(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、徘徊・見守りSOSネットワークへの期待は高いものの、実際には、徘徊・見守りSOSネットワークは、期待ほどは効果を上げておらず、また、導入する自治体の数は、全国ほぼ全ての自治体の数に迫るものではない。徘徊・見守りSOSネットワークに投入される予算の問題もあるが、本願発明者の検討によると、徘徊・見守りSOSネットワークには次のような問題があることがわかった。
【0008】
まず、自治体の中の部署(例えば、高齢支援課)は、基本的に勤務時間内で、徘徊・見守りSOSネットワークの業務を行うため、24時間365日体制になっておらず、徘徊者の探索を迅速に行うことができない。また、SOSネットワーク協力事業者としては、公共交通機関の職員、コンビニやガソリンスタンドの従業者が想定されているが、日常業務の中で、可能な範囲で捜査に協力することが前提であるので、積極的な捜索活動を期待するのは難しい。
【0009】
さらに、徘徊・見守りSOSネットワークの場合、識別標識として、例えば「**市 第1234号」のような本人特定するシールを、靴の踵に貼り付けるように運用している自治体があるが、まず、その識別標識をきちんと靴などの見えやすいところに貼ってもらう必要がある。その識別標識を付けるのが恥ずかしい、付けた靴を履かなかった等の理由で、当該識別標識がなければ、当日の服装や顔の特徴などの情報で徘徊者を特定しなければならないために、捜索は非常に困難になる。
【0010】
徘徊・見守りSOSネットワークは、自治体ごとのサービスであるので、徘徊者が、隣の自治体まで移動してしまうと、いくら住居のある自治体で登録していても(識別標識をつけていても)、その隣の自治体では、捜索はなされないということになる。
【0011】
したがって、徘徊・見守りSOSネットワークの予算を潤沢にして、24時間365日体制にできたとしても、このシステムで、徘徊者の捜索・特定を実行することは困難であることを本願発明者は見出した。さらには、現実は、予算には制限があり、24時間365日体制にすることはできず、発見がうまくできても、サービス時間外でFAX送信をうまく行うことができなかったり、そして、本人を特定する情報が限りなく少ない状況下では、徘徊者を保護できたとしても、家族や介護者に連絡できないケースも散見されると予想される。
【0012】
そこで、徘徊・見守りSOSネットワークではなく、携帯電話またはスマートフォンを用いた本人特定の手法が考えられる。特に、携帯電話またはスマートフォンには、GPSS機能があることから、本人の位置情報の特定までできるというメリットがある。例えば、特許文献1では、PHS携帯端末を用いた認知症患者保護システムが開示されている。
【0013】
しかしながら、携帯電話またはスマートフォンを利用した方法には、次のような問題がある。まず、認知症患者が、外出のたびに毎回、携帯電話またはスマートフォンを保持しているかという問題である。健康な成人でも、携帯電話またはスマートフォンを持たずに外出することがあることを踏まえると、認知症患者が徘徊時に携帯電話またはスマートフォンを持たずに外出したり、途中で携帯電話等を忘れたり落としたりする可能性は高い。携帯電話等がなければ、当然、本人特定はできない。さらに、携帯電話等は電池切れという問題がある。電池切れの携帯電話等を持ち歩いている場合にも、本人の特定はできない。
【0014】
なお、ある人(発見者)が、徘徊している認知症患者を発見した場合に、その認知症患者が持っている携帯電話等から、本人を特定できる場合もあるが、携帯電話等には個人情報保護のためにロックがかかっている場合が多く、必ずしも、携帯電話等から本人を特定できない場合がある。また、他人の携帯電話等を触ったり見てはいけないという心理も働く。
【0015】
他の手段としては、GPS端末などの発信器を通常身につける服や靴に仕込むことが考えられる。しかしながら、認知症患者といっても、GPS端末によって常に自分の位置を把握されることを望まない人は当然いる。それゆえに、GPS端末が仕込まれた服や靴を積極的に使うのをためらうという人がいてもおかしくない。また、服や持ち物に名前と連絡先を書くことも考えられるが、個人情報を常に表示した状態で外出することの危険も考えなければならない。すなわち、徘徊を抑制する効果以上に、詐欺などにあってしまうおそれも考慮する必要がある。
【0016】
特許文献2では、個人情報保護と緊急時サポートを両立させたサービスを支援するウェブアプリケションシステムが提案されている。このシステムによれば、平時には個人情報を保護しながら、緊急時のみに、緊急時サポートサービスを行っている団体が、個人情報を紹介して、医療機関等に個人情報を開示代行することができる技術が開示されている。しかしながら、このサービスを365日24時間体制で行うには、緊急時サポートサービスを実行するスタッフや施設を含めて、膨大なコストないし予算が必要となる。コストや予算に制約があることを考慮すれば、このシステムを普及させることは難しい。
【0017】
さらに、本願発明者は次のようなことも検討した。近年、ウォーキングやランニング等のスポーツ愛好者が増加している。ウォーキングやランニング等は、基本的に、一人で行うものであるため、発作(脳梗塞、心筋梗塞なども含む)や事故などの緊急事態になった時に、知人でない他人によって助けてもらう必要がある。ウォーキングやランニング等の場合、小銭だけを持って、運転免許証などの個人特定情報(IDカード)を持たずに行うことが多い。このような場合、その人を特定することが非常に困難になる。
【0018】
また、徘徊している認知症患者と違って、健康な成人の場合、GPS端末で位置を特定されることを嫌い、そして、家族がGPS機能をオンにしても、本人がGPS機能をキャンセルする能力と意志を持っている。さらに、スマートフォン等を持参していたとしても、ほぼ必ずロックをかけているので、発見者は、その緊急事態になった人のスマートフォンを見ることができず、そこから本人情報を得ることはできない。
【0019】
加えて、徘徊している認知症患者やウォーキングをしている人でなくても、高齢者は、健康に問題を抱える場合が多く、外出時に体調が変調をきたした場合や、急な発病の際、迅速な対応が求められる。本人が気絶や痙攣している場合には、本人の口から、個人情報を聞き出せない可能性が高い。
【0020】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、個人情報の特定を容易にすることができる救援方法または救援システムおよび徘徊者保護方法・システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明に係る救援方法は、本人を特定して救援する救援方法であり、シリアルナンバが付されたアクセサリーを付けたユーザに接触して、当該アクセサリーのシリアルナンバを認識する工程と、前記シリアルナンバを前記ユーザの本人情報として保存しているデータ管理会社に、前記シリアルナンバを伝える工程と、前記ユーザを救援可能な救援団体に、前記データ管理会社から、前記ユーザの本人情報を伝える工程と、前記救援団体において前記ユーザへの救援指令が出される工程とを含む。
【0022】
