特許第5873923号(P5873923)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5873923ビス(フルオロアルキル)−1,4−ベンゾジアゼピノン化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873923
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】ビス(フルオロアルキル)−1,4−ベンゾジアゼピノン化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 243/24 20060101AFI20160216BHJP
   A61K 31/5513 20060101ALI20160216BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20160216BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20160216BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 31/138 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 31/282 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   C07D243/24CSP
   A61K31/5513
   A61P43/00 121
   A61P35/00
   A61P35/02
   A61K31/506
   A61K31/337
   A61K31/138
   A61K31/573
   A61K31/282
【請求項の数】19
【全頁数】110
(21)【出願番号】特願2014-501220(P2014-501220)
(86)(22)【出願日】2012年3月22日
(65)【公表番号】特表2014-511840(P2014-511840A)
(43)【公表日】2014年5月19日
(86)【国際出願番号】US2012030021
(87)【国際公開番号】WO2012129353
(87)【国際公開日】20120927
【審査請求日】2014年6月16日
(31)【優先権主張番号】61/466,238
(32)【優先日】2011年3月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391015708
【氏名又は名称】ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100068526
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 恭生
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(72)【発明者】
【氏名】クラウド・ケスネル
(72)【発明者】
【氏名】ソンフン・キム
(72)【発明者】
【氏名】リー・フランシス
(72)【発明者】
【氏名】アシュビンクマー・ガバイ
【審査官】 早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−523932(JP,A)
【文献】 特表2003−519698(JP,A)
【文献】 特表2000−507587(JP,A)
【文献】 特表2003−534333(JP,A)
【文献】 生活工学研究,2002年,4,310−317
【文献】 "新医薬品の規格及び試験方法の設定について",医薬審発第568号,2001年 5月 1日
【文献】 大島寛,"結晶多形・擬多形の析出挙動と制御",PHARM STAGE,2007年 1月15日,VOL.6,NO.10,PP.48-53
【文献】 高田則幸,創薬段階における原薬Formスクリーニングと選択,PHARM STAGE,2007年 1月15日,Vol.6, No.10,p.20-25
【文献】 山野光久,医薬品のプロセス研究における結晶多形現象への取り組み,有機合成化学協会誌,2007年 9月 1日,Vol.65, No.9,p.907(69)-913(75)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 243/24
A61K 31/138〜573
A61P 35/00
A61P 35/02
A61P 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】
(式中、
R1は、-CH2CF3または-CH2CH2CF3であり;
R2は、CH2CF3、-CH2CH2CF3、または-CH2CH2CH2CF3であり;
R3は、Hまたは-CH3であり;
各Raは、独立して、F、Cl、-CN、-OCH3、および/または-NHCH2CH2OCH3であり;そして、
zは、0、1、または2である)。
【請求項2】
R1が-CH2CF3または-CH2CH2CF3であり;そして、
R2が-CH2CF3または-CH2CH2CF3である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
zが0または1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R1が-CH2CH2CF3であり;そして、
R2が-CH2CH2CF3である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
zが0または1である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
zが1または2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
(2R,3S)-N-((3S)-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (1); (2R,3S)-N-((3S)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (2); (2R,3S)-N-((3S)-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2-(2,2,2-トリフルオロエチル)-3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (3); (2R,3S)-N-((3S)-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (4); (2R,3S)-N-((3S)-1-(2H3)メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (5); (2R,3S)-N-((3S)-7-クロロ-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (6); (2R,3S)-N-((3S)-8-メトキシ-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (7); (2R,3S)-N-((3S)-8-フルオロ-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (8); (2R,3S)-N-((3S)-7-メトキシ-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (9); (2R,3S)-N-((3S)-7-フルオロ-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (10); (2R,3S)-N-((3S)-8-クロロ-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (11); (2R,3S)-N-((3S)-9-メトキシ-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (12); (2R,3S)-N-((3S)-8-メトキシ-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (13); (2R,3S)-N-((3S)-7-メトキシ-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (14); (2R,3S)-N-((3S)-8-シアノ-9-メトキシ-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (15); (2R,3S)-N-((3S)-8,9-ジクロロ-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (16); (2R,3S)-N-((3S)-9-フルオロ-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (17); (2R,3S)-N-((3S)-9-クロロ-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (18); (2R,3S)-N-((3S)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-3-(4,4,4-トリフルオロブチル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (19); (2R,3S)-N1-((3S)-8-メトキシ-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-3-(4,4,4-トリフルオロブチル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (20); または、(2R,3S)-N-((3S)-9-((2-メトキシエチル)アミノ)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (21)から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
式:
【化2】
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
該化合物が、式:
【化3】
である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
該化合物が、式:
【化4】
である、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
該化合物が、以下のうちの1つを特徴とする結晶形態N-1である、請求項10に記載の化合物:
a)5.7±0.2、7.5±0.2、10.3±0.2、10.7±0.2、15.2±0.2、16.8±0.2、20.2±0.2、または20.7±0.2の2θ値(CuKα λ=1.5418Å)を含む、シミュレーション粉末x-線回折パターンおよび/または実測PXRDパターン(ここで、該形態N-1のPXRDパターンは20℃の温度にて測定される);
b)5.7±0.2、7.5±0.2、10.3±0.2、10.7±0.2、15.2±0.2、16.8±0.2、20.2±0.2、または20.7±0.2から選択される、4つ以上の2θ値(CuKα λ=1.5418Å)を含む粉末x-線回折パターン(ここで、該形態N-1のPXRDパターンは20℃の温度にて測定される);
c)以下と同等の単位格子パラメータ:
格子定数:
a = 9.41 Å
b = 17.74 Å
c = 31.94 Å
α = 90.0°
β = 98.4°
γ = 90.0°
空間群: P21
該化合物の分子数/非対称ユニット: 4
(ここで、形態N-1の単位格子パラメータは-10℃の温度にて測定される);および/または、
d)下記表に記載される通りの25℃の温度での分率原子座標。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物;および医薬的に許容される担体を含有する、癌の処置のための医薬組成物。
【請求項13】
該癌が、T細胞急性リンパ性白血病、乳癌、膵癌、卵巣癌、非小細胞肺癌、大腸癌、骨肉腫、または神経芽腫である、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
該化合物が、式:
である、請求項12または13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
適宜、ダサチニブ、パクリタキセル、タモキシフェン、デキサメタゾン、またはカルボプラスチンから選択される1つ以上のさらなる薬剤を含む、請求項12〜14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
該医薬的に許容される担体がポリエトキシヒマシ油である、請求項12〜15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
さらに無水アルコールを含む、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
癌の処置のための医薬の製造における請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項19】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物、ならびに、ダサチニブ、パクリタキセル、タモキシフェン、デキサメタゾン、またはカルボプラスチンから選択される1つ以上のさらなる薬剤を組み合わせて含む、癌の処置のための剤であって、該化合物は該さらなる薬剤と連続的または同時に投与される、該剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、Notch阻害剤として有用なベンゾジアゼピノン化合物に関する。本発明は、さらに、Notch経路に関連する症状、例えば、癌および他の増殖性疾患の処置に有用である、少なくとも1つの本発明による化合物を含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
Notchシグナリングは、様々な細胞プロセス(例えば、細胞運命特定、分化、増殖、アポトーシス、および血管形成)に関わっている(非特許文献1;非特許文献2)。Notchタンパク質は、1回貫通型ヘテロ二量体膜貫通分子である。Notchファミリーには、4つの受容体、NOTCH 1〜4が含まれ、それらは、DSLファミリー(Delta-like 1、3、4、ならびにJagged 1および2)からのリガンドに結合することによって活性化される。
NOTCHの活性化および成熟には、γセクレターゼ(プレセニリン1もしくはプレセニリン2、ニカストリン、APH1、およびPEN2を含む多タンパク質複合体)により仲介されるタンパク質切断ステップを含む、一連のプロセシングステップが必要とされる。NOTCHが切断されると、NOTCH細胞内ドメイン(NICD)が膜から遊離される。遊離されたNICDは核へ移行し、そこで、CSLファミリーメンバー(RBPSUH, ”suppressor of hairless”、およびLAG1)と協力して、転写活性化因子として機能する。NOTCH標的遺伝子には、HESファミリーメンバー(例えばHES-1)が含まれる。HES-1は、遺伝子の転写抑制因子(例えば、HERP1(HEY2としても知られる)、HERP2(HEY1としても知られる)、およびHATH1(ATOH1としても知られる))として機能する。
【0003】
Notch経路の異常な活性化は腫瘍形成の一因である。Notchシグナリングの活性化は、様々な固形腫瘍(卵巣癌、膵癌、および乳癌を含む)、ならびに血液腫瘍(例えば、白血病、リンパ腫、および多発性骨髄腫)の病因に関与している。様々な固形および血液腫瘍の処置におけるNotch阻害の役割およびその有用性が、非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10;および非特許文献11に記載されている。
【0004】
Notch阻害剤として有用であって、効果的な濃度の薬物曝露をもたらす十分な代謝安定性を有する化合物が、依然として必要とされている。さらに、患者に経口投与または静脈内投与することができる、Notch阻害剤として有用な化合物が依然として必要とされている。
特許文献1は、神経障害(例えばアルツハイマー病)の処置に有用なスクシノイルアミノベンゾジアゼピン化合物を開示している。該文献には、これらのスクシノイルアミノベンゾジアゼピン化合物は、γセクレターゼ活性およびアミロイドタンパク質の神経への蓄積の形成に関連するアミロイド前駆体タンパク質のプロセシングを阻害することが開示されている。該文献は、増殖性疾患(例えば癌)の処置におけるこれらの化合物の使用は開示していない。
【0005】
出願人らは、Notch阻害剤として活性を有しており、静脈内または経口投与によって効果的な濃度の薬物曝露をもたらす十分な代謝安定性を有する、有力な化合物を見いだした。薬物としての性能にとって重要である、望ましい安定性、生物学的利用能、治療指数、および毒性値を有する医薬品として有用である、これらの化合物を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,053,084号明細書(B1)
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Bray, Nature Reviews Molecular Cell Biology, 7:678-689 (2006)
【非特許文献2】Fortini, Developmental Cell 16:633-647 (2009)
【非特許文献3】Miele, L. et al., Current Cancer Drug Targets, 6:313-323 (2006)
【非特許文献4】Bolos, V. et al., Endocrine Reviews, 28:339-363 (2007)
【非特許文献5】Shih, I.-M. et al., Cancer Research, 67:1879-1882 (2007)
【非特許文献6】Yamaguchi, N. et al., Cancer Research, 68:1881-1888 (2008)
【非特許文献7】Miele, L., Expert Review Anti-cancer Therapy, 8:1197-1201 (2008)
【非特許文献8】Purow, B., Current Pharmaceutical Biotechnology, 10:154-160 (2009)
【非特許文献9】Nefedova, Y. et al., Drug Resistance Updates, 11:210-218 (2008)
【非特許文献10】Dufraine, J. et al., Oncogene, 27:5132-5137 (2008)
【非特許文献11】Jun, H.T. et al., Drug Development Research, 69:319-328 (2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(発明の概要)
本発明は、Notchシグナリング経路の選択的阻害剤として有用なビス(フルオロアルキル)-1,4-ベンゾジアゼピノン化合物、およびそのプロドラッグを提供することにより、前述の要求を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はまた、医薬的に許容される担体;および少なくとも1つの式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグを含有する医薬組成物を提供する。
【0010】
本発明はまた、式(I)の化合物または医薬的に許容されるそのプロドラッグを哺乳動物患者に投与することを含む、Notch受容体の活性に関連する疾患または障害の処置方法を提供する。
【0011】
本発明はまた、式(I)の化合物またはそのプロドラッグを製造するための方法および中間体を提供する。
【0012】
本発明はまた、療法に用いるための式(I)の化合物またはそのプロドラッグを提供する。
【0013】
本発明はまた、癌の処置のための医薬の製造における式(I)の化合物またはそのプロドラッグの使用を提供する。
【0014】
式(I)の化合物および該化合物を含有する組成物はNotch阻害剤であり、様々なNotch受容体-関連症状の処置、予防または治療において用いられうる。これらの化合物を含有する医薬組成物は、様々な治療領域(例えば癌)における、疾患もしくは障害の処置、予防、または進行の遅延において有用である。
【0015】
本発明のこれらおよび他の特徴を、以下に続けて開示するように、拡充して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明を、以下に記載の添付の図面を参照することにより説明する。
【0017】
図1図1は、実施例1の化合物のN-1形態(Form)の実測(約25℃にて)およびシミュレーション(約25℃にて)PXRDパターン(CuKα λ=1.5418Å)を示す。
【0018】
図2図2は、実施例1の化合物のA-2形態の実測(約25℃にて)およびシミュレーション(約25℃にて)PXRDパターン(CuKα λ=1.5418Å)を示す。
【0019】
図3図3は、実施例1の化合物のEA-3形態の実測(約25℃にて)およびシミュレーション(約25℃にて)PXRDパターン(CuKα λ=1.5418Å)を示す。
【0020】
図4図4は、実施例1の化合物のTHF-2形態の実測(約25℃にて)およびシミュレーション(約50℃にて)PXRDパターン(CuKα λ=1.5418Å)を示す。
【0021】
図5図5は、実施例2の化合物のM2-1形態の実測(約25℃にて)およびシミュレーション(約25℃にて)PXRDパターン(CuKα λ=1.5418Å)を示す。
【0022】
図6図6は、TALL1 ヒトT-細胞 急性リンパ性白血病に対する実施例1の抗腫瘍効果を示す。各記号は、8匹のマウスの群の腫瘍量の中央値を示す。 (●) コントロール; (■) 実施例1, 5 mg/kg/adm, QD x 3, IV.
【0023】
図7図7は、T-細胞 急性リンパ性白血病細胞株 TALL1における、実施例2のin vivo 抗腫瘍活性を示す。各記号は、8匹のマウスの群の腫瘍量の中央値を示す。 (●) コントロール; (△) 実施例2, 12 mg/kg, QDx15; (■) 実施例2, 6 mg/kg, QDx15; (□) 実施例2, 3 mg/kg, QDx15; (▲) 実施例2, 1.5 mg/kg, QDx15; (○) 実施例2, 0.75 mg/kg, QDx15.
【0024】
図8図8は、ヒト乳癌細胞株 MDA-MB-157における実施例2のin vivo 抗腫瘍活性を示す。各記号は、8匹のマウスの群の腫瘍量の中央値を示す。 (○) コントロール; (▲) 実施例2, 24 mg/kg; (■) 実施例2, 18 mg/kg; (●) 実施例2, 12 mg/kg.
【0025】
図9図9は、ALL-SIL T-細胞リンパ性白血病における、実施例1とダサチニブを組み合わせた化学療法による相乗的抗腫瘍効果を示す。各記号は、8匹のマウスの群の腫瘍量の中央値を示す。 (●) コントロール; (◆) 実施例1, 3.75 mg/kg/adm, QD x 3, 7週間毎週, PO; (■) ダサチニブ, 10 mg/kg/adm, QD x 49, PO; (□) 実施例1, 3.75 mg/kg/adm, QD x 3, 7週間毎週, PO + ダサチニブ 10 mg/kg/adm, QD x 49, PO. 同日に投与する場合、該2つの薬剤をほぼ同時に投与した(実施例1をダサチニブよりも1時間未満先行して投与した)。
【0026】
図10図10は、ALL-SIL T-細胞リンパ性白血病における、実施例1とダサチニブを組み合わせた化学療法による相乗的抗腫瘍効果を示す。各記号は、8匹のマウスの群の腫瘍量の中央値を示す。 (●) コントロール; (◆) 実施例1, 7.5 mg/kg/adm QD x 3, 7週間毎週, PO; (■) ダサチニブ, 10 mg/kg/adm, QD x 49, PO; (□) 実施例1, 7.5 mg/kg/adm, QD x 3, 7週間毎週, PO + ダサチニブ 10 mg/kg/adm, QD x 49, PO. 同日に投与する場合、該2つの薬剤をほぼ同時に投与した(実施例1をダサチニブよりも1時間未満先行して投与した)。
【0027】
図11図11は、MDA-MB-468 ヒト乳癌における、実施例1とパクリタキセルを組み合わせた化学療法による相乗的抗腫瘍効果を示す。各記号は、8匹のマウスの群の腫瘍量の中央値を示す。 (●) コントロール; (◆) パクリタキセル, 12 mg/kg/adm, Q7D x 6, IV; (▲) 実施例1, 3.75 mg/kg/adm, QD x 3, 7週間毎週, PO; (□) 実施例1とパクリタキセルの組み合わせ.
【0028】
図12図12は、MDA-MB-468 ヒト乳癌における、実施例1とパクリタキセルを組み合わせた化学療法による相乗的抗腫瘍効果を示す。各記号は、8匹のマウスの群の腫瘍量の中央値を示す。 (●) コントロール; (◆) パクリタキセル, 12 mg/kg/adm, Q7D x 6, IV; (▲) 実施例1, 7.5 mg/kg/adm, QD x 3, 7週間毎週, PO; (□) 実施例1とパクリタキセルの組み合わせ.
【0029】
図13図13は、MCF7 ヒト乳癌における、実施例1とタモキシフェンを組み合わせた化学療法による相乗的抗腫瘍効果を示す。各記号は、8匹のマウスの群の腫瘍量の中央値を示す。 (●) コントロール; (■) タモキシフェン, 20 mg/kg/adm, Q2D x 12, IP; (◆) 実施例1, 3.75 mg/kg/adm, QD x 3, 3週間毎週, PO; (□) 実施例1とタモキシフェンの組み合わせ.
【0030】
図14図14は、MCF7 ヒト乳癌における、実施例1とタモキシフェンを組み合わせた化学療法による相乗的抗腫瘍効果を示す。各記号は、8匹のマウスの群の腫瘍量の中央値を示す。 (●) コントロール; (■) タモキシフェン, 20 mg/kg/adm, Q2D x 12, IP; (◆) 実施例1, 7.5 mg/kg/adm, QD x 3, 3週間毎週, PO; (□) 実施例1とタモキシフェンの組み合わせ.
【0031】
図15図15は、ヒトT-ALL白血病異種移植 HPB-ALLにおける、実施例1とデキサメタゾン(Dexa)を組み合わせた化学療法による相乗的抗腫瘍効果を示す。各記号は、6-8匹のマウスの群の腫瘍量の中央値を示す。 (●) コントロール; (◆) デキサメタゾン, 7.5 mg/kg/adm, QD x 14, IP; (△) 実施例1, 3.75 mg/kg/adm, QD x 3, 3週間毎週, PO; (□) 実施例1とデキサメタゾンの組み合わせ.
【0032】
図16図16は、PA-1 ヒト卵巣テラトカルシノーマにおける、実施例1とカルボプラスチンを組み合わせた化学療法による相乗的抗腫瘍効果を示す。各記号は、8匹のマウスの群の腫瘍量の中央値を示す。 (●) コントロール; (□) カルボプラスチン, 90 mg/kg/adm, Q7D x 3, IV; (△) 実施例1, 1 mg/kg/adm, QD x 21, PO; (◆) 実施例1とカルボプラスチンの組み合わせ.
【発明を実施するための形態】
【0033】
(詳細な説明)
本発明の第一の態様は、式(I):
【化1】
[式中、
R1は、-CH2CF3または-CH2CH2CF3であり;
R2は、-CH2CF3、-CH2CH2CF3、または-CH2CH2CH2CF3であり;
R3は、Hまたは-CH3であり;
各Raは、独立して、F、Cl、-CN、-OCH3、および/または-NHCH2CH2OCH3であり;そして、
zは0、1、または2である]
の化合物またはそのプロドラッグを提供する。
【0034】
一実施態様は、R1が-CH2CF3であって;R2、R3、Ra、およびzが第一の態様で定義された通りである、式(I)の化合物またはそのプロドラッグを提供する。この実施態様には、R2が-CH2CF3または-CH2CH2CF3である化合物が含まれる。
【0035】
一実施態様は、R1が-CH2CH2CF3であって;R2、R3、Ra、およびzが第一の態様で定義された通りである、式(I)の化合物またはそのプロドラッグを提供する。この実施態様には、R2が-CH2CF3または-CH2CH2CF3である化合物が含まれる。
【0036】
一実施態様は、R2が-CH2CF3であって;R1、R3、Ra、およびzが第一の態様で定義された通りである、式(I)の化合物またはそのプロドラッグを提供する。この実施態様には、R1が-CH2CH2CF3である化合物が含まれる。
【0037】
一実施態様は、R2が-CH2CH2CF3であって;R1、R3、Raおよびzが第一の態様で定義された通りである、式(I)の化合物またはそのプロドラッグを提供する。この実施態様には、R1が-CH2CH2CF3である化合物が含まれる。
【0038】
一実施態様は、R2が-CH2CH2CH2CF3であって;R1、R3、Ra、およびzが第一の態様で定義された通りである、式(I)の化合物またはそのプロドラッグを提供する。この実施態様には、R1が-CH2CH2CF3である化合物が含まれる。
【0039】
一実施態様は、R3がHであって;R1、R2、Ra、およびzが第一の態様で定義された通りである、式(I)の化合物またはそのプロドラッグを提供する。この実施態様には、R1がジュウテリウム(D)またはトリチウム(T)である化合物が含まれる。また、この実施態様には、R1が-CH2CH2CF3であってR2が-CH2CH2CF3である化合物も含まれる。
【0040】
一実施態様は、R3が-CH3であって;そして、R1、R2、Ra、およびzが第一の態様で定義された通りである、式(I)の化合物またはそのプロドラッグを提供する。R3には、1個以上の水素原子がジュウテリウム(D)および/またはトリチウム(T)で同位体置換されているメチル基が含まれる。この実施態様の一実施例において、R3は-CD3である。また、この実施態様には、R1が-CH2CH2CF3であって、R2が-CH2CH2CF3である化合物も含まれる。
【0041】
一実施態様は、zが2であって、各Raが、独立して、F、Cl、-CN、-OCH3、および/または-NHCH2CH2OCH3であって;そして、R1、R2、およびR3が第一の態様で定義された通りである、式(I)の化合物またはそのプロドラッグを提供する。この実施態様には、R1が-CH2CH2CF3であってR2が-CH2CH2CF3である化合物が含まれる。
【0042】
一実施態様は、zが1であってRaがF、Cl、-CN、-OCH3、または-NHCH2CH2OCH3であって;R1、R2、およびR3が第一の態様で定義された通りである、式(I)の化合物またはそのプロドラッグを提供する。この実施態様には、R1が-CH2CH2CF3であってR2が-CH2CH2CF3である化合物が含まれる。
【0043】
一実施態様は、zが0であって;R1、R2、およびR3が第一の態様で定義された通りである、式(I)の化合物またはそのプロドラッグを提供する。この実施態様には、R1が-CH2CH2CF3であってR2が-CH2CF3または-CH2CH2CF3である化合物が含まれる。
【0044】
一実施態様は、R1が-CH2CF3であって;R2が-CH2CF3であって;R3がHまたは-CH3であって;そして、zが0である、式(I)の化合物またはそのプロドラッグを提供する。
【0045】
一実施態様は、R1が-CH2CF3であって;R2が-CH2CH2CF3であって;R3がHまたは-CH3であって;そして、zが0である、式(I)の化合物またはそのプロドラッグを提供する。
【0046】
一実施態様は、R1が-CH2CF3であって;R2が-CH2CH2CH2CF3であって;R3がHまたは-CH3であって;そして、zが0である、式(I)の化合物またはそのプロドラッグを提供する。
【0047】
一実施態様は、R1が-CH2CH2CF3であって;R2が-CH2CF3であって;R3がHまたは-CH3であって;そして、zが0である、式(I)の化合物またはそのプロドラッグを提供する。
【0048】
一実施態様は、R1が-CH2CH2CF3であって;R2が-CH2CH2CF3であって;R3がHまたは-CH3であって;そして、zが0である、式(I)の化合物またはそのプロドラッグを提供する。
【0049】
一実施態様は、R1が-CH2CH2CF3であって;R2が-CH2CH2CH2CF3であって;R3がHまたは-CH3であって;そして、zが0である、式(I)の化合物またはそのプロドラッグを提供する。
【0050】
一実施態様は、R1が-CH2CF3であって;R2が-CH2CF3であって;R3がHまたは-CH3であって;zが1であって;そして、RaがF、Cl、-CN、-OCH3、および/または-NHCH2CH2OCH3である、式(I)の化合物またはそのプロドラッグを提供する。
【0051】
一実施態様は、R1が-CH2CF3であって;R2が-CH2CH2CF3であって;R3がHまたは-CH3であって;zが1であって;そして、RaがF、Cl、-CN、-OCH3、および/または-NHCH2CH2OCH3である、式(I)の化合物またはそのプロドラッグを提供する。
【0052】
一実施態様は、R1が-CH2CF3であって;R2が-CH2CH2CH2CF3であって;R3がHまたは-CH3であって;zが1であって;そして、RaがF、Cl、-CN、-OCH3、および/または-NHCH2CH2OCH3である、式(I)の化合物またはそのプロドラッグを提供する。
【0053】
一実施態様は、R1が-CH2CH2CF3であって;R2が-CH2CF3であって;R3がHまたは-CH3であって;zが1であって;そして、RaがF、Cl、-CN、-OCH3、および/または-NHCH2CH2OCH3である、式(I)の化合物またはそのプロドラッグを提供する。
【0054】
一実施態様は、R1が-CH2CH2CF3であって;R2が-CH2CH2CF3であって;R3がHまたは-CH3であって;zが1であって;そして、RaがF、Cl、-CN、-OCH3、および/または-NHCH2CH2OCH3である、式(I)の化合物またはそのプロドラッグを提供する。
【0055】
一実施態様は、R1が-CH2CH2CF3であって;R2が-CH2CH2CH2CF3であって;R3がHまたは-CH3であって;zが1であって;そして、RaがF、Cl、-CN、-OCH3、および/または-NHCH2CH2OCH3である、式(I)の化合物またはそのプロドラッグを提供する。
【0056】
一実施態様は、式:
【化2】
から選択される、請求項1に記載の化合物またはそのプロドラッグを提供する。
【0057】
一実施態様は、式:
【化3】
から選択される、請求項1に記載の化合物またはそのプロドラッグを提供する。
【0058】
一実施態様は、式:
【化4】
から選択される、請求項1に記載の化合物またはそのプロドラッグを提供する。
【0059】
一実施態様は、式:
【化5】
から選択される、請求項1に記載の化合物またはそのプロドラッグを提供する。
【0060】
一実施態様は、(2R,3S)-N-((3S)-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(1); (2R,3S)-N-((3S)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (2); (2R,3S)-N-((3S)-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2-(2,2,2-トリフルオロエチル)-3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (3); (2R,3S)-N-((3S)-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (4); (2R,3S)-N-((3S)-1-(2H3)メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (5); (2R,3S)-N-((3S)-7-クロロ-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (6); (2R,3S)-N-((3S)-8-メトキシ-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (7); (2R,3S)-N-((3S)-8-フルオロ-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (8); (2R,3S)-N-((3S)-7-メトキシ-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (9); (2R,3S)-N-((3S)-7-フルオロ-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (10); (2R,3S)-N-((3S)-8-クロロ-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (11); (2R,3S)-N-((3S)-9-メトキシ-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (12); (2R,3S)-N-((3S)-8-メトキシ-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (13); (2R,3S)-N-((3S)-7-メトキシ-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (14); (2R,3S)-N-((3S)-8-シアノ-9-メトキシ-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (15); (2R,3S)-N-((3S)-8,9-ジクロロ-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (16); (2R,3S)-N-((3S)-9-フルオロ-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (17); (2R,3S)-N-((3S)-9-クロロ-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (18); (2R,3S)-N-((3S)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-3-(4,4,4-トリフルオロブチル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (19); (2R,3S)-N1-((3S)-8-メトキシ-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-3-(4,4,4-トリフルオロブチル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (20); または、(2R,3S)-N-((3S)-9-((2-メトキシエチル)アミノ)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド (21);から選択される式(I)の化合物、ならびに1つ以上の上記化合物のプロドラッグを提供する。
【0061】
本発明は、その精神または本質的特性から逸脱することなく、他の具体的な形態で具現化されうる。本発明は、本明細書に記載された本発明の態様および/または実施態様の全ての組み合わせを包含する。本発明のあらゆる実施態様はいずれの他の実施態様と組み合わされて、さらなる実施態様を説明しうると理解される。また、実施態様のそれぞれ個々の要素は、いずれの実施態様からのあらゆる他の要素と組み合わされてさらなる実施態様を説明するものであることも理解される。
【0062】
(定義)
本発明の特徴および利点は、以下の詳細な説明を読むことで、当業者によってさらに容易に理解されうる。当然のことながら、上部および下部の別個の実施態様中に明確な根拠として記載された本発明のある特定の特徴を組み合わせて、単独の実施態様を形成してもよい。反対に、単独の実施態様中に簡潔な根拠として記載された本発明の様々な特徴を組み合わせて、それらのサブコンビネーションを形成してもよい。本明細書において、例として特定された実施態様かまたは好ましい実施態様は、例示目的であって限定するものではないことが意図される。
【0063】
本明細書において他に特に記載のない限り、単数形の言及には複数の言及もまた含まれうる。例えば、「a」および「an」は、1かまたは1以上のいずれかを示しうる。
【0064】
他に指示のない限り、原子価が満たされていないいずれのヘテロ原子は、その原子価を満たすのに十分な水素原子を有すると考える。
【0065】
本明細書に記載の定義は、引用により本明細書に援用されるいずれの特許、特許出願、および/または特許出願公開に記載された定義よりも優先される。
【0066】
本発明を説明するために用いられる様々な用語の定義を以下に記載する。これらの定義は、本明細書の全体を通して(それらが他に特定の場合に限定されない限り)、個別にか、またはより大きな基の一部としてのいずれかで用いられる用語に適用される。
【0067】
本明細書の全体を通して、基およびそれらの置換基は、安定な部分および化合物をもたらすように、当業者により選択されうる。
【0068】
当分野で用いられる慣習に従って、
【化6】
は本明細書において、コアまたは骨格構造への部分または置換基の結合点である結合を表すために、構造式中で用いられる。
【0069】
本明細書で用いる用語「ハロ」および「ハロゲン」は、F、Cl、Br、またはIを言う。
【0070】
本明細書で用いる用語「アルキル」は、例えば、1〜12個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、または1〜4個の炭素原子を含む、分枝鎖および直鎖両方の飽和脂肪族炭化水素基を言う。アルキル基の例としては、限定はされないが、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えば、n-プロピルおよびi-プロピル)、ブチル(例えば、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、およびt-ブチル)、およびペンチル(例えば、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、2-エチルブチル、3-メチルペンチル、ならびに4-メチルペンチルが挙げられる。シンボル「C」の後に下付き文字で数字が記載されている場合、該下付き文字は特定の基が有しうる炭素原子の数をより具体的に定義する。例えば、「C1-C6アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖および分枝鎖アルキル基を意味する。
【0071】
該フレーズ「医薬的に許容される」は本明細書において、適切な医学的判断の範囲内で、妥当な利益/リスク比に見合って、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴わずにヒトおよび動物の組織と接触して用いるのに適した、化合物、物質、組成物、および/または剤形を意味するように用いられる。
【0072】
式(I)の化合物は、アモルファスな固形物または結晶性の固形物として提供され得る。凍結乾燥を用いて、固形物として式(I)の化合物を提供することができる。
【0073】
in vivoで変換されて生理活性剤(すなわち、式(I)の化合物)を供することができるいずれの化合物も、本発明の範囲および精神内におけるプロドラッグである。
【0074】
様々な形態のプロドラッグが当分野において周知であり、以下:
a)Wermuth, C.G. et al., The Practice of Medicinal Chemistry, Chapter 31, Academic Press (1996);
b)Bundgaard, H. ed., Design of Prodrugs, Elsevier (1985);
c)Bundgaard, H., Chapter 5, “Design and Application of Prodrugs,” Krosgaard-Larsen, P. et al., eds., A Textbook of Drug Design and Development, pp. 113-191, Harwood Academic Publishers (1991); および、
d)Testa, B. et al., Hydrolysis in Drug and Prodrug Metabolism, Wiley-VCH (2003)
に記載されている。
【0075】
加えて、式(I)の化合物は、製造後に単離および精製して、重量で99%以上の式(I)の化合物(「実質的に純粋な」)を含む組成物を得て、次いでそれを本明細書に記載のとおり用いるかまたは製剤化するのが好ましい。そのような「実質的に純粋な」式(I)の化合物も、本発明の一部として本明細書において意図される。
【0076】
「安定な化合物」および「安定な構造」とは、反応混合物から有用な純度への単離、および有効な治療薬への製剤化に耐えるのに十分強い化合物を示すことを意図する。本発明は安定な化合物を具体化するものと意図される。
【0077】
「治療上有効な量」は、NOTCH受容体の阻害剤として作用するか、または増殖性疾患(例えば癌)を処置もしくは予防するのに有効である、本発明の化合物単独の量か、特許請求された化合物の組み合わせの量か、または他の活性成分と組み合わされた本発明の化合物の量を包含することを意図する。
【0078】
本明細書で用いる「処置すること」または「処置」には、哺乳動物、とりわけヒトにおける疾患状態の処置が含まれ、ならびに:(a)とりわけ、哺乳動物が疾患状態に罹りやすいが、まだ罹患していると診断されていない場合において、哺乳動物での疾患状態が生じるのを予防すること;(b)疾患状態の抑制、すなわち、その進行を抑止すること;および/または(c)疾患状態を軽減すること、すなわち、疾患状態の退行をもたらすこと、が含まれる。
【0079】
本発明の化合物は、本発明の化合物に出現する原子の全ての同位体を含むことを意図する。同位体には、原子番号が同一であるが質量数が異なる原子が含まれる。一般的な例として、限定されることなく、水素の同位体にはジュウテリウム(D)およびトリチウム(T)が含まれる。炭素の同位体としては13Cおよび14Cが挙げられる。同位体で標識された本発明の化合物は一般に、当業者に公知の通常の技法によってか、または本明細書に記載されたものと類似した方法によって、他で用いられる非標識試薬の代わりに適切な同位体-標識試薬を用いて、製造することができる。
【0080】
(実施例1の化合物の結晶形態)
一実施態様において、実施例1の化合物:
【化7】
を、1つ以上の結晶形態を含む結晶性物質として提供する。実施例1の化合物の適切な結晶形態の例としては、形態N-1、A-2、およびEA-3が含まれる。
【0081】
一実施態様において、実施例1の化合物は第1の結晶形態を含有する結晶性物質として提供される。実施例1の化合物の第1の結晶形態は、本明細書において「形態N-1」または「N-1形態」と称されるニート(neat)結晶形態を含む。
【0082】
一実施態様において、実施例1のN-1形態は、おおよそ以下と同等の単位格子パラメータを特徴とする:
格子定数(Cell dimensions):
a = 9.41 Å
b = 17.74 Å
c = 31.94 Å
α = 90.0°
β = 98.4°
γ = 90.0°
空間群: P21
実施例1の分子数/非対称ユニット: 4
体積/単位格子中の分子数 = 659 Å3
密度 (計算値) = 1.402 g/cm3,
ここで、形態N-1の単位格子パラメータは、約-10℃の温度にて測定される。
【0083】
別の実施態様において、実施例1の化合物のN-1形態は、図1に示されるパターンに実質的に一致したシミュレーション粉末x-線回折(PXRD)パターン、および/または図1に示されるパターンに実質的に一致した実測PXRDパターンを特徴とする。
【0084】
さらに別の実施態様において、実施例1の化合物のN-1形態は、5.7±0.2、7.5±0.2、10.3±0.2、10.7±0.2、15.2±0.2、16.8±0.2、20.2±0.2、または20.7±0.2から選択される、4つ以上、好ましくは5つ以上の2θ値を含むPXRDパターン(約25℃の温度にてCuKα λ=1.5418Å)を特徴とし、ここで、形態N-1の該PXRDパターンは約20℃の温度にて測定されるものである。
【0085】
さらなる実施態様において、実施例1のN-1形態は、実質的に表1に記載される通りの分率原子座標を特徴とする。

