特許第5873849号(P5873849)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873849
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】物品収納棚及び架け具の取り付け方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/14 20060101AFI20160216BHJP
   A47B 47/00 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   B65G1/14 C
   B65G1/14 G
   A47B47/00
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-179424(P2013-179424)
(22)【出願日】2013年8月30日
(65)【公開番号】特開2015-48180(P2015-48180A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2015年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000196705
【氏名又は名称】西部電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【弁理士】
【氏名又は名称】来田 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(72)【発明者】
【氏名】前田 徹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正祥
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−061824(JP,U)
【文献】 特開2000−296039(JP,A)
【文献】 特開2002−112861(JP,A)
【文献】 特開2006−296905(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0039641(US,A1)
【文献】 実開昭51−081694(JP,U)
【文献】 特開2000−037237(JP,A)
【文献】 特表2013−521078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00− 1/133;1/14− 1/20
A47B 43/00−45/00;47/00−47/06;
69/00−75/00;79/00−81/06
F16B 7/00− 7/22
B65H 75/00−75/32
A47F 5/00− 8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に長いトップ部及び該トップ部に上側が連結された左右に長い垂下部を備える長尺の水平材と、前記水平材に固定されて物品を支持する架け具とを有する物品収納棚であって、
前記架け具は、前記トップ部に上から当接するA部と、前記A部に連結され、前記垂下部の前後の一側に配置されるB部と、前記B部に連結され、前記垂下部に下から当接するC部と、前記C部に連結され、前記垂下部の前後の他側で該垂下部まで距離を有する位置に配置されるD部とを備え、
前記架け具は、前記水平材の所望の左右位置で、前記垂下部と前記D部の間に弾性体が嵌入されて、前記水平材に固定されることを特徴とする物品収納棚。
【請求項2】
請求項1記載の物品収納棚において、前記弾性体は、筒状物であることを特徴とする物品収納棚。
【請求項3】
請求項1又は2記載の物品収納棚において、前記垂下部は、前記弾性体に接する当接面が上方に向かって前記D部の方向に傾斜していることを特徴とする物品収納棚。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の物品収納棚において、前記A部、前記B部、前記C部及び前記D部は、それぞれ板状片であることを特徴とする物品収納棚。
【請求項5】
請求項4記載の物品収納棚において、前記C部は前記A部に対向して配置され、前記D部は前記B部に対向して配置されていることを特徴とする物品収納棚。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の物品収納棚において、前記水平材は2つの前記垂下部を備えた溝形鋼であって、前記トップ部はウェブ、2つの前記垂下部はそれぞれフランジであることを特徴とする物品収納棚。
【請求項7】