ある好適な実施形態において、前記認識する工程における前記アクセサリーは、ネックレス、ブレスレットおよびアンクレットからなる群から選択される一つであり、前記認識する工程において、前記シリアルナンバは、前記ユーザに接触した発見者が保持するスマートフォンによって認識され、前記データ管理会社は、クレジットカード会社であり、前記発見者のスマートフォンによって認識された前記シリアルナンバは、前記スマートフォンが接続している通信ネットワークによって前記クレジットカード会社に送信される。
【0023】
ある好適な実施形態では、前記通信ネットワークに接続されている複数のスマートフォンに、前記クレジットカード会社の広告を表示させる工程をさらに含む。
【0024】
ある好適な実施形態では、前記発見者のスマートフォンが有する位置情報に基づいて、前記ユーザの位置情報は、前記クレジットカード会社に送信される。
【0025】
ある好適な実施形態において、前記シリアルナンバは、前記発見者のスマートフォンのカメラによって認識され、前記発見者のスマートフォンには、前記シリアルナンバを前記クレジットカード会社に送信する救援アプリケーションが格納されている。
【0026】
ある好適な実施形態において、前記救援団体の少なくとも一つは、セキュリティ会社であり、前記セキュリティ会社のスタッフには、前記データ管理会社からの前記ユーザの本人情報を含むユーザ救援情報に基づいて、前記ユーザの方に移動する指示が出される。
【0027】
ある好適な実施形態において、前記救援団体の少なくとも一つは、救急車を保有する消防署であり、前記消防署の署員には、前記データ管理会社からの前記ユーザの本人情報を含むユーザ救援情報に基づいて、前記ユーザの方に移動する指示が出される。
【0028】
ある好適な実施形態において、前記シリアルナンバは、二次元バーコードである。
【0029】
本発明に係る救援システムは、本人を特定して救援する救援システムであり、アクセサリーに付されているシリアルナンバを、本人情報として保存している第1データベースと、前記本人情報を含むユーザ救援情報を、通信ネットワークを介して受信する、第2データベースとを備え、前記ユーザ救援情報には、前記本人情報とともに、前記本人の位置情報が含まれている。
【0030】
本発明に係る他の救援システムは、本人を特定して救援する救援システムであり、アクセサリーに付されているシリアルナンバを、本人情報として保存している第1データベースと、前記本人情報を含むユーザ救援情報を、通信ネットワークを介して受信する、第2データベースとを備えている。前記第1データベースは、データ管理会社に設けられており、前記第2データベースは、救援団体に設けられており、前記シリアルナンバは、携帯通信装置によって前記第1データベースに送信される。
【0031】
ある好適な実施形態において、前記救援団体は、消防署、警察署およびセキュリティ会社からなる群から選択される少なくとも一つであり、前記ユーザ救援情報には、前記本人情報とともに、前記本人の位置情報が含まれており、前記第2データベースには、前記本人への救援指令を出すための救援プログラミングが内蔵されている。
【0032】
ある好適な実施形態において、前記アクセサリーは、前記本人に装着される形態を有するものであり、前記シリアルナンバを認識するスマートフォンアプリケーションが、前記通信ネットワークを介して、複数のスマートフォンに配信されている。
【0033】
本発明に係る徘徊者保護方法は、徘徊者を特定して保護する方法であり、シリアルナンバが付されたアクセサリーを付けた徘徊者に接触して、当該アクセサリーのシリアルナンバを認識する工程と、前記シリアルナンバを前記徘徊者の本人情報として保存しているデータ管理会社に、前記シリアルナンバを伝える工程と、前記徘徊者を救援保護する救援団体に、前記データ管理会社から、前記徘徊者の本人情報を伝える工程と、前記救援団体において前記徘徊者への保護救援指令が出される工程とを含む。
【0034】
ある好適な実施形態では、前記認識する工程における前記アクセサリーは、ネックレス、ブレスレットおよびアンクレットからなる群から選択される一つであり、前記アクセサリーは、留め具を備えている。
【0035】
ある好適な実施形態では、前記認識する工程において、前記シリアルナンバは、前記徘徊者に接触した発見者が保持するスマートフォンによって認識され、前記データ管理会社は、クレジットカード会社であり、前記発見者のスマートフォンによって認識された前記シリアルナンバは、前記スマートフォンが接続している通信ネットワークによって前記クレジットカード会社に送信される。
【0036】
本発明に係る保護システムは、徘徊者を特定して保護する保護システムであり、アクセサリーに付されているシリアルナンバを、本人情報として保存している第1データベースと、前記本人情報を含むユーザ救援情報を、通信ネットワークを介して受信する、第2データベースとを備えている。前記第1データベースは、データ管理会社に設けられており、前記第2データベースは、救援団体に設けられており、前記シリアルナンバは、携帯通信装置によって前記第1データベースに送信され、前記救援団体は、消防署、警察署およびセキュリティ会社からなる群から選択される少なくとも一つであり、前記ユーザ救援情報には、前記本人情報とともに、前記徘徊者の位置情報が含まれており、前記第2データベースには、前記徘徊者への救援保護指令を出すための救援保護プログラミングが内蔵されている。
【0037】
ある好適な実施形態において、前記アクセサリーは、前記本人に装着される形態を有するものであり、前記アクセサリーは、ネックレス、ブレスレットおよびアンクレットからなる群から選択される一つであり、前記シリアルナンバを認識するスマートフォンアプリケーションが、前記通信ネットワークを介して、複数のスマートフォンに配信されている。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、ユーザが付けているアクセサリーのシリアルナンバを認識して、データ管理会社に伝えることにより、ユーザの個人情報を保護しながら本人を特定でき、その後、そのユーザの本人情報をデータ管理会社から救援団体に伝えることで、救援団体においてユーザへの救援指令を出すようにすることができる。その結果、個人情報の特定を容易にすることができる救援方法または救援システムを提供することができる。
【0039】
さらに説明すると、徘徊・見守りSOSネットワークの場合は、24時間で365日のサービスを求めることが現実的には不可能であるともに、自治体(役所)への事前の登録申請を行う煩雑さがある。さらには、識別標識を常に外出時に付けていないといけないとともに、登録申請を行った自治体エリアを外れると、捜索機能が働かないという問題がある。
【0040】
一方、本発明では、ユーザ本人の識別標識として、アクセサリーのシリアルナンバを使用している。アクセサリーは、正規品保証または商品アフターサービス保証(例えば、商品操作説明、修理交換サービス保証)等の理由で、一品に一つだけの製造番号または商品番号(シリアルナンバ)を付けることがあり、本発明では、そのシリアルナンバを利用して、本人特定をしている。シリアルナンバ自体は、一つ一つの製品を特定するために付されているものであるので、ユーザ本人の識別標識を導入することを理由とした別途新たなコストが発生するわけではない。つまり、徘徊・見守りSOSネットワークの場合のような、登録申請およびその管理ならびに徘徊者への識別標識の送付手続きなどを行う必要がない。そして、アクセサリーのシリアルナンバの場合、識別標識を靴などの物品に別途貼り付けることもなく、基本的に、アクセサリーからシリアルナンバのとれないようになっているので、シリアルナンバの管理も楽である(シリアルナンバがなくなってしまうおそれがない)。
