特許第5873870号(P5873870)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5873870液体又は流体中における外来物の測定及び/又は監視装置、及び、その方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873870
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】液体又は流体中における外来物の測定及び/又は監視装置、及び、その方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/36 20060101AFI20160216BHJP
   A61M 1/14 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   A61M1/36
   A61M1/36 520
   A61M1/14 553
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-524374(P2013-524374)
(86)(22)【出願日】2011年8月12日
(65)【公表番号】特表2013-534160(P2013-534160A)
(43)【公表日】2013年9月2日
(86)【国際出願番号】EP2011004072
(87)【国際公開番号】WO2012022456
(87)【国際公開日】20120223
【審査請求日】2014年8月8日
(31)【優先権主張番号】102010034553.9
(32)【優先日】2010年8月17日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599117152
【氏名又は名称】フレゼニウス メディカル ケアー ドイチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Fresenius Medical Care Deutschland GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ヴィクトル
【審査官】 川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0078047(US,A1)
【文献】 米国特許第06740036(US,B1)
【文献】 特開2000−060965(JP,A)
【文献】 特開2002−345787(JP,A)
【文献】 特表2008−541902(JP,A)
【文献】 特開昭58−096234(JP,A)
【文献】 特開平04−357961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/36
A61M 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの光学監視手段と、少なくとも一つの超音波監視手段と、少なくとも一つの信号評価手段と、を備える、液体又は流体おける外来物を測定又は監視装置であって、
前記液体は、少なくとも前記光学監視手段より光学的に監視され、且つ、前記液体は、少なくとも前記超音波監視手段により超音波により監視され、更に、
気泡又は血液塊を含む固体物である少なくとも一つの外来物が、得された監視信号の比較を参照して、前記信号評価手段により液体中にて認識され、又は、前記信号評価手段により少なくとも一つの第2の外来物から識別される、ことを特徴とする測定又は監視装置。
【請求項2】
信号トリガ事象として少なくとも一つの外来物において前記超音波監視手段が記録されて信号を出力する場合、又は、信号トリガ事象として少なくとも一つの外来物において前記光学監視手段及び前記超音波監視手段が各々ほぼ同時に記録されて信号を出力する場合、液体中の1以上の空気泡が前記信号評価手段により液体中にて認識され、又は
信号トリガ事象として少なくとも一つの外来物において前記光学監視手段が記録されて、かつ、信号トリガ事象として前記超音波監視手段がほぼ同時期において外来物を記録しないか又は極めて小さな外来物を認識する場合、前記信号評価手段により前記固体物が液体中において認識される、ことを特徴とする請求項1に記載の測定又は監視装置。
【請求項3】
前記光学監視手段は少なくとも一つの光学センサであるか、又は、少なくとも一つの光学センサを備える、又は
前記超音波監視手段は少なくとも一つの超音波センサであるか、又は、少なくとも一つの超音波センサを備える、又は
空気泡及び固体物、前記光学監視手段によって検出され、且つ、前記超音波監視手段により空気泡が検出される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の測定又は監視装置。