表1
約25℃の温度にて算出された実施例1の形態N-1の分率原子座標; 原子座標(x104)および等価等方性原子変位パラメータ(Equivalent Isotropic Displacement Parameter)(Å2x 103)
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

*U(eq)は直交Uijテンソルのトレースの3分の1として定義される。
【0086】
さらなる実施態様において、実施例1の化合物のN-1形態は実質的に純粋である。
【0087】
さらに別の実施態様において、該実施例1の化合物のN-1形態は、少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%、そしてさらに好ましくは少なくとも約99重量%の実施例1の化合物の形態N-1を含む。
【0088】
さらに別の実施態様において、実質的に純粋な実施例1の化合物の形態N-1は、シミュレーションPXRDパターンには存在しないピークから生じる実測PXRDパターンの総ピーク領域が約10%未満、好ましくは約5%未満、そしてさらに好ましくは約2%未満の実質的に純粋な相均一性を有する。最も好ましくは、該実質的に純粋な結晶形態N-1は、シミュレーションPXRDパターンには存在しないピークから生じる実測PXRDパターンの総ピーク領域が約1%未満の実質的に純粋な相均一性を有する。
【0089】
別の実施態様において、結晶形態の実施例1の化合物は、本質的に、形態N-1から成る。結晶形態であるこの実施態様は、少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%、そしてさらに好ましくは少なくとも約99重量%の結晶形態である実施例1の化合物の形態N-1を含んでよい。
【0090】
さらに別の実施態様において、実施例1の化合物の形態N-1;および少なくとも1つの医薬的に許容される担体および/または希釈剤を含有する医薬組成物を提供する。
【0091】
さらに別の実施態様において、医薬組成物は、実質的に純粋な実施例1の化合物の形態N-1;および少なくとも1つの医薬的に許容される担体および/または希釈剤を含有する。
【0092】
さらなる実施態様において、治療上有効な量の実施例1の化合物の形態N-1を少なくとも1つの医薬的に許容される担体および/または希釈剤と組み合わせて、少なくとも1つの医薬組成物を提供する。
【0093】
一実施態様において、実施例1の化合物を第2の結晶形態で提供する。該第2の結晶形態は、本明細書において「形態A-2」または「A-2形態」と称されるアセトン溶媒和物結晶形態である。A-2形態は、実施例1の各分子に対して約1個のアセトン分子を含有する。
【0094】
一実施態様において、該A-2形態は、おおよそ以下と同等の単位格子パラメータを特徴とする:
格子定数:
a = 9.25 Å
b = 17.11 Å
c = 19.63 Å
α = 90.0°
β = 99.2°
γ = 90.0°
空間群: P21
実施例1の分子数/非対称ユニット: 2
体積/単位格子中の分子数 = 767 Å3
密度 (計算値) = 1.331 g/cm3,
ここで、形態A-2の単位格子パラメータは約-50℃の温度にて測定される。
【0095】
別の実施態様において、該A-2形態は、図2に示されるパターンと実質的に一致するシミュレーション粉末x-線回折(PXRD)パターン、および/または図2に示されるパターンと実質的に一致する実測PXRDパターンを特徴とする。
【0096】
さらなる実施態様において、実施例1のA-2形態は実質的に表2に記載の通りの分率原子座標を特徴とする。

表2
約25℃の温度にて算出した実施例1の形態A-2の分率原子座標; 原子座標(x104)および等価等方性原子変位パラメータ(Å2x 103)
【表7】

【表8】

【表9】

*U(eq)は直交Uijテンソルのトレースの3分の1として定義される。
【0097】
さらなる実施態様において、該実施例1の化合物のA-2形態は実質的に純粋である。
【0098】
さらに別の実施態様において、該実施例1の化合物のA-2形態は、少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%、そしてさらに好ましくは少なくとも約99重量%、第2の結晶形態, 形態A-2を含む。
【0099】
さらに別の実施態様において、実質的に純粋な第2の結晶形態は、シミュレーションPXRDパターンには存在しないピークから生じる実測PXRDパターンの総ピーク領域が約10%未満、好ましくは約5%未満、そしてさらに好ましくは約2%未満の実質的に純粋な相均一性を有する。最も好ましくは、実質的に純粋な第2の結晶形態は、シミュレーションPXRDパターンには存在しないピークから生じる実測PXRDパターンの総ピーク領域が約1%未満の実質的に純粋な相均一性を有する。
【0100】
別の実施態様において、実施例1の化合物の第2の結晶形態は、本質的に、形態A-2から成る。第2の結晶形態であるこの実施態様は、少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%、そしてさらに好ましくは少なくとも約99重量%の第2の結晶形態, 形態A-2を含んでよい。
【0101】
一実施態様において、実施例1の化合物を第3の結晶形態で提供する。該第3の結晶形態は、本明細書において「形態EA-3」または「EA-3形態」と称される酢酸エチル溶媒和物結晶形態である。該EA-3形態は、実施例1の各分子に対して約1個の酢酸エチル分子を含む。
【0102】
一実施態様において、該EA-3形態は、おおよそ以下と同等の単位格子パラメータを特徴とする:
格子定数:
a = 8.84 Å
b = 15.95 Å
c = 22.38 Å
α = 90.0°
β = 90.0°
γ = 90.0°
空間群: P212121
実施例1の分子数/非対称ユニット: 1
体積/単位格子中の分子数 = 789 Å3
密度 (計算値) = 1.357 g/cm3,
ここで、形態EA-3の単位格子パラメータは約-50℃の温度にて測定される。
【0103】
別の実施態様において、該EA-3形態は、図3に示されるパターンと実質的に一致するシミュレーション粉末x-線回折(PXRD)パターンおよび/または図3に示されるパターンと実質的に一致する実測PXRDパターンを特徴とする。
【0104】
さらに別の実施態様において、実施例1の化合物のEA-3形態は、6.8±0.2、9.6±0.2、10.6±0.2、15.4±0.2、20.5±0.2、21.0±0.2、または24.8±0.2から選択される4つ以上、好ましくは5つ以上の2θ値を含むPXRDパターン(CuKα λ=1.5418Å 約25℃の温度にて)を特徴とし、ここで、該形態N-1のPXRDパターンは約20℃の温度にて測定される。
【0105】
さらなる実施態様において、実施例1のEA-3形態は、実質的に表3に記載の通りの分率原子座標を特徴とする。

表3
約25℃の温度にて算出した実施例1の形態EA-3の分率原子座標; 原子座標(x104)および等価等方性原子変位パラメータ(Å2x 103)
【表10】

【表11】

*U(eq)は、直交Uijテンソルのトレースの3分の1として定義される。
【0106】
さらなる実施態様において、実施例1の化合物のEA-3形態は実質的に純粋である。
【0107】
さらに別の実施態様において、実施例1の化合物のEA-3形態は、少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%、そしてさらに好ましくは少なくとも約99重量%の第3の結晶形態, 形態EA-3を含む。
【0108】
さらに別の実施態様において、実質的に純粋な形態EA-3は、シミュレーションPXRDパターンには存在しないピークから生じる実測PXRDパターンの総ピーク領域が約10%未満、好ましくは約5%未満、そしてさらに好ましくは約2%未満の実質的に純粋な相均一性を有する。最も好ましくは、実質的に結晶の形態EA-3は、シミュレーションPXRDパターンには存在しないピークから生じる実測PXRDパターンの総ピーク領域が約1%未満の実質的に純粋な相均一性を有する。
【0109】
別の実施態様において、実施例1の化合物の第3の結晶形態は、本質的に、形態EA-3から成る。第3の結晶形態であるこの実施態様は、少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%、そしてさらに好ましくは少なくとも約99重量%の第3の結晶形態, 形態EA-3を含んでよい。
【0110】
一実施態様において、該実施例1の化合物は第4の結晶形態で提供される。該第4の結晶形態は、本明細書において「形態THF-2」または「THF-2形態」と称される、テトラヒドロフラン溶媒和物結晶形態である。該THF-2形態は、実施例1の各分子に対して約1個のテトラヒドロフランを含む。
【0111】
一実施態様において、該THF-2形態は、おおよそ以下と同等の単位格子パラメータを特徴とする:
格子定数:
a = 9.34 Å
b = 16.44 Å
c = 20.60 Å
α = 90.0°
β = 102.8°
γ = 90.0°
空間群: P21
実施例1の分子数/非対称ユニット: 2
テトラヒドロフランの分子/非対称ユニット: 2
体積 = 3082 Å3,
ここで、形態THF-2の単位格子パラメータは約-50℃の温度で測定される。
【0112】
別の実施態様において、該THF-2形態は、図4に示されるパターンと実質的に一致するシミュレーション粉末x-線回折(PXRD)パターン、および/または図4に示されるパターンと実質的に一致する実測PXRDパターンを特徴とする。
【0113】
さらに別の実施態様において、実施例1の化合物のTHF-2形態は、6.9±0.2、9.6±0.2、11.2±0.2、12.6±0.2、16.6±0.2、21.4±0.2、または24.2±0.2から選択される4つ以上、好ましく5つ以上の2θ値を含むPXRDパターン(CuKα λ=1.5418Å 約25℃の温度にて)を特徴とし、ここで、形態N-1の該PXRDパターンは約20℃の温度にて測定される。
【0114】
さらなる実施態様において、実施例1のTHF-2形態は、実質的に表4に記載の通りの分率原子座標を特徴とする。

表4
約-50℃の温度にて算出した実施例1の形態THF-2の分率原子座標(溶媒分子は含まない); 原子座標(x104)および等価等方性原子変位パラメータ(Å2x 103)
【表12】

【表13】

【表14】

*U(eq)は直交Uijテンソルのトレースの3分の1として定義される。
【0115】
さらなる実施態様において、実施例1の化合物のTHF-2形態は実質的に純粋である。
【0116】
さらに別の実施態様において、実施例1の化合物のTHF-2形態は、少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%、そしてさらに好ましくは少なくとも約99重量%の第4の結晶形態, 形態THF-2を含む。
【0117】
さらに別の実施態様において、実質的に純粋な形態THF-2は、シミュレーションPXRDパターンには存在しないピークから生じる実測PXRDパターンの総ピーク領域が約10%未満、好ましくは約5%未満、そしてさらに好ましくは約2%未満の実質的に純粋な相均一性を有する。最も好ましくは、実質的に結晶の形態THF-2は、シミュレーションPXRDパターンには存在しないピークから生じる実測PXRDパターンの総ピーク領域が約1%未満の実質的に純粋な相均一性を有する。
【0118】
別の実施態様において、該実施例1の化合物の第4の結晶形態は、本質的に、形態THF-2から成る。該第4の結晶形態であるこの実施態様は、少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%、そしてさらに好ましくは少なくとも約99重量%の第4の結晶形態, 形態THF-2を含んでよい。
【0119】
(実施例2の化合物の結晶形態)
一実施態様において、実施例2の化合物
【化8】
は、結晶形態を含む結晶性物質として提供される。実施例2の化合物の適切な結晶形態の例は、形態M2-1である。該M2-1形態は実施例2の各分子に対して約2個のメタノール分子を含有する。
【0120】
一実施態様において、実施例2の化合物のM2-1形態はおおよそ以下と同等の単位格子パラメータを特徴とする:
格子定数:
a = 8.44 Å
b = 21.02 Å
c = 17.52 Å
α = 90.0°
β = 90.88°
γ = 90.0°
空間群: P21
実施例2の分子/非対称ユニット: 2
体積/単位格子中の分子数 = 777 Å3
密度 (計算値) = 1.297 g/cm3,
ここで、形態M-1の単位格子パラメータは約-100℃の温度で測定される。
【0121】
別の実施態様において、該M2-1形態は、図5に示されるパターンと実質的に一致するシミュレーション粉末x-線回折(PXRD)パターンおよび/または図5に示されるパターンと実質的に一致する実測PXRDパターンを特徴とする。
【0122】
さらに別の実施態様において、実施例2の化合物のM2-1形態は、8.2±0.2、12.2±0.2、14.2±0.2、15.1±0.2、16.8±0.2、17.3±0.2、または23.0±0.2から選択される4つ以上、好ましくは5つ以上の2θ値を含有するPXRDパターン(CuKα λ=1.5418Å 約25℃の温度にて)を特徴とし、ここで、形態M2-1のPXRDパターンは約20℃の温度にて測定される。
【0123】
さらなる実施態様において、実施例2のM2-1形態は、実質的に表5に記載の通りの分率原子座標を特徴とする。

表5
約25℃の温度にて測定した形態M2-1の分率原子座標; 実施例2, 形態M2-1についての原子座標(x 104)および等価等方性原子変位パラメータ(Å2x 103)
【0124】
U(eq)は直交Uijテンソルのトレースの3分の1として定義される。
【表15】

