特許第5873938号(P5873938)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニチユ三菱フォークリフト株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5873938-全方向フォークリフト 図000002
  • 特許5873938-全方向フォークリフト 図000003
  • 特許5873938-全方向フォークリフト 図000004
  • 特許5873938-全方向フォークリフト 図000005
  • 特許5873938-全方向フォークリフト 図000006
  • 特許5873938-全方向フォークリフト 図000007
  • 特許5873938-全方向フォークリフト 図000008
  • 特許5873938-全方向フォークリフト 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5873938
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】全方向フォークリフト
(51)【国際特許分類】
   B62D 7/15 20060101AFI20160216BHJP
   B62D 7/14 20060101ALI20160216BHJP
   B66F 9/075 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   B62D7/15 A
   B62D7/14 B
   B66F9/075 Z
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-1451(P2015-1451)
(22)【出願日】2015年1月7日
【審査請求日】2015年1月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】ニチユ三菱フォークリフト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤尾 三智郎
(72)【発明者】
【氏名】畑 祐介
(72)【発明者】
【氏名】小島 睦之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正人
【審査官】 八木 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−227625(JP,A)
【文献】 特開平09−267997(JP,A)
【文献】 特開平10−081253(JP,A)
【文献】 特開昭62−241731(JP,A)
【文献】 米国特許第05325935(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D7/00−7/22
B66F9/00−11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体の前部に設けられた一対のストラドルレッグと、
前記各ストラドルレッグに設けられた旋回可能な一対の前輪と、
前記各前輪を旋回するための一対の前輪旋回機構と、
前記車体の後部に設けられた旋回可能なドライブ輪と、
前記ドライブ輪を旋回するためのドライブ輪旋回機構と、
前記ドライブ輪を回転駆動するためのドライブ輪駆動機構と、
前記車体の運転席に設けられた旋回可能なハンドルと、
前記ハンドルの旋回角度(α)を検知するための第1旋回ポテンショメータと、
前記車体の運転席に設けられたアクセラレータ装置と、
前記各前輪旋回機構、ドライブ輪旋回機構及びドライブ輪駆動機構を制御するための制御装置と、を備えた全方向フォークリフトにおいて、
前記アクセラレータ装置は、
旋回部と、
前記旋回部に設けられ、前記車体の上下方向に対して傾動可能なレバーと、
前記旋回部に設けられ、前記レバーの傾き角度(θ)を検知するための傾きポテンショメータと、
ベース部に取り付けられ、前記旋回部を旋回するための旋回軸と、
前記ベース部に設けられ、前記旋回部の旋回角度(β)を検知するための第2旋回ポテンショメータと、を備え、
前記制御装置は、
前記レバーの傾き角度(θ)に基づいて、前記ドライブ輪駆動機構を制御し、
前記ハンドルの旋回角度(α)及び前記旋回部の旋回角度(β)に基づいて、前記前輪旋回機構及び前記ドライブ輪旋回機構を制御し、
