特許第5873856号(P5873856)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873856
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】温風暖房機
(51)【国際特許分類】
   F24H 3/04 20060101AFI20160216BHJP
【FI】
   F24H3/04 305A
   F24H3/04 305J
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-232725(P2013-232725)
(22)【出願日】2013年11月11日
(65)【公開番号】特開2015-94488(P2015-94488A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2014年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】高橋 礼子
(72)【発明者】
【氏名】高田 秀一
【審査官】 吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−189708(JP,A)
【文献】 特開2010−127580(JP,A)
【文献】 特開平11−023064(JP,A)
【文献】 特開2001−330320(JP,A)
【文献】 特開2004−020024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 3/00 − 3/04
F24F 11/00 − 11/08
F24C 7/00
7/04 − 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱源と、
前記加熱源で加熱された温風を室内に送出する送風ファンと、
室温を検知する室温検知部と、
暖房運転の作動・停止を指示する運転スイッチと、
設定温度を入力する設定温度入力部と、
前記運転スイッチが作動されて暖房運転が開始されると、前記室温検知部で検知される検知室温が前記設定温度と一致するように前記加熱源の加熱量を決定する初期加熱運転制御部と、
前記初期加熱運転中に前記室温検知部で検知される検知室温に基づく暖房負荷特性を判定する負荷特性判定部と、
前記初期加熱運転における暖房負荷特性を記憶する負荷特性記憶部と、
前記初期加熱運転により前記検知室温が前記設定温度に到達した後、前記検知室温が所定の制御温度を維持するように前記加熱源の加熱量を制御するとともに、所定のセーブパターンで前記制御温度を低下させていくセーブ運転制御部と、
前記初期加熱運転における暖房負荷特性に基づいて、所定の標準セーブ時間の経過に伴って、所定の標準セーブ量で前記制御温度を低下させていく複数の標準セーブパターン、及び前記標準セーブ時間よりも短時間の所定の再開セーブ時間の経過に伴って、所定の再開セーブ量で前記制御温度を低下させていく複数の再開セーブパターンが設定されたセーブパターン設定部と、
暖房運転終了時に前記標準セーブパターンでセーブ運転が行われている場合、セーブ運転開始から暖房運転終了までに前記制御温度を低下させるために実行された実行セーブ量を記憶するセーブ量記憶部と、を備え、
前記セーブ運転制御部は、暖房運転が終了してから所定の停止時間を超えて前記運転スイッチが作動され暖房運転が再開された場合、前記負荷特性判定部により判定される再開時の初期加熱運転における暖房負荷特性に基づく標準セーブパターンでセーブ運転を実行し、
暖房運転終了時に、前記セーブ運転が行われておらず、且つ暖房運転が終了してから前記停止時間内に前記運転スイッチが作動されて暖房運転が再開された場合、前回の初期加熱運転における暖房負荷特性に基づく標準セーブパターンでセーブ運転を実行する温風暖房機。
【請求項2】
請求項1に記載の温風暖房機において、
前記セーブ運転制御部は、暖房運転終了時に前記セーブ運転が行われており、且つ暖房運転が終了してから前記停止時間内に前記運転スイッチが作動されて暖房運転が再開された場合、前記実行セーブ量が多いほど、前回の初期加熱運転における暖房負荷特性に基づく標準セーブパターンよりも、より早期に前記制御温度を低下させるように設定された再開セーブパターンでセーブ運転を行う温風暖房機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の温風暖房機において、
前記セーブ運転制御部は、暖房運転終了時に前記セーブ運転が行われており、且つ暖房運転が終了してから前記停止時間内に前記運転スイッチが作動されて暖房運転が再開された場合、前記停止時間が短いほど、より早期に前記制御温度を低下させるように設定された再開セーブパターンでセーブ運転を行う温風暖房機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温風暖房機に関する。特に、本発明は、省燃費性能に優れる温風暖房機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、温風暖房機であるガスファンヒータにおいては、本体ケース内にガスバーナと、送風ファンとを備え、送風ファンの回転動作により室内空気を吸引するとともに、ガスバーナにより加熱された空気を室内に送風することで、室温を上昇させる暖房運転を行っている。
【0003】
また、温調機能を有する温風暖房機においては、温度設定スイッチにより使用者が設定した設定温度と、室内空気の吸気口近傍に設けられた温度センサで検知される実際の室温とが略一致するように、ガスバーナの加熱量と送風ファンの送風量とが調整されている。そして、ガスバーナの加熱量を最小にしても、温度センサで検知される室温が上昇し続ける場合を考慮して、室温が設定温度よりも所定温度以上高くなるとガスバーナを消火し、室温が設定温度よりも所定温度以上低くなるとガスバーナを点火する、いわゆるオン・オフ制御を行う温風暖房機も知られている。
