(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、電気神経刺激治療法及び電気ペースイング治療法を供給するシステム及び方法に関する。本発明に係る医療装置は、本明細書に記載されるような、一つもしくは一つ以上の特徴、構成、方法もしくはそれらの組み合わせを含む。例えば、神経刺激装置は埋植され、下記に記載されるような、一つもしくは一つ以上の有利な技術特徴もしくは方法を含む。又、このような装置は埋植され、様々な治療もしくは診断機能を提供する。
【0009】
神経刺激治療法(NST)は、自律神経調整治療法(AMT)を含む。AMTは、自律神経系の刺激を含む。例えば、自律神経系内において神経標的の電気刺激はAMTを供給することに用いられる。
【0010】
自律神経系(ANS)は、不随意筋の動きを調節する。一方、随意筋(骨格筋)の収縮は、体性運動神経によってコントロールされる。不随意筋の例としては、呼吸器、消化器、血管及び心臓などが挙げられる。通常、ANSは不随意な反射的な方式で機能して、内分泌系、皮膚、目、胃、腸、膀胱の筋肉及び心筋及び血管周囲の筋肉を調節する。
【0011】
ANSは、交感神経系及び副交感神経系を含む。交感神経系は、ストレスと緊密な関係を有し、緊急事態に対して、“闘争か逃走か(fight or flight)”の反応を行う。他の効果では、“闘争か逃走か”の反応は、血圧及び心拍数を増加させることで骨格筋への血液供給量を増加させるとともに、消化機能を減少させることで“闘争か逃走か”にエネルギーを提供する。副交感神経系は、リラックスと緊密な関係を有し、休憩及び消化の反応“rest and digest response”を行う。その他の効果では、血圧及び心拍数を減少させ、消化を増加させることでエネルギーを蓄える。ANSは、正常な内部機能を維持しつつ、体性運動神経と一緒に機能する。求心性神経は、興奮を神経中枢へ伝達する。一方、遠心性神経は、興奮を神経中枢から離れさせる。
【0012】
交感神経系と副交感神経系を刺激する場合、心拍数、血圧及び他の生理応答が起こる。例えば、交感神経系を刺激する場合、瞳孔が拡張し、唾液及び粘液産生が減少し、気管支平滑筋がリラックスし、胃の不任意収縮(蠕動)及び胃運動の連続波が減少し、肝臓内のグリコーゲンからグルコースへの変換が増加し、腎臓の尿分泌が減少し、内臓壁がリラックスし、膀胱括約筋が収縮する。副交感神経系を刺激する場合(交感神経系を禁止する)、瞳孔が収縮し、唾液及び粘液産生が増加し、気管支平滑筋が収縮し、大腸内及び胃内での分泌及び運動が増加し、小腸内の消化が増加し、尿分泌が増加し、内臓壁が収縮し、膀胱括約筋がリラックスする。交感神経系及び副交感神経系と関連する機能はたくさんがあり、それらの合体は複雑である。
【0013】
副交感神経系の活動の減少は、様々な心血管疾患の増殖、悪性化を結果的にもたらす。本発明の主題の実施形態では、AMTを用いて神経を刺激し、自律神経を調節することで様々な心血管疾患を予防的および治療的に対応する。心血管疾患を治療する神経刺激とは、心血管治療法(NCT)を意味している。心血管疾患の治療に用いられる迷走神経刺激は、迷走神経刺激治療法(VST)もしくは心血管治療法(NCT)と呼ばれる。しかし、VSTは、非心血管疾患の治療に使用することができる。NCTは、迷走神経以外の神経刺激に使用することができる。VST及びNCTは、AMTの一例である。
【0014】
NCTは、自律神経標的を刺激することで心律動異常、局所貧血、心不全(HF)、扁桃炎、動脈硬化症、血圧などの治療を提供することは例として記載されるが、それに限定されるものではない。又、NCTを供給する自律神経標的は、迷走神経、迷走神経分枝、頚動脈洞神経、頸動脈洞もしくは肺動脈内の圧受容器などの圧受容器、化学受容器、心膜脂肪パッド、脊柱もしくは脊柱から延長された神経根などを含むことは例として記載されるが、それに限定されるものではない。心血管疾患もしくは疾患の状況は、高血圧症、心不全及び心臓リモデリングを含む。これらの疾患の状況は以下のように詳細に説明する。
【0015】
高血圧症は、心臓病及び他の関連心臓共存症の一因となる。血管が収縮する時、高血圧が発生する。結果として、心臓はより高い血圧を維持するため、より激しく働ければいけない。それは、心不全を結果的にもたらす。高血圧症とは、全体として、高血圧を意味している。例えば、全身系動脈血圧が一時的に正常範囲を超え、もしくは、正常範囲を超えて高い状態に維持される時、心血管損傷もしくは他の副作用を誘起すること可能性がある。高血圧は、収縮期血圧が140mmHg(18665.1316Pa)以上、もしくは拡張期血圧が90以上にあると定義される。コントロールできない高血圧の結果は、網膜血管疾患及び脳卒中、左室肥大及び左室不全、心筋梗塞、解離性動脈瘤及び腎血管疾患を含むが、それに限定されるものではない。ペースメーカーもしくは除細動器が埋植された大量の患者はもちろん、大量の一般人も高血圧を罹っている。血圧及び高血圧が低減されれば、これらの人々の生活の品質はもちろん、長期的な死亡率も、改善される。高血圧を罹っている大量の患者は、生活習慣改善及び高血圧薬などの治療に反応しない。
【0016】
心不全(HF)とは、臨床症候群を意味している。臨床症候群の心機能は、末梢組織の代謝要求に応える必要である水準を下回る正常な心拍出量より低い心拍出量の結果をもたらす。心不全(HF)は、静脈及び肺鬱血を伴い、それらに起因した鬱血性心不全(CHF)として表している。心不全(HF)は、虚血性心疾患などの様々な病因に起因したものであろう。心不全(HF)の患者は、左心室機能不全及び高い死亡率と関連する自律神経バランスの障害を有する。
【0017】
心臓リモデリングとは、心筋梗塞(MI)もしくは心拍出量の減少の他の原因を結果的にもたらす可能性がある構造因子、神経ホルモン及び電気生理学的因子を含む心室に対して、複雑なリモデリング処理を意味している。心室リモデリングは心室の拡張期充満圧を増加させることによって所謂前負荷(例えば、心室は拡張期の末期において心室内の血液容量により広げられる程度)を増加させる所謂後方障害に起因した心拍出量を増加させるように作用する生理学補償メカリズムによって影響される。前負荷の増加は、フランク・スターリングの心臓の法則として知られる現象である心臓収縮期において一回心拍出量の増加を結果的にもたらす。心室は一定期間にわたって前負荷の増加に起因して広げられる際に、心室はより広くなった。心室の容量の拡張は、所定の心臓収縮の圧力において心室壁の圧力の増加を結果的にもたらす。これは、心室によって完成した圧容積仕事の増加に加えて、心室心筋の肥大への刺激として作用する。心室拡張のデメリットは正常な残留心筋に対して付加的な負担を与えるとともに、心臓肥大への刺激を代表する心室壁の張力を増加させることである。心室肥大は増加した張力に充分にマッチできない場合、更なる進行性拡張を結果的にもたらす悪循環は起こる可能性がある。心臓は拡張を始める際に、求心性圧受容器及び心肺受容器の信号は、ホルモン分泌及び交感神経放電に反応する血管運動中枢神経系のコントロールセンタに伝送される。血行動態、交感神経系及びホルモンの変調(例えば、アンジオテンシン変換酵素(ACE)活動の存在もしくは非存在)の組み合わせは心室リモデリングに含まれる細胞組織内の有害な変調の原因となる。心臓肥大の原因となる持続したストレスは、心筋細胞のアポトーシス(例えば、プログラム細胞死)及び心臓機能の更なる悪化を結果的にもたらす結果性壁厚減少を誘導する。従って、たとえ、心室拡張及び心臓肥大は、まず代償性を有し、心出拍量を増加させても、この処理は、最後に収縮及び拡張機能障害を結果的にもたらす。これは、心筋梗塞(MI)前期及び心不全患者の死亡率の増加と正的に関連している心室リモデリングの程度を表している。
【0018】
図1は、IMD110を使用するシステムの各部分の一例の図である。図示の例においては、システムは、NST(例えば、AMT)と心臓機能管理(Cardiac Function Management:CFM)の組合せを提供する。IMD110は、NSTを提供するための1つ又は複数のリード線108Cを含んでもよい。神経刺激リード線108Cは、神経系の特定のエリアに対して治療を提供するべく配置されるように設計されており、且つ、1つ又は複数の電極160を含む。リード線の電極は、電気刺激が血管壁を通過して神経を刺激するように、神経中枢又は神経束近傍の血管内に位置決めすることができる。例えば、神経刺激リード線108Cは、頸静脈内において位置決めされてもよい。
【0019】
その他の配置には、神経刺激リード線を頸動脈鞘の近傍において位置決めするステップを伴う。頸動脈鞘は、頸静脈及び頸動脈を収容する首内部の血管腔隙を取り囲む繊維質の接続組織である。これらの電極構成は、迷走神経近傍における配置に有用であろう。圧反射刺激を提供するシステム及び方法の説明については、2008年5月23日付けで出願され、且つ、「心臓の活動に基づいた自動圧反射調節(Automatic Baroreflex Modulation Based on Cardiac Activity)」という名称のリバス(Libbus)他による米国特許第8,000,793号明細書において見出すことが可能であり、この内容は、引用により、そのすべてが本明細書に包含される。
