(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基材の少なくとも第一の表面に前記分散体を塗布する段階が、前記基材上への噴霧、前記基材上への押し出し、前記基材上での発泡、又は前記基材上への印刷によって行われる、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義
「クレーピング」は、本明細書では、添加剤組成物をヤンキードライヤの加熱された表面に塗布する方法と定義する。この加熱されたドライヤは、ポリマーを残して添加剤組成物から水を蒸発させる。その後、圧縮によりウェブがそのドライヤ表面に接触して、そのポリマーに接着する。そのポリマー及びウェブは、クレーピングブレードによってドライヤ表面からこすり落とされる。
「ポリオレフィン分散体(POD)」は、本明細書では水性分散体と定義する。PODは、エチレン/1−オクテンコポリマー(例えば、The Dow Chemical Companyから市販されているAFFINITY(商標)EG8200)をベースポリマーとして含むことがあり、該ベースポリマーは、ASTM D1238に従っておよそ5g/10分のメルトインデックス及びASTM 792に従って0.870g/ccの範囲の密度を有し;並びにエチレンアクリル酸コポリマー(例えば、The Dow Chemical Companyから市販されているPRIMACOR(商標)5980i)を安定剤として含むことがあり、該薬剤は、およそ13.8g/10分のメルト・フロー・レート(生産時に測定)及びおよそ0.958g/ccの密度を有し;並びに水を流動媒体として含むことがある。
【0014】
本開示において用いられるとき、用語「含む」、「含むこと」、及びこの基礎用語「含む」からの他の派生語は、任意の述べられている特徴、要素、整数、段階又は成分の存在を指定する非限定的用語であることが意図され、1つ又はそれ以上の他の特徴、要素、整数、段階、成分又それらの群の存在又は追加を除外することが意図されないことに留意しなければならない。
【0015】
用語「安定剤」及び「分散剤」は、互いに交換可能である。
【0016】
本論述が、単に例示的実施形態の説明であること、及び本開示のより広い態様を限定することが意図されないことは、当業者には理解されるはずである。
【0017】
一般に、本開示は、ウェブに関し、並びに低密度ウェブなどのウェブの表面に、該ウェブから作られる平面状物品の柔軟性を改善するために及び可能であればそれらの強度を改善するために、添加剤組成物を組み込む方法に関する。前記添加剤組成物としては、比較的高粘度を有するポリオレフィン分散体(POD)を挙げることができる。前記ウェブを50%未満のセルロース系パルプで及び3cc/g未満の嵩で作ることができる。
【0018】
クレーピングのない工程を用いる、本発明の1つの実施形態において、水分散体の形態の前記添加剤組成物は、比較的高い固形分レベル(先行技術のクレーピングされる応用例での1%未満に対しておよそ40%から50%)を含有することができ、湿潤又は乾燥薄葉紙又は他のベースシートに直接塗布され、その後直ちに、周囲温度又は高温のいずれかで空気乾燥される。この乾燥時間を用いて分散体から水を蒸発させるが、乾燥したPOD層は、依然として、液相中で有したその形態構造を維持する。ポリマー微粒子100が未溶解のままであることを示す
図2A〜2Dを参照のこと。
【0019】
基材上に添加剤組成物を印刷することができること、及び(シリコーン、ローション、ラテックスなどの上に印刷する以前の方法とは対照的に)より強い、より柔らかい薄葉紙を生じさせる成果を有することができることは、驚くべき結果である。
【0020】
添加剤組成物
ウェブに塗布する前の添加剤組成物は、分散体の形態である。この分散体は、少なくとも1つ又はそれ以上のベースポリマー、例えばエチレン系熱可塑性ポリマー、プロピレン系熱可塑性ポリマー及びこれらの混合物と;少なくとも1つ又はそれ以上の安定剤と;流動媒体とを含む。前記分散体は、1つ若しくはそれ以上の充填剤及び/又は1つ若しくはそれ以上の添加剤をさらに含むことがある。望ましくは、前記分散体は、水性分散体である。最も望ましくは、前記添加剤組成物は、ポリオレフィン分散体(POD)である。
【0021】
ベースポリマー
前記水性分散体は、該水性分散体の固体含有量の総重量に基づき、5から85重量パーセントの1つ又はそれ以上のベースポリマーを含む。5から85重量パーセントまでの個々の値及び部分範囲がここに含まれ、本明細書において開示される;前記重量パーセントは、5、8、10、15、20、25重量パーセントの下限から、40、50、60、70、80又は85重量パーセントの上限までであり得る。例えば、前記水性分散体は、該水性分散体の固体含有量の全重量に基づき、15から85、又は15から85、又は15から80、又は15から75、又は30から70、又は35から65重量パーセントの1つ又はそれ以上のベースポリマーを含み得る。前記水性分散体は、少なくとも1つ又はそれ以上のベースポリマーを含む。前記ベースポリマーは、熱可塑性材料である。前記1つ又はそれ以上のポリマーは、1つ若しくはそれ以上のオレフィン系ポリマー、1つ若しくはそれ以上のアクリル系ポリマー、1つ若しくはそれ以上のポリエステル系ポリマー、1つ若しくはそれ以上の固体エポキシポリマー、1つ若しくはそれ以上の熱可塑性ポリウレタンポリマー、1つ若しくはそれ以上のスチレン系ポリマー、又はそれらの組み合わせを含むことがある。
【0022】
熱可塑性材料の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−1−ブテンコポリマー、及びプロピレン−1−ブテンコポリマーによって典型的に代表されるような、1つ又はそれ以上のアルファ−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン及び1−ドデセンのホモポリマー及びコポリマー(エラストマーを含む);エチレン−ブタジエンコポリマー及びエチレン−エチリデンノルボルネンコポリマーによって典型的に代表されるような、アルファオレフィンと共役又は非共役ジエンのコポリマー(エラストマーを含む);並びにエチレン−プロピレン−ブタジエンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエンコポリマー、エチレン−プロピレン−1,5−ヘキサジエンコポリマー及びエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネンコポリマーによって典型的に代表されるような、2つ又はそれ以上のアルファ−オレフィンと共役又は非共役ジエンとのコポリマーなどのポリオレフィン(エラストマーを含む);エチレン−ビニル化合物コポリマー、例えば、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、エチレン−ビニルクロライドコポリマー、エチレンアクリル酸又はエチレン−(メタ)アクリル酸コポリマー、及びエチレン−(メタ)アクリレートコポリマー;スチレン系コポリマー(エラストマーを含む)、例えば、ポリスチレン、ABS、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、α−メチルスチレン−スチレンコポリマー、スチレンビニルアルコール、スチレンアクリレート、例えばスチレンメチルアクリレート、スチレンブチルアクリレート、スチレンブチルメタクリレート、並びにスチレンブタジエン及び架橋スチレンポリマー;並びにスチレンブロックコポリマー(エラストマーを含む)、例えば、スチレン−ブタジエンコポリマー及びその水和物、並びにスチレン−イソプレン−スチレントリブロックコポリマー;ポリビニル化合物、例えば、ポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、ビニルクロライド−ビニリデンクロライドコポリマー、ポリメチルアクリレート、及びポリメチルメタクリレート;ポリアミド、例えば、ナイロン6、ナイロン6,6及びナイロン12;熱可塑性ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート;ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、及びこれらに類するもの;並びにポリ−ジシクロペンタジエンポリマー及び関連ポリマー(コポリマー、ターポリマー)を含む、ガラス質炭化水素系樹脂;飽和モノ−オレフィン、例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルバーサテート及びビニルブチレート並びにこれらに類するもの;ビニルエステル、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、フェニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート及びブチルメタクリレート並びにこれらに類するものをはじめとする、モノカルボン酸のエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、それらの混合物;開環メタセシス及び交差メタセシス重合によって生成される樹脂、並びにそれらに類するものが挙げられるが、それらに限定されない。これらの樹脂を単独で使用してもよいし、又は2つ若しくはそれ以上の組み合わせで使用してもよい。
【0023】
ベースポリマーとしての例示的(メタ)アクリレートとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート及びイソオクチルアクリレート、n−デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、イロプロピルメタクリレート並びに2−ヒドロキシエチルアクリレート及びアクリルアミドが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい(メタ)アクリレートは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、メチルメタクリレート及びブチルメタクリレートである。モノマーから重合できる他の適する(メタ)アクリレートとしては、アクリル酸及びメタクリル酸エステルモノマーを含む低級アルキルアクリレート及びメタクリレート:メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、フェニルメタクリレートが挙げられる。
【0024】
選択実施形態において、ベースポリマーは、例えば、エチレン−アルファオレフィンコポリマー、プロピレン−アルファオレフィンコポリマー及びオレフィンブロックコポリマーから成る群より選択される1つ又はそれ以上のポリオレフィンを含むことがある。詳細には、選ばれた実施形態において、前記ベースポリマーは、1つ又はそれ以上の非極性ポリオレフィンを含むことがある。
【0025】
