(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本発明の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した特許文献1に開示される技術に関し、以下のような問題が生じることを見出した。
【0013】
屋内の専用のGPSアンテナ(屋内GPSアンテナ)を使って、自らの位置を推定する位置検知装置には、上述の屋内GPSアンテナや基地局側の情報も必要となる。そのため、位置を検知するためのシステムの構築が複雑になり、その位置検知装置を利用する際にユーザに負担がかかってしまう。例えば、屋内GPSアンテナを使う位置検知装置では、ユーザは上述の屋内GPSアンテナを取り付けるときに、その屋内GPSアンテナの位置を位置検知装置に入力する必要がある。また、無線LANを用いた位置検知装置でも、同様に、ユーザは基地局の位置を予め位置検知装置に設定登録しておく必要がある。
【0014】
このような問題に対して、特許文献1では、自律航法により屋内での自らの位置を検知する位置検知装置を備えた移動ロボットが提案されている。この位置検知装置は、屋内での自らの最初の位置を初期座標として決めておく。そして、この位置検知装置は、その初期座標から移動すると、自らに内蔵されたセンサからの出力(情報)と初期座標とに基づいて、移動後の自らの位置を検知する。また、この位置検知装置は、カメラを備えるとともに、基準点となる通気口の形状および位置を予め登録しておくことによって、カメラによる通気口の発見時に、検知された自らの位置を、その登録された通気口の位置(基準点)にリセットする。これによって、センサからの出力と初期座標とに基づいて累積的に検知される位置の誤差を補正することができる。
【0015】
しかしながら、上記特許文献1の移動ロボットに備えられた位置検知装置では、複雑な構成および処理を必要とし、高コストになるという問題がある。つまり、上記特許文献1の位置検知装置では、通気口を発見するために、カメラが必要であり、さらに、通気口の形状を予め登録しておき、カメラによって得られた画像とその形状とのパターンマッチングを行う処理の必要がある。このため、高コストになる。さらに、通気口の形状が予め登録されている必要があるため、宅内のようなユーザ毎に多様な空間となる環境では、その位置検知装置の利用に手間がかかってしまう。
【0016】
そこで、本発明の一態様は、かかる問題に鑑みてなされたものであって、簡単な構成および処理で正しい位置を検知し得るノイズパターン取得装置とそれを備える位置検知装置を提供することを目的とする。
【0017】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係るノイズパターン取得装置は、地磁気センサと、前記ノイズパターン取得装置の現在の位置を示す推定現在地座標を推定する座標推定部と、前記ノイズパターン取得装置の移動中に前記地磁気センサによって検出された磁界強度に異常が発生しているとき、前記地磁気センサによって検出された磁界強度の時系列上の変化を示すパターンである地磁気ノイズパターンを、前記異常が発生しているときに前記座標推定部によって推定された推定現在地座標と関連付けて記録媒体に格納する地磁気ノイズパターン管理部とを備える。
【0018】
また、本発明の第2の態様に係るノイズパターン取得装置は、第1の態様において、例えば、前記ノイズパターン取得装置の移動中に前記地磁気センサによって検出された磁界強度の時系列上のパターンが標準的なパターンと異なるときを、前記磁界強度に異常が発生しているときとして、検出する地磁気ノイズ検出部を備えるとしてもよい。
【0019】
また、本発明の第3の態様に係るノイズパターン取得装置は、第1の態様において、例えば、前記地磁気センサによって検出された地磁気の磁界強度の変化量が所定量以上のときを、前記磁界強度に異常が発生しているときとして、検出する地磁気ノイズ検出部を備えるとしてもよい。
【0020】
また、本発明の第4の態様に係るノイズパターン取得装置は、第1の態様〜第3の態様のいずれかにおいて、例えば、前記ノイズパターン取得装置の移動中に前記地磁気センサによって検出された磁界強度の時系列上のパターンである地磁気パターンを取得する地磁気パターン取得部を備えるとしてもよい。
【0021】
また、本発明の第5の態様に係るノイズパターン取得装置は、第1の態様〜第4の態様のいずれかにおいて、例えば、前記地磁気ノイズパターン管理部は、前記異常が発生しているときに前記座標推定部によって推定された処理対象の推定現在地座標の周辺にある座標に関連付けられた、前記地磁気ノイズパターンに類似するパターンである補正基準ノイズパターンを、前記記録媒体に格納された少なくとも1つのパターンの中から検索し、検索によって前記補正基準ノイズパターンが見つからなかった場合には、前記処理対象の推定現在地座標および前記地磁気ノイズパターンを関連付けて前記記録媒体に格納し、検索によって前記補正基準ノイズパターンが見つかった場合には、前記処理対象の推定現在地座標の補正を指示し、前記ノイズパターン取得装置は、さらに、前記地磁気ノイズパターン管理部による補正の指示に応じて、前記補正基準ノイズパターンに関連付けて前記記録媒体に格納されている座標に、前記処理対象の推定現在地座標を補正する座標補正部を備えるとしてもよい。
【0022】
また、本発明の第6の態様に係る位置検知装置は、例えば、第5の態様に係るノイズパターン取得装置を備え、移動された自らの位置を示す座標を推定することによって、前記自らの位置を前記推定現在地座標として検知するとしてもよい。
【0023】
これにより、地磁気センサによる地磁気の検出に異常が発生している間、地磁気ノイズパターンが生成される。また、記録媒体の中から、その地磁気ノイズパターンに類似する補正基準ノイズパターンが検索され、その補正基準ノイズパターンが見つかれば、異常が発生しているときに推定された処理対象の推定現在地座標が、その補正基準ノイズパターンに関連付けて記録媒体に格納されている座標(基準座標)に補正される。ここで、地磁気ノイズパターンには再現性があるため、その基準座標が正しい座標であれば、その地磁気ノイズパターンに基づいて、処理対象の推定現在地座標を正しい座標に補正することができる。また、補正基準ノイズパターンの検索では、処理対象の推定現在地座標の周辺にある座標に関連付けられた補正基準ノイズパターンが検索される。そのため、処理対象の推定現在地座標が、遠く離れた座標に誤って補正されてしまうことを防ぐことができる。なお、処理対象の推定現在地座標から予め定められた距離以内にある座標を、その処理対象の推定現在地座標の周辺にある座標として扱ってもよい。
【0024】
また、本発明の第6の態様に係る位置検知装置において、補正後の正しい座標を導出するために行われる処理は、単に、地磁気ノイズパターンに類似する補正基準ノイズパターンの検索である。つまり、地磁気ノイズパターンと、記録媒体に格納されたパターンとの比較が行われる。したがって、本発明の一態様に係る位置検知装置では、上記特許文献1で必要とされているカメラが不要となり、カメラによって得られた画像と通気口の形状とのパターンマッチングを行うような画像処理も不要である。その結果、簡単な構成および処理で正しい位置を検知することができ、コストを抑えることができる。
【0025】
また、本発明の第6の態様に係る位置検知装置では、補正基準ノイズパターンが見つからなければ、処理対象の推定現在地座標および地磁気ノイズパターンが関連付けられて記録媒体に格納される。その結果、ユーザがわざわざ、座標とパターンとの組み合わせを記録媒体に格納する手間を省くことができ、その組み合わせを示すデータベースを自動的に構築することができる。その結果、宅内のようなユーザ毎に多様な空間となる環境においても、その位置検知装置の利便性を向上することができる。
【0026】
また、本発明の第7の態様に係る位置検知装置では、例えば第6の態様において、前記位置検知装置は、さらに、加速度センサと、前記加速度センサおよび地磁気センサによる検出結果に基づいて、前記位置検知装置の姿勢を検出する姿勢検出部と、前記姿勢検出部によって検出された姿勢と、前記加速度センサによる検出結果とに基づいて、前記位置検知装置の移動方向および移動距離を示す移動量を検出する移動量検出部とを備え、前記座標推定部は、前記移動量検出部によって検出された移動量だけ、前回推定された座標から離れた座標を前記推定現在地座標として推定するとしてもよい。
【0027】
これにより、加速度センサ、地磁気センサ、姿勢検出部および移動量検出部による検出結果に基づいて、推定現在地座標が位置検知装置の現在の位置として検知される。つまり、自律航法によって位置検知装置の現在の位置が検知される。その結果、位置検知装置の現在の位置を正確に検知することができ、その位置をより正しい位置に補正することができる。
【0028】
また、本発明の第8の態様に係る位置検知装置では、例えば第6の態様または第7の態様において、前記位置検知装置は、さらに、角速度センサを備え、前記地磁気ノイズ検出部は、前記角速度センサによって検出される前記位置検知装置の向きの変化量と、前記地磁気センサによって検出される磁界強度の変化に基づいて導出される前記位置検知装置の向きの変化量とを比較することによって、地磁気の検出に異常が生じているか否かを検出するとしてもよい。
【0029】
例えば、角速度センサによって検出される位置検知装置の向きの変化量と、地磁気センサによって検出される磁界強度の変化に基づいて導出される位置検知装置の向きの変化量との間に、予め定められた量または比率以上の差がある場合に、地磁気の検出に異常が生じていると検出される。これにより、地磁気の検出に異常が生じているか否かの検出において、誤検出を防ぐことができる。つまり、位置検知装置の向きの変化に応じて、地磁気センサによって検出される磁界強度(例えば、X軸、Y軸およびZ軸のそれぞれの方向に沿った磁界強度)も変化する場合がある。このような場合に、その磁界強度の変化によって、地磁気の検出に異常が生じていると誤って判断してしまうことを防ぐことができる。
【0030】