【表16】

【表17】
【0125】
さらなる実施態様において、実施例2の化合物のM2-1形態は実質的に純粋である。
【0126】
さらに別の実施態様において、実施例2の化合物のM2-1形態は、少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%、そしてさらに好ましくは少なくとも約99重量%の該結晶形態, 形態M2-1を含む。
【0127】
さらに別の実施態様において、実質的に純粋な結晶形態の形態M2-1は、シミュレーションPXRDパターンには存在しないピークから生じる実測PXRDパターンの総ピーク領域が約10%未満、好ましくは約5%未満、そしてさらに好ましくは約2%未満の実質的に純粋な相均一性を有する。最も好ましくは、実質的に純粋な結晶形態のM2-1は、シミュレーションPXRDパターンには存在しないピークから生じる実測PXRDパターンの総ピーク領域が約1%未満の実質的に純粋な相均一性を有する。
【0128】
別の実施態様において、該実施例2の化合物の結晶形態は、本質的に、形態M2-1から成る。該結晶形態であるこの実施態様は、少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%、そしてさらに好ましくは少なくとも約99重量%の結晶形態, 形態M2-1を含んでよい。
【0129】
式(I)で示される化合物は、処置する症状に適切ないずれの方法(部位特異的処置の必要性、または投与される式(I)の化合物の量に依存し得る)によっても投与されることができる。
【0130】
また、本発明には、式(I)の化合物またはそのプロドラッグ;ならびに1つ以上の無毒の医薬的に許容される担体および/または希釈剤および/またはアジュバント(本明細書においてまとめて「担体」物質と称される)、さらに、必要に応じて、他の活性成分を含有する医薬組成物の類が包含される。該式(I)の化合物は、いずれの適切な経路によって、好ましくはそのような経路に適応した医薬組成物の形態で、目的の処置に対して有効な量で、投与されうる。本発明の化合物および組成物は、例えば、通常の医薬的に許容される担体、アジュバント、およびビヒクルを含む用量単位剤形で、経口、粘膜、または非経口(parentally)(血管内、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、および胸骨内を含む)で投与されてもよい。例えば、該医薬担体は、マンニトールもしくはラクトースおよび微結晶セルロースの混合物を含んでよい。該混合物は、さらなる成分、例えば、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)および崩壊剤(例えばクロスポビドン)を含んでもよい。該担体混合物は、ゼラチンカプセルに詰められるか、または錠剤として圧縮されてもよい。該医薬組成物は、例えば、経口剤形または注入液として投与されてもよい。
【0131】
経口投与の場合、該医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、懸濁剤、または液剤の形態であってもよい。該医薬組成物は、好ましくは、特定の量の活性成分を含む用量単位の形態で製造される。例えば、該医薬組成物は、約1〜2000 mg、好ましくは約1〜500 mg、およびさらに好ましくは約5〜150 mgの範囲の量の活性成分を含有する錠剤またはカプセル剤として提供されてもよい。ヒトまたは他の哺乳動物に対する適切な1日用量は、患者の症状および他の因子に応じて幅広く変化させてもよいが、ルーチンな方法を用いて決定することができる。
【0132】
本明細書において意図されるいずれの医薬組成物も、例えば、いずれの許容可能で適切な経口製剤によって経口で送達され得る。経口製剤の例としては、限定はされないが、例えば、錠剤、トローチ剤、ドロップ剤(lozenge)、水性もしくは油性懸濁剤、分散性粉末剤もしくは顆粒剤、エマルジョン剤、硬もしくは軟カプセル剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が挙げられる。経口投与用の医薬組成物は、経口投与用の医薬組成物の製造において当業者に公知のいずれの方法に従って、製造され得る。医薬的に服用しやすい(palatable)製剤を提供するために、本発明による医薬組成物は、甘味剤、香味剤、着色剤、粘滑剤、抗酸化剤、または保存剤から選択される少なくとも1つの剤を含み得る。
【0133】
錠剤は、例えば、少なくとも1つの式(I)の化合物と錠剤の製造に適した少なくとも1つの無毒の医薬的に許容される賦形剤を混合することによって製造され得る。賦形剤の例としては、限定はされないが、例えば、不活性希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、およびリン酸ナトリウムなど;造粒および崩壊剤、例えば、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、コーンスターチ、およびアルギン酸など;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン、ポリビニル-ピロリドン、およびアラビアゴム(acacia)など;ならびに、滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、およびタルクなどが挙げられる。加えて、錠剤は、コーティングされないか、あるいは不快な味の薬剤の嫌な味をマスクするかまたは消化管での活性成分の崩壊および吸収を遅延させることによって活性成分の効果を長時間持続させるために公知の技法によってコーティングされ得る。水溶性矯味物質の例としては、限定はされないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。時間遅延物質(time delay material)の例としては、限定はされないが、エチルセルロースおよび酢酸酪酸セルロースが挙げられる。
【0134】
硬ゼラチンカプセル剤は、例えば、少なくとも1つの式(I)の化合物と少なくとも1つの不活性固体希釈剤(例えば炭酸カルシウム;リン酸カルシウム;およびカオリンなど)を混合することによって製造され得る。
【0135】
軟ゼラチンカプセル剤は、例えば、少なくとも1つの式(I)の化合物を、少なくとも1つの水溶性担体(例えば、ポリエチレングリコールなど);および少なくとも1つの油媒体(例えば、ラッカセイ油、流動パラフィン、およびオリーブ油など)と混合することによって製造され得る。
【0136】
水性懸濁剤は、例えば、少なくとも1つの式(I)の化合物を水性懸濁剤の製造に適した少なくとも1つの賦形剤と混合することによって製造され得る。水性懸濁剤の製造に適した賦形剤の例としては、限定はされないが、例えば、懸濁化剤(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム(gum tragacanth)、およびアカシアガムなど);崩壊剤または湿潤剤(例えば、天然のリン脂質(例えばレシチン)など);アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンステアレートなど);エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレン-オキシセタノール(oxycetanol)など);エチレンオキシドと部分エステル(脂肪酸およびヘキシトールに由来)との縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートなど);および、エチレンオキシドと部分エステル(脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来)との縮合生成物(例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレエートなど)が挙げられる。水性懸濁剤はまた、少なくとも1つの保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸エチルおよびp-ヒドロキシ安息香酸n-プロピルなど);少なくとも1つの着色剤;少なくとも1つの香味剤;および/または、少なくとも1つの甘味剤(限定はされないが、例えば、スクロース、サッカリン、およびアスパルテームを含む)を含むことができる。
【0137】
油性懸濁剤は、例えば、少なくとも1つの式(I)の化合物を、植物油(例えば、ラッカセイ油;オリーブ油;ゴマ油;およびヤシ油など);または鉱物油(例えば、流動パラフィンなど)のいずれかの中に懸濁させることによって製造することができる。油性懸濁剤はまた、少なくとも1つの増粘剤、例えば、蜜ロウ;固形パラフィン;およびセチルアルコールなどを含むことができる。風味のよい(palatable)油性懸濁剤を提供するために、すでに上述した甘味剤のうちの少なくとも1つ、および/または少なくとも1つの香味剤を、該油性懸濁剤に加えることができる。油性懸濁剤はさらに、限定はされないが、例えば、抗酸化剤(例えば、ブチルヒドロキシアニソール、およびα-トコフェロールなど)を含めた少なくとも1つの保存剤を含むことができる。
【0138】
分散性散剤および顆粒剤を、例えば、少なくとも1つの式(I)の化合物と、少なくとも1つの分散剤および/または湿潤剤;少なくとも1つの懸濁化剤;ならびに/あるいは少なくとも1つの保存剤とを混合させることによって製造することができる。適切な分散剤、湿潤剤、および懸濁化剤は、すでに上述したものである。保存剤の例としては、限定はされないが、例えば、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸)が挙げられる。加えて、分散性散剤および顆粒剤はまた、少なくとも1つの賦形剤(限定はされないが、例えば、甘味剤;香味剤;および着色剤を含む)を含むことができる。
【0139】
少なくとも1つの式(I)の化合物の乳剤は、例えば、水中油型乳剤として製造され得る。式(I)の化合物を含有する乳剤の油性相は、公知の方法で公知の成分から構成されうる。該油相は、限定はされないが、例えば、植物油(例えば、オリーブ油およびラッカセイ油など);鉱物油(例えば、流動パラフィンなど);およびそれらの混合物によって製造され得る。該相は、単に乳化剤のみを含有してもよいが、少なくとも1つの乳化剤と脂肪もしくは油または脂肪と油の両者との混合物を含有してもよい。適切な乳化剤としては、限定はされないが、例えば、天然のリン脂質(例えば、大豆レシチン);脂肪酸およびヘキシトール無水物由来のエステルまたは部分エステル(例えば、ソルビタンモノオレエートなど);および部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなど)が挙げられる。好ましくは、親水性乳化剤は、安定剤として作用する親油性乳化剤を一緒に含まれる。また、油および脂肪の両方が含まれることが好ましい。安定剤の有無にかかわらず乳化剤はいわゆる乳化ワックスを形成し、該ワックスは油および脂肪と一緒に、クリーム製剤の油性分散相を形成するいわゆる乳化軟膏基剤を形成する。乳剤はまた、甘味剤、香味剤、保存剤、および/または抗酸化剤を含むこともできる。本発明の製剤における使用に適切な乳化剤および乳化安定剤には、Tween 60、Span 80、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、グリセリルモノステアレート、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリルジステアレートが、単独かまたはワックスもしくは当分野で周知の他の物質と共に含まれる。
【0140】
式(I)の化合物はまた、例えば、静脈内、皮下、および/または筋肉内に、いずれの医薬的に許容される適切な注射可能な形態によって、投与され得る。注射可能な形態の例としては、限定はされないが、例えば、許容可能なビヒクルおよび溶媒(例えば、水、リンガー液、および生理食塩水など)を含有する無菌の水溶液;無菌の水中油型マイクロエマルション;および水性もしくは油性の懸濁液が挙げられる。
【0141】
非経口投与用の製剤は、水性または非水性の等張で無菌の注射液剤または懸濁剤の形態であってもよい。これらの液剤および懸濁剤は、無菌の粉末または顆粒から、経口投与用の製剤での使用において言及した担体または希釈剤のうちの1つ以上を用いて、他の適切な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁化剤を用いることによって、製造されうる。該化合物は、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、トウモロコシ油、綿実油、ラッカセイ油、ゴマ油、ベンジルアルコール、塩化ナトリウム、トラガカントガム(tragacanth gum)、および/または様々な緩衝剤中に溶解されうる。他のアジュバントおよび投与様式が、製薬分野において広く周知である。また、該活性成分を、適切な担体(生理食塩水、ブドウ糖(dextrose)、または水を含む)との組成物、あるいはシクロデキストリン(すなわち、CAPTISOL(登録商標))、共溶媒可溶化剤(すなわち、プロピレングリコール)またはミセル可溶化剤(すなわち、Tween 80)との組成物として、注射により投与してもよい。
【0142】
無菌の注射製剤はまた、無毒の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液または懸濁液(例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液)であってよい。許容されるビヒクルおよび溶媒の中で用いてもよいものは、水、リンガー液、および生理食塩水である。加えて、無菌の固定油が、溶媒または懸濁化媒質として通常用いられる。この目的のために、いずれの刺激の少ない固定油(合成モノ-またはジグリセリドが含まれる)を用いてもよい。さらに、脂肪酸(例えばオレイン酸など)が注射剤の製造で用いられる。
【0143】
無菌の注射可能な水中油型マイクロエマルションは、例えば、1)少なくとも1つの式(I)の化合物を油性相(例えば、大豆油およびレシチンの混合物など)中に溶解させること;2)油相を含む式(I)を水とグリセロールの混合物と合わせること;そして、3)該混合物(combination)を処理してマイクロエマルションを形成させることによって、製造され得る。
【0144】
無菌の水性もしくは油性の懸濁剤は、当分野で既に公知の方法に従って、製造され得る。例えば、無菌の水性の液剤または懸濁剤は、無毒の非経口的に許容される希釈剤または溶媒(例えば、1,3-ブタンジオールなど)を用いて製造され得て;無菌の油性の懸濁剤は、無菌で無毒の許容される溶媒または懸濁化媒質(例えば、無菌の固定油(例えば、合成モノ-またはジグリセリド);および脂肪酸(例えばオレイン酸など)など)を用いて製造され得る。
【0145】
本発明の医薬組成物で使用してもよい医薬的に許容される担体、アジュバント、およびビヒクルとしては、限定はされないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、自己乳化型ドラッグデリバリーシステム(SEDDS)(例えば、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール 1000 コハク酸塩)、医薬剤形で用いる界面活性剤(例えば、Tween、クレモフォール界面活性剤(BASF)を含むポリエトキシ(polyethoxylated)ヒマシ油、または他の同様のポリマーデリバリーマトリックス)、血清タンパク質(例えばヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えば、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム)、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(例えば、プロタミン硫酸塩、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸塩、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロック重合体、ポリエチレングリコール)および羊毛脂が挙げられる。シクロデキストリン(例えば、α-、β-、およびγ-シクロデキストリン)または化学修飾誘導体(例えば、2-および3-ヒドロキシプロピル-シクロデキストリンを含むヒドロキシアルキルシクロデキストリン)、あるいは他の可溶化誘導体もまた、本明細書に記載の式の化合物の送達を高めるために有利に用いられうる。
【0146】
本発明の医薬的に活性な化合物は、ヒトおよび他の哺乳動物を含む患者に投与するための薬剤を製造する薬学の通常の方法に従って、加工され得る。該医薬組成物は、通常の製薬工程(例えば、滅菌)で処理されてよく、ならびに/あるいは通常のアジュバント(例えば、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝剤など)を含んでもよい。加えて、錠剤および丸薬は、腸溶コーティングを用いて製造され得る。そのような組成物はまた、アジュバント(例えば、湿潤剤、甘味剤、香味剤、および芳香剤)を含有してもよい。
【0147】
投与する化合物の量、ならびに本発明の化合物および/または組成物を用いた疾患状態の治療のための投与レジメンは、対象の年齢、体重、性別および病状、疾患の種類、疾患の重篤性、投与経路および投与頻度、ならびに用いる特定の化合物を含む様々な因子に依存する。従って、該投与レジメンは大きく変化させてもよいが、標準的な方法を用いてルーチン的に決定することができる。1日用量は、約0.001〜100 mg/kg体重、好ましくは約0.005〜約50 mg/kg体重、最も好ましくは約0.01〜10 mg/kg体重が適切でありうる。1日用量を、1日あたり1〜4回で投与することができる。
【0148】
治療目的で、本発明の活性化合物は、通常、指定された投与経路に適する1つ以上のアジュバントと組み合わされる。経口投与の場合、該化合物を、ラクトース、スクロース、デンプン粉末、アルカン酸のセルロースエステル、セルロースアルキルエステル、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸および硫酸のナトリウム塩およびカルシウム塩、ゼラチン、アカシアガム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、および/またはポリビニルアルコールと混合した後、投与しやすいように錠剤化するかまたはカプセルに包んでもよい。そのようなカプセルまたは錠剤には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース中に活性化合物が分散した状態で提供することができるような、徐放性製剤が含まれうる。
【0149】
本発明の医薬組成物は、式(I)の化合物またはそのプロドラッグ、ならびに、適宜、いずれかの医薬的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクルから選択されるさらなる物質(agent)を含有する。本発明の別の組成物は、本明細書に記載の式(I)の化合物またはそのプロドラッグ、ならびに医薬的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルを含有する。
【0150】
(有用性)
式(I)の化合物は、癌、例えば、Notch活性化に依存した癌の処置に有用である。Notch活性化は、様々な固形腫瘍(卵巣、膵臓、ならびに乳癌を含む)および血液腫瘍(例えば、白血病、リンパ腫、および多発性骨髄腫)の病因と関係している。
【0151】
一実施態様において、癌の処置のための方法であって、それを必要としている哺乳動物に式(I)の化合物またはそのプロドラッグを投与することを含む、該方法を提供する。本実施態様の方法は、限定はされないが、膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頚部癌、腎癌、肝癌、肺癌(非小細胞肺癌(NSCLC)を含む)、卵巣癌、膵臓癌、胆嚢癌、前立腺癌、甲状腺癌、骨肉腫、横紋筋肉腫、悪性線維性組織球腫(MFH)、線維肉腫、膠芽腫/星状細胞腫、神経芽腫、メラノーマ、T細胞急性リンパ性白血病(T-ALL)、および中皮腫を含む、様々な癌を処置するために用いることができる。例えば、実施態様の方法は、乳癌、大腸癌、または膵臓癌の処置に用いられる。好ましくは、該哺乳動物はヒトである。例えば、癌を処置するために治療上有効な量が、本実施態様の方法において投与されうる。この実施態様の方法には、構造:
【化9】
で示される化合物を投与することが含まれる。
【0152】
この実施態様の方法にはまた、構造:
【化10】
で示される化合物を投与することが含まれる。
【0153】
本実施態様における投与経路には、非経口投与および経口投与が含まれる。
【0154】
一実施態様において、癌を処置するための方法であって、それを必要としている哺乳動物に式(I)の化合物またはそのプロドラッグを投与することを含む該方法を提供し、ここで、該癌は結腸直腸癌である。好ましくは、該哺乳動物はヒトである。例えば、癌を処置するために治療上有効な量が、本実施態様の方法において投与されうる。本実施態様における投与経路には、非経口投与および経口投与が含まれる。
【0155】
一実施態様において、癌を処置するための方法であって、それを必要としている哺乳動物に式(I)の化合物またはそのプロドラッグを投与することを含む該方法を提供し、ここで、該癌はトリプルネガティブの乳癌である。好ましくは、該哺乳動物はヒトである。例えば、癌を処置するために治療上有効な量が、本実施態様の方法において投与されうる。本実施態様における投与経路には、非経口投与および経口投与が含まれる。
【0156】
一実施態様において、癌を処置するための方法であって、それを必要としている哺乳動物に式(I)の化合物またはそのプロドラッグを投与することを含む該方法を提供し、ここで、該癌は非小細胞肺癌である。好ましくは、該哺乳動物はヒトである。例えば、癌を処置するために治療上有効な量が、本実施態様の方法において投与されうる。本実施態様における投与経路には、非経口投与および経口投与が含まれる。
【0157】
一実施態様において、癌を処置するための方法であって、それを必要としている哺乳動物に式(I)の化合物またはそのプロドラッグを投与することを含む該方法を提供し、ここで、該癌は膵臓癌である。好ましくは、該哺乳動物はヒトである。例えば、癌を処置するために治療上有効な量が、本実施態様の方法において投与されうる。本実施態様における投与経路には、非経口投与および経口投与が含まれる。
【0158】
一実施態様において、癌を処置するための方法であって、それを必要としている哺乳動物に式(I)の化合物またはそのプロドラッグを投与することを含む該方法を提供し、ここで、該癌は卵巣癌である。好ましくは、該哺乳動物はヒトである。例えば、癌を処置するために治療上有効な量が、本実施態様の方法において投与されうる。本実施態様における投与経路には、非経口投与および経口投与が含まれる。
【0159】
一実施態様において、癌を処置するための方法であって、それを必要としている哺乳動物に式(I)の化合物またはそのプロドラッグを投与することを含む該方法を提供し、ここで、該癌はメラノーマである。好ましくは、該哺乳動物はヒトである。例えば、癌を処置するために治療上有効な量が、本実施態様の方法において投与されうる。本実施態様における投与経路には、非経口投与および経口投与が含まれる。
【0160】
一実施態様において、癌の処置のための医薬の製造における式(I)の化合物またはそのプロドラッグの使用を提供する。好ましくは、本実施態様において、処置される癌には、膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頚部癌、腎癌、肝癌、肺癌(非小細胞肺癌(NSCLC)を含む)、卵巣癌、膵臓癌、胆嚢癌、前立腺癌、甲状腺癌、骨肉腫、横紋筋肉腫、悪性線維性組織球腫(MFH)、線維肉腫、膠芽腫/星状細胞腫、神経芽腫、メラノーマ、T細胞急性リンパ性白血病(T-ALL)、および中皮腫のうちの1つ以上が含まれる。本実施態様の適切な医薬には、非経口投与用の医薬(例えば、液剤および懸濁剤など)および経口投与用の医薬(例えば、錠剤、カプセル剤、液剤、および懸濁剤など)が含まれる。
【0161】
一実施態様は、癌の処置における療法で使用するための式(I)の化合物またはそのプロドラッグを提供する。本実施態様において、治療対象の癌には、膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頚部癌、腎癌、肝癌、肺癌(非小細胞肺癌(NSCLC)を含む)、卵巣癌、膵臓癌、胆嚢癌、前立腺癌、甲状腺癌、骨肉腫、横紋筋肉腫、悪性線維性組織球腫(MFH)、線維肉腫、膠芽腫/星状細胞腫、神経芽腫、メラノーマ、T細胞急性リンパ性白血病(T-ALL)、および中皮腫のうちの1つ以上が含まれる。
【0162】
一実施態様において、哺乳動物におけるNotch活性化に依存している癌の処置のための方法であって、式(I)の化合物またはそのプロドラッグを患者に投与することを含む、該方法を提供する。この実施態様の方法はまた、限定はされないが、膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頚部癌、腎癌、肝癌、肺癌(非小細胞肺癌(NSCLC)を含む)、卵巣癌、膵臓癌、胆嚢癌、前立腺癌、甲状腺癌、骨肉腫、横紋筋肉腫、悪性線維性組織球腫(MFH)、線維肉腫、膠芽腫/星状細胞腫、神経芽腫、メラノーマ、T細胞急性リンパ性白血病(T-ALL)、および中皮腫を含む、様々な癌を処置するために用いられ得る。好ましくは、この実施態様の方法は、乳癌、大腸癌、または膵臓癌を処置するために用いられる。好ましくは、該哺乳動物はヒトである。例えば、癌を処置するために治療上有効な量が、本実施態様の方法において投与されうる。適切な投与経路には、非経口投与および経口投与が含まれる。
【0163】
癌の処置において、化学療法薬および/または他の治療(例えば、放射線療法)の組み合わせが、多くの場合に有利である。第2(または第3)の薬剤は、第1の治療薬と同じかまたは異なる作用メカニズムを有していてよい。例えば、投与される2つ以上の薬剤が異なる様式または細胞周期の異なる段階で作用し、ならびに/あるいは、該2つ以上の薬剤が重複しない毒性または副作用を有し、ならびに/あるいは、組み合わされた該薬剤が各々、患者が呈する特定の病態の処置において実証済みの効果を有している、薬剤の組み合わせを用いてもよい。
【0164】
一実施態様において、癌の処置のための方法であって、それを必要としている哺乳動物に式(I)の化合物またはそのプロドラッグを投与すること;ならびに、1つ以上のさらなる抗癌剤を投与することを含む、該方法を提供する。
【0165】
該フレーズ「さらなる抗癌剤」とは、以下のうちのいずれか1つ以上から選択される薬剤を言う:アルキル化剤(ナイトロジェンマスタード、アルキルスルホネート、ニトロソウレア、エチレンイミン誘導体、およびトリアゼンを含む);抗血管新生剤(マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤を含む);代謝拮抗剤(アデノシンデアミナーゼ阻害剤、葉酸拮抗剤、プリン類似体、およびピリミジン類似体を含む);抗生物質または抗体(モノクローナル抗体、CTLA-4抗体、アントラサイクリンを含む);アロマターゼ阻害剤;細胞周期応答調節剤;酵素;ファルネシル-タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ホルモン性および抗ホルモン性の薬剤およびステロイド(合成アナログ、グルココルチコイド、エストロゲン/抗エストロゲン[例えば、SERM]、アンドロゲン/抗アンドロゲン、プロゲスチン、プロゲステロン受容体アゴニスト、ならびに黄体形成ホルモン放出ホルモン(luteinizing hormone-releasing)[LHRH]アゴニストおよびアンタゴニストを含む);インスリン様増殖因子(IGF)/インスリン様増殖因子受容体(IGFR)系調節剤(system modulator)(IGFR1阻害剤を含む);インテグリン-シグナル伝達阻害剤;キナーゼ阻害剤(マルチキナーゼ阻害剤、および/または、SrcキナーゼまたはSrc/ablのインヒビター、サイクリン依存性キナーゼ[CDK]阻害剤、pan-Her、Her-1およびHer-2抗体、VEGF阻害剤(抗-VEGF抗体を含む)、EGFR阻害剤、マイトジェン活性化タンパク質[MAP]阻害剤、MET阻害剤、MEK阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、PDGF阻害剤、ならびに他のチロシンキナーゼ阻害剤またはセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤を含む);微小管かく乱物質(例えば、エクチナサイジンまたはそれらのアラログおよび誘導体);微小管安定化剤(例えば、タキサン、ならびに天然のエポチロンおよびそれらの合成および半合成アナログ);微小管結合の不安定化剤(ビンカアルカロイドを含む);トポイソメラーゼ阻害剤;プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;白金配位錯体(platinum coordination complex);シグナル伝達阻害剤;ならびに、抗癌および細胞傷害性薬物として用いられる他の薬剤(例えば、生物学的応答調節剤、増殖因子、および免疫調節剤)。
【0166】
従って、本発明の化合物を、癌または他の増殖性疾患の処置において有用な他の抗癌治療と組み合わせて投与してもよい。本発明はさらに、癌の処置のための医薬の製造における式(I)の化合物またはそのプロドラッグの使用を包含し、ならびに/あるいは、該式(I)の化合物は他の抗癌剤もしくは細胞傷害性薬物および癌の処置のための治療法と組み合わせて用いられるとの説明書を付した、式(I)の化合物のパッケージを包含する。本発明はさらに、キット形態(例えば、一緒にパッケージされるか、別個のパッケージに入れられてキットとして共に販売されるか、または共に処方されるようにパッケージされる)での式(I)の化合物と1つ以上のさらなる薬剤の組み合わせを包含する。
【0167】
一実施態様において、癌を処置するための方法であって、それを必要としている哺乳動物に、式(I)の化合物またはそのプロドラッグ;ダサチニブ;および適宜、1つ以上のさらなる抗癌剤を投与することを含む、該方法を提供する。
【0168】
一実施態様において、癌を処置するための方法であって、それを必要としている哺乳動物に、式(I)の化合物またはそのプロドラッグ;パクリタキセル;および適宜、1つ以上のさらなる抗癌剤を投与することを含む、該方法を提供する。
【0169】
一実施態様において、癌を処置するための方法であって、それを必要としている哺乳動物に、式(I)の化合物またはそのプロドラッグ;タモキシフェン;および適宜、1つ以上のさらなる抗癌剤を投与することを含む、該方法を提供する。
【0170】
一実施態様において、癌を処置するための方法であって、それを必要としている哺乳動物に、式(I)の化合物またはそのプロドラッグ;グルココルチコイド;および適宜、1つ以上のさらなる抗癌剤を投与することを含む、該方法を提供する。適切なグルココルチコイドの例はデキサメタゾンである。
【0171】
一実施態様において、癌を処置するための方法であって、それを必要としている哺乳動物に、式(I)の化合物またはそのプロドラッグ;カルボプラスチン;および適宜、1つ以上のさらなる抗癌剤を投与することを含む、該方法を提供する。
【0172】
本発明の化合物は、前述の症状に関連した副作用への対処におけるそれらの特定の有用性について選択された他の治療薬と共に、製剤化されるかまたは同時投与され得る。例えば、本発明の化合物は、悪心、過敏症および胃刺激を防ぐための薬剤(例えば、制吐薬ならびにH1およびH2抗ヒスタミン薬)と共に製剤化されうる。
【0173】
一実施態様において、式(I)の化合物またはそのプロドラッグ;キナーゼ阻害剤(小分子、ポリペプチド、抗体など)、免疫抑制剤、抗癌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗真菌剤、抗生物質、または抗血管過剰増殖化合物から選択される1つ以上のさらなる薬剤;ならびに、いずれの医薬的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクルを含有する医薬組成物を提供する。
【0174】
上記の他の治療薬は、本発明の化合物と組み合わせて用いられる場合、例えば、Physicians' Desk Reference (PDR)に示されている量か、または他に当業者により決定される量で用いられてもよい。本発明の方法において、そのような他の治療薬は、本発明の化合物の投与よりも前、同時、または後で投与されうる。
【0175】
しかしながら、いずれの特定の対象に対する具体的な用量レベルおよび投与頻度は変化させてもよく、一般的には、限定はされないが、例えば、投与形態での特定の式(I)の化合物の生物学的利用能、該特定の式(I)の化合物の代謝安定性および作用期間、対象の種、体重、全般的な健康状態、性別、および食餌、投与の様式および時間、排出速度、薬剤の組み合わせ、ならびに特定の症状の重篤度を含む様々な因子に依存しうる。例えば、1日用量は、約0.001〜100 mg/kg体重、好ましくは約0.005〜約50 mg/kg体重、そして最も好ましくは約0.01〜10 mg/kg体重が適切でありうる。該1日用量を、1日当たり1〜4回で投与することができる。
【0176】
該投与は継続的であることができる(すなわち、毎日、または間欠的)。本明細書で用いる用語「間欠性の」または「間欠的に」は、規則的または不規則な間隔のいずれかで休止および開始することを意味する。例えば、間欠投与には、1〜6日/週の投与;周期的な投与(例えば、連続2〜8週間の連日投与、その後、最大1週間の投与しない休止期間);または隔日投与が含まれる。
【0177】
一実施態様において、該式(I)の化合物を、それを必要としている患者に毎日1回以上、継続的に投与する。例えば、治療上有効な量の式(I)の化合物を、それを必要としている患者に、連日、毎日1回以上投与する。
【0178】
一実施態様において、該式(I)の化合物を、それを必要としている患者に、毎日1回以上、間欠的に投与する。例えば、治療上有効な量の式(I)の化合物を、それを必要としている患者に、間欠的スケジュールに従って毎日1回以上投与する。
【0179】
一実施態様において、式(I)の化合物を、それを必要としている患者に、連日、毎日1回以上投与し、その後、1日以上投与を休止する。好ましくは、治療上有効な量の式(I)の化合物を投与する。休薬期間を伴う連続投与の例は、:7日間の処置の後、7日の処置休止;14日間の処置の後、7日間の処置休止;および、7日間の処置の後、14日間の処置休止の周期である。処置/処置休止の周期を、患者を処置するために必要な複数回繰り返すことができる。
【0180】
一実施態様において、該式(I)の化合物を、それを必要としている患者に、間欠投与スケジュールに従って投与する。間欠投与スケジュールは、患者に式(I)の化合物を投与する日および患者に式(I)の化合物を投与しない日を含む繰り返しスケジュールである。間欠投与スケジュールの例は:週に4日で連続3週間投与した後、1週投与休止し、4週間間隔で繰り返す;週に5日で連続2週間投与した後、1週投与休止し、3週間間隔で繰り返す;ならびに、週に4日で1週間投与した後、2週投与し、3週間間隔で繰り返す、である。好ましくは、治療上有効な量の式(I)の化合物を投与する。
【0181】
一実施態様において、該式(I)の化合物を、1日投与した後、6日休止し、1週間スケジュールで繰り返す。
【0182】
一実施態様において、該式(I)の化合物を、連続2日投与した後、5日休止し、1週間スケジュールで繰り返す。
【0183】
一実施態様において、該式(I)の化合物を、連続3日投与した後、4日休止し、1週間スケジュールで繰り返す。
【0184】
一実施態様において、該式(I)の化合物を、1日投与した後、10〜13日休止する。
【0185】
(製造方法)
本発明の化合物は、有機合成の分野の当業者に周知の多くの方法で製造することができる。本発明の化合物は、以下に記載される方法、および有機合成化学の分野で公知の合成方法、あるいは当業者により認められているその改変方法を用いて合成することができる。好ましい方法としては、限定はされないが、以下に記載のものが挙げられる。本明細書中の全ての引用文献は、引用によりその全般が本明細書に援用される。
【0186】
本発明の化合物は、この項に記載の反応および技法を用いて製造されうる。該反応は、用いる試薬および物質に適した溶媒中で実施され、もたらされる変換に対して適切なものである。また、以下に記載の合成方法の説明において、提示した反応条件(溶媒の選択、反応雰囲気、反応温度、実験時間およびワークアップ方法を含む)は全て、該反応の標準である条件となるように選択され、それは当業者によって容易に認識されるべきであると解される。分子の様々な部分に存在する官能性が、提示された試薬および反応に適合しなければならないことは、有機合成の分野の当業者により理解される。反応条件に適合する置換基がそのように制限され、よって代替方法が用いられなくてはならないことは当業者にとっては容易に明白である。これにより、本発明の目的の化合物を得るために、合成工程の順序を改変する判断か、またはさらに別の1つの特定のプロセススキームを選択する判断が、しばしば必要とされうる。また、この分野のいずれの合成経路の計画における別の主流の判断が、本願に記載の化合物に存在する反応性官能基の保護のために用いられる保護基の賢明な選択であることが認識されるであろう。Greeneら(Protective Groups in Organic Synthesis, Third Edition, Wiley and Sons (1999))により、熟練した実践者のための多くの別法についての信頼できる説明が記載されている。
【0187】
式(I)の化合物を、以下のスキームで説明される方法を参照して製造してもよい。そこに示される通り、最終生成物は式(I)と同一の構造式を示す化合物である。いずれの式(I)の化合物も、適切な置換基を用いて、試薬の適切な選択により、該スキームによって、製造されうることが理解されよう。溶媒、温度、圧力、および他の反応条件は、当業者によって容易に選択されうる。出発物質は、市販されているか、あるいは、当業者によって容易に製造される。化合物の構成要素は、本明細書のここもしくは他の場所で定義される。
【0188】
スキーム1〜5に要約される方法を用いて、式(I)の化合物を合成することができる。