【0041】
さらに、データ管理会社が、当該アクセサリーの販売会社(または製造会社)である場合において、その販売会社に、24時間で365日のサポートセンターが設置されているときは、本発明の方法またはシステムは、ほとんどコストアップなしに、24時間で365日の業務提供を行うことが可能となる。加えて、アクセサリーの販売会社に、24時間で365日のサポートセンターが設置されていない場合には、データ管理会社をクレジットカード会社にすることができる。クレジットカード会社は、カード盗難・不正使用などの対応または上級カスタマーサービス提供のために、24時間で365日のサポートセンター・カスタマーセンターを設置しているので、クレジットカード会社が、アクセサリーのシリアルナンバを、ユーザの本人情報として保存しているデータ管理会社であれば、24時間で365日のサービスができる。特に、そのクレジットカード会社が、当該シリアルナンバ付きのアクセサリーを購入した際の決裁会社であれば、そのクレジット決済の本人情報(例えば、氏名、住所、生年月日など)をユーザの本人情報に使用することができるというメリットがある。つまり、徘徊・見守りSOSネットワークの場合、登録申請によって本人情報(例えば、氏名、住所、生年月日、その他本人を特定する情報など)を自治体に提出し、その自治体ではその情報を入力・管理しなければならず、その手間もコストも大変であるが、本発明によれば、クレジットカード会社の決裁情報(または、アクセサリーの販売会社の購入情報やユーザ情報)を利用することができるので、ユーザの本人情報の入力・管理が大幅に楽になるか、自動化することができる。
【0042】
また、本発明では、アクセサリーのシリアルナンバを使用していることから、電池切れの問題が生じない。さらに、GPS機能によって本人の位置が常に監視されていることもないので、本人のストレスも軽減される。加えて、アクセサリーは、本人が気に入ったものを購入するので、常時装着する可能性が高く、それゆえに、自治体から提供される登録識別シールがかっこ悪くて付けたくないというような問題を回避することができる。そして、本発明によれば、本人の服や靴などに住所氏名などの個人情報を表示させておくようなことはしなくてよい。つまり、アクセサリーのシリアルナンバ自体は、無意味な数字であり、個人情報は、セキュリティーレベルが極めて高いクレジットカード会社(または、アクセサリーの販売会社)の内部で保管されているので、本人の服や靴などに住所氏名などの個人情報を表示されている場合と比較して、個人情報が悪用されることが極めて少ない。
【0043】
そして、徘徊・見守りSOSネットワークの場合、高齢の徘徊者の特定・保護を目的としており、成人の健康者への適用は考慮されていないか、もし成人まで適用されるとすると、膨大な予算が必要となる。本発明は、徘徊者だけでなく、ランニング等をしているユーザが事故や発作にあったときでも対応することができ、そして、その導入に当たっては、ユーザは、シリアルナンバ付きのアクセサリーを購入して、装着するだけで大丈夫である。なお、本発明のさらなる特徴または効果は、発明を実施するための形態にて示すこととする。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本願発明者は、年々増大する認知症患者の徘徊者の問題、そして、健康な成人であってもランニング等の時の突然の発作や事故の問題に対応すべく検討を続けていた。国や公共団体が進める「徘徊・見守りSOSネットワーク」も一つの手段であるが、それを低コストで、かつ、ユーザの利便性良く運用するのは困難であるという結論に達した。一方で、携帯電話やスマートフォンのGPS機能を利用することも検討したが、本人位置情報のプライバシーの問題、電池切れの問題など、基本的に解決が困難な問題がある。そのような中、アクセサリーのシリアルナンバを利用できないかというアイデアを思いついたが、アクセサリーのシリアルナンバを本人特定に上手く使えても、本人登録情報の入力・管理の運用コストの問題、および、24時間の365日サービス提供という更なる困難性が残った。しかし、その困難性は、アクセサリーを購入したクレジットカード会社を組み込むことで解決できることを見出し、本発明に至った。
【0046】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のために、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は、必ずしも実際の寸法関係を正確に反映していない場合がある。また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事項は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書及び図面によって開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。加えて、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0047】
図1は、本発明の実施形態に係るアクセサリー10の構成を示す図である。
図1に示したアクセサリー10は、ネックレスである。図示したネックレス10は、首回りの線状部材(ワイヤー部)12と、線状部材12を連結・解除する連結部14と、線状部材12に取り付けられたペンダント部(修飾部材)16とから構成されている。ペンダント部16には、ネックレス(アクセサリー)10の一つ一つに個別に付けられたシリアルナンバ15が付されている。
【0048】
本実施形態では、ペンダント部16の目立たないところ(裏面、側面など)に、シリアルナンバ15が付されている。シリアルナンバ15は、ペンダント部16に刻印の形態で付されていてもよいし、レーザ印字されていてもよい、あるいは、シールの形態で貼り付けられていてもよい。本実施形態のシリアルナンバ15は、アクセサリー10の用途としての目的では、正規品であることの証明として付されているが、他の目的(修理、交換、アフターサポートサービスなどの目的)で利用されていても構わない。シリアルナンバ15は、大量に製造された各ネックレスに対して、連番の形態で付されていてもよいし、模倣品対策を徹底するために、ランダムの形態で付されていてもよい。
【0049】
なお、シリアルナンバ15は、ペンダント部16の目立つところ(表面など)に付してもよいし、ペンダント部16以外の部位(例えば、ワイヤー部12、連結部14)に付しても構わない。加えて、シリアルナンバ15は、数字、英字などの文字に限らず、バーコード(二次元バーコード、QRコード(登録商標)などを含む)のような形態であってもよい。すなわち、シリアルナンバ15は、ネックレス(アクセサリー)10の一つ一つを個別に特定するための標識であり、数字(ナンバー)に限定されるものではない。バーコードの他には、ICタグのような半導体集積回路(例えば、フェリカチップ、ミューチップなど)のような個別特定の標識であっても構わない。