特定の実施形態では、ポリオレフィン、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、それらのコポリマー、及びそれらのブレンド、並びにエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーを使用することができる。一部の実施形態において、例示的オレフィン系ポリマーとしては、米国特許第3,645,992号に記載されているようなホモポリマー;米国特許第4,076,698号に記載されているような高密度ポリエチレン(HDPE);不均一に分岐した直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE);不均一に分岐した超低線密度ポリエチレン(ULDPE);均一に分岐した、直鎖状エチレン/アルファ−オレフィンコポリマー;例えば米国特許第5,272,236号及び同第5,278,272号に開示されている製法(これらの開示は、参照により本明細書に援用されている)によって調製することができる、均一に分岐した、実質的に直鎖状のエチレン/アルファ−オレフィンポリマー;並びに高圧フリーラジカル重合エチレンポリマー及びコポリマー、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)又はエチレンビニルアセテートポリマー(EVA)が挙げられる。
【0026】
他の特別な実施形態において、前記ベースポリマーは、例えば、エチレンビニルアセテート(EVA)系ポリマーであり得る。他の実施形態において、前記ベースポリマーは、例えば、エチレン−メチルアクリレート(EMA)系ポリマーであり得る。他の特別な実施形態において、前記エチレン−アルファオレフィンコポリマーは、例えば、エチレン−ブテン、エチレン−ヘキセン、又はエチレン−オクテンコポリマー又は共重合体であり得る。他の特別な実施形態において、前記プロピレン−アルファオレフィンコポリマーは、例えば、プロピレン−エチレン又はプロピレン−エチレン−ブテンコポリマー又は共重合体であり得る。
【0027】
一定の他の実施形態において、前記ベースポリマーは、例えば、半結晶性ポリマーであり得、110℃未満の融点を有し得る。もう1つの実施形態において、前記融点は、25から100℃であり得る。もう1つの実施形態において、前記融点は、40℃と85℃の間であり得る。
【0028】
1つの特別な実施形態において、前記ベースポリマーは、実質的にアイソタクチックなプロピレン配列を有することを特徴とする、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーである。「実質的にアイソタクチックなプロピレン配列」は、配列が、
13C NMRによって測定して、約0.85より大きい、代替実施形態では約0.90より大きい、もう1つの代替実施形態では0.92より大きい、及びもう1つの代替実施形態では0.93より大きいアイソタクチックトライアド(mm)を有することを意味する。アイソタクチックトライアドは、当分野において周知であり、例えば米国特許第5,504,172号及び国際公開第00/01745号に記載されており、
13C NMRスペクトルによって判定されるコポリマー分子鎖内のトライアド単位の点から見たアイソタクチック配列を指す。
【0029】
前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、ASTM D−1238に従って(230℃/2.16kgで)測定して、0.1gから25g/10分の範囲のメルト・フロー・レートを有し得る。0.1から25g/10分までのすべての個々の値及び部分範囲がここに含まれ、本明細書において開示される;例えば、前記メルト・フロー・レートは、0.1g/10分、0.2g/10分、0.5g/10分、2g/10分、4g/10分、5g/10分、10g/10分又は15g/10分の下限から、25g/10分、20g/10分、18g/10分、15g/10分、10g/10分、8g/10分又は5g/10分の上限までであり得る。例えば、前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、0.1から20g/10分、又は0.1から18g/10分、又は0.1から15g/10分、又は0.1から12g/10分、又は0.1から10g/10分、又は0.1から5g/10分の範囲のメルト・フロー・レートを有し得る。
【0030】
前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶化度を有する。1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)までのすべての個々の値及び部分範囲がここに含まれ、本明細書において開示される;例えば、前記結晶化度は、1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)、2.5パーセント(少なくとも4ジュール/グラムの融解熱)又は3パーセント(少なくとも5ジュール/グラムの融解熱)の下限から30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)、24重量パーセント(40ジュール/グラム未満の融解熱)、15重量パーセント(24.8ジュール/グラム未満の融解熱)又は7重量パーセント(11ジュール/グラム未満の融解熱)の上限までであり得る。例えば、前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から24重量パーセント(40ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶化度を有し得る;又は代替実施形態では、前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から15重量パーセント(24.8ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶化度を有し得る;又は代替実施形態では、前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から7重量パーセント(11ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶化度を有し得る;又は代替実施形態では、前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から5重量パーセント(8.3ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶化度を有し得る。前記結晶化度は、示差走査熱分析(DSC)法によって測定される。前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、プロピレンから誘導された単位と、1つ又はそれ以上のアルファ−オレフィンコモノマーから誘導された重合単位とを含む。前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーを製造するために用いられる例示的コモノマーは、C
2、及びC
4からC
10アルファ−オレフィン;例えば、C
2、C
4、C
6及びC
8アルファ−オレフィンである。
【0031】
前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、1つ又はそれ以上のアルファ−オレフィンコモノマーから誘導された1から40重量パーセントの単位を含む。1から40重量パーセントまでのすべての個々の値及び部分範囲がここに含まれ、本明細書において開示される;例えば、前記1つ又はそれ以上のアルファ−オレフィンコモノマーから誘導された単位の重量パーセントは、1、3、4、5、7又は9重量パーセントの下限から、40、35、30、27、20、15、12又は9重量パーセントの上限までであり得る。例えば、前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、1つ又はそれ以上のアルファ−オレフィンコモノマーから誘導された1から35重量パーセントの単位を含む;又は代替実施形態において、前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、1つ又はそれ以上のアルファ−オレフィンコモノマーから誘導された1から30重量パーセントの単位を含む;又は代替実施形態において、前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、1つ又はそれ以上のアルファ−オレフィンコモノマーから誘導された3から27重量パーセントの単位を含む;又は代替実施形態において、前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、1つ又はそれ以上のアルファ−オレフィンコモノマーから誘導された3から20重量パーセントの単位を含む;又は代替実施形態において、前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、1つ又はそれ以上のアルファ−オレフィンコモノマーから誘導された3から15重量パーセントの単位を含む。
【0032】
前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、3.5若しくはそれ以下、代替実施形態では3.0若しくはそれ以下、又はもう1つの代替実施形態では1.8から3.0の分子量分布(MWD)を有し、該分子量分布は、数平均分子量で割った重量平均分子量(M
w/M
n)と定義される。
【0033】
そのようなプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、さらに、米国特許第6,960,635号及び同第6,525,157号に詳細に記載されており、前記参考文献は、参照により本明細書に援用されている。そのようなプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、The Dow Chemical Companyから商品名VERSIFY(商標)で、又はExxonMobil Chemical Companyから商品名VISTAMAXX(商標)で市販されている。
【0034】
1つの実施形態において、前記プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、(A)プロピレンから誘導された60重量パーセントと100重量パーセント未満の間、好ましくは80重量パーセントと99重量パーセントの間及びさらに好ましくは85重量パーセントと99重量パーセントの間の単位と、(B)エチレン及び/又はC
4〜
