、シーブ取付具29、伸縮用固定シーブ31、伸縮用可動シーブ33等を配置する構成を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば
図16に示す変形例のように、外筒13のうち、ブームブラケット17が取付けられる後面13Aとは反対側となる前面13B側に、伸縮シリンダ25、シーブ取付具ガイドレール27、シーブ取付具29、伸縮用固定シーブ31、伸縮用可動シーブ33等を配置する構成としてもよい。これにより、既存の伸縮アームに慣れたオペレータにとって、深掘り掘削機を操作するときの違和感がなく、その操作性を高めることができる。
【0098】
また、上述した実施の形態では、伸縮用固定シーブ31,31′、伸縮用可動シーブ33,33′、伸縮用ロープ34,34′、支持用固定シーブ35,35′、支持用ロープ37,37′、押込み用固定シーブ39,39′、押込み用可動シーブ41,41′、押込み用ロープ42,42′等の各部材を、外筒13に対し伸縮シリンダ25を挟んで左,右対称となるように2組設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、伸縮用固定シーブ31、伸縮用可動シーブ33、伸縮用ロープ34、支持用固定シーブ35、支持用ロープ37、押込み用固定シーブ39、押込み用可動シーブ41、押込み用ロープ42等の各部材を、外筒13の左,右方向の中央部に1組設ける構成としてもよい。
【0099】
−−−油圧回路について−−−
伸縮シリンダ25を伸長、収縮させる油圧回路について、以下に説明する。
図17は、本実施の形態の油圧回路200と、この油圧回路200によって伸縮が制御される多段アーム駆動機構111の概略構成とを含む油圧装置300の全体構成を示す図である。なお、
図17では、説明の便宜上、上述した多段アーム駆動機構、すなわち、伸縮シリンダ25と、シーブ取付具29と、伸縮用固定シーブ31と、伸縮用可動シーブ33と、伸縮用ロープ34とを簡略化、および一部省略して記載している。
【0100】
油圧回路200は、油圧ポンプ201と、制御弁210と、第1油路241と、第2油路242と、カウンタバランス弁221と、リリーフ弁222と、切替弁232と、可変絞り付きスローリターン弁231とを備えている。
【0101】
制御弁210は、油圧ポンプ201から伸縮シリンダ25への圧油の流れを制御する制御弁であり、オペレータによる不図示の操作部材の操作に基づいてスプールの位置および移動量が変更される。本実施の形態では、制御弁210は、油圧パイロット操作式の制御弁であり、操作部材の操作に応じてパイロット管路261、262により供給されるパイロット圧油の圧力に基づいてスプールの位置および移動量が変更される。なお、操作部材としては、たとえば操作レバーや操作ペダル等が挙げられる。制御弁210は、パイロット管路261により供給されるパイロット圧油の圧力に基づいて、伸縮シリンダ25を収縮させる収縮位置(a位置)に切替えられ、、パイロット管路262により供給されるパイロット圧油の圧力に基づいて、伸縮シリンダ25を伸長させる伸長位置(b位置)に切替えられ、および、パイロット管路261,262へのパイロット圧油の供給を中止することで伸縮シリンダ25への圧油の供給と伸縮シリンダ25からの圧油の戻りを禁止する中立位置(c位置)に切り替えられる。
【0102】
伸縮シリンダ25と制御弁210とは、第1油路241および第2油路242を介して接続されている。第1油路241は、伸縮シリンダ25と制御弁210との間の第1の油路であり、伸縮シリンダ25のボトム側油室251に接続されている。第2油路242は、伸縮シリンダ25と制御弁210との間の第2の油路であり、伸縮シリンダ25のロッド側油室252に接続されている。また、制御弁210と作動油タンク202とは、油路245によって接続される。また、第2油路242には、第2油路242の圧油を制御弁210を経ずに作動油タンク202へ導くための油路243、244が接続されている。本実施の形態では、作動油タンク202に通ずる管路、すなわちタンク圧となる油圧回路を油圧回路200の低圧側と称する。
【0103】
カウンタバランス弁221は、第1油路241に設けられている。なお、カウンタバランス弁221は逆止弁221aを内蔵しており、伸縮シリンダ25のボトム側油室251へ向かう圧油の流れを許可する。また、カウンタバランス弁221のパイロットポートはパイロット油路221pにより第2油路242に接続されており、カウンタバランス弁221は、第2油路242への圧油の供給(圧力の上昇)により開弁する。リリーフ弁222は、第1油路241のうち、ボトム側油室251とカウンタバランス弁221との間の油路に1次側ポート222aが接続され、第2油路242に2次側ポート222bが接続される。なお、カウンタバランス弁221およびリリーフ弁222は、たとえば弁ブロック220として一体的に設けられていて、伸縮シリンダ25のボトム側油室251およびロッド側油室252に直接接続されている。