【請求項4】
前記光学監視手段は、少なくとも一つの光源と少なくとも一つの光検出器とを備えており、
前記光源は、なくとも一つのLEDであるか、又は、少なくとも一つの光源を備え、又は
光源から、805nmのピーク波長で、狭帯域の近赤外光が射される、ことを特徴とする請求項3に記載の測定又は監視装置。
【請求項5】
少なくとも一つのハイパスフィルタにおける前記光学監視手段の下流信号は、光学監視手段により得られる監視信号がフィルタされる手段により調整され、
前記ハイパスフィルタ、前記監視信号が数ミリ秒の固定間隔で集積され、且つ、浮遊平均値が前述の測定における所定数より決定され、集積電流から差し引かれる、ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の測定又は監視装置。
【請求項6】
前記装置は、ースセット又はセットを含む液体ガイド手段が挿入される受容部を備える、又は
前記装置は、測定チャンネルを備える、ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の測定又は監視装置。
【請求項7】
前記装置は、前記光学監視手段も前記超音波監視手段も両方とも配置されている、限定された測定パス又は測定点を備える又は形成する、ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の測定又は監視装置。
【請求項8】
前記測定パス又は前記測定点は前記受容部にて配置され、又は
前記測定パス又は前記測定点は、前記光源、前記超音波センサ及び前記光検出器によって3つの面での順で、囲まれており、記光源、前記超音波センサ及び前記光検出器は前記測定パス又は前記測定点をU字状に囲む、ことを特徴とする請求項7に記載の測定又は監視装置。
【請求項9】
前記装置は、少なくとも一つの保護手段又は少なくとも一つの警告手段を備え、又は、少なくとも一つの保護手段又は少なくとも一つ警告手段と連絡しており、
前記流体は記保護手段によって止められ、又は
気泡及び血液塊を含む固体物といった液体中に認識された外来物に対して、前記警告手段により意がなされる、ことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の測定又は監視装置。
【請求項10】
前記装置は、液透析装置である血液治療装置の一部である、又は、液透析装置である血液治療装置である、ことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の測定又は監視装置。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項に記載の装置のうち少なくとも一つの装置を備える、液透析装置である血液治療装置。
【請求項12】
求項6乃至10の何れか1項に装置の受容部に挿入される挿入具である、請求項1乃至10の何れか1項に記載の装置の使用における、使い捨てのホースセット又は使い捨てのカセットである消耗品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体又は流体中における外来物の測定及び/又は監視装置、及び、その方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血液透析系のような体外血液循環系においては、処置を要する危険物につき血液は監視されることが重要である。体外血液循環系においてガス泡及び血液塊が認識及び/又は抑制されるように、厳密な手当がなされるべきである。この点に関して、空気泡の認識に反応し、対応する警告を行い、及び/又は治療を停止させる公知の治療装置がある。また、塊捕獲手段により血液塊を捕獲することが試みられている。
【0003】
構成物や流れ特性に関して血液試料の関連試験は、光学測定又は異なる理論に基づいた超音波測定により行われる。血液中のガス泡は、超音波分析を用いて対応の周波数により認識される。塊においては音の散乱は概ね極めて小さいので、逆に血液塊の発生は、同じ超音波理論を使用しても検知できない。塊の血液断片における密度の差は他の断片から識別することができないことがある。光の透過における変化により、光学測定を用いて塊の存在が認識される。しかしながら、塊は同時には透過における増加の原因となるガス泡から識別されることはない。
【0004】
抗凝固にもかかわらず、透析装置の体外血液循環系において血液塊の発生が生じうることは問題がある。この理由としては種々考えられ得るし、ヘパリン又はクエン酸塩のような抗凝血剤の不正確な投与が必ずしも原因となるわけではない。止血、鬱滞領域、並びに空気及び体外血液循環系の人工表面により、凝固カスケードの活性が促進される。