10アルファ−オレフィンのうちの少なくとも1つから誘導されたゼロより大きい重量パーセントと40重量パーセントの間、好ましくは1重量パーセントと20重量パーセントの間、さらに好ましくは4重量パーセントと16重量パーセントの間及びさらにいっそう好ましくは4重量パーセントと15重量パーセントの間の単位とを含むこと;並びに平均で少なくとも0.001、好ましくは平均で少なくとも0.005及びさらに好ましくは平均で少なくとも0.01の長鎖分岐/(1000 全炭素数)を含有することをさらに特徴とし;ここでの用語長鎖分岐は、本明細書において用いられる場合、短鎖分岐より少なくとも一(1)炭素多い鎖長を指し、及びこの短鎖分岐は、本明細書において用いられる場合、コモノマー中の炭素数より二(2)炭素少ない鎖長を指す。例えば、プロピレン/1−オクテン共重合体は、長さが少なくとも七(7)炭素の長鎖分岐を有する主鎖を有するが、これらの主鎖は、長さが六(6)炭素しかない短鎖分岐も有する。長鎖分岐の最大数は、典型的には、3長鎖分岐/(1000 全炭素数)を超えない。そのようなプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、さらに、米国特許仮出願第60/988,999号及び国際特許出願番号PCT/US08/082599に詳細に記載されており、前記参考文献のそれぞれが参照により本明細書に援用されている。
【0035】
一定の他の実施形態において、前記ベースポリマー、例えばプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、例えば、半結晶性ポリマーであり得、110℃未満の融点を有し得る。好ましい実施形態において、前記融点は、25から100℃であり得る。さらに好ましい実施形態において、前記融点は、40℃と85℃の間であり得る。
【0036】
他の選択実施形態において、オレフィンブロックコポリマー、例えば、エチレンマルチブロックコポリマー、例えば国際公開第2005/090427号及び米国特許出願公開第2006/0199930号に記載されているものをベースポリマーとして使用することができ、前記参考文献は、そのようなオレフィンブロックコポリマーを説明する程度に参照により本明細書に援用されている。そのようなオレフィンブロックコポリマーは、エチレン/アルファオレフィン共重合体であって、
(a)約1.7から約3.5のM
w/M
n、少なくとも1つの融点、T
m(摂氏度)を有し、及び密度、d(グラム/立方センチメートル)であって、T
m及びdの数値が、次の関係:
T
m>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)
2
に対応するものである密度を有する;又は
(b)約1.7から約3.5のM
w/M
nを有し、並びに融解熱、ΔH(J/g)、及び最高DSCピークと最高CRYSTAFピークの間の温度差として定義されるデルタ量、ΔT(摂氏度)であって、ΔT及びΔHの数値が、次の関係
ゼロより大きく130J/g以下のΔHについては、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81
130J/gより大きいΔHについてはΔT≧48℃
を有するものである融解熱及びデルタ量によって特徴づけられ、前記CRYSTAFピークが、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して決定され、該ポリマーの5パーセント未満しか同定可能なCRYSTAFピークを有さない場合には、CRYSTAF温度が30℃である;又は
(c)エチレン/アルファ−オレフィン共重合体の圧縮成形フィルムを用いて測定される300パーセント歪及び1サイクルでの弾性回復率、Re(パーセント)によって特徴づけられ、並びに密度、d(グラム/立方センチメートル)であって、エチレン/アルファ−オレフィン共重合体に架橋相が実質的にないときには、Re及びdの数値が次の関係
Re>1481−1629(d)
を満たすものである密度を有する;又は
(d)TREFを用いて分画したとき、40℃と130℃の間で溶出する分子画分であって、同じ温度間で溶出する比較対象となるランダムエチレン共重合体画分のものより少なくとも5パーセント高いモルコモノマー含有量を有することを特徴とする画分を有し、前記比較対象となるランダムエチレン共重合体が、該エチレン/アルファ−オレフィン共重合体のものと同じコモノマー(単数若しくは複数)を有し、並びに該エチレン/アルファ−オレフィン共重合体のものの10パーセント以内のメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(全ポリマーに基づく)を有する;又は
(e)25℃での貯蔵弾性率、G’(25℃)、及び100℃での貯蔵弾性率、G’(100℃)であって、G’(25℃)のG’(100℃)に対する比が約1:1から約9:1の範囲である貯蔵弾性率を有する
エチレン/アルファオレフィン共重合体であり得る。
【0037】
そのようなオレフィンブロックコポリマー、例えばエチレン/アルファ−オレフィン共重合体は、
(a)TREFを使用した分画したとき40℃と130℃の間で溶出する分子画分であって、少なくとも0.5で約1以下のブロック指数及び約1.3より大きい分子量分布、M
w/M
nを有することを特徴とする画分を有することもあり;又は
(b)ゼロより大きく約1.0以下の平均ブロック指数及び約1.3より大きい分子量分布、M
w/M
nを有することもある。
【0038】
一定の実施形態において、前記ベースポリマーは、例えば、コモノマー又はグラフトモノマーのいずれかとして極性基を有する、極性ポリマーを含むことがある。例示的実施形態において、前記ベースポリマーは、例えば、コモノマー又はグラフトモノマーのいずれかとして極性基を有する、1つ又はそれ以上の極性ポリオレフィンを含むことがある。例示的極性ポリオレフィンとしては、エチレン−アクリル酸(EAA)及びエチレン−メタクリル酸コポリマー、例えば、商標PRIMACOR(商標)でThe Dow Chemical Companyから市販されているもの、NUCREL(商標)でE.I.DuPont de Nemoursから市販されているもの及びESCOR(商標)でExxonMobil Chemical Companyから市販されているもの、並びに米国特許第4,599,392号、同第4,988,781号及び同第5,938,437号に記載されているものが挙げられるがこれらに限定されず、前記参考文献のそれぞれは、その全体が参照により本明細書に援用されている。他の例示的ベースポリマーとしては、エチレンエチルアクリレート(EEA)コポリマー、エチレンメチルメタクリレート(EMMA)及びエチレンブチルアクリレート(EBA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
1つの実施形態において、前記ベースポリマーは、例えば、エチレン−アクリル酸(EAA)コポリマー、エチレン−メタクリル酸コポリマー及びこれらの組み合わせから成る群より選択される極性ポリオレフィンを含むことがあり、並びに前記安定剤は、例えば、エチレン−アクリル酸(EAA)コポリマー、エチレン−メタクリル酸コポリマー及びこれらの組み合わせから成る群より選択される極性ポリオレフィンを含むことがあるが、但し、前記ベースポリマーが、例えば、ASTM D−974に従って測定して前記安定剤より低い酸価を有することができることを条件とする。
【0040】
ベースポリマーとしてのアルファ−オレフィンコポリマーの使用に加えて、ベースポリマーとしての使用に適するポリマーの大群がある。前記群は、ビニルアセテートホモポリマー、ビニルアセテートマレイン酸エステルコポリマー、ビニルアセテートエチレンコポリマー、アクリル酸エステル、スチレンブタジエンコポリマー、カルボキシル化ブタジエンコポリマー、スチレンアクリル系コポリマー、アクリレート、メタクリレートエステル、スチレン、マレイン酸ジ−n−ブチルエステルのホモポリマー及びコポリマー、ビニルアセテート−エチレン−アクリレートターポリマー、ポリクロロプレンゴム、ポリウレタン、並びに各ポリマーの混合物又は組み合わせを含むが、これらに限定されない。1つの例示的ベースポリマーは、Dow Chemical Companyから入手できるAFFINITY EG 8200である。
【0041】
安定剤
前記分散体は、安定した分散体の形成を促進するために少なくとも1つ又はそれ以上の安定剤をさらに含むことがあり、この安定剤を本明細書では分散剤とも呼ぶ。選択実施形態において、前記安定剤は、界面活性剤、ポリマー(上で詳述したベースポリマーとは異なる)、又はそれらの組み合わせであり得る。一定の実施形態において、前記安定剤は、コモノマー又はグラフトモノマーのいずれかとして極性基を有する、極性ポリマーであり得る。
【0042】
例示的実施形態において、前記安定剤は、コモノマー又はグラフトモノマーのいずれかとして極性基を有する、1つ又はそれ以上の極性ポリオレフィンを含む。例示的高分子安定剤としては、エチレン−アクリル酸(EAA)及びエチレン−メタクリル酸コポリマー、例えば商標PRIMACORでThe Dow Chemical Companyから入手できるものが挙げられるが、これらに限定されない。他の例示的高分子安定剤としては、エチレンエチルアクリレート(EEA)コポリマー、エチレンメチルメタクリレート(EMMA)及びエチレンブチルアクリレート(EBA)が挙げられるが、これらに限定されない。他のエチレン−カルボン酸コポリマーを使用することもできる。多数の他の有用なポリマーも使用できることは、当業者には分かるであろう。
【0043】
使用することができる他の安定剤としては、12から60個の炭素原子を有する長鎖脂肪酸又は脂肪酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、前記長鎖脂肪酸又は脂肪酸塩は、12から40個の炭素原子を有することがある。一部の実施形態において、前記安定剤は、少なくとも1つのカルボン酸、少なくとも1つのカルボン酸の塩、又はカルボン酸エステル若しくはカルボン酸エステルの塩を含む。分散剤として有用なカルボン酸の一例は、モンタン酸などの脂肪酸である。一部の望ましい実施形態において、カルボン酸、カルボン酸の塩、又はカルボン酸エステルの少なくとも1つのカルボン酸フラグメント、又はカルボン酸エステルの塩の少なくとも1つのカルボン酸フラグメントは、25個より少ない炭素原子を有する。他の実施形態において、カルボン酸、カルボン酸の塩、又はカルボン酸エステルの少なくとも1つのカルボン酸フラグメント、又はカルボン酸エステルの塩の少なくとも1つのカルボン酸フラグメントは、12から25個の炭素原子を有する。一部の実施形態において、15から25個の炭素原子を有するカルボン酸、カルボン酸の塩、カルボン酸エステル又はその塩の少なくとも1つのカルボン酸フラグメントが好ましい。他の実施形態において、前記炭素原子数は、25から60である。一部の好ましい塩は、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、又はアンモニウム若しくはアルカリアンモニウムカチオから成る群より選択されるカチオンを含む。
【0044】
他の実施形態において、前記分散剤は、アルキルエーテルカルボキシレート石油スルホネート、スルホン化ポリオキシエチレン化アルコール、スルホン化又はリン酸化ポリオキシエチレン化アルコール、高分子エチレンオキシド/プロピレンオキシド/エチレンオキシド分散剤、第一級及び第二級アルコールエトキシレート、アルキルグリコシド及びアルキルグリセリドから選択される。上に列挙した分散剤のいずれかの組み合わせを用いて、幾つかの水性分散体を調製することもできる。