【0104】
切替弁232は、油路243と油路244との間に設けられるもので、パイロット配管261に供給されるパイロット圧油によって位置が切り替えられることで、油路243と油路244とを接続/遮断する油圧パイロット操作式の切替弁である。切替弁232は、油圧回路200の低圧側に第2油路242の圧油を逃がすことを許可する許可位置(a位置)と、油圧回路200の低圧側に第2油路242の圧油を逃がすことを禁止する禁止位置(b位置)とに切り替えられる。なお、油路243は、第2油路242と切替弁232とを接続する油路であり、油路244は、切替弁232と作動油タンク202とを接続する油路であり、油圧回路200の低圧側とを接続する油路である。
【0105】
可変絞り付きスローリターン弁231は、第1油路241のうち、カウンタバランス弁221と制御弁210との間の油路に設けられている。すなわち、可変絞り付きスローリターン弁231は、カウンタバランス弁221および制御弁210と直列に設けられている。可変絞り付きスローリターン弁231は逆止弁223aを内蔵しているので、伸縮シリンダ25のボトム側油室251へ向かう圧油については流量の制御を行わない。
【0106】
−−−伸縮アーム12の伸縮停止−−−
次に、油圧回路200の動作について説明する。オペレータによる不図示の操作部材が操作されていない場合、パイロット圧油がパイロット配管261,262に供給されない。これにより、制御弁210がc位置に切り替わる。したがって、制御弁210は、油圧ポンプ201からの圧油がボトム側油室251およびロッド側油室252に供給されないように油圧ポンプ201からの圧油を遮断するとともに、ボトム側油室251、ロッド側油室252から油路245を経てタンク202へ戻る油を遮断する。
【0107】
ボトム側油室251の圧油は、たとえば油路244や油路245等の低圧側へ接続されている油路へ流出しないようにカウンタバランス弁221および制御弁210によって遮断されている。
【0108】
パイロット圧油がパイロット配管261に供給されないため、切替弁232は、内蔵するバネの付勢力でa位置に切り替わる。そのため、第2の油路242は、制御弁210によって油路245と遮断されているが、油路243、切替弁232及び油路244を介して低圧側となるタンク202と接続される。
【0109】
なお、伸縮シリンダ25には、伸縮アーム12の内筒21、23や内筒23の下端側に取り付けられたクラムシェルバケット43等の自重によってロッド25Bを収縮させる荷重が作用している。そのため、ボトム側油室251の圧油はピストン25Eを介して圧縮される。しかし、上述したように、ボトム側油室251はカウンタバランス弁221によって低圧側の油路とは遮断されている。したがって、オペレータによる不図示の操作部材が操作されていない場合、伸縮アーム12の内筒21、23およびクラムシェルバケット43は、重力に逆らって停止する。
【0110】
伸縮アーム12の伸縮を停止させた状態で、たとえば上述したブームシリンダ4Aや掘削装置揺動シリンダ4Bを駆動して、掘削装置11を上昇させる場合、クラムシェルバケット43の地切りの際に伸縮アーム12に伸長方向(下方向)の大きな負荷が作用する。そのため、クラムシェルバケット43の地切りの際には、ボトム側油室251に大きな圧力が作用することとなる。しかし、本実施の形態では、上述したように、ボトム側油室251とカウンタバランス弁221との間の油路にリリーフ弁222の1次側222aポートが接続され、第2油路242に2次側ポート222bが接続されている。これにより、ボトム側油室251内の圧力が上昇しても、リリーフ弁222によって高圧の圧油が第2油路242に逃げるように構成されている。ボトム側油室251からリリーフ弁222を介して第2油路242に逃げた圧油は、油路243、切替弁232、油路244を介して油圧回路200の低圧側に流出する。
【0111】
−−−伸縮アーム12の伸長−−−
オペレータによって、伸縮アーム12が伸長するように、すなわち伸縮シリンダ25を収縮させるように不図示の操作部材が操作されると、操作部材の操作量に応じた圧力のパイロット圧油がパイロット配管261に供給される。これにより、制御弁210がa位置に切り替わり、切替弁232がb位置に切り替わる。したがって、油圧ポンプ201からの圧油は、切替弁232を介して油圧回路200の低圧側に流れることなく、第2油路242を介してロッド側油室252に供給される。
【0112】