【0005】
血液における血小板は、凝集活性の後にその形状を変化させ、凝集して血栓となる。これら血栓は透析装置のキャピラリを閉塞させ、これらが体外血液循環系にて捕捉されない場合、患者の循環系に入り込み、より小さな血管を閉塞させる。この理由のために、多数の血液チューブにおいて静脈塊キャッチャが設けられ、患者の体内に侵入する前に血液塊を捕捉するカセットシステムが設けられる。しかしながらこの保護となる測定は、争われるものではない。
【0006】
透析処置の後に静脈を介さずに動脈を介して血液の返還を意図する場合、従前に捕捉された塊が再度流れに放出されて患者の体内に侵入するため、動脈側における機械的な塊キャッチャによっては治療が難しい。
【0007】
流体において発生するガス泡又は固体物を監視するため、従来から幾つかのアプローチが公知となっている。
【0008】
例えば、US4,122,713には、液体の流速を測定する測定システムが記載されている。ここでは、このシステムは血流の測定に加えて、血液中において空気泡の存在を測定することも可能とされている。
【0009】
EP 0 979 111 B1は、マイクロバブルの光学認識及び定量化のための装置に関する。しかしながら、ここでは、血液塊の光学認識が記載されているものの、対応する大きさの粒子による捕捉が記載されているのみであり、小さな血液塊に対しては記載されていない。
【0010】
JP7103967には、測定カップのような試料容器に入れられた血清試料の検査が記載されている。光学センサ及び超音波センサを使用して、試料容器中の分離された血液試料の水位測定及び相領域探知が実行される。
【0011】
WO2007/121398A2には、電波分析による血液中のガス泡検出及び固体粒子について、更に公知のシステムが記載されている。
【0012】
US3,935,876には、光学手段を使用した空気泡についての血流監視装置が記載されており、ここではこの装置を使用して血液塊の監視も同時に行われている。
【0013】
過去のアプローチにもかかわらず、血液中のガス泡のみならず血液塊、特に小さな血液塊の発生を迅速且つ的確に、しかも可能な限り簡易な構造の測定装置にて認識する手法が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで、本発明の目的は、上記の種類の装置及び方法、特に、簡易且つ確実に行われるより簡易かつより確実な方法及び装置につき、空気泡及び血液塊について血流の安全且つ正確な監視を可能とするものを有利に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的は、請求項1の特徴を備える装置によって達成される。即ち、少なくとも一つの光学監視手段と、少なくとも一つの超音波監視手段と、少なくとも一つの信号評価手段と、を備える、液体又は流体における外来物を測定及び/又は監視装置であって、前記液体は、少なくとも前記光学監視手段と、少なくとも前記超音波監視手段による超音波と、により光学的に監視され、更に、特に空気泡及び/又は血液塊のような固体物である少なくとも一つの外来物が、取得された監視信号の組み合わせを参照して、前記信号評価手段により液体中にて認識され、及び/又は、前記信号評価手段により少なくとも一つの第2の外来物から識別される、ことを特徴とする測定及び/又は監視装置が提供される。
【0016】
液体はとりわけ血液であり、流体はとりわけ血流である。
【0017】
光学監視手段と超音波監視手段との監視信号の比較を参照して、少なくとも一つの外来物の認識又は少なくとも一つの第2の外来物から第1の外来物を識別のための監視信号の組み合わせが好ましくは行われる。
【0018】
外来物は、例えば、空気泡及び/又は血液塊のような固体物である。このような空気塊はとりわけ第1の外来物であり、血液塊のような固体物は装置により認識され且つ識別される第2の外来物である。
【0019】
外来物は、光学監視手段によって検知されるかどうかにかかわらず、超音波監視手段によって検知される場合、空気泡が認識される。通常の場合、好ましくは空気泡が、超音波監視手段及び光学監視手段によって検知される。しかしながら、空気泡の検出ではこの光学監視手段は絶対的に必要というわけではない。
【0020】
利点は、簡易且つ確実な操作の監視方法、即ち光学監視手段及び超音波監視手段の利用にある。光学監視手段では、例えば簡易な透過測定理論として使用される。また超音波監視手段では、ガス泡が探知できる概ね全ての測定理論が可能である。
【0021】
