【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的のために、本発明の主題は、請求項1に記載の製造方法である。
【0015】
本出願人は実際に、犠牲金属層及びシード層によって覆われるシリコン支持ウエハの代わりにバルク金属基板を使用することにより、電気鋳造ステップによって形成される構造を、その構造が基板から分離される前にその位置で機械加工することが可能になることを発見した。これにより、同一の基板上に多数の構造(又は部品)を製造する際には、インプレッションをレジスト層上に形成するために使用されるマスクによってそれらの構造が基板上に非常に正確に配置されている場合には構造が基板から分離される前に、これらの構造をまとめて機械加工することが可能である。したがって、後続の機械加工を行う目的で、基板から分離した後で各構造を配置し固定するというような追加のステップは、もはや必要ではない。この方法は、実現される簡略化とは別に、後になっては同じような程度にはもはや再現することができないものである、基板上に部品を位置決めする際の非常に高度な精度から最も大きな恩恵を受ける。
【0016】
また、複数層金属構造を製造する場合には、バルク金属の支持体を使用することにより、平坦な上側表面又は所望の厚さを得るために、各電着ステップ終了後の機械加工(研削及び研磨)によって平坦化(leveling)することが可能となる。後続の電気めっきがより均一に行われ、この電気めっきにより、凹凸を有する表面上よりも平面上において良好な厚さ調節が可能となるので、このことには、得られる複数層金属構造の品質を改善するという効果がある。
【0017】
したがって、以下の説明を通じて認められるように、本発明による方法では、基板は、この基板の平面によって形成された表面以外の、金属構造の少なくとも1つの表面の形成に関係する媒介物(agent)の役割を果たす。
【0018】
このようなLIGA法における照射は、硬化したゾーンのアレイを作製するための、マスクを通した正規モードでの照射やレーザーモードでの照射による、又はレーザーアブレーションによるX線照射又は紫外線照射であってもよい。
【0019】
このLIGA技術は、UV−LIGA技術、即ちUV照射を使用するLIGA技術であることが好ましい。
【0020】
本発明は、UV−LIGA技術で機械加工された単層金属構造を製造する方法に関し、本方法は、
a)バルク金属基板をフォトレジスト層によって被覆するステップと、
b)必要に応じて、溶媒を蒸発させるためにフォトレジスト層を加熱するステップと、
c)所望のインプレッションに対応するマスクを通して、365nmの波長で測定される100〜2000mJ/cm2のUV照射にフォトレジスト層を曝すステップと、
d)必要に応じて、光硬化又は光分解を完了するために、ステップc)の後で得られた層をアニールするステップと、
e)未硬化の部分、又は光分解した部分を溶解することによって現像を行うステップと、
f)フォトレジストモールドの開口部分内に金属又は合金を電着させるステップと、
g)平坦な上側表面を得るために、電気鋳造された金属構造を機械加工によって平坦化するステップと、
h)必要に応じて、電気鋳造された機械構造の上側表面上に1つ又は複数の他の機械加工作業を行うステップと、
i)金属構造及び硬化したフォトレジストを層間剥離によってバルク金属基板から分離し、硬化したフォトレジストを機械加工された単層金属構造から切り離すステップとを含む。
【0021】
このバルク金属基板は、例えば円筒又は直方体のような任意の形状をした、一般に1〜5mmの厚さを有するバルク金属プレートであり、その上側表面の大きさは、一般には1〜5000、特には10〜3000である、任意の一基板上に製造される構造の数に応じて選択される。このプレートは、カソードとして機能することによって電気鋳造の反応を引き起こす(seeding)ことができる金属及び/又は導電性合金から形成される。例えばこのプレートは、銅、黄銅、又はステンレス鋼から構成することができる。好ましくは、このプレートはステンレス鋼から構成される。
【0022】
バルク金属基板は電解液浴と接触させることになるのであるが、このバルク金属基板の上側表面は、例えばマイクロピーニングによって、化学的もしくは機械的エッチングによって、又はレーザーによって研磨又はテクスチャ付けがなされてもよい。金属基板をエッチングする場合には、上記金属基板に行われるエッチングによって生じるレリーフ状の少なくとも1つの表面要素を得ることが可能である。エッチングされた表面形状が常に材料の除去によって形成されるので、これは全く新規なものである。
【0023】