前記アクセラレータ装置は、
前記旋回部に設けられ、前記旋回軸を中心とする円形プレートと、
前記ベース部に設けられ、前記円形プレートの周端部に常に当接するように付勢された当接部と、を備え、
前記円形プレートの周端部は、
前記旋回軸を中心として所定角度の間隔で設けられた複数の凹部を備え、
それによって、前記旋回部が前記所定角度の間隔で旋回するごとに、前記当接部が前記各凹部に嵌る
ことを特徴とする全方向フォークリフト。
【請求項2】
前記所定角度は、前記レバーが前記車体の前後方向及び左右方向に傾く位置で、前記当接部が前記凹部に嵌るように、90度であって、さらに、
前記円形プレートは、前記レバーが前記車体の前後方向に傾く方向から前記車体の左右方向に傾く方向までの180度の範囲内だけで、前記旋回部が旋回できるように、回転規制部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の全方向フォークリフト。
【請求項3】
車体と、
前記車体の前部に設けられた一対のストラドルレッグと、
前記各ストラドルレッグに設けられた旋回可能な一対の前輪と、
前記各前輪を旋回するための一対の前輪旋回機構と、
前記車体の後部に設けられた旋回可能なドライブ輪と、
前記ドライブ輪を旋回するためのドライブ輪旋回機構と、
前記ドライブ輪を回転駆動するためのドライブ輪駆動機構と、
前記車体の運転席に設けられた旋回可能なハンドルと、
前記ハンドルの旋回角度(α)を検知するための第1旋回ポテンショメータと、
前記車体の運転席に設けられたアクセラレータ装置と、
前記各前輪旋回機構、ドライブ輪旋回機構及びドライブ輪駆動機構を制御するための制御装置と、を備えた全方向フォークリフトにおいて、
前記アクセラレータ装置は、
旋回部と、
前記旋回部に設けられ、前記車体の上下方向に対して傾動可能なレバーと、
前記旋回部に設けられ、前記レバーの傾き角度(θ)を検知するための傾きポテンショメータと、
ベース部に取り付けられ、前記旋回部を旋回するための旋回軸と、
前記ベース部に設けられ、前記旋回部の旋回角度(β)を検知するための第2旋回ポテンショメータと、を備え、
前記制御装置は、
前記レバーの傾き角度(θ)に基づいて、前記ドライブ輪駆動機構を制御し、
前記ハンドルの旋回角度(α)及び前記旋回部の旋回角度(β)に基づいて、前記前輪旋回機構及び前記ドライブ輪旋回機構を制御し、
前記旋回軸は、円筒状に構成され、
前記傾きポテンショメータに連結されたケーブルは、前記旋回軸の内側を挿通する
ことを特徴とする全方向フォークリフト。
【請求項4】
車体と、
前記車体の前部に設けられた一対のストラドルレッグと、
前記各ストラドルレッグに設けられた旋回可能な一対の前輪と、
前記各前輪を旋回するための一対の前輪旋回機構と、
前記車体の後部に設けられた旋回可能なドライブ輪と、
前記ドライブ輪を旋回するためのドライブ輪旋回機構と、
前記ドライブ輪を回転駆動するためのドライブ輪駆動機構と、
前記車体の運転席に設けられた旋回可能なハンドルと、
前記ハンドルの旋回角度(α)を検知するための第1旋回ポテンショメータと、
前記車体の運転席に設けられたアクセラレータ装置と、
前記各前輪旋回機構、ドライブ輪旋回機構及びドライブ輪駆動機構を制御するための制御装置と、を備えた全方向フォークリフトにおいて、
前記アクセラレータ装置は、
旋回部と、
前記旋回部に設けられ、前記車体の上下方向に対して傾動可能なレバーと、
前記旋回部に設けられ、前記レバーの傾き角度(θ)を検知するための傾きポテンショメータと、
ベース部に取り付けられ、前記旋回部を旋回するための旋回軸と、
前記ベース部に設けられ、前記旋回部の旋回角度(β)を検知するための第2旋回ポテンショメータと、を備え、
前記制御装置は、
前記レバーの傾き角度(θ)に基づいて、前記ドライブ輪駆動機構を制御し、
前記ハンドルの旋回角度(α)及び前記旋回部の旋回角度(β)に基づいて、前記前輪旋回機構及び前記ドライブ輪旋回機構を制御し、
前記全方向フォークリフトは、さらに、
前記前輪よりも前記車体の前方に仮想の操舵輪を備え、
前記ハンドルの旋回角度(α)及び前記旋回部の旋回角度(β)に基づいて、前記仮想操舵輪の位置及び旋回角度(γ)が設定され、
前記制御装置は、さらに
前記旋回部の旋回角度(β)に基づいて、一方の前記前輪の向きを制御し、