左右に長い板状の水平配置されたトップ部と前記トップ部に上側が連結された左右に長い板状の垂下部とを備える長尺の水平材に、物品を支持する架け具を固定する架け具の取り付け方法であって、
板状片であるA部と、前記A部に連結され、該A部に90度の角度をなす板状片であるB部と、前記B部に連結され、前記A部に対向して平行に配置された板状片であるC部と、前記C部に連結され、前記B部に対向して平行に配置された板状片であるD部とを備える前記架け具を、前記水平材の所望の左右位置で、前記A部及び前記C部が前記トップ部に対して傾斜し、前記B部が前記垂下部の前後の一側に位置し、前記D部が前記垂下部の前後の他側であるP側に位置する配置にする第1の工程と、
前記架け具を、前記A部及び前記C部の前記トップ部に対する傾斜角が小さくなる方向に回動させ、前記A部を前記トップ部に上から当接させ、前記C部を前記垂下部に下から当接させる第2の工程と、
前記架け具を前記P側に移動させ、前記架け具をP側限界位置に配置させて前記垂下部と前記D部の間に隙間を設ける第3の工程と、
前記垂下部と前記D部の間に弾性体を嵌入する第4の工程とを有することを特徴とする架け具の取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を支持する物品収納棚及び架け具の取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
床に置いた枕木の上に物品を並べて保管する場合、大きい面積が必要となって、他の用途に利用できる床面積が小さくなる。そして、保管する物品が多く、通路にも物品が置かれるようになると、安全性の観点でもよい状況とは言えない。
そこで、上下に複数の物品の保持部を備えて物品の保管に要する床面積を小さくした収納棚が用いられ、その具体例が、例えば、特許文献1、2に記載されている。
【0003】
特許文献1には、対向する支枠それぞれに取り付けた軸受金具によって、スプールの軸心を支持する台車が記載されている。対となる軸受金具は左右に間隔を空けて同一高さに配置されているので、スプールを水平に保った状態で安定的に支持することが可能である。
また、特許文献2に記載の物品収納棚は、物品が置かれる物品載置用の上面が、物品の円柱状部分の外周面より曲率が小さくなるように形成され、円柱状部分の軸心方向と直交する方向への物品の移動を規制して物品の転落を防ぐことができ、簡素な構造で安定的に物品を保持可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭52−1549号公報
【特許文献2】特開2006−27836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2は、物品の長さが同一であることを前提としているため、収容しようとする物品の長さごとに収納棚を設計する必要があった。そして、物品の長さが個々に異なる場合、実質的に、これらの収納棚を用いることはできなかった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、物品の長さに応じて、物品を支持する部材の固定位置を調整可能な物品収納棚及び架け具の取り付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う第1の発明に係る物品収納棚は、左右に長いトップ部及び該トップ部に上側が連結された左右に長い垂下部を備える長尺の水平材と、前記水平材に固定されて物品を支持する架け具とを有する物品収納棚であって、前記架け具は、前記トップ部に上から当接するA部と、前記A部に連結され、前記垂下部の前後の一側に配置されるB部と、前記B部に連結され、前記垂下部に下から当接するC部と、前記C部に連結され、前記垂下部の前後の他側で該垂下部まで距離を有する位置に配置されるD部とを備え、前記架け具は、前記水平材の所望の左右位置(左右方向の所望位置、例えば任意の位置)で、前記垂下部と前記D部の間に弾性体が嵌入されて、前記水平材に固定される。
【0007】
第1の発明に係る物品収納棚において、前記弾性体は、筒状物であるのが好ましい。
【0008】
第1の発明に係る物品収納棚において、前記垂下部は、前記弾性体に接する当接面が上方に向かって前記D部の方向に傾斜しているのが好ましい。
【0009】
第1の発明に係る物品収納棚において、前記A部、前記B部、前記C部及び前記D部は、それぞれ板状片であるのが好ましい。
【0010】
第1の発明に係る物品収納棚において、前記C部は前記A部に対向して配置され、前記D部は前記B部に対向して配置されているのが好ましい。
【0011】
第1の発明に係る物品収納棚において、前記水平材は2つの前記垂下部を備えた溝形鋼であって、前記トップ部はウェブ、2つの前記垂下部はそれぞれフランジであるのが好ましい。