前記ポリマーの極性基が、もともと酸性又は塩基性である場合、その高分子安定剤を中和剤で部分的に又は完全に中和して対応する塩を生成することができる。一部の実施形態において、前記安定剤、例えば長鎖脂肪酸又はEAAの中和は、モルベースで25から200パーセントであり得、又は代替実施形態では、モルベースで50から110パーセントであり得る。例えば、EAAのための中和剤は、例えば、水酸化アンモニウム又は水酸化カリウムなどの塩基であり得る。他の中和剤としては、例えば、水酸化リチウム又は水酸化ナトリウムを挙げることができる。もう1つの代替実施形態において、前記中和剤は、例えば、任意のアミン、例えばモノエタノールアミン、又は2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)であり得る。中和度は、モルベースで50から100パーセントまで様々である。望ましくは、中和度は、60から90パーセントの範囲であるべきである。適切な中和剤及び中和度の選択が、調合される具体的な組成物に依存すること、並びにそのような選択が、当業者の知識の範囲内であることは、当業者には理解されるであろう。
【0045】
本発明の実施に有用であり得る追加の安定剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、又は非イオン性界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。アニオン性界面活性剤の例としては、スルホネート、カルボキシレート、及びホスフェートが挙げられるが、これらに限定されない。カチオン性界面活性剤の例としては、第四級アミンが挙げられるが、これに限定されない。非イオン性界面活性剤の例としては、エチレンオキシドを含有するブロックコポリマー、及びシリコーン界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
本発明の実施に有用な安定剤は、外部界面活性剤である場合もあり、又は内部界面活性剤である場合もある。外部界面活性剤は、分散体調製中に化学反応してベースポリマーに組み込まれることにならない界面活性剤である。ここで有用な外部界面活性剤の例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸の塩、及びラウリル硫酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。内部界面活性剤は、分散体調製中に化学反応してベースポリマーに組み込まれることになる界面活性剤である。ここで有用な内部界面活性剤の例は、2,2−ジメチロールプロピオン酸及びその塩が挙げられる。
【0047】
一部の実施形態では、前記分散剤又は安定剤を、使用されるベースポリマー(又はベースポリマー混合物)の量に基づき、ゼロを超えて60重量パーセントまでの範囲の量で使用することができる。例えば、長鎖脂肪酸又はその塩を、ベースポリマーの量に基づき、0.5から10重量パーセント使用することができる。他の実施形態では、エチレン−アクリル酸若しくはエチレンメタクリル酸コポリマーを、ベースポリマーの重量に基づき、0.01から80重量パーセントの量で使用することができる;又は代替実施形態では、エチレン−アクリル酸若しくはエチレンメタクリル酸コポリマーを、ベースポリマーの重量に基づき、0.5から60重量パーセントの量で使用することができる。さらに他の実施形態では、スルホン酸塩を、ベースポリマーの重量に基づき、0.01から60重量パーセントの量で使用することができる;又は代替実施形態では、スルホン酸塩を、ベースポリマーの重量に基づき、0.5から10重量パーセントの量で使用することができる。
【0048】
使用される安定剤のタイプ及び量も、その分散体を組み込んで形成されるセルロース系物品の最終特性に影響を及ぼし得る。例えば、改善された耐油脂性を有する物品は、ベースポリマーの総量に基づき10から50重量パーセントの量のエチレン−アクリル酸コポリマー又はエチレン−メタクリル酸コポリマーを有する界面活性剤パッケージを含むだろう。改善された強度又は柔軟性が所望される最終特性であるとき、同様の界面活性剤パッケージを使用することができる。もう1つの例として、改善された耐水又は耐湿性を有する物品は、0.5から5パーセントの量の長鎖脂肪酸又は10から50パーセントの量のエチレン−アクリル酸コポリマーを用いる界面活性剤パッケージを含むだろう(これらのパーセントは両方とも、ベースポリマーの総量に基づく重量パーセントである)。他の実施形態において、界面活性剤又は安定剤の最少量は、ベースポリマーの総量に基づき、少なくとも1重量パーセントである。
【0049】
流動媒体
前記水性分散体は、流動媒体をさらに含む。前記流動媒体は、任意の媒体であってよく、例えば、前記流動媒体は、水であってもよい。本発明の分散体は、該分散体の総重量に基づき、35から85重量パーセントの流動媒体を含む。特別な実施形態において、前記含水量は、その分散体の総重量に基づき、流動媒体の35から80、又は代替実施形態では35から75、又は代替実施形態では45から65重量パーセントの範囲であり得る。好ましくは、固形分含有量(ベースポリマー+安定剤)が約5重量パーセントから約85重量パーセントの間になるように前記分散体の含水量を制御することができる。特別な実施形態において、前記固形分範囲は、約10重量パーセントから約75重量パーセントの間であり得る。他の特別な実施形態において、前記固形分範囲は、約20重量パーセントから約70重量パーセントの間である。一定の他の実施形態において、前記固形分範囲は、約25重量パーセントから約60重量パーセントの間である。
【0050】
一部の分散体は、7より大きいpHから約11.5のpH、望ましくは約8から約11、さらに望ましくは約9から約11のpHを有する。前記pHを、安定剤のタイプ又は強度、中和度、中和剤のタイプ、分散されるベースポリマーのタイプ、及び溶融混練(例えば、押出機)加工条件をはじめとする多数の要因によって制御することができる。前記pHをインサイチュで調整することができ、又はカルボン酸安定剤をベースポリマーへの添加前に塩形態に転化させ、分散体を形成することによって調整することができる。これらのうち、インサイチュでの塩形成が好ましい。
【0051】
充填剤
前記分散体は、1つ又はそれ以上の充填剤をさらに含むことがある。前記分散体は、ベースポリマー、例えばポリオレフィンと安定剤の100合計重量部あたり、0.01から600重量部の1つ又はそれ以上の充填剤を含む。前の定義によると、ベースポリマーは、1つ又は1つより多くのポリオレフィンコポリマーを含むが、安定剤を含まない。一定の実施形態において、前記分散体中の充填剤負荷量は、ベースポリマー、例えばポリオレフィンと安定剤の100合計重量部あたり、0.01から200重量部の1つ又はそれ以上の充填剤であり得る。前記充填剤材料としては、従来の充填剤、例えばミルドガラス、炭酸カルシウム、アルミニウム三水和物、タルク、三酸化アンチモン、フライアッシュ、クレー(例えば、ベントナイト若しくはカオリンクレーなど)、又は他の公知充填剤を挙げることができる。
【0052】
分散体用の添加剤
前記分散体は、添加剤をさらに含むことがある。そのような添加剤を、本発明の範囲から逸脱することなく、分散体に使用されるベースポリマー、安定剤又は充填剤と共に使用することができる。例えば、添加剤としては、湿潤剤、界面活性剤、静電防止剤、消泡剤、粘着防止剤、ワックス分散体、顔料、中和剤、増粘剤、相溶化剤、光沢剤、レオロジー調整剤(低及び/又は高剪断粘度両方を調整できる)、殺生剤、殺真菌剤、及び当業者に公知の他の添加剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
さらに、前記水性分散体は、場合により増粘剤をさらに含むことがある。増粘剤は、低粘度分散体の粘度を上昇させるために本発明において有用であり得る。本発明の実施の際に使用に適する増粘剤は、当分野において公知の任意のもの、例えば、ポリアクリレートタイプ又は付随する非イオン性増粘剤、例えば変性セルロースエーテル、などであり得る。
【0054】
分散製剤
PODなどの例示的分散製剤は、少なくとも1つの非極性ポリオレフィンを含み得るベースポリマーと、少なくとも1つの極性官能基又は極性コモノマーを含み得る安定剤と、水と、場合により1つ又はそれ以上の充填剤及び又は添加剤とを含み得る。前記ベースポリマー及び前記安定剤に関して、一定の実施形態では、前記非極性ポリオレフィンは、分散体中のベースポリマーと安定剤の総量に基づき30重量パーセントから99重量パーセントの間を構成する;又は代替実施形態では、前記少なくとも1つの非極性ポリオレフィンは、分散体中のベースポリマーと安定剤の総量に基づき50重量パーセントと80重量パーセントの間を構成する;又はもう1つの代替実施形態では、前記1つ若しくはそれ以上の非極性ポリオレフィンは、分散体中のベースポリマーと安定剤の総量に基づき約70重量パーセントを構成する。
【0055】
分散体の形成
当業者に認知されている任意の数の方法によって水性分散体を形成することができる。水性分散体の生成方法の1つは、(1)ベースポリマー及び少なくとも1つの安定剤を溶融混練して、溶融混練生成物を形成する段階と、(2)前記溶融混練生成物を一定の温度で及び十分な機械力のもとで、水で希釈する段階と、(3)得られた混合物を溶融混練して水性分散体を形成する段階とを含む。特別な実施形態において、前記方法は、前記溶融混練生成物を希釈して、12未満のpHを有する分散体を形成する段階を含む。一部の方法は、約10マイクロメートル未満の平均粒径を有する分散体を生じさせる。
添加剤組成物が実質的にウェブ表面に留まることが重要である。ウェブ表面への浸透が可能であると、水素結合が形成することとなり、乾燥後、ウェブは相当ごわごわしたものになる。そのため、添加剤組成物を薄葉紙形成前のウェットエンドでヘッドボックス又はパルプスラリーに添加することはできず、そうせずに、ウェブが形成された後、及び可能であればウェブを乾燥させた後、局所的に塗布する。
【0056】
本発明の幾つかの態様は、ウェブへの添加剤組成物の浸透を防止するために用いられる。ウェブの表面に添加剤組成物を保持するための1つの方法は、発泡添加剤組成物の使用である。しかし、粘度が重量であり得るので、分散体が十分な粘度を有するときには発泡は必須段階ではない。発泡は、比較的高粘度を達成するための1つの手段に過ぎない。粘稠分散体の調合の助けになる他の要因としては、分散体中のより高い固体レベルの使用及び/又は大きい微粒子の使用が挙げられる。
【0057】
コーティング組成物を既存の薄葉紙ウェブに塗布する前、該コーティング組成物の固形分レベルは、約30パーセント又はそれ以上であり得る(すなわち、該コーティング組成物は、約30グラムの乾燥固形分及び約70グラムの水、例えば、次のおおよそでの固形分レベル:40パーセント、50パーセント、60パーセント、70パーセントのいずれか又はそれ以上を含み、例示的範囲は、40パーセントから70パーセント、及びさらに特に40パーセントから60パーセントである)。
【0058】
基材
基材、例えば、本開示に従って処理されるベースシートは、セルロース系繊維、例えばパルプ繊維ではないものを含み、合成繊維の併用物で構成される。