前記仮想操舵輪の位置及び旋回角度(γ)に基づいて、他方の前記前輪及び前記ドライブ輪の向きを制御する
ことを特徴とする全方向フォークリフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常移動に加えて、平行移動及び斜め移動等が可能な全方向フォークリフトに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の通り、通常移動の他に、平行移動及び斜め移動等が可能な全方向フォークリフトがある。全方向フォークリフトは、車体と、車体の前部に設けられ、前後方向に延設された一対のストラドルレッグと、各ストラドルレッグの前部に設けられ、旋回可能な一対の前輪と、各前輪を旋回するための一対の前輪旋回機構と、車体の後部に設けられ、旋回可能なドライブ輪と、ドライブ輪を旋回するためのドライブ輪旋回機構と、前輪旋回機構及びドライブ輪旋回機構を制御するための制御装置と、を備える。
【0003】
全方向フォークリフトは、運転席にモード切換部を備えており、モード切換部を介して、通常移動モード、平行移動モード及び斜め移動モード等に切り換えられる。また、全方向フォークリフトは、運転席にアクセラレータ装置を備えており、アクセラレータ装置のレバーの傾き角度に応じて、ドライブ輪の回転速度が決定されると共に、アクセラレータ装置のレバーの傾き方向に応じて、ドライブ輪の回転方向が決定される。
【0004】
通常移動モードでは、制御装置は、各前輪を前後方向に固定する一方、運転席のハンドルの旋回角度に応じて、ドライブ輪が旋回するように制御する。
平行移動モードでは、制御装置は、運転席のハンドルの旋回角度に応じて、各前輪及びドライブ輪がそれぞれ同じ角度に旋回するように制御する。
斜め移動モードでは、制御装置は、設定スイッチで設定された角度(例えば15度間隔)に基づいて、各前輪及びドライブ輪をそれぞれ所定の角度に旋回するように制御する。
【0005】
上記の通り、平行移動モード及び斜め移動モードでは、運転席のハンドル又は設定スイッチで設定された角度だけで、各前輪及びドライブ輪の角度が決定される。そのため、平行移動モード及び斜め移動モードでは、角度を設定した後は、走行中に、各前輪及びドライブ輪の角度を調整できない。そして、平行移動モードでは、走行中に、進行角の制御はできるが、車体の姿勢角の制御はできない。また、斜め移動モードでは、走行中に、車体の姿勢角の制御はできるが、進行角の設定を変更できない。しかし、路面状態によって、車体が走行するにつれて各前輪及びドライブ輪の角度が、意図した方向からずれることがある。その場合、一旦走行を停止して、再度、各前輪及びドライブ輪の角度を設定する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−127890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、平行移動及び斜め移動であっても、走行中に、各前輪及びドライブ輪の角度を調整可能な全方向フォークリフトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る全方向フォークリフトは、
車体と、
車体の前部に設けられた一対のストラドルレッグと、
各ストラドルレッグに設けられた旋回可能な一対の前輪と、
各前輪を旋回するための一対の前輪旋回機構と、
車体の後部に設けられた旋回可能なドライブ輪と、
ドライブ輪を旋回するためのドライブ輪旋回機構と、
ドライブ輪を回転駆動するためのドライブ輪駆動機構と、
車体の運転席に設けられた旋回可能なハンドルと、
ハンドルの旋回角度(α)を検知するための第1旋回ポテンショメータと、
車体の運転席に設けられたアクセラレータ装置と、
各前輪旋回機構、ドライブ輪旋回機構及びドライブ輪駆動機構を制御するための制御装置と、を備えた全方向フォークリフトにおいて、
アクセラレータ装置は、
旋回部と、
旋回部に設けられ、車体の上下方向に対して傾動可能なレバーと、
旋回部に設けられ、レバーの傾き角度(θ)を検知するための傾きポテンショメータと、
ベース部に取り付けられ、旋回部を旋回するための旋回軸と、
ベース部に設けられ、旋回部の旋回角度(β)を検知するための第2旋回ポテンショメータと、を備え、
制御装置は、