また、通常では、特定の位置または場所の緯度および経度にしたがって論理的に導き出される磁界強度と異なる磁界強度が検出されるときには、その位置または場所において地磁気の検出に異常が発生していると検出される。逆に言えば、その論理的に導き出される磁界強度と略同じ磁界強度が検出されるときには、その位置または場所において地磁気の検出に異常は発生していないと検出される。しかし、地磁気と関係しない磁場が位置検知装置の近くにあっても、位置検知装置の向きが変わることによって、その論理的に導き出される磁界強度と略同じ磁界強度が検出されるという特殊なケースが生じることがある。この特殊なケースにおいても、地磁気の検出に異常が発生していると検出されるべきである。そこで、角速度センサによって検出される位置検知装置の向きの変化量と、地磁気センサによって検出される磁界強度の変化に基づいて導出される位置検知装置の向きの変化量とを比較することによって、上述のような特殊なケースであっても、地磁気の検出に異常が発生していると適切に検出することができる。つまり、上述のような特殊なケースでは、角速度センサによって検出される位置検知装置の向きの変化量と、地磁気センサによって検出される磁界強度の変化に基づいて導出される位置検知装置の向きの変化量とは異なり、この差が例えば閾値よりも大きい場合に、地磁気の検出に異常が発生していると検出することができる。
【0031】
また、本発明の第9の態様に係る位置検知装置では、例えば第7の態様において、前記移動量検出部は、前記加速度センサによる検出結果に基づいて、さらに、前記位置検知装置の移動速度を検出し、前記地磁気ノイズパターン管理部は、前記補正基準ノイズパターンを検索する際には、前記記録媒体に格納された比較対象のパターンの時間軸上のスケールが、前記地磁気ノイズパターンの時間軸上のスケールに整合するように、前記比較対象のパターンに関連付けて前記記録媒体に格納されている移動速度と、前記異常が発生しているときに前記移動量検出部によって検出された移動速度との比率に応じて、前記比較対象のパターンをスケーリングし、前記地磁気ノイズパターンとスケーリングされた前記比較対象のパターンとのパターンマッチングを行うことによって、前記比較対象のパターンが前記補正基準ノイズパターンであるか否かを判定し、検索によって前記補正基準ノイズパターンが見つからなかった場合には、前記異常が発生しているときに前記移動量検出部によって検出された移動速度を、前記処理対象の推定現在地座標および前記地磁気ノイズパターンに関連付けて前記記録媒体に格納するとしてもよい。
【0032】
例えば、予め定められたサンプリング周期で磁界強度を検出することによって地磁気ノイズパターンが生成される。この場合に、位置検知装置が同じ位置を繰り返し通過する際、位置検知装置の移動速度が異なれば、生成される地磁気ノイズパターンも異なってしまう。そこで、本発明の一態様に係る位置検知装置では、記録媒体に格納された比較対象のパターンと地磁気ノイズパターンのそれぞれの時間軸上のスケールが整合するように、比較対象のパターンがスケーリングされる。これにより、適切な補正基準ノイズパターンを検索することができる。また、補正基準ノイズパターンが見つからなかった場合には、移動速度も、処理対象の推定現在地座標などと関連付けて記録媒体に格納されるため、スケーリングに必要とされるその移動速度を容易に取得して利用することができる。
【0033】
また、本発明の第10の態様に係る位置検知装置では、例えば第7の態様において前記移動量検出部は、前記加速度センサによる検出結果に基づいて、さらに、前記位置検知装置の移動速度を検出し、前記地磁気ノイズパターン管理部は、前記補正基準ノイズパターンを検索する際には、前記地磁気ノイズパターンの時間軸上のスケールが、前記記録媒体に格納された比較対象のパターンの時間軸上のスケールに整合するように、予め定められた移動速度と、前記異常が発生しているときに前記移動量検出部によって検出された移動速度との比率に応じて、前記地磁気ノイズパターンをスケーリングし、スケーリングされた前記地磁気ノイズパターンと前記比較対象のパターンとのパターンマッチングを行うことによって、前記比較対象のパターンが前記補正基準ノイズパターンであるか否かを判定し、検索によって前記補正基準ノイズパターンが見つからなかった場合には、スケーリングされた前記地磁気ノイズパターンを前記記録媒体に格納するとしてもよい。
【0034】
これにより、記録媒体に格納された比較対象のパターンと地磁気ノイズパターンのそれぞれの時間軸上のスケールが整合するように、地磁気ノイズパターンがスケーリングされる。これにより、適切な補正基準ノイズパターンを検索することができる。また、補正基準ノイズパターンが見つからなかった場合には、予め定められた移動速度でスケーリングされた地磁気ノイズパターンが記録媒体に格納されるため、地磁気の検出において異常が発生しているときに検出された移動速度を記録媒体に格納する必要がなく、記録媒体の容量を抑えることができる。
【0035】
また、本発明の第11の態様に係る位置検知装置では、例えば第6〜第10の態様のいずれかにおいて、前記座標推定部は、さらに、前記位置検知装置が直近に通過した基準点であって既に位置が特定されている基準点の座標からの、前記位置検知装置の移動距離、前記位置検知装置の移動の複雑さ、および、前記位置検知装置の移動にかかった時間のうちの少なくとも1つに応じて、前記推定現在地座標の確度である推定現在地確度を算出し、前記地磁気ノイズパターン管理部は、検索によって前記補正基準ノイズパターンが見つからなかった場合には、前記処理対象の推定現在地座標に対して算出された推定現在地確度を、前記処理対象の推定現在地座標および前記地磁気ノイズパターンに関連付けて前記記録媒体に格納し、検索によって前記補正基準ノイズパターンが見つかった場合には、前記処理対象の推定現在地座標に対して算出された推定現在地確度と、前記補正基準ノイズパターンに関連付けて前記記録媒体に格納されている確度とを比較し、前記記録媒体に格納されている確度が前記推定現在地確度よりも高い場合に、前記処理対象の推定現在地座標の補正を前記座標補正部に指示するとしてもよい。
【0036】
例えば、基準点からの位置検知装置の移動距離が長いほど低い推定現在地確度が算出される。これにより、補正基準ノイズパターンが見つかった際には、その補正基準ノイズパターンに関連付けられた確度(基準確度)が推定現在地確度よりも高い場合に、処理対象の推定現在地座標が補正されるため、補正基準ノイズパターンに関連付けて記録媒体に格納されている座標の確度が、推定現在地座標の確度以下の場合にまで、その推定現在地座標を補正してしまうことを防ぐことができ、より正しい位置を検知することができる。
【0037】
また、本発明の第12の態様に係る位置検知装置では、例えば第11の態様において、前記地磁気ノイズパターン管理部は、前記記録媒体に格納されている確度が前記推定現在地確度以下の場合には、前記補正基準ノイズパターンに関連付けて前記記録媒体に格納されている座標および確度を、前記処置対象の推定現在地座標および推定現在地確度に置き換えるとしてもよい。
【0038】
これにより、記録媒体に格納されている座標の確度を高めることができる。
【0039】
また、本発明の第13の態様に係る位置検知装置では、例えば第6〜第12の態様のいずれかにおいて、前記地磁気ノイズパターン管理部は、前記補正基準ノイズパターンを検索する際には、前記記録媒体に格納された少なくとも1つのパターンのそれぞれと前記地磁気ノイズパターンとの間の類似度と、前記少なくとも1つのパターンに関連付けて前記記録媒体に格納されている座標のそれぞれと前記処理対象の推定現在地座標との間の距離とに基づいて、前記補正基準ノイズパターンを検索する。
【0040】
例えば、類似度が高く、且つ短い距離に対応するパターンが補正基準ノイズパターンとして検索される。これにより、より適切な補正基準ノイズパターンを検索することができ、その結果、より正しい位置を検知することができる。
【0041】
また、本発明の第14の態様に係る位置検知装置では、例えば第6〜第13の態様のいずれかにおいて、前記地磁気ノイズパターン管理部は、検索によって前記補正基準ノイズパターンが見つかった際には、前記補正基準ノイズパターンと前記地磁気ノイズパターンとが同一の座標に関連付けられるように、前記地磁気ノイズパターンを前記記録媒体に格納し、前記地磁気ノイズ検出部によって次の地磁気ノイズパターンが生成された際には、前記同一の座標に関連付けられた2つのパターンを含む、前記記録媒体に格納されている複数のパターンの中から、前記次の地磁気ノイズパターンに対する補正基準ノイズパターンを検索する。
【0042】
これにより、同一の座標に関連付けて複数のパターンが記録媒体に格納されるため、処理対象の推定現在地座標をその同一の座標に補正する確率を高めることができる。その結果、より正しい位置を検知することができる。
【0043】
また、本発明の第15の態様に係る位置検知装置では、例えば第6〜第14の態様のいずれかにおいて、前記地磁気ノイズパターン管理部は、前記補正基準ノイズパターンを検索する際には、前記地磁気ノイズパターンの種別を特定し、特定された前記種別が磁界強度の乱れを示している場合には、前記乱れを示す種別に関連付けて前記記録媒体に格納されたパターンを前記補正基準ノイズパターンとして検索し、検索によって前記補正基準ノイズパターンが見つからなかった場合には、前記乱れを示す種別を、前記処理対象の推定現在地座標および前記地磁気ノイズパターンに関連付けて前記記録媒体に格納する。
【0044】
これにより、地磁気ノイズパターンの種別が乱れを示す場合には、乱れを示す種別に関連付けて記録媒体に格納されたパターンが補正基準ノイズパターンとして検索されるため、パターンマッチングを行うことなく、補正基準ノイズパターンを簡単に検索することができる。つまり、補正基準ノイズパターンの検索に要する演算量を削減することができるとともに、位置検知の精度向上の両立を図ることができる。
【0045】
なお、これらの全般的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0046】