【0059】
一般に、ベースシートを形成できる任意の工程を本開示にも用いることができる。例えば、本開示の製紙工程は、エンボス加工、ウェットプレス、エアプレス、通気乾燥、クレーピングしない通気乾燥、水流交絡、エアレイ、コフォーム法、並びに当分野において公知の他の段階を用いることができる。
【0060】
基材、例えばベースシートは、例えば、該ベースシートの重量に基づき50重量パーセント未満のセルロース系繊維を含むことがある;例えば、前記ベースシートは、該シートの重量に基づき0から49重量パーセントのセルロース系繊維を含むことがある。代替実施形態において、繊維の一部分、例えば、乾燥重量で50パーセントより多い又は乾燥重量で55から99パーセントは、合成繊維、例えばレーヨン、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維、二成分シース−コア繊維、多成分バインダー繊維及びこれらに類するものであり得る。代替実施形態において、前記基材、例えばベースシートは、非セルロース系繊維、例えば金属系材料又はポリマー系材料から成り得る。例えば、前記ベースシートは、完全に合成繊維、例えばレーヨン、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維、二成分シース−コア繊維、多成分バインダー繊維及びこれらに類するもので作られている場合がある。
【0061】
天然繊維、例えばウール、綿、亜麻、麻及び木材パルプが合成繊維と併用されることもある。パルプを改質して、繊維の固有特性及びそれらの加工性を向上させることができる。
【0062】
自由選択の化学添加剤を水性製紙用完全紙料に又は形成された初期ウェブに添加して、製品又は工程に追加の利点を付与することもでき、該添加剤は、本発明の所期の利点に相反しない。本発明の添加剤組成物と共にウェブに塗布することができるさらなる化学薬品の例としては、次の材料を含めることができる。これらの化学薬品は、例として挙げるものであり、本発明の範囲を限定するためのものではない。そのような化学薬品は、該添加剤(単数又は複数)を本添加剤組成物と直接ブレンドする本添加剤組成物との同時添加を含めて、製紙工程の任意のポイントで添加することができる。
【0063】
紙ウェブに添加することができる化学薬品のさらなるタイプとしては、通常はカチオン性、アニオン性又は非イオン性界面活性剤の形態の吸収助剤、保湿剤及び可塑剤、例えば、低分子量ポリエチレングリコール、及びポリヒドロキシ化合物、例えばグリセリン、及びプロピレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。皮膚健康に利益をもたらす材料、例えば、一般に鉱物油、アロエエキス、ビタミンE、シリコーン、ローション、及びこれらに類するものも前記紙ウェブに組み込むことができる。
【0064】
一般に、本発明の製品を、該製品の所期の用途に相反しない任意の公知材料及び化学薬品と併用することができる。そのような材料の例としては、臭気抑制剤、例えば臭気吸収剤、活性炭繊維及び粒子、ベビーパウダー、重曹、キレート剤、ゼオライト、香水又は他の臭気マスキング剤、シクロデキストリン化合物、酸化剤、並びにこれらに類するものが挙げられるが、それらに限定されない。高吸収性粒子、合成繊維、又はフィルムを用いてもよい。さらなる選択肢としては、カチオン染料、蛍光増白剤、保湿剤、皮膚軟化薬、及びこれらに類するものが挙げられる。
ベースシートに組み込むことができる種々の化学薬品及び配合成分は、その製品の最終用途に依存するだろう。例えば、様々な湿潤紙力増強剤を製品に組み込むことができる。例えば、トイレットペーパー製品については、一時的湿潤紙力増強剤を使用することができる。本明細書において用いられる場合、湿潤紙力増強剤は、湿潤状態の繊維間の結合を固定するために使用される材料である。典型的に、紙及び薄葉紙製品中に繊維を一緒に保持する手段は、水素結合を含み、時には水素結合と共有及び/又はイオン結合の組み合わせを含む。一部の用途では、繊維と繊維の結合点を固定し、それらを湿潤状態での崩壊に対して耐性にするような方法で繊維への結合を可能にする材料を供給することが有用であり得る。湿潤状態は、典型的に、製品が水又は他の水溶液で十分に飽和されているときを意味する。
本発明の1つの態様において、前記基材は、クレーピングせずに通気乾燥されたトイレットペーパーすなわち「UCTAD」トイレットペーパーである。本発明のもう1つの態様において、前記基材は、フェーシャルティッシュである。
【0065】
セルロース系繊維を含有する他の基材材料としては、コフォームウェブ及び水流交絡ウェブが挙げられる。コフォーム法では、少なくとも1つのメルトブロー用ダイヘッドがシュート付近に配置され、メルトブローウェブの形成中に他の材料がこのシュートを通して該メルトブローウェブに添加される。そのような他の材料は、ステープル長のものであり得る繊維であって、例えば、天然繊維、高吸収性粒子、天然ポリマー繊維(例えば、レーヨン)及び/又は合成ポリマー繊維(例えば、ポリプロピレン若しくはポリエステル)であり得る。
【0066】
コフォーム法は、Lauに譲渡された米国特許第4,818,464号及びAndersonらに譲渡された同第4,100,324号に示されており、前記参考文献は、参照により本明細書に援用されている。コフォーム法によって生産されたウェブは、一般に、コフォーム材料と呼ばれる。より詳細には、コフォーム不織ウェブの1つの生産法は、溶融ポリマー材料をダイヘッドに通して押し出して細流にする段階、前記細流を高速の収束流によって細くする段階、加熱されたガス(通常は空気)をノズルから供給して、前記ポリマー流を分解して小径の不連続極細繊維にする段階を含む。前記ダイヘッドは、例えば、少なくとも1列の直線状に配置されている押出口を含み得る。前記コフォーム材料は、50重量%未満から約80重量%の量のセルロース系材料を含有し得る。
【0067】
コフォームウェブに加えて、水流交絡ウェブも合成及びパルプ繊維を含有し得る。水流交絡ウェブは、ウェブ内の繊維を交絡させる流体の柱状噴射に付されたウェブを指す。ウェブの水流交絡は、典型的に、ウェブの強度を増加させる。1つの実施形態では、パルプ繊維を水流交絡して不連続フィラメント材料、例えばスパンボンドウェブにすることができる。水流交絡によって得られる不織複合材は、50重量%未満からの量、例えば約40重量%の量のパルプ繊維を含有し得る。水圧交絡は、例えば、Everhartの米国特許第5,389,202号に記載されており、前記参考文献は参照により本明細書に援用されている。
【0068】
形成したら、本発明のウェブを種々の方法で包装することができる。例えば、1つの実施形態では、ウェブを個々のシートに切断し、積み重ね、その後、包装材の中に入れることができる。或いは、ウェブをスパイラル巻きしてもよい。一緒にスパイラル巻きするときには、個々のシートをミシン目線などの弱線によって隣接シートから離すことができる。例えば、トイレットペーパー及びペーパータオルは、典型的に、スパイラル巻き形状で消費者に供給される。
【0069】
本開示に従って処理することができる薄葉紙ウェブは、単一の均一な繊維層を含むこともあり、又は成層若しくは層状構造を含むこともある。例えば、薄葉紙ウェブ層は、2又は3層の繊維層を含むことがある。各層が異なる繊維組成を有することがある。例えば、
図3を参照して、多層成層パルプ完成紙料を形成するための装置の1つの実施形態を図解する。示されているように、三層ヘッドボックス10は、一般に、上方ヘッドボックス壁12及び下方ヘッドボックス壁14を含む。ヘッドボックス10は、第一のデバイダ16及び第二のデバイダ18をさらに含み、これらが3層の繊維原料層を分けている。
【0070】
繊維層のそれぞれが、製紙用繊維の希薄水性懸濁液を含む。各層に含有される個々の繊維は、一般に、形成される製品及び所望の結果に依存する。例えば、各層の繊維組成は、トイレットペーパー製品を生産するのか、フェーシャルティッシュ製品を生産するのか、ペーパータオル製品を生産するのかによって変わり得る。
【0071】
図3を参照して、ロール28及び30によって適切に支持され、駆動される無限走行形成布26は、ヘッドボックス10から出てくる層状製紙原料を受け取る。布26上に維持されると、層状繊維懸濁液は、矢印32によって示すように、水をその布に通す。形成する形状に依存して重力と遠心力と真空吸引の併用により、水除去が果たされる。
【0072】
マルチ層製品を形成するとき、結果として生ずる紙製品は、2層、3層又はそれ以上を含むことがある。それぞれの隣接層がコーティング組成物を含有することもあり、又は互いに隣接する層の少なくとも一方がコーティング材料を含有することもある。個々の層を、一般に、同じ又は異なる繊維完成紙料から作ることができ、及び同じ又は異なる工程から作ることができる。
【0073】
薄葉紙ウェブ嵩は、3cc/g未満である。シート「嵩」は、グラム毎平方メートルで表される乾燥坪量で割った、マイクロメートルで表される乾燥薄葉紙シートの厚さの商として算出される。結果として得られるシート嵩は、立方センチメートル毎グラムで表される。より具体的には、厚さを10枚の代表シートの積層体の全厚として測定し(この場合、該積層体内の各シートを同じ面を上にして置く)、その積層体の全厚を10で割る。厚みは、TAPPI試験法T411 om−89「紙、板紙、及び併せ板の厚(厚み)(Thickness (caliper) of Paper, Paperboard, and Combined Board」と積層シートについてのNote 3に従って測定する。T411 om−89を実施するために用いるマイクロメータは、オレゴン州ニューバーグのEmveco,Inc.から入手できるEmveco 200−A Tissue Caliper Testerである。このマイクロメータは、2.00キロパスカル(132グラム毎平方インチ)の荷重、2500平方ミリメートルの押さえ面積、56.42ミリメートルの押さえ径、3秒の保圧時間及び0.8ミリメートル毎秒の下降速度を有する。
【0074】
工程
本開示に従ってウェブを処理するとき、本発明のコーティング組成物は、ウェブに局所的に塗布され、該ウェブ表面に残る。本発明の1つの実施形態に従って処理したウェブを
図2A〜2Cに示す。
図2A〜2Cは、異なる倍率レベルで示した同じウェブである。
図2A〜2Cを対応する
図1A〜1Cと並置すると、本発明のコーティングが、ウェブ表面を、
図1A〜1Cに示すクレーピングされたウェブより完全にカバーすることを観察することができる。
図2Cでは、AFFINITY 100がその微粒子形態で残存することを観察することもできる。対応する
図1Cでは、AFFINITYは溶融してその微粒子形態を維持しない。PODのポリマー成分が分散体形態であるとき、ベースポリマーAFFINITYは、安定剤PRIMACORによって包囲された分散体中の粒子として分散されるので、微粒子形態を維持することは有利である。この形態構造では、疎水性AFFINITYは、疎水性PRIMACORに包埋されている。PRIMACORの親水性カルボン酸官能基は、それらの粒子の表面に向かって完全に露出されている。この構造配座様式でのAFFINITY及びPRIMACORのドメインは、親水性又は水湿潤性であるように見える。