レバーの傾き角度(θ)に基づいて、ドライブ輪駆動機構を制御し、
ハンドルの旋回角度(α)及び旋回部の旋回角度(β)に基づいて、前輪旋回機構及びドライブ輪旋回機構を制御し、
アクセラレータ装置は、
旋回部に設けられ、旋回軸を中心とする円形プレートと、
ベース部に設けられ、円形プレートの周端部に常に当接するように付勢された当接部と、を備え、
円形プレートの周端部は、
旋回軸を中心として所定角度の間隔で設けられた複数の凹部を備え、
それによって、旋回部が所定角度の間隔で旋回するごとに、当接部が各凹部に嵌る。
【0010】
好ましくは、
所定角度は、レバーが車体の前後方向及び左右方向に傾く位置で、当接部が凹部に嵌るように、90度であって、さらに、
円形プレートは、レバーが車体の前後方向に傾く方向から車体の左右方向に傾く方向までの180度の範囲内だけで、旋回部が旋回できるように、回転規制部を備える。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る別の全方向フォークリフトは、
車体と、
車体の前部に設けられた一対のストラドルレッグと、
各ストラドルレッグに設けられた旋回可能な一対の前輪と、
各前輪を旋回するための一対の前輪旋回機構と、
車体の後部に設けられた旋回可能なドライブ輪と、
ドライブ輪を旋回するためのドライブ輪旋回機構と、
ドライブ輪を回転駆動するためのドライブ輪駆動機構と、
車体の運転席に設けられた旋回可能なハンドルと、
ハンドルの旋回角度(α)を検知するための第1旋回ポテンショメータと、
車体の運転席に設けられたアクセラレータ装置と、
各前輪旋回機構、ドライブ輪旋回機構及びドライブ輪駆動機構を制御するための制御装置と、を備えた全方向フォークリフトにおいて、
アクセラレータ装置は、
旋回部と、
旋回部に設けられ、車体の上下方向に対して傾動可能なレバーと、
旋回部に設けられ、レバーの傾き角度(θ)を検知するための傾きポテンショメータと、
ベース部に取り付けられ、旋回部を旋回するための旋回軸と、
ベース部に設けられ、旋回部の旋回角度(β)を検知するための第2旋回ポテンショメータと、を備え、
制御装置は、
レバーの傾き角度(θ)に基づいて、ドライブ輪駆動機構を制御し、
ハンドルの旋回角度(α)及び旋回部の旋回角度(β)に基づいて、前輪旋回機構及びドライブ輪旋回機構を制御し、
旋回軸は、円筒状に構成され、
傾きポテンショメータに連結されたケーブルは、旋回軸の内側を挿通する。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係る別の全方向フォークリフトは、
車体と、
車体の前部に設けられた一対のストラドルレッグと、
各ストラドルレッグに設けられた旋回可能な一対の前輪と、
各前輪を旋回するための一対の前輪旋回機構と、
車体の後部に設けられた旋回可能なドライブ輪と、
ドライブ輪を旋回するためのドライブ輪旋回機構と、
ドライブ輪を回転駆動するためのドライブ輪駆動機構と、
車体の運転席に設けられた旋回可能なハンドルと、
ハンドルの旋回角度(α)を検知するための第1旋回ポテンショメータと、
車体の運転席に設けられたアクセラレータ装置と、
各前輪旋回機構、ドライブ輪旋回機構及びドライブ輪駆動機構を制御するための制御装置と、を備えた全方向フォークリフトにおいて、
アクセラレータ装置は、
旋回部と、
旋回部に設けられ、車体の上下方向に対して傾動可能なレバーと、
旋回部に設けられ、レバーの傾き角度(θ)を検知するための傾きポテンショメータと、
ベース部に取り付けられ、旋回部を旋回するための旋回軸と、
ベース部に設けられ、旋回部の旋回角度(β)を検知するための第2旋回ポテンショメータと、を備え、
制御装置は、
レバーの傾き角度(θ)に基づいて、ドライブ輪駆動機構を制御し、
ハンドルの旋回角度(α)及び旋回部の旋回角度(β)に基づいて、前輪旋回機構及びドライブ輪旋回機構を制御し、
全方向フォークリフトは、さらに、
前輪よりも車体の前方に仮想の操舵輪を備え、
ハンドルの旋回角度(α)及び旋回部の旋回角度(β)に基づいて、仮想操舵輪の位置及び旋回角度(γ)が設定され、
制御装置は、さらに、
旋回部の旋回角度(β)に基づいて、一方の前輪の向きを制御し、