【0004】
さらに、セーブ運転機能(省燃費運転機能)を有する温風暖房機においては、温度センサで検知される室温が設定温度に到達した後、制御温度を少しずつ低下させていくセーブ運転が行われている。具体的には、室温を設定温度に略一致させる初期加熱運転が行われた後、30分間経過するまでは制御温度を設定温度で維持し、30分間経過すると制御温度を1℃下げ、さらにその後30分間経過すると制御温度をさらに1℃下げるセーブ運転を実行する温風暖房機が提案されている。
【0005】
また、上記の制御温度を低下させていくようにしたものの他、室温を設定温度に略一致させるまでの暖房運転初期の室温や温度上昇幅の暖房負荷特性に応じて、セーブ運転における制御温度の低下条件を変化させるようにした温風暖房機も知られている。
【0006】
上記のようなセーブ運転機能を有する温風暖房機によれば、暖房運転が長時間になるほど、設定温度よりも若干低い制御温度が所定時間維持されるように加熱量が制御されるため、使用者の体感温度はさほど変わらない。それゆえ、ガスバーナの加熱量を低減することができ、使用者に不快感を生じさせることなく、燃費を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−189708号公報
【特許文献2】特開2010−2063号公報
【特許文献3】特開2010−2064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、暖房運転の途中で使用者が誤って運転スイッチをオフ操作した後、短時間内に再度、暖房運転を再開する場合や、暖房運転の途中で使用者が運転スイッチをオフ操作した後、短時間内に再度、別の使用者が暖房運転を開始させる場合がある。このような暖房運転の再開が行われる場合、室温は前回、暖房運転が行われていたときと比べて上昇している場合が多い。
【0009】
しかしながら、上記従来のセーブ運転機能を有する温風暖房機では、室温を設定温度まで上昇させる初期加熱運転が終了した後、前回、実行された暖房運転による室内の暖まり具合や暖房運転を再開させるまでの停止時間に関わらず、一律に所定のセーブ時間が経過した後、所定のセーブ量で制御温度を低下させているため、燃費向上を目的として行われるセーブ運転の実効が十分に図られないという問題がある。
【0010】
また、低温の室温から開始される初回の暖房運転が行われたときの暖房負荷特性と、前回、暖房運転が行われて室内が暖められた状態から暖房運転が行われたときの再開時の暖房負荷特性とは異なってくる。しかも、セーブ運転では制御温度を低下させていくから、セーブ運転の時間によって体感温度も変わってくる。そのため、再開時の暖房運転初期における暖房負荷特性のみを考慮してセーブ運転を行った場合、適正なセーブ運転が行われないという問題がある。
【0011】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、暖房運転初期における暖房負荷特性を考慮してセーブ運転が行われる温風暖房機において、前回の暖房運転終了から短時間内に暖房運転が再開される場合に、前回行われた暖房運転を考慮して、体感温度を低下させることなく、燃費性能を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、
加熱源と、
前記加熱源で加熱された温風を室内に送出する送風ファンと、
室温を検知する室温検知部と、
暖房運転の作動・停止を指示する運転スイッチと、
設定温度を入力する設定温度入力部と、
前記運転スイッチが作動されて暖房運転が開始されると、前記室温検知部で検知される検知室温が、前記設定温度と一致するように前記加熱源の加熱量を決定する初期加熱運転制御部と、
前記初期加熱運転中に前記室温検知部で検知される検知室温に基づく暖房負荷特性を判定する負荷特性判定部と、
前記初期加熱運転における暖房負荷特性を記憶する負荷特性記憶部と、
前記初期加熱運転により前記検知室温が前記設定温度に到達した後、前記検知室温が所定の制御温度を維持するように前記加熱源の加熱量を制御するとともに、所定のセーブパターンで前記制御温度を低下させていくセーブ運転制御部と、
前記初期加熱運転における暖房負荷特性に基づいて、所定の標準セーブ時間の経過に伴って、所定の標準セーブ量で前記制御温度を低下させていく複数の標準セーブパターン、及び前記標準セーブ時間よりも短時間の所定の再開セーブ時間の経過に伴って、所定の再開セーブ量で前記制御温度を低下させていく複数の再開セーブパターンが設定されたセーブパターン設定部と、
暖房運転終了時に前記標準セーブパターンでセーブ運転が行われている場合、セーブ運転開始から暖房運転終了までに前記制御温度を低下させるために実行された実行セーブ量を記憶するセーブ量記憶部と、を備え、
前記セーブ運転制御部は、暖房運転が終了してから所定の停止時間を超えて前記運転スイッチが作動され暖房運転が再開された場合、前記負荷特性判定部により判定される再開時の初期加熱運転における暖房負荷特性に基づく標準セーブパターンでセーブ運転を実行し、
暖房運転終了時に、前記セーブ運転が行われておらず、且つ暖房運転が終了してから前記停止時間内に前記運転スイッチが作動されて暖房運転が再開された場合、前回の初期加熱運転における暖房負荷特性に基づく標準セーブパターンでセーブ運転を実行する温風暖房機である。
【0013】