例えば、本発明は、ノイズパターン取得装置を備える位置検知装置として実現することができるだけでなく、その位置検知装置による位置を検知する方法、その方法でコンピュータに位置を検知させるためのプログラム、そのプログラムを格納する記憶媒体、または集積回路としても実現することができる。
【0047】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0048】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0049】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態における位置検知装置の機能ブロック図である。この位置検知装置100は、移動端末に固定して備えられ、自らの位置をその移動端末の位置として検知する。このような位置検知装置100は、
図1に示すように、加速度センサ101と、角速度センサ102と、地磁気センサ103と、移動量検出部104と、端末姿勢検出部105と、地磁気ノイズ検出部106と、座標推定部107と、地磁気ノイズパターン管理部108と、地磁気ノイズパターン格納部109と、座標補正部110とを備える。
【0050】
なお、位置検知装置100は移動端末に固定して備えられているため、移動端末の位置、向き、傾き、加速度、加速度方向、移動方向、移動距離、回転方向、および角速度などの移動端末の状態は、位置検知装置100のそれらの状態と同じである。また、地磁気ノイズ検出部106は、地磁気パターン取得部106Aに構成されている。
【0051】
加速度センサ101は、位置検知装置100に固定して設定されたローカル座標系(X軸、Y軸およびZ軸からなる3軸の座標系)において、加速度センサ101が受ける重力および慣性力などの力の向きおよび大きさを検出する。ここで、例えば、位置検知装置100または上記移動端末の形状が一方向に長い形状である場合には、その位置検知装置100または移動端末の長手方向はZ軸方向である。また、それぞれZ軸に垂直な方向であって、互いに直交する方向はX軸方向およびY軸方向である。加速度センサ101は、予め定められた周期で、上述のような検出を行ってその検出結果を示す加速度情報を出力する。
【0052】
角速度センサ102は、移動端末の回転方向および角速度を予め定められた周期で検出する。
【0053】
地磁気センサ103は、ローカル座標系における磁界強度を予め定められた周期で検出する。具体的には、地磁気センサ103は、上述のX軸、Y軸およびZ軸のそれぞれの軸に沿った方向の磁界強度を検出する。これらの3軸の磁界強度に基づいて、移動端末の位置における磁界(地磁気)が1つの磁界ベクトルとして表される。
【0054】
端末姿勢検出部105は、加速度センサ101、角速度センサ102および地磁気センサ103による検出結果に基づいて、地球を基準にした移動端末の姿勢を予め定められた周期で算出(検出)する。姿勢は、移動端末の水平面に対する傾きと、水平面における移動端末の向きとからなる。
【0055】
移動量検出部104は、端末姿勢検出部105によって算出された姿勢と、加速度センサ101から出力される加速度情報とに基づいて、地球に固定して設定されたグローバル座標系における、移動端末の移動方向、移動速度および移動距離を予め定められた周期で算出(検出)する。または、移動量検出部104は、算出された姿勢と、出力される加速度情報とに基づいて、宅内に固定して設定された宅内座標系における、移動端末の移動方向、移動速度および移動距離を予め定められた周期で算出(検出)する。なお、以下では、移動方向および移動距離を示すパラメータを移動量という。
【0056】
地磁気パターン取得部106Aは、地磁気ノイズ検出部106を有し、移動端末の移動中に地磁気センサ103によって検出された磁界強度の時系列上のパターンである地磁気パターンを取得する。
【0057】
地磁気ノイズ検出部106は、地磁気センサ103によって検出された地磁気の磁界強度の変化量が所定量以上のときを、磁界強度に異常が発生しているときとして、検出する。
【0058】
また、地磁気ノイズ検出部106は、移動端末の移動中に地磁気センサ103によって検出された磁界強度の時系列上のパターンが標準的なパターンと異なるときを、磁界強度に異常が発生しているときとして、検出する。より具体的には、地磁気ノイズ検出部106は、角速度センサ102による検出結果と、地磁気センサ103によって検出された磁界強度とに基づいて、地磁気の検出に対して異常が発生しているか否か、つまり地磁気ノイズが発生しているか否かを予め定められた周期で判別(検出)する。さらに、地磁気ノイズ検出部106は、地磁気ノイズが発生していると判別した際には、その地磁気ノイズが発生している間、その地磁気ノイズ(地磁気センサ103によって検出された磁界強度)の時系列上の変化を示す地磁気ノイズパターンを発生地磁気ノイズパターンとして地磁気ノイズパターン管理部108に出力する。
【0059】
座標推定部107は、直前に算出された座標と、移動量検出部104によって算出された移動量とに基づいて、位置検知装置100の現在の位置を推定現在地座標として算出(推定)する。なお、推定現在地座標は、次の推定現在地座標を算出するための、直前に算出された座標として用いられる。以下、この直前に算出された座標を前回推定座標という。
【0060】
さらに、座標推定部107は、後述する前回認識基準点と推定現在地座標との間の距離、その間のカーブや傾きなどの移動の複雑さ、および、その間の移動にかかった時間のうち、少なくも1つに基づいて、その推定現在地座標に対する確度(正確さ)を推定現在地確度として算出する。そして、座標推定部107は、その推定現在地座標と推定現在地確度とを地磁気ノイズパターン管理部108に出力する。例えば、座標推定部107は、予め定められた周期で、推定現在地座標および推定現在地確度を算出して地磁気ノイズパターン管理部108に出力するとともに、その推定現在地座標を座標補正部110に出力する。
【0061】
地磁気ノイズパターン格納部109は、記録媒体の一例であり、基準点ごとに、その基準点における地磁気ノイズパターン(以下、基準ノイズパターンという)、その基準点の座標(以下、基準座標という)、およびその基準点の座標の確度(以下、基準確度という)を関連付けて示すテーブルを格納している。なお、基準点とは、既に位置が特定されている位置、かつ、推定現在地座標を補正するための基準となるグローバル座標系または宅内座標系における位置である。
【0062】
地磁気ノイズパターン管理部108は、移動端末の移動中に地磁気センサ103によって検出された磁界強度に異常が発生しているとき、地磁気センサ103によって検出された磁界強度の時系列上の変化を示すパターンである地磁気ノイズパターンを、異常が発生しているときに座標推定部107によって推定された推定現在地座標と関連付けて記録媒体(地磁気ノイズパターン格納部109)に格納する。より具体的には、地磁気ノイズパターン管理部108は、地磁気ノイズ検出部106から発生地磁気ノイズパターンを取得する。また、地磁気ノイズパターン管理部108は、その発生地磁気ノイズパターンを取得したとき、つまり、地磁気ノイズが発生しているときに座標推定部107によって算出された推定現在地座標および推定現在地確度をその座標推定部107から取得する。
【0063】
地磁気ノイズパターン管理部108は、取得された発生地磁気ノイズパターン、推定現在地座標および推定現在地確度と、地磁気ノイズパターン格納部109のテーブルとに基づいて、その推定現在地座標を補正すべきか否かを判別する。なお、補正すべきか否かが判別される推定現在地座標は、処理対象の推定現在地座標であり、地磁気ノイズが発生しているときに座標推定部107によって算出された推定現在地座標である。また、推定現在地座標は、その発生が検出されたときに存在する位置検知装置100の位置でもある。
【0064】
ここで、地磁気ノイズパターン管理部108は、補正すべきと判別したときには、その推定現在地座標の補正を座標補正部110に指示する。さらに、地磁気ノイズパターン管理部108は、必要に応じて地磁気ノイズパターン格納部109のテーブルを更新する。
【0065】
座標補正部110は、座標推定部107から推定現在地座標を取得し、その推定現在地座標を出力する。ここで、座標補正部110は、地磁気ノイズパターン管理部108から推定現在地座標の補正の指示を受けると、補正後の座標である基準座標を地磁気ノイズパターン管理部108から取得する。そして、座標補正部110は、推定現在地座標を基準座標に置き換え、その基準座標を補正後の推定現在地座標として出力する。
【0066】
図2は、地磁気ノイズパターン格納部109のテーブルを示す図である。
【0067】
テーブル109aには、上述の基準点ごとに、その基準点を識別するための基準点IDと、その基準点における基準ノイズパターンと、その基準点の基準座標と、その基準点の基準確度と、その基準点の更新時刻とが関連付けて示されている。例えば、テーブル109aでは、基準ノイズパターン「基準ノイズパターン1」、基準座標(X2,Y2,Z2)、基準確度「60パーセント」、および更新時刻「20000202:22:10:05」がそれぞれ基準点ID「p1」に関連付けて示されている。
【0068】
このような位置検知装置100は、加速度センサ101、角速度センサ102、および地磁気センサ103による検出結果を用いた自律航法によって、自らの位置をリアルタイムに検知(推定)するとともに、地磁気ノイズに基づいてその検知された位置を適切に補正する。
【0069】
図3は、宅内での地磁気ノイズ発生エリアの一例を示す図である。