仮想操舵輪の位置及び旋回角度(γ)に基づいて、他方の前輪及びドライブ輪の向きを制御する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る全方向フォークリフトは、平行移動及び斜め移動であっても、走行中に、各前輪及びドライブ輪の角度を調整することにより、進行角と姿勢角を制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】全方向フォークリフトを示し、(A)は平面図、(B)は側面図。
図2】アクセラレータ装置を示す斜視図。
図3】アクセラレータ装置を示す別の斜視図。
図4】アクセラレータ装置を示す別の斜視図。
図5】アクセラレータ装置の一部を示す平面図。
図6】斜め移動の各前輪及びドライブ輪の動作を説明するための図。
図7】通常移動の各前輪及びドライブ輪の動作を説明するための図。
図8】平行移動の各前輪及びドライブ輪の動作を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて、本発明に係る全方向フォークリフトについて説明する。
なお、車体の前後方向X、左右方向Y及び上下方向Zは、それぞれに対して直角である。
【0016】
[全体構成]
図1の通り、全方向リーチ式フォークリフト(以下、「フォークリフト」という)は、車体2の前方に一対のマスト50が立設される。各マスト50は、車体の左右方向Yに間隔を置いて配置される。リフトブラケット51は、マスト50に沿って、車体の上下方向Zに昇降するように支持される。
【0017】
フォークリフトは、荷役作業を行うための一対のフォーク52を備える。フォーク52は、リフトブラケット51の左右に取り付けられており、車体の左右方向Yに間隔を置いて配置される。そのため、フォーク52は、リフトブラケット51とともに昇降する。
【0018】
フォークリフトは、車体2の前部に一対のストラドルレッグ53を備える。各ストラドルレッグ53は、車体の前後方向Xに延設されると共に、車体の左右方向Yに間隔を置いて配置される。ストラドルレッグ53は、マスト50が車体の前後方向Xに進退するようにガイドする。
【0019】
フォークリフトは、車体2の後部に運転席(運転スペース)55が設けられる。運転席55の下部にはブレーキペダル54が設けられており、オペレータが足でブレーキペダル54を操作することで、ブレーキを作用・解除する。フォークリフトは、運転席55の上方を覆って落下物からオペレータを保護するためのヘッドガード57を備える。
【0020】
フォークリフトは、ストラドルレッグ53の前部に設けられた一対の前輪20,20’を備える。フォークリフトは、各前輪20,20’を旋回するための一対の前輪旋回機構22を備える。各前輪旋回機構22は、各前輪20,20’を別々に、車体の前後方向X及び左右方向Yに対して所定角度に旋回する。
【0021】
フォークリフトは、車体2の後部に設けられたドライブ輪21を備える。フォークリフトは、ドライブ輪21を旋回するためのドライブ輪旋回機構23と、ドライブ輪21を回転駆動するためのドライブ輪駆動機構24と、を備える。ドライブ輪旋回機構23は、ドライブ輪21を車体の前後方向X及び左右方向Yに対して所定角度に旋回する。ドライブ輪駆動機構24は、ドライブ輪21を正方向及び逆方向に回転することで、車体2を前後進する。
【0022】
運転席55は、運転席55の前側及び左右側のサイドフレームに囲まれており、運転席55の後側に乗降口が形成される。フォークリフトは、運転席55の前方に操作部56を備える。操作部56は、複数の油圧レバー54を備えており、オペレータが各油圧レバー54を操作することで、フォーク52を昇降・傾動・前後進できる。
【0023】
操作部56は、車体2の進行方向を操作するためのハンドル3及びアクセラレータ装置1を備える。ハンドル3は、旋回可能に構成される。フォークリフトは、ハンドル3の旋回角度αを検知するための第1旋回ポテンショメータ30を備える。
【0024】
アクセラレータ装置1は、車体の上下方向Zに対して傾動可能なレバー10を備える。後述の通り、アクセラレータ装置1は、レバー10を支持する旋回部11(図2)を備え、旋回部11は、旋回可能に構成される。フォークリフトは、レバー10の傾き角度θを検知するための傾きポテンショメータ12と、旋回部11の旋回角度βを検知するための第2旋回ポテンショメータ13と、を備える。
【0025】