スキーム1
【化11】
【0189】
ベンゾジアゼピノン(iv)は、当業者に公知の多くの方法で製造されうる。例えば、スキーム1に示されるような、文献に概説された方法(例えば、Sherrill, R.G. et al., J. Org. Chem., 60:730 (1995);または当業者に公知の他の経路)に従って、適切に置換された2-アミノベンゾフェノン(i)(例えば、Walsh, D.A., Synthesis, 677 (1980);あるいは本明細書に記載の参考文献または当業者に公知の他の方法から)を、保護グリシン誘導体(ii)(PG = 保護基, 例えば PG=CBz, Katritzky, A.R., J. Org. Chem., 55:2206-2214 (1990)参照)に結合させ、試薬(例えばアンモニア)で処理して環化させて、ベンゾジアゼピノン(iii)を得てもよい。得られたラセミ混合物を、分離させて(当業者に公知の方法を用いて)個々のエナンチオマーを得るか、あるいはラセミ体として用いてもよい。また、R3=Hの場合、(iii)を、例えば、溶媒(例えばDMF)中において試薬(例えばMeI)および塩基(例えばK2CO3)で処理して、R3=Meを製造してもよい。
【0190】
工程2:当業者に公知のいくつかの方法で、(iii)を脱保護してもよい。例えば、PG=CBzとともに、化合物(iii)を、溶媒(例えばAcOH)中において試薬(例えばHBr)を用いて処理してもよい。化合物(iv)をラセミ体として用いてもよい。別法として、化合物(iv)を、標準的な方法(例えば、キラルプレパラティブクロマトグラフィー)を用いてエナンチオマー分離で処理してもよい。
【0191】
スキーム2
【化12】
工程1:スキーム2の第1の工程は、当業者に公知の複数の方法(例えば、溶媒(例えばTHF)中における適切な温度での、試薬(例えば三フッ化ホウ素エーテレート)の存在下における置換アセトイミデート(例えば化合物(vi))を用いた処理)のうちの1つを用いて、化合物(v)をエステル(vii)に変換することによって達成される。
【0192】
工程2:当業者に公知の複数の方法で、酸(viii)を化合物(ix)に変換させることができる。例えば、溶媒(例えばDCM)中において試薬(例えば塩化オキサリル)を用いて酸(viii)を処理して、酸塩化物(ix)を得る。化合物(ix)を、標準的な条件下でオキサゾリジノン(x)を用いて処理して、化合物(xi)を得ることができる(Evans, D.A. et al., J. Am. Chem Soc., 112:4011 (1990))。
【0193】
工程3:化合物(xi)を、複数の方法(Baran, P. et al., J. Am. Chem. Soc., 130(34):11546 (2008))で化合物(xii)に変換することができる。例えば、化合物(vii)を、不活性雰囲気(例えばN2)下、低温(例えば78℃)で溶媒(例えばトルエン)中において、塩基(例えばLDA)を用いて処理する。得られた混合物を、不活性雰囲気(例えばN2)下で溶媒(例えばトルエン)中において、塩化リチウムおよび塩基(例えばLDA)で処理した化合物(xi)の溶液に加える。得られたエノラートの化合物(vii)および(xi)の混合液に、不活性雰囲気(例えばN2)下において低温(例えば78℃)にて、ある化合物(例えば、ビス(2-エチルヘキサノイルオキシ)銅)を加え、室温まで昇温させて、化合物(xii)を得る。
【0194】
工程4:化合物(xii)を、適切な温度にて、溶媒の混合物(例えばTHF/水)を用いて、試薬(例えば、過酸化水素および水酸化リチウム)で処理することによって、化合物(xiii)へ変換させてもよい。必要であれば、この時点で、シリカゲルクロマトグラフィーまたはプレパラティブHPLCによってジアステレオ異性体を分割してもよい。別法として、該混合物を、エピマー化条件で処理した(例えば、LDAおよびジエチルアルミニウムクロリドで処理することによって)後、メタノールまたは酢酸でクエンチして、目的のジアステレオ異性体リッチにしてもよい。
【0195】
工程5:化合物(xiii)を、カップリング試薬(例えばTBTU)および塩基(例えばTEA)の存在下で、溶媒(例えばDMF)中において、ベンゾジアゼピノン(iv)とカップリングさせて、化合物(xiv)を得てもよい。
【0196】
工程6:化合物(xiv)を、溶媒(例えばDCM)中において、適切な温度(例えば0℃)にて、酸(例えばTFA)を用いて処理して、化合物(xv)を得る。
【0197】
工程7:溶媒(例えばDMF)中で、化合物(xv)を適切なアミン源(例えば、塩化アンモニウム、カルボジイミド(例えばEDC)、HOBT、および塩基(例えばTEA))とカップリングさせることによって、化合物(xv)を化合物(xvi)に変換させてもよい。必要であれば、該ジアステレオ異性体混合物を、適切な分割手法(例えばキラルプレパラティブクロマトグラフィー)を用いて、分割することができる。
【0198】
スキーム3
【化13】
工程1:ベンゾジアゼピノン(iii)はまた、当業者に公知の条件下における、ハロゲン原子(例えば塩素(X=Cl))および保護基(PG)(例えばBoc)を有するベンゾジアゼピノン(xvii)と適切なカップリングパートナー(例えばボロン酸)とのクロスカップリングによって、達成されうる。例えば、触媒(例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0))、塩基(例えば炭酸ナトリウム)、および溶媒(例えばDME)の存在下、不活性雰囲気(例えばN2)下において、ハロゲン含有部分とボロン酸とのカップリングが生じる。
【0199】
スキーム4
【化14】
工程1:スキーム4の第1工程は、溶媒(例えばDCM)中において、カルボジイミド(例えばDCC)、塩基(例えばTEA)、および触媒(例えばDMAP)の存在下で、カルボン酸(xix)を用いて化合物(xvii)を処理し、化合物(xx)を得ることに関するものである。
【0200】
工程2:大気条件下(不活性であってよく、例えば、N2下)において、酸(例えばHCl)の存在下で、試薬(例えばシアノ水素化ホウ素ナトリウム)を用いて処理することによって、化合物(xx)から化合物(xxi)へ変換させてもよい。
【0201】
工程3:適切な脱離基(LG)を有する化合物(xxii)を介して、化合物(xxi)から化合物(xxiii)への変換を進めてもよい。例えば、適切な温度(例えば-78℃)にて、溶媒(例えばDCM)中において、塩基(例えば2,6-ルチジン)および試薬(例えばトリフルオロメタンスルホン酸無水物)を用いて化合物(xxi)を処理することによって、トリフレートである化合物(xxii)を得る。化合物(xxii)をクロスカップリング反応条件で処理して、化合物(xxiii)を得てもよい。例えば、化合物(xxii)を、触媒(例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、塩基(例えばリン酸カリウム)の存在下、溶媒(例えばジオキサン)中で、大気条件下(不活性であってよく、例えばN2下)において、適切に置換されたカップリングパートナー(例えばボロン酸)を用いて処理して、化合物(xxiii)を得る。
【0202】
工程4:当業者に公知の標準的な方法によって、化合物(xxiii)から化合物(xxiv)へ変換させてもよい。例えば、溶媒(例えばメタノール)中において、触媒(例えばPd/C)の存在下で化合物(xxiii)を処置して、化合物(xxiv)を得る。
【0203】
工程5:化合物(xxiv)と化合物(iv)とのカップリングによって、化合物(xxv)を得てもよい。例えば、該変換は、不活性雰囲気(例えばN2)下で、溶媒(例えばDCM)中において、試薬(例えばAlMe3)を用いることによって、達成されうる。この場合、得られたジアステレオ異性体混合物を、混合物のまま用いてもよいし、あるいは適切な方法(例えばキラルクロマトグラフィー)によって分割してもよい。
【0204】
工程6:化合物(xxv)を、溶媒(例えばアセトン)中において酸化剤(例えばジョーンズ試薬)を用いて酸化させて、化合物(xxvi)を得る。該化合物がジアステレオ異性体混合物である場合、それを混合物のまま用いてもよいし、あるいは適切な方法(例えばキラルクロマトグラフィー)を用いて分割してもよい。
【0205】
工程7:当業者に公知の標準的な方法によって、化合物(xxvi)から化合物(xxvii)へ変換させてもよい。例えば、溶媒(例えばDMF)中において、化合物(xxvi)を適切なアミン源(例えば、塩化アンモニウム、カルボジイミド(例えばEDC)、HOBTおよび塩基(例えばTEA)とカップリングさせて、化合物(xxvii)を得る。この場合、該化合物はエナンチオピュアでありうるか、あるいは、必要であれば該ジアステレオ異性体混合物を適切な分割手法(例えばキラルクロマトグラフィー)を用いて分割することができる。
【0206】
スキーム5
【化15】
工程1:スキーム5の第1工程は、酸(例えばH2SO4)および溶媒(例えば水)中において、試薬(例えば亜硝酸ナトリウム)を用いて、化合物(xxviii)を処理して、化合物xxixを得ることによって達成される。
【0207】
工程2:該酸(xxix)を化合物(xxx)(PG=保護基)に変化させる。例えば、溶媒(例えばトルエン)および酸(例えばH2SO4)中においてアルコール(例えばベンジルアルコール)を用いて該酸(xxix)を処理して、化合物xxxを得る。
【0208】
工程3:塩基(例えば2,6-ルチジン)および試薬(例えばトリフルオロメタンスルホン酸無水物)用いて化合物(xxx)を処理することによって、適切な脱離基を有する化合物(xxxi)を製造してもよい。
【0209】
工程4:当業者に公知の複数の方法で、化合物(xxxii)を化合物(xxxiv)に変換させることができる。例えば、酸塩化物(xxxii)(溶媒(例えばDCM)中において試薬(例えば塩化オキサリル)を用いて対応するカルボン酸から製造したか、または商業的に入手したかのいずれか)を、標準的な条件下において、オキサゾリジノン(xxxiii)を用いて処理して、化合物(xxxiv)を得ることができる(Evans, D.A. et al., J. Am. Chem Soc., 112:4011 (1990))。
【0210】
工程5:適切な温度(例えば-78℃)にて、溶媒(例えばTHF)中において、塩基(例えばLiHMDS)を用いて化合物(xxxiv)処理し、得られた混合物に溶媒(例えばTHF)中の化合物(xxxi)を加えることによって、化合物(xxxv)を製造してもよい。
【0211】
工程6:該化合物(xxxv)の保護基は、当業者に公知の多くの方法によって除去されうる。例えば、溶媒(例えばメタノール)中においてパラジウム触媒(例えばパールマン触媒)を用いて水素化条件で処理することによって、ベンジル基を除去して、化合物(xxxvi)を得てもよい。
【0212】
工程7:化合物(iv)を、溶媒(例えばDMF)中においてカップリング試薬(例えばTBTU)および塩基(例えばTEA)の存在下で、化合物(xxxvi)とカップリングさせて、化合物(xxxvii)を得る。必要であれば、該ジアステレオ異性体を、適切な方法(例えばキラルプレパラティブクロマトグラフィー)を用いて分割してもよい。
【0213】
工程8:該化合物(xxxvii)を、溶媒の混合物(例えばTHF/水)を用いて、適切な温度にて、過酸化水素および水酸化リチウムを用いて処理することによって加水分解させて、化合物(xv)を得てもよい。必要であれば、該ジアステレオ異性体を、適切な方法(例えばキラルプレパラティブクロマトグラフィー)を用いて分割してもよい。
【0214】
スキーム6
【化16】
スキーム2中の化合物(xiii)もまた、スキーム6に概説した合成順序で、化合物(xi)から製造されうる。
【0215】
工程1:スキーム6の第1工程は、不活性雰囲気下において低温(例えば-78℃)にて溶媒(例えばTHF)中で、化合物(xi)を塩基(例えばナトリウム ビス(トリメチルシリル)アミド)で処理することによって達成される。得られたエノラートの(xi)を、試薬(例えばブロモ酢酸 tert-ブチル)を用いて処理して、化合物(xxxviii)を得る。
【0216】
工程2:適切な温度にて、溶媒の混合物(例えばTHF/水)を用いて、化合物(xxxviii)を試薬(例えば過酸化水素および水酸化リチウム)で処理することによって、化合物(xxxviii)から(xxxix)へ変換させてもよい。
【0217】
工程3:不活性雰囲気下、低温(例えば-78℃)にて、溶媒(例えばTHF)中において、エノラートの(xxxix)を塩基(例えばLDA)で処理し、さらに適切な脱離基を有する試薬(R2-LG)(例えば、LG=トリフレート)で処理することによって、化合物(xxxix)を化合物(xiii)に変換させることができる。
【実施例】
【0218】
本発明は以下の実施例においてさらに明確にされる。該実施例は例示のみを目的として提供されることが理解されるべきである。上記の考察および例から、当業者であれば、本発明の本質的特徴を確認することができ、そして、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、変更および改変を行って本発明を様々な使用および条件に適応させることができる。結果として本発明は、本明細書に記載の実例によって制限されるのではなく、むしろ添付の特許請求の範囲によって定義される。

(略語)
AcOH 酢酸
ACN アセトニトリル
AlMe3 トリメチルアルミニウム
Boc tert-ブチルオキシカルボニル
DCC 1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCM ジクロロメタン
DEA ジエチルアミン
DMAP ジメチルアミノピリジン
DME ジメチルエーテル
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EDC 1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩
EDCI 1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド
Et2AlCl ジエチルアルミニウムクロリド
EtOAc 酢酸エチル
H2SO4 硫酸
HCl 塩酸
HOBT ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
hr 時間
IPA イソプロピルアルコール
LCMS 液体クロマトグラフィー質量分析
LDA リチウムジイソプロピルアミド
LiHMDS リチウム ビス(トリメチルシリル)アミド
Me メチル
MeOH メタノール
min 分
MTBE メチル tert-ブチルエーテル
N2 窒素
NaHMDS ナトリウム ビス(トリメチルシリル)アミド
Pd/C パラジウム炭素
Ph フェニル
RT 保持時間
sat 飽和
TBTU O-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート
TEA トリエチルアミン
Tf2O トリフルオロメタンスルホン酸無水物(trifluoromethylsulfonic anhydride)
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
【0219】
実施例1
(2R,3S)-N-((3S)-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド
【化17】
製造物1A: tert-ブチル 5,5,5-トリフルオロペンタノエート
【化18】
THF(30 mL)およびヘキサン(30 mL)中の5,5,5-トリフルオロペンタン酸(5 g, 32.0 mmol)の撹拌した溶液に、0℃にて、tert-ブチル 2,2,2-トリクロロアセトイミデート(11.46 mL, 64.1 mmol)を加えた。該混合液を0℃で15分間撹拌した。ボロントリフルオリドエーテラート(0.406 mL, 3.20 mmol)を加え、該反応混合液を室温まで終夜昇温させた。該澄明な反応混合液に、固体のNaHCO3(5 g)を加え、30分間撹拌した。該混合液をMgSO4によって濾過し、ヘキサン(200 mL)で洗浄した。該溶液を45分間静置し、同じMgSO4フィルターで再度濾過することによって得られた固形物質を除去し、ヘキサン(100 mL)で洗浄し、加熱せずに減圧下で濃縮した。該体積を約30 mLまで減らし、清潔なフリット漏斗によって濾過し、ヘキサン(5 mL)で洗浄した後、加熱せずに減圧下で濃縮した。得られたニートの油状物を0.45μm ナイロンメンブレンディスクフィルターによって濾過して、tert-ブチル 5,5,5-トリフルオロペンタノエート(6.6 g, 31.4 mmol 98%収率)を無色の油状物として得た: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 1.38 (s, 9 H) 1.74-1.83 (m, 2 H) 2.00-2.13 (m, 2 H) 2.24 (t, J=7.28 Hz, 2 H).
【0220】
製造物1B: (4S)-4-(プロパン-2-イル)-3-(5,5,5-トリフルオロペンタノイル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン
【化19】
DCM(50 mL)およびDMF(3滴)中の5,5,5-トリフルオロペンタン酸(5.04 g, 32.3 mmol)の撹拌した溶液に、塩化オキサリル(3.4 mL, 38.8 mmol)を5分かけて滴下し、該溶液を、泡立ちが全て治まるまで撹拌した。該反応混合液を減圧下で濃縮して、淡黄色の油状物を得た。(4S)-4-(プロパン-2-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(4.18 g, 32.4 mmol)/THF(100 mL)溶液を入れた別個のフラスコに、-78℃にて、n-BuLi(2.5M/ヘキサン)(13.0 mL, 32.5 mmol)を、シリンジを介して5分かけて滴下した。10分間撹拌した後、THF(20 mL)中に溶解させた上記の酸塩化物を、カニューレを介して15分かけて加えた。該反応混合液を0℃まで昇温させ、浴が昇温するのにつれて室温まで昇温させ、終夜撹拌した。該反応混合液に、飽和NH4Clを加えた後、EtOAc(2x)で抽出した。有機物を合わせて、食塩水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。該粗物質を、フラッシュクロマトグラフィー(Teledyne ISCO CombiFlash Rf, 5%〜60% 溶媒 A/B=ヘキサン/EtOAc, REDISEP(登録商標) SiO2 120g)により精製した。適切な画分を濃縮して、製造物1B(7.39 g, 86%)を無色の油状物として得た: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 4.44 (1 H, dt, J=8.31, 3.53 Hz), 4.30 (1 H, t, J=8.69 Hz), 4.23 (1 H, dd, J=9.06, 3.02 Hz), 2.98-3.08 (2 H, m), 2.32-2.44 (1 H, m, J=13.91, 7.02, 7.02, 4.03 Hz), 2.13-2.25 (2 H, m), 1.88-2.00 (2 H, m), 0.93 (3 H, d, J=7.05 Hz), 0.88 (3 H, d, J=6.80 Hz).
【0221】
製造物1C: (2S,3R)-tert-ブチル 6,6,6-トリフルオロ-3-((S)-4-イソプロピル-2-オキソオキサゾリジン-3-カルボニル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘキサノエート、および
製造物1D: (2R,3R)-tert-ブチル 6,6,6-トリフルオロ-3-((S)-4-イソプロピル-2-オキソオキサゾリジン-3-カルボニル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘキサノエート
【化20】