図3に示すように、位置検知装置100を備えた移動端末1000は、宅内(屋内)において、まず、玄関である開始基準点p0から移動する。次に、移動端末1000は、地磁気ノイズ発生エリアAとして例えば冷蔵庫付近を通る。このとき、移動端末1000に備えられた位置検知装置100は、冷蔵庫の有する金属板や冷蔵庫が出す磁気によって地磁気ノイズが発生したと判別する。つまり、位置検知装置100の地磁気センサ103は、地磁気によって論理的に検出される磁界と異なる磁界を検出する。ここで論理的に検出される磁界とは、移動端末1000の移動に従って予測される地磁気の磁界強度であり、例えば自然界の磁界強度範囲である。そのため、例えば、位置検知装置100は、検出される磁界強度が自然界の値と全く異なるケースなどでも検出された磁界強度に異常が発生していると判断できる。
【0070】
同様にして、位置検知装置100は、移動端末1000が地磁気ノイズ発生エリアBとして例えば階段下の鉄骨付近を通るときにも、その鉄骨の影響によって地磁気ノイズが発生したと判別する。また、位置検知装置100は、移動端末1000が2階に上がって地磁気ノイズ発生エリアCとして例えば2階の床鉄骨付近を通過するときにも、その鉄骨の影響によって地磁気ノイズが発生したと判別する。
【0071】
換言すると、地磁気ノイズ発生エリアでは、宅内または屋内における電気設備または構造物などによって地磁気(磁界)が乱れている。そのため、検出された磁界強度に異常が発生していると判断できる。そして、このような地磁気ノイズ発生エリアAおよびBが、それぞれ基準点ID「p1」および「p2」として識別されて地磁気ノイズパターン格納部109のテーブル109aに格納される。
【0072】
図4は、発生地磁気ノイズパターンの一例を示す図である。
【0073】
地磁気センサ103は、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のそれぞれの磁界強度を予め定められた周期ごとに(例えば10msごとに)検出する。ここで、移動端末1000が移動して、上述の冷蔵庫付近などの地磁気ノイズ発生エリアを通るとすると、地磁気センサ103によって検出されるX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のそれぞれの磁界強度は、想定される地磁気による磁界強度とは異なるように変化する。
【0074】
例えば、移動端末1000が移動中に、時刻t1から時刻t2までの期間、地磁気ノイズ発生エリアにあるとすると、地磁気センサ103は、
図4に示すように、上記期間において、想定される地磁気による磁界強度とは異なる磁界強度を3つの軸方向のそれぞれで検出する。
【0075】
すると、地磁気ノイズ検出部106は、上記期間に地磁気ノイズが発生していると判別する。そして、地磁気ノイズ検出部106は、上記期間におけるX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のそれぞれの磁界強度の経時変化を示すパターン(地磁気ノイズパターン)を発生地磁気ノイズパターンとして地磁気ノイズパターン管理部108に出力する。
【0076】
なお、発生地磁気ノイズパターンは、移動端末1000が同じ地磁気ノイズ発生エリアを通る度に、再現される可能性が高い。
【0077】
図5は、本実施の形態の位置検知装置100による座標推定に関する処理の流れを示すフローチャートである。
【0078】
まず、端末姿勢検出部105は、加速度センサ101、角速度センサ102および地磁気センサ103によるそれぞれの検出結果に基づいて移動端末1000の姿勢を算出する(ステップS101)。
【0079】
次に、移動量検出部104は、座標推定部107によって前回推定座標が算出されたとき以降に加速度センサ101から出力された加速度情報を取得する(ステップS102)。なお、このとき、前回推定座標が算出されていなければ、移動量検出部104は、移動端末1000が玄関などの予め設定された基準点を通過したとき以降に出力された加速度情報を取得してもよい。また、位置検知装置100がGPS機能を有している場合には、最後にGPS機能によって座標(位置検知装置100の位置)が算出されたとき以降に出力された加速度情報を取得してもよい。
【0080】
次に、移動量検出部104は、端末姿勢検出部105から、その端末姿勢検出部105によって算出された姿勢を示す端末姿勢情報を取得する(ステップS103)。
【0081】
次に、移動量検出部104は、その端末姿勢情報と加速度情報とに基づいて、移動端末1000の移動方向および移動距離を算出する(ステップS104)。
【0082】
次に、座標推定部107は、移動量検出部104によって算出された移動距離だけ、移動量検出部104によって算出された移動方向に向かって前回推定座標から離れた位置を、推定現在地座標として算出する(ステップS105)。
【0083】
次に、座標推定部107は、前回認識基準点と推定現在地座標との間の距離に応じた推定現在地確度を算出する(ステップS106)。
【0084】
なお、前回認識基準点は、直前に地磁気ノイズ検出部106によって地磁気ノイズが発生していると判別されたときの移動端末1000の位置である。つまり、座標推定部107は、過去に基準点を認識したときからの移動量の総量から、推定現在地確度を設定する。例えば、座標推定部107は、推定現在地座標が前回認識基準点よりも遠いほど、低い推定現在地確度を算出する。また、推定現在地確度は、過去の基準点からの、移動距離、移動中に曲がった量や移動中の傾きなどに起因する移動の複雑さ、および、移動にかかった時間から総合的に算出されてもよいし、それらのうちの一つだけで算出されてもよい。
【0085】
図6は、端末姿勢検出部105の処理の流れを示すフローチャートである。
【0086】
端末姿勢検出部105は、まず、加速度センサ101から加速度情報を取得し、その加速度情報に基づいて、ローカル座標系における重力方向(鉛直方向)を算出する(ステップS201)。例えば、端末姿勢検出部105は、論理的に導き出される重力の値と、加速度情報によって示されるローカル座標系における力の向きおよび大きさとに基づいて、重力に相当する鉛直方向の力の向きを算出する。
【0087】
次に、端末姿勢検出部105は、ローカル座標系におけるX軸、Y軸およびZ軸に対する重力方向の傾きに基づいて、移動端末1000の水平面に対する傾きを算出する(S203)。
【0088】
次に、端末姿勢検出部105は、地磁気ノイズの発生を地磁気ノイズ検出部106に確認することによって(ステップS203)、地磁気ノイズが発生しているか否かを判別する(ステップS204)。
【0089】
端末姿勢検出部105は、地磁気ノイズが発生していないと判別すると(ステップS204のNo)、地磁気センサ103による検出結果を取得し、その検出結果と、ステップS202で算出された傾きとに基づいて、移動端末1000の水平面上の向きを算出する(ステップS205)。一方、端末姿勢検出部105は、地磁気ノイズが発生していると判別すると(ステップS204のYes)、角速度センサ102による検出結果を取得し、その検出結果と、ステップS202で算出された傾きとに基づいて、移動端末1000の水平面上の向きを算出する(ステップS206)。この場合、端末姿勢検出部105は、直前に水平面上の向きが算出されたとき以降に、角速度センサ102によって検出された回転方向および角速度に基づいて、その水平面上の向きの変化を特定する。そして、端末姿勢検出部105は、その直前に算出された水平面上の向きに、特定された向きの変化を加算することによって、現在の移動端末1000の水平面上の向きを算出する。
【0090】
なお、ステップS204で、地磁気ノイズが発生していないと判別されたときには(ステップS204のNo)、端末姿勢検出部105は、地磁気センサ103と角速度センサ102の両方の検出結果から、より正確に移動端末1000の水平面上の向きを算出してもよい。
【0091】
このような処理によって、端末姿勢検出部105は、移動端末1000の姿勢を検出する。
【0092】
図7は、地磁気ノイズ検出部106の処理の流れを示すフローチャートである。
【0093】
まず、地磁気ノイズ検出部106は、地磁気センサ103から、その地磁気センサ103の検出結果(X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のそれぞれの磁界強度)を取得する(ステップS301)。
【0094】
次に、地磁気ノイズ検出部106は、そのX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のそれぞれの磁界強度によって表される磁界ベクトルの大きさと、論理的な地磁気の大きさ(強度)との間に、予め定められた大きさまたは比率以上の差があるか否かを判定する(ステップS302)。
【0095】
なお、論理的な地磁気の大きさ(強度)とは例えば自然界の磁界強度など予め定められた強度である。もちろん、地磁気ノイズ検出部106は、位置検知装置100の位置に応じてその論理的な地磁気の大きさを変更してもよい。この場合、地磁気ノイズ検出部106は、地球上の位置ごとに、その位置における論理的な地磁気の大きさを示すデータベースを用いればよい。例えば、位置検知装置100がGPS機能を有している場合には、地磁気ノイズ検出部106は、最後にGPS機能によって算出された座標(位置検知装置100の位置)に基づいて、位置検知装置100の現在の地球上の位置を予測し、その位置における論理的な地磁気の大きさをそのデータベースから選択する。このとき、地磁気ノイズ検出部106は、最後にGPS機能によって算出された座標を現在の地球上の位置として予測してもよい。また、地磁気ノイズ検出部106は、ユーザによる操作によって地球上の位置を受け付け、その位置における地磁気の大きさをデータベースから選択してもよい。
【0096】
ここで、地磁気ノイズ検出部106は、差があると判定した場合は(ステップS302のYes)、地磁気ノイズが発生したと判別する。その結果、地磁気ノイズ検出部106は、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のそれぞれの磁界強度を示す3軸磁界強度情報を地磁気ノイズパターン管理部108に出力する(ステップS305)。
【0097】
一方、地磁気ノイズ検出部106は、差がないと判定した場合は(ステップS202のNo)、角速度センサ102による検出結果に基づいて、予め定められた時間における移動端末1000の水平面上の向きの変化量を算出する(ステップS303)。