フォークリフトは、各前輪旋回機構22、ドライブ輪旋回機構23及びドライブ輪駆動機構24を制御するための制御装置4を備える。制御装置4は、レバー10の傾き角度θに基づいて、ドライブ輪駆動機構24を制御する。即ち、レバー10の傾き角度θの大きさに応じて、ドライブ輪21の回転速度が変化する。また、レバー10を一方向に傾けると、ドライブ輪21が正方向に回転する一方、レバー10を他方向に傾けると、ドライブ輪21が逆方向に回転する。
【0026】
制御装置4は、ハンドル3の旋回角度α及び旋回部11の旋回角度βに基づいて、各前輪旋回機構22及びドライブ輪旋回機構23を制御する。フォークリフトは、通常移動、平行移動及び斜め移動が可能である。通常移動、平行移動及び斜め移動の各前輪20,20’及びドライブ輪21の動作については後述する。
【0027】
[アクセラレータ装置]
図2の通り、アクセラレータ装置1は、旋回部11を備える。旋回部11は、水平方向に延設された回転軸100を備える。レバー10は、回転軸100を中心に回転可能に構成される。レバー10は、回転軸100に取り付けられた巻きバネ101によって、レバーの軸方向10aが車体の上下方向Zに向くように、付勢される。レバー10は、オペレータによって、傾き角度θに傾動される。
【0028】
アクセラレータ装置1は、車体のフレーム(不図示)に取り付けられるベース部14を備える。なお、ベース部14は、車体2のフレームの一部であっても良い。アクセラレータ装置1は、旋回部11を旋回するための旋回軸17を備える。旋回軸17は、ベース部14に取り付けられ、車体の上下方向Zに延設される。これにより、レバー10は、旋回部11と共に、旋回軸17を中心に旋回可能に構成される。
【0029】
旋回部11の旋回に応じて、図2では、旋回部11は、レバー10が車体の前後方向Xに傾動されるように配置される一方、図3では、旋回部11は、レバー10が車体の左右方向Yに傾動されるように配置される。
【0030】
レバー10の傾き角度θを検知するための傾きポテンショメータ12は、旋回部11に取り付けられる(図3及び図4)。傾きポテンショメータ12は、回転軸100に接続される。旋回軸17は、円筒状に構成されており、傾きポテンショメータ12に連結されるケーブル120は、旋回軸17の内側に挿通される(図2)。
傾きポテンショメータ12に連結されるケーブル120が、旋回中心にある旋回軸17の内側を挿通することで、旋回部11と共に傾きポテンショメータ12が旋回しても、ケーブル120は絡まることがない。
【0031】
旋回部11の旋回角度βを検知するための第2旋回ポテンショメータ13は、ベース部14に取り付けられる(図4)。アクセラレータ装置1は、第1及び第2ギヤ130,131を備える。第1及び第2ギヤ130,131は、互いに係合する。第1ギヤ130は、旋回部11に取り付けられ、旋回部11の旋回と共に、旋回軸17を中心に旋回する。第2ギヤ131は、ベース部14に回転可能に取り付けられ、第1ギヤ130の旋回によって、回転する。第2ポテンショメータ13は、第2ギヤ131の回転を検知することで、旋回部11の旋回角度βを検知する。
【0032】
図2図4の通り、アクセラレータ装置1は、旋回部11に設けられた円形プレート16を備える。円形プレート16は、旋回部11と共に、旋回軸17を中心に旋回する。アクセラレータ装置1は、当接装置15を備える。当接装置15は、ベース部14に固定される。
【0033】
図5の通り、円形プレート16は、円弧状の周端部16aに3個の凹部160を備える。各凹部160は、旋回軸17の軸心17aを中心として90度間隔に設けられる。当接装置15は、ベース部14に固定された固定部150を備える。固定部150の内側には、円形プレート16の中心に向けてスライド可能な当接部151が設けられる。当接部151は、圧縮バネからなる付勢部152を内蔵する。固定部150には、調整ネジ153が設けられる。調整ネジ153は、螺合されたボルト154を備え、ボルト154の回転によって、付勢部(圧縮バネ)152の付勢力を調整できる。
【0034】
付勢部152は、一端が調整ネジ153の先端に当接し、他端が当接部151に当接している。そのため、当接部151は、付勢部152の付勢力によって、常に円形プレート16の周端部16aに当接する。従って、旋回部11と共に円形プレート16が90度間隔で旋回するごとに、当接部151が各凹部160に嵌る。当接部151が各凹部160に嵌る位置で、レバー10が車体の前後方向X及び左右方向Yに傾動可能になっている。なお、凹部160の数及び角度間隔は任意である。