暖房運転が終了してから所定の停止時間を超えて運転スイッチが作動され暖房運転が再開された場合、室温は低下している可能性が高いから、再開時の初期加熱運転における初期室温や温度上昇幅の暖房負荷特性に基づき標準セーブパターンを選択することにより、室内の暖まりやすさを考慮したセーブ運転を実行することができる。
【0014】
一方、前回の暖房運転で制御温度を低下させる前に運転スイッチのオフ操作などにより暖房運転が終了した場合でも、室温を設定温度まで上昇させる初期加熱運転により、ある程度、室内は暖められている。それゆえ、前回、制御温度の低下を実行する前まで暖房運転が行われ、短時間内に暖房運転が再開された場合に、再開時の初期加熱運転における暖房負荷特性に基づいてセーブパターンが選択されると、同一の室内を暖房するにも関わらず、異なるセーブパターンでセーブ運転が実行される可能性がある。しかしながら、上記温風暖房機では、所定の停止時間以内に暖房運転が再開された場合、再開時の暖房負荷特性でなく、前回の暖房負荷特性に基づいた標準セーブパターンが選択されるから、その室内の暖まりやすさに基づいた適正なセーブパターンによりセーブ運転を実行することができる。
【0015】
上記温風暖房機において、好ましくは、
前記セーブ運転制御部は、暖房運転終了時に前記セーブ運転が実行されており、且つ暖房運転が終了してから前記停止時間内に前記運転スイッチが作動されて暖房運転が再開された場合、前記実行セーブ量が多いほど、前回の初期加熱運転における暖房負荷特性に基づく標準セーブパターンよりも、より早期に前記制御温度を低下させるように設定された再開セーブパターンでセーブ運転を行う。
【0016】
上記温風暖房機によれば、強制タイマ運転あるいは使用者による運転スイッチのオフ操作などにより暖房運転が終了したときにセーブ運転が実行されていた場合、それまでに実行されたセーブ量が記憶されるから、前回の暖房運転終了時におけるセーブ運転の進行度合いを判定することができる。
【0017】
また、暖房運転終了時にセーブ運転が行われており、暖房運転が終了してから所定の停止時間内に運転スイッチが作動されて暖房運転が再開された場合、前回の暖房運転に比べて初期室温は高くなっており、また温度上昇幅も少なくなっている。それゆえ、再開時の初期加熱運転における暖房負荷特性に基づいてセーブパターンが選択されると、適正なセーブパターンでセーブ運転が実行されない可能性がある。
【0018】
しかしながら、上記再開時の暖房運転では、前回の初期加熱運転における暖房負荷特性に基づいて選択される標準セーブパターンよりも早期に制御温度を低下させる再開セーブパターンでセーブ運転が実行されるから、前回の暖房負荷特性を考慮したセーブ運転を実行することができる。
【0019】
そして、前回実行された実行セーブ量が多いほど、すなわちセーブ運転が長時間行われているほど、室内全体が暖められており、温度低下しにくい状態となっている。しかもセーブ運転による実行セーブ量が多いほど、より低下させた制御温度で長時間、暖房運転が行われているから、使用者はその制御温度に応じて低下した室温に慣れた状態となっている。従って、再開時の初期加熱運転により検知室温が設定温度に到達した後であれば、高い制御温度を長時間維持することなく、前回の暖房負荷特性に基づいて選択された標準セーブパターンよりも、再開後の暖房運転では、前回の実行セーブ量に応じて制御温度をより早期に低下させる再開セーブパターンでセーブ運転が実行されても、体感温度は大きく低下しにくいから、上記温風暖房機によれば、体感温度を損なうことなく、燃費を向上させることができる。
【0020】
上記温風暖房機において、好ましくは、
前記セーブ運転制御部は、暖房運転終了時に前記セーブ運転が行われており、且つ暖房運転が終了してから前記停止時間内に前記運転スイッチが作動されて暖房運転が再開された場合、前記停止時間が短いほど、より早期に前記制御温度を低下させるように設定された再開セーブパターンでセーブ運転を行う。
【0021】
暖房運転終了から運転スイッチが作動されて暖房運転が再開されるまでの停止時間が短いほど、室温や体感温度は低下しにくいから、前回の暖房負荷特性に基づいて選択された標準セーブパターンよりも、再開時の暖房運転ではより早期に制御温度を低下させる再開セーブパターンでセーブ運転を実行することにより、体感温度を損なうことなく、さらに燃費を向上させることができる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、暖房運転が終了してから所定の停止時間を超えて運転スイッチが作動され暖房運転が再開された場合、再開時の初期加熱運転における暖房負荷特性に基づくセーブパターンでセーブ運転が実行されるから、その室内の暖まりやすさを考慮してセーブ運転を実行することができる。
【0026】
また、暖房運転終了時にセーブ運転が実行されておらず、暖房運転終了から所定の停止時間内に運転スイッチが作動された場合、再開時の暖房負荷特性でなく、前回の暖房負荷特性に基づいたセーブパターンでセーブ運転が実行されるから、適正なセーブパターンでセーブ運転を実行することができ、体感温度を損なうことなく、燃費を向上させることができる。
【0027】
さらに、暖房運転終了時にセーブ運転が実行されており、暖房運転終了から所定の停止時間内に運転スイッチが作動された場合、再開時の暖房負荷特性は前回の暖房負荷特性と異なっているが、本発明によれば、再開時の暖房運転におけるセーブ運転は、前回のセーブ運転における実行セーブ量が多いほど、また停止時間が短いほど、前回の暖房負荷特性に基づくセーブパターンよりも、より早期に制御温度を低下させていくセーブパターンで実行されるから、室内の暖まりやすさを考慮しつつ、それまで行われたセーブ運転による室内の暖まり具合や室温に対する使用者の慣れ、さらに再開までの室温の低下に応じた暖房運転を行うことができる。これにより、短時間内に暖房運転が再開されても、体感温度を低下させすぎることなく、少ない加熱量で効率的に暖房運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施の形態に係る温風暖房機の一例を示す概略断面図である。