図2A〜2Dにより、本発明によるウェブのコーティングされた表面が親水性又は可湿性となることが証明される。これは、薄葉紙製品にとって重要な製品特質であろう。一方、当初PRIMACORに包埋されているAFFINITY粒子が、ヤンキードライヤ表面での溶融プロセスを経ると、AFFINITYは連続相になる一方PRIMACORは分散相になる。この相転移プロセスは、相反転とも呼ばれる。相反転後、疎水性AFFINITYは「海」になり、そしてPRIMACORは「島」になる。この構造配座様式でのAFFINITY及びPRIMACORフィルムは、疎水性又は非湿潤性であるように見える。この相反転プロセスは、幾つかの要因:AFFINITY対PRIMACOR比、POD分散体の固形分レベル及び粘度、温度、加熱時間、機械的剪断、並びに上記すべての組み合わせによって駆動される。
【0075】
次の3つの目標が相互に関係づけられることについても発見される:(1)ウェブの表面にPODを保持すること、(2)相反転プロセスなしに分散粒子を維持すること、及び(3)PODから得られるコーティングの手触り感を向上させ、さらにウェブの柔軟性を改善すること。コーティング用化学薬品がウェブ表面の上に実質的に留まるように、比較的高粘度のPODを使用する。この高粘度は、相反転の発生も防ぐ。最後に、POD形態構造から得られるコーティング、及び表面濃度は、手触り感及び柔軟性の改善を促進する。
【0076】
各ウェブを樹脂102で覆うことによって、
図1D及び2Dのウェブを形成した。樹脂102は、前記ウェブの局所表面からの繊維を包囲する。分かるように、AFFINITY粒子100は、繊維104の表面に残存する。
図1Dに示すPOD106のポリマー成分は溶融したが、
図2Dに示すPOD106のポリマー成分は溶融せず、乾燥後、液体分散体中でのものに類似したそのベースポリマー形態構造を維持している。
【0077】
紙ウェブに添加剤組成物を局所的に塗布するために、コーティング組成物をウェブ上に噴霧してもよいし、ウェブ上に押し出してもよいし、又はウェブ上に印刷してもよい。ウェブ上に押し出すとき、任意の適する押出装置、例えばスロット−コート押出機又はメルトブローダイ押出機を使用することができる。ウェブ上に印刷するとき、任意の適する印刷装置を使用することができる。
【0078】
ウェブを形成した後、製紙工程の任意のポイントでコーティング組成物を塗布する又は組み込むことができる。局所的に塗布する場合、コーティング組成物を、ウェブが湿潤しているときに塗布することもでき、又はウェブが乾燥しているときに塗布することもできる。コーティング組成物を基材に組み込む工程中のポイントは、最終製品についての所望の最終特性に依存するだろう。組み込みポイントとしては、工程のウェットエンドでの同時塗布、乾燥後だが抄紙機上での後処理、及び局所的後処理を挙げることができる。基材上又は中への本発明のコーティング組成物の組み込みは、以下の非限定的説明によって例示されるような幾つかの方法のうちのいずれかによって果たすことができる。
【0079】
1つの実施形態では、コーティング組成物スプレーを紙ウェブに塗布することができる。例えば、スプレーノズルを移動するウェブの上に取り付けて、湿潤していることもあり又は実質的に乾燥していることもあるウェブに所望の供与量の溶液を塗布することができる。ネブライザを使用して、ウェブの表面にライトミストを塗布することもできる。
もう1つの実施形態では、コーティング組成物を紙ウェブに、例えばオフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、任意の種類のデジタル印刷、及びこれらに類するものによって、印刷することができる。
【0080】
さらにもう1つの実施形態では、コーティング組成物を紙ウェブの片面又は両面にコーティングすること、例えば予備計量(pre-metered)サイズコーティング、ブレードコーティング、エアナイフコーティング、ショートデュエルコーティング、キャストコーティング及びこれらに類するコーティングをすることができる。
【0081】
さらなる実施形態では、コーティング組成物を紙ウェブの表面に押し出すことができる。例えば、押出法は、2001年2月22日に公開されたPCT公開番号WO2001/12414に開示されており、前記参考文献は、それが本願と矛盾しない程度に参照により本明細書に援用されている。
【0082】
紙ウェブへのコーティング組成物の局所塗布は、上で説明した工程におけるドラム乾燥前に行うことができる。紙ウェブ形成中のコーティング組成物の塗布に加えて、コーティング組成物を形成工程後に使用することもできる。
【0083】
1つの実施形態では、紙ウェブが形成され次第、コーティング組成物を該ウェブに塗布することができる。一般に、コーティング組成物をウェブの片面だけに塗布することができ、又はウェブの両面に塗布することもできる。
【0084】
1つの実施形態において、プレメータサイズプレスは、流体化学品がトランスファ/アプリケータロール202によってウェブに塗布される間接的塗布工程を用いる。この工程は、処理すべきウェブ材料のロールで開始する。このロールを、先ず、
図5に示すようなプレメータサイズプレスに掛ける。処理すべきロールを巻出ロールステーション200に装填する。ウェブをその巻出ロール200から、トランスファ/アプリケータロール#202及びバッキングロール203の間のニップに通す。そこから、ウェブをこの機械の乾燥部に通す。示されている機械には、使用できる3つの異なる乾燥機がある。殆どの場合、エアドライヤ1 207及びエアドライヤ2 208を使用するが、赤外線ドライヤ206を使用する選択肢もある。ドライヤ部の後、そのシートを巻取りドラム204上に位置するコアシャフトの上に通す。機械を始動し、機械は低速で走行してウェブが壊れないようにする。その後、液体化学品を、マイヤーロッド201とトランスファ/アプリケータロール202の間に作られるニップに添加する。マイヤーロッド201は、トランスファ/アプリケータロール202上に加えられる液体の体積を制御する「溝付き」ロッドであることに留意しなければならない。マイヤーロッド201は、異なる体積の液体をトランスファ/アプリケータロール202上に加えることを可能にする、異なる「溝」パターンがある。マイヤーロッド201がトランスファ/アプリケータロール202とは反対の方向に回転して塗布液の体積を制御することにも留意しなければならない。ウェブに塗布すべき液体をトランスファ/アプリケータロール202上に堆積させる。
【0085】
その液体化学品は、トランスファ/アプリケータロール202とバッキングロール203の間のニップでウェブに塗布される。このニップ開口サイズは、オペレータによって決定される。閉じたニップを用いることもあるが、ニップがわずかに開いていることもあり、それによってニップ圧によるウェブの変形を少なくすることができる。この略図に示されているように、ウェブの片面のみが化学品でコーティングされる。しかし、バッキングロール203をトランスファ/アプリケータロールと取り替える機械構成変更で、薄葉紙の両面にコーティングする選択肢もある。ウェブがニップを通るにつれて、液体がトランスファ/アプリケータロール202からウェブに移行する。
【0086】
化学品が塗布された後、ウェブは、略図に示されているような機械のドライヤ部に送られる;赤外線ドライヤ206、エアドライヤ207及びエアドライヤ208参照。シートの所望湿潤度/乾燥度に依存して、前記ドライヤの温度を必要に応じて低下又は上昇した。ウェブは、乾燥された後、巻取りドラム204の上に処理ロールとして巻き取られる。
【0087】
ポリオレフィンの例示的コーティング重量は、最終製品、例えばセルロース系物品のメールトンあたり2.5から300kg(トンあたり5から60ポンド)ポリオレフィンの範囲である。ポリオレフィンの代替的例示的コーティング重量は、最終製品、例えばセルロース系物品のメールトンあたり5から150kg(トンあたりポリマー10から300ポンド)の範囲である。乾燥されたコーティングについてのもう1つの代替的例示的厚さは、メートルトンあたり10から100kg(トンあたり20から200ポンド)ポリオレフィンの範囲である。
【0088】
一定の実施形態において、前記コーティングされた物品は、50g/m2未満のコート重量を有し得る。代替実施形態において、前記コーティングされた物品は、40g/m
2未満のコート重量を有し得る。代替実施形態において、前記コーティングされた物品は、30g/m
2未満のコート重量を有し得る。代替実施形態において、前記コーティングされた物品は、20g/m
2未満のコート重量を有し得る。代替実施形態において、前記コーティングされた物品は、10g/m
2未満のコート重量を有し得る。代替実施形態において、前記コーティングされた物品は、1から10g/m
2の範囲のコート重量を有し得る;又は別の実施形態において、前記コーティングされた物品は、0.1から5.0g/m
2の範囲のコート重量を有し得る。
【0089】
一定の実施形態において、前記コーティングされた物品は、0.1から100マイクロメートルの範囲のコーティング厚を有し得る。0.1から100マイクロメートルでのすべての個々の値及び部分範囲がここに含まれ、本明細書において開示される;例えば、前記コーティングされた物品は、0.1、1、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80又は90マクロメートルの下限から、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95又は100の上限までのコーティング厚を有し得る。例えば、前記コーティングされた物品は、0.1から15、0.1から10マイクロメートル、又は0.1から5マイクロメートルの範囲のコーティング厚を有し得る。
【0090】
本発明の実施形態を「インライン工程」で、すなわち紙の製造中に、用いることもでき、又はオフライン塗布で用いることもできる。一例は、紙を機械上で前もってクレーコーティングする場合である。その場合、その製品は、押出コーティング構造の代替として、塗布されたコーティング層を有し得る。
【0091】
ウェブの表面にコーティング組成物を塗布し、有意な浸透なく該表面に該組成物を保持するために、コーティング用分散体の粒径、粘度及び固形分レベルは重要な役割を果たす。分散体が、いかに分散体のもつ粘度又は固形分レベルが低かったとしても、寸法が十分に大きいその分散粒子を有する場合、例えば、粒径がウェブ基材の開口寸法より大きい場合には、コーティング組成物は、ウェブの表面に留まる。ところが実際には、大きい粒径を有する分散体は、非常に不安定である傾向がある。PODは、5マイクロメートル未満、又はさらに2マイクロメートル未満、又は例えば、0.1から5マイクロメートルの範囲、若しくは代替実施形態では0.1から3μの範囲の平均粒径直径を有する。そのような分散体組成物の浸透度は、その粘度及び固形分レベルによって決まる。その粘度が上昇するにつれて、又はその固形分レベルが上昇するにつれて、分散体のコーティング組成物は、その浸透度を低減させる。殆どの場合、分散体がその固形分レベルを上昇させると、通常は粘度上昇が生ずる結果となる。しかし、粘度調整剤(又は増粘剤)を使用すると、固形分レベルを粘度から切り離すことができる。分散体の一定した固形分レベルと分散体粘度上昇を、粘度調整剤のアドオン(add-on)レベルを増加させることによって生じさせることができる。分散体の粘度をその固体レベルから切り離すもう1つの手段は、一定した固体レベルを維持しながらその粘度を上昇させる発泡構造体の使用である。