冷却した(-78℃)、THF(59 mL)中のジイソプロピルアミン(5.3 mL, 37.2 mmol)の撹拌した溶液に、窒素雰囲気下においてn-BuLi(2.5M/ヘキサン)(14.7 mL, 36.8 mmol)を加えた後、0℃まで昇温させて、LDAの0.5M溶液を得た。別個の容器に製造物1B(2.45 g, 9.17 mmol)を入れ、該物質をベンゼンと2回共沸混合させた(RotoVapの空気吸入口に窒素入口(inlet)を装着して湿気を完全に排除した)後、トルエン(15.3 mL)を加えた。この溶液を、乾燥塩化リチウム(1.96 g, 46.2 mmol)を含むフラスコに加えた。得られた混合液(-78℃まで冷却した)に、LDA溶液(21.0 mL, 10.5 mmol)を加え、-78℃で10分間撹拌し、0℃まで10分間昇温させた後、-78℃まで再冷却した。製造物1A(3.41 g, 16.07 mmol)を含む別個の反応容器(これもまたベンゼンと2回共沸混合させた)に、トルエン(15.3 mL)を加え、-78℃まで冷却し、LDA(37.0 mL, 18.5 mmol)を加え、得られた溶液を-78℃で25分間撹拌した。その後、該エステル由来のエノラートを、カニューレを介してオキサゾリジノンエノラートの溶液に移し、-78℃でさらに5分間撹拌した後、セプタムを取り外し、該反応容器に固体粉末のビス(2-エチルヘキサノイルオキシ)銅(9.02 g, 25.8 mmol)を迅速に加え、該セプタムを元に戻した。すぐに該溶液を冷浴から取り出し、急速旋回させながら温水浴(40℃)に入れ、それと同時に最初の青緑色から茶色へ色が変化した。該反応混合液を20分間撹拌し、5%NH4OH水溶液(360 mL)に注ぎ入れ、EtOAc(2x)で抽出した。有機物を合わせて、食塩水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(Teledyne ISCO CombiFlash Rf, 0%〜60% 溶媒 A/B=ヘキサン/EtOAc, REDISEP(登録商標) SiO2 120g)により精製した。適切な画分を濃縮して、製造物1C(2.87 g, 66%)を淡黄色の粘稠性の油状物として得た。 1H NMRによって、該製造物はジアステレオ異性体 1C:1Dの1.6:1 混合物(2.74 & 2.84 ppmでの多重線の積分による測定として)であることが示された: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 4.43-4.54 (2 H, m), 4.23-4.35 (5 H, m), 4.01 (1 H, ddd, J=9.54, 6.27, 3.51 Hz), 2.84 (1 H, ddd, J=9.41, 7.28, 3.64 Hz), 2.74 (1 H, ddd, J=10.29, 6.27, 4.02 Hz), 2.37-2.48 (2 H, m, J=10.38, 6.98, 6.98, 3.51, 3.51 Hz), 2.20-2.37 (3 H, m), 1.92-2.20 (8 H, m), 1.64-1.91 (5 H, m), 1.47 (18 H, s), 0.88-0.98 (12 H, m).
【0222】
製造物1E: (2R,3S)-3-(tert-ブトキシカルボニル)-6,6,6-トリフルオロ-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘキサン酸、および
製造物1F: (2R,3R)-3-(tert-ブトキシカルボニル)-6,6,6-トリフルオロ-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘキサン酸
【化21】

冷却した(0℃)、THF(140 mL)および水(42 mL)中の製造物1Cおよび1D(4.54 g, 9.51 mmol)の撹拌した溶液に、過酸化水素(30%/水)(10.3 g, 91 mmol)およびLiOH(685.3 mg, 28.6 mmol)を連続して加え、該混合液を1時間撹拌した。その後、該反応容器を冷浴から取り出し、次いで、1.5時間撹拌した。HPLCにより該反応は完了したと判断された。該反応混合液に、飽和NaHCO3(45 mL)および飽和Na2SO3(15 mL)を加えた後、減圧下である程度濃縮した。得られたクルードな溶液をDCM(3x)で抽出した。水相を、1N HClを用いてpH〜1-2まで酸性化し、DCM(3x)およびEtOAc(1x)で抽出した。有機物を合わせて、食塩水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、減圧下で濃縮して、製造物1Eおよび1Fの混合物(3.00 g, 86%)を無色の油状物として得た: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 2.76-2.84 (1 H, m, ジアステレオ異性体2), 2.64-2.76 (3 H, m), 2.04-2.35 (8 H, m), 1.88-2.00 (4 H, m), 1.71-1.83 (4 H, m), 1.48 (9 H, s, ジアステレオ異性体1), 1.46 (9 H, s, ジアステレオ異性体2); 1H NMRによって、t-ブチル基のピークの積分により、1E:1Fの1.7:1混合物が示された。
【0223】
製造物1E: (2R,3S)-3-(tert-ブトキシカルボニル)-6,6,6-トリフルオロ-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘキサン酸、および
製造物1F: (2R,3R)-3-(tert-ブトキシカルボニル)-6,6,6-トリフルオロ-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘキサン酸
【化22】

冷たい(-78℃)、THF(19 mL)中のジイソプロピルアミン(1.7 mL, 11.93 mmol)の撹拌した溶液に、窒素雰囲気下において、n-BuLi(2.5M/ヘキサン)(4.8 mL, 12.00 mmol)を加えた。該混合液を5分間撹拌した後、0℃まで昇温させた。別個の容器において、冷たい(-78℃)、THF(18 mL)中の製造物1Eおよび1Fの混合物(1.99 g, 5.43 mmol)の撹拌した溶液に、上記で製造したLDA溶液を、カニューレを介し、25分間かけてゆっくりと加えた。該混合液を15分間撹拌した後、室温(24℃水浴に入れた)まで15分間昇温させ、次いで、-78℃まで15分間再び冷却した。該反応混合液に、シリンジを介してEt2AlCl(1M/ヘキサン)(11.4 mL, 11.40 mmol)を加え、10分間撹拌し、室温まで15分間昇温させた後、-78℃まで15分間冷却し戻した。メタノール(25 mL)を迅速に加え、室温まで昇温させながら激しく旋回させ、その後、最初の体積の〜1/4まで濃縮した。該混合物を、EtOAc中に溶解させ、1N HCl(50 mL)および氷(75g)で洗浄した。水相を分離し、EtOAc(2x)で抽出した。有機物を合わせて、KF(2.85g/75 mL水)および1N HCl(13 mL)[得られた溶液 pH 3-4]の混合物、次いで食塩水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、減圧下で濃縮して、製造物1Eおよび製造物1Fの9:1(1E:1F)のジアステレオ異性体リッチな混合物(1H NMRによる決定で)(2.13 g, >99%)を淡黄色の粘稠性の油状物として得た: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 2.64-2.76 (2 H, m), 2.04-2.35 (4 H, m), 1.88-2.00 (2 H, m), 1.71-1.83 (2 H, m), 1.48 (9 H, s).
【0224】
製造物1G: (3S)-3-アミノ-1-メチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン、および
製造物1H: (3R)-3-アミノ-1-メチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化23】

ラセミの3-アミノ-1-メチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(Rittle, K.E. et al., Tetrahedron Letters, 28(5):521-522 (1987))を、文献の方法に従って製造した。該エナンチオマーを、キラル-SFC条件下において以下の方法を用いて、分離させた: CHIRALPAK(登録商標) AS-H 5x25; 移動相: CO2中、30%MeOH+0.1%DEA; 流速: 280 mL/分; 圧力: 100 bar; 温度: 35℃.
【0225】
S-エナンチオマー(製造物1G)を得た: HPLC: 保持時間=1.75分(CHIRALPAK(登録商標) AS-H 4.6x250 mmにおいて、CO2中、30%MeOH+0.1%DEA, 3 mL/分, 35℃, 100 bar, 230 nm, 10μl 注入); 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 7.58-7.63 (2 H, m), 7.55 (1 H, ddd, J=8.50, 7.11, 1.76 Hz), 7.40-7.47 (1 H, m), 7.34-7.40 (3 H, m), 7.31 (1 H, dd, J=7.81, 1.51 Hz), 7.14-7.22 (1 H, m), 4.46 (1 H, s), 3.44 (3 H, s), 3.42 (2 H, s); [α]D= 155° (c=1.9, MeOH) (Lit. Rittle, K.E. et al., Tetrahedron Letters, 28(5):521-522 (1987): [α]D=-236°).
【0226】
R-エナンチオマー(製造物1H)も得た: HPLC: 保持時間=1.71分; [α]D=+165° (c=2.1, MeOH) (Lit [α]D= +227°).
【0227】
製造物1Gを製造するための別法:
製造物1G・CSA塩: (3S)-3-アミノ-1-メチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン, (1S)-(+)-10-カンファースルホン酸塩
【化24】
製造物1G・CSAを、ラセミの3-アミノ-1-メチル-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(9.98g, 37.6 mmol)(上記に示されるとおり文献に従って製造)から、文献の方法(Reider, P.J. et al., J. Org. Chem., 52:955-957 (1987))に従って、製造した。製造物1G・CSA(16.91g, 99%)を、無色の固形物として得た: 旋光度: [α]D = -26.99° (c=1, H2O) (Lit. [α]D = -27.8° (c=1, H2O))
【0228】
製造物1I: tert-ブチル (2S,3R)-6,6,6-トリフルオロ-3-(((3S)-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)カルバモイル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘキサノエート、および製造物1J: tert-ブチル (2R,3R)-6,6,6-トリフルオロ-3-(((3S)-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)カルバモイル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘキサノエート
【化25】

DMF(19 mL)中の製造物1G(1.45 g, 5.47 mmol)および製造物1Eおよび1Fの9:1混合物(1.989 g, 5.43 mmol)の撹拌した溶液に、O-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N',N'-テトラ-メチルウロニウムテトラフルオロボレート(1.79 g, 5.57 mmol)およびトリエチルアミン(3.0 mL, 21.52 mmol)を加え、終夜撹拌した。LCMSにより、該反応は完了したと判断された。該反応混合液を水(125 mL)に注ぎ入れ、沈殿した固形物を濾過により集め、水で洗浄し、風乾させて、製造物1Iおよび製造物1Jの8:1混合物(2.95 g, 89%)をクリーム色の固形物として得た: MS (ES): m/z= 614 [M+H]+; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 7.55-7.65 (3 H, m), 7.44-7.52 (2 H, m), 7.35-7.45 (4 H, m), 5.52 (1 H, d, J=8.03 Hz), 3.48 (3 H, s), 2.63 (2 H, ddd, J=9.35, 3.95, 3.76 Hz), 2.14-2.25 (4 H, m), 1.90-2.03 (3 H, m), 1.69-1.82 (1 H, m), 1.51 (9 H, s).
【0229】
製造物1K: (2S,3R)-6,6,6-トリフルオロ-3-(((3S)-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)カルバモイル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘキサン酸、および製造物1L: (2R,3R)-6,6,6-トリフルオロ-3-(((3S)-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)カルバモイル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘキサン酸
【化26】

冷却した(0℃)、DCM(20 mL)中の上記の製造物1Iおよび製造物1Jの混合物(2.95 g, 4.81 mmol)の撹拌した溶液に、TFA(20 mL, 260 mmol)を加えた。該反応混合液を1時間撹拌した後、室温まで昇温させ、2.5時間撹拌した。LCMSにより該反応は完了したと判断された。該反応混合液をトルエン(50 mL)で希釈し、減圧下で濃縮した。該反応混合液をトルエン(50 mL)に溶解させ、減圧下で濃縮した後、高真空下で乾燥させた。該粗生成物をDCMに溶解させ、SiO2(15g)を加え、濃縮した後、フラッシュクロマトグラフィー(Teledyne ISCO CombiFlash Rf, 0%〜45% 溶媒 A/B=DCM/EtOAc, REDISEP(登録商標) SiO2 80g)により精製した。適切な画分を濃縮して、製造物1Kおよび製造物1Lの混合物(2.00 g, 75%)をクリーム色の固形物として得た: HPLC: 保持時間=2.770分 (クロモリス(登録商標) SpeedROD 4.6 x 50 mm (4分グラジエント) 4分にわたる10-90%MeOH水溶液(0.1%TFA含有)、4 mL/分で溶出, 254 nmでモニタリング); MS (ES): m/z= 558 [M+H]+; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 8.32 (1 H, d, J=8.03 Hz), 7.65-7.71 (1 H, m), 7.50-7.60 (3 H, m), 7.41-7.49 (2 H, m), 7.39 (1 H, dd, J=7.91, 1.63 Hz), 7.23-7.35 (2 H, m), 5.59 (1 H, d, J=8.03 Hz), 3.51 (3 H, s), 2.81 (1 H, ddd, J=10.54, 6.90, 3.64 Hz), 2.67-2.76 (1 H, m), 2.22-2.33 (3 H, m), 1.99-2.12 (3 H, m), 1.85-1.94 (1 H, m), 1.79 (1 H, ddd, J=13.87, 7.84, 3.64 Hz).
【0230】
実施例1:
DMF(25 mL)中の製造物1Kおよび製造物1Lの8:1混合物(3.46 g, 6.21 mmol)の撹拌した溶液に、窒素雰囲気下において、塩化アンモニウム(3.32 g, 62.1 mmol)、EDC(3.55 g, 18.52 mmol)、HOBT(2.85 g, 18.61 mmol)、およびトリエチルアミン(16 mL, 115 mmol)を加え、終夜撹拌した。LCMSにより、該反応は完了したと判断された。該反応混合液を、激しく旋回させながら水(200 mL)に注ぎ入れた後、静置した。固形物を濾過により集め、水で洗浄し、乾燥させて、3.6 gの無色の固形物を得た。該固形物を、プレパラティブSFCクロマトグラフィー(Lux-Cellulose-2 (3x25cm), 8%メタノール/CO2, 140ml/分 220nmおよび35℃にて; サンプル: 50ccのメタノール中に3.6g, 濃度=70mg/ml, スタックインジェクション: 0.5cc/9.2分)により精製した。生成物を含む画分を濃縮し、減圧下で終夜乾燥させた。実施例1(2.74 g, 79%)を無色の固形物(結晶形態N-1)として得た: HPLC: 保持時間=9.601分(H2O/CH3CN(TFA含有), Sunfire C18 3.5um, 4.6x150mm, 4.6x150mm, グラジエント = 15分, 波長 = 220および254 nm). MS (ES): m/z= 557 [M+H]+; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.54 (1 H, d, J=7.28 Hz), 7.71-7.80 (1 H, m), 7.68 (2 H, d, J=8.78 Hz), 7.50-7.62 (3 H, m), 7.45 (2 H, t, J=7.28 Hz), 7.29-7.40 (2 H, m), 7.15 (1 H, br. s.), 5.30 (1 H, d, J=7.28 Hz), 3.39 (3 H, s), 2.74-2.86 (1 H, m), 2.02-2.32 (3 H, m), 1.45-1.79 (4 H, m); [α]D = -107.0° (5.73 mg/mL, DMSO).
【0231】
約1 mgの実施例1を約0.7 mLのアセトン/アセトニトリル/水溶液(2:2:1)に加えることにより、結晶形態A-2を製造した。該溶液を室温で1日間ゆっくりとエバポレートした後、無色の針状晶と薄い刃状晶(thin blades crystal)の混合物を得た。該薄い刃状晶を分離して、結晶形態A-2を得た。
【0232】
約1 mgの実施例1を約0.7 mLの酢酸エチル/ヘプタン溶液(1:1)に加えることにより、結晶形態EA-3を製造した。該溶液を室温で3日間ゆっくりとエバポレートした後、無色の刃状晶を得た。
【0233】
約5 mgの実施例1を約0.7 mLのTHF/水溶液(4:1)に加えることにより、結晶形態THF-2を得た。該溶液を室温で1日間ゆっくりとエバポレートした後、無色の刃状晶(blade-like crystal)を得た。
【0234】
実施例1を製造するための別法:
製造物1M: 3,3,3-トリフルオロプロピル トリフルオロメタンスルホネート
【化27】
冷たい(-25℃)、CH2Cl2(120 mL)中の2,6-ルチジン(18.38 mL, 158 mmol)の撹拌した溶液に、Tf2O(24.88 mL, 147 mmol)を3分かけて加え、5分間撹拌した。該反応混合液に、3,3,3-トリフルオロプロパン-1-オール(12 g, 105 mmol)を3分間隔で加えた。2時間後、該反応混合液を室温まで昇温させ、1時間撹拌した。該反応混合液を半分の体積まで濃縮した後、シリカゲルカラム(330g ISCO)にそのままロードすることによって精製し、CH2Cl2で溶出した。製造物1M(13.74 g, 53%)を無色の油状物として得た。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 4.71 (2 H, t, J=6.15 Hz), 2.49-2.86 (2 H, m).
【0235】
製造物1N: (4S)-4-ベンジル-3-(5,5,5-トリフルオロペンタノイル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン
【化28】
製造物1Nを、5,5,5-トリフルオロペンタン酸(3.35 g, 21.46 mmol)および(4S)-4-ベンジル-1,3-オキサゾリジン-2-オン(3.80 g, 21.46 mmol)から、製造物1Bについて示された一般的な方法によって製造した。製造物1N(5.67 g, 84%)を、無色の粘稠性の油状物として得た: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 7.32-7.39 (2 H, m), 7.30 (1 H, d, J=7.05 Hz), 7.18-7.25 (2 H, m), 4.64-4.74 (1 H, m), 4.17-4.27 (2 H, m), 3.31 (1 H, dd, J=13.35, 3.27 Hz), 3.00-3.11 (2 H, m), 2.79 (1 H, dd, J=13.35, 9.57 Hz), 2.16-2.28 (2 H, m), 1.93-2.04 (2 H, m).
【0236】
製造物1O: tert-ブチル (3R)-3-(((4S)-4-ベンジル-2-オキソ-1,3-オキサゾリジン-3-イル)カルボニル)-6,6,6-トリフルオロヘキサノエート
【化29】
冷たい(-78℃)、THF(20 mL)中の製造物1N(3.03 g, 9.61 mmol)の撹拌した溶液に、NaHMDS(1.0M/THF)(10.6 mL, 10.60 mmol)を窒素雰囲気において加えた。2時間後、tert-ブチル 2-ブロモアセテート(5.62 g, 28.8 mmol)を、-78℃にて、シリンジを介してニートで加え、同一の温度で撹拌を維持した。6時間後、該反応混合液を室温まで昇温させた。該反応混合液を飽和NH4ClおよびEtOAc間に分配した。有機相を分離し、水相(aqueous)をEtOAc(3x)で抽出した。有機物を合わせて、食塩水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(Teledyne ISCO CombiFlash Rf, 5%〜100% 溶媒 A/B=ヘキサン/EtOAc, REDISEP(登録商標) SiO2 120g)により精製した。適切な画分を濃縮して、製造物1O(2.79 g, 67.6%)を無色の粘稠性の油状物として得た: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 7.34 (2 H, d, J=7.30 Hz), 7.24-7.32 (3 H, m), 4.62-4.75 (1 H, m, J=10.17, 6.89, 3.43, 3.43 Hz), 4.15-4.25 (3 H, m), 3.35 (1 H, dd, J=13.60, 3.27 Hz), 2.84 (1 H, dd, J=16.62, 9.57 Hz), 2.75 (1 H, dd, J=13.35, 10.07 Hz), 2.47 (1 H, dd, J=16.62, 4.78 Hz), 2.11-2.23 (2 H, m), 1.90-2.02 (1 H, m), 1.72-1.84 (1 H, m), 1.44 (9 H, s).
【0237】
製造物1P: (2R)-2-(2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)-5,5,5-トリフルオロペンタン酸
【化30】
製造物1Pを、製造物1O(2.79 g, 6.50 mmol)から、製造物1Eについて示された一般的な方法によって製造した。製造物1P(1.45 g, 83%)を無色の油状物として得た: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 2.83-2.95 (1 H, m), 2.62-2.74 (1 H, m), 2.45 (1 H, dd, J=16.62, 5.79 Hz), 2.15-2.27 (2 H, m), 1.88-2.00 (1 H, m), 1.75-1.88 (1 H, m), 1.45 (9 H, s).
【0238】
製造物1E: (2R,3S)-3-(tert-ブトキシカルボニル)-6,6,6-トリフルオロ-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘキサン酸、および
製造物1F: (2R,3R)-3-(tert-ブトキシカルボニル)-6,6,6-トリフルオロ-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘキサン酸
【化31】
冷たい(-78℃)、THF(60 mL)中の製造物1P(5.44 g, 20.13 mmol)の撹拌した溶液に、LDA(24.60 mL, 44.3 mmol)を7分かけてゆっくりと加えた。2時間撹拌した後、製造物1M(6.44 g, 26.2 mmol)を該反応混合液に3分かけて加えた。45分後、該反応混合液を-25℃浴(氷/MeOH/ドライアイス)まで1時間で昇温させた後、0℃まで昇温させた。45分後、製造物1M(1g)を加え、該反応混合液を20分間撹拌した。該反応液を水および1N NaOHでクエンチし、CH2Cl2で抽出した。有機層を再び1N NaOH(2x)で抽出し、水層を合わせた。水層を氷/水浴中で冷却した後、濃HClを用いてpH 2まで酸性化した。次に、該水層をEtOAcで抽出した。有機物を合わせて、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を高真空下で乾燥させて、製造物1Eおよび製造物1Fの1:5(1E:1F)混合物(1H NMRによる決定で)(5.925 g, 80%)を淡黄色の固形物として得た。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 2.81 (1 H, ddd, J=10.17, 6.32, 3.85 Hz), 2.63-2.76 (1 H, m), 2.02-2.33 (4 H, m), 1.86-1.99 (2 H, m), 1.68-1.85 (2 H, m), 1.47 (9 H, s).
【0239】
製造物1E: (2R,3S)-3-(tert-ブトキシカルボニル)-6,6,6-トリフルオロ-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘキサン酸、および
製造物1F: (2R,3R)-3-(tert-ブトキシカルボニル)-6,6,6-トリフルオロ-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘキサン酸
【化32】