【0012】
前記目的に沿う第2の発明に係る架け具の取り付け方法は、左右に長い板状の水平配置されたトップ部と前記トップ部に上側が連結された左右に長い板状の垂下部とを備える長尺の水平材に、物品を支持する架け具を固定する架け具の取り付け方法であって、板状片であるA部と、前記A部に連結され、該A部に90度の角度をなす板状片であるB部と、前記B部に連結され、前記A部に対向して平行に配置された板状片であるC部と、前記C部に連結され、前記B部に対向して平行に配置された板状片であるD部とを備える前記架け具を、前記水平材の所望の左右位置(左右方向の所望位置、例えば任意の位置)で、前記A部及び前記C部が前記トップ部に対して傾斜し、前記B部が前記垂下部の前後の一側に位置し、前記D部が前記垂下部の前後の他側であるP側に位置する配置にする第1の工程と、前記架け具を、前記A部及び前記C部の前記トップ部に対する傾斜角が小さくなる方向に回動させ、前記A部を前記トップ部に上から当接させ、前記C部を前記垂下部に下から当接させる第2の工程と、前記架け具を前記P側に移動させ、前記架け具をP側限界位置に配置させて前記垂下部と前記D部の間に隙間を設ける第3の工程と、前記垂下部と前記D部の間に弾性体を嵌入する第4の工程とを有する。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明に係る物品収納棚は、架け具が、トップ部に上から当接するA部と、A部に連結され、垂下部の前後の一側に配置されるB部と、B部に連結され、垂下部に下から当接するC部と、C部に連結され、垂下部の前後の他側で垂下部まで距離を有する位置に配置されるD部とを備え、架け具は、垂下部とD部の間に弾性体が嵌入されて、水平材の所望の左右位置で、水平材に固定されるので、物品の長さに応じて、架け具の水平材への固定位置を調整可能である。
【0014】
また、第2の発明に係る架け具の取り付け方法は、板状片であるA部と、A部に連結され、A部に90度の角度をなす板状片であるB部と、B部に連結され、A部に対向して平行に配置された板状片であるC部と、C部に連結され、B部に対向して平行に配置された板状片であるD部とを備える架け具を、水平材の所望の左右位置で、A部及びC部がトップ部に対して傾斜し、B部が垂下部の前後の一側に位置し、D部が垂下部の前後の他側に位置する配置にする第1の工程と、架け具を、A部及びC部の水平材に対する傾斜角が小さくなる方向に回動させ、A部をトップ部に上から当接させ、C部を垂下部に下から当接させる第2の工程と、架け具をトップ部に沿ったP方向に移動させ、架け具をP方向限界位置に配置させて垂下部とD部の間に隙間を設ける第3の工程と、垂下部とD部の間に弾性体を嵌入する第4の工程とを有している。従って、第2の発明に係る架け具の取り付け方法においても、物品の長さに応じて、架け具の水平材への固定位置を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態に係る物品収納棚の側面図である。
図2】同物品収納棚の正面図である。
図3】(A)、(B)、(C)はそれぞれ、架け具の平面図、側面図、正面図である。
図4】(A)、(B)は、架け具を水平材に取り付ける様子を示す説明図である。
図5】(A)、(B)、(C)はそれぞれ、第1の変形例に係る架け具の平面図、側面図、正面図である。
図6】(A)、(B)、(C)はそれぞれ、第2の変形例に係る架け具の平面図、側面図、正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る物品収納棚10は、左右に長いトップ部11及びトップ部11に上側が連結された左右に長い垂下部12、12aを備える長尺の水平材13と、水平材13に固定されて物品14、14aを支持する架け具15、16、17とを有する。以下、これらについて詳細に説明する。
【0017】
物品収納棚10は、図1図2に示すように、左側に前車輪18及び後車輪18aを備え、右側にも前車輪18及び後車輪18aを備えた台車19を下部に有し、その台車19には左右にそれぞれ支柱20、21が固定されている。
左側の前車輪18、後車輪18a及び右側の前車輪18、後車輪18aは、全て、あるいは、その一部がロック機構を備えているので、台車19の停止状態は確実に維持可能である。
【0018】
支柱20(支柱21についても同じ)は、上下方向に沿って配置されたH型鋼22及びH型鋼22の下部に固定された2つの補助部材23を備え、接合部品24によって台車19に固定されている。本実施の形態では、接合部品24がボルトとナットを有している。
支柱20の上部と支柱21の上部が水平配置された長尺のロッド25によって連結されているので、支柱20、21の立設状態は安定的に保たれている。