【0092】
乾燥
本明細書において上で説明したような、例えば基材上又は中に組み込まれたコーティング組成物を、任意の従来の乾燥方法によって乾燥させることができる。
そのような従来の乾燥方法としては、空気乾燥、対流オーブン乾燥、熱風乾燥、マイクロ波オーブン乾燥及び/又は赤外線オーブン乾燥が挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
前記基材上に組み込まれたコーティング組成物を任意の温度で乾燥させることができる;例えば、ベースポリマーの融点温度に等しい若しくはそれより高い範囲の温度でそれを乾燥させてもよいし、又はベースポリマーの融点未満の範囲の温度でそれを乾燥させてもよい。前記基材上に組み込まれたコーティング組成物を25℃から200℃、例えば70℃から100℃の範囲の温度で乾燥させることができる。
【0094】
ベースポリマーの融点温度未満の範囲の温度での、前記基材上に組み込まれたコーティング組成物の乾燥は、連続した安定剤相とその中に分散された離散ベースポリマー相とを有するフィルムの形成を助長し得る。
【0095】
ベースポリマーの融点温度より高い範囲の温度での、前記基材上に組み込まれたコーティング組成物の乾燥は、連続したベースポリマー相とその中に分散された離散安定剤相とを有するフィルムの形成を助長し得る。
【0096】
一部の実施形態には、第一の乾燥より高い温度での第二の乾燥がある。例えば、第一の乾燥温度は70℃、及び第二の乾燥は100℃であり得る。
【0097】
試験方法
(1)触感性についてのイン・ハンド・ランキング・テスト(In-Hand Ranking Test)(IHRテスト):
【0098】
イン・ハンド・ランキング・テスト(IHR)は、繊維ウェブの手触り感の基本的評定であり、柔軟性及びこわさなどの特質を評定する。このテストは、消費者集団への汎用化可能性の尺度をもたらすことができる。
【0099】
柔軟性試験は、親指と他の指の間でこすったときの薄葉紙試料のビロードのような、絹のような又は綿毛のような触感の評価を含む。こわさ試験は、平坦な試料を手の中に握り込むこと、指を手のひらのほうに引っ込めることによってその手のひらの中で試料をあちこちに動かすこと、及び感知された鋭い、堅い若しくは裂け目の入った端部又は尖端の量を評価することを含む。
【0100】
パネルにより各試料コード毎に生成されたランクデータを、比例ハザード回帰モデルを用いて分析する。このモデルは、パネリストが、評価される最高の特質から最低の特質までランキング手順を進めることをコンピュータにより代行する。柔軟性及びこわさ試験の結果は、対数オッズ値として提示される。対数オッズは、各コードについて比例ハザード回帰モデルから推定されるリスク比の自然対数である。対数オッズが大きいほど、対象となる特質の強度は大きいと知覚される。
【0101】
IHRは、柔軟性及びこわさの全体論的評定を得るために、又は製品差が人間により知覚され得るかどうかを判定するために用いられる。このパネルは、平均的な訓練を受けていない消費者が与えるより正確に評定を与えるように訓練されている。IHRは、製法変更が、対照と比較して、人間により検出され得るかどうか及び/又は柔軟性若しくはこわさ知覚に影響を及ぼすかどうかに関して高速読出しを得るのに有用である。処理ウェブと対照ウェブの間のIHR柔軟性データの差は、柔軟性改善度を反映する。IHRの結果は対数オッズで表されるので、改善された柔軟性の差は、実際には、示されるデータよりはるかに有意である。例えば、IHRデータの差が1であるとき、それは、実際には、総合柔軟性の10倍(10
1=10)改善、すなわちその対照と比較して1,000%改善を表す。もう1つの例については、差が0.2である場合、それは、1.58倍(10
0.2=1.58)、すなわち58%改善を表す。
【0102】
IHRからのデータをランク形式で提示することもできる。このデータは、一般に、試験の中での相対比較を行うために用いることができる。ある製品のランキングは、ランキングに用いられる複数の製品に依存するからである。少なくとも1つの製品を両方の試験で試験すると、交差試験比較を行うことができる。
【0103】
(2)シート嵩試験
シート嵩は、調湿坪量で割った、マイクロメートルで表される調湿繊維シートのシートの厚さの商として算出され、グラム毎平方メートルで表される。結果として得られるシート嵩は、立方センチメートル毎グラムで表される。より具体的には、シートの厚さは、TAPPI試験法T402「紙、板、パルプハンドシート及び関連製品についての標準条件及び試験雰囲気(Conditioning and Testing Atmosphere For Paper, Board, Pulp Handsheets and Related Products)」及びT411 om−89「紙、板紙及び合せ板の厚(厚さ)(Thickness (caliper)of Paper, Paperboard, and Combined Board)」と積層シートについてのNote 3に従って測定される単一シートの代表厚である。T411 om−89を実施するために用いるマイクロメータは、オレゴン州ニューバーグのEmveco,Inc.から入手できるEmveco 200−A Tissue Caliper Testerである。このマイクロメータは、2キロパスカルの荷重、2500平方ミリメートルの押さえ面積、56.42ミリメートルの押さえ径、3秒の保圧時間及び0.8ミリメートル毎秒の下降速度を有する。
【0104】
(3)幾何平均引張(GMT)強度
本明細書において用いられる場合、「幾何平均引張(GMT)強度」は、幅方向引張強度を掛けた縦方向引張強度の積の平方根である。「縦方向(MD)引張強度」は、試料を破断するまで縦方向に引っ張ったときの3インチ(76.2mm)の試料幅あたりのピーク荷重である。同様に、「横方向(CD)引張強度」は、試料を破断するまで幅方向に引っ張ったときの3インチ(76.2mm)の試料幅あたりのピーク荷重である。「ストレッチ」は、引張試験中の破断点での試料の伸び率である。引張強度の測定手順は、次のとおりである。
【0105】
引張強度試験用試料は、JDC Precision Sample Cutter(ペンシルバニア州フィラデルフィアのThwing−Albert Instrument Company、モデル番号JDC 3−10、製造番号37333)を使用して、縦方向(MD)又は幅方向(CD)の向きに試料を3インチ(76.2mm)幅×5インチ(127mm)長ストリップを切断することによって作製する。引張強度を測定するために用いる計器は、MTS Systems Insight 1 Material Testing Work Stationである。データ収集ソフトウェアは、MTS TestWorks(登録商標)4(MTS Systems Corp.、14000 Technology Driver,Eden Prairie,MN 55344)である。*ロードセルは、ピーク荷重値の大多数がロードセルの最大目盛の10〜90%の間になるように、試験する試料の強度に依存して、最大50ニュートン又は100ニュートンのいずれかから選択される(S−Beam TEDS ID Load Cell)。顎部間のゲージ長は、4±0.04インチ(101.6±1mm)である。顎部は、空気作用を用いて操作され、ゴムで被覆されている。最小掴み面幅は、3インチ(76.2mm)であり、顎部のおおよその高さは、0.5インチ(12.7mm)である。クロスヘッド速度は、10±0.4インチ/分(254±1mm/分)であり、破壊感度を65%に設定する。データを100hzで記録する。試料を、計器の顎部に配置し、垂直にも水平にも中央に置く。その後、試験を開始し、試験片が破壊したときに試験が終わる。ピーク荷重を、試験片の「MD引張強度」又は「CD引張強度」として記録する。「そのままの状態で」使われる各製品又はシートについて少なくとも六(6)個の代表試験片を試験する。すべての個々の試験片試験の算術平均が、その製品又はシートについてのMD又はCD引張強度である。引張強度試験結果をグラム重(gf)の単位で報告する。
【0106】
(4)粘度試験
粘度は、マサチューセッツ州ミドルバラのBrookfield Engineering Laboratoriesから入手できるBrookfield Viscometer、モデルRVDV−II+を使用して測定する。予想粘度に依存してスピンドル4又はスピンドル6のいずれかを用いて、室温(23C)で、100rpmで測定値を取る。粘度測定値をセンチポワズ(cP)の単位で報告する。
【実施例1】
【0107】
以下の実施例は、本発明を例証するものであり、本発明の範囲を限定するためのものではない。本発明の以下の実施例は、異なるPODがUCTAD(クレーピングせずに通気乾燥した)トイレットペーパーなどの例示的基材の性能及び特性にどのような影響を及ぼすかを実証する。
表1を参照して、感覚パネル研究のための3つの市販用薄葉紙製品、1つの実験UCTADトイレットペーパー及び22の試料コードがあった。表1に列挙するすべてのコードを、この研究からのそれらの柔軟性ランキング(対数オッズ柔軟性値)に関して最高値から最低値へと並べた。有意性ランキングは、95%信頼度でであった。1つのコード、ローションを含んだKLEENEXフェーシャルティッシュ、だけは、その表面にクレーピングされたPODを有するフェーシャルティッシュ製品である。残りのすべての他のコードは、UCTADトイレットペーパーである。これらのトイレットペーパーは、前記フェーシャルティッシュとは異なる坪量及び構造を有する。したがって、KLEENEXフェーシャルティッシュは、単に参照ポイントとしてのみ使用している。他の2つの市販用トイレットペーパー製品、COTTONELLE ULTRA及びCOTTONELLEは、類似した薄葉紙構造及び表面形態を有するが、ローションなどの異なる化学品によって処理されたか、又は異なる坪量を有した。対照は、実験的に生産したUCTADトイレットペーパーであった。この対照は、PMSP工程によって加工されたものでもあり、これは、この対照が、POD表面付加を一切伴わないPMSP塗工機を経たことを意味する。22すべての試料コードは、PMSP塗工ユニット(
図3)を使用して異なる加工条件で異なるPODを用いて実験的に生産したUCTADトイレットペーパーの表面コーティングによって生産したものである。したがって、前記表面コーティングのあらゆる柔軟性及び他の機械的特性の改善を対照コードと比較する。結果は、POD化学品に関係なく、その化学薬品のアドオンレベルが0.5%から1.5%あたりであるときにはPMSP技術によるPODの表面コーティングが薄葉紙柔軟性を改善することを示している。
【表1】
【表2】
【表3】
【0108】