図2】本発明の実施の形態に係る温風暖房機の制御ブロック図である。
図3】本発明の実施の形態に係る温風暖房機における制御動作の一部を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施の形態に係る温風暖房機における制御動作の一部を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施の形態に係る温風暖房機における制御動作の一部を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、本実施の形態に係る温風暖房機を説明する。
図1は、本実施の形態の温風暖房機の一例を示す概略断面図である。図1に示すように、温風暖房機1は、室内に設置される本体ケース2内に、ダクト4、送風ファン5、ガスバーナ(加熱源)6、給気ダクト7、ガス供給管8、及び制御ユニットCを備えている。
【0030】
ダクト4は、温風の送風路を構成するものであり、室内空気sを取り込むための吸気口10を本体ケース2の背面に開口し、本体ケース2の前面下部において温風の吹出口11を開口している。吸気口10には、塵や埃等がダクト4内に流入するのを防ぐためにエアフィルタ12が着脱自在に取り付けられている。
【0031】
また、吸気口10付近の箇所には、この吸気口10に臨んでサーミスタにより構成された温度センサ(室温検知部)26が取り付けられている。この温度センサ26は、温風暖房機1の暖房運転中、常時定期的に検知した検知室温を示す信号を制御ユニットCに出力する。
【0032】
送風ファン5は、通電量に比例して回転数が変化するファンモータ16と、ダクト4内に吹出口11に臨んで配置され、ファンモータ16により回転駆動される回転羽根17とを有しており、回転羽根17の回転により吸気口10から室内空気sを吸引する。そして、吸引した室内空気sをダクト4内に組み込まれたガスバーナ6の燃焼排気hと混合し、それを温風mとして吹出口11から室内に送出する。この送風ファン5には、ファンモータ16の回転数を検知するホール素子等により構成される回転数センサ18が設けられており、回転数センサ18は、ファンモータ16の回転数に応じた信号を制御ユニットCに出力する。
【0033】
ダクト4内に組み込まれたガスバーナ6は、その燃焼胴19内に燃焼プレート20を配し、燃焼用空気と燃料ガスとの混合気に点火するための点火電極21を燃焼プレート20の近傍に配している。ガスバーナ6の燃焼排気hは燃焼胴19からダクト4内に排出される。また、燃焼プレート20の下流側には、燃焼炎の有無を検知するための熱電対22が配置される。熱電対22は、ガスバーナ6の燃焼炎に晒されると、燃焼炎の温度に応じた熱起電力を発生し、その熱起電力を制御ユニットCに出力する。
【0034】
給気ダクト7は、室内空気(燃焼用空気)sと燃料ガスとをガスバーナ6に供給するための通路であり、ガスバーナ6と燃焼胴19内とを連通し、且つダクト4と画成して本体ケース2の背面で開口した室内空気sの吸気口23を有している。そして、給気ダクト7のガスバーナ6側の箇所には、ガス供給管8の先端に取り付けられたノズル24が設けられている。給気ダクト7には、送風ファン5の回転動作により吸気口23から室内空気sが吸引され、吸引された室内空気sがガス供給管8のノズル24から噴出される燃料ガスと混合されて、その混合気がガスバーナ6に供給される。なお、吸気口23は、ダクト4の吸気口10とともにエアフィルタ12により覆われている。
【0035】
ガス供給管8には、上流側から順に、電磁弁27,28、及び比例制御弁29が配設されている。電磁弁27,28は、制御ユニットCからの通電により開弁するものであり、通電が停止されると閉弁状態となって燃料ガスの通過を遮断する。比例制御弁29は、制御ユニットCからの通電量に伴って開度が増大する弁であり、ガスバーナ6への燃料ガスの供給量を調整する。
【0036】
本体ケース2の外面部には、操作パネル30が設けられており、操作パネル30には、運転スイッチ31、温度設定スイッチ(設定温度入力部)32等の各種スイッチ、及び表示部33が配設されている。
【0037】
運転スイッチ31は、使用者のオン・オフ操作により、温風暖房機1の図示しない主電源のオン・オフを示す信号を制御ユニットCに出力する。温度設定スイッチ32は、使用者が希望する温度を設定するスイッチであり、使用者の所定の操作により、設定温度が例えば1℃単位で増減され、設定される。温度設定スイッチ32は、設定された設定温度を示す信号を制御ユニットCに出力する。
【0038】
表示部33は、液晶パネルやデジタル表示器等からなり、温度センサ26が検知した現在の検知室温や、温度設定スイッチ32で設定された設定温度等を表示する。
【0039】
図2に示すように、マイクロコンピュータを有する制御ユニットCは、運転制御部50、計時部51、初期加熱運転制御部60、負荷特性判定部70、セーブ運転制御部80、タイマ運転制御部90、温調制御部100、ファン駆動回路101、比例弁駆動回路102などを備える。
【0040】
運転制御部50は、使用者が運転スイッチ31をオン操作すると、所定時間、点火電極21に通電を行なうとともに、電磁弁27,28を開弁状態、比例制御弁29を点火開度にしてガスバーナ6の点火を行なう。また、使用者が運転スイッチ31をオフ操作すると、電磁弁27,28、及び比例制御弁29を閉弁状態にしてガスバーナ6の消火を行なう。なお、燃焼中に、熱電対22の出力電圧が所定値未満になると、電磁弁27,28、及び比例制御弁29を閉弁状態にしてガスバーナ6を消火する。