基板のエッチングはマスクを用いて実行され、このマスクは、LIGAによって製造される金属構造の形状を定めるモールドの開口を形成するために使用されるマスクと同じ位置決めシステムを使用して、金属基板上に配置される。2つのマスクが共通の位置決め基準を有するので、金属構造の表面上に形成されるエッチングされた表面形状を、電着によって製造される金属構造の周辺部に対して非常に正確に位置決めすることができる。
【0024】
バルク金属基板は、適切な処理によって、脱脂され且つ電気鋳造の準備が行われる。この基板がステンレス鋼から構成されている場合には、適切な処理は、例えば、アルカリ脱脂ステップと、その後に続く酸性中和ステップから構成され、それにより基板表面を不動態化し、蒸留水を用いて洗浄及び乾燥を行う。
【0025】
フォトレジストは、光開始剤が存在する場合にUV照射の作用で硬化できる樹脂を主成分とするネガ型フォトレジスト、又は、光開始剤が存在する場合にUV照射の作用で分解できる樹脂を主成分とするポジ型フォトレジストのいずれかである。ネガ型フォトレジストは、例えば、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂、又はアクリル樹脂を主成分とする。有利なエポキシ樹脂は、八官能エポキシ樹脂SU−8(Shell Chemical社)である。このエポキシ樹脂は、通常、トリアリールスルホニウム塩(例えば特許文献4及び特許文献5に記載のもの)から選択される光開始剤が存在する場合に使用される。ポジ型フォトレジストは、例えば、DNQ(ジアゾナフトキノン)光開始剤が存在する場合に、ノボラック型フェノールホルムアルデヒド樹脂を主成分とする。
【0026】
フォトレジストは、スピンコーティングによって、又は、例えば浸漬コーティング、ロールコーティング、押し出しコーティング、スプレーコーティング、もしくは(例えばアクリル樹脂を主成分とするドライフィルムの場合には)ラミネーション等の別の技法によって堆積させることができる。好ましいコーティング技法は、スピンコーティングである。
【0027】
ステップc)の照射条件下で所望の効果(光硬化又は光分解)を誘発させるための最大フォトレジスト厚は、UV−LIGAの場合、典型的には1mmである。1回の塗布で被覆することができるフォトレジスト層の厚さは、スピンコーティング技法に応じて、典型的には150μmである。バルク金属基板には、そのフォトレジストの所望の厚さに応じて、1回又は複数回フォトレジストが被覆される。
【0028】
ステップb)で溶媒を除去するために、フォトレジストが加熱される可能性のある条件は、フォトレジストの製造業者からの指示の通りにフォトレジストの性質(nature)及び厚さに応じて選択される。厚さ140μmのSU−8エポキシ樹脂を主成分とするフォトレジストの場合、ステップb)は、例えば、5〜10分間65℃で加熱し、次いで30〜60分間95℃で加熱するというものである。ドライアクリルフィルムを主成分とするフォトレジストの場合には、溶媒を蒸発させるこの加熱ステップは不要である。
【0029】
フォトレジストを数回塗布する必要がある場合、及び溶媒を蒸発させるためにフォトレジストを加熱する必要がある場合には、ステップa)に続いて、一回目のフォトレジストの塗布の後にステップb)が実行され、ステップa)及びb)は必要な回数繰り返される。
【0030】
ステップc)は、所望のインプレッションに対応するマスクを通して、365nmの波長で測定される100〜2000mJ/cm
2のUV照射にフォトレジスト層を曝すというものである。この照射は、樹脂の光硬化(ネガ型フォトレジスト)又は樹脂の光分解(ポジ型フォトレジスト)を誘発する。
【0031】
ステップd)は、必要に応じて、ステップc)の光硬化又は光分解を完了するために、ステップc)の後で得られる層をアニールするというものである。
【0032】
ステップe)は、フォトレジストの製造業者からの指示の通りに、フォトレジストの種類に応じて選択される適切な水溶液又は溶媒を使用して、未照射部分(ネガ型フォトレジスト)又は照射された部分(ポジ型フォトレジスト)を溶解することにより、構造を現像するというものである。適切な水溶液の例は、弱アルカリ性溶液、例えば炭酸ナトリウム溶液であり、適切な溶媒の例は、GBL(γ−ブチロラクトン)、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート)及びイソプロパノールである。現像溶媒又は溶液としては、エポキシ樹脂にはPGMEAを、アクリル樹脂には1%の炭酸ナトリウム溶液又はイソプロパノールを使用することが有利である。
【0033】
ステップf)は、カソードとしてバルク金属基板を使用して、フォトレジストモールドの高さ以下の定められた高さまで、フォトレジストモールドの開口部分内に金属又は合金を電着させるというものである。
【0034】