【0020】
IMD110は、間欠的な神経刺激を供給してもよい。例えば、間欠的神経刺激は、心不全及び高血圧症などの慢性疾病を治療するために供給されてもよい。間欠的神経刺激は、刺激期間のデューティサイクルを使用することにより、供給することができる。それぞれのデューティサイクルは、一連の神経刺激パルスを含むことができる。デューティサイクル及び刺激期間は、神経刺激治療(Neural Stimulation Therapy:NST)の全体を通じて一定である必要はない。例えば、デューティサイクルの持続時間及び周波数は、NSTの強度を調節するために調節することができる。又、デューティサイクルの開始及び停止は、有効化条件に依存するようにすることもできる。デューティサイクル及び/又は刺激期間は、すべての後続の刺激期間内において調節することができる。本明細書に明示的に特記されていない限り、「刺激期間」及び「デューティサイクル」は、正確な周期的方式によって神経刺激を結果的にもたらす一定値の包含のみを意図したものではなく、むしろ、間欠的神経刺激を含むことを意図しており、この場合には、治療に有効な又は予防に有効な神経刺激が、所定時間にわたって供給され、且つ、次いで、所定時間にわたって供給されず、且つ、次いで、所定時間にわたって供給される。電気刺激の際には、例えば、刺激のデューティサイクルにおいて、一連の神経刺激パルス(電流又は電圧)を供給することができる。
【0021】
又、IMD110は、CFMをも提供し、CFMは、心臓ペーシング治療、カルジオバージョン又は除細動治療、及び心臓再同期化治療(Cardiac Resynchronization Therapy:CRT)のうちの1つ又は複数を含むことができる。又、このシステムは、例えば、高周波(Radio Frequency:RF)信号、誘導信号、又はその他の遠隔計測信号を使用することにより、IMD110との間において無線信号190を伝達するIMDプログラマ又はその他の外部システム170を含むこともできる。外部システム170は、コンピュータネットワーク又はセルラー電話ネットワークなどのネットワークを介して遠隔システムと通信する外部システムを含むことができる。いくつかの例においては、遠隔システムは、患者に管理機能を提供し、且つ、その機能を実行するための1つ又は複数のサーバーを含んでもよい。
【0022】
IMD110は、IMDを心臓105に結合するための1つ又は複数の心臓リード線108A、108Bを含むことができる。心臓リード線108A、108Bは、IMD110に結合された基端部と、心臓105の1つ又は複数の部分に電気接点又は「電極」によって結合された先端部と、を含むことができる。電極は、カルジオバージョン、除細動、ペーシング、又は再同期化治療、或いは、これらの組合せを心臓105の少なくとも1つの房(室)に対して供給するように構成されている。電極をセンス増幅器に電気的に結合することにより、電気心臓信号を検知することができる。しばしば、検知回路及び電極は、チャネルと呼ばれる。例えば、心房内において信号を検知するために使用される回路は、心房検知チャネルと呼ばれ、且つ、心室内において信号を検知するために使用される回路は、心室検知チャネルと呼ばれる。1つ又は複数の検知電極の位置に起因して方向が考慮された際には、検知チャネルを検知ベクトルと呼ぶこともできる。検知回路は、検知された信号を開始及び検出するための装置に基づいたロジックを提供するソフトウェア又はファームウェアを含んでもよい。
【0023】
検知された電気心臓信号をサンプリングして電位図(しばしば、eグラムと呼ばれる)を生成することができる。電位図は、IMDによって分析することが可能であると共に/又はIMD内に保存することが可能であり、且つ、後から、外部システム170に伝達することも可能であり、そこで、サンプリングされた信号を分析のために表示することができる。
【0024】
心臓105は、右心房100A、左心房100B、右心室105A、及び左心室105Bを含む。右心房(Right Atrial:RA)リード線108Aは、信号を検知するために、又は右心房100Aにペーシング治療を供給するために、或いは、これらの両方のために、心臓105の右心房100A内に配設された電極(リング電極(図示せず)及び先端電極135などの電気接点)を含む。
【0025】
右心室(Right Ventricular:RV)リード線108Bは、信号を検知するための、ペーシング治療を供給するための、或いは、信号の検知及びペーシング治療の供給の両方のための、先端電極及びリング電極などの1つ又は複数の電極を含む。又、右心室(RV)リード線108Bは、任意選択により、心房カルジオバージョン、心房除細動、心室カルジオバージョン、心室除細動、又はこれらの組合せを心臓105に提供するためのRVコイル電極175などの更なる電極をも含む。これらの電極は、除細動に伴う相対的に大きなエネルギーを処理するために、先端電極及びリング電極などのペーシング電極よりも大きな表面を有してもよい。
【0026】
RVコイル電極175と、封止されたIMDハウジング、即ち筐体(can)150上に形成された電極と、を使用することにより、高エネルギーショック治療を供給することができる。いくつかの例においては、ショック治療は、RVコイル電極175と、RVコイル電極175に近接配置されると共に上大静脈(Superior Vena Cava:SVC)内に配置されるように構成(例えば、成形及びサイズ設定)された第2除細動コイル電極(図示せず)を使用することにより、供給される。いくつかの例においては、SVCコイル電極及び筐体電極(can electrode)は、RVコイル電極175からの電流を心室心筋上において相対的に均一に供給することによって除細動を改善するべく、電気的に1つに結束されている。
【0027】
右心室(RV)リード線108Bは、任意選択により、再同期化治療を心臓105に提供する。再同期化治療は、通常、心室間における脱分極のタイミングを相対的に良好に同期化させるために、心室に供給される。再同期化治療は、付随するLVリード線(図示せず)を伴う状態で又は伴うことなしに、供給することができる。
【0028】
図2は、2つのIMDを使用するシステムの各部分の一例の図である。別個のIMDを使用して神経刺激治療及び心臓刺激治療を提供する。第1IMD210は、心臓信号の検知及び心臓リード線208A及び208Bを使用した心臓治療の提供を通じてCFMを提供する。第2IMD212は、神経刺激リード線208Cに結合されており、且つ、患者にNSTを提供する。外部システム170は、装置パラメータの設定及びデータの収集などの機能を実行するために、2つのIMDとの間において無線信号を伝達する。いくつかの例においては、2つのIMDは、互いに無線で通信している。
【0029】
カフ電極を使用して神経中枢を刺激してもよい。
図3は、患者303の胸部領域に埋植されたIMD310の別の例の図である。この図は、患者の心臓305のみならず、左肺304及び右肺306をも、示している。又、左横隔神経334及び右横隔神経336の図も示されている。IMD310は、患者303の胸部領域に埋植された状態において示されている。この例においては、IMD310は、1つ又は複数の皮下リード線308に結合されている。皮下リード線308は、横隔神経に接触する電極を収容する1つ又は複数の神経の上方に位置したカフ322及び324又はカラーを含むことができる。又、カフ電極を使用して迷走神経に接触すると共にこれを刺激することもできる。
【0030】
図4は、脊髄と関連する神経を刺激するマルチ電極リード線408の図を示している。リード線及び電極は、脊髄と同一の縮尺で描画されてはいないことに留意されたい。又、マルチ電極リード線408を奇静脈内に配設し、脊髄と関連する神経を刺激してもよい。マルチ電極リード線408を使用して神経刺激パルスを供給することにより、脊髄から分岐する交感神経における交感活動を減少させることも可能であり、且つ、脊髄から分岐する交感神経における交感活動を増大させることもできる。神経刺激のためのその他の供給サイトには、例えば、大静脈及び心臓脂肪体が含まれる。
【0031】
添付図面には、リード線及び電極の特定の構成が示されているが、本方法及びシステムは、様々な構成において、且つ、様々な電極を伴って、動作することに留意されたい。IMDは、経静脈、心内膜、及び心外膜電極(即ち、胸郭内電極)、並びに/或いは、筐体、ヘッダ、及び不関電極を含む皮下非胸郭内電極、並びに、皮下アレイ又はリード線電極(即ち、非胸郭内電極)を含む様々な電極構成を有するように構成することができる。その他の形態の電極には、IMDによって生成される電流の「操向」を支援するために心臓又は神経の各部分に適用可能な又は身体のその他のエリア内に埋植可能なメッシュ及びパッチが含まれる。