【0050】
本実施形態のネックレス10は、磁気ネックレスであってもよい。その場合、ワイヤー部12及び/又は連結部14に、1つ又は複数の磁石が配置されている。図示した例のネックレス10では、S極とN極とが離間して隣り合うように配置された磁石のペアが配置された構成をしている。なお、磁石は、ペンダント部16に配置されていても構わない。
【0051】
図2は、ユーザ1000にネックレス10を装着した状態を示している。
図2に示した状態は、ユーザ1000は、ランニング中に突然発作で動けなくなって倒れてしまって助けが必要な異常状態の姿を示している。
【0052】
図2に示した状態で、しばらくして本人1000が自力で回復するか、近くに知人が居たとしたら、所持している携帯電話やスマートフォンで救急車を呼ぶことができるので、最悪の事態は回避できる。しかしながら、本人が自力で回復できず、近くに知人がいないとき、周囲の人が、当該本人1000に助けに来たとしても、その本人1000が運転免許証などの個人特定情報(IDカード)を所持していなければ、本人確認をすることができない。その発見者が、救急車を呼んだとしても、本人確認ができていない状態と、本人確認ができている状態では取り得る措置は全く違うものとなる。
【0053】
なお、
図2に示した状態が徘徊している認知症患者を保護した時だとしたら、救急車などを呼ぶ必要がないものの、その本人1000が運転免許証などを所持していなければ、仮に警察につれていっても、本人確認ができない状態が続く。場合によっては、ぼろぼろの服の状態で救出されて、所持品もなく、本人も自分の名前も住所もわからず、顔や姿からだけでは本人を特定できずに、保護された状態からかなり長い間(例えば数ヶ月)家族にも知人にも連絡できないケースがある。
【0054】
そのような時に、本発明の実施形態に係る救援方法または救援システムを用いれば、本人を特定するのが容易となり、その後の救援処理もスムーズに進む。
図3は、本実施形態の救援方法を説明するためのブロック図である。
図4は、本実施形態の救援方法に使用する携帯通信端末(スマートフォン)20である。
【0055】
図3に示した構成では、シリアルナンバ15付きのアクセサリー10を身につけた本人(ユーザ)1000、発見者1100、救援団体1200、家族・介護者1300、および、データ管理会社1500が示されている。アクセサリー10を装着した状態の本人(ユーザ)1000は、例えば、
図2に示した通りである。
【0056】
図3に示した「発見者1100」は、例えば
図4に示すような携帯通信端末20を保持している。
図4に示した携帯通信端末20は、所謂スマートフォン(例えば、アップル社製のiPhone(登録商標)、Android OSを搭載したスマートフォン(各種のAndroid スマホ))である。スマートフォンは、多機能の携帯電話であり、通話機能、インターネット通信機能を備えており、通話機能だけでなく、情報を管理・加工・送信などすることができる。
【0057】
図4に示したスマートフォン20は、ディスプレイ部21と、筐体部22とを備えている。ディスプレイ部21が位置している方が表面であり、その反対側の裏面には、カメラ(不図示)29が位置しており、そのカメラ29で画像を撮像することができる。そのカメラ29で撮像した画像は、インターネット回線を経由して送信することができるし、あるいは、その画像を解析して情報処理することも可能である。
【0058】
スマートフォン20は、特定のプログラム(アプリケーション)を動作させることができ、そのアプリケーション(「アプリ」と称する場合あり)のアイコン25から27が、ディスプレイ部21に表示されている。ディスプレイ部21は、タッチパネル式のディスプレイ(液晶ディスプレイ、または、有機ELディスプレイ)であり、ディスプレイ部21のアイコン(25、26、27)を触ることで、アプリケーションを動作させることができる。
【0059】
図4に示した第1アイコン25は、本実施形態の救援方法を実行可能な「救援アプリアイコン」である。第2アイコン26は、アクセサリー10を販売している会社が運営/提供しているアプリ(または、ホームページ)のアイコンである。第3アイコン27は、アクセサリー10の購入した際の決裁に使用したクレジットカード会社が運営/提供しているアプリ(または、ホームページ)のアイコンである。
【0060】
図3に示した「データ管理会社1500」は、アクセサリー10のシリアルナンバ15を、ユーザ1000の本人情報として保存している会社である。本実施形態のデータ管理会社1500の一例は、アクセサリー10の購入の決裁を行ったクレジットカード会社(または、アクセサリー10の販売会社)である。データ管理会社1500は、典型的には、営利組織(株式会社、LLC、LLPなど)であるが、非営利団体(NPO)であっても構わないし、法人格の有無も問わない。本実施形態のデータ管理会社1500は、法人格を有する株式会社の組織であるが、個人事業であっても、法人格のない組合の組織であっても構わない。場合によっては、データ管理会社1500は、国や官庁、地方公共団体の団体/組織であってもよい。
【0061】
図3に示した「救援団体1200」は、公的なものでは、例えば、消防署、警察署、市役所などである。民間のものでは、警備会社(例えば、ホームセキュリティ会社)である。なお、本実施形態の救援方法の適用範囲としては、救援団体1200として、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、タクシー会社、鉄道会社、バス会社なども含めることが可能である。
【0062】
図3に示した「家族・介護者1300」は、典型的には、ユーザ1000の家族である。徘徊者の保護の場合において、世話をする家族がおらず介護者がいる場合においては、ユーザ1000の世話をしている介護者である。なお、家族がいる場合においても、知人・友人を、連絡先である「家族・介護者1300」に指定することは可能である。
【0063】
本実施形態の救援方法では、
図3に示すように、まず、シリアルナンバ15付きのアクセサリー10を身に付けたユーザ1000に発見者1100が接触し、そこで、発見者1100がシリアルナンバ15を認識する(ステップS10)。具体的には、シリアルナンバ15は、発見者1100がアクセサリー10を触って、シリアルナンバ15が位置する箇所を見つけることで読み取ることができる。また、そのシリアルナンバ15は、発見者1100のスマートフォン20のカメラ29で撮影することも可能である。
【0064】
次に、発見者1100が認識したシリアルナンバ15をデータ管理会社1500に伝える(ステップS20)。具体的には、発見者1100は、スマートフォン20の電話機能を使って、データ管理会社1500の担当窓口に電話して、シリアルナンバ15を口頭で伝える。データ管理会社1500の担当窓口の電話番号は、スマートフォン20を使って、アクセサリー10の販売会社のホームページに行けば、分かるようになっている。そして、スマートフォン20の画面21に表示された当該電話番号を指で押せば、24時間365日で担当窓口に直接電話がつながる。電話がつながった後は、口頭で、シリアルナンバ15を伝えるとともに、ユーザ1000の状態(健康状態、服装など)と、現在位置を伝える。その後、発見者1100は、電話で話をしながら、電話先のオペレーターから指示を貰うことができる。