【0098】
次に、地磁気ノイズ検出部106は、上記予め定められた時間におけるX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のそれぞれの磁界強度の変化から導出される移動端末1000の向きの変化量と、ステップS303で算出された向きの変化量との間に、予め定められた量または比率以上の差があるか否かを判定する(ステップS304)。つまり、地磁気ノイズ検出部106は、角速度センサ102によって検出される位置検知装置100の向きの変化量と、地磁気センサ103によって検出される上記3軸方向の磁界強度の変化から導出される移動端末1000の向きの変化量とを比較することによって、地磁気の検出に異常が生じているか否かを検出する。
【0099】
ここで、地磁気ノイズ検出部106は、差があると判定した場合は(ステップS304のYes)、地磁気ノイズ(異常)が発生していることを検出する。その結果、地磁気ノイズ検出部106は、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のそれぞれの磁界強度を示す3軸磁界強度情報を地磁気ノイズパターン管理部108に出力する(ステップS305)。
【0100】
一方、地磁気ノイズ検出部106は、差がないと判定した場合は(ステップS304のNo)、地磁気ノイズ(異常)が発生していないことを検出する。
【0101】
地磁気ノイズ検出部106は、ステップS301〜S305までの処理を周期的(例えば10msごとに)に繰り返して行う。その結果、地磁気ノイズ検出部106は、例えば
図3に示すような時刻t2〜t3の期間では、ステップS305の処理を繰り返し実行する。つまり、地磁気ノイズ検出部106は、その期間において3軸磁界強度情報を順次出力することによって、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のそれぞれの磁界強度の時系列に沿った変化を示す発生地磁気ノイズパターンを、地磁気ノイズパターン管理部108に出力することになる。
【0102】
なお、地磁気ノイズ検出部106は、3軸磁界強度情報を地磁気ノイズパターン管理部108に出力する際には、端末姿勢検出部105によって算出された姿勢に基づいて、その3軸磁界強度情報によって示されるX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のそれぞれの磁界強度を、予め定められた基本姿勢における磁界強度に修正する。そして、地磁気ノイズ検出部106は、その修正された磁界強度を示す3軸磁界強度情報を地磁気ノイズパターン管理部108に出力する。
【0103】
このように本実施の形態では、ステップS304において、角速度センサ102によって検出される移動端末1000の向き(位置検知装置100の向き)の変化量と、地磁気センサ103によって検出される上記3軸方向の磁界強度の変化から導出される移動端末1000の向きの変化量との間に、予め定められた量または比率以上の差がある場合に、地磁気の検出に異常が生じていると検出される。
【0104】
地磁気ノイズ検出部106は、通常、特定の位置または場所の緯度および経度にしたがって論理的に導き出される磁界強度と異なる磁界強度が検出されるときには、その位置または場所において地磁気の検出に異常が発生していると検出する。換言すれば、地磁気ノイズ検出部106は、論理的に導き出される磁界強度と略同じ磁界強度が検出されるときには、その位置または場所において地磁気の検出に異常は発生していないと検出している。
【0105】
なお、地磁気と関係しない磁場が位置検知装置100の近くにあっても、位置検知装置100の向きが変わることによって、論理的に導き出される磁界強度と略同じ磁界強度が検出されるという特殊なケースが生じることがある。この特殊なケースにおいても、地磁気の検出に異常が発生していると検出されるべきである。そこで、角速度センサ102によって検出される位置検知装置100の向きの変化量と、地磁気センサ103によって検出される磁界強度の変化に基づいて導出される位置検知装置100の向きの変化量とを比較することによって、このような特殊なケースであっても、地磁気の検出に異常が発生していると適切に検出することができる。つまり、上記特殊なケースでは、角速度センサ102によって検出される位置検知装置100の向きの変化量と、地磁気センサ103によって検出される磁界強度の変化に基づいて導出される位置検知装置100の向きの変化量とは異なり、これらの変化量の差が予め定められた量または比率以上ある場合に、地磁気の検出に異常が発生していると検出することができる。
【0106】
なお、地磁気パターン取得部106Aは、地磁気センサ103によって検出された論理的な磁界強度の時系列上のパターンである地磁気パターンを取得しており、地磁気ノイズ検出部106を備えているとしてもよい。そして、地磁気ノイズ検出部106は、磁界強度に異常が発生していると検出した間の地磁気パターンを、地磁気ノイズパターンとして検出するとしてもよい。
【0107】
また、ステップS303およびステップS304の処理によって、地磁気ノイズが発生しているか否かの検出、つまり、地磁気の検出に異常が生じているか否かの検出において、誤検出を防ぐことができる。つまり、位置検知装置100の向きの変化に応じて、地磁気センサ103によって検出される磁界強度(X軸、Y軸およびZ軸のそれぞれの方向に沿った磁界強度)も変化する場合がある。このような場合に、その磁界強度の変化によって、地磁気の検出に異常が生じていると誤って判断してしまうことを防ぐことができる。
【0108】
図8は、地磁気ノイズパターン管理部108の処理の流れを示すフローチャートである。
【0109】
まず、地磁気ノイズパターン管理部108は、地磁気ノイズ検出部106から発生地磁気ノイズパターンを取得したときに、つまり、地磁気ノイズが発生しているときに座標推定部107によって算出された推定現在地座標(処理対象の推定現在地座標)および推定現在地確度を、その座標推定部107から取得する(ステップS401)。
【0110】
次に、地磁気ノイズパターン管理部108は、地磁気ノイズパターン格納部109のテーブル109aを参照し、その発生地磁気ノイズパターンと類似する基準ノイズパターンを類似基準ノイズパターンとしてテーブル109aから検索する(ステップS402)。
【0111】
次に、地磁気ノイズパターン管理部108は、ステップS402で少なくとも1つの類似基準ノイズパターンが見つけ出されると、さらに、その少なくとも1つの類似基準ノイズパターンの中から、テーブル109aにおいて推定現在地座標に近い基準座標に関連付けられ、且つ、発生地磁気ノイズパターンと間の類似度が高い類似基準ノイズパターンを、補正基準ノイズパターンとして検索する(ステップS403)。つまり、地磁気ノイズパターン管理部108は、処理対象の推定現在地座標の周辺にある基準座標に関連付けられた、発生地磁気ノイズパターンに類似するパターンである補正基準ノイズパターンを検索する。
【0112】
ここで、地磁気ノイズパターン管理部108は、ステップS402およびS403において検索を行うときには、発生地磁気ノイズパターンを各基準ノイズパターン(各比較対象の基準ノイズパターン)と比較する。つまり、地磁気ノイズパターン管理部108は、発生地磁気ノイズパターンと各基準ノイズパターンとのパターンマッチングを行う。
【0113】
このとき、地磁気ノイズパターン管理部108は、事前に、その発生地磁気ノイズパターンの時間軸上のスケーリングを行う。つまり、地磁気ノイズパターン管理部108は、発生地磁気ノイズパターンが生成されたとき、すなわち地磁気ノイズが発生したときの移動端末1000の移動速度を移動量検出部104から取得する。
【0114】
そして、地磁気ノイズパターン管理部108は、その移動速度と、予め定められた移動速度(比較基準速度)との比に応じて、その発生地磁気ノイズパターンを時間軸方向にスケーリングする。
【0115】
その結果、発生地磁気ノイズパターンの時間軸上のスケールが、比較対象の基準ノイズパターンの時間軸上のスケールに整合する。その後、地磁気ノイズパターン管理部108は、スケーリングされた発生地磁気ノイズパターンと基準ノイズパターンとの比較(パターンマッチング)を行う。
【0116】
例えば、地磁気ノイズパターン管理部108は、ステップS402およびS403では、処理対象の推定現在地座標と、比較対象の基準ノイズパターンに対応する基準座標との間の距離が短いほど大きな値を示す指標値と、発生地磁気ノイズパターンと比較対象の基準ノイズパターンとのパターンマッチングによって得られる類似度との和を、基準ノイズパターンごとに算出する。そして、地磁気ノイズパターン管理部108は、それらの算出された和のうち、最も大きい値であって、予め定められた閾値よりも大きい和に対応する基準ノイズパターンを、補正基準ノイズパターンとして選択する。
【0117】
次に、ステップS403での検索の結果、地磁気ノイズパターン管理部108は、補正基準ノイズパターンが存在するか否かを判別する(ステップS404)。
【0118】
ここで、地磁気ノイズパターン管理部108は、補正基準ノイズパターンが存在すると判別すると(ステップS404のYes)、さらに、テーブル109aにおいてその補正基準ノイズパターンに関連付けられている基準確度が、ステップS401で取得された推定現在地確度よりも高いか否かを判別する(ステップS405)。
【0119】
次に、地磁気ノイズパターン管理部108は、ステップS405で、基準確度が推定現在地確度よりも高いと判別すると(ステップS405のYes)、テーブル109aにおいてその補正基準ノイズパターンに関連付けられている基準座標に、推定現在地座標を置き換えるように、推定現在地座標の補正を座標補正部110に指示する(ステップS406)。
【0120】