【0032】
CFM治療を受けている患者にNSTを提供することにより、CFM検知回路によって検知可能な電気的アーチファクトが混入するという懸念が存在している。例えば、AMT及びCFMの組合せを提供する装置においては、神経刺激を提供する回路が、装置の共通電気接地を通じて、或いは、AMTの定電流刺激及び電荷回復刺激(charge restoring stimulus)の遠距離場検知を通じて、CFM検知回路による検知に対して影響を及ぼす場合がある。AMTを別個の装置によって提供することにより、遠距離場検知を通じて、CFM装置による検知に対して影響が及ぶ場合がある。検知された信号アーチファクトを電気的な心臓の活動として解釈する場合があり、この結果、適切なCFM治療が提供されない場合がある。
【0033】
CFM動作がスケジューリング(プログラム)されている際にのみ治療を提供してCFM治療の供給に起因してCFM検知機能をターンオフ又は極小化することにより、NSTの過検知を軽減することができる。いくつかのCFM装置は、ペーシングパルスの供給の際に且つその後の所定期間にわたって、或いは、固有イベント(例えば、心室脱分極)の検出の際に又はその後の所定期間にわたって、検知回路のセンス増幅器をブランキングしてもよい。センス増幅器をブランキングすることにより、ペーシングパルス又は固有イベントに起因した遠距離場信号の検知を回避する。このブランキング期間においては、センス増幅器を無効にし、検知された信号による検知回路のスワンピング(例えば、センス増幅器のハイレール又はローレールへの駆動)を防止する。ブランキングにより、センス増幅器は、ペーシング又は固有イベントにおいて動作した場合よりも、相対的に迅速に検知を再開することができる。
【0034】
又、CRM装置は、ペーシングパルス又は固有インベントとの関係において房(室)に跨る不応期間(cross chamber refractory period)を導入してもよい。不応期間においては、センス増幅器は、有効化されるが、検知回路からのすべての出力は、CRM治療の決定を下す際に使用される装置ロジックによって無視される。不応期間は、1つの心臓の房(室)(例えば、心室)内におけるペーシングパルス又は固有イベントからの遠距離場信号が、別の心臓の房(室)(例えば、心房)内において発生する心臓の活動として検知回路によって解釈されることを防止するためのものである。これらのブランキング期間及び不応期間のうちの1つ又は両方においてのみNSTを供給することにより、CFM検知回路による不適切な検知と、CFM治療回路による不適切な治療とが軽減されることになろう。
【0035】
図5は、1つ又は複数の医療装置の動作の一例の図である。上部波形505は、神経調節治療用の刺激パルスの供給を表している。中間波形510は、心房内において検知されたフィルタリング済みの心臓活動信号を表している。下部波形515は、心室内において検知されたフィルタリング済みの心臓活動信号を表している。中間波形510に示されている心房活動は、1分当たりに60パルス(60ppm)において心房に除脈ペーシングを提供した結果として得られる心房脱分極である。心房ペーシング(atrial pace:AP)の結果として、ブランキング期間520が心房検知チャネルにおいて開始されている。上部波形505は、心房ブランキング期間において供給される神経刺激パルスを示している。
【0036】
下部波形515に示されている心室活動は、検知された固有の心室脱分極活動(VS)と、心室に供給されたペーシングパルスの結果として得られた心室脱分極(VP)と、を示している。心房のペーシングから心室の検知イベントまでの心房−心室(A−V)時間インターバルは、120ミリ秒(120ms)であり、且つ、心房のペーシングから心室のペーシングまでのA−Vインターバルは、150msである。心室ブランキング期間525は、固有の心室イベント(VS)の後には、開始されておらず、従って、神経刺激は、上部波形505において供給されるものとして示されてはいないことに留意されたい。心室ブランキング期間525は、ペーシングされた心室イベント(VP)の後に開始されており、且つ、上部波形505は、心室ブランキング期間525において供給される神経刺激パルスを示している。いくつかの例においては、神経刺激パルスは、心房ペーシングの結果として開始されるブランキング期間においてのみ供給される。いくつかの例においては、神経刺激パルスは、心室ペーシングの結果として開始されるブランキング期間においてのみ供給される。いくつかの例においては、神経刺激パルスは、心房ペーシングの結果として開始されるブランキング期間と心室ペーシングの結果として開始されるブランキング期間の両方において供給される。
【0037】
神経刺激パルスは、ペーシングイベントによってトリガすることが可能であり、且つ、ブランキング期間と同時に発生するようにタイミング設定することができる。CFM機能とAMT機能を1つの装置によって実行する場合には、その装置は、神経刺激がブランキング期間において発生するように、ペーシングパルスとの間においてタイミング設定された関係において神経刺激をトリガすることができる。CFM機能とAMT機能が2つの装置によって実行される場合には、AMT装置は、CFM装置によるペーシング刺激を検知するように構成された検知回路を含んでもよく、且つ、AMT装置は、検知されたペーシングパルスに応答して神経刺激をトリガしてもよい。CFM装置とAMTが通信することができる場合には、通信を使用し、CFM機能とAMT機能を調整することができる。通信は、双方向の無線通信であってもよい。特定の例においては、通信は、単一方向通信及び有線通信のうちの1つ又は両方を含むことができる。
【0038】
図6は、治療全体にわたる検知動作を軽減するように1つ又は複数の医療装置を動作させる方法の一例600のフロー図を示している。ブロック605において、IMDを使用することにより、患者の心臓に対する電気ペーシング治療の供給が開始されている。ブロック610において、電気ペーシング治療の供給又は固有活動の検出に対する時間関係において、IMD内において、ブランキング期間又は不応期間のうちの少なくとも1つが開始されている。IMDの1つ又は複数のセンス増幅器は、ブランキング期間において無効にされる。ブロック615において、ブランキング期間において、同一のIMD又は別個のIMDを使用することにより、電気神経刺激治療が患者に対して提供されている。
【0039】
図7は、電気ペーシング治療と電気神経刺激治療の両方を供給すると共に治療全体にわたる検知動作を軽減するIMDの各部分のブロックダイアグラムの一例を示している。この装置は、心臓信号検知回路705と、治療回路710と、を含む。心臓信号検知回路705は、患者の心臓の心房又は心室のうちの少なくとも1つからの電気心臓信号を検知するように構成されており、且つ、少なくとも1つのセンス増幅器715を含む。治療回路710は、電気ペーシング治療を心臓の心房又は心室のうちの少なくとも1つに提供するように構成されている。治療回路710は、治療を供給するために心房又は心室の内部に又はその近傍に配置されるように構成された電極に対して電気的に結合させることができる。又、治療回路710は、電気NSTを患者に提供するようにも構成されている。
【0040】
図8は、神経刺激パルス805の一例を示している。いくつかの例においては、神経刺激パルス805は、2つの部分を伴うことができる。第1部分810は、定電流振幅の電流パルスである。第2部分815は、電荷回復刺激を含む。いくつかの例においては、第1部分810の振幅は、プログラム可能である。
【0041】
図7を再度参照すれば、装置は、心臓信号検知回路705及び治療回路710に通信自在に結合された制御回路720をも含む。通信自在の結合により、介在する回路が存在してもよいにも拘わらず、電気信号を心臓信号検知回路705、治療回路710、及び制御回路720の間において伝達することができる。制御回路720は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、又はソフトウェアモジュール又はファームウェアモジュール内の命令を解釈又は実行するその他のタイプのプロセッサなどのプロセッサを含むことができる。制御回路720は、記述されている機能を実行するためのその他の回路又はサブ回路を含むことができる。これらの回路は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はこれらの任意の組合せを含んでもよい。必要に応じて、回路又はサブ回路のうちの1つ又は複数のものの内部において、複数の機能を実行することができる。
【0042】