【0065】
また、発見者1100のスマートフォン20に、本実施形態の救援方法を実行可能な「救援アプリ(25)」が導入されている場合には次のようなことができる。「救援アプリ(25)」は、発見者1100が、スマートフォン20のカメラ29でシリアルナンバ15を撮像すると、その解析してシリアルナンバ15を読み取り、そして、データ管理会社1500の担当窓口に電話をかけるところまで実行することができる。具体的には、救援アプリのアイコン25を押し、救援アプリを立ち上げて、カメラ29で撮像したら、その後は、救援アプリ(25)は、スマートフォン20の情報処理機能を使って自動で画像解析をして、シリアルナンバ15をデータ管理会社1500に送信するとともに、データ管理会社1500への電話をかける。また、発見者1100のスマートフォン20にGPS機能があれば、そのGPS機能での位置情報をデータ管理会社1500に送信することができる。
【0066】
救援アプリ(25)が導入されている場合は、シリアルナンバ15は、人間が読み取れる英数字に限らず、バーコード、二次元バーコードであってもよい。スマートフォン20がICタグ(ICチップ)を認証できるものであれば、シリアルナンバ15の一つをICタグにしておき、スマートフォン20をそこに近接させて、救援アプリ(25)がICタグの情報(シリアルナンバ15)を読み取るように構成しても構わない。
【0067】
次いで、発見者1100から伝えられたシリアルナンバ15をデータ管理会社1500は受け取った後、ユーザ1000の本人情報(氏名、性別、住所、電話番号、生年月日など)を特定する。そして、その本人情報を救援団体1200に伝える(ステップS30)。
【0068】
シリアルナンバ15が口頭で伝えられ場合は、データ管理会社1500の担当窓口のオペレーターは、そのシリアルナンバ15を端末(キーボード)で入力し、本人情報が格納されているデータベースにアクセスすることによって、本人情報を特定する。
【0069】
また、シリアルナンバ15が、スマートフォン20の救援アプリ(25)で送信されてきた場合は、その送信されたデータを使うことによって、本人情報が格納されているデータベースにアクセスして、本人情報を特定することができる。この場合には、オペレーターの端末入力の手順を省略することができる。また、救援アプリ(25)の送信データに位置情報が含まれている場合は、その位置情報も利用することができる。
【0070】
その後、データ管理会社1500から伝えられた本人情報によって、救援団体1200において、ユーザ1000への救援指令が出される。救援団体1200では、データ管理会社1500からの情報(電話、FAX、電子メール、オンラインデータ送信などを使った情報)を受けて、口頭で、救援団体1200内の担当者に救援指令を伝えることができる。
【0071】
なお、救援団体1200におけるコンピュータ情報システムが、データ管理会社1500からのオンラインデータ送信の情報を自動で処理できる場合には、自動制御で、ユーザ1000への救援指令まで出せるように構築することが可能である。加えて、救援アプリ(25)からの情報を利用して、データ管理会社1500および救援団体1200ともに、情報を自動で処理して、ユーザ1000への救援指令まで出せるように構築することも可能である。
【0072】
救援指令が出された後は、救援団体1200の担当者(消防署署員、警察官、警備会社スタッフなど)は、本人1000のところに向かう(ステップS40)。救援団体1200は、ユーザ1000が加入している救援サービス(本実施形態の救援方法・システム)に基づいて、本人1000のところに向かっていることを連絡することができる(ステップS41)。
【0073】
なお、ユーザ1000に接触した発見者1100が直接「119」番で消防署(1200)に電話する場合(ステップS25)、データ管理会社1500は、その消防署(1200)に本人情報を送ることが可能である。また、データ管理会社1500は、救援団体1200の連絡(ステップS30)とともに、家族・介護者1300に対して、ユーザ1000に接触した発見者1100から通知があったことを伝えることができる(ステップS31)。
【0074】
救援団体1200の担当者が、ユーザ1000のところに到着したら、その担当者は救援団体1200に連絡を入れる(ステップS45)。その連絡を受けた救援団体1200は、家族・介護者1300に対して保護されたことを連絡する(ステップS46)。その後は、ユーザ1000は、救援団体1200の担当者とともに、家族・介護者1300のところに向かう(ステップS50)。場合によっては、ユーザ1000は、病院に向かって治療や検査を受けることになる。
【0075】
上記で説明した手法においてさらに種々の改変は可能であるが、本実施形態に係る救援方法によれば、ユーザ(本人)1000は、シリアルナンバ15付きのアクササリ10を保持しているだけで、簡便に、本人情報が特定して救援することができる。
【0076】
次いで、
図5および
図6も参照しながら、本実施形態の救援方法/システムの一例をさらに説明する。
図5は、本実施形態の救援方法を説明するためのフローチャートである。
図6は、本実施形態の救援システム2000を説明するためのシステム図である。
【0077】
さきに
図6に示した救援システム2000の一例を簡単に説明する。
図6に示した救援システム2000では、発見者1100のスマートフォン20が通信ネットワーク1900に接続されている。通信ネットワーク1900は、インターネット回線網(場合によって電話回線網)である。通信ネットワーク1900には、データ管理会社1500および救援団体1200が、情報ネットワーク的に接続されている。
【0078】
データ管理会社1500には、第1データベース(本人情報データベース)1510が設けられている。本人情報データベース1510は、シリアルナンバ15を本人情報1550と関連づけて保存している。本人情報1550は、氏名、性別、住所、電話番号、生年月日などであり、基本的に、クレジットカード決済に必要な情報に対応している。なお、ユーザ1000へのオプションとして、この本人情報1550に、血液型、身長、体重、病歴その他の健康情報を含めることも可能である。本人情報1550に健康情報を含めた場合には、救急車および/または病院にいち早くその情報を伝えることが可能となる。
【0079】
本人情報データベース1510は、通信ネットワーク1900に接続されているが、高度なセキュリティで保護されている。本人情報データベース1510にアクセスできるのは、データ管理会社1500内における特定のアクセス権限者のみである。なお、本人情報データベース1510は、多数の本人情報1550を格納しており、それぞれの本人情報1550が、1つのシリアルナンバ15にリンク付けされている。
【0080】
なお、本人情報データベース1510は、高度なセキュリティが確保されているのであれば、データ管理会社1500の外に配置されていても構わない。また、災害用のバックアップとして、複数の本人情報データベース1510によって相互管理されていても構わない。さらには、複数のデータ管理会社1500で、1つの本人情報データベース1510を管理しても構わない。その当該1つの本人情報データベース1510のバックアップ用のデータベースを、データ管理会社1500の外に配置しても構わない。