例えば、超音波監視手段の受信部は、液体ガイド路の側部に配置される。超音波パルスは送信機によって結合され、液体により液体ガイドへ流れる。液体中のガス泡は、音響信号を弱める。音響信号が液体ガイドを通過した後、信号は液体ガイド路の壁に入射され、対応して反射される。次いでこの信号は液体ガイドを再度通過し、受信部により受け入れられる。ガス泡が存在しようがしまいが、音響信号の評価を参照にして区別がなされる。
【0022】
光学監視手段及び超音波監視手段により得られる監視信号の結合評価により、単純且つ確実に空気泡及び/又は固体物の存在を認識することが可能となる。
【0023】
例えば、対応する信号評価手段は計算ユニットであり、その計算ユニットはコントロール及び/又は規制手段の計算ユニットであり、血液透析装置のような血液処理装置と連絡している。
【0024】
少なくとも超音波監視手段が信号トリガ事象としての少なくとも一つの外来物を記録する場合、若しくは、光学監視手段及び超音波監視手段が信号トリガ事象としての少なくとも一つの外来物を各々実質的に同時に記録して信号を出力する場合、液体中の1以上の空気泡が信号評価手段により認識される、並びに/又は、光学監視手段が信号トリガ事象としての少なくとも一つの外来物を記録する場合、及び、超音波監視手段が信号トリガ事象として極めて小さな外来物を認識しない又は実質的に同時に外来物を記録しない場合、液体中における特に血液塊のような固体物が、信号評価手段により認識される。同時の測定は、当然のことながら、光学監視手段及び超音波監視手段が同じ場所に配置される、又は、同じ位置で信号トリガ事象を記録する場合にのみ発生する。光学監視手段及び超音波監視手段が同じ場所に配置されない場合、又は、それらが異なる場所で信号トリガ事象を記録する場合、流速と不感時間とを考慮した補正が考慮される。補正を考慮にいれた前述の文章のように、実質的に同時の場合、信号トリガ事象の記録も同様に生じる。光学監視手段及び超音波監視手段は、好ましくは、微細な又は極めて微細な補正を伴って配置される。光学信号が受信された音響信号よりも実質的に大きい又は強い場合、塊が認識されることが考えられる。このように、塊は、得られた情報の相違を参照して探知される。
【0025】
光学監視手段は少なくとも一つの光学センサであるか又は少なくとも一つの光学センサを備え、及び/又は、超音波監視手段は少なくとも一つの超音波センサであるか又は少なくとも一つの超音波センサを備え、空気泡及び特に血液塊である固体物は光学監視手段により検出され、空気泡は超音波監視手段により検出される。照射の伝送が短期で増加するため、短く且つ強い信号増加により、光学センサは、空気泡に反応すると共に同じように血液塊にも反応する。反対に、超音波センサは、流れる空気泡を検出し且つ定量化するのみである。血液又は血漿と塊との間の密度差が非常に小さいため、超音波センサでは、塊の認識は困難である。結果として、光学センサのみが信号を産生し、且つ超音波センサが信号を産生しない場合、血液塊は血流に存在することになる。従って、両方のセンサ、即ち、光学センサ及び超音波センサが信号を産生する場合、1以上の空気泡が検知される。
【0026】
光学センサが少なくとも一つの光源を備えると共に、少なくとも一つの光検知器を備えており、この光源は好ましくは少なくとも一つのLEDであるか又は少なくとも一つのLEDを備えており、及び/又は、約805nmのピーク波長の狭帯域の近赤外光が光源から照射される。赤血球におけるヘモグロビンによる吸収は極めて少ない一方、酸素の含有とは無関係であるため、約805nmの波長域は、塊を検出する光学センサに極めて適切である。結果として信号の産生は、対応している撹乱因子及び信号歪曲から解放される。
【0027】
血小板は、805nmでは極めて低い吸収係数(計測不可能)を有しているが、光散乱が細胞(赤血球を有している)にて発生する。しかしながら、赤血球と比較して血小板の数及び大きさは極めて小さいため、即ち、血液細胞の99%は直径約7.5μmの赤血球であるため(血小板は直径1.5〜3μmである)、通常の場合(血栓の形成がない場合)、この散乱は無視される。凝固が始まると、血小板が凝集し、血栓を形成して大きな体積となる。これにより、結果として、測定経路内での吸収が少なくなり、805nmでの透過照射が増加する。
【0028】
光学監視により得られる監視信号がフィルタ処理されることにより、少なくとも一つのハイパスフィルタでの光学監視手段のダウン信号が整えられる。
【0029】