【0041】
初期加熱運転制御部60は、暖房運転初期において、検知室温が設定温度に略一致するようにガスバーナ6の目標燃焼量を決定し、温調制御部100に指示する。
【0042】
負荷特性判定部70は、負荷特性記憶部71を備えている。そして、負荷特性判定部70は、初期加熱運転が開始されると、点火1分後に温度センサ26が送出する信号に基づいて、暖房運転初期における初期室温T1を取得し、取得した初期室温T1が第1室温(例えば、5℃未満)、第2室温(例えば、5℃以上、16℃未満)、または第3室温(例えば、16℃以上)のいずれに該当するかを判定する。また、負荷特性判定部70は、点火1分後及び点火5分後に温度センサ26が送出する信号に基づき、暖房運転初期における温度上昇幅(T5−T1)を取得し、取得した温度上昇幅(T5−T1)が第1上昇幅(例えば、6℃未満)、第2上昇幅(例えば、6℃以上、8℃未満)、または第3上昇幅(例えば、8℃以上)のいずれに該当するかを判定する。負荷特性記憶部71は、判定された初期室温及び温度上昇幅の各特性を記憶する。
【0043】
セーブ運転制御部80は、初期加熱運転により検知室温が設定温度に到達してから所定の設定温度維持時間、制御温度を設定温度で維持した後、所定のセーブ時間経過ごとに、所定のセーブ量(△T)で制御温度を低下させていくように設定されている複数のセーブパターンを記憶したセーブパターン設定部81、及び暖房運転終了時にセーブ運転が実行されていた場合、それまでに実行された実行セーブ量(Σ△T)を一時的に記憶するセーブ量記憶部82を有している。
【0044】
そして、セーブ運転制御部80は、電源投入後の初回の暖房運転や、暖房運転終了時にセーブ運転が実行されているが、暖房運転が終了してから所定の停止時間(例えば、10分間)を超えて暖房運転が再開されている場合、または暖房運転終了時にセーブ運転が実行されておらず、暖房運転が終了してから所定の停止時間(例えば、10分間)内に暖房運転が再開されている場合、負荷特性判定部70で判定された暖房負荷特性に基づき、表1に示す各標準セーブパターンでセーブ運転が行われるように目標燃焼量を決定し、温調制御部100に指示する。
【0045】
ここで、本実施の形態の標準セーブパターンはいずれも、初期加熱運転で検知室温が設定温度に到達してから所定の設定温度維持時間(例えば、30分間)が経過するまでは制御温度が設定温度を維持するように設定されている。そして、設定温度維持時間経過後は、表1に示す負荷特性判定部70で判定された初期室温及び温度上昇幅に基づいて、セーブ時間(例えば、30分間)ごとに所定のセーブ量で制御温度を低下させていくように設定されている。なお、セーブ時間は、初期加熱運転で検知室温が設定温度に到達してから所定の設定温度維持時間が経過するまで制御温度を設定温度で維持した後、所定のセーブ量で制御温度を低下させるために設定されている時間であり、各セーブ量は、制御温度を低下させる温度下げ幅(△T)を示す。
【0046】
【表1】
【0047】
例えば、表1に示すように、負荷特性判定部70で判定された初期室温が第1室温(例えば、5℃未満)で、温度上昇幅が第1上昇幅(例えば、6℃未満)である場合の標準セーブパターンでは、検知室温が設定温度まで上昇してセーブ運転が開始されると、既述したようにまず制御温度を設定温度維持時間(例えば、30分間)、設定温度に維持した後、30分間ごとに、制御温度を1セーブ量(例えば、−1/3℃=約0.33℃)低下させるように設定されている。また、例えば、初期室温が第3室温(例えば、16℃以上)で、温度上昇幅が第1上昇幅(例えば、6℃未満)である場合の標準セーブパターンでは、検知室温が設定温度まで上昇してセーブ運転が開始されると、上記と同様に設定温度維持時間(例えば、30分間)は制御温度が設定温度で維持され、設定温度維持時間が経過した後、30分間ごとに、制御温度を3セーブ量(−1℃)低下させるように設定されている。なお、上記標準セーブパターンにおいて、30分間内の制御温度の低下は、一度に所定のセーブ量を低下させてもよいし、複数に分割して低下させてもよい。また、本実施の形態における設定温度維持時間、セーブ時間、及びセーブ量は、体感温度を基に実験により求められたものであり、またいずれのセーブパターンも、最大セーブ量は6セーブ量(−2℃)に設定されているが、温風暖房機1の暖房能力等に応じてこれらは適宜設定することができる。このように、電源投入後の初回の暖房運転や、暖房運転が終了してから所定の停止時間を超えて暖房運転が再開されている場合、または暖房運転終了時にセーブ運転が実行されておらず、暖房運転が終了してから所定の停止時間内に暖房運転が再開されている場合、初期加熱運転において取得される暖房負荷特性に基づいて設定された標準セーブパターンでセーブ運転を実行することにより、室内の暖まりやすさを考慮したセーブ運転を実行することができる。
【0048】
また、セーブ運転制御部80は、前回の暖房運転終了時にセーブ運転が実行されており、且つ上記停止時間内に暖房運転が再開された場合、セーブ量記憶部82に記憶されている前回の初期加熱運転における暖房負荷特性に基づき選択された標準セーブパターンよりも、表2及び表3に示す制御温度をより早期に低下させる再開セーブパターン1及び2中のいずれかの再開セーブパターンでセーブ運転が行われるよう目標燃焼量を決定し、温調制御部100に指示する。
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
本実施の形態で設定されている再開セーブパターンについて説明すると、標準セーブパターンと同様に、初期加熱運転により検知室温が設定温度に到達してから所定の設定温度維持時間が経過するまでは制御温度を設定温度に維持した後、表2及び表3に示すセーブ時間に従って、制御温度を低下させていくように設定されている。