制御回路720は、制御回路720と一体であるか又はこれに対して通信自在に結合されたメモリ内に保存されている刺激スケジュールなどの刺激命令に従って治療回路710によって供給される神経刺激を制御するように構成(例えば、プログラム)されている。NSTは、刺激バーストとして供給することが可能であり、刺激バーストは、既定の周波数を有する一連の刺激パルスである。刺激バーストは、バースト持続時間及びバーストインターバルによって特徴付けることができる。バースト持続時間とは、バーストが持続する時間の長さである。バーストインターバルは、連続したバーストの開始の間の時間によって識別することができる。構成されたバーストのパターンは、バースト持続時間とバーストインターバルの任意の組合せを含むことができる。1つのバースト持続時間及びバーストインターバルを有する単純なバーストパターンが、プログラムされた期間にわたって周期的に継続することも可能であり、或いは、相対的に複雑なスケジュールに追随することもできる。構成されたバーストのパターンを複数のバースト持続時間及びバーストインターバルシーケンスから構成することもできる。構成されたバーストのパターンは、デューティサイクルによって特徴付けることが可能であり、デューティサイクルとは、固定された時間にわたる神経刺激ONと、固定された時間にわたる神経刺激OFFと、の反復サイクルを意味している。メモリは、治療フィードバックを受け取ると共にフィードバックに基づいてNSTを提供するように制御回路720によってプログラム可能である命令を含んでもよい。振幅、周波数、波の形状、バースト周波数、デューティサイクル、及び/又は持続時間のうちの1つ又は複数を制御回路720によって調節することができる。
【0043】
制御回路720は、電気ペーシング治療の供給を開始すると共に電気ペーシング治療の供給に対する時間関係においてブランキング期間を開始するように、構成されている。
図7との関係において上述したように、1つ又は複数のセンス増幅器715は、ブランキング期間において無効化される。制御回路720は、ブランキング期間において、患者に対する電気NSTの供給を開始する。いくつかの例においては、制御回路720は、ブランキング期間において、NSTの供給を選択的に開始する。
【0044】
いくつかの例においては、制御回路720は、規定されたレート検出閾値を満足する心拍数を検出することにより、或いは、規定されたインターバル閾値を満足する心拍インターバルを検出することにより、頻拍性不整脈を検出する頻拍性不整脈検出回路735を含む。制御回路720は、頻拍性不整脈検出回路735が頻拍性不整脈の症状を検出した際に、NSTの供給を中断又は無効化してもよい。神経治療の供給は、検出後期間、ショック後期間、及び規定された再検出期間のうちの1つ又は複数の期間において、無効化されてもよい。
【0045】
いくつかの例においては、制御回路720は、スケジュールに従ってNSTの供給を選択的に開始している。いくつかの例においては、制御回路720は、治療がスケジューリングされていると共にNSTがブランキング期間において開始された際に、ブランキング期間を変更している(例えば、ブランキング期間を延長している)。ブランキング期間の延長は、治療に跨る過検知を更に低減するために有用であろう。
【0046】
いくつかの例においては、ブランキング期間を延長する量を制限してもよい。例えば、ブランキング期間の持続時間は、規定された頻拍性不整脈検出レート又はレート検出インターバルに従って制限されてもよい。例えば、心室チャネル内におけるブランキング期間の延長は、ペーシングされた心房イベントの結果としてブランキング期間が開始される際に、制限されてもよい。これは、頻拍性不整脈を通知しうる心室レートの検出を許容するために実行される。この制限は、装置により、或いは、可変ブランキング期間を埋植可能装置内にプログラムする外部システムにより、実行してもよい。
【0047】
但し、臨床環境などのいくつかの状況においては、医療装置は、治療目的を満足させるために、頻拍性不整脈検出を遅延させるか又は取り止めるように構成されてもよい。従って、制御回路720は、NSTの供給の際に、頻拍性不整脈検出回路735による頻拍性不整脈検出を遅延させてもよい。この遅延は、神経調節治療の手動による有効化、装置による神経治療の半自動的な有効化、又は装置による治療の自動的な有効化のうちの1つ又は複数に応答するものであってもよい。特定の例においては、神経治療を供給しつつ、数秒(例えば、5秒、10秒、30秒など)だけ、頻拍性不整脈を遅延させることができる。特定の例においては、神経治療をデューティサイクル化させることにより、神経調節治療において、ある程度の頻拍性不整脈検出に対応している。このデューティサイクル化は、NSTが無効化されると共に頻拍性不整脈検出が有効化される時間に対する神経調節治療が有効化されると共に頻拍性不整脈検出が無効化される時間の比率(例えば、0.2、0.25、0.33、0.5という比率など)を含むことができる。
【0048】
いくつかの例によれば、治療回路710は、両心室ペーシング治療を提供している。
図9は、1つ又は複数の医療装置の動作の一例の別の図である。
図9の図は、固有イベントが検知されないことによってA−V遅延カウンタがタイムアウトした場合に両心室ペーシング(BiVP)が提供されるという点を除いて、
図5の例の図に類似している。心臓の両方の心室がペーシングされており、且つ、制御回路720は、両心室ペーシング治療の一部として供給されるペーシングに対する時間関係においてブランキング期間を開始している。
【0049】
いくつかの例においては、
図7の装置は、センス増幅器を含む心房検知チャネルと、こちらもセンス増幅器を含む少なくとも1つの心室検知チャネルと、を含む。センス増幅器は、ブランキング期間において無効化される。いくつかの例においては、両心室ブランキング期間は、単一心室の心室ペーシングにおけるブランキング期間よりも長くてもよい。相対的に長いブランキング期間を活用するべく、制御回路720は、
図9の波形905に示されているように、ブランキング期間において、NSTを患者に対して提供して相対的に長い両心室ブランキング期間を活用している。いくつかの例においては、NSTの供給は、両心室ブランキング期間中に制限されている。
【0050】
いくつかの例によれば、制御回路720は、電気ペーシング治療の供給に対する時間関係において不応期間を開始している。不応期間においては、1つ又は複数のセンス増幅器715は、その不応期間において有効化されるが、センス増幅器によって検知される電気信号は、CRM治療の決定を下す際に使用される装置ロジックによって無視される。CFM装置内においてタイミング設定される不応期間は、心筋の不応期間と同時に発生するように実装することができる。心筋の不応期間は、心筋が固有の又は非固有の刺激に対してまったく応答できない活動電位の開始後の時間に対応している。
【0051】
図10は、1つ又は複数の医療装置の動作の一例の別の図を示している。その他の例と同様に、上部波形1005は、神経刺激パルスの供給を表している。中間波形1010は、心房内において検知されたフィルタリング済みの心臓活動信号を表している。下部波形1015は、心室内において検知されたフィルタリング済みの心臓活動信号を表している。但し、この例においては、第1心房活動は、検知された固有の心臓脱分極(AS)であり、且つ、第1心室脱分極も、検知された固有の脱分極(VS)である。この例においては、ペーシングされたイベントが存在しないため、制御回路720は、固有の心房及び心室脱分極についてブランキング期間を開始していない。この例においては、制御回路720は、検知された心房脱分極に応答して心房検知チャネルの不応期間1030を開始しており、且つ、固有の心室脱分極に応答して心室検知チャネルの不応期間1035を開始している。
【0052】
この例の中間波形1010は、固有心房イベントの後の1000msにおいて発生する心房ペーシングイベントを示しており、且つ、下部波形1015は、心房ペーシングイベントに後続する両心室ペーシングイベントを示している。制御回路720は、ペーシングされたイベントの後に、心房チャネルブランキング期間1020及び心室チャネルブランキング期間1025を開始してもよい。いくつかの例においては、制御回路720は、ペーシングされたイベントに応答して、心房検知チャネルの不応期間1030及び心室検知チャネルの不応期間1035を開始してもよい。心房検知チャネルのセンス増幅器及び心房検知チャネルのセンス増幅器からの出力は、不応期間においては、無視される。不応期間は、ブランキング期間と同一の時点において開始されるものとして示されているが、センス増幅器がブランキング期間において無効化されることから、これは、必須ではない。
【0053】