油圧ポンプ201からの圧油が第2油路242に流れることで、第2油路242に接続された油路221pを介して油圧ポンプ201からの圧油がカウンタバランス弁221にパイロット圧として作用する。これにより、ボトム側油室251に所定の保持圧力が作用した状態でカウンタバランス弁221は開弁し、ボトム側油室251の圧油がカウンタバランス弁221を介して可変絞り付きスローリターン弁231へ流れることが許可される。これにより、伸縮シリンダ25は、伸縮アーム12の内筒21、23やクラムシェルバケット43等の自重の影響を受けずに、滑らかに起動させることができる。
【0113】
なお、制御弁210がa位置に切り替わっているため、第1油路241は制御弁210を介して油路245と接続される。これにより、ボトム側油室251の圧油は、カウンタバランス弁221を介し、可変絞り付きスローリターン弁231で流量が制御されて、油圧回路200の低圧側に流出する。
【0114】
なお、この実施形態では、多段伸縮アーム駆動機構111として動滑車を用い、伸長時の速度を増速している。そこで、オペレータが可変絞り付きスローリターン弁231の可変絞り量を調整して所望のアーム伸長速度を選択できるように構成している。
【0115】
したがって、オペレータによって、伸縮アーム12が伸長するように、すなわち伸縮シリンダ25を収縮させるように不図示の操作部材が操作されると、ロッド側油室252に供給される圧油によって伸縮シリンダ25が収縮し、伸縮アーム12が伸長される。
【0116】
−−−伸縮アーム12の収縮−−−
オペレータによって、伸縮アーム12が収縮するように、すなわち伸縮シリンダ25を伸長させるように不図示の操作部材が操作されると、操作部材の操作量に応じた圧力のパイロット圧油がパイロット配管262に供給される。これにより、制御弁210がb位置に切り替わる。したがって、油圧ポンプ201からの圧油は、第1油路241の可変絞り付きスローリターン弁231に内蔵された逆止弁231a、および、カウンタバランス弁221に内蔵された逆止弁221aを介してボトム側油室251に供給される。
【0117】
パイロット圧油がパイロット配管261に供給されないため、切替弁232は、内蔵するバネの付勢力でa位置に切り替わる。また、上述したように、制御弁210はb位置に切り替わる。そのため、第2の油路242は、制御弁210及び油路245を介してタンク202と接続されるとともに、油路243、切替弁232及び油路244を介してタンク202と接続される。これにより、ロッド側油室252の圧油が制御弁210および切替弁232を介して油圧回路200の低圧側へ流れることが許可される。そのため、伸縮シリンダ25の伸長時には、ロッド側油室252の圧油は、制御弁210による背圧の影響を受けずに切替弁232を介して油圧回路200の低圧側へ流れる。
【0118】
したがって、オペレータによって、伸縮アーム12が収縮するように、すなわち伸縮シリンダ25を伸長させるように不図示の操作部材が操作されると、ボトム側油室251に供給される圧油によって伸縮シリンダ25が伸長し、伸縮アーム12が収縮される。
【0119】
なお、伸縮アーム12を収縮させることでクラムシェルバケット43を地中で上昇させる場合に、ボトム側油室251内の圧力が必要以上に上昇しても、リリーフ弁222から圧油が第2油路242に逃げるように構成されている。
【0120】
本実施の形態の油圧回路200および油圧装置300では、次の作用効果を奏する。
(1) 伸縮シリンダ25のボトム側油室251に接続される第1油路241にカウンタバランス弁221を設けた。第1油路241のうち、ボトム側油室251とカウンタバランス弁221との間の油路にリリーフ弁222の1次側ポート222aを接続し、第2油路242にリリーフ弁222の2次側ポート222bを接続するように構成した。また、第2油路242から分岐する油路243に切替弁232を設けるように構成した。
【0121】
すなわち、ボトム側油室251の圧油をカウンタバランス弁221および中立位置(c位置)とされた制御弁210で遮断するように構成した。したがって、たとえばカウンタバランス弁221と制御弁210との間の第1油路241に不具合が生じたとしても、ボトム側油室251の圧油をカウンタバランス弁221で保持できる。また、仮にカウンタバランス弁221に不具合が生じたとしても、ボトム側油室251の圧油を中立位置(c位置)とされた制御弁210で保持できる。これにより、伸縮アーム12や伸縮アーム12の下端側に取り付けられたクラムシェルバケット43等を重力に抗して保持できるので、深掘り掘削機1の信頼性を向上できる。
【0122】
伸縮アーム12の伸長時、すなわち伸縮シリンダ25の収縮時に切替弁232がb位置に切り替わるように構成した。これにより、伸縮アーム12の伸長時、すなわち伸縮シリンダ25の収縮時に、油圧ポンプ201からの圧油が切替弁232を介して油圧回路200の低圧側に流れることなく、第2油路242を介してロッド側油室252に供給される。また、伸縮アーム12の収縮時、すなわち伸縮シリンダ25の伸長時に切替弁232がa位置に切り替わるように構成した。これにより、伸縮アーム12の伸長時、すなわち伸縮シリンダ25の収縮時に、ロッド側油室252の圧油が制御弁210による背圧の影響を受けずに切替弁232を介して油圧回路200の低圧側へ流れる。したがって、伸縮アーム12の伸長時に悪影響を与えることなく、伸縮アーム12の伸長時に、ロッド側油室252の圧油に作用する背圧を低減でき、油圧回路200の効率を向上できるので、深掘り掘削機1のエネルギー効率を向上できる。