ハイパスフィルタは、好ましくは、数ミリ秒の固定間隔で監視信号が集積されると共に、浮遊平均値が所定数の前述の測定から決定されると共に電流積分結果から減算されるフィルタである。このようなフィルタにより、信号の単純評価が可能となるという利点を有する。このようなフィルタで、集積結果がローパスよりも重み付けが与えられる場合、短い変化が強調される間、基本信号解析が維持される利点を有するハイブーストフィルタが得られる。ハイパスフィルタ信号が閾値を超える場合、空気泡若しくは塊の何れかは測定経路を介して流動する。このような音響センサは、流速を考慮にいれて、それ自身の信号に近い信号を検出するが、それは空気泡の場合である。しかしながら超音波センサが何も登録しない場合、塊が検出される。
【0030】
概ね、他のハイパスフィルタも評価に適している。
【0031】
装置は、好ましくはホースキット又はホースキット若しくはカセット、特に使い捨てのカセットの一部、又は測定チャンネルといった液体ガイド手段が挿入される受容部を備えることが可能であり、及び/又は、装置は測定チャンネルを備えることが可能である。このようなホースキットは、特に、血液透析装置のための対外血液循環のホースキットとすることが可能である。更に、このような使い捨てのカセットは、血液透析装置のための体外血液循環の一部が改変されている使い捨てのカセットとすることも可能である。
【0032】
更に、装置は、光学監視手段も超音波監視手段も設けられている限定された測定経路又は測定点を備えている又は形成している。空気泡及び/又は血液塊の監視は、光学監視手段の超音波監視手段への空間的近接により向上が可能である。
【0033】
測定経路又は測定点が受容部中に配置されている及び/又は受容部に配置されている場合、及び/又は、測定経路又は測定点が光学監視手段の光源、超音波センサ及び光検知器の3つの面で、好ましくはこの順番で、囲まれており、好ましくは、光学監視手段の光源、超音波センサ及び光検知器が測定経路又は測定点をU字に囲む。非常に短い測定経路が、光源、超音波センサ及び光検知器のU字配列によって実現され、これにより測定経路の比較的正確な監視が可能となる。光学監視手段の産生された信号と超音波監視手段の産生された信号との間の時間オフセットは、ここでは可能な限り低いものである。
【0034】
光学監視手段及び超音波監視手段は、送信中に流れの方向と逆方向で配置されている。また、光学監視手段は送信中に流れの方向と逆方向で配置され、超音波監視手段は送信中に流れの方向の長手方向で配置されていることも可能である。
【0035】
装置は、少なくとも一つの保護手段及び/又は少なくとも一つの警告手段を備えており、及び/又は、少なくとも一つの保護手段及び/又は少なくとも一つの警告手段と連絡しており、好ましくは流量が保護手段により止められ、及び/又は、好ましくは警告が、流体中に認識される要素である空気泡及び血液塊のような固体物に与えられる。警告手段は、例えば、音響警告手段及び/又は光学警告手段である。警告表示が、警告音と同時に、例えば画面上に警告手段から出力される。保護手段は、例えばクランプであるか又はクランプを備えており、好ましくは流量ポンプのような駆動手段と協働する。外来物が液体中に認識された場合、流体は直ちに停止されて、対応する警告が出力されることが好ましい。空気泡又は血液塊が患者へ供給されることが抑制されるため、これは、血液透析において極めて重要かつ利点を有することである。
【0036】
保護手段及び警告手段は、概して血液処理装置における通常の要素であるが、透析装置のような血液処理装置の要素である。既存の要素を使用することができる利点は、血液処理装置の単純な修復が可能となることである。
【0037】
この装置は、特に透析装置といった血液処理装置の要素であり、又は、この装置は特に透析装置といった血液処理装置である。
【0038】
本発明は、更に、請求項11の特徴を備えている、液体又は流体中における外来物の測定及び/又は監視方法に関する。特に血液又は血流といった液体又は流体中における外来物を測定及び/又は監視するため、液体は、光学的に及び超音波により監視され、空気泡及び/又は血液塊のような固体物といった少なくとも一つの外来物が、液体中で認識され、及び/又は、取得された監視信号の組み合わせを参照して、特に取得された監視信号の比較を参照して、少なくとも一つの第2の外来物から識別される。本発明によれば、空気泡のような第1の外来物が、血液塊のような第2の外来物から簡易に安全に識別される。
【0039】