【0035】
さらに、円形プレート16は、2個の回転規制部161を備える。回転規制部161は、円形プレート16と共に旋回して、当接装置15に当接することで、円形プレート16の回転を規制する。これにより、レバー10が車体の前後方向Xに傾く方向から車体の左右方向Yに傾く方向までの180度の範囲内だけで、旋回部11が旋回できる。その結果、レバー10は180度の範囲内だけで旋回されるので、車体2の急旋回及び複数旋回を防止できる。
【0036】
[各前輪及びドライブ輪の動作]
(斜め移動)
先ず、図6の通り、ハンドル3及び旋回部11(レバー10)を旋回して、車体2を斜め移動する場合について説明する。
【0037】
フォークリフトは、前輪20,20’よりも車体2の前方に仮想の操舵輪25を備える。ハンドル3の旋回角度α及び旋回部11の旋回角度βに基づいて、仮想操舵輪25の位置及び旋回角度γが設定される。なお、旋回部11が、角度βだけ旋回すると、レバー10は、車体の前後方向Xに対して角度βの方向に、傾動可能になる。
【0038】
各前輪20,20’の中心D,Eを結ぶ線の中点を点Aとする。点Aを通って車体の前後方向Xに延びる線と、ドライブ輪21の中心Fを通って車体の左右方向Yに延びる線と、の交点を点Bとする。線分ABの長さを距離Lとする。車体の前後方向Xに対して角度βの方向で、かつ、点Aから距離Lだけ離れた位置に点Cが設定される。点Cは、仮想操舵輪25の中心に設定される。
【0039】
線分ACに対して角度γの方向に、仮想操舵輪25は向けられる。角度γ=α×kである(ここで、kは比例定数であって、例えば1/10である)。車体の前後方向Xに対して角度βの方向に、一方の前輪20は向けられる。なお、一方の前輪とは、旋回部11が車体の左方向に旋回するときは(本実施形態)左側の前輪20となり、旋回部11が車体の右方向に旋回するときは右側の前輪20’となる。
【0040】
点Cを通って仮想操舵輪25の向きに対して直角に延びる線と、点Dを通って一方の前輪20の向きに対して直角に延びる線と、の交点を点Oとする。線分OEに対して直角の方向に、他方の前輪20’が向けられる。線分OFに対して直角の方向に、ドライブ輪21が向けられる。
【0041】
上記の通り、制御装置4は、旋回部11の旋回角度βに基づいて、一方の前輪20の向きを制御すると共に、仮想操舵輪25の位置及び旋回角度γに基づいて、他方の前輪20’及びドライブ輪21の向きを制御する。
【0042】
(通常移動)
次に、図7の通り、旋回部11(レバー10)は旋回せずに、ハンドル3のみを旋回して、車体2を通常移動する場合について説明する。
【0043】
仮想操舵輪25、各前輪20,20’及びドライブ輪21の向きは、上記の斜め移動と同様に設定される。通常移動では、角度β=0である。そのため、各前輪20,20’は車体の前後方向Xに向けられる。線分ACは、車体の前後方向Xに延びる。仮想操舵輪25は、線分AC(車体の前後方向X)に対して角度γの方向に向けられる。線分DOは、車体の左右方向Yに延びる。線分OFに対して直角の方向に、ドライブ輪21が向けられる。
【0044】
(平行移動)
次に、図8の通り、ハンドル3は旋回せずに、旋回部11(レバー10)のみを旋回して、車体2を平行移動する場合について説明する。
【0045】
仮想操舵輪25、各前輪20,20’及びドライブ輪21の向きは、上記の斜め移動と同様に設定される。平行移動では、角度α=0である。仮想操舵輪25及び一方の前輪20は、車体の前後方向Xに対して角度βの方向に向けられる。そのため、点Cを通って仮想操舵輪25の向きに対して直角に延びる線と、点Dを通って一方の前輪20の向きに対して直角に延びる線と、は平行であって、交差しないので、理論上、点Oは、無限大だけ離れた位置にある。その結果、線分OE及びOFは、線分OC及びODに対して平行となる。そして、他方の前輪20’及びドライブ輪21は、車体の前後方向Xに対して角度βの方向に向けられる。
【0046】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の構成はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0047】