【0019】
支柱20と支柱21の間には、複数(本実施の形態では5つ)の長尺の水平材13が上下に間隔を空けて並べられている。各水平材13は、左側が連結部材26によって支柱20のH型鋼22に取り付けられ、右側が連結部材26aによって支柱21のH型鋼22に取り付けられて、長手方向を左右方向に一致させた配置で固定されている。
本実施の形態では、水平材13として、溝形鋼が用いられ、水平材13が備えるトップ部11は板状のウェブであり、水平材13が備える2つの垂下部12、12aはそれぞれ板状のフランジである。垂下部12と、垂下部12の後側にある垂下部12aはそれぞれ上側全体がトップ部11に連結されている。
【0020】
各水平材13は、左右に長いトップ部11が水平配置され、左右に長い垂下部12はトップ部11の前側に連結されて鉛直に配置され、左右に長い垂下部12aはトップ部11の後側に連結されて鉛直に配置されている。
本実施の形態では、水平材13に溝形鋼が採用されているが、これに限定されないことは言うまでもなく、例えば山形鋼を水平材として使用することもできる。そして、水平材が山形鋼である場合、各水平材においては、2つのフランジ(長尺の板状片)の一方がトップ部であり、他方が垂下部となる。因って、水平材として山形鋼を採用した場合、垂下部は1つである。
なお、トップ部及び垂下部は、垂直の関係である必要はない。
【0021】
また、各水平材13には、複数の架け具15、16、17を固定可能である。なお、図2では、一部の架け具15、16、17の記載を省略している。
架け具15は、図3(A)、(B)、(C)に示すように、一方向に長いベースプレート28と、ベースプレート28の幅方向両側に下部がそれぞれ連結された側壁プレート29、29aを有している。側壁プレート29、29aは平行に配置されている。
一方向に長い長尺の側壁プレート29(側壁プレート29aについても同じ)には、上側に、間隔を空けて3つの半円形の切欠き30があって、各切欠き30に、プラスチック製の保護体31が装着されている。側壁プレート29、29aの各切欠き30は他の切欠き30と同一高さに形成され、切欠き30に取り付けられている各保護体31も他の保護体31と同一高さに配されている。
【0022】
側壁プレート29、29aの切欠き30に取り付けられた各保護体31は、切欠き30の外縁の形状に合わせて円弧に形成されている。
側壁プレート29に形成された3つの切欠き30は、側壁プレート29の長手方向において、側壁プレート29aに形成された3つの切欠き30とそれぞれ同位置にあり、これに対応して、側壁プレート29に装着された3つの保護体31も、側壁プレート29の長手方向において、側壁プレート29aに装着された3つの保護体31とそれぞれ同位置にある。
側壁プレート29、29aにそれぞれ形成され側壁プレート29、29aの長手方向位置が同じ2つの対向する切欠き30と、その2つの切欠き30それぞれに装着された2つの保護体31とを合わせた1組の機構は、1つの物品14(あるいは物品14a)の一側を支持することができ、3組のこの機構を有する架け具15は、最大3つの物品14(あるいは物品14a)の一側を支持可能である。
【0023】
ベースプレート28には、側壁プレート29の長手方向に平行配置され、ベースプレート28の幅方向両側がそれぞれ側壁プレート29、29aに連結された領域(以下、「側壁連結領域」とも言う)と、ベースプレート28の幅方向両側が側壁プレート29、29aのいずれにも非連結の領域(以下、「側壁非連結領域」とも言う)とが設けられている。
ベースプレート28の側壁非連結領域は、側壁連結領域に沿って配置された側壁連結領域に連続する部分(以下、「基部分」とも言う)と、この基部分の先側で下向きに折り曲げられ、側壁連結領域に対して90度の角度をなす板状片32(B部)と、板状片32の先側で折り曲げられ、板状片32と90度の角度をなし、基部分に対向配置された板状片33(C部)と、板状片33の先側で上向きに折り曲げられ板状片33と90度の角度をなす板状片34(D部)を備えている。
【0024】
ベースプレート28の基部分と、側壁連結領域において基部分に連続する部分(本実施の形態では、基部分からベースプレート28の長手方向に10〜20%の範囲)とを合わせてなる板状片35(A部)、及び、板状片32、33、34は、一体となって、架け具15が水平材13に固定される際に水平材13に掛け止められる掛止機構を形成する。従って、架け具15は、この板状片32、33、34、35からなる掛止機構が水平材13に掛け止められた状態で水平材13に取り付けられることになる。
【0025】