製造物1Eおよび製造物1Fの混合物(64 mg, 1.758 mmol)をTHF(6 mL)に溶解させて無色の溶液を得て、それを-78℃まで冷却した。次いで、LDA(2.149 mL, 3.87 mmol)(ヘプタン/THF/エチルベンゼン中、1.8M)を該反応混合液に10分かけてゆっくりと加えた。15分間撹拌した後、該反応混合液を室温の水浴中に置いた。15分後、該反応混合液を-78℃の浴に戻し、その後、ジエチルアルミニウムクロリド(3.87 mL, 3.87 mmol)(1M/ヘキサン)を5分かけてゆっくりと加えた。該反応混合液を-78℃で撹拌した。15分後、該反応混合液を室温の水浴に10分間設置し、その後、-78℃浴まで冷却し戻した。15分後、該反応液をMeOH(8 mL, 198 mmol)でクエンチし、-78℃浴を取り外し、濃縮した。該反応混合液に、氷およびHCl(16 mL, 16.00 mmol)を加え、続いて、EtOAc(2x)で抽出した。有機層をフッ化カリウム(920 mg, 15.84 mmol)(25 mLのH2O中)およびHCl(4.5 mL, 4.50 mmol)で洗浄した。有機物を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、製造物1Eおよび製造物1Fの9:1(1E:1F)のリッチな混合物(540 mg, 1.583 mmol, 90%収率)を薄い黄色/オレンジ色の固形物を得た。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 2.64-2.76 (2 H, m), 2.04-2.35 (4 H, m), 1.88-2.00 (2 H, m), 1.71-1.83 (2 H, m), 1.48 (9 H, s). それを、上記で概説した反応順序によって実施例1に変換した。
【0240】
製造物1Eを製造するための別法:
製造物1Q: (2R,3S)-1-ベンジル 4-tert-ブチル 2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシネート
【化33】
機械撹拌、温度計ソケットおよび窒素バブラーを備えた、清潔な乾燥した5 Lの4つ口丸底フラスコに、室温にて、N,N-ジメチルホルムアミド(2.07 L)、製造物1Eおよび製造物1Fの1.2:1混合物(207 g, 0.5651 mol)、炭酸カリウム(117.1 g, 0.8476 mol)、その後ベンジルブロミド(116 g, 0.6781 mol)を15〜20分かけて入れた。該反応混合液を2〜3時間撹拌した。反応の完了後、減圧下で50〜55℃にて、該反応混合液を乾固するまで濃縮した。酢酸エチル(3.1 L, 30容積)を、該濃縮された反応物に加え、次いで、水(2.07 L)、食塩水(0.6 L)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウム(207 g)で乾燥させ、濾過し、減圧下で40〜45℃にて、乾固するまで濃縮した。該残渣をジクロロメタン(1.035 L, 5容積)に溶解させた後、シリカゲル(60-120)(607 g, 3.0 w/w)上に吸収させ、その後、カラムクロマトグラフィー(溶媒として石油エーテルおよび酢酸エチルを使用)を用いて精製した。いくつかのバッチをプールした後、製造物1Q(235 g)を得た。 HPLC純度: 99.77%,
【0241】
製造物1E: (2R,3S)-3-(tert-ブトキシカルボニル)-6,6,6-トリフルオロ-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘキサン酸
【化34】
清潔な乾燥した2 Lオートクレーブにメタノール(540 mL)を入れ、窒素で5〜10分間パージした。オートクレーブに10%パラジウム炭素(12 g, 20%)を加え、5〜10分間もう一度窒素でパージした後、製造物1Q(60g, 0.1315 mol)を加え、該オートクレーブをメタノール(60mL)でフラッシュし、5Kg 水素圧力下で20-25℃にて、4〜6時間撹拌した。反応の完了後、該反応物を、セライト(登録商標)によって濾過し、メタノール(180 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム(60 g)で乾燥させ、濾過し、減圧下で45〜50℃にて、乾固するまで濃縮した。製造物1E(45.8 g, 95%)を無色の固形物として得た: HPLC純度: 98.9%。
【0242】
製造物1Eを製造するための別法:
製造物1E: (2R,3S)-3-(tert-ブトキシカルボニル)-6,6,6-トリフルオロ-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘキサン酸
【化35】
製造物1Eを、製造物1Eおよび1Fの混合物(200g, 0.5460 mol)から、THF(2.0L)中のLDA(THF、エチルベンゼンおよびヘプタン中の1.8 M溶液)(698mL, 2.3当量)およびジエチルアルミニウムクロリド(ヘキサン中の1.0 M溶液)(1256mL, 2.3当量)を用いて、上記と同一の方法で製造した。上記で説明の通りワークアップした後、得られた残渣を以下のように処理した:該粗物質を、2Lの4つ口丸底フラスコに加えた後、30℃以下でMTBE(1.0L)を加えた。得られた混合液を5〜10分間撹拌して澄明な溶液を得た。該反応混合液に、30℃以下の温度でヘキサン(600mL)を加えた。該反応混合液を10分間撹拌した。次に、tert-ブチルアミン(43.8g, 1.1当量)を、30℃以下で15分間かけてゆっくりと加えた。この添加に発熱が認められた。該反応混合液を30℃以下で2時間撹拌し、濾過した。該固体物質を、5:3 MTBE:ヘキサン(200mL)で洗浄し、濾液を濃縮して、琥珀色のボトルに移した。濾過した固形物をジクロロメタン(2.0L)に溶解させ、1N HCl(2.0)で洗浄し、有機層を食塩水(1.0L x 2)で洗浄した後、45℃以下にて減圧下で濃縮した。この物質は91.12%純粋であることが分かった。該物質を、上記のt-ブチルアミン結晶化精製法によって再精製した。製造物1E(78 g, 39%)を得た: HPLC純度: 99.54%。
【0243】
実施例1を製造するための別法:
製造物1I: tert-ブチル (2S,3R)-6,6,6-トリフルオロ-3-(((3S)-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)カルバモイル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘキサノエート
【化36】
機械撹拌、温度計ソケットおよび窒素バブラーを備えた、清潔で乾燥した2 L 4つ口丸底フラスコに、20〜25℃で窒素雰囲気下において、N,N-ジメチルホルムアミド(457 mL)、製造物1E(45.7g, 0.1248mol)および製造物1G・CSA(62.08g, 0.1248mol)を入れた。該反応混合液を15〜20分間撹拌して澄明な溶液を得た(20〜25℃にて)。該反応混合液に、20〜25℃にてTBTU(48.16g, 0.1498 mol)をを加えた後、20〜25℃にて15〜20分かけてトリエチルアミン(50.51g, 0.4992 mol)を加えた。該反応混合液を、窒素雰囲気下で20〜25℃にて60〜120分間、撹拌した。反応の完了後、該反応液を、撹拌下において20〜25℃にて水(1.37L, 30容積)でクエンチした。該反応混合液を、20〜25℃にて30分間撹拌した。該反応混合液を濾過し、水(228 mL)で洗浄した。得られた固体物質を酢酸エチル(457 mL)に溶解させ、水(2x137 mL)、食塩水(137 mL)で洗浄し、次いで、無水硫酸ナトリウム(45.7g)で乾燥させた。該反応混合液に活性炭(9.14 g, 20%)を加え、30分間撹拌した。該混合液を、セライト(登録商標)ベッドおよび1ミクロンの濾布によって濾過し、活性炭を酢酸エチル(137 mL)で洗浄し、1.0容積まで濃縮した後、石油エーテル(457 mL, 10容積)を加え、20〜25℃にて30分間撹拌した。該固形物を、濾過により集め、石油エーテル(137 mL)で洗浄した後、乾燥による損失が3.0%未満であるまで、40〜45℃にて8時間減圧下で乾燥させた。製造物1I(65.2 g, 85%)を得た: HPLC純度: 98.26%。
【0244】
製造物1K: (2S,3R)-6,6,6-トリフルオロ-3-(((3S)-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)カルバモイル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘキサン酸
【化37】
機械撹拌、温度計ソケットおよび窒素バブラーを備えた清潔な乾燥した3 L 4つ口丸底フラスコに、窒素雰囲気下でジクロロメタン(980 mL)、続いて製造物1I(140 g, 0.2282 mol)を、20〜25℃にて、入れた。該反応混合液を0〜5℃まで冷却し、トリフルオロ酢酸(980 mL)を30〜40分間ゆっくりと加えた。得られた混合液を、窒素雰囲気下において0〜5℃で2時間撹拌した。該反応温度を20〜25℃まで昇温させ、該反応混合液を20〜25℃で1〜2時間撹拌した。反応の完了後、該反応混合液を、減圧下で50〜55℃にて、乾固するまで濃縮した。濃縮した反応物にトルエン(3x700 mL)を加えた後、減圧下で50〜55℃にて蒸留して除去した。トルエンからの濃縮が完了した後、該反応物に酢酸エチル(280 mL)を20〜25℃にて加え、60分間撹拌し、その後、固形物を濾過により集め、酢酸エチル(140 mL)で洗浄し、乾燥による損失が2.0%未満であるまで、50〜55℃にて12時間、減圧下で乾燥させた。製造物1K(106 g, 84%)を得た: HPLC純度: 98.43%。
【0245】
実施例1:
反応容器に、製造物1K(30 g, 53.81 mmol)、HOBt(8.7g, 64.38 mmol)、およびTHF(150 mL)を、室温にて入れた。該均一な溶液に、EDCI(12.4g, 64.68 mmol)を加え、15分間撹拌した後、8℃まで冷却した。該反応混合液に、温度を10℃以下に維持するように、アンモニア(2M/IPA)(81 mL, 162 mmol)を5分かけて加えた。得られた濃いスラリー(heavy slurry)を10分間撹拌し、30分かけて室温まで昇温させた後、4時間撹拌した。反応が完了した時点で、水(230 mL)を、温度が20℃以下に維持されるように15分かけてゆっくりと加えた後、2時間撹拌した。固形物を濾過により集め、水(3X60 mL)で洗浄し、次いで、55℃にて減圧下で48時間、乾燥させた。上記の粗生成物を、1 L 3つ口丸底フラスコに加えた。IPA(200 mL)を加えた後、80℃まで加熱して均一な溶液を得た。水(170 mL)を、内部温度を>75℃に維持するようにゆっくりと(15分)加えた。得られたスラリーを撹拌し、室温まで2時間冷却した。固形物を濾過により集め、水(2 X 50 mL)で洗浄した後、減圧下で乾燥させた(55℃で24時間、および30℃で48時間)。実施例1(23.4 g, 78%収率)を得た: HPLC純度: 99.43%。
【0246】
実施例2
(2R,3S)-N-((3S)-2-Oxo-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド
【化38】

製造物2A: (3S)-3-アミノ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン、および
製造物2B: (3R)-3-アミノ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化39】

ラセミの3-アミノ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(J. Med. Chem., 49:2311-2319 (2006), compound# 5)を、文献の方法に従って製造した。エナンチオマーを、Berger SFC MGIIIカラムで分離した: Lux 25X3 cm, 5cm; 移動相: CO2中、30%MeOH+0.1%DEA ; 流速: 150 mL/分; 温度: 40℃; 検出器波長: 250 nM。S-エナンチオマー製造物2Aを白色の固形物として得た: 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 10.67 (1 H, br. s.), 7.58 (1 H, td, J=7.65, 1.76 Hz), 7.37-7.53 (5 H, m), 7.23-7.30 (2 H, m), 7.14-7.22 (1 H, m), 4.23 (1 H, s), 2.60 (2 H, br. s.); HPLC: 保持時間=3.0625分 (OD-Hカラムで、CO2中、30%MeOH+0.1%DEA, 3 mL/分, 35℃, 96 bar, 230 nm, 10μl注入); [α]D = -208.3° (5.05 mg/mL, MeOH). また、R-エナンチオマー製造物2Bをオフホワイト色の固形物として得た: HPLC: 保持時間=3.970分; [α]D = 182.1° (2.01 mg/mL, MeOH).
【0247】
製造物2C: tert-ブチル (2S,3R)-6,6,6-トリフルオロ-3-(((3S)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)カルバモイル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘキサノエート、および
製造物2D: tert-ブチル (2R,3R)-6,6,6-トリフルオロ-3-(((3S)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)カルバモイル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘキサノエート
【化40】
製造物2Cを、製造物2A(564 mg, 2.244 mmol)ならびに製造物1Eおよび製造物1Fの混合物(822 mg, 2.244 mmol)から、製造物1Iについて示した一般的な方法に従って、製造した。製造物2Cおよび製造物2D(1.31 g, 97%)を得た: HPLC: 保持時間=3.443分(クロモリス(登録商標) ODS 4.6 x 50 mm (4分グラジエント) 4分にわたる10-90%MeOH水溶液(0.1%TFA含有)、4 mL/分で溶出, 220 nmでモニタリング); MS (ES): m/z= 600.3 [M+H]+.
【0248】
製造物2E: (2S,3R)-6,6,6-トリフルオロ-3-(((3S)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)カルバモイル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘキサン酸、および
製造物2F: (2R,3R)-6,6,6-トリフルオロ-3-(((3S)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)カルバモイル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘキサン酸
【化41】
製造物2Eおよび製造物2Fの混合物を、製造物2Cおよび製造物2Dの混合物(1.31g, 2.185 mmol)から、製造物1Kについて示した一般的な方法によって製造した。製造物2Eおよび製造物2Fの混合物(1.18 g, 99%)を得た: HPLC: 保持時間=2.885分(クロモリス(登録商標) ODS 4.6 x 50 mm (4分グラジエント) 4分にわたる10-90%MeOH水溶液(0.1%TFA含有)、4 mL/分で溶出, 220 nmでモニタリング)。 MS (ES): m/z= 544.2 [M+H]+.
【0249】
実施例2:
実施例2を、製造物2Eおよび製造物2Fの混合物(354 mg, 0.651 mmol)から、実施例1について示した一般的な方法に従って、製造した。ジアステレオ異性体を分割した後、実施例2(188 mg, 52%)を白色の固形物として得た: HPLC: 保持時間=9.063分(H2O/CH3CN(TFA含有), Sunfire C18 3.5um, 4.6x150mm, 4.6x150mm, グラジエント = 15分, 波長 = 220および254 nm); MS (ES): m/z= 543 [M+H]+; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 10.87 (1 H, br. s.), 9.50-9.55 (1 H, m), 7.62-7.69 (2 H, m), 7.40-7.57 (5 H, m), 7.29-7.36 (2 H, m), 7.22-7.28 (1 H, m), 7.16 (1 H, br. s.), 5.25 (1 H, d), 3.30-3.32 (1 H, m), 2.75-2.86 (1 H, m), 2.44-2.48 (1 H, m), 2.06-2.34 (3 H, m), 1.51-1.77 (4 H, m); [α]D = -114.4° (8.04 mg/mL, DMSO).
【0250】
結晶形態M2-1を、約1 mgの実施例2を約0.7 mLのMeOH/フルオロベンゼン溶液(3:1)に加えることによって、製造した。室温で溶媒をエバポレートして2日後に、無色の板状晶を得た。
【0251】
実施例3
(2R,3S)-N-((3S)-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2-(2,2,2-トリフルオロエチル)-3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド
【化42】
製造物3A: (4S)-4-(プロパン-2-イル)-3-(4,4,4-トリフルオロブタノイル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン
【化43】

製造物3Aを、(4S)-4-(プロパン-2-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(4.66 g, 36.1 mmol)および4,4,4-トリフルオロブタン酸(5.02 g, 35.3 mmol)から、製造物1Bについて示した一般的な方法によって、製造した。製造物3Aを無色の油状物として得た(3.64g, 40%)。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 4.44 (1 H, ddd, J=8.41, 3.51, 3.39 Hz), 4.31 (1 H, t, J=8.66 Hz), 4.25 (1 H, dd, J=9.03, 3.26 Hz), 3.13-3.32 (2 H, m), 2.47-2.59 (2 H, m), 2.38 (1 H, dddd, J=13.96, 7.01, 3.89 Hz), 0.93 (3 H, d, J=7.28 Hz), 0.88 (3 H, d, J=6.78 Hz).
【0252】
製造物3B: tert-ブチル (3R)-5,5,5-トリフルオロ-3-(((4S)-2-オキソ-4-(プロパン-2-イル)-1,3-オキサゾリジン-3-イル)カルボニル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ペンタノエート
【化44】
製造物3Bを、製造物3A(1.04 g, 4.12 mmol)およびtert-ブチル 5,5,5-トリフルオロペンタノエート(製造物1A)(1.55 g, 7.28 mmol)から、製造物1Cについて示した一般的な方法によって、製造した。製造物3B(528.3 mg, 28%)を淡黄色の粘稠性の油状物として得た: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 4.57 (1 H, ddd, J=10.54, 5.02, 1.76 Hz), 4.41-4.50 (2 H, m), 4.20-4.32 (4 H, m), 2.77-2.88 (3 H, m), 2.70 (1 H, dt, J=9.79, 4.89 Hz), 2.38 (1 H, dddd, J=10.38, 6.87, 3.64, 3.45 Hz), 2.23-2.34 (4 H, m), 2.06-2.18 (2 H, m), 1.93-2.05 (2 H, m), 1.69-1.81 (4 H, m), 1.46 (9 H, s), 1.43 (9 H, s), 0.85-0.97 (12 H, m).
【0253】
製造物3C: (2R)-3-(tert-ブトキシカルボニル)-6,6,6-トリフルオロ-2-(2,2,2-トリフルオロエチル)ヘキサン酸
【化45】
製造物3Cを、製造物3B(528.3 mg, 1.140 mmol)から、製造物1Dについて示した一般的な方法によって製造した。製造物3C(306.7 mg, 76%)を、無色のロウ状の固形物として得た(306.7 mg, 76%)。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 3.08 (1 H, ddd, J=8.72, 4.20, 3.89 Hz), 3.00 (1 H, ddd, J=9.66, 7.03, 2.89 Hz), 2.70-2.82 (4 H, m), 2.36 (1 H, ddd, J=15.25, 10.73, 3.64 Hz), 2.18-2.30 (2 H, m), 2.12 (2 H, dd, J=10.16, 5.65 Hz), 1.90-2.02 (2 H, m), 1.70-1.81 (3 H, m), 1.45-1.51 (18 H, m).
【0254】
製造物3D: (2R,3S)-3-(tert-ブトキシカルボニル)-6,6,6-トリフルオロ-2-(2,2,2-トリフルオロエチル)ヘキサン酸
【化46】
製造物3Dを、製造物3C(306.7 mg, 0.871 mmol)から、製造物1Eおよび製造物1Fのリッチな混合物について示した一般的な方法によって、製造した。製造物3D(297.0 mg, 97%)を、黄色のロウ状の固形物として得た(297.0 mg, 97%)。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 2.99 (1 H, ddd, J=9.47, 6.96, 2.89 Hz), 2.69-2.82 (2 H, m), 2.18-2.31 (2 H, m), 2.06-2.18 (1 H, m), 1.91-2.03 (1 H, m), 1.68-1.80 (1 H, m), 1.46-1.51 (9 H, m).
【0255】
製造物3E: tert-ブチル (2S,3R)-5,5,5-トリフルオロ-3-(((3S)-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)カルバモイル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ペンタノエート
【化47】
製造物3Eを、製造物3D(297.0 mg, 0.843 mmol)および製造物1G(212.0 mg, 0.799 mmol)から、製造物1Iについて示した一般的な方法によって製造した。製造物3E(471.7 mg, 98%)を黄褐色の固形物として得た(471.7 mg, 98%)。 MS (ES): m/z= 600 [M+H]+; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 7.75 (1 H, d, J=7.78 Hz), 7.54-7.64 (3 H, m), 7.43-7.51 (1 H, m), 7.34-7.43 (4 H, m), 7.22-7.31 (1 H, m), 5.50 (1 H, d, J=7.53 Hz), 3.48 (3 H, s), 2.87-2.96 (1 H, m), 2.73-2.83 (1 H, m), 2.60 (1 H, td, J=10.10, 3.89 Hz), 2.13-2.25 (3 H, m), 1.86-2.05 (2 H, m), 1.52 (9 H, s).
【0256】
製造物3F: (2S,3R)-5,5,5-トリフルオロ-3-(((3S)-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)カルバモイル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ペンタン酸
【化48】
製造物3Fを、製造物3E(466.1 mg, 0.777 mmol)から、製造物1Hについて示した一般的な方法によって、製造した。製造物3F(451 mg, >99%)を黄褐色の固形物として得た。 MS (ES): m/z= 544 [M+H]+; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 8.29 (1 H, d, J=7.53 Hz), 7.64 (1 H, td, J=7.84, 1.63 Hz), 7.53-7.60 (2 H, m), 7.49 (1 H, t, J=7.40 Hz), 7.33-7.46 (4 H, m), 7.22-7.33 (2 H, m), 5.53 (1 H, d, J=7.53 Hz), 3.49 (3 H, s), 3.04-3.21 (2 H, m), 2.69-2.81 (2 H, m), 2.23-2.33 (2 H, m), 2.07-2.19 (2 H, m).
【0257】
実施例3:
実施例3を、製造物3F(446 mg, 0.821 mmol)から、実施例1について示した一般的な方法によって、製造した。ジアステレオ異性体の分割後、実施例3を得た: HPLC: 保持時間=3.17分 (H2O/CH3CN(TFA含有), Sunfire C18 3.5um, 4.6x150mm, 4.6x150mm, グラジエント = 15分, 波長 = 220および254 nm). MS (ES): m/z= 543.3 [M+H]+; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.72 (1 H, d, J=8.53 Hz), 7.71-7.77 (1 H, m), 7.66-7.71 (1 H, m), 7.64 (1 H, d, J=1.25 Hz), 7.48-7.57 (3 H, m), 7.39-7.47 (2 H, m), 7.30-7.39 (2 H, m), 7.23 (1 H, s), 5.36 (1 H, d, J=8.53 Hz), 3.39 (3 H, s), 3.12-3.23 (1 H, m), 2.53-2.61 (1 H, m), 2.43 (1 H, td, J=10.10, 3.89 Hz), 2.16-2.28 (1 H, m), 2.02-2.16 (1 H, m), 1.82-1.96 (1 H, m), 1.68-1.82 (1 H, m).
【0258】
実施例4
(2R,3S)-N-((3S)-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド
【化49】
製造物4A: tert-ブチル 4,4,4-トリフルオロブタノエート
【化50】
製造物4Aを、4,4,4-トリフルオロブタン酸(4.99 g, 35.1 mmol)から、製造物1Aについて示した一般的な方法を用いて、製造した。製造物4A(5.58 g, 80%)を、無色の油状物として得た。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 2.47-2.52 (2 H, m), 2.37-2.45 (2 H, m), 1.46 (9 H, s).
【0259】
製造物4B: tert-ブチル (3R)-6,6,6-トリフルオロ-3-(((4S)-2-オキソ-4-(プロパン-2-イル)-1,3-オキサゾリジン-3-イル)カルボニル)-2-(2,2,2-トリフルオロエチル)ヘキサノエート
【化51】
製造物4Bを、製造物4A(1058.3 mg, 5.34 mmol)および製造物1B(809.2 mg, 3.03 mmol)から、製造物1Cについて示した一般的な方法に従って、製造した。製造物4B(690.1 mg, 49%)を、淡黄色の粘稠性の油状物として得た。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 4.45-4.52 (1 H, m), 4.23-4.40 (1 H, m), 4.05-4.12 (1 H, m), 3.70 (1 H, t, J=6.7 Hz), 3.05 (1 H, ddd, J=9.9, 5.0, 2.3 Hz), 2.99 (1 H, ddd, J=11.2, 5.8, 1.8 Hz), 2.58-2.91 (2 H, m), 2.38-2.49 (1 H, m), 2.27-2.36 (1 H, m), 2.07-2.26 (1 H, m), 1.96-2.04 (1 H, m), 1.85-1.94 (1 H, m), 1.72-1.82 (1 H, m), 1.46 (3 H, s), 0.88-0.98 (3 H, m); HPLC: 保持時間=3.36分 (MeOH/H2O/0.1%TFA, クロモリス(登録商標) SpeedROD 4.6 x 50 mm, 4分グラジエント, 波長=220 nm).
【0260】
製造物4C: (2R)-3-(tert-ブトキシカルボニル)-5,5,5-トリフルオロ-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ペンタン酸
【化52】
製造物4Cを、製造物4B(690.1 mg, 1.489 mmol)から、製造物1Eについて示した一般的な方法に従って、製造した。製造物4C(335.9 mg, 64%)を無色の油状物として得た。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 2.91-3.03 (1 H, m), 2.63-2.88 (2 H, m), 2.50 (1 H, t, J=7.3 Hz), 2.07-2.43 (4 H, m), 1.89-2.05 (2 H, m), 1.73-1.88 (1 H, m), 1.47 (5 H, s), 1.47 (4 H, s).
【0261】
製造物4D: (2R,3S)-3-(tert-ブトキシカルボニル)-5,5,5-トリフルオロ-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ペンタン酸
【化53】
製造物4Dを、製造物4C(335.9 mg, 0.954 mmol)から、製造物1Eおよび製造物1Fのリッチな混合物について示した一般的な方法に従って、製造した。製造物4D(277.8 mg, 83%)を、茶色の油状物として得た。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 2.90-3.03 (1 H, m), 2.64-2.88 (2 H, m), 2.50 (1 H, t, J=7.3 Hz), 2.06-2.43 (3 H, m), 1.89-2.03 (1 H, m), 1.73-1.88 (1 H, m), 1.47 (9 H, s).
【0262】
製造物4E: tert-ブチル (2S,3R)-6,6,6-トリフルオロ-3-(((3S)-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)カルバモイル)-2-(2,2,2-トリフルオロエチル)ヘキサノエート
【化54】
製造物4Eを、製造物4D(277.8 mg, 0.789 mmol)および製造物1G(210.2 mg, 0.792 mmol)から、製造物1Iについて示した一般的な方法に従って、製造した。製造物4Eを、クリーム色の固形物として得た(420.2 mg, 89%)。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 7.55-7.65 (3 H, m), 7.48 (1 H, d, J=7.5 Hz), 7.36-7.45 (4 H, m), 5.51 (1 H, d, J=7.8 Hz), 3.49 (3 H, s), 2.87-2.92 (1 H, m), 2.63 (1 H, s), 2.47-2.58 (1 H, m), 2.16-2.36 (2 H, m), 1.93-2.06 (1 H, m), 1.80 (1 H, s), 1.51 (9 H, s); LCMS: 保持時間=4.02分 (MeOH/H2O/0.1%TFA, クロモリス(登録商標) RP-18e 2.0 x 50 mm, 4分グラジエント, 波長=254 nm); MS (ES):m/z = 600 [M+H+].
【0263】
製造物4F: (2S,3R)-6,6,6-トリフルオロ-3-(((3S)-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)カルバモイル)-2-(2,2,2-トリフルオロエチル)ヘキサン酸
【化55】
製造物4Fを、製造物4E(417.2 mg, 0.696 mmol)から、製造物1Kについて示した一般的な方法に従って、製造した。製造物4Fを、TFA溶媒和物として、琥珀色の固形物として得た(476.0 mg, 96%)。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 8.25 (1 H, d, J=8.0 Hz), 7.73-7.82 (1 H, m), 7.56-7.67 (2 H, m), 7.34-7.54 (3 H, m), 5.67 (1 H, d, J=8.3 Hz), 3.49-3.60 (2 H, m), 3.05-3.13 (1 H, m), 2.81-2.97 (1 H, m), 2.39-2.60 (1 H, m), 2.18-2.33 (1 H, m), 1.95-2.13 (1 H, m); LCMS: 保持時間=3.43分 (MeOH/H2O/0.1%TFA, クロモリス(登録商標) RP-18e 2.0 x 50 mm, 4分グラジエント, 波長=254 nm); MS (ES):m/z = 544 [M+H+].
【0264】
実施例4:
実施例4を、製造物4F(476.3 mg, 0.667 mmol)から、実施例1について示した一般的な方法に従って、製造した。ジアステレオ異性体の分割後、実施例4をクリーム色の固形物として得た(120.3 mg, 32%)。 HPLC: 保持時間=9.446分 (H2O/CH3CN(TFA含有), Sunfire C18 3.5μm, 4.6x150mm, 4.6x150mm, グラジエント = 15分, 波長 = 220および254 nm); MS (ES):m/z = 543 [M+H+]; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.56 (1 H, d, J=7.03 Hz), 7.82 (1 H, s), 7.70-7.78 (1 H, m), 7.64-7.70 (1 H, m), 7.50-7.63 (3 H, m), 7.47 (2 H, d, J=7.78 Hz), 7.30-7.42 (2 H, m), 7.21 (1 H, s), 5.30 (1 H, d, J=7.03 Hz), 3.39 (3 H, s), 2.67-2.80 (2 H, m), 2.51-2.62 (2 H, m), 2.19-2.29 (1 H, m), 2.07-2.21 (1 H, m), 1.60-1.72 (2 H, m).
【0265】
実施例5
(2R,3S)-N-((3S)-1-(2H3)メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド
【化56】
5 mLのスクリュートップバイアル中に、DMF(2 mL)中の実施例2(50 mg, 0.092 mmol)、炭酸セシウム(60.1 mg, 0.184 mmol)、およびヨードメタン-d3(6.88 μL, 0.111 mmol)を加えて、懸濁液を得た。該混合液を、窒素下において室温で終夜撹拌した。LCMSにより、反応が完了したことが示された。該反応混合液を 2mlの1:1 DMF/AcOHに溶解させ、Luna ODS 5um 21.2x100mmでのプレパラティブHPLCにより精製した(10%〜100% ACN/水(0.1%TFA)の7分のグラジエントで溶出した)。適切な画分を濃縮して、実施例5(35 mg, 65%)を得た: HPLC: 保持時間=3.04分 (クロモリス(登録商標) S5 ODS column 4.6 x 50 mm, 4分にわたる10-90%メタノール水溶液(0.1%TFA含有)、4 mL/分, 220 nmでモニタリング); MS (ES): m/z= 599 [M+H]+; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.55 (1 H, d, J=7.5 Hz), 7.71-7.80 (1 H, m), 7.67 (2 H, d, J=8.3 Hz), 7.51-7.60 (3 H, m), 7.42-7.49 (2 H, m), 7.30-7.39 (2 H, m), 7.15 (1 H, s), 5.30 (1 H, d, J=7.3 Hz), 2.75-2.87 (1 H, m), 2.40-2.48 (1 H, m), 2.04-2.31 (4 H, m), 1.46-1.76 (4 H, m).
【0266】
実施例6〜11
以下に記載の化合物を、実施例1に記載の一般的な合成方法に従って、当業者に公知の方法(例えば、Carter, M.C. et al., J. Med. Chem., 49:2311-2319 (2006))によって得た適切なベンゾジアゼピノンを用いて、製造した。