【0052】
例えば、再開セーブパターン1では、制御温度を標準セーブパターンよりも短い、設定温度維持時間(例えば、10分間)、設定温度に維持した後、前回実行セーブ量が1以上、3未満である場合、セーブ時間(例えば、5分間)が経過するごとに、制御温度を1セーブ量ずつ低下させるように設定されている。さらに、再開セーブパターン2では、制御温度を標準セーブパターンよりも短い、設定温度維持時間(例えば、7分間)、設定温度に維持した後、前回実行セーブ量が1以上、3未満である場合、セーブ時間(例えば、3分間)が経過するごとに、制御温度を1セーブ量ずつ低下させるように設定されている。従って、例えば、前回の暖房運転が初回の暖房運転である場合、表1の暖房負荷特性に基づいた標準セーブパターンでセーブ運転が実行されるが、暖房運転を再開させる場合、その前回、実行された標準セーブパターンよりも早期に制御温度を低下させていくように設定されている再開セーブパターンでセーブ運転が実行される。すなわち、暖房運転が再開される場合、初期室温が高温となっているだけでなく、温度上昇幅も少なくなっており、再開時の初期加熱運転における暖房負荷特性は、前回の暖房運転のそれと異なっている。このため、初回の暖房運転等と同様に、再開時の暖房負荷特性のみに基づいて標準セーブパターンが選択されると、適正なセーブ運転が実行されないという問題がある。しかしながら、本実施の形態では、前回の暖房負荷特性に基づく標準セーブパターンよりも、制御温度をより早期に低下させる再開セーブパターンでセーブ運転を実行させるから、適正なセーブパターンに基づいて、燃費を向上させることができる。
【0053】
また、表2及び表3から理解されるように、前回の暖房運転におけるセーブ運転で暖房運転終了までに実行された実行セーブ量が多いほど、より早期に制御温度を低下させるように再開セーブパターンが設定されている。すなわち、前回の暖房運転でセーブ運転が開始された後、短時間で強制タイマ運転が機能したり、使用者が運転スイッチ31をオフ操作した場合、セーブ運転は長時間実行されていないため、室内全体の温度が上昇していない場合や、使用者も設定温度まで上昇した室温に慣れていない場合がある。従って、あまりに早期に制御温度を低下させていくと体感温度が低下しやすい。一方、前回の暖房運転でセーブ運転がある程度実行されていれば、室内全体の温度は上昇しており、しかも低下させた制御温度で長時間、暖房運転が行われていれば、使用者はその制御温度に応じて低下した室温に慣れた状態となっている。そして、再開後の暖房運転でも、検知室温が設定温度となるように初期加熱運転が実行されるから、検知室温が設定温度に到達した後であれば、より早期に制御温度を低下させる再開セーブパターンでセーブ運転を実行しても、体感温度は大きく低下しにくい。従って、体感温度を損なうことなく、燃費を向上させることができる。このため、停止時間が同程度であっても、例えば、再開セーブパターン1及び2いずれも、前回の実行セーブ量が3以上、6未満である場合のセーブパターンは、前回の実行セーブ量が1以上、3未満である場合のそれよりも、より短時間でセーブ量が多くなるように設定されており、前回の実行セーブ量が6である場合のセーブパターンは、前回の実行セーブ量が3以上、6未満である場合のそれよりも、より短時間でセーブ量が多くなるように設定されている。
【0054】
さらに、表3及び表4の対比から理解されるように、前回の暖房運転終了から使用者が運転スイッチ31をオン操作して暖房運転が再開されるまでの停止時間が短いほど、より早期に制御温度を低下させるように再開セーブパターンが設定されている。すなわち、使用者が運転スイッチ31をオフ操作してから一定時間経過した後、他の使用者が暖房運転を再開する場合、室温はある程度低下しているものの、初めて暖房運転が行われるときよりも室温は高い。また、例えば、前回の暖房運転中に強制タイマ運転が機能し、使用者が暖房運転を継続させるために運転スイッチ31を直ちにオン操作した場合、暖房運転終了後でも室温の低下は少ない。従って、停止時間が短いほど、より早期に制御温度を低下させる再開セーブパターンでセーブ運転を行うことにより、体感温度の低下を招くことなく、より燃費を向上させることができる。このため、前回の実行セーブ量が同一でも、暖房運転が再開された再開セーブパターン2は、再開セーブパターン1よりも、より短時間でセーブ量が多くなるように設定されている。
【0055】
タイマ運転制御部90は、計時部51で計測される暖房運転開始からの経過時間が所定の運転停止時間(例えば、3時間)経過すると、強制的に暖房運転を終了するよう、電磁弁27,28、及び比例制御弁29を閉弁して、ガスバーナ6を消火する。
【0056】
温調制御部100は、初期加熱運転制御部60、及びセーブ運転制御部80からの指示に基づき、検知室温が所定の設定温度あるいは制御温度となるように暖房能力(レベル1〜7)を決定し、比例弁駆動回路102、及びファン駆動回路101を制御する。
【0057】
比例弁駆動回路102は、温調制御部100で決定された暖房能力(レベル1〜レベル7)に応じた電流(1段階〜7段階)を比例制御弁29に通電する。ファン駆動回路101は、温調制御部100で決定された暖房能力(レベル1〜レベル7)に適したファン回転数が得られるファン電流をファンモータ16に通電する。
【0058】
次に、図3図5を参照して、本実施の形態の温風暖房機の制御動作を説明する。なお、本実施の形態の温風暖房機では、運転スイッチ31がオン操作されて暖房運転が開始されると、運転スイッチ31のオフ操作や強制タイマ運転などにより暖房運転が停止されなければ、初期加熱運転後に自動的に所定のセーブパターンでセーブ運転が実行されるように構成されているが、操作パネル30にセーブ運転スイッチを別途設け、セーブ運転スイッチがオン操作されているときのみ、セーブ運転が実行されるように構成してもよい。