板状片32は板状片35に連結され、板状片33は板状片32に連結され、板状片34は板状片33にそれぞれ連結されている。そして、板状片33は板状片35に対向して平行に配置され、板状片34は板状片32に対向して平行に配置され、板状片32、34は板状片33、35に対して90度の角度をなしている。
板状片32、34の間隔は、図4(B)に示すように、垂下部12の厚みより広く、板状片33、35の間隔は、垂下部12の上下長さと同じである。
【0026】
水平材13に取り付けられた架け具15は、板状片35が上からトップ部11に当接し、板状片32が垂下部12の前後の一側(本実施の形態では、前側)に配置され、板状片33が垂下部12に下から当接し、更に、板状片34が垂下部12の前後の他側(本実施の形態では、後側)に配置された状態となる。以下、単に「前側」と記した場合は、物品収納棚10の前側を意味し、単に「後側」と記した場合は、物品収納棚10の後側を意味する。
水平材13に架け具15を取り付けた際、板状片34は、垂下部12まで距離を有する位置に配置される。板状片34と垂下部12の間に何もないこの状態では、架け具15は、架け具15に力が作用すると水平材13から落下し得るという不安定な状態にある。
【0027】
そこで、垂下部12と板状片34の間に弾性体36が嵌入され、垂下部12と板状片34の間の隙間を埋めることによって、架け具15を安定した状態で水平材13に固定するようにしている。
弾性体36は、プラスチック製の筒状物であり、軸心が水平配置された状態で、垂下部12と板状片34の間に嵌入されて、前側が垂下部12に当接し、後側が板状片34にそれぞれ当接する。筒状物である弾性体36は、弾性体36が円柱物である場合に比べ、前後方向の弾性率が小さく、垂下部12と板状片34の間への嵌入作業が容易である。
垂下部12は、垂下部12と板状片34の間に嵌入された弾性体36に接する当接面が上方に向かって後側(即ち、板状片34の方向)に傾斜しているので、垂下部12と板状片34の間に嵌入されている弾性体36は、垂下部12の弾性体36に接する当接面が鉛直に配置されている場合に比べ、嵌入された位置から上方に出るのを抑制されている。
【0028】
そして、図1図2に示すように、1つ(特定)の水平材13に対して、その水平材13の前側に切欠き30が配される状態で2つの架け具15が間隔を空けて固定されることにより、その2つの架け具15は、最大で3つの物品14を水平に保った状態で保持することができる。
具体的には、間隔を空けて水平材13に固定された2つの架け具15の一方の架け具15により物品14の一側を下から支持し、他方の架け具15により物品14の他側を下から支持する。
【0029】
この際、物品14の一側は、一方の架け具15に設けられた前後位置が同じ2つの保護体31に上から当接し、物品14の他側は、他方の架け具15に設けられた前後位置が同じ2つの保護体31に上から当接する。従って、2つの架け具15によって支持された物品14は、各架け具15につき長手方向で2つの異なる位置で保護体31に接し、合計、長手方向の4つの異なる位置で2つの架け具15に接した状態になっている。
【0030】
また、架け具15は、切欠き30が水平材13の後側に位置した配置で、水平材13に固定されることに加え、切欠き30が水平材13の前側に位置した配置で、水平材13に固定されることも可能である。
そして、物品14を保持すべく1つの水平材13に固定されていた2つの架け具15は、間隔を狭めて、その水平材13に固定されることで、物品14より短い物品14aを保持可能である。逆に物品14より長い物品を保持するためには、2つの架け具15の間隔は広げられる。即ち、架け具15は、水平材13の所望の左右位置(左右方向の所望位置)で、水平材13に固定される。
【0031】
次に、架け具15及び水平材13に対して適用可能な本発明の一実施の形態に係る架け具の取り付け方法について、以下、説明する。
架け具15を、図4(A)に示すように、水平材13の所望の左右位置で、板状片33、35が水平配置されたトップ部11に対して傾斜し、板状片32が垂下部12の前後の一側(本実施の形態では前側)に位置し、板状片34が垂下部12の前後の他側であるP側(本実施の形態では後側)に位置する傾斜した配置にする(第1の工程)。このとき、板状片35はトップ部11に接触状態であっても非接触状態であってもよく、板状片34は垂下部12に接触状態であっても非接触状態であってもよい。
【0032】
そして、架け具15を、板状片33、35のトップ部11に対する傾斜角が小さくなる方向に回動させ、ベースプレート28の側壁連結領域が前後方向に沿って配置されるようにし、図4(B)に示すように、板状片35をトップ部11に上から当接させ、板状片33を垂下部12に下から当接させる(第2の工程)。