制御回路720は、不応期間において、患者に対するNSTを選択的に開始することができる。上部波形1005に示されているように、制御回路は、心室イベントと関連するブランキング期間及び不応期間のうちの1つ又は両方において、患者に対するNSTを開始してもよい。いくつかの例においては、制御回路720は、NSTが不応期間において開始される際に、不応期間を増大させてもよい。ブランキング期間と同様に、装置は、不応期間の増大又は延長を制限して頻拍性不整脈の検出に影響が及ぶことを回避してもよい。
【0054】
いくつかの例によれば、制御回路720は、すべてのチャネルをブランキング状態又は不応状態に設定する任意のCFMイベントにおいて、NSTの供給を開始している。これが
図11の例に示されている。
図10と同様に、第1CFMイベントは、検知された固有の心房脱分極及び検知された固有の心室脱分極であり、且つ、第2CFMイベントは、ペーシングされた心房脱分極及びペーシングされた両心室脱分極を含む。
図7の制御回路720は、心房及び心室検知チャネルの両方が不応状態に設定されていることに起因して心室検知イベントと関連する不応期間1130及び1135においてNSTの供給を開始している。又、制御回路720は、心房検知チャネルと心室検知チャネルの両方がブランキング状態又は不応状態にあるために、心房ペーシングイベント及び心室ペーシングイベントと関連するブランキング期間1120、1125及び不応期間1130、1135のうちの1つ又は両方においてNSTを開始している。制御回路720は、NSTがブランキング期間及び不応期間において供給されることになる場合には、1つ又は複数のブランキング期間及び不応期間の持続時間を変更してもよい。
【0055】
NSTは、例えば、一日当たりに供給される刺激パルスのターゲット数などのターゲット投与量に従って供給することができる。いくつかの例においては、制御回路720は、カウンタ回路725と、タイマ回路730と、を含む。カウンタ回路725及びタイマ回路730は、制御回路720と一体的なものであってもよく、或いは、これに対して通信自在に結合されてもよい。制御回路720は、カウンタ回路725及びタイマ回路730を使用することにより、規定された時間インターバルにわたって供給される神経刺激治療パルスの数を追跡する。神経刺激パルスがブランキング期間において供給されていた場合には、制御回路720は、供給された神経刺激治療パルスの数が規定された神経刺激治療供給ターゲットを下回っている際には、規定された神経調節治療供給ターゲットを満足させるために、少なくとも1つの後続のブランキング期間においてNSTの追加供給を開始する。換言すれば、神経刺激は、治療供給ターゲットに追い付くように、後続するブランキング期間(並びに、不応期間)を使用することにより、供給される。規定された供給ターゲットのいくつかの例には、一時間当たりに供給される神経刺激治療電気パルスの規定された数と、一日当たりに供給される神経刺激治療電気パルスの規定された数と、が含まれる。
【0056】
AMTの可能な副作用は、患者の固有のレートが、装置の下限レートにまで引き下げられる場合があるという点にある。下限レートは、しばしば、心室補充収縮間隔(ventricular escape interval)と呼ばれる。いくつかの例においては、制御回路720は、固有の心臓の活動が存在していない状態において、下限レートにおいて、或いは、下限レートインターバルの満了の際に、心房又は心室のうちの少なくとも1つに対するペーシング治療を開始するように構成されている。AMTを通じて患者の脱分極レートを下限レートまで引き下げることを回避するために、制御回路720は、下限レート又は下限レートインターバルの規定された範囲内においてペーシング治療を開始する際に、NSTの供給を中断する。特定の例においては、規定された範囲は、下限レートを中心として1分当たりに5拍動(bpm)以内であり、且つ、特定の例においては、規定された範囲は、下限レートを中心として10bpm以内である。
【0057】
制御回路720が、規定された神経調節治療供給ターゲットを満足させるために、規定された時間インターバルにわたって供給されるいくつかの神経刺激治療パルスを追跡している場合には、制御回路720は、IMDが下限レート又は下限レートインターバルの規定された範囲の外においてペーシング治療を提供している際にのみ、規定されたターゲットを満足させるために、神経刺激治療の任意の追加供給を開始してもよい。
【0058】
いくつかの例によれば、装置は、抗頻拍性不整脈ペーシング(Anti−Tachyarrhythmia Pacing:ATP)治療を提供している。第1に、ATPは、頻拍性不整脈の症状を変化させるように試みて高エネルギーショック治療に伴う不快感を患者が免れるようにするべく使用される。ATPは、高レートにおいて供給されるペーシングパルスのバーストを伴う可能性がある。関係するレートに起因し、しばしば、ATPの供給の際には、装置による検知がほとんど実行されず、従って、ATPの供給の際には、ブランキング期間及び不応期間のうちの1つ又は両方を課すことができる。この結果、装置は、ATPの際には、ブランキング期間及び不応期間のうちの1つ又は両方においてNSTの供給を開始してもよい。上述のように、自律神経調節治療は、患者の心拍数を引き下げる場合がある。頻拍性不整脈の症状の際にATPを伴う神経治療を提供することにより、ATPの成功の尤度を増大させるという更なる利益を提供してもよい。
【0059】
本明細書に記述されているいくつかの例は、CFM治療の供給に起因して装置のCFM検知機能がCFM検知チャネルをブランキングしている際に所定の時間インターバルにおいてのみAMTを供給することにより、治療に跨る検知の問題に対処している。別の方式は、AMT刺激パルスの供給の際にCFM検知チャネルの感度を低減するというものである。この結果、CFM治療によって決定される適切な供給時間にわたって待機するように神経刺激のタイミングを調節するのではなく、CFM検知機能の感度が神経刺激のタイミングに従って低減される。
【0060】
図12は、治療全体にわたる検知動作を軽減するために1つ又は複数の医療装置を動作させる方法の一例1200のフロー図を示している。ブロック1205において、IMDを使用することにより、患者に対する電気神経刺激治療の供給が開始されている。ブロック1210において、IMDの心臓信号検知回路を使用することにより、AMTの信号アーチファクトが検出されている。信号アーチファクトは、心房検知チャネル及び心室検知チャネルのうちの1つ又は両方のセンス増幅器によって検知されてもよい。いくつかの例においては、心臓信号をフィルタリングして神経刺激パルスの供給の周波数を検出している。
【0061】
ブロック1215において、信号アーチファクトの検出に応答して、AMTが供給される際に所定の時間インターバルにおいて心臓信号検知回路の感度が変更されている。心臓信号検知回路の感度を変更するステップは、心臓信号検知回路に含まれているセンス増幅器の検知閾値を変更するステップと、AMTの供給の際にセンス増幅器の動作を無効化するステップと、センス増幅器の出力を無効化するステップと、のうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0062】
検知パラメータは、信号アーチファクトの検出に応答した装置からの警告に応答して臨床医が調節することも可能であり、或いは、検知パラメータは、検出に応答して医療装置自体によって調節することもできる。
【0063】
いくつかの例によれば、
図7の制御回路720は、上述のように、ペーシング治療の供給を開始し、且つ、AMTの供給を開始する。制御回路720は、検知された心臓信号内においてNSTの信号アーチファクトを検出するために信号検出回路740を含むことができる。いくつかの例においては、信号検出回路740は、ピーク検出器を含んでおり、且つ、検出されたピークの周波数が神経刺激パルスが供給される周波数とマッチングした時点を認識するように構成されている。いくつかの例においては、信号検出回路740は、神経刺激の供給の周波数において信号を検出するための1つ又は複数のフィルタ回路を含む。いくつかの例においては、フィルタ回路は、NSTの刺激パルスの供給の周波数にマッチングするようにプログラム可能である。信号アーチファクトの検出に応答して、制御回路720は、NSTの供給の際に心臓信号検知回路705の感度を変更する。
【0064】
いくつかの例においては、制御回路720は、NSTの供給の際にセンス増幅器715の検知閾値を増大させるように構成されている。
図13は、検知閾値を増大させることによって治療全体にわたる検知動作を軽減するための1つ又は複数の医療装置の動作の一例の図である。この図は、6つの波形を示している。最上部の波形1305は、NST用の刺激パルスの供給の一例を表している。この例は、図示を簡単にするために、4つのパルスのみを示している。第2の波形1310は、心房内において検知されたフィルタリング済みの心臓活動信号を表している。1つ飛ばして第4の波形1315を参照すれば、心室内において検知されたフィルタリング済みの心臓活動信号の図が示されている。最下部の波形1320は、心房及び心室内における脱分極活動に対応する心電図(EKG)の図である。