少なくとも一つの外来物が少なくとも超音波モニタにより液体中に認識される場合、又は、少なくとも一つの外来物が光学監視手段及び超音波モニタにより液体中にほぼ同時に認識される場合、1以上の空気泡が液体中に認識され、及び/又は、少なくとも一つの外来物が液体中に光学的に認識され、且つ、外来物が無い又は極めて小さい外来物が超音波により認識される場合、特に血液塊である1以上の固体物が液体中に認識される。光学監視手段と超音波監視手段とが同じ場所に設置される又は同じ場所で信号トリガ事象を記録する場合、同時の測定が行われる。光学監視手段と超音波監視手段とが同じ場所に設置されない場合、又は、異なる場所で信号トリガ事象を記録する場合、オフセットが考慮される、即ち、流速及びそれに付随する不感時間が考慮される。信号トリガ事象の記録は、オフセットを考慮することにより、前述の文章にてほとんど同時に生じるとした場合にも生じる。好ましくは、光学監視手段及び超音波監視手段は小さい又は極めて小さいオフセットと共にのみ配置される。光学信号が受診された超音波信号よりも実質的に大きい又は強い場合、塊が認識されうる。このように、得られた信号の相違を参照することにより、塊が検出されうる。
【0040】
更に、光学モニタにより得られた監視信号は、ハイパスフィルタにより濾過される。
【0041】
いかなる種類のハイパスフィルタもこの目的にとって概ね最適である。
【0042】
しかしながら、ハイパスフィルタが、監視信号が数ミリ秒の固定間隔で集積され、浮遊平均値が前述の測定から決定されて電流集積結果から減算されるフィルタである場合は、特に有利である。
【0043】
この方法は、請求項1乃至10の何れかに記載の少なくとも一つの装置を用いることにより実行される。
【0044】
本発明は、更に、請求項11乃至15の何れかに記載の方法を実行するために、請求項1乃至10の何れかに記載の装置の使用に関し、及び/又は、血液処理装置、特に透析装置において請求項1乃至10の何れかに記載の装置の使用にも関する。
【0045】
本発明は、更に、請求項17の特徴を備える、特に血液透析装置といった血液処理装置にも関する。特に透析装置といった血液処理装置は、請求項1乃至10の何れかに記載の少なくとも一つの装置である。
【0046】
本発明は、請求項18の特徴を備える血液処理装置の使用にも関する。血液処理装置、特に請求項17に記載の血液処理装置が、請求項11乃至15の特徴を備える方法を実行するために使用され、及び/又は、特に血液透析装置といった血液処理装置において使用される。
【0047】
本発明は、更に請求項19の特徴を備える使い捨て品にも関する。特に使い捨てのホースセット又は使い捨てのカセットといった使い捨て品は、請求項1乃至10の何れかに記載の装置において使用され、好ましくは請求項6乃至10の何れか1項に装置の受容部において使用される。
【0048】
本発明の詳細及び効果は、図面に示される発明の実施態様において、下記に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】超音波により空気泡を検出する概略図である。
図2】血流において空気泡及び血液塊を測定及び監視する発明にかかる装置の概略図である。
図3】光学センサにて血液塊の検出を行う概略図である。
図4】本発明にかかる方法及び装置の信号評価にかかるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1には、空気泡及び血液塊の測定及び監視のための装置10において使用されるように、超音波センサ15の超音波手段による空気泡の検出の概略が説明される。
【0051】
図1に示されるように、超音波センサ15の伝達により、超音波パルスは、詳述されていない血液透析のための使い捨てのホースキットのホースピース30であり、流体が流れていく流体ガイド30へ結合される。血液B中の異なるサイズの空気泡L、L’はこの信号を弱める。音響信号が通過した後、信号は、送信機の反対側にある流体ガイド30の壁に投射され、反射される。反射された信号は次に流体ガイド30を通過し、超音波センサ15の受信部によって反射される。音響信号の評価を参照することにより、空気泡が存在しているか否かを識別することが可能である。
【0052】
超音波センサ15は、超音波信号が出力され且つ受信される手段である共通の圧電要素において、好ましくは送信部と受信部とを結びつける。本実施形態では、例えば送信と受信との間で切り替えが定期的になされる。
【0053】
装置10の塊検出(塊検出器11)のための光学センサ11は、図2に示されるように、約805nmの波長の狭帯域近赤外光を照射する光源12としてのLED12を実質的に備えている。赤血球におけるヘモグロビンによる吸収が極めて少ない一方、含有酸素には依存しないので、約805nmの波長は特に適している。
【0054】
送信測定のための光検出器13が、光源12の反対側に配置されている。光検出器13は、受信した強度に対応した周波数信号を出力するのが好ましい。しかしながら、光検出器は、強度に比例する電圧又は強度に比例する電流を出力することも可能である。
【0055】