これにより、座標補正部110は、地磁気ノイズパターン管理部108から基準座標を取得する。そして、座標補正部110は、座標推定部107から取得された推定現在地座標をその基準座標に置き換えることによって、その推定現在地座標を補正し、その補正後の推定現在地座標(=基準座標)を出力する。また、地磁気ノイズパターン管理部108は、テーブル109aにおいてその補正基準ノイズパターンに関連付けられている基準座標を前回認識基準点として座標推定部107に通知する。
【0121】
このように、補正基準ノイズパターンが存在する場合には、その補正基準ノイズパターンに関連付けられた基準確度が推定現在地確度よりも高い場合に、処理対象の推定現在地座標が補正される。そのため、補正基準ノイズパターンに関連付けて地磁気ノイズパターン格納部109に格納されている基準座標の確度が、推定現在地座標の確度以下の場合にまで、その推定現在地座標を補正してしまうことを防ぐことができる。このようにして、移動端末1000は、より正しい位置を検知することができる。
【0122】
一方、地磁気ノイズパターン管理部108は、ステップS405で、基準確度が推定現在地確度以下であると判別すると(ステップS405のNo)、地磁気ノイズパターン格納部109のテーブル109aにおいてその補正基準ノイズパターンに関連付けられている基準座標および基準確度を更新する。つまり、地磁気ノイズパターン管理部108は、補正基準ノイズパターンに関連付けられている基準座標および基準確度をそれぞれ、推定現在地座標および推定現在地確度に置き換える(ステップS407)。
【0123】
これにより、地磁気ノイズパターン格納部109に格納されている基準座標の確度を高めることができる。また、このとき、地磁気ノイズパターン管理部108は、その推定現在地座標を前回認識基準点として座標推定部107に通知する。
【0124】
なお、地磁気ノイズパターン管理部108は、ステップS408で、補正基準ノイズパターンが存在しないと判別すると(ステップS404のNo)、発生地磁気ノイズパターン、推定現在地座標、および推定現在地確度をそれぞれ、新たな基準ノイズパターン、基準座標、および基準確度として関連付けて、地磁気ノイズパターン格納部109のテーブル109aに登録する(ステップS408)。このとき、地磁気ノイズパターン管理部108は、その新たな基準ノイズパターンなどに、新たな基準点IDおよび更新時刻も関連付けてテーブル109aに登録する。ここで、更新時刻は、その登録が行われるときの時刻である。また、新たに登録される発生地磁気ノイズパターンは、上述のように時間軸上にスケーリングされたパターンである。また、ステップS408の後、地磁気ノイズパターン管理部108は、その新たな基準座標を前回認識基準点として座標推定部107に通知する。
【0125】
図9は、本実施の形態における位置検知方法を示すフローチャートである。
【0126】
本実施の形態における位置検知方法は、移動端末1000の移動された位置を示す座標を推定することによって、その位置を検知する位置検知方法である。この位置検知方法では、まず、座標推定部107が、自らの現在の位置を示す推定現在地座標を推定する(ステップS514)。
【0127】
次に、地磁気ノイズ検出部106が、地磁気センサ103による地磁気の検出に異常が発生しているか否かを検出し、異常が発生している間、地磁気センサによって検出された磁界強度の時系列上の変化を示すパターンである地磁気ノイズパターン(発生地磁気ノイズパターン)を生成する(ステップS516)。
【0128】
次に、地磁気ノイズパターン管理部108が、その異常が発生しているときに推定された処理対象の推定現在地座標の周辺にある座標に関連付けられた、地磁気ノイズパターンに類似するパターンである補正基準ノイズパターンを、記録媒体(地磁気ノイズパターン格納部109)に格納された少なくとも1つのパターン(基準ノイズパターン)の中から検索する(ステップS518)。
【0129】
ここで、検索によってその補正基準ノイズパターンが見つからなかった場合には(ステップS518のNo)、地磁気ノイズパターン管理部108は、処理対象の推定現在地座標および地磁気ノイズパターンを関連付けて記録媒体に格納する(ステップS520)。一方、検索によって補正基準ノイズパターンが見つかった場合には(ステップS518のYes)、地磁気ノイズパターン管理部108は、処理対象の推定現在地座標の補正を指示する(ステップS522)。そして、座標補正部110は、その補正の指示に応じて、補正基準ノイズパターンに関連付けて記録媒体に格納されている座標(基準座標)に、処理対象の推定現在地座標を補正する(ステップS524)。
【0130】
このように、本実施の形態では、地磁気センサ103による地磁気の検出に異常が発生している間、地磁気ノイズパターンが生成され、地磁気ノイズパターン格納部109の中から、その地磁気ノイズパターンに類似する補正基準ノイズパターンが検索される。そして、その補正基準ノイズパターンが見つかれば、異常が発生しているときに推定された処理対象の推定現在地座標が、その補正基準ノイズパターンに関連付けて地磁気ノイズパターン格納部109に格納されている基準座標に補正される。
【0131】
ここで、地磁気ノイズパターンには再現性があるため、その基準座標が正しい座標であれば、その発生地磁気ノイズパターンに基づいて、処理対象の推定現在地座標を正しい座標に補正することができる。また、補正基準ノイズパターンの検索では、処理対象の推定現在地座標の周辺にある基準座標に関連付けられた補正基準ノイズパターンが検索されるため、処理対象の推定現在地座標が、遠く離れた座標に誤って補正されてしまうことを防ぐことができる。
【0132】
なお、処理対象の推定現在地座標から予め定められた距離以内にある基準座標を、その処理対象の推定現在地座標の周辺にある基準座標として扱ってもよい。
【0133】
また、本実施の形態において、補正後の正しい座標を導出するために行われる処理は、単に、発生地磁気ノイズパターンに類似する補正基準ノイズパターンの検索である。つまり、発生地磁気ノイズパターンと、比較対象の基準ノイズパターンとの比較(パターンマッチング)が行われる。したがって、本実施の形態では、上記特許文献1で必要とされているカメラが不要となり、カメラによって得られた画像と通気口の形状とのパターンマッチングを行うような画像処理も不要である。その結果、簡単な構成および処理で正しい位置を検知することができ、コストを抑えることができる。
【0134】
また、本実施の形態では、補正基準ノイズパターンが見つからなければ、処理対象の推定現在地座標および発生地磁気ノイズパターンが関連付けられて地磁気ノイズパターン格納部109に格納される。その結果、ユーザがわざわざ、座標とパターンとの組み合わせを地磁気ノイズパターン格納部109に格納する手間を省くことができ、その組み合わせを示すデータベースを自動的に構築して発展させることができる。その結果、宅内のようなユーザ毎に多様な空間となる環境においても、その位置検知装置100の利便性を向上することができる。
【0135】
また、本実施の形態における位置検知装置100では、ステップS14で推定現在地座標を推定する前に、端末姿勢検出部105が、加速度センサ101および地磁気センサ103による検出結果に基づいて、移動端末1000の姿勢を検出する。次に、移動量検出部104が、端末姿勢検出部105によって検出された姿勢と、加速度センサ101による検出結果とに基づいて、移動端末1000の移動方向および移動距離を示す移動量を検出する。その結果、上述のステップS514において、座標推定部107は、移動量検出部104によって検出された移動量だけ、前回推定された座標から離れた座標を上述の推定現在地座標として推定する。
【0136】
このように本実施の形態では、加速度センサ101、地磁気センサ103、端末姿勢検出部105および移動量検出部104による検出結果に基づいて、推定現在地座標が移動端末1000および位置検知装置100の現在の位置として検知される。つまり、自律航法によって位置検知装置100の現在の位置が検知される。その結果、位置検知装置100の現在の位置を正確に検知することができ、その位置をより正しい位置に補正することができる。なお、本実施の形態では、自律航法によって位置検知装置100の現在の位置を検知しているが、例えばGPSなどを用いた他の方法によって位置検知装置100の現在の位置を検知または推定してもよい。
【0137】
また、本実施の形態では、予め定められたサンプリング周期で磁界強度を検出することによって地磁気ノイズパターンが生成される。この場合に、位置検知装置100が同じ位置を繰り返し通過する際、位置検知装置100の移動速度が異なれば、生成される地磁気ノイズパターンも異なってしまう。そこで、本実施の形態では、地磁気ノイズパターン格納部109に格納された比較対象の基準ノイズパターンと発生地磁気ノイズパターンのそれぞれの時間軸上のスケールが整合するように、発生地磁気ノイズパターンがスケーリングされる。これにより、適切な補正基準ノイズパターンを検索することができる。また、補正基準ノイズパターンが見つからなかった場合には、予め定められた移動速度(比較基準速度)でスケーリングされた地磁気ノイズパターンが記録媒体に格納されるため、異常が発生しているときに検出された移動速度を地磁気ノイズパターン格納部109に格納する必要がなく、地磁気ノイズパターン格納部109の容量を抑えることができる。
【0138】
(変形例1)
ここで、本実施の形態における第1の変形例について説明する。本変形例に係る地磁気ノイズパターン管理部108は、移動端末1000の移動速度も地磁気ノイズパターン格納部109のテーブルに格納する点に特徴がある。
【0139】
図10は、本変形例に係る地磁気ノイズパターン格納部109のテーブルを示す図である。
【0140】
図10に示すように、テーブル109bには、基準点ごとに、その基準点を識別するための基準点IDと、その基準点における基準ノイズパターンと、その基準点の基準座標と、その基準点の基準確度と、その基準点を通過するときの移動端末1000の移動速度と、その基準点の更新時刻とを関連付けて示されている。例えば、テーブル109bには、基準ノイズパターン「基準ノイズパターン1」、基準座標(X2,Y2,Z2)、基準確度「60パーセント」、移動速度「1.5m/秒」および更新時刻「20000202:22:10:05」がそれぞれ基準点ID「p1」に関連付けて示されている。