架け具15をP側(本実施の形態では、後側)に移動させ、架け具15をP側限界位置に配置させて垂下部12と板状片34の間に隙間を設ける(第3の工程)。P側限界位置とは、架け具15が、物理的にこれ以上P側に移動できない位置を言う。
ここで、架け具15を前後を逆に配置して、板状片33を垂下部12aに下から当接させる場合には、P側が、物品収納棚10における前側となる。
次に、垂下部12と板状片34の間の上方から、軸心が左右方向に沿った状態の弾性体36を垂下部12と板状片34の間に嵌入して(第4の工程)、架け具15の水平材13への固定が完了する。
なお、前後が逆に配置された架け具15を水平材13に固定する際に、垂下部12aと板状片34の間に嵌入される弾性体36に接する垂下部12aの当接面は、上方に向かって前側(即ち、板状片34の方向)に傾斜している。
【0033】
水平材13に固定された架け具15を取り外す際には、まず、垂下部12と板状片34の間に嵌入された弾性体36を垂下部12と板状片34の間から上方に取り出す。
そして、架け具15をP側と反対側(本実施の形態では、前側)に移動させた後、架け具15を、図4(A)に示すように、板状片33、35とトップ部11のなす角度が大きくなる方向に回動させることによって、架け具15を水平材13から取り外すことができる。
水平材13から取り外された架け具15は、水平材13の左右の異なる位置で、再び、水平材13に固定可能である。
【0034】
また、架け具15の第1の変形例である架け具16は、図5(A)、(B)、(C)に示すように、架け具15に対し、側壁連結領域の長さが短い。
架け具16は、1つの切欠き30が形成された1つの側壁プレート37を備え、この1つの側壁プレート37で1つの物品14(あるいは物品14a)を支持する設計となっている。架け具16が備えるベースプレート38が、板状片32、33、34、35を有する点、弾性体36を用いることによって架け具16を水平材13に安定的に固定できる点、及び、切欠き30には保護体31が装着されている点は、架け具15と同じである。
【0035】
そして、架け具15の第2の変形例である架け具17は、図6(A)、(B)、(C)に示すように、架け具15に対し、ベースプレート40の形状が異なり、更に、側壁プレート41、41aそれぞれの配置及び形状が異なっている。
一側が上向きに90度折り曲げられ、他側に板状片32、33、34、35を備えたベースプレート40は、上方から物品が載置される。このベースプレート40に載置される物品は、ベースぺレート40上で転がらない形状、例えば、断面矩形の形状を備えていることが前提となる。
【0036】
一方向に長い側壁プレート41、41aは、垂れ下った状態でベースプレート40の左右にそれぞれ連結されている。この側壁プレート41、41aは、物品が載置されるものではなく、ベースプレート40の剛性を高めるのを主目的としている。
そして、架け具17においては、A部が、この側壁プレート41、41aの一側の部分(本実施の形態では、側壁プレート41、41a全体において板状片32に近接した2〜5%の領域)によって形成されている。
【0037】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、A部は、ベースプレートの側壁連結領域の一部分のみによって、あるいは、ベースプレートの基部分のみによって形成することができる。
また、A部、B部、C部及びD部は、それぞれ板状片に限定されず、例えば、スリットが形成されたものであってもよい。
そして、架け具は1つで物品を保持可能に設計することもできる。例えば、ベースプレートの幅を広げ、側壁プレート間の間隔を広げることにより、長尺の物品を1つの架け具により保持可能となる。
更に、弾性体はプラスチックではなく、他の素材、例えば、木材を素材に形成してもよく、弾性体の形状も筒状に限定されない。
また、水平材の形状によっては、A部とC部が対向配置されている必要はなく、B部とD部も対向配置されている必要はない。そして、垂下部はトップ部と左右長さが同じである必要はない。
【符号の説明】
【0038】
10:物品収納棚、11:トップ部、12、12a:垂下部、13:水平材、14、14a:物品、15、16、17:架け具、18:前車輪、18a:後車輪、19:台車、20、21:支柱、22:H型鋼、23:補助部材、24:接合部材、25:ロッド、26、26a:連結部材、28:ベースプレート、29、29a:側壁プレート、30:切欠き、31:保護体、32〜35:板状片、36:弾性体、37:側壁プレート、38:ベースプレート、40:ベースプレート、41、41a:側壁プレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6