測定経路は、光源12(送信部)と光検出器13(受信部)との間に位置する。この測定経路は、クランプされたチューブ30又はカセットシステムの管である。血液Bはこの測定経路を通して流れる。空気泡検出器15は、好ましくは一方の面にのみ設けられ(図2も参照)、塊検出器11の近隣に配置されており、これにより測定経路はU型に囲まれている。詳述はされていないが、血液透析装置のような血液処理装置の機械前面は、空気泡検出器15の反対側に位置する。
【0056】
超音波センサ15は、流れ去る空気泡を検出し且つ定量する。血液又は血漿と塊との間の密度差が極めて少ないので、このセンサ15は塊を検出できない。照射の送信強度が短時間で増加するため、短く且つ強く信号が増加して、塊検出器11は空気泡と反応し且つ同様に血液塊と反応する。光検出器13の信号は、詳述はしないが、msの固定間隔で、計算により集積される。これは、パルスを計測する又は周波数を測定することにより、周波数出力を備える検出器にて行われる。浮遊平均値は、所定数の前述の測定のから計算され、電流集積結果から減算される。このタイプのハイパスフィルタにより、単純な信号計算が可能となる。しかしながら、他のハイパスフィルタも同様に計算に適している。ハイパスフィルタを通過した信号が閾値を超えた場合、空気泡又は塊のいずれかが測定経路を通して流れる。超音波センサ15が事象(流速を考慮に入れての閉鎖)を検出する場合、それは空気泡である。しかしながら、超音波センサ15が何も記録しない場合、塊は検出されない。
【0057】
図3は、例示として、光学センサ11での血液測定の結果である。60分以上の後に、血液の凝集が発生し、それは血液中の血小板の減少から検出される。センサ11で検出される多数の血液塊が結果として発生する。センサ信号の振幅が、垂直棒としてのダイアグラムに導入される。
【0058】
パルスのレベルはセンサ11のデザインに影響される。ここで問題となっているのは、20ミリ秒を超えるセンサ信号の集積が行われることである。この集積時間がより短く選択されると、パルスは、維持されている伝送信号からより明確に識別される。フィルタ又はハイパスフィルタのデザイン-特に浮遊平均計算へ考慮に入れられた多数の測定値数-は、このように影響を与える。
【0059】
塊又は空気泡が検出された場合、例えば、警告音及び光る警告ライト又は操作画面への対応表示により、特に血液透析装置といった血液処理装置から警報が出力される。この場合、血液は、必須手法において静脈部に通常存在する塊キャッチャを通過して搬送されないから、本発明にかかる装置は、体外血液循環からの血液補液において有利に用いられる。例えば、補液の間の警告の場合、補液停止又は特殊処理の勧めがオペレータによりトリガされ、ここで、特殊処理は、生理食塩水バック又は他の収集容器へ導入された塊若しくは空気を含有する流体を備える。しかしながら、患者にはリスクがないため、通常の流れ方向における体外血液循環の静脈部における空気キャッチャ及び塊キャッチャを経由して送達される塊又は空気泡への警告は出力されない。これらの機能は、保護及び警告機能40(図4参照)により、全自動的又は半自動的に行われることが好ましい。
【0060】
例えば、各々の光学センサ11及び各々の超音波センサ15が、血液循環の動脈側にも静脈側にも配置されることが好ましい。通常の処理操作において、光学センサ11及び超音波センサ15を備えるセンサ対により体外血液循環の動脈側での塊が評価され、検査のための特別処理がなされる。通常の補液では、例えば、動脈ラインへ結合した生理食塩水溶液バックからの生理食塩水溶液の導入及び体外血液循環の静脈部を経由しての血液補液により、光学センサ11及び超音波センサ15を備えるセンサ対により体外血液循環の静脈部にて評価される。同時の補液では、即ち、血液が体外血液循環の動脈部及び静脈部を介してもどる場合、両方のセンサ対、即ち、動脈側のセンサ対及び静脈側のセンサ対が評価され、双方が補液を停止し又は塊若しくは空気泡の探知の特別処理を要求する。全てのケースにおいて、安全クランプが血液流を停止させるために使用される。
【0061】
図4は、単純な形で示されたフローチャートであり、各々、装置又は方法の信号評価に関する。光学センサ11により受信された信号は、ハイパスフィルタを通して伝達されて、パルスが探知される。イベントが検知されると、超音波センサ15により獲得された信号と比較される。イベントが光学センサ11及び超音波センサ15により同時に探知された場合、例えば空気泡が通過した中央コントロールの要素及び/又は血液処理装置の規制ユニットである、信号評価手段により認識される。イベントが光学センサ11のみにより探知された場合、塊が通過した信号評価手段により認識される。このような場合、保護及び警告手段40が活性化される。詳細には、例えば、本発明にかかる装置が使用され且つ体外血液循環が選択的に停止する血液処理装置のスクリーンのような出力手段に警告が出力される。
図1
図2
図3
図4