ステップg)は、平坦な上側表面を有するように、機械加工によって平坦化するというものである。これは、バルク金属基板の存在によって可能になる。また、この作業により、電着金属構造の2つの表面間が確実に完全な平行となるようにすることが可能となる。
【0035】
電気鋳造用の金属としては、ニッケル、銅、金、又は銀がよく用いられ、合金としては、金−銅合金、ニッケル−コバルト合金、ニッケル−鉄合金、又はニッケル−マンガン合金がよく用いられる。電気鋳造条件、特に浴の組成、システムの幾何学的配置、電圧及び電流密度は、電気鋳造技術分野で周知の技法(例えば、非特許文献3を参照)に従って、電着される各金属又は合金に対して選択される。
【0036】
機械加工による平坦化作業は、通常、研削及び研磨によって実行され、それにより、表面凹凸が約1μm以下の平坦な上側表面が作られる。
【0037】
ステップh)は、所望の構造を得るために、必要に応じて、電気鋳造された機械構造の上側表面上へ、例えば面取り、エッチング、又は装飾加工等の他の機械加工作業を行うというものである。
【0038】
ステップi)は、層間剥離によってバルク金属基板から機械加工された金属構造を分離し、さらに機械加工された金属構造からフォトレジストを切り離すというものである。フォトレジストを切り離す前に、適切な場合には、エッチング、表面処理、及び機械式マーキング作業又はレーザマーキング作業を分離した金属構造に行ってもよい。
【0039】
バルク金属基板の上側面から層間剥離によって分離される金属構造の下側面は、この上側面の表面仕上げを複写する。そのため、下側面は、テクスチャ付けされる(金属基板の上側面が、例えばエッチング又はマイクロピーニングによってテクスチャ付けされている場合)か、又は、所望の研磨の程度まで磨かれた、研磨された外観を有する(金属基板の上側面が所望の研磨の程度まで磨かれた場合)。後者の場合には、構造の下側面の表面の研磨された外観は、適切な場合には上側面の表面を研磨することによって得られる研磨された外観と、肉眼では区別することができない。しかしながら、50倍の倍率で、適切な照明及び特定の向きの光学顕微鏡によって、又は走査型電子顕微鏡によって、又は局所表面分析システム(topographic surface analysis system)を使用して検査すると、これら2つの表面間の識別を行うことができる。
【0040】
機械加工された機械構造からの硬化したフォトレジストの分離又は剥離は、通常、化学エッチングによって、又はプラズマ処理によって行われる。このようにして、機械加工された金属構造は解放される。
【0041】
本発明による、バルク金属基板上に単層金属構造を製造する方法は、シリコン支持ウエハ上にこのような構造を製造する知られている方法に勝る多くの利点を有する。
【0042】
まず、本方法は、電気鋳造の後で得られる構造の上側表面上で、基板の分離及び硬化されたフォトレジストモールドの切り離しの前に、基板の表面に平行な平坦な表面を得るために、任意の機械加工作業、特に研削及び任意選択の研磨による表面の平坦化を行うことを可能にし、さらに、例えば面取り、エッチング、又は装飾加工等の1つ又は複数の他の機械加工作業も可能にする。これにより、同一の基板上に多数の構造(又は部品)を製造する際には、上記基板上に配置され固定されるこれらの構造をまとめて機械加工することが可能であり、したがってこの機械加工の場合、UV−LIGA技術の実行中に行われる硬化した極めて正確なフォトレジストモールドにおける位置決め及び固定から恩恵を受ける。基板から分離した後では、各金属構造を位置決めし固定する際にこのような精度を得ることは、不可能ではないにしても非常に難しい。
【0043】
本発明の方法は、極めて正確に位置決めして挿入された物体を含む単層金属構造を製造するために使用することができる。
【0044】
これは、ステップa)〜ステップe)を実行した後で、バルク金属基板の上部に取り外し可能な固定された物体を配置すること、及び、バルク金属基板から電気鋳造された金属構造を層間剥離によって分離するときに、この物体をバルク金属基板から解放することが可能であるからである。例えば、この物体は、時計の歯車列の軸受ルビー等の宝石であってもよい。バルク金属基板を使用するという事実により、軸受を案内するために開口部の直径に調整され、基板表面から突出しながら基板内に固定されるペグによって、この軸受を非常に正確に配置することが可能になり、その結果、軸受を案内するための開口部内で基板の表面から少しの距離のところに軸受が係合できるようになる。ステップf)中、軸受を取り囲む電気鋳造された金属又は合金内にこの軸受を保持することができる。したがって、ステップi)中に電気鋳造された構造をバルク金属基板から解放すると、挿入された物体(即ち挿入物)を含む電気鋳造された構造が得られる。