【0081】
救援団体1200には、第2データベース(ユーザ救援データベース)1210が設けられている。ユーザ救援データベース1210は、通信ネットワーク1900を介して、データ管理会社1500(本人情報データベース1510)から送信されてきた情報を受信することができる。具体的には、ユーザ救援データベース1210は、本人情報1550を含むユーザ救援情報を受信する。
【0082】
本実施形態の構成では、ユーザ救援データベース1210には、ユーザ救援情報(1550)を処理して、救援団体1200内の担当者に救援指令を発するプログラミング(救援指令プログラミング)1250が格納されている。ユーザ救援情報(1550)が受信されると、救援指令プログラミング1250が動作して、救援団体1200の担当者に救援指令が発信される。救援団体1200の担当者は、救援団体1200内のコンピュータ端末、または、各担当者の携帯端末(例えば、スマートフォン)において、本人情報1550および位置情報を確認して、ユーザ1000の救援保護に向かう。
【0083】
救援団体1200が官公庁(消防署、警察署)のとき、救援指令プログラミング1250を格納したユーザ救援データベース1210を設置できない場合も想定される。その場合は、データ管理会社1500の担当者(オペレータ)は、電話回線網1900を使用して、救援団体1200に連絡をすればよい。この場合、電話を用いて口頭で連絡をとりあってもよいし、FAXを配信することで本人情報1550を伝えてもよい。なお、通信ネットワーク1900がインターネット回線(光回線などのデジタル回線)であっても、電話回線網として利用できる場合がある(光電話)。また、本人情報1550を含むユーザ救援情報は、データとして、オンライン送信で送信/受信させるようにして、救援指令は、救援団体1200内において口頭で言うようにしてもよい。
【0084】
救援団体1200が民間企業(警備会社)のとき、救援指令プログラミング1250を格納したユーザ救援データベース1210を設置することが好ましい。これにより、発見者1100のスマートフォン20から、警備会社(例えば、ホームセキュリティ会社)の担当者の端末(コンピュータ端末、または、携帯端末)まで情報ネットワーク的に一体に接続されて、効率的な運用を行うことが可能となる。
【0085】
本実施形態の第1データベース1510および第2データベース1210は、ハードディスク(HDD)から構成されている。具体的には、通信ネットワーク1900に接続されたサーバ内の記憶媒体である。ただし、第1データベース1510および第2データベース1210は、クラウドコンピュータ上の記録媒体(ハードディスクなどの記録装置)であっても構わない。また、記録媒体は、ハードディスク(HDD)のような磁気記録媒体に限らず、光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体記録媒体(ソリッドステートドライブ:SSD)などの他の記録媒体であっても構わない。
【0086】
なお、第1データベース1510内におけるデータ格納プログラム、シリアルナンバ15を用いた本人情報1550の特定プログラム、第2データベース1210内における救援指令プログラミング1250、通信ネットワーク1900を介したデータ送受信プログラムなどについては、本発明の実施形態の主要項目ではないので、技術内容の理解を簡明する目的で省略する。それらの技術については、情報通信技術分野の技術常識に基づいて実装/運用(実施)することができる。また、スマートフォン20における通話・通信技術、インターネット関連技術(ホームページ表示、広告表示機能含む)、カメラ撮像技術、画像情報処理技術、アプリケーション動作技術(救援アプリ25を含む)も同様に、
技術内容の理解を簡明する目的で省略する。それらの技術については、スマートフォン技術分野の技術常識に基づいて実装/運用(実施)することができる。
【0087】
再び、
図5を参照して、本実施形態の救援方法の一例を説明する。まず初めに、ユーザ1000は、アクセサリー(例えば、ネックレス)10を購入する。ユーザ1000は、アクセサリー10の購入時にクレジットカード決済を行うと、アクセサリー10のシリアルナンバ15は、そのクレジットカードの情報(本人情報)1550として、本人情報データベース1510に格納される。
【0088】
ユーザ1000が希望する場合には、ユーザ1000がスマートフォン20を保有している場合に、本実施形態の救援方法を実行可能な「救援アプリ」(25)をダウンロードしてもらって、当該スマートフォン20に「救援アプリ」のアイコン25を表示させてもらうようにする。または、ユーザ1000が希望する場合、当該スマートフォン20に「救援アプリ」(25)を自動的にアップロードする。これにより、購入したユーザ1000が、もし発見者1100になったときに、簡単・迅速に、本実施形態の救援方法を実行することができる。
【0089】
また、ユーザ1000が希望する場合には、アクセサリー10を販売している会社が運営/提供しているアプリ(または、ホームページ表示)のアイコン26、および、アクセサリー10の購入時に使用したクレジットカード会社が運営/提供しているアプリ(または、ホームページ表示)のアイコン27を表示するプログラムをダウンロードしてもらおうか、あるいは、自動的にアップロードする。これにより、アクセサリー10の販売会社、クレジットカード会社の新規情報をユーザ1000に伝えることができ、それらが結果として、本実施形態の救援方法を広めることにつながる。本実施形態の救援方法は、多くの人に広まれば広まるほど、ユーザ1000が非常事態になった時に、他の人に救援してもらえる可能性が高まるので、救援の実効性が向上する。
【0090】
したがって、より多くの「救援アプリ」(25)を認知して共有してもらうために、ソーシャルネットワーク(SNS)上で「救援アプリ」(25)を広めやすくするようなプログラムを、スマートフォン20にダウンロードしてもらうことが好ましいし、あるいは、ユーザ1000が希望すれば、そのようなプログラムを自動的にアップロードするように構築することも好ましい。なお、「救援アプリ」(25)などの導入プログラムは、例えば、第1データベース1510に格納しておくことができるが、それに限らず、インターネット回線網1900に接続されている任意のサーバの記憶媒体内に格納しておけばよい。
【0091】
加えて、クレジットカード会社の広告を、スマートフォン20に表示させるようにすることも可能である。具体的には、アクセサリー10の購入時に使用したクレジットカード会社の広告を、ユーザ1000のスマートフォン20に表示させることができる。さらに、そのユーザ1000の知人のスマートフォン20にも表示できるようなシステム(例えば、SNSシステムを経由した広告の機能)にすることも可能である。また、「救援アプリ」(25)を導入したユーザのスマートフォン20に対して、定期的に、クレジットカード会社の広告を表示させるようにすることができる。なお、クレジットカード会社の広告だけでなく、他社(例えば、アクセサリー10を販売している会社、ホームセキュリティ会社、スポンサー会社、イベント会社、その他、任意の会社・団体(市役所、消防署などの公益団体を含む)など)の広告を表示させるように構築することが可能である。当該広告表示のための導入プログラムは、例えば、第1データベース1510に格納しておくことができるが、それに限らず、インターネット回線網1900に接続されている任意のサーバの記憶媒体内に格納しておけばよい。