【0123】
ボトム側油室251内の圧力が上昇しても、リリーフ弁222から圧油が第2油路242に逃げるように構成した。これにより、たとえば、ブーム上げ操作で掘削装置11を上昇させたり、伸縮アーム12を収縮させたりすることでクラムシェルバケット43を地中で上昇させる場合に、ボトム側油室251内の圧力の上昇を抑制できる。したがって、伸縮シリンダ25やカウンタバランス弁221の耐久性を向上できるので、深掘り掘削機1の耐久性、信頼性を向上できる。
【0124】
(2) 第1油路241のうち、カウンタバランス弁221と制御弁210との間の油路に可変絞り付きスローリターン弁231を設けるように構成した。これにより、伸縮アーム12の伸長速度、すなわち伸縮シリンダ25の収縮速度を任意に設定できるので、たとえばオペレータの所望する速度に設定することで、深掘り掘削機1の操作性や作業効率を向上できる。また、仮にカウンタバランス弁221に不具合が生じたとしても、可変絞り付きスローリターン弁231で圧油の流速が低減されて、伸縮アーム12の伸長速度が抑制されるので、オペレータが対応し易くなり、深掘り掘削機1の信頼性を向上できる。
【0125】
(3) 油圧回路200の構成が単純であり、上述した各機能を効率よく発揮できるので、油圧回路200の製造コストを抑制できるとともに、油圧回路200の信頼性を向上できる。また、油圧回路200のメンテナンスコストも抑制できる。したがって、深掘り掘削機1の製造コストおよびランニングコストを抑制でき、信頼性を向上できる。
【0126】
なお、上述の説明では、第2油路242から分岐する油路221pを介して油圧ポンプ201からの圧油がカウンタバランス弁221にパイロット圧として作用するように構成したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、伸縮アーム12が伸長するように、すなわち伸縮シリンダ25を収縮させるように不図示の操作部材が操作されることでパイロット配管261に供給されるパイロット圧油がカウンタバランス弁221にパイロット圧として作用するように構成してもよい。
【0127】
また、上述の説明では、制御弁210および切替弁232が油圧パイロット操作式の弁であるが、本発明はこれに限定されない。たとえば、制御弁210および切替弁232を電磁操作式の弁としてもよい。この場合、制御弁210をa位置へ切り替える操作信号によって、切替弁232がb位置に切り替わるように操作信号を切替弁232に入力するように構成すればよい。
【0128】
また、上述の説明では、可変絞り付きスローリターン弁231の設定操作について特に言及していないが、たとえば、キャブ3B内から設定操作ができるように構成してもよく、可変絞り付きスローリターン弁231の配設位置にて設定操作ができるように構成してもよい。
【0129】
また、本発明では、可変絞り付きスローリターン弁231を設けることは必須の構成要件ではなく、固定絞り付きスローリターン弁を用いてもよい。また、可変絞り付きスローリターン弁231を設けなくてもよい。なお、上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
【0130】
なお、本発明は、上述した実施の形態のものに何ら限定されず、油圧シリンダの伸長によって多段アームを収縮し、油圧シリンダの収縮によって多段アームを伸長させる多段アーム駆動機構と、油圧シリンダを伸長、収縮させる以下の油圧回路とを備えた各種構造の多段アームの油圧装置、および、この多段アームの油圧装置を備える各種構造の深掘り掘削機を含むものである。その油圧回路は、油圧シリンダへの圧油の流れを制御するために油圧シリンダを伸長させる伸長位置、油圧シリンダを収縮させる収縮位置、および、油圧シリンダへの圧油の供給と油圧シリンダからの圧油の戻りとを禁止する中立位置に切り替わる制御弁と、油圧シリンダのボトム側油室と制御弁との間の第1の油路と、油圧シリンダのロッド側油室と制御弁との間の第2の油路と、第1の油路に設けられるカウンタバランス弁と、第1の油路のうち、ボトム側油室とカウンタバランス弁との間の油路に1次側が接続され、第2の油路に2次側が接続されるリリーフ弁と、油圧シリンダの伸長時に第2の油路の圧油を低圧側に逃がすことを許可する許可位置、および、油圧シリンダの収縮時に第2の油路の圧油を低圧側に逃がすことを禁止する禁止位置に切り替わる切替弁とを備える。