【0065】
最上部の波形内のパルスからの矢印は、NSTに起因した検知された心房の心臓信号内のアーチファクト1325と、NSTに起因した検知された心室信号内のアーチファクト1330と、を示している。アーチファクトは、検知された信号がフィルタリングされた場合にも、存在しうることに留意されたい。この検知に応答して、IMDは、検出を極小化するために、心房検知チャネル及び心室検知チャネルのうちの1つ又は両方内において、センス増幅器の感度を自動的に低減する。特定の例においては、センス増幅器の感度を低減するステップには、センス増幅器によって検知される信号が相対的に大きな振幅を有するように、センス増幅器の入力検知閾値を増大させるステップが伴っている。特定の例においては、センス増幅器の感度を低減するステップには、センス増幅器の出力ダイナミックレンジを増大させるステップが伴っている。例えば、センス増幅器の出力ダイナミックレンジが0〜100mVに等しい場合には、センス増幅器は、10mVを上回る入力信号を検知することになろう。出力ダイナミックレンジが0〜200mVに増大された場合には、センス増幅器は、20mVを上回る入力信号を検知することになろう。
【0066】
第3の波形1335は、
図7の装置の制御回路720などの装置が、感度を低減するために心房チャネル内のセンス増幅器の検知閾値を自動的に変化させているステップを示している。これらのステップは、閾値を高閾値に増大させてアーチファクトを除去し、且つ、次いで、検知された信号内にアーチファクトが再度出現する時点まで低下させるステップを表している。次いで、検知閾値を1段階だけ増大させることにより、検知閾値の最低限の増大によって信号アーチファクトを除去している。第5の波形1340は、心室検知チャネルのセンス増幅器用の類似の自動調節を示している。いくつかの例においては、検知閾値は、アーチファクトがもはや心臓信号内において検知されなくなる時点まで、段階的に増大されている。いくつかの例において、アーチファクトが出現した際に、警告が生成され、且つ、ユーザーが増幅器の検知閾値に対する調節を開始している。
【0067】
いくつかの例によれば、制御回路720は、NSTの供給の際にセンス増幅器715の動作を無効化することにより、心臓信号検知回路705の感度を変化させている。これは、神経刺激の供給の際にブランキング期間を開始するステップと呼ぶことができる。特定の例においては、センス増幅器に対する回路接続及びセンス増幅器に対する電極接続のうちの1つ又は両方を接続解除することにより、ブランキング期間において、センス増幅器が無効化されている。特定の例においては、ブランキング期間において、1つ又は複数のセンス増幅器が電源切断されている。
【0068】
図14は、神経調節治療の供給の際に1つ又は複数のセンス増幅器をブランキングすることにより、治療全体にわたる検知動作を軽減するための(
図7のIMDなどの)1つ又は複数の医療装置の動作の一例の図である。
図13の例と同様に、
図14の図は、6つの波形を示している。最上部の第1波形1405は、NST用の刺激パルスの供給の一例を表している。この例は、心臓サイクルの持続時間に跨る神経刺激パルスのバーストを示している。第2の波形1410は、心房内において検知されたフィルタリング済みの心臓活動信号を表しており、第4の波形1415は、心室内において検知されたフィルタリング済みの心臓活動信号を表しており、且つ、最下部の波形1420は、心房及び心室内における脱分極活動に対応するEKGの図である。
【0069】
第1波形1405の刺激パルスからの矢印は、NSTに起因した検知された心房及び心室信号内の信号アーチファクト1425、1430を示している。心臓信号検知回路705によるアーチファクトの検知を除去するために、
図7の制御回路720は、神経刺激パルスが提供される際にブランキング期間を開始している。第3波形1435は、制御回路720が、神経刺激パルスの時点において心房検知チャネル内においてブランキング期間1445をタイミング設定するステップを示している。第4波形1440は、制御回路720が、神経刺激パルスの時点において心室検知チャネル内においてブランキング期間1450をタイミング設定するステップを示している。特定の例においては、ブランキング期間は、神経刺激パルスの直前において始まることが可能であり、且つ、刺激パルスの直後の時点まで持続している。ブランキング期間は、刺激サイトから検知サイトまでの任意の伝達時間を含むように、相対的に長く持続してもよい。特定の例においては、ブランキング期間は、神経刺激パルスの定電流刺激及び電荷回復刺激の両方においてセンス増幅器をブランキングするのに十分なものになっている。ブランキング期間は、NSTに基づいて開始され、且つ、CFM治療に従って開始されないことに留意されたい。
【0070】
図15は、1つ又は複数のセンス増幅器をブランキングすることにより、治療全体にわたる検知動作を軽減するための1つ又は複数のIMDの動作の別の一例の図である。この例においては、制御回路720は、最上部の波形1505内の神経刺激パルスのバーストの持続時間の全体にわたってブランキング期間1545、1550を確立している。これは、この例においては、センス増幅器がパルスのバーストの全体において無効化されることを意味している。バーストが多くのパルスを含む場合には、この結果、不整脈を検出するIMDの能力が低減されることになろう。パルスのバーストの全体にわたってブランキング期間を課した場合には、頻拍性不整脈と関連するレート又は心拍インターバルを検出する頻拍性不整脈検出回路735の能力に悪影響が及ぶ場合があるため、
図15に示されている動作は、例えば、臨床医が患者を直接的に監視できる臨床環境において使用されてもよい。
【0071】
図16は、治療全体にわたる検知動作を軽減するための(
図7の装置などの)1つ又は複数の医療装置の動作の更に別の一例の図である。この例においては、ブランキング期間を開始するのみならず、センス増幅器715の感度を低減することにより、
図7の心臓信号検知回路705の感度が変更されている。最上部の波形1605内に示されている神経刺激パルスは、第2波形1610内に示されている検知された心房信号内に、且つ、第5波形1615内に示されている検知された心室チャネル内に、存在する刺激からの信号アーチファクトを結果的にもたらす。制御回路720は、(波形1655、1660に示されているように)刺激の電荷回復部分において1つ又は複数のセンス増幅器の検知閾値を増大させることによって(波形1635、1640に示されているように)神経刺激パルスの定電流部分においてブランキング期間1645、1650を確立することにより、心臓信号検知回路705の感度を変化させている。
【0072】
いくつかの例によれば、制御回路720は、神経刺激パルスの供給の際に1つ又は複数の検知チャネル内において不応期間を確立することにより、心臓信号検知回路705の感度を低減している。不応期間においては、センス増幅器の出力は、CRM治療の決定を下す際に使用される装置ロジックによって無視される。いくつかの例においては、信号アーチファクトの検出に応答して、制御回路720は、神経刺激パルスが供給された際に所定の時間インターバルにおいて心臓信号検知回路705のセンス増幅器715の出力を無効化している。
【0073】
図17は、治療全体にわたる検知動作を軽減するための(
図7の装置などの)1つ又は複数の医療用装置の動作の更に別の一例の図である。この例においては、神経刺激パルスの際にブランキング期間と不応期間の両方を開始することにより、
図7の心臓信号検知回路705の感度が変更されている。
図13〜
図16の以前の例と同様に、(最上部の波形1705に示されている)神経刺激パルスは、第2波形1710に示されている検知された心房信号のうちの1つ又は複数の信号内に、且つ、第5波形1715内に示されている検知された心室チャネル内に、存在している刺激からの信号アーチファクトを結果的にもたらす。制御回路720は、(波形1735、1740によって示されているように)ブランキング期間1745、1750を確立することにより、且つ、不応期間1765、1770を開始することにより、心臓信号検知回路705の感度を変更している。いくつかの例においては、ブランキング期間の持続時間は、神経刺激の定電流部分の持続時間をカバーすることが可能であり、且つ、不応期間は、神経刺激の電荷回復部分をカバーすることができる。
【0074】
図5及び
図9〜
図11においては、CFM検知回路による検知が極小化又は無効化される際の時点まで待機することにより、検知された心臓信号内におけるNST刺激の検出に対処している。
図13〜