【0045】
物体の正確な位置決め及び取り外し可能な取り付けは、犠牲金属層及びシード層によって覆われたシリコン支持ウエハの上では不可能である。UV−LIGAによって単層金属構造を製造する知られている方法は、そのようなウエハを使用しており、したがって、電気鋳造された金属構造に物体を挿入することができない。
【0046】
したがって、本発明は、挿入された物体を含む機械加工された新規な単層金属構造にも関し、この構造は、上で定めた方法によって得ることができる。
【0047】
本発明の方法は、正確に配置されたネジ穴を含む単層金属構造の製造も可能にする。
【0048】
これは、ステップa)〜ステップe)を実行した後で、バルク金属基板5のタップ穴にネジ30を、基板の上側表面を越えてこのネジ30を突出させることによって配置し(
図5A、
図5B参照)、金属基板が層間剥離により分離される前にバルク金属基板からこのネジを外すことが可能であるからである。このネジは、電気鋳造された金属に接着しない不活性材料、例えばテフロン(登録商標)(PTFE)から構成される。ネジ穴を配置することが望まれる位置の下において、ネジ穴がバルク金属基板5を垂直に通るようにバルク金属基板5にタッピングされ、ネジ30が下から上記穴に導入され(
図5A、
図5B参照)、上記ネジの一部が基板より上に突出する。ステップf)中、金属又は合金が、バルク金属基板から突出するネジの一部分を取り囲む。ステップi)の前に、このネジはバルク金属基板から外される。このネジの長さに応じて、盲穴のタッピング(
図5A)又は貫通穴のタッピング(
図5B)のいずれを行うことも可能である。
【0049】
シリコン支持ウエハは非常にもろく、割れてしまうため、シリコン支持ウエハ内にタッピングすることは不可能である。UV−LIGAによって単層金属構造を製造する周知の方法は、このようなウエハを使用する。したがって、それらの方法は、ネジ穴が作られる構造を製造しない。
【0050】
したがって、本発明は、上で定めた方法で得ることができるネジ穴を含む、機械加工された新規な単層金属構造にも関する。
【0051】
また、本発明は、全体が重ねられた層を有する機械加工された複数層金属構造をUV−LIGA技術で製造する方法にも関し、本方法は、
a)バルク金属基板をフォトレジスト層によって被覆するステップと、
b)必要に応じて、溶媒を蒸発させるためにフォトレジスト層を加熱するステップと、
c)所望のインプレッションに対応するマスクを通して、365nmの波長で測定される100〜2000mJ/cm2のUV照射にフォトレジスト層を曝すステップと、
d)必要に応じて、光硬化又は光分解を完了するために、ステップc)の後で得られた層をアニールするステップと、
e)未硬化の部分、又は光分解した部分を溶解することによって現像を行うステップと、
f)フォトレジストモールドの開口部分内に金属又は合金を電着させるステップと、
g)平坦な上側表面を得るために、機械加工によって平坦化を行うステップと、
h)ステップa)、b)、c)、d)、及びe)を繰り返し、硬化したフォトレジス
トで覆われていない電気鋳造された金属の表面を電気化学的処理によって活性化するステップと、
i)ステップf)及びg)を繰り返すステップと、
j)必要に応じて、ステップh)及びi)を繰り返すステップと、
k)必要に応じて、電気鋳造された機械構造の上側表面上に1つ又は複数の他の機械加工作業を行うステップと、
l)金属構造及び硬化したフォトレジストを層間剥離によってバルク金属基板から分離し、重ねられた層を有する機械加工された複数層金属構造から硬化したフォトレジストを切り離すステップとを含む。
【0052】
「全体が重ねられた層を有する複数層」という表現は、2つの隣接層の場合、上層の輪
郭が完全に下層の輪郭の立面の範囲内に入っていることを意味する。
【0053】
ステップa)、b)、c)、d)、e)、f)、及びg)は、UV−LIGAによって単層金属構造を製造するための前述の方法のステップと同様である。
【0054】
ステップh)は、ステップa)、b)、c)、d)、及びe)を繰り返し、電気化学的処理により、硬化したフォトレジストで覆われていない電気鋳造された金属の表面を活性化させるというものである。
【0055】
ステップa)では、基板としてステップg)の後で得られる平坦な上側表面を使用し、ステップc)では、電気鋳造する新しい金属層用の所望のインプレッションに対応する新規なマスクを使用して、ステップa)、b)、c)、d)、及びe)を繰り返す。
【0056】
ステップe)を繰り返した後で、硬化したフォトレジストで覆われていない電気鋳造された金属の表面は、例えば、逆電流を印加し、電気鋳造された金属をアノードとして機能させ、表面処理技術で周知の技法を使用して活性化される。