【0092】
なお、アクセサリー10の購入者の全員が、本実施形態の本実施形態の救援方法を利用したサービスを望むとは限らない。したがって、当該サービスを望むユーザ1000には、アクセサリー10の購入時から、本サービスを利用できるように運用し、その一方で、購入時には、サービス開始を望まないユーザ1000には、まずは、シリアルナンバ15をクレジットカードの情報(本人情報)1550とリンクして、本人情報データベース1510に格納しておくだけにしておく。そして、サービス開始時において、改めて、本人情報の申請手続きをしなくてすむように、クレジットカードの情報(本人情報)とシリアルナンバ15とを組み合わせた形での当該サービスの利用ができるようにする。なお、サービス開始時には、本人が登録した電話番号が、家庭(家族)の電話ではなく、携帯電話番号だけの場合もあるので、連絡先となる家族・介護者1300を入力してもらっておくことが望ましい。
【0093】
また、本人情報の変更が必要な場合は、クレジットカードの情報(本人情報)の変更と連動して自動的に変更する方式、及び/又は、「救援アプリ」(25)を立ち上げて、そこから手動で、本人情報の変更をしてもらう方式を採用することができる。なお、スマートフォン20の「救援アプリ」(25)経由ではなく、PC(パーソナルコンピュータ)端末から、アクセサリー10の販売会社のホームページにいって、そこから、そのホームページ内にある本人情報サイトで変更できるように構築してもよい。
【0094】
次に、ユーザ1000は、購入したアクセサリー10を装着する(ステップS100)。上述したように、すでに、アクセサリー10のシリアルナンバ15、クレジットカード情報を用いた本人情報1550のリンクは終わっている。
【0095】
ここで、アクセサリー10を装着する人が、認知症の徘徊者となるおそれのある場合には、アクセサリー10を本人(認知症者)では外せないようにしておくように構築することができる。例えば、
図1に示したアクセサリー10の留め具(連結部)14を外すのに一手間かかるような構造(例えば、脱着を防止するためのスイッチ構造、または、脱着を防止するための嵌合構造)にすることができる。家族・介護者はその脱着構造を理解して解錠することができるが、本人(認知症者)は簡単には解錠できないように構築する。このようにすれば、認知症者が勝手にアクセサリー10を捨ててしまうようなことがなくなり、家族等は安心である。
【0096】
次に、本人(ユーザ)1000が異常状態になる(ステップS110)。異常状態とは、ユーザ1000が発作、事故、急病、徘徊などになり、通常の意識がある状態とは異なったときである。具体的には、ユーザ1000が倒れてしまい、周囲の人に助けを呼べない状態とか、ユーザ1000が本人情報(氏名、住所など)をしゃべれなくなっている状態である。
【0097】
次に、本人(ユーザ)1000が発見される(ステップS200)。具体的に、本人1000の近くに居た発見者1100が、異常状態の本人1000の存在に気付き、そばに近づいてきた段階である。
【0098】
次いで、発見者1100が本人1000に本人確認をしても応答がない段階で、発見者1100は、本人1000が身につけているアクセサリー10を確認する(ステップS210)。発見者1100は、事前に本実施形態の救援方法を知っていることが好ましいが、その場で、インターネット等で検索して調べて、本実施形態の救援方法によって、本人確認および救援が可能であることがわかるような行動してもらうことが望ましい。
【0099】
その後、アクセサリー10の情報を通報する(ステップS220)。具体的には、発見者1100は、アクセサリー10のシリアルナンバ15を見つけて、そのシリアルナンバ15をデータ管理会社1500に送信する(
図6中の矢印91、矢印92参照)。
【0100】
発見者1100は、自分のスマートフォン20の電話機能を使って、データ管理会社1500にシリアルナンバ15を伝えることができる。または、スマートフォン20に「救援アプリ」(25)をダウンロードして、それを使ってシリアルナンバ15を伝える。なお、発見者1100の近くにいる人で、「救援アプリ」(25)がインストールされたスマートフォン20を持っている人を見つけて、それを使っても構わない。
【0101】
次に、送られてきたシリアルナンバ15に基づいて、データ管理会社1500は、本人(ユーザ)1000の本人情報(ID)を確認する(ステップS300)。具体的には、シリアルナンバ15から、本人情報データベース1510内の本人情報1550を特定する。本人情報1550には、氏名、性別、住所、電話番号、生年月日が含まれているので、本人を特定するには十分である。また、発見者1100から、ユーザ1000の位置情報(発見者1100の位置情報)を入手する。当該位置情報は、発見者1100から電話で聞くか、「救援アプリ」(25)を介してスマートフォン20のGPSデータから入手する。
【0102】
次に、データ管理会社1500は、救援団体1200に救援指示を行う(ステップS310)。具体的には、データ管理会社1500は、通信ネットワーク(インターネット回線網)1900を介して救援団体1200に対して、位置情報を含む本人情報1550を送信する(
図6の矢印95、96参照)。救援団体1200に第2データベース1210がない場合には、電話回線網1900を使って、電話/FAXで救援団体1200に連絡する。
【0103】
その後、救援団体1200が救援指令を出して、本人救援に向かう(ステップS400)。具体的な救援の内容の一例については、
図3で説明した通りである。以上の手順によって、個人情報の特定を容易にすることができる救援方法または救援システムを実現することができる。
【0104】
本実施形態の手法によれば、ユーザ1000が付けているアクセサリー10のシリアルナンバ15を認識して、データ管理会社1500に伝える。これにより、ユーザ1000の個人情報を保護しながら本人1000を特定でき、その後、そのユーザの本人情報1550をデータ管理会社1500から救援団体1200に伝えることで、救援団体1200においてユーザ1000への救援指令を出すようにすることができる。その結果、個人情報の特定を容易にすることができる救援方法または救援システムを実現することができる。
【0105】
ここで、
図9に示したような徘徊・見守りSOSネットワークの場合は、24時間で365日のサービスを求めることが現実的には難しく、事前の登録申請を行う煩雑さがある。一方、本実施形態の手法では、ユーザ本人の識別標識として、アクセサリー10のシリアルナンバ15を使用し、それをクレジットカード会社の決裁情報とリンクして使用するので、ユーザの本人情報の入力・管理が大幅に楽になり、かつ、自動化することができる。また、クレジットカード会社は、24時間で365日対応をしているので、常時サポートを簡単に開始することができる。さらに、クレジットカード会社が救援に向かうわけではなく、24時間で365日対応している救援団体1200(例えば、消防署、警備会社など)が救援に向かうため、救援の方も、常時サポートを簡単に開始することができる。