【0059】
使用者が温度設定スイッチ32で設定温度を入力し、運転スイッチ31をオン操作すると、制御ユニットCによる温風暖房機1の制御動作が開始される(ステップST1)。
【0060】
暖房運転が開始されると、まず、前回の暖房運転終了時にセーブ運転が実行されていたかどうかを判定するため、セーブ量記憶部82から実行セーブ量が読み出され、また負荷特性記憶部71から前回の初期加熱運転における暖房負荷特性が読み出される(ステップST2及びST3)。
【0061】
次いで、初期加熱運転が開始される(ステップST4)。この初期加熱運転では、ガスバーナ6を燃焼させる前に、まず、ファン駆動回路101がファンモータ16を所定時間(例えば、30秒間)回転動作させるプリパージが行われる。
【0062】
プリパージが終了すると、運転制御部50からの通電により電磁弁27,28を開弁する。また、比例弁駆動回路102からの通電により比例制御弁29の開度を最大とし、ファン駆動回路101からの通電によりファンモータ16の回転数を最大とした上で、点火電極21に通電して、ガスバーナ6の点火を行う。
【0063】
ガスバーナ6が点火されると、1分間は最大燃焼量でガスバーナ6を燃焼させ、その後、設定温度と検知室温との温度差に基づいて目標燃焼量が決定され、決定された目標燃焼量に基づいて温調制御部100は暖房能力を決定し、比例弁駆動回路102により比例制御弁29の開度が調整される。また、決定された目標燃焼量に応じて、ファン駆動回路101によりファンモータ16の目標回転数が可変され、目標回転数と、回転数センサ18により検知される実際の回転数とが一致するように、ファンモータ16への通電量が調整される。これにより、検知室温が設定温度に近づくように初期加熱運転が実行される。そして、暖房負荷特性を判定するために、初期加熱運転中、点火1分後の初期室温(T1)、及び点火1分後と点火5分後の温度上昇幅(T5−T1)が取得される(ステップST5)。
【0064】
初期加熱運転により検知室温が設定温度まで到達すると(ステップST6で、Yes)、再開時に省燃費運転を行うエコ運転モードかどうかが確認され、エコ運転モードでない場合(ステップST7で、No)、さらに前回の暖房運転終了から運転スイッチ31がオン操作されて暖房運転が再開されるまでの停止時間が所定の第1停止時間(例えば、10分間)以下かどうかが判断される(ステップST14)。そして、停止時間が第1停止時間を超えている場合(ステップST14で、No)、室温は低下していると考えられるから、取得した再開時の初期加熱運転における暖房負荷特性が判定され(ステップST15)、既述した暖房負荷特性に基づいた標準セーブパターンが選択されて、設定温度維持時間が30分間に、各セーブ時間が30分間に設定される(ステップST11)。
【0065】
また、今回の暖房運転がエコ運転モードであるが(ステップST7で、Yes)、前回のセーブ運転における実行セーブ量が記憶されていない場合(ステップST8で、No)、すなわち、前回の暖房運転で制御温度の低下が実行される前に暖房運転が終了していた場合、停止時間が第1停止時間以下かどうかが判断され(ステップST14)、停止時間が第1停止時間を超えている場合(ステップST14で、No)、室温は低下していると考えられるから、上記と同様に再開時の初期加熱運転における暖房負荷特性が判定され(ステップST15)、それに基づいて標準セーブパターンが選択される(ステップST11)。
【0066】
さらに、上記でエコ運転モードでない場合(ステップST7で、No)、またはエコ運転モードであるが、前回のセーブ運転における実行セーブ量が記憶されていない場合(ステップST8で、No)で、停止時間が第1停止時間以下の場合(ステップ14で、Yes)、前回の暖房運転で制御温度の低下が実行される前に暖房運転は終了し、短時間内に暖房運転が再開されているから、室内は十分に暖まっていないが、再開時の暖房負荷特性は、初めて暖房運転が行われたときのそれと異なってくる。このため、再開時の初期加熱運転における暖房負荷特性に基づいた標準セーブパターンでなく、暖房運転開始時に読み出された前回の初期加熱運転における暖房負荷特性に基づいて標準セーブパターンが選択される(ステップST11)。
【0067】
前回の実行セーブ量が記憶されている場合(ステップST8で、Yes)、すなわち、前回の暖房運転終了時までにある程度のセーブ運転が実行されている場合、前回の暖房運転終了から運転スイッチ31がオン操作されて暖房運転が再開されるまでの停止時間が第1停止時間以下かどうかが判断される(ステップST9)。そして、停止時間が第1停止時間を超えている場合(ステップST9で、No)、室温は低下していると考えられるから、上記と同様に暖房負荷特性が新たに判定され(ステップST15)、それに基づいた標準セーブパターンが選択される(ステップST11)。
【0068】
停止時間が第1停止時間以下である場合(ステップST9で、Yes)、さらに停止時間が第2停止時間(例えば、5分間)以下かどうかが判断される(ステップST10)。停止時間が第2停止時間を超えている場合(ステップST8で、No)、前回の暖房運転により室温は大きく低下していないと考えられるから、セーブパターン設定部81から前回の実行セーブ量に応じた再開セーブパターン1が読み出され、設定温度維持時間が10分間に、各セーブ時間が5分間に設定される(ステップST12)。
【0069】