表6
【化57】
【表18】

a Xbridge Phenyl (4.6X150 mm), 3.5ミクロン; 1mL/分 流速; グラジエント 30分にわたる10-100%B(A:水/CH3CN(95:5)中の0.05%TFA, B:水/CH3CN(5:95)中の0.05%TFA @ 220および250nm); 30分ラン.
b Xbridge Phenyl (4.6X150 mm), 3.5ミクロン; 1mL/分 流速; グラジエント 15分にわたる10-100%B(A:水/CH3CN中の0.05%TFA(95:5)、B:水/CH3CN中の0.05%TFA(5:95) @ 220および250nm); 15分ラン.
【0267】
実施例12〜18
以下に記載の化合物を、実施例1に記載の一般的な合成方法に従って、当業者に公知の方法(例えば、Carter, M.C. et al., J. Med. Chem., 49:2311-2319 (2006))によって得た適切なベンゾジアゼピノンを用いて、製造した。

表7
【化58】
【表19】

a Xbridge Phenyl (4.6X150mm), 3.5ミクロン; 1mL/分 流速; グラジエント 12分にわたる10-100%B (A:水/CH3CN(95:5)中の0.05%TFA, B:水/CH3CN(5:95)中の0.05%TFA @ 220および250 nm); 25分ラン.
b Xbridge Phenyl (4.6X150mm), 3.5ミクロン; 1mL/分 流速; グラジエント 12分にわたる10-100%B(A:水/CH3CN(95:5)中の0.05%TFA, B:水/CH3CN(5:95)中の0.05%TFA @ 220および250 nm); 15分ラン.
c LCMS: MeOH/H2O/0.1%TFA, BEH C18 2.1x50mm 1.7u, 2分グラジエント, 波長=254nm.
d MeOH/H2O/0.1%TFA, Waters Sunfire C18 2.1x30mm, 2分グラジエント, 波長=254nm.
e クロモリス(登録商標) ODS 4.6 x 50 mm (4分グラジエント) 4分にわたって10-90%MeOH水溶液(0.1%TFA含有)で溶出、4 mL/分, 220 nmでモニタリング.
【0268】
実施例19
(2R,3S)-N-((3S)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-3-(4,4,4-トリフルオロブチル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド
【化59】
製造物19A: (2R,3R)-3-(tert-ブトキシカルボニル)-7,7,7-トリフルオロ-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘプタン酸
【化60】
製造物19Aを、製造物9A(674 mg, 2.59 mmol)および製造物1P(500 mg, 1.850 mmol)から、製造物1Eについて示した別法に従って、製造した。製造物19A(521 mg, 28%)を得た: MS (ES): m/z= 379 [M-H]-.
【0269】
製造物19B: (2R,3S)-3-(tert-ブトキシカルボニル)-7,7,7-トリフルオロ-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘプタン酸
【化61】
製造物19Bを、製造物19A(198 mg, 0.521 mmol)から、製造物1Eおよび製造物1Fのリッチな混合物について示した一般的な方法に従って、製造した。製造物19B(192 mg, 98%)を得た: MS (ES): m/z= 379 [M-H]-; 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 2.65-2.72 (1 H, m), 2.60 (1 H, ddd, J=10.33, 8.81, 3.61 Hz), 2.19-2.30 (2 H, m), 2.06-2.16 (3 H, m), 1.85-1.96 (1 H, m), 1.70-1.81 (2 H, m), 1.51-1.67 (3 H, m), 1.47 (7 H, s).
【0270】
製造物19C: tert-ブチル (2S,3R)-6,6,6-トリフルオロ-3-(((3S)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)カルバモイル)-2-(4,4,4-トリフルオロブチル)ヘキサノエート
【化62】
製造物19Cを、製造物19B(45.4 mg, 0.119 mmol)および製造物2A(30 mg, 0.119 mmol)から、製造物1Iについて示した一般的な方法に従って、製造した。製造物19C(82 mg, 100%)を得た: HPLC: 保持時間= 3.475分(クロモリス(登録商標) 5u C18 4.6 x 30mm(4分グラジエント) 4分にわたる10-90%MeOH水溶液(0.1%TFA含有)で溶出, 220 nmでモニタリング); MS (ES): m/z= 614 [M+H]+.
【0271】
製造物19D: (2S,3R)-6,6,6-トリフルオロ-3-(((3S)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)カルバモイル)-2-(4,4,4-トリフルオロブチル)ヘキサン酸
【化63】
製造物19Dを、製造物19C(73 mg, 0.119 mmol)から、製造物1Kについて示した一般的な方法に従って、製造した。製造物19D(80 mg, 100%)をTFA溶媒和物として得た: HPLC: 保持時間= 2.926分 (クロモリス(登録商標) 5u C18 4.6 x 30mm(4分グラジエント) 4分にわたる10-90%MeOH水溶液(0.1%TFA含有)で溶出, 220 nmでモニタリング).
【0272】
実施例19:
実施例19を、製造物19D(80 mg, 0.119 mmol)から、実施例1について示した一般的な方法に従って、製造した。ジアステレオ異性体の分割後、実施例19(35 mg, 49%)を得た。 HPLC: 保持時間=2.731分 (クロモリス(登録商標) 5u C18 4.6 x 30mm(4分グラジエント) 4分にわたる10-90%MeOH水溶液(0.1%TFA含有)で溶出, 220 nmでモニタリング); MS (ES): m/z= 557 [M+H]+; 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ ppm 10.82 (1 H, s), 9.42 (1 H, d, J=7.21 Hz), 7.65 (1 H, ddd, J=8.32, 7.07, 1.53 Hz), 7.60 (1 H, d, J=2.22 Hz), 7.49-7.57 (3 H, m), 7.42-7.49 (2 H, m), 7.29-7.35 (2 H, m), 7.20-7.28 (1 H, m), 7.03 (1 H, s), 5.23 (1 H, d, J=7.21 Hz), 2.70-2.79 (1 H, m), 2.57-2.69 (1 H, m), 2.39-2.47 (1 H, m), 2.05-2.32 (3 H, m), 1.50-1.67 (3 H, m), 1.40-1.49 (1 H, m), 1.24-1.39 (2 H, m).
【0273】
実施例20
(2R,3S)-N1-((3S)-8-メトキシ-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-3-(4,4,4-トリフルオロブチル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド
【化64】
実施例20を、実施例19について概説した反応順序を用いることによって、製造物1Eの代わりに製造物19Bを用いて、製造した。得られたジアステレオ異性体の混合物を、キラルHPLCによって分割して、実施例20を得た。 HPLC 保持時間 = 0.89分. (BEH C18 2.1X 50mm, 1.7u, 1分で0〜100 Bおよび0.5分のホールド時間, 流速 = 1 ml/分, 254 nmで検出, 溶媒A: 100%水/0.1%TFA; 溶媒B: 100%ACNl/0.1%TFA). MS (ES): m/z= 587.2 [M+H]+.
【0274】
実施例21
(2R,3S)-N-((3S)-9-((2-メトキシエチル)アミノ)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド
【化65】

製造物21A: (3-((4-メトキシベンジル)(2-メトキシエチル)アミノ)-2-ニトロフェニル)(フェニル)メタノン
【化66】
(3-クロロ-2-ニトロフェニル)(フェニル)メタノン(850 mg, 3.25 mmol)および2-メトキシ-N-(4-メトキシベンジル)エタンアミン(3171 mg, 16.24 mmol)の混合物を、100℃にて16時間加熱した。該反応混合液を水(50 mL)およびDCM(50 mL)間に分配し、DCM(3 X 50 mL)で抽出し、Na2SO4で乾燥させ、シリカゲルクロマトグラフィー(段階的グラジエント: 30〜50%酢酸エチル/ヘキサン)を用いて精製して、製造物21A(780 mg, 57.1%収率)を茶色の油状物として単離した: LC/MS (PHENOMENEX(登録商標) Luna 5ミクロン C18 4.6 X 30 mm, 2分で0〜100 Bおよび1分のホールド時間, 流速 = 5 ml/分, 254 nmで検出, 溶媒A: 10%メタノール/90%水/0.1%TFA; 溶媒B: 10%水/90%メタノール/0.1%TFA) 保持時間 = 2.32; MS (ES) m/z = 443.10 [M+Na]+.
【0275】
製造物21B: (2-アミノ-3-((4-メトキシベンジル)(2-メトキシエチル)アミノ)フェニル)(フェニル)メタノン
【化67】
EtOH(40 mL)および水(20 mL)中の製造物21A(700 mg, 1.665 mmol)、亜鉛(1089 mg, 16.65 mmol)、および塩化アンモニウム(891 mg, 16.65 mmol)を、90℃まで5分間加熱した。該反応混合液をセライト(登録商標)によって濾過し、水/DCM間に分配し、3X10 mL DCMで抽出し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮して、製造物21B(580 mg, 89%収率)を単離した: LC/MS (PHENOMENEX(登録商標) Luna 5ミクロン C18 4.6 X 30 mm, 4分で30〜100 Bおよび1分のホールド時間, 流速 = 5 ml/分, 254 nmで検出, 溶媒A: 10%メタノール/90%水/0.1%TFA; 溶媒B: 10%水/90%メタノール/0.1%TFA): 保持時間 = 2.47分; MS (ES): m/z = 391.16 [M+H]+.
【0276】
製造物21C: ベンジル 9-((4-メトキシベンジル)(2-メトキシエチル)アミノ)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-3-イルカルバメート
【化68】
製造物21Cを、製造物21Bから、製造物50Dについての一般的な方法に従って製造した(38.6%収率): LC/MS (PHENOMENEX(登録商標) Luna 5ミクロン C18 4.6 X 30 mm, 4分で30〜100 Bおよび1分のホールド時間, 流速 = 5 ml/分, 254 nmで検出, 溶媒A: 10%メタノール/90%水/0.1%TFA; 溶媒B: 10%水/90%メタノール/0.1%TFA) 保持時間 = 2.42分; MS (ES): m/z = 579.22 [M+H]+.
【0277】
実施例21:
実施例21を、製造物21Cから、実施例1について概説した一般的な反応順序を用いることによって、製造した。得られたジアステレオ異性体の混合物を、キラルHPLCによって分割して、実施例21を得た: LC/MS (PHENOMENEX(登録商標) Luna 5ミクロン C18 4.6 X 30 mm, 4分で30〜100 Bおよび1分のホールド時間, 流速 = 5 ml/分, 254 nmで検出, 溶媒A: 10%メタノール/90%水/0.1%TFA; 溶媒B: 10%水/90%メタノール/0.1%TFA) 保持時間 = 2.13分; MS (ES): m/z = 616.22 [M+H]+.
【0278】
比較化合物22〜25
比較化合物22〜25は、米国特許第7,053,084号(各々、実施例8、12a、38、および45aについて)に記載の方法に従って、製造され得る。
【表20】
【0279】
実施例26
(2R,3S)-N-((3S)-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミドを含有する医薬製剤
注射製剤を、(2R,3S)-N-((3S)-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド, 実施例1を含有する、静脈内(IV)投与用の使い捨てのそのまますぐに使用できる(RTU)無菌の溶液として、精製ポリオキシエチル化ヒマシ油(界面活性剤)および無水アルコール(溶媒)の50:50(v/v)の組み合わせを用いて、製剤化した。該製剤は澄明〜わずかに濁った(opalescent)、無色〜淡黄色の無菌の溶液であり、5-mLのI型フリントガラスバイアル中に入れ、20 mmストッパーで閉め、20-mmのアルミニウムシールで密封した。濃縮された製剤は、投薬前に、通常用いられる静脈内用希釈剤(intravenous diluent)(例えば、生理食塩水(NS)または5%ブドウ糖)を用いて希釈され、生理学的に許容される希釈生成物を得る。

表11
濃縮医薬組成物
【表21】

精製ポリオキシエチル化ヒマシ油:クレモフォール(BASF Corp.)
【0280】
濃縮された医薬製剤は、25℃/60%相対湿度、40℃/75%相対湿度、および50℃にて3か月間保存後において、安定であることが見いだされた。また、光安定性試験(HIL/UVA)によって、該生成物を光から保護する必要はないことが示された。濃縮された実施例1の製剤は、化学的および物理的安定性を含む、長期の保存安定性(shelf stability)を有していた。
【0281】
IV投与の前に、該濃縮された医薬製剤を、生理食塩水(NS)または5%ブドウ糖/水(D5W)で、0.01 mg/mL〜0.06 mg/mLの濃度まで希釈した。使用-時間/適合性(use-time/compatibility)結果によって、0.01 mg/mL〜0.06 mg/mLの範囲の濃度までNSまたはD5W中に希釈された該生成物は非PVC、非DEHPのIV輸液バッグと適合性であることが示された。該結果から、2℃〜8℃または室温/室内用照明(room light)(25℃および約5000 lux)での、24時間保存によって、本質的に変化しないことが示された。
【0282】
(生物学的アッセイ)
本発明の化合物の薬理学的特性は、多くの生物学的アッセイによって確認されうる。以下に例示される生物学的アッセイを本発明の化合物で実施した。
【0283】
Notch-CBF1 トランス活性化アッセイ
Notch-CBF1(C-プロモーター結合因子I)セルベーストランス活性化アッセイは、放出されたNotch細胞内ドメインフラグメント(NICD)の、CBF1および他の核因子との結合における転写因子として機能する能力に基づいている。ルシフェラーゼアッセイを用いてNotch-CBF1転写活性の拮抗作用を測定した。HeLa子宮頚癌細胞に、切断されたNotch 1、Notch 2、Notch 3、もしくはNotch 4受容体を含むpCDNA3.1/Hygroプラスミド、および4コピーのCBF1結合部位を含むPGL3ルシフェラーゼ受容体ベクターを一時的に同時トランスフェクトする。次いで該細胞を、試験化合物の非存在下または存在下でのNotch-CBF1活性について試験した。DMEM(高グルコース、HEPES含有)、1X グルタミン/ペニシリン/ストレプトマイシンおよび10%ウシ胎仔血清中で維持されているHeLa細胞を、製造者の仕様書に従って、Monster Transfection Kit(Mirus #MIR2906)を用いて、T175フラスコ(4.5 x106 細胞/フラスコ)中において、一時的にトランスフェクトした。表12は、トランスフェクションについての各DNA量を示す。

表12
【表22】
【0284】
トランスフェクションの6時間後、細胞をトリプシン処理し、384-ウェルの黒色のPoly-D-リジンコート組織培養プレートに、95 μL アッセイ培地(DMEM(高グルコース、HEPES含有)、1X グルタミン/ペニシリン/ストレプトマイシン、0.0125%BSA、1X 非必須アミノ酸)中、5x103細胞/ウェルの密度で、播種した。5 μM〜8.4x10-5 μM(3倍連続希釈)の最終濃度範囲で試験化合物を含むアッセイ培地(5 μL)を、該細胞に加えた後、該細胞プレートを、37℃および5%CO2で18時間インキュベートした。コントロールウェルには、DMSOビヒクル(総数)か、または0.5 μMの自製(in-house)小分子阻害剤が含まれていた(バックグラウンド数値)。各サンプルについて複製物を用いた。ルシフェラーゼ活性を、製造者の仕様書(Promega, Cat. #: E2550)に従って、50 μl STEADY-GLO(登録商標)ルシフェラーゼ試薬を用いて20分のインキュベートした後に測定し、Envisionプレートリーダー(PerkinElmer, Boston, MA)により分析した。
【0285】
化合物のアンタゴニスト効力を、100 x [1-(サンプルの平均-バックグラウンドの平均)/(全体の平均-バックグラウンドの平均)]として表し、ここで、サンプルは試験化合物の存在下におけるルシフェラーゼ活性であり、バックグラウンドは小分子阻害剤コントロールの存在下でのルシフェラーゼ活性に等しく、全体はDMSOウェルで誘導されたシグナルである。データを、4つのパラメータロジスティック適合方程式(fit equation)を用いてプロットし、IC50値を、ルシフェラーゼ活性の50%を阻害する化合物の濃度として定義した。
【0286】
以下の表13は、上述のNotch-CBF1トランス活性化アッセイで測定した、本発明の実施例1〜21および比較化合物22〜25についてのNotch 1およびNotch 3のIC50値を列挙する。表13中の結果は2桁に四捨五入されていた。実施例1〜21により例示される本発明の化合物は、Notch 1のIC50値について6.6 nM以下、Notch 3のIC50値について13 nM以下を示した。

表13
【表23】
【0287】
ハイスループット(HT)代謝安定性パネル
非経口的投与された化合物は、血流に入り、肝臓を通る1つ以上の経路を経る。肝臓によって容易に代謝されない化合物を、治療上有効な血漿中濃度で、治療上有効な期間、投与することができる。
【0288】
経口投与される化合物は、典型的には、腸壁を通して血流中に吸収され、肝臓を通る第1の経路を経る。肝臓を通るこの第1の経路において容易に代謝されない化合物は、身体の他の部域に治療上有効な量で分配され得る。
【0289】
代謝安定性アッセイによって、10分間インキュベートした後のヒト、ラット、マウス、イヌ、および/またはサルのミクロソームを用いた、in vitroでのCYP-媒介代謝安定性を評価した。各化合物を重複試験した。
【0290】
これらのアッセイの結果を、10分間インキュベートした後の反応混合物中に残存する親化合物の割合として表した(残存率)。概して、これらの結果を用いて、試験化合物のCYP-媒介またはNADPH-依存性の代謝の程度のみを評価した。該化合物が著しく代謝(<40-50%残存)された場合、このことにより、in vivoでの化合物の高いクリアランスはCYP-媒介代謝に起因することが示唆された。しかしながら、これらのin vitroアッセイにおいて化合物が中程度(50-80%)または低い(>85%)代謝を示した場合、高いクリアランスは依然として、in vivoでの他の代謝および排出経路を介している可能性があった。
【0291】
これらのアッセイの残存率の結果はin vivoでの化合物のクリアランスを予測するものであって、これら結果からCYP-媒介代謝が優位な排出経路であると仮定された。異なるミクロソーム種における、結果の範囲は、おおよそ表14に示される通りである。

表14
代謝安定性 - 結果解釈ガイドライン
【表24】
【0292】
以下の表15は、ヒトおよびマウスの代謝安定性アッセイで測定された本発明の実施例1〜21および比較化合物22〜25のCYP-媒介代謝安定性を列挙している。表15の結果は2桁に四捨五入されたものである。肝臓ミクロソームアッセイにおいて、0%残存は試験化合物の完全なCYP-媒介代謝を示しており、100%の値は試験化合物のCYP-媒介代謝が検出されなかったことを示していた。実施例1〜21により例示される本発明の化合物は、ヒト肝臓ミクロソーム(HLM)については80%以上の残存値、およびマウス肝臓ミクロソーム(MsLM)については72%以上の残存値という代謝安定性を有していた。対照的に、比較化合物22〜25は、ヒト肝臓ミクロソームについては39%以下の残存値、およびマウス肝臓ミクロソームについては15%以下の残存値という代謝安定性を有していた。

表15
【表25】
【0293】
本発明の化合物(実施例1〜21)は、米国特許第7,456,172号に記載の比較化合物22〜25と比較され、とりわけ有利であることが見いだされている。本発明の化合物は、Notch 1およびNotch 3の阻害剤としての活性と肝臓ミクロソームについての優れた代謝安定性との組み合わせの驚くべき利点を有していた。表13および15に示される通り、報告した試験において、本発明の実施例1〜21は、Notch 1のIC50値が6.6 nM以下であって、Notch 3のIC50値が13 nM以下であり;そして、ヒト肝臓ミクロソーム(HLM)について80%以上の残存値、およびマウス肝臓ミクロソーム(MsLM)について72%以上の残存値という代謝安定性であった。対照的に、同様の試験において、比較化合物22〜25は、Notch 1のIC50値が5.1 nM以上であって、Notch 3のIC50値が13 nM以上であり;そして、ヒト肝臓ミクロソームについて39%以下の残存値、およびマウス肝臓ミクロソームについて15%以下の残存値という代謝安定性であった。
【0294】
(方法および材料)
肝臓ミクロソームとのインキュベーション
試験化合物を、100%DMSO中の3.5 mMのストック溶液として得た。試験化合物を希釈して1.4%DMSOを含む50 μMアセトニトリル(ACN)溶液を作り、次いでそれをミクロソームとのインキュベーションのための100x ストックとして用いた。各化合物を、代謝安定性-ヒト、ラット、およびマウスアッセイ一式の3種をそれぞれ別々に、または代謝安定性-イヌ一式もしくは代謝安定性-サル一式を個々の種として、二重で試験した。化合物、NADPH、および肝臓ミクロソーム溶液を、インキュベーションのために、3工程で合わせた:
1. 100 mM NaPi, pH 7.4、5 mM MgCl2バッファー中の、152 μlの肝臓ミクロソーム懸濁液(タンパク質濃度 1.1 mg/ml)を、37℃にて予め温めた。
2. 1.7 μlの50 μM 化合物(98.6%ACN, 1.4%DMSO)を同じチューブに加え、37℃にて5分間、予めインキュベートした。
3. 該反応を、予め温めた100 mM NaPi, pH 7.4中の10 mM NADPH溶液を17 μl加えることによって開始させた。
【0295】
反応成分をよく混合し、該反応混合液の75 μlをすぐに150 μlクエンチ/停止溶液に移し入れた(0-時点, T0)。反応液を37℃で10分間インキュベートした後、さらなる75 μlのアリコートを150 μlのクエンチ溶液に移し入れた。100 μM DMN(注射剤品質管理のためのUV標準)を含むアセトニトリルをクエンチ溶液として用いて、代謝反応を終了させた。
【0296】
クエンチした混合液を、1500 rpm(〜500 X g)で、ALLEGRA(登録商標)X-12遠心機、SX4750ローター(Beckman Coulter Inc., Fullerton, CA)において、15分間遠心分離して、変性したミクロソームのペレットを得た。次いで、親化合物とその代謝物の混合物を含む90 μlの体積の上清抽出物を、UV-LC/MS-MS分析のために別個の96-ウェルプレートに移し、該混合物中に残存する親化合物の割合を決定した。