【0106】
アクセサリー10のシリアルナンバ15は、正規品保証または商品アフターサービス保証などの仕様に基づいたものを利用することができるので、シリアルナンバ15と本人情報1550のリンクができるのであれば、本実施形態の救援サービスの開始前に、アクセサリー10を購入した人にも適用することができる。さらには、シリアルナンバ15を有するアクセサリー10であれば、本願出願人の関連する会社だけでなく、他の会社にも、本実施形態の救援サービスを広めることが可能である。なお、本実施形態の救援サービス(救援方法/システム)をより効果的に適用できるようなシリアルナンバ15を新しく導入してももちろん構わない。
【0107】
また、本実施形態の手法は、アクセサリー10のシリアルナンバ15を使用していることから、電子機器(PHS、携帯電話、スマートフォンなど)による本人追跡監視と違って、電池切れの問題が生じない点の利点が大きい。さらに、GPS機能によって本人1000の位置が常に監視されていることもないので、本人1000のストレスも軽減され、それゆえに、本実施形態の手法が普及するメリットの一つとなる。加えて、アクセサリー10は、本人が気に入ったものを購入するので、常時装着する可能性が高い点も効果の一つである。
【0108】
さらには、徘徊・見守りSOSネットワークの場合と異なり、本実施形態の手法は、成人の健康者にも適用され、かつ、本実施形態の救援サービスを利用する際には、自治体への煩雑な登録申請は不要で、ユーザ1000は、シリアルナンバ15付きのアクセサリー10を購入して、装着するだけで大丈夫という点も大きなメリットの一つである。
【0109】
本発明の実施形態に係る救援方法/システム(徘徊者保護方法/システム)は、救急車の手配や、捜索願がでている場合の警察の対応などを踏まえると、自治体を含めて取り組む方が効果がある。しかしながら、全国のすべての自治体が、本実施形態の救援方法/システムに協力してくれるのには時間がかかるか、すべての自治体という点は協力を得られない自治体が出てくる可能性がある。それを考慮すると、民間会社をメインにして、自治体の協力はできるだけ最小限に留めて、公的インフラに負荷をできるだけかけないようにすることも好ましい。
【0110】
図7は、民間会社をメインにして、本発明の実施形態に係る救援方法/システムを構築した例である。
図7は、この例の実施形態に係る救援方法/システムを説明するためのブロック図であり、基本的に
図3と同じである。したがって、
図3の説明と重複する部分については説明を省略する。
【0111】
図7に示した救援方法/システムでは、データ管理会社1500は、クレジットカード会社1501である。このクレジットカード会社1501は、アクセサリー10の購入を決裁できる複数のクレジットカード会社1501のグループであっても構わない。そして、クレジットカード会社1501は、アクセサリー10のシリアルナンバ15に基づいて本人情報1550を、救援団体であるホームセキュリティ会社1201に送信する(ステップS30参照)。
【0112】
ホームセキュリティ会社1201は、24時間の365日の警備サービスを提供しているので、本実施形態の救援方法/システムの導入・管理運用・実行は容易である。ホームセキュリティ会社1201は、管轄エリアを自動車・自転車・自動二輪車などで警備しているので、本人1000の救援も容易である。この点、コンビニエンスストアなども救援団体1200となり得るが、本人1000への救援の機動力を考慮すると、ホームセキュリティ会社1201の方か効果を発揮しやすい。
【0113】
ホームセキュリティ会社1201の担当者が本人1000を救援した際に、病院1202に行く必要がある場合は、次のようにすることができる。まず、本人1000の意識がない又は発作のような場合には、救急車で本人1000を移動させる必要があるため、ホームセキュリティ会社1201は、救急車を手配する(あるいは、発見者と電話で連絡をとり、予め救急車を手配してもらう)。
【0114】
本人1000に意識があり元気であることは確認できるが、本人の確認ができない場合には、ホームセキュリティ会社1201の担当者は、救急車を呼ばずに、家族・介護者1300のところに連れて行くようにすることができる。この際、念のために病院1202に連れて行った方がよいとなれば、ホームセキュリティ会社1201は病院に連絡をした上で(矢印S42)、病院1202に連れて行く。そして、ホームセキュリティ会社1201から家族・介護者1300に連絡をして(矢印S41)、病院1202に来てもらう(矢印S60)。
【0115】
このようにすれば、救急車を含めた自治体の負荷をできるだけ抑えて、民間会社をメインにした形で、本実施形態の救援サービスを運営していくことができる。
【0116】
上述した実施形態では、アクセサリー10として、
図1に示したネックレスを用いて説明したが、アクセサリー10は、ネックレスに限定されるものではない。アクセサリー10は、例えば、
図8に示すようなブレスレットでもよい。また、アクセサリー10は、足首にはめるアンクレットであっても構わない。
【0117】
なお、本実施形態の「アクセサリー10」は、身体に身につけるもの(ネックレス、ブレスレット、アンクレットなど)を主に意味しているが、身につける装飾品、または、主体となる衣服を着る際に付け加える付属品である。具体的には、シリアルナンバ15が付されているアクセサリー(装飾品または付属品)であれば、時計、指輪、イヤリング、ブローチ、バック、靴なども含まれ得る。
【0118】
また、本実施形態では、携帯通信機器として、スマートフォン20を例にして説明したが、携帯電話を用いることができる場合も多く、場合によっては、タブレット型コンピュータ、ノートパソコン、ウェアラブルコンピュータ(例えば、アップル社製のApple Wathchのようなスマートウォッチ、Google社製のGoogle glassなど)を用いることも可能である。
【0119】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。例えば、警備会社(ホームセキュリティ会社)1201がデータ管理会社1500を兼務して運用するように改変することが可能である。また、本発明に係る実施形態のプログラム(特に、スマートフォン20に導入する救援アプリ25)単体を知的財産として商品化することも可能である。さらには、本実施形態では、本人(ユーザ)1000は、人間を想定しているが、ペットも家族という風潮が浸透しており、ペットをユーザ1000として、当該アクセサリー10をペットに付けて、ペット特定用に使用することを禁止するものではない。
【解決手段】シリアルナンバ15が付されたアクセサリー10を付けたユーザ1000に接触して、アクセサリー10のシリアルナンバ15を認識する工程S10と、シリアルナンバ15をユーザの本人情報として保存しているデータ管理会社1500に、シリアルナンバ15を伝える工程S20と、救援団体1200にユーザ1000の本人情報を伝える工程S30と、救援団体1200においてユーザ1000への救援指令が出される工程と、を含む。