表2は、すべての表面を、同じAFFINITY/PRIMACOR比(60/40重量%)を有するPODで表面をコーティングした、表1からのコードの一部分を列挙するものである。この表中の処理薄葉紙の柔軟性(対数オッズ)はもちろん、機械的特性(GMT)も、幾つかの要因、例えば固形分パーセント、粘度、分散粒子及び加熱温度に依存する。一般に、GMTは、POD表面コーティングによってわずかに強化される傾向があり、これは、該コーティングが処理薄葉紙をより強くすることを意味する。固形分パーセント及び粘度の柔軟性に対する効果は、類似している。POD固体パーセント又は粘度が低すぎると(例えば、それぞれ35%から37%及び60から70cPの範囲の固形分パーセント及び粘度を有するコード21及び22)、大部分のPODが薄葉紙セルロース構造に浸透するため、柔軟性改善は有意でなかった。両方のパラメータが増加するにつれて柔軟性は向上され、これは、より多くのPODが、処理薄葉紙の表面に留まることができることを示す。しかし、この改善は、比例(linear)関係に従わない。PODが、あまりにも高い固形分パーセント又は粘度を有すると(すなわち、試料15)、その改善は、わずかに低減され得る。これは、過度に高い粘度による薄葉紙表面のPODの不均一な被覆に起因し得ると考えられる。分散粒子の粒径は、表面に留まるPODの百分率に影響を及ぼす要因である可能性がある。しかし、この研究では、広範な粒径変化を生じさせることはできなかった。しかし、一般に、分散粒子の粒径が大きいほど、薄葉紙柔軟性の改善は有意である。高温乾燥は、柔軟性改善を達成するために必要ではないが、この効果を有意に向上させることが判明した。これは、試料1と試料14との、及び試料5と試料18との直接試料比較(head-to-head sample comparison)によって実証される。
【表4】
【表5】
【0109】
表3では、別の2つの要因を再考する:AFFINITY/PRIMACOR比及びAFFINITYの低分子バージョン(すなわち、EG 8200対GA 1900)。粘度が比較的近いとき(試料21、9及び2)、AFFINITY/PRIMACOR比が60/40から80/20そして90/10へと変化するにつれて柔軟性改善が向上されることに注目される。これは、AFFINITYがPRIMACORより柔軟性改善に大きな影響を及ぼすことを示す。80/20のAFFINITY/PRIMACOR比(試料9対6)については、柔軟性改善対して類似した粘度効果がある。粘度が高いほど、処理薄葉紙が有する柔軟性改善が大きい。しかし、90/10のAFFINITY/PRIMACOR比を有するPODについては、柔軟性改善に対する粘度の効果は明確でない(試料2、13及び15)。コーティング工程中に、90/10ほどもの高い比に達すると、不十分なPRIMACORのためにPODの安定性が大きく低減されることが観察された。PRIMACORは、乳化剤として作用して分散体を安定させる。PODの粘度がより高いとき、不安定性は増進される。これは、分散体の一部を沈殿させ、並びにさらに表面コーティングの均一性及び形態に負の影響を及ぼす。
【0110】
GA 1900は、AFFINITYのより低分子量バージョンである。GA 1900として指定したコードについては、EG 8200に替えてAFFINITYとしてのGA 1900をPRIMACORと混合することにより分散体を作った。GA 1900 PODについては2つのAFFINITY/PRIMACOR比があった:80/20及び60/40。一般に、EG 8200と比較してGA 1900を使用することに何の利点もない。例えば、60/40 AFFINITY/PRIMACOR比でのEG 8200は、低密度のGA 1900と比較して良好な柔軟性改善を有し得る(試料5対7及び試料8対11)。同じ効果が80/20のAFFINITY/PRIMACOR比を有するPODについて見出された(試料9対10)。
【表6】
【表7】
【実施例2】
【0111】
以下の実施例は、PRIMACOR含有量のPOD粘度に対する効果及びさらに、表面コーティングしたウェブの手触り感を例示するものである。40%、20%及び10%のPRIMACOR含有量と60%、80%及び90%のAFFINITY含有量をそれぞれ有する3タイプのPODを選んだ。これら3タイプのPODの広範な粘度を生じさせ、予備計量サイズプレスコーティングユニット(
図5)を使用してUCTADトイレットペーパーを表面コーティングした。
【0112】
処理したトイレットペーパーをIHR試験法(上記)に従って手で触って調べた。これらのハンドテストの結果を表4に列挙する。表4において、太字の数字が入っている枠は、PODで処理したクレーピングせずに通気乾燥させた(「UCTAD」)トイレットペーパーの柔軟性改善を示す。柔軟性改善の目的でPODをウェブに塗布する。PODは、ウェブ表面に留まり、使用者の手によって感知される。表4から、異なる比のAFFINITY/PRIMACOR材料の有するいずれPODも、すべて、その粘度が低いときAFFINITY/PRIMACOR材料がウェブ内部構造に浸透する傾向があり、使用者の手によって感知され得ないことを実証していると推断することができる。粘度が臨界レベル、例えばAFFINITYのPRIMACORに対する比60/40を有するPODについては760cpsに上昇すると、高粘度に起因するウェブ構造内への流れに対する抵抗のためにAFFINITY/PRIMACORは主として処理UCTADの表面に留まる。これは、その粘度をさらに上昇させても同じままである。
【0113】
前記粘度の臨界レベルを臨界粘度と呼ぶ。いずれのPOD分散体についても、粘度が臨界粘度より高いと、そのPODのポリマー成分はウェブの表面に留まり、処理後、そのコーティング用化学品は使用者の手によって感知され得る。しかし、AFFINITYのPRIMACORに対する比を上昇させるにつれて、臨界粘度が実際に低減されるとも推断することができる。
【0114】
PRIMACORがPOD中で安定剤として作用すること、及び該分散体中のAFFINITY分散粒子の安定化を助長することは、公知である。PRIMACOR含有量が低減されるにつれて、分散体の乳化力も低減される。これは、分散体中により大きなAFFINITY分散粒子を生じさせる結果となる。より大きいAFFINITY粒子は、よりウェブの表面に留まることができる傾向がある。したがって、高粘度分散体を有する必要は、相応じて低減される。それ故、臨界粘度値は低減される。
図4は、PODのPRIMACOR含有量に対してプロットした臨界粘度を示す。yは臨界粘度(cP)を表すと仮定し、一方、xは、水なしで算出されるPOD中のPRIMACORの百分率を表す。表4のデータの線形回帰によって、y=40e
0.07xの経験式が得られる。この等式を用いて、分散体の所与の乳化剤レベルでの臨界粘度値を予測することができる。y=40e
0.07xによって定義される曲線より上の粘度でウェブをコーティングすると、該PODは、該ウェブの表面に留まるであろう。
【0115】
表4中の太字区画は、PODが表面コーティング後にウェブの表面に留まることができるであろう粘度範囲を表す。いずれの分散体についても、通常、少なくとも3成分:POD中のAFFINITYに類似した疎水性成分と、POD中のPRIMACORに類似した安定剤(又は分散剤)と、水を含む。いずれの分散体についても、安定剤含有量が分かっていれば、上で説明した経験式を用いて、本発明のコーティングされた構造を実現するために適する粘度を選択することができる。
【表8】
【0116】
当業者は、添付の請求項により詳細に示す本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、本発明に対するこれら及び他の変更及び変型を実施することができる。加えて、様々な実施形態の態様を全体的にも部分的にも交換できることは、理解されるはずである。さらに、上述の説明が単なる例としてのものであり、本発明を限定するためのものではなく、そのためそのような添付の請求項において本発明がさらに説明されることは、当業者には理解されるであろう。
なお本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
(1)ウェブ製品に添加剤組成物を塗布する方法であって、
(a)第一の表面と反対側の第二の表面とを有する基材を提供する段階であって、前記基材が、50%未満のセルロース系繊維を含む段階;
(b)分散体の形態の添加剤組成物を前記基材の少なくとも第一の表面に塗布する段階であって、前記添加剤組成物は、y=40e0.07xの等式によって算出される値に等しい又はそれより大きい粘度を有し、この式中のyは、センチポワズの単位での粘度を表し、xは、水なしで算出される乳化剤含有量の百分率である段階;及び
(c)前記添加剤組成物を塗布する段階の後、前記基材を乾燥させる段階
を含む方法。
(2)前記添加剤組成物が、ポリオレフィン分散体を含む、上記(1)に記載の方法。
(3)前記添加剤組成物が、0.1から5マイクロメートルの範囲の平均粒径直径を有する粒子を有する分散体を含む、上記(1)に記載の方法。
(4)前記分散体が、30から60%の固形分レベルを有する、上記(1)に記載の方法。
(5)前記基材を乾燥させる段階が、25℃で行われる、上記(1)に記載の方法。
(6)前記基材を乾燥させる段階が、70℃から100℃の範囲の乾燥温度でのものである、上記(1)に記載の方法。
(7)前記基材が、3cc/g未満の嵩を有する、上記(1)に記載の方法。
(8)前記基材の少なくとも第一の表面に前記分散体を塗布する段階が、前記基材上への噴霧、前記基材上への押し出し、前記基材上での発泡、又は前記基材上への印刷によって行われる、上記(1)に記載の方法。
(9)前記添加剤組成物が、前記基材の表面に完全に浸透しない、上記(1)に記載の方法。
(10)基材に添加剤組成物を塗布する方法であって、
(a)第一の表面と反対側の第二の表面とを有する基材を提供する段階であって、ウェブが、50%未満のセルロース系繊維を含む段階;及び
(b)分散体の形態の添加剤組成物を、前記基材の少なくとも第一の表面に、前記基材に完全に浸透させることなく塗布する段階であって、前記添加剤組成物は、y=40e0.07xの等式によって算出される値に等しい又はそれより大きい粘度を有し、この式中のyは、センチポワズの単位での粘度を表し、xは、水なしで算出される乳化剤含有量の百分率であり;並びに前記添加剤組成物は、0.1から5マイクロメートルの範囲の平均粒径直径及び30から60%の固形分レベルを有する粒子を含む段階;及び
(c)前記基材を乾燥させる段階
を含む方法。
(11)50%より多くのセルロース繊維を含む基材と、
前記基材上に印刷される添加剤組成物と
を含む物品であって、
前記添加剤組成物が、ポリオレフィンを含み;前記添加剤組成物が、前記基材に完全に浸透しない多数の粒子を含むものである物品。
(12)GMTが、未処理の前記物品の±20%である、上記(11)に記載の物品。
(13)本明細書中で定義するとおりの触感性についてのイン・ハンド・ランキング・テスト(In Hand Ranking Test)に従って未処理の前記物品と比較して少なくとも0.2より大きい柔軟性の差を有する、上記(11)に記載の物品。