表16
代謝安定性アッセイ - 反応成分
【表26】

サンプル分析 - 器具使用
HPLC: ポンプ - Thermo Surveyor; オートサンプラー - CTC/LEAP HTS; UV検出器 - Thermo Surveyor PDA plus; カラム - 0.5 μm インラインフィルターを備えたVarian C18, 3 μm, 2 x 20 mm; 構造的完全性事前分析(structural integrity pre-analysis)のための移動相 : (A) 98%水、2%アセトニトリル(10 mM 酢酸アンモニウム含有); (B) 10%水、90%アセトニトリル(10 mM 酢酸アンモニウム含有); 反応サンプル分析のための移動相 : (A)98%水、2%アセトニトリル(0.1%ギ酸含有); (B) 2%水、98%アセトニトリル(0.1%ギ酸含有); (C) 0.1%水酸化アンモニウム/水; (D) 0.1%水酸化アンモニウム/アセトニトリル.
質量分析計: Thermo TSQ Quantum Ultra トリプル四重極質量分析計;
サンプル分析: 構造的完全性事前分析.
【0297】
代謝安定性構造的完全性事前分析を用いて、アッセイした化合物の純度を評価した。化合物を、57 μlの3.5 mM DMSO溶液として96-ウェルプレート中に得た。該3.5 mM化合物DMSOストック溶液を、同じ体積のアセトニトリル、イソプロパノール、およびMilliQ-H2Oを含む溶液を用いて、18倍希釈した。得られた溶液(200 μM)を、Thermo LCQ Deca XP Plus イオントラップ質量分析計でのLC-UV/MS(Waters Sentry 2.1 mm ガードカラムを備えたWaters XBridge C18, 5 μm, 2 x 50 mm カラムおよび以下の表に記載のLC条件を用いて、5 μl注入および1 ml/分の流速で)により、構造的完全性について分析した。得られたデータは、220 nmでのUV吸光度による純度を反映していた。50%以上の純度を有する化合物の結果のみを報告した。

表17
代謝安定性 - 構造的完全性グラジエント
【表27】
【0298】
サンプル分析 - インキュベートしたサンプル
MS/MS条件の最適化を、加熱エレクトロスプレー(H-ESI)源を備えたThermo TSQ Quantum トリプル四重極質量分析計において、自動注入によって実施し、SRMトランジションおよびそれらの対応する衝突エネルギー値を得た。1:1 メタノール:水中の20 μM濃度の化合物溶液を、流速90 μL/分で注入した後、流速50 μL/分で移動相を合わせ、その後、供給源に導入した。全ての化合物を、まず移動相AおよびB(50%Aおよび50%B)を用い、必要であれば、移動相CおよびD(また、50:50組成物である)を用いて、最適化した。最適化されたパラメータ(極性、SRMトランジションおよび衝突エネルギーを含む)を、Microsoft Access データベースに保存した。
【0299】
自動注入から得られた質量分析条件を用いて、代謝安定性アッセイからのインキュベーションサンプルを分析した。注入量は5 μlであって、流速は0.8 ml/分であった。用いたグラジエントを、以下の表に示した。全てのサンプルを、まず、移動相AおよびBを用いたグラジエントで注入した。必要であれば(例えば、クロマトグラフ的理由のため)、サンプルを同一のグラジエントで再注入した(ただし、移動相CおよびDを用いる)。全てのLC-MS/MS分析パラメータを、コンピューターを用いて生データファイルに保存した。

表18
代謝安定性 - サンプル分析グラジエント
【表28】
【0300】
データ解析
ピーク積分を、XCALIBUR(登録商標)ソフトウェアを用いて行った。残存率の算出を、各化合物についてのT10分サンプルからのLC-MS/MSピーク領域とT0分サンプルからのLC-MS/MSピーク領域を比較することによって、実施した。
【0301】
質の管理
一連のこれらの化合物を、各アッセイプレートにおいて、試験化合物と一緒に試験した。これらコントロール化合物についての結果が以下に示す期待される範囲に該当した場合のみ、データを承認してアップロードした。

表19
代謝安定性アッセイ - ミクロソーム種によるコントロール化合物の値
【表29】

SD = 標準偏差
【0302】
代謝安定性半減期パネル
ヒトまたは動物の肝臓ミクロソームにおいて、in vitroで決定された代謝速度および半減期を用いて、化合物の固有クリアランス(CLint)および肝クリアランス(CLh,b)を決定した。これらのパラメータは、in vivoヒトクリアランス(in vivoでの薬物曝露のレベルを定義する)を予測するために有用であった(Obach et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 283:46-58 (1997); Obach, Drug Metab. Dispos., 27:1350-1359 (1999))。
【0303】
代謝安定性半減期アッセイパネルは、ヒト、ラット、マウス、イヌおよびサルミクロソームにおける、in vitroでのCYP-媒介(NADPH-依存性)代謝のタイムコースおよび速度を評価する。該タイムコースは45分のインキュベーションに及び、0、5、10、15、30、および45分の時点が含まれ、その各々にて、混合物中の試験化合物残存量を測定した。
【0304】
結果解釈ガイドライン
これらのアッセイの結果を半減期(T1/2, 分)として表し、また、各時点での反応混合物中の親化合物の残存率(残存率)も報告した。一般に、これらの結果は、試験化合物のCYP-媒介またはNADPH-依存性の代謝の程度のみを評価するために用いられるべきである。該化合物が著しく代謝された(T1/2 <8〜14分)場合、これにより、in vivoでの高いクリアランスはCYP-媒介代謝に起因することが示唆された。しかしながら、これらのin vitroアッセイにおいて該化合物が中程度(50〜80%)または低い(>85%)代謝を示した場合、高いクリアランスは依然としてin vivoでの他の代謝および排出経路を介している可能性があった。
【0305】
これらのアッセイの結果はin vivoでの化合物のクリアランスを予測するものであって、これら結果からCYP-媒介代謝が優位な排出経路であると仮定された。異なるミクロソーム種における、結果の範囲は、おおよそ以下の表に示される通りである。

表20
代謝安定性 半減期 - 結果解釈ガイドライン
【表30】
【0306】
方法および材料
肝臓ミクロソームはBD-Biosciences(Woburn, MA)から入手し、NADPHはAppliChem Incから入手し;全ての他の試薬はSigmaから入手した。
【0307】
肝臓ミクロソームとのインキュベーション
試験化合物を100%DMSO中の3.5 mMストック溶液として得た。該試験化合物を希釈して50 μM アセトニトリル(ACN)溶液(1.4%DMSO含有)を作り、その後、それをミクロソームとのインキュベーション用の100-倍ストックとして用いた。各化合物を、ヒト、ラット、マウス、イヌおよびサルの肝臓ミクロソームにおいて試験した。化合物、NADPHおよび肝臓ミクロソーム溶液を、インキュベーションのために3つの工程で合わせた:
1. 450 μlの肝臓ミクロソーム懸濁液、100 mM NaPi, pH 7.4、5 mM MgCl2バッファー中の1.1 mg/mlのタンパク質濃縮物を、37℃にて予め温めた。
2. 5 μlの50 μM 化合物(98.6%ACN, 1.4%DMSO)を同じチューブに加え、37℃で5分間、プレインキュベートした。
3. 50 μlの予め温めた100 mM NaPi, pH 7.4中の10 mM NADPH溶液を加えることによって、反応を開始させた。
【0308】
反応液の成分をよく混合し、すぐに65 μlを130 μlクエンチ/停止溶液に移し入れた(0-時点, T0)。反応液を37℃で5、10、15、30および45分間インキュベートし、各時点で65 μlのアリコートを130 μlのクエンチ溶液に移し入れた。内部標準(100 ng/ml)を含むアセトニトリルをクエンチ溶液として用いて、代謝反応を終了させた。
【0309】
クエンチした混合液を、ALLEGRA(登録商標)X-12遠心機, SX4750ローター(Beckman Coulter Inc., Fullerton, CA)において1500 rpm(〜500 X g)で for 15分間遠心分離して、変性したミクロソームを沈殿させた。その後、親化合物とその代謝物の混合物を含む90 μlの体積の上清抽出物を、LC/MS-MS分析のための別個の96-ウェルプレートに移し、該混合物中に残存している親化合物の割合を決定した。

表21
代謝安定性 半減期 アッセイ - 反応成分
【表31】

サンプル分析 - 器具使用
HPLC: ポンプ - 島津LC-20 ADシリーズ バイナリポンプ; オートサンプラー - CTC/LEAP HTS.
【0310】
例示した本発明の化合物は、ヒト(HLM)およびマウス(MsLM)代謝安定性アッセイの両方におけるCYP-媒介代謝に起因する低いクリアランスという驚くべき利点を示した。実施例1〜2、5〜7、9〜14、16、18、21〜23、および26により例示される本発明の化合物は、ヒト肝臓ミクロソームアッセイにおいて60%〜100%、およびマウス肝臓ミクロソームアッセイにおいて25%〜100%の範囲の残存率を有していた。対照的に、比較化合物60〜61は、ヒトおよびマウス肝臓ミクロソームアッセイの両方ともにおいて7.0%以下の残存率を有していた。比較化合物61〜62は、ヒトおよびマウス代謝安定性アッセイの両方において高いクリアランスを示し、このことは、該化合物が肝臓でのCYP-媒介代謝によって除去されたことを示唆している。
【0311】
マウスにおけるヒト腫瘍異種移植モデル
全ての齧歯動物をHarlan Sprague Dawley Co.(Indianapolis, Indiana)から入手し、区別された(defined)病原体フリーのコロニー中のアンモニア-フリーの環境で維持した。全てのマウスを約1週間検疫した後で、それらを腫瘍増殖および薬効試験のために用いた。食物および水を自由裁量でマウスに摂食させた。Bristol-Myers Squibb 薬学研究所の動物管理プログラムは、米国実験動物管理公認協会(AAALAC)により公認されている。全ての実験を、Bristol-Myers Squibb (BMS)動物試験法およびガイドラインに従って、実施した。
【0312】
免疫不全のbalb/c nu/nuヌードマウスまたはNOD-SCIDマウス(Harlan Sprague Dawley)において、腫瘍異種移植片を皮下(SC)で増殖させて維持した。ドナーマウスから得られた腫瘍断片を用いて、適切なマウス系統(表22)において皮下移植片として腫瘍を増殖させた。

表22
マウスにおける様々なヒト腫瘍異種移植片の増殖に対する組織型および宿主マウス系統/性別要件
【表32】
【0313】
前臨床化学療法試験
有意義な反応を見いだすために必要な数の動物を、実験開始時にプールし、各々に、13-内径トロカールを用いて腫瘍断片(〜20 mg)を皮下移植した。腫瘍を、予め定められたサイズ(size window)(該範囲外の腫瘍は除いた)まで増殖させ、動物を、様々な処置群およびコントロール群に均等に分配した。SAL-IGF(表22には含まれない)腫瘍モデルで実施した実験(典型的には各処置群およびコントロール群当たり5個体のマウスであった)を除いて、典型的には、各処置群およびコントロール群当たり8個体のマウスであった。個々の体重に基づいて各動物を処置した。処置された動物を、処置に関連する毒性/死亡数について毎日調べた。処置を開始する前に各群の動物の体重を測定し(Wt1)、その後、最後の処置用量の後に再度測定した(Wt2)。体重の差異(Wt2-Wt1)は処置関連毒性の指標を提供する。
【0314】
腫瘍反応は、腫瘍が予め定められた「標的」サイズである0.5 gmまたは1 gm(腫瘍のタイプに依存)に到達するまで、キャリパーを用いて週に2回腫瘍を測定することによって決定された。腫瘍重量(mg)を、式:
腫瘍重量 = (長さ x 幅2) ÷ 2
から推定した。
【0315】
腫瘍反応判断基準は、腫瘍増殖阻害(%TGI)の観点から表わされる。腫瘍増殖遅延は、コントロール群(C)が予め定められた標的サイズに達するのに必要とされる時間(日)に対する、処置された腫瘍(T)が予め定められた標的サイズに達するのに必要とされる時間(日)の差として定義される。この目的のために、群の腫瘍重量は中間腫瘍重量(medium tumor weight)(MTW)として表わされる。
【0316】
腫瘍増殖阻害は以下のとおり算出される。


(式中、
Ct = 処置の終了時における腫瘍サイズの中央値
C0 = 処置開始時におけるコントロールの腫瘍サイズの中央値
Tt = 処置の終了時における処置群の腫瘍サイズの中央値
T0 = 処置開始時における処置群の腫瘍サイズの中央値)
【0317】
活性は、少なくとも1腫瘍の体積倍加時間に等しい期間における恒久的な50%以上の腫瘍増殖阻害(すなわち、TGI ≧ 50%)の達成として定義され、薬剤処置は、少なくとも2腫瘍の体積倍加時間に等しい期間でなくてはならない。
【0318】
腫瘍反応はまた、コントロール群(C)が予め定められた標的サイズに到達するのに要する時間(日)に対する、処置群(T)が予め定められた標的サイズに到達するのに要する時間(日)の差として定義される、腫瘍増殖遅延(TGD値)の観点から表される。
【0319】
可能ならいつでも、抗腫瘍活性は、過剰な毒性(すなわち、1個体以上の死亡)が出現する直前の用量レベルとして定義される最大耐用量(MTD)までの用量レベルの範囲で決定された。死亡が発生した場合、死亡の日を記録した。腫瘍が標的サイズに達する前に死亡する処置マウスは、薬物毒性で死亡したと見なされる。標的サイズ未満の腫瘍を有するコントロールマウスで死亡したマウスはいなかった。薬物毒性により1個体以上が死亡した処置群は、過剰な毒性処置(toxic treatment)を有していたと見なされ、それらのデータは化合物の抗腫瘍効果評価に含まれない。
【0320】
処置耐容性に影響を及ぼす潜在的な薬物毒性相互作用は、化学療法試験の組み合わせにおいて、重要な考慮すべき事柄である。組み合わせ治療の結果の解釈は、同程度の耐性用量の組み合わせの抗腫瘍活性に対する、最良の反応の単剤の抗腫瘍活性の比較に基づかなくてはならない。従って、治療の相乗作用を、単独療法のいずれの耐性用量で達成された最適効果を超えた組み合わせ剤の許容的レジメンで達成された治療効果として定義した。データの統計的評価を、Gehanの一般化ウィルコクソン検定を用いて実施した。統計的有意性を、P<0.05にて判断した。
【0321】
薬物投与
in vitro研究において、全ての剤を、100%DMSOに溶解させ、培地/10%ウシ胎仔血清中に連続希釈した。Notch阻害剤の齧歯動物への投与において、2つの異なる賦形剤を用いた:[1]94%Labrafil/5%ETOH/1%TW80または[2]ETOH/TPGS/PEG300(10:10:80)。Notch阻害剤は、典型的には、QDx15, 10日-オン-2日-オフのスケジュールで経口投与された(他のスケジュールもまた評価され、有効であることが示されたけれども)。例えば、QDx12, 4日-オン-3日-オフを含む投与レジメンは、QDx15, 10日-オン-2日-オフと同等の有効性であることが示された。
【0322】
In vivo 抗腫瘍活性
静脈内経路(IV)によって投与された実施例1の抗腫瘍活性を、マウスに移植されたヒト腫瘍異種移植片において評価した。図6に示す通り、実施例1は抗腫瘍活性を示した。
【0323】
以下の表23は、マウスにおけるヒト腫瘍異種移植モデルで測定された、本発明の実施例の抗腫瘍活性を列挙する。実施例1および2により例示される本発明の化合物は、経口投与(PO)での抗腫瘍活性を示した。

表23
スケジュール: QDx15, 10日-オン-2日-オフ; 経口投与
【表33】

QD - 毎日一回
LCK - 殺細胞数の常用対数値(Log Cell Kill)
【0324】
実施例1は、マウスにおいて増殖させた多様なヒト癌異種移植片に対する、広域の抗悪性腫瘍活性を示す。16のヒト癌異種移植片(ヒトT細胞急性リンパ性白血病、乳癌、膵癌、卵巣癌、膠芽腫、非小細胞肺癌、大腸癌、骨肉腫、および神経芽腫を含む)において著しい抗腫瘍活性が示された(表24)。

表24
【表34】

a全ての処置は、5-10 mg/kg/admの範囲の用量で、PO, QDx15, 10日-オン-2日-オフであった。
【0325】
組み合わせ化学療法
一連の研究を実施して、実施例1と多くの抗癌剤(ダサチニブ、パクリタキセル、タモキシフェン、デキサメタゾン、およびカルボプラスチンを含む)との組み合わせ適合性(combinability)を評価した。
【0326】
I.実施例1およびダサチニブ
ヒトT-細胞リンパ性白血病を用いて、実施例1およびダサチニブの組み合わせ効果を評価した。ダサチニブ処置単独では、1.7 LCK(10 mg/kg/adm, QD x 49, PO)の抗腫瘍効果がもたらされた。実施例1の化合物は、3.75-7.5 mg/kgの用量範囲で0.1-0.5 LCKという中程度の活性のみをもたらした。しかしながら、相乗的抗腫瘍活性をもたらす2つの剤の組み合わせは>>2.6 LCKの抗腫瘍効果をもたらし、それはダサチニブ単剤のみよりも顕著に優れていた(P<0.05)。加えて、組み合わせレジメンは100%のマウスにおいて完全奏功(CR)をもたらしたが、一方、単剤では一個体でもCRがもたらされなかった(図7-8および表25)。

表25
ALL-SIL T細胞リンパ性白血病における、実施例1およびダサチニブでの組み合わせ化学療法による抗腫瘍効果
【表35】

aレジメン = PO, QD x3, 毎週 x7
bレジメン = PO, QD x 49
c標的腫瘍サイズ = 1000 mg
【0327】
II.実施例1およびパクリタキセル
パクリタキセルと組み合わせた実施例1の抗腫瘍効果を、MDA-MB-468 乳癌において評価した。単剤としての実施例1は、3.75-7.5 mg/kg/admの用量範囲にて0.5-1.4 LCKをもたらした。12 mg/kg/admの用量で毎週投与されたパクリタキセルは、0.5 LCK(図9-10および表26)であった。3.75-7.5 mg/kg/admの用量範囲での実施例1およびパクリタキセルの組み合わせは3.4-4.1 LCKの抗腫瘍効果をもたらし、それは単剤の実施例1の化合物単独に比べて顕著に優れていた(P=0.0006および0.0002, 各々)。

表26
MDA-MB-468 ヒト乳癌における、実施例1およびパクリタキセルの組み合わせ化学療法による抗腫瘍効果
【表36】

aレジメン = PO, QD x3, 毎週 x7
bレジメン = IV, Q7D x 6
c標的腫瘍サイズ = 500 mg
【0328】
III.実施例1およびタモキシフェン
タモキシフェンと組み合わせた実施例1の抗腫瘍効果を、雌nu/nuマウスにおいて増殖させたER受容体陽性ヒト乳癌異種移植片 MCF7において評価した。単剤としての実施例1は、3.75-7.5 mg/kg/admの用量範囲にて43-58%の腫瘍増殖阻害(TGI)をもたらした(CRもPRもなし)。MTD用量の20 mg/kg/adm, IP, Q2 DX12にて投与されたタモキシフェンは、78%の%TGIをもたらした(CRもPRもなし)。実施例1の化合物とタモキシフェンの組み合わせは、明らかに相乗的であり、7.5および3.75 mg/kg/admの実施例1の用量にて、各々、101および99の%TGIをもたらした。さらに、組み合わせで処置されたマウスの約50%において腫瘍の縮小(PRまたはCRのいずれかとして)がもたらされた(図11-12および表27)。

表27
MCR7 ヒト乳癌における実施例1およびタモキシフェンの組み合わせ化学療法による抗腫瘍効果
【表37】

aレジメン = PO, QD x3, 毎週 x3
bレジメン = IP, Q2D x 10
c標的腫瘍サイズ = 500 mg
【0329】
IV.実施例1およびデキサメタゾン
グルココルチコイド、デキサメタゾンと組み合わせた実施例1の抗腫瘍効果を、NOD-SCIDマウスにおいて増殖させたヒトT-ALL白血病異種移植片 HPB-ALLにおいて評価した。単剤としての実施例1はこのモデルにおいて活性であり、7.5 mpkにて1.1 LCKをもたらした。デキサメタゾンは単剤として中程度に活性であり、そのMTDで7.5 mpkにて0.7 LCKをもたらした。実施例1およびデキサメタゾンの組み合わせは1.9 LCKをもたらし、いずれかの個々の単剤のみより顕著にすぐれていた(図13および表28)。

表28
HPB-ALL ヒト急性リンパ性白血病における実施例1およびデキサメタゾンの組み合わせ化学療法による抗腫瘍効果
【表38】

aレジメン = PO, QD x3, 毎週 x3
bレジメン = IP, QD x 14
c標的腫瘍サイズ = 3000 mg
【0330】
V.実施例1およびカルボプラスチン
カルボプラスチンと組み合わせた実施例1の抗腫瘍効果を、雌nu/nuマウスにおいて増殖させたヒト卵巣テラトカルシノーマ異種移植片 PA-1において評価した。単剤としての実施例1は、1 mg/kg/admの用量にて0.2 LCKをもたらした。90 mg/kg/admの用量にて毎週投与されたカルボプラスチンは、2.1 LCKをもたらした(図14および表29)。1 mg/kg/admの用量の実施例1およびカルボプラスチンの組み合わせは、>3.1 LCKの抗腫瘍効果をもたらし、それは単剤の実施例1化合物のみよりも顕著に優れていた(P=0.004)。

表29
PA-1 ヒト卵巣テラトカルシノーマにおける実施例1とカルボプラスチンの組み合わせ化学療法による抗腫瘍効果
【表39】

aレジメン = PO, QD x21 (1 mg/kg)
bレジメン = IV, Q7D x 3
c標的腫瘍サイズ = 500 mg
【0331】
単結晶X-線回折法
Bruker-AXS APEX2 CCDシステムにおいて、Cu Kα照射(λ= 1.5418 Å)を用いて、単結晶データを集めた。測定した強度データの指標化および処理を、APEX2ソフトウェアプログラム一式を用いて行った。必要であれば、データ収集の間、Oxford cryo systemの冷気流において結晶を冷却した。該構造を直接法によって解析し、SHELXTLを用いて、実測の反射に基づいて精密化した。得られた原子パラメータ(座標および温度因子)を、フルマトリックス最小二乗によって精密化した。精密化において最小にされる関数は、Σw(|Fo|-|Fc|)2であった。RはΣ||Fo|-|Fc||/Σ|Fo|と定義し、一方、Rw=[Σw(|Fo|-|Fc|)2w|Fo|2]1/2(式中、wは実測強度における誤差に基づく適切な重み関数である)である。典型的には、H以外の全ての原子を異方的に(anisotropically)精密化し、NおよびO原子に結合したH原子以外の全てのH原子を幾何学的方法により計算して、riding modelを用いて精密化した。
【0332】
粉末X-線回折法
Bruker GADDS (General Area Detector Diffraction System)マニュアルカイプラットフォームゴニオメーターを用いて、粉末X-線回折(PXRD)データを得た。粉末のサンプルを直径0.7mmの薄壁のガラスキャピラリーに設置し;該キャピラリーをデータ収集の間、回転させた。サンプルから検出器の距離を17 cmに保った。Cu Kα照射(λ = 1.5418 Å)を用いて、600秒のサンプル曝露時間で、2.5<2θ<35°の範囲について、データを収集した。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16