【0141】
地磁気ノイズパターン管理部108は、発生地磁気ノイズパターンを比較対象の基準ノイズパターンと比較する際には、比較対象の基準ノイズパターンを時間軸方向にスケーリングする。つまり、地磁気ノイズパターン管理部108は、処理対象の推定現在地座標を移動端末1000が通過したときの移動速度を移動量検出部104から取得する。なお、この移動速度は、地磁気ノイズが発生したときの移動端末1000の移動速度である。そして、地磁気ノイズパターン管理部108は、処理対象の推定現在地座標を移動端末1000が通過したときの移動端末1000の移動速度と、テーブル109bにおいて比較対象の基準ノイズパターンに関連付けられている移動速度との比に応じて、比較対象の基準ノイズパターンを時間軸方向にスケーリングする。これにより、発生地磁気ノイズパターンと比較対象の基準ノイズパターンは同一のスケールで比較(パターンマッチング)される。
【0142】
地磁気ノイズパターン管理部108は、発生地磁気ノイズパターンを新たな基準ノイズパターンとしてテーブル109bに登録する際には、地磁気ノイズ検出部106から出力されたスケーリングされていない発生地磁気ノイズパターンを登録する。さらに、地磁気ノイズパターン管理部108は、処理対象の推定現在地座標を移動端末1000が通過したときの移動速度を新たな基準ノイズパターンに関連付けてテーブル109bに登録する。
【0143】
このように本変形例では、地磁気ノイズパターン格納部109に格納された比較対象の基準ノイズパターンと発生地磁気ノイズパターンのそれぞれの時間軸上のスケールが整合するように、比較対象の基準ノイズパターンがスケーリングされる。これにより、適切な補正基準ノイズパターンを検索することができる。また、補正基準ノイズパターンが見つからなかった場合には、移動速度も、処理対象の推定現在地座標などと関連付けて地磁気ノイズパターン格納部109に格納されるため、スケーリングに必要とされるその移動速度を容易に取得して利用することができる。
【0144】
(変形例2)
次に、本実施の形態における第2の変形例について説明する。本変形例に係る地磁気ノイズパターン管理部108は、1つの基準点に対して複数の基準ノイズパターンを地磁気ノイズパターン格納部109のテーブルに登録する点に特徴がある。
【0145】
図11は、本変形例に係る地磁気ノイズパターン格納部109のテーブルを示す図である。
【0146】
図11に示すように、テーブル109cには、基準点ごとに、その基準点を識別するための基準点IDと、その基準点における1つまたは複数の基準ノイズパターンと、その基準点の基準座標と、その基準点の基準確度と、その基準点の更新時刻とを関連付けて示されている。例えば、テーブル109cには、基準ノイズパターン「基準ノイズパターン1a,1b」、基準座標(X2,Y2,Z2)、基準確度「60パーセント」、移動速度「1.5m/秒」および更新時刻「20000202:22:10:05,20000205:10:10:03」がそれぞれ基準点ID「p1」に関連付けて示されている。
【0147】
本変形例に係る地磁気ノイズパターン管理部108は、上記実施の形態と同様、
図8に示すステップS404で、補正基準ノイズパターンが存在すると判別すると(ステップS404のYes)、ステップS406およびS407の処理を実行する。このとき、本変形例に係る地磁気ノイズパターン管理部108は、さらに、その補正基準ノイズパターンと同じ基準点IDに関連付けられるように、発生地磁気ノイズパターンを新たな基準ノイズパターンとしてテーブル109cに登録する。
【0148】
なお、地磁気ノイズパターン管理部108は、既存の基準点IDに関連付けて新たな基準ノイズパターンをテーブル109cに登録する際には、既存の更新時刻に加えて、その登録時の時刻も新たな更新時刻としてテーブル109cに登録する。
【0149】
また、本変形例に係る地磁気ノイズパターン管理部108は、
図8に示すステップS402およびS403で検索を行うときには、同一の基準座標(例えば(X2,Y2,Z3))に関連付けられた2つの基準ノイズパターン1aおよび1bを含むテーブル109cの中から、発生地磁気ノイズパターンに対する補正基準ノイズパターンを検索する。
【0150】
このように本変形例では、同一の基準座標に関連付けて複数の基準ノイズパターンが地磁気ノイズパターン格納部109に格納されるため、処理対象の推定現在地座標をその同一の基準座標に補正する確率を高めることができる。つまり、多くの互いに異なる基準ノイズパターンが同一の基準座標に関連付けられて登録されるほど、処理対象の推定現在地座標をその同一の基準座標に補正する確率を高めることができる。その結果、より正しい位置を検知することができる。
【0151】
なお、地磁気ノイズパターン管理部108が、同一の基準座標に関連付けられた複数の基準ノイズパターンのそれぞれと、発生地磁気ノイズパターンとのパターンマッチングを行うときには、最近の更新時刻に関連付けられた基準ノイズパターンから優先的にパターンマッチングを行ってもよい。これにより、最近の基準ノイズパターンほどその信頼性が高いため、処理対象の推定現在地座標の適切な補正を行うことができる。つまり、時刻の経過に応じて変動する地磁気ノイズパターンに対しても対応することができる。
【0152】
(変形例3)
次に、本実施の形態における第3の変形例について説明する。本変形例に係る地磁気ノイズパターン管理部108は、基準ノイズパターンの種別も地磁気ノイズパターン格納部109のテーブルに登録する点に特徴がある。
【0153】
図12は、発生地磁気ノイズパターンの一例を示す図である。
【0154】
例えば、地磁気ノイズ発生エリアの中でも、モータやコイルが多く含まれた機器などが存在するエリアでは、
図12に示すように、磁界強度が激しく変化する。
【0155】
本変形例に係る地磁気ノイズパターン管理部108は、
図8のステップS402およびS403において、発生地磁気ノイズパターンを基準ノイズパターンと比較する際には、まず、発生地磁気ノイズパターンの種別を特定する。つまり、地磁気ノイズパターン管理部108は、その発生地磁気ノイズパターンによって示される時系列上の磁界強度の単位時間あたりの変化量と閾値とを比較する。その結果、地磁気ノイズパターン管理部108は、その変化量が閾値よりも大きいと判別すると、その発生地磁気ノイズパターンの種別「乱れ」を特定する。一方、地磁気ノイズパターン管理部108は、その変化量が閾値以下であると判別すると、その発生地磁気ノイズパターンの種別「定常」を特定する。
【0156】
図13は、本変形例に係る地磁気ノイズパターン格納部109のテーブルを示す図である。
【0157】
図13に示すように、テーブル109dには、基準点ごとに、その基準点を識別するための基準点IDと、その基準点における基準ノイズパターンと、その基準ノイズパターンの種別と、その基準点の基準座標と、その基準点の基準確度と、その基準点の更新時刻とを関連付けて示されている。例えば、テーブル109dには、基準ノイズパターン「基準ノイズパターン1」、種別「乱れ」、基準座標(X2,Y2,Z2)、基準確度「60パーセント」、および更新時刻「20000202:22:10:05」がそれぞれ基準点ID「p1」に関連付けて示されている。さらに、テーブル109dには、基準ノイズパターン「基準ノイズパターン2」、種別「定常」、基準座標(X3,Y3,Z3)、基準確度「80パーセント」、および更新時刻「20030303:23:13:03」がそれぞれ基準点ID「p2」に関連付けて示されている。
【0158】
そこで、地磁気ノイズパターン管理部108は、発生地磁気ノイズパターンの種別が「乱れ」であれば、パターンマッチングを行うことなく、種別「乱れ」に関連付けられた基準ノイズパターンを類似基準ノイズパターンまたは補正基準ノイズパターンとしてテーブル109dから検索する。例えば、地磁気ノイズパターン管理部108は、種別「乱れ」に関連付けられた基準ノイズパターンが複数ある場合には、その複数の基準ノイズパターンの中から、処理対象の推定現在地座標に最も近い基準座標に関連付けられた基準ノイズパターンを補正基準ノイズパターンとして検索する。
【0159】
一方、発生地磁気ノイズパターンの種別が「定常」であれば、地磁気ノイズパターン管理部108は、種別「定常」に関連付けられた基準ノイズパターンをテーブル109dから抽出する。そして、地磁気ノイズパターン管理部108は、種別「定常」に関連付けられた少なくとも1つの基準ノイズパターンの中から、パターンマッチングによって、類似基準ノイズパターンまたは補正基準ノイズパターンを検索する。
【0160】
また、本変形例に係る地磁気ノイズパターン管理部108は、
図8のステップS408において発生地磁気ノイズパターンを新たな基準ノイズパターンとして地磁気ノイズパターン格納部109のテーブル109dに登録する際には、その発生地磁気ノイズパターンに対して特定された種別もそのテーブル109dに登録する。
【0161】
このように本変形例では、地磁気ノイズパターンの種別が乱れを示す場合には、乱れを示す種別に関連付けて地磁気ノイズパターン格納部109に格納された基準ノイズパターンが補正基準ノイズパターンとして検索されるため、パターンマッチングを行うことなく、補正基準ノイズパターンを簡単に検索することができる。つまり、補正基準ノイズパターンの検索に要する演算量を削減することができるとともに、位置検知の精度向上の両立を図ることができる。また、発生地磁気ノイズパターンおよび比較対象の基準ノイズパターンのそれぞれによって示される磁界強度の時系列上の変化が激しい場合には、パターンマッチングが難しいが、このような種別を用いた検索を行うことによって、適切な補正基準ノイズパターンを見つけることができる。
【0162】
(変形例4)
次に、本実施の形態における最小構成を第4の変形例として説明する。
【0163】