【0057】
ステップi)は、ステップf)及びg)を繰り返すというものである。ステップe)を繰り返した後で得られる硬化した新しいフォトレジストモールドの開口部分内に金属又は合金を電着させ、(通常、表面凹凸が約1μm以下の)平坦な上側表面を得るために、通常は研削及び研磨により、機械加工による平坦化作業が実行される。ステップi)中に電着させる金属又は合金は、ステップf)中に電着させる金属又は合金と同一でも、異なっていてもよい。通常、この金属又は合金は、同じ金属又は合金である。
【0058】
ステップj)は、必要に応じて、所望の複数層金属構造を得るためにステップh)及びi)を繰り返すというものである。この繰り返しは、2層金属構造を製造する場合には不要である。
【0059】
ステップk)は、必要に応じて、所望の構造を得るために、例えば面取り、エッチング、又は装飾加工等の他の機械加工作業を電気鋳造された機械構造の上側表面上に行うというものである。
【0060】
ステップl)は、層間剥離によってバルク金属基板から機械加工された金属構造を分離し、機械加工された機械構造からフォトレジストを切り離すというものである。
【0061】
バルク金属基板の上側面から分離される金属構造の下側面は、上記上側面の表面仕上げを複写する。そのため、下側面は、テクスチャ付けされる(金属基板の上側面が、例えばエッチング又はマイクロピーニングによってテクスチャ付けされている場合)か、又は研磨された外観を有する(金属基板の上側面に研磨作業が施された場合)。
【0062】
後者の場合、構造の下側面の表面の研磨された外観は、適切な場合には上側面の表面を研磨することによって得られる研磨された外観と、肉眼での検査によっては区別することができない。しかしながら、50倍の倍率で、適切な照明及び特定の向きの光学顕微鏡によって、又は走査型電子顕微鏡によって、又は局所表面分析システムを使用すると、これら2つの表面は識別可能である。
【0063】
機械加工された機械構造からの硬化したフォトレジストの分離又は剥離は、通常、化学エッチング、又はプラズマ処理によって行われる。このようにして、機械加工された金属構造は解放される。
【0064】
本発明による、バルク金属基板上に全体が重ねられた層を有する複数層金属構造を製造する方法は、シリコン支持ウエハ上にこのような構造を製造する知られている方法に勝る多くの利点を有する。
【0065】
本方法は、最後の電気鋳造ステップの後で得られる金属構造の上側表面上に、基板からの分離の前に、任意の機械加工作業、特に面取り、エッチング、又は装飾加工作業を行うことを可能にする。これにより、任意の一基板上に多数の構造(又は部品)を製造する際には、この基板上に配置され固定されるこれらの構造をまとめて機械加工することが可能であり、この機械加工の場合、UV−LIGA技術の実施中に行われる極めて正確な硬化したフォトレジストモールドにおける位置決め及び固定から恩恵を受ける。各金属構造を基板から分離した後では、この金属構造を位置決めし固定する際にこのような精度を得ることが非常に難しい。
【0066】
本発明の方法は、平坦な上側表面を得るために各電着ステップ終了後の機械加工(研削及び研磨)による平坦化ステップを含む。これには、後続の電気めっきがより均一に行われ、この電気めっきにより、凹凸を有する表面上よりも研磨された表面上において良好な厚さ調節が可能となるので、得られた複数層金属構造の品質及びその厚さの均一性、特に特定の機械的特性及び/又は外観を改善する効果がある。
【0067】
新規であって、有利な特性を有する全体が重ねられた層を有する機械加工された複数層金属構造は、このようにして得られる。
【0068】
したがって、本発明は、上で定めた方法によって得ることができる全体が重ねられた層を有する機械加工された複数層金属構造にも関する。
【0069】
また、本発明の方法は、バルク金属基板を使用することにより、電気鋳造された第1の層内に挿入物体又はネジ穴を含む、全体が重ねられた層を有する新規な複数層金属構造を、前述の単層金属構造の場合と同様のやり方で本方法を実施することによって得ることを可能にする。挿入物体又はネジ穴を含むこのような多重層構造は、シリコン支持ウエハを使用するUV−LIGAにより複数層金属構造を製造する知られている方法によっては得ることができない。
【0070】
したがって、本発明は、上で定めた方法によって得ることができる挿入物体又はネジ穴を第1の層に有する機械加工された複数層金属構造にも関する。
【0071】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の方法を実施するいくつかの方法を概略的に例として示す添付の図面を参照して、以下の詳細な説明を読むことで明らかとなるであろう。