図17においては、NSTの供給がスケジューリングされる際にCFM検知回路の感度を変更することにより、検知された心臓信号内におけるNST刺激の検出に対処している。2つの方式を(1つ又は複数の医療用装置又はシステムを含む)1つのシステム内において組み合わせることにより、NSTからのアーチファクトの検出に対処することができる。NSTは、CFM検知回路による検知が極小化又は無効化される際の時点において供給されてもよく、且つ、CFM検知チャネルの感度を変化させた際に、NSTを供給してもよい。本明細書に記述されている供給方法のいずれかを組み合わせることにより、NSTを供給することが可能であり、且つ、治療に跨る検知を回避することができる。いくつかの例においては、
図7の制御回路720は、CFM検知回路による検知が極小化又は無効化される際の時点においてNST刺激の供給を開始するように構成されている。制御回路720は、治療供給スケジュールを満足させるために更なるNST刺激が必要とされている際にNSTを供給するべく、検知チャネルの感度を低減してもよい。
【0075】
複数のタイプの治療を患者に提供する装置による過検知は、それらの装置による診断及び治療供給機能を複雑化させる場合がある。治療に跨る過検知を回避することにより、装置に基づいた治療を患者に供給する際に信頼性及び効能の改善が得られることになる。
【0076】
更なる留意点及び実施例
実施例1は、心臓信号検知回路、治療回路、及び制御回路を有する主題(装置など)を含む。心臓信号検知回路は、患者の心臓の心房又は心室のうちの少なくとも1つから電気心臓信号を検知するように構成されており、且つ、少なくとも1つのセンス増幅器を含む。治療回路は、電気ペーシング治療及び電気神経刺激治療を患者に対して提供するように構成されている。制御回路は、電気ペーシング治療の供給を開始し、電気ペーシング治療の供給に対する時間関係においてブランキング期間を開始し(この場合に、少なくとも1つセンス増幅器は、ブランキング期間において無効化される)、且つ、ブランキング期間において患者に対する電気神経刺激治療の供給を開始するように、構成されている。
【0077】
実施例2においては、請求項1の主題は、任意選択により、ブランキング期間において神経刺激治療の供給を選択的に開始すると共に神経刺激治療がブランキング期間において開始された際にブランキング期間を増大させるように構成された制御回路を含むことができる。
【0078】
実施例3においては、実施例1及び実施例2のうちのいずれか又はこれらの任意の組合せの主題は、任意選択により、下限レートにおいて又は下限レートインターバルの満了の際に固有の心臓の活動が存在していない状態において心房又は心室のうちの少なくとも1つに対してペーシングを開始すると共に下限レート又は下限レートインターバルの規定された範囲内においてペーシング治療を開始する際に神経刺激治療の供給を中断するように構成された制御回路を含むことができる。
【0079】
実施例4においては、実施例1〜実施例3のうちの1つ又はこれらの任意の組合せの主題は、任意選択により、カウンタ回路と、タイマ回路と、を含むことができる。制御回路は、任意選択により、規定された時間インターバルにわたって供給されるいくつかの神経刺激治療パルスを追跡すると共に供給された神経刺激治療パルスの数が規定された神経刺激治療供給ターゲットを下回っている際に規定された神経刺激治療供給ターゲットを満足させるために少なくとも1つの後続のブランキング期間において神経刺激治療の追加供給を開始するように構成することができる。
【0080】
実施例5においては、実施例4の規定された神経刺激治療供給ターゲットは、一時間当たりに供給される神経刺激治療電気パルスの規定された数及び一日当たりに供給される神経刺激治療電気パルスの規定された数のうちの少なくとも1つを含む。
【0081】
実施例6においては、実施例1〜実施例4のうちの1つ又はこれらの任意の組合せの主題は、任意選択により、頻拍性不整脈検出回路を有する制御回路を含むことができる。制御回路は、自律神経調節治療の供給の際に頻拍性不整脈検出回路による頻拍性不整脈検出を中断するように構成されている。
【0082】
実施例7においては、実施例1〜実施例6のうちの1つ又はこれらの任意の組合せの主題は、任意選択により、カウンタ回路を有する制御回路を含むことが可能であり、且つ、制御回路は、規定された時間インターバルにわたって供給されるいくつかの神経刺激治療パルスを追跡すると共にIMDが下限レート又は下限レートインターバルのうちの少なくとも1つのものの規定された範囲の外においてペーシング治療を提供している際に規定された神経調節治療供給ターゲットを満足させるべく神経刺激治療の追加供給を開始するように構成されている。
【0083】
実施例8においては、実施例1〜実施例7のうちの1つ又はこれらの任意の組合せの主題は、任意選択により、両心室ペーシング治療を提供するように構成された治療回路を含むことが可能であり、且つ、制御回路は、両心室ペーシング治療の一部として供給されるペーシングに対する時間関係においてブランキング期間を開始すると共に神経刺激治療の供給をブランキング期間中に制限するように構成されている。
【0084】
実施例9においては、実施例1〜実施例8のうちの1つ又はこれらの任意の組合せの主題は、任意選択により、脊髄、迷走神経、奇静脈の内部又はその近傍の場所、及び1つ又は複数の心臓脂肪体のうちの少なくとも1つに対して電気神経刺激治療を提供するように構成された電極に対して任意選択によって接続可能である治療回路を含むことができる。
【0085】
実施例10は、(装置などの)主題を含むことも可能であり、或いは、任意選択により、心臓信号検知回路、治療回路、及び制御回路を有する主題を含むように実施例1〜実施例9のうちの1つ又はこれらの任意の組合せの主題と組み合わせることもできる。心臓信号検知回路は、患者の心臓の心房又は心室のうちの少なくとも1つからの電気心臓信号を検知するように構成されており、且つ、少なくとも1つのセンス増幅器を含む。治療回路は、電気ペーシング治療及び電気神経刺激治療を患者に対して提供するように構成されている。制御回路は、電気ペーシング治療の供給を開始し、電気ペーシング治療の供給又は検知された固有の心臓脱分極のうちの少なくともいずれかに対する時間関係において不応期間を開始し(この場合に、少なくとも1つのセンス増幅器は、不応期間において有効化されるが、少なくとも1つのセンス増幅器によって検知される電気信号は、CRM治療の決定を下す際に使用されるIMDの装置ロジックによって無視される)、不応期間において患者に対する神経刺激治療の供給を選択的に開始し、且つ、不応期間において神経刺激治療が開始される際に不応期間を増大させるように、構成されている。
【0086】
実施例11は、(方法、動作を実行する手段、又は機械によって実行された際に機械に動作を実行させる命令を含む機械可読媒体などの)主題を含むことも可能であり、或いは、任意選択により、IMDを使用することにより、患者の心臓に対する電気ペーシング治療の供給を開始するステップと、電気ペーシング治療の供給に対する時間関係においてIMD内においてブランキング期間を開始するステップであって、IMDの1つ又は複数のセンス増幅器は、ブランキング期間において無効化される、ステップと、ブランキング期間において、IMDを使用することにより、患者に対して電気神経刺激治療を提供するステップと、を有する主題を含むように実施例1〜実施例10のうちの1つ又はこれらの任意の組合せの主題と組み合わせることもできる。
【0087】
このような主題は、IMDを使用することにより、患者の心臓に対する電気ペーシング治療の供給を開始する手段を含むことが可能であり、その例は、治療回路を有する制御回路又はプロセッサ回路を含む。このような主題は、IMDの検知チャネルとIMDのセンス増幅器のうちの1つ又は複数をブランキングするコントローラ回路又はプロセッサ回路などのブランキング期間を開始する手段を含むことができる。このような主題は、ターゲット神経組織に又はその近傍に配置されるための形状及びサイズによって構成された電極に対して接続可能な治療回路などの電気神経刺激治療の手段を含むことができる。
【0088】
実施例12においては、実施例11の主題は、任意選択により、ブランキング期間において自律神経調節治療がIMDによって供給されるようにスケジューリングされる際にブランキング期間を延長するステップを含むことができる。
【0089】
実施例13においては、実施例11及び実施例12のうちのいずれか又はこれらの任意の組合せの主題は、任意選択により、規定された最低頻拍性不整脈検出レートに従ってブランキング期間の延長を制限するステップを含むことができる。
【0090】
実施例14においては、実施例11〜実施例13のうちの1つ又はこれらの任意の組合せの主題は、任意選択により、規定された時間インターバルにわたって神経刺激治療の一部として供給されるいくつかの電気パルスを追跡するステップと、供給された電気パルスの数が神経刺激治療供給ターゲットを下回っている際に、規定された神経刺激治療供給ターゲットを満足させるために、IMD内において、1つ又は複数の後続するブランキング期間における神経刺激治療の追加供給をスケジューリングするステップと、を含むことができる。