図14は、本発明の実施の形態の変形例4に係るノイズパターン取得装置100Aの機能ブロック図である。
図15は、本発明の実施の形態の変形例4に係るノイズパターン取得装置100Aの処理の流れを示すフローチャートである。
【0164】
上記では、位置検知装置100は、加速度センサ101と、角速度センサ102と、地磁気センサ103と、移動量検出部104と、端末姿勢検出部105と、地磁気パターン取得部106Aと、座標推定部107と、地磁気ノイズパターン管理部108と、地磁気ノイズパターン格納部109と、座標補正部110とを備える場合について説明したが、この構成に限られない。例えば、
図14に示すように、位置検知装置100の最小構成として、ノイズパターン取得装置100Aを備えていればよい。すなわち、ノイズパターン取得装置100Aは、地磁気センサ103と、地磁気パターン取得部106Aと、座標推定部107と、地磁気ノイズパターン管理部108と、地磁気ノイズパターン格納部109とを備えていればよい。位置検知装置100は、このノイズパターン取得装置100Aを少なくとも備えることにより、簡単な構成および処理で正しい位置を検知するのに用いられる地磁気ノイズパターンを取得することができる。位置検知装置100は、取得した地磁気ノイズパターンを用いることで、上述してきたように正しい位置を検知することができ得るからである
より具体的には、ノイズパターン取得装置100Aでは、座標推定部107は、ノイズパターン取得装置の現在の位置を示す推定現在地座標を推定する。また、地磁気ノイズパターン管理部108は、例えば、ノイズパターン取得装置100Aの移動中に地磁気センサ103によって検出された磁界強度に異常が発生しているとき、地磁気センサ103によって検出された磁界強度の時系列上の変化を示すパターンである地磁気ノイズパターンを、異常が発生しているときに座標推定部107によって推定された推定現在地座標と関連付けて地磁気ノイズパターン格納部109に格納する。その他の動作は、上述したとおりであるので、説明を省略する。
【0165】
地磁気パターン取得部106Aは、ノイズパターン取得装置100Aの移動中に地磁気センサ103によって検出された磁界強度の時系列上のパターンである地磁気パターンを取得する。ここで、例えば、地磁気パターン取得部106Aは、さらに、地磁気ノイズ検出部106を備えるとしてもよい。その場合、地磁気ノイズ検出部106は、例えばノイズパターン取得装置100Aの移動中に地磁気センサ103によって検出された磁界強度の時系列上のパターンが標準的なパターンと異なるときを、その磁界強度に異常が発生しているときとして、検出してもよい。また、地磁気ノイズ検出部106は、例えば、地磁気センサ103によって検出された地磁気の磁界強度の変化量が所定量以上のときを、その磁界強度に異常が発生しているときとして、検出してもよい。
【0166】
なお、本変形例において、ノイズパターン取得装置100Aの各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるだけでなく、各構成要素を構成する処理手段をステップとする方法として実現してもよい。具体的には、
図15に示すように、ノイズパターン取得装置100Aのノイズパターン取得方法であって、ノイズパターン取得装置100Aの現在の位置を示す推定現在地座標を推定する座標推定ステップ(ステップS601)と、ノイズパターン取得装置100Aの移動中に地磁気センサ103によって検出された磁界強度に異常が発生しているとき(ステップS602でYes)、地磁気センサによって検出された磁界強度の時系列上の変化を示すパターンである地磁気ノイズパターンを、推定現在地座標と関連付けて記録媒体(地磁気ノイズパターン格納部109)に格納する地磁気ノイズパターン管理ステップ(ステップS603)とを含む。
【0167】
また、本変形例において、ノイズパターン取得装置100Aの各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0168】
以上、本発明のノイズパターン取得装置100Aおよびそれを備える位置検知装置100について、上記実施の形態およびその変形例を用いて説明したが、本発明はこれら実施の形態およびその変形例に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0169】
例えば、上記実施の形態およびその変形例では、位置検知装置100は角速度センサ102および地磁気ノイズパターン格納部109を備えているが、これらを備えていなくてもよい。例えば、位置検知装置100が地磁気ノイズパターン格納部109を備えていない場合には、位置検知装置100は、その外部に接続された記録媒体に格納されているテーブル109a〜109dを用いてもよい。また、位置検知装置100が角速度センサ102を備えていない場合には、端末姿勢検出部105は、
図6に示すステップS204で、地磁気ノイズが発生していると判別すると、ステップS206において、その地磁気ノイズの発生前の最後に算出された向きから、移動端末1000の現在の向きを推定する。さらに、この場合には、地磁気ノイズ検出部106は、
図7に示すステップS303およびS304の処理を省略する。
【0170】
また、上記実施の形態およびその変形例では、位置検知装置100は加速度センサ101、移動量検出部104および端末姿勢検出部105を備えているが、これらを備えていなくてもよい。この場合には、位置検知装置100は例えばGPSセンサを備え、座標推定部107はそのGPSセンサから位置情報を取得し、その位置情報に基づいて推定現在地座標を推定する。または、位置検知装置100は例えば無線LAN通信部を備え、座標推定部107は、その無線LAN通信部が受信する電波の電界強度を取得し、その電界強度に基づいて推定現在地座標を推定する。
【0171】
また、上記実施の形態およびその変形例では、地磁気ノイズパターン管理部108は、
図8に示すステップS405で、基準確度が推定現在地確度以下であると判別したときに、地磁気ノイズパターン格納部109のテーブルの基準確度を更新したが、その他のタイミングでも基準確度を更新してもよい。例えば、地磁気ノイズパターン管理部108は、基準点を通過するごとに、その基準点に対応する基準確度を増加させてもよい。具体的には、地磁気ノイズパターン管理部108は、同一の基準座標に対してステップS406の処理を繰り返すごとに、その同一の基準座標に関連付けてテーブルに登録されている基準確度を、予め定められた値だけ増加する。
【0172】
また、上記実施の形態およびその変形例では、発生地磁気ノイズパターンおよび基準ノイズパターンをそれぞれ、3軸(X軸、Y軸およびZ軸)のパターンとして扱ったが、1つの合成されたパターンとして扱ってもよい。
【0173】
また、上記実施の形態およびその変形例では、地磁気ノイズ検出部106は、
図7に示すフローチャートの順序にしたがって各ステップを実行するが、ステップS302の処理の前に、ステップS303およびステップS304の処理を行ってもよい。
【0174】
また、上記実施の形態では、発生地磁気ノイズパターンをスケーリングし、変形例1では、基準ノイズパターンをスケーリングしたが、発生地磁気ノイズパターンと比較対象の基準ノイズパターンとのスケールが一致すれば、何れをスケーリングしてもよく、両パターンをスケーリングしてもよい。
【0175】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0176】
例えば、以下のような場合も本発明に含まれる。
【0177】
(1)上記の装置および端末は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムである。前記RAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0178】
(2)上記の装置または端末を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。例えば、集積回路は、移動量検出部104と、端末姿勢検出部105と、地磁気ノイズ検出部106と、座標推定部107と、地磁気ノイズパターン管理部108と、地磁気ノイズパターン格納部109と、座標補正部110とを備える。
【0179】
(3)上記の装置または端末を構成する構成要素の一部または全部は、装置または端末に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしてもよい。前記ICカードまたは前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。前記ICカードまたは前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、前記ICカードまたは前記モジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
【0180】
(4)本発明は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
【0181】
また、本発明は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記デジタル信号であるとしてもよい。
【0182】
また、本発明は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
【0183】
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしてもよい。
【0184】
また、前記プログラムまたは前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、または前記プログラムまたは前記デジタル信号を、前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
【0185】
(5)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。