また、停止時間が第2停止時間以下である場合(ステップST10で、Yes)、前回の暖房運転が終了して直ちに暖房運転が開始され、室温は殆ど低下していないと考えられるから、セーブパターン設定部81から前回の実行セーブ量に応じた再開セーブパターン2が読み出され、設定温度維持時間が7分間に、各セーブ時間が3分間に設定される(ステップST13)。
【0070】
次いで、使用者が運転スイッチ31をオフ操作するかあるいは強制タイマ運転による所定時間の経過により暖房運転が停止していなければ(ステップST16で、No)、各セーブパターンで設定されている設定温度維持時間が経過したかどうかが判断される(ステップST17)。そして、設定温度維持時間が経過すると(ステップST17で、Yes)、選択された各セーブパターンのセーブ時間が経過するごとに、所定のセーブ量で制御温度を低下させていく(ステップST18〜ST21)。この制御温度の低下に伴い、検知室温が低下させた制御温度と一致するように目標燃焼量が決定され、決定された目標燃焼量に基づいて温調制御部100は暖房能力を決定し、それに応じて比例制御弁29の開度、及び送風ファン5の回転数が調整される。なお、最初の制御温度の低下が実行されるまでに、暖房運転が停止された場合(ステップST16で、Yes)、今回の実行セーブ量が記憶されることなく、セーブ運転が終了される。
【0071】
セーブ運転中に、運転スイッチ31のオフ操作あるいは強制タイマ運転での所定時間の経過による停止動作が行われた場合(ステップST20で、Yes)、または最大セーブ量までセーブ運転が実行された場合(ステップST21で、Yes)、それまでに実行された実行セーブ量がセーブ量記憶部82に記憶される(ステップST22)。記憶された実行セーブ量は、所定の停止時間内に暖房運転が再開された場合のセーブ運転で利用される。なお、セーブ運転が終了すると、検知室温が低下した制御温度と一致するように、温調制御運転が行われる。
【0072】
また、前回の暖房運転が終了してから所定の停止時間経過後に今回の暖房運転が再開された場合、今回の初期加熱運転中に判定された暖房負荷特性が新たな暖房負荷特性として記憶される(ステップST23)。すなわち、初期加熱運転における暖房負荷特性を判定し、それに基づいて標準セーブパターンが設定される温風暖房機では、室温が低温の状態から暖房運転が行われる初回の暖房運転と、室温が上昇している状態から暖房運転が行われる再開時の暖房運転とで温度上昇幅が異なると、異なる標準セーブパターンでセーブ運転が実行される。一方、前回の暖房運転で制御温度の低下が実行される前に運転スイッチ31のオフ操作などにより暖房運転が終了した場合、ある程度、室内は暖められている。それゆえ、前回、制御温度を低下させる前まで暖房運転が行われ、短時間内に暖房運転が再開された場合に、再開時の初期加熱運転における暖房負荷特性に基づいて標準セーブパターンが選択されると、同一の室内を暖房するにも関わらず、異なる標準セーブパターンでセーブ運転が実行されるという問題がある。しかしながら、本実施の形態の温風暖房機では、再開時の暖房負荷特性でなく、記憶された前回の暖房負荷特性に基づいて標準セーブパターンが選択されるから(ステップST3,ST14,及びST11)、その室内の暖まりやすさに基づいた適正な標準セーブパターンによりセーブ運転を実行することができる。
【0073】
以上のように、本実施の形態の温風暖房機1によれば、暖房負荷特性に基づいて複数の標準セーブパターンが設定されているから、初回の暖房運転や所定の停止時間を超えて暖房運転が行われた場合に、室内の暖まりやすさを考慮してセーブ運転を実行することができる。
【0074】
また、暖房運転終了から所定の停止時間内に暖房運転が再開された場合、再開時のセーブ運転は、前回の暖房負荷特性に基づく標準セーブパターンよりも、制御温度をより早期に低下させる再開セーブパターンでセーブ運転が実行されるから、燃費を向上することができる。
【0075】
さらに、前回のセーブ運転における実行セーブ量が多いほど、すなわち、前回のセーブ運転が進行している程、より早期に制御温度を低下させる再開セーブパターンでセーブ運転が実行されるから、室内全体の暖まり具合を考慮して、暖房運転を行うことができる。そして、上記再開時のセーブ運転は、前回の暖房運転終了から暖房運転が再開されるまでの停止時間が短いほど、より早期に制御温度を低下させる再開セーブパターンで実行されるから、暖房運転終了後の室温の低下を考慮した暖房運転を行うことができる。これにより、短時間内に暖房運転を再開させた場合でも、体感温度の低下を招くことなく、燃費を向上させることができる。
【0076】
また、前回、制御温度の低下が実行される前に暖房運転が終了し、暖房運転が終了してから所定の停止時間内に運転スイッチが作動された場合、再開時の暖房負荷特性に基づいた標準セーブパターンでなく、前回の暖房負荷特性に基づいた標準セーブパターンでセーブ運転が実行されるから、体感温度を損なうことなく、燃費を向上させることができる。
【0077】
なお、上記実施の形態では、ガスファンヒータを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、FF式の温風暖房機や石油式の温風暖房機に適用することができる。
【0078】
また、上記実施の形態では、初期加熱運転における暖房負荷特性として、初期室温と温度上昇幅の両方に基づいて標準セーブパターンが選択されているが、いずれか一方のみを利用してもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 温風暖房機
5 送風ファン
6 ガスバーナ(加熱源)
26 温度センサ(室温検知部)
31 運転スイッチ
31 設定温度スイッチ(設定温度入力部)
60 初期加熱運転制御部
70 負荷特性判定部
71 負荷特性記憶部
80 セーブ運転制御部
81 セーブパターン設定部
82 セーブ量記憶部
図1
図2
図3
図4
図5