本発明に係る全方向フォークリフトの効果について説明する。
【0048】
フォークリフトは、ハンドル3の旋回角度α及び旋回部11(レバー10)の旋回角度βに基づいて、前輪旋回機構22及びドライブ輪旋回機構23を制御するので、平行移動及び斜め移動であっても、走行中に、各前輪20,20’及びドライブ輪21の向きを調整できる。そのため、路面状態等によって、各前輪20,20’及びドライブ輪21の向きが意図した方向からずれても、各前輪20,20’及びドライブ輪21の向きを調整できる。また、従来のフォークリフトでは、運転席に備えられたモード切換部を介して、平行移動モードと斜め移動モードとを切り換える必要があったが、本発明のフォークリフトでは、平行移動モードと斜め移動モードとを切り換えることなく、従来と同様の移動を実現できる。
【0049】
さらに、レバー10及び傾きポテンショメータ12が旋回部11に設けられて、旋回部11の旋回を検知する第2旋回ポテンショメータ13がベース部14に設けられており、コンパクトでシンプルな構成なので、生産性に優れる。
【0050】
さらに、旋回部11が所定角度の間隔で旋回するごとに、当接部151が円形プレート16の各凹部160に嵌るので、オペレータがレバー10の方向(旋回角度β)を認識しやすい。即ち、オペレータは、レバー10を所定角度の間隔で旋回するごとに、引っ掛かり(抵抗)を感じるので、引っ掛かり(抵抗)の回数及び位置等に基づいて、レバー10の方向を容易に認識できる。
【0051】
さらに、オペレータは、各前輪20,20’を車体の前後方向X及び左右方向Yに旋回する頻度が高いので、各凹部160を90度間隔で設けることで、オペレータは、頻度の高いレバー10の90度間隔の旋回を容易に設定できる。
【0052】
さらに、オペレータは、各前輪20,20’を車体の前後方向Xから車体の左右方向Yまでの180度の範囲内だけで旋回することがほとんどである。さらに、車体2の急旋回及び複数旋回を防止するために、回転規制部161を円形プレート16に設けて、オペレータが、レバー10を180度の範囲内だけで旋回できるように構成されている。
【0053】
さらに、傾きポテンショメータ12に連結されるケーブル120が、旋回中心にある旋回軸17の内側を挿通することで、旋回部11と共に傾きポテンショメータ12が旋回しても、ケーブル120は絡まることがない。
【0054】
さらに、旋回部11(レバー10)の旋回角度βに基づいて、一方の前輪20の向きを制御すると共に、仮想操舵輪25の位置及び旋回角度γに基づいて、他方の前輪20’及びドライブ輪21の向きを制御するので、オペレータは、レバー10及びハンドル3を旋回することで、車体2が所定の方向に移動するように、正確に制御できる。
【符号の説明】
【0055】
1 アクセラレータ装置
10 レバー
11 旋回部
12 傾きポテンショメータ
120 ケーブル
13 第2旋回ポテンショメータ
14 ベース部
151 当接部
16 円形プレート
16a 円形プレートの周端部
160 凹部
161 回転規制部
17 旋回軸
2 車体
20 前輪
21 ドライブ輪
22 前輪旋回機構
23 ドライブ輪旋回機構
24 ドライブ輪駆動機構
25 仮想操舵輪
3 ハンドル
30 第1旋回ポテンショメータ
4 制御装置
53 ストラドルレッグ
55 運転席
X 車体の前後方向
Y 車体の左右方向
Z 車体の上下方向
α ハンドルの旋回角度
β 旋回部の旋回角度
γ 仮想操舵輪の旋回角度
θ レバーの傾き角度
【要約】
【課題】平行移動及び斜め移動であっても、走行中に、各前輪及びドライブ輪の角度を調整可能にする。
【解決手段】アクセラレータ装置1は、旋回部11と、旋回部11に設けられ、車体の上下方向Zに対して傾動可能なレバー10と、旋回部11に設けられ、レバー10の傾き角度θを検知するための傾きポテンショメータ12と、ベース部14に取り付けられ、旋回部11を旋回するための旋回軸17と、ベース部14に設けられ、旋回部11の旋回角度βを検知するための第2旋回ポテンショメータ13と、を備え、制御装置は、レバー10の傾き角度θに基づいて、ドライブ輪駆動機構を制御し、ハンドルの旋回角度α及び旋回部11の旋回角度βに基づいて、前輪旋回機構及びドライブ輪旋回機構を制御する。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8