【0091】
実施例15においては、実施例14の、規定された神経刺激治療供給ターゲットは、任意選択により、一時間当たりに供給される神経刺激治療電気パルスの規定された数と一日当たりに供給される神経調節治療電気パルスの規定された数のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0092】
実施例16においては、実施例11〜実施例15のうちの1つ又はこれらの任意の組合せの主題は、任意選択により、神経刺激治療の供給の際にIMDによる頻拍性不整脈検出を中断するステップを含むことができる。
【0093】
実施例17においては、実施例11〜実施例16のうちの1つ又はこれらの任意の組合せの主題は、任意選択により、IMD内の下限レート又は下限レートインターバルのうちの少なくとも1つを確立するステップと、下限レート又は下限レートインターバルの規定された範囲内において電気ペーシング治療を提供する際に神経刺激治療の供給を中断するステップと、を含むことができる。
【0094】
実施例18においては、実施例11〜実施例17のうちの1つ又はこれらの任意の組合せの主題は、任意選択により、IMD内において下限レート又は下限レートインターバルのうちの少なくとも1つを確立するステップと、第2時間インターバルにわたって神経刺激治療の一部として供給されるいくつかの電気パルスを追跡するステップと、IMDが下限レート又は下限レートインターバルのうちの少なくとも1つの規定された範囲の外においてペーシング治療を提供している際に、規定された神経刺激治療供給ターゲットを満足させるために、IMD内において、神経刺激治療の追加供給をスケジューリングするステップと、を含むことができる。
【0095】
実施例19においては、実施例11〜実施例18のうちの1つ又はこれらの任意の組合せの主題は、任意選択により、両心室ペーシング治療の供給を開始するステップと、両心室ペーシング治療の一部として供給されるペーシングに対する時間関係においてブランキング期間を開始するステップと、神経刺激治療の供給をブランキング期間中に制限するステップと、を含むことができる。
【0096】
実施例20は、(方法、動作を実行する手段、機械によって実行された際に機械に動作を実行させる命令を含む機械可読媒体などの)主題を含むことも可能であり、或いは、任意選択により、埋植可能医療装置(IMD)を使用することにより、患者の心臓に対して電気ペーシング治療の供給を開始するステップと、電気ペーシング治療の供給に対する時間関係においてIMD内において不応期間を開始するステップであって、1つ又は複数のセンス増幅器は、不応期間において有効化されるが、1つ又は複数の増幅器によって検知される電気信号は、IMDによって無視される、ステップと、不応期間において神経刺激治療を患者に対して提供するステップと、を有する主題を含むために実施例1〜実施例19のうちの1つ又はこれらの任意の組合せの主題と組み合わせることもできる。不応期間を開始するステップは、任意選択により、不応期間において神経刺激治療がIMDによって供給されるようにスケジューリングされていない際に第1持続時間の第1不応期間を開始するステップと、不応期間において神経刺激治療がIMDによって供給されるようにスケジューリングされている際に第2持続時間の第2不応期間を開始するステップと、を含むことができる。
【0097】
このような主題は、IMDを使用することにより、患者の心臓に対する電気ペーシング治療の供給を開始する手段を含むことが可能であり、その例は、治療回路を有する制御回路又はプロセッサ回路を含む。このような主題は、IMDの検知チャネルとIMDのセンス増幅器のうちの1つ又は両方をブランキングするコントローラ回路又はプロセッサ回路などの不応期間を開始する手段を含むことができる。このような主題は、ターゲット神経組織に又はその近傍に配置されるための形状及びサイズによって構成された電極に対して接続可能な治療回路などの電気神経刺激治療用の手段を含むことができる。
【0098】
実施例21は、実施例1〜実施例20の機能のうちの任意の1つ又は複数を実行する手段を含むことができる主題を、或いは、機械によって実行された際に実施例1〜実施例20の機能のうちの任意の1つ又は複数を機械に実行させる命令を含む機械可読媒体を、含むように実施例1〜実施例20のうちの任意の1つ又は複数の例の任意の部分又は任意の部分の組合せを含むことも可能であり、或いは、任意選択により、これらと組み合わせることもできる。
【0099】
これらの非限定的な実施例は、任意の順列又は組合せにおいて組み合わせることができる。
以上の詳細な説明は、この詳細な説明の一部を形成する添付図面に対する参照を含んでいる。添付図面は、例示を目的として、本発明を実施することができる特定の実施形態を示している。又、これらの実施形態は、本明細書においては、「実施例」とも呼ばれている。このような実施例は、図示及び記述されているもの以外の要素を含むことができる。但し、本発明者らは、図示及び記述されている要素のみが提供された実施例をも想定している。
【0100】
本明細書において参照されているすべての刊行物、特許、及び特許文献は、引用によって個別に包含されるがごとくに、引用により、そのすべてが本明細書に包含される。本明細書と引用によって包含された文献の間の矛盾した使用法の場合には、包含された1つ又は複数の参考文献における使用法は、本明細書のものに対する補足的なものとして見なすことを要し、両立しえない矛盾の場合には、本明細書における使用法が優先する。
【0101】
本明細書においては、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という用語は、特許文献において一般的であるように、任意のその他の例とは独立した1つ又は複数を、或いは、「少なくとも1つ」又は「1つ又は複数」という使用法を、含むものとして使用されている。又、添付の請求項においては、「含む」及び「有する」という用語は、解放型(open−ended)であり、即ち、請求項において、これらの用語の後に列挙されているもの以外の要素を含むシステム、装置、物品、又はプロセスが、依然として、その請求項の範囲に含まれるものと見なされたい。
【0102】
本明細書に記述されている方法の例は、少なくとも部分的に、機械又はコンピュータによって実装することができる。いくつかの例は、上述の例に記述されている方法を実行するべく電子装置を構成するように動作可能な命令によって符号化されたコンピュータ可読媒体又は機械可読媒体を含むことができる。このような方法の一実装形態は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、高級言語コード、又はこれらに類似したものなどのコードを含むことができる。このようなコードは、様々な方法を実行するコンピュータ可読命令を含むことができる。コードは、コンピュータプログラムプロダクトの一部分を形成してもよい。更には、コードは、実行の際に、又はその他の時点において、1つ又は複数の揮発性又は不揮発性コンピュータ可読媒体上に有体の形態において保存されてもよい。これらのコンピュータ可読媒体は、限定を伴うことなしに、ハードディスク、着脱自在の磁気ディスク、着脱自在の光ディスク(例えば、コンパクトディスク及びデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカード又はスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、及びこれらに類似したものを含んでもよい。
【0103】
以上の説明は、限定ではなく、例示を目的としたものである。例えば、上述の例(或いは、その1つ又は複数の態様)は、相互の組合せにおいて使用されてもよい。例えば、以上の説明を検討した際に、当業者は、その他の実施形態を使用することができる。要約書は、読者が技術的な開示の特性を迅速に突き止めることができるように、米国連邦規則法典第37巻第1.72(b)条に従って提供されている。要約書は、請求項の範囲又は意味を解釈又は限定するために使用されないという理解において提出されている。又、以上の詳細な説明においては、様々な特徴を1つにグループ化して本開示を合理化している場合がある。これは、特許請求されてはいない開示されている特徴がいずれかの請求項にとって不可欠であるということを意味するものして解釈されるべきではない。むしろ、本発明の主題は、特定の開示されている実施形態の特徴の一部によって成立する場合がある。従って、添付の請求項は、引用により、この詳細な説明に包含され、それぞれの請求項は、別個の実施形態として、それ自体で独立している。本発明の範囲は、添付の請求項に対して付与される十分な均等物の範囲と共に、添付の請求項を参照することにより、決定されることを要する。