(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリアミン類として、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、ポリアリルアミン及びポリエチレンイミンよりなる群から選択される少なくとも1種を使用する請求項6又は7に記載の製造方法。
前記ハロアルキルカルボン酸が、クロロ酢酸、ブロモ酢酸、ヨード酢酸、クロロプロピオン酸、ブロモプロピオン酸及びヨードプロピオン酸よりなる群から少なくとも1種を使用する請求項7〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1〜4に記載のキレート形成性繊維は、キレート樹脂の問題点を多く改善したものの、金属捕捉能力に関しては未だ改善の余地がある。特に被処理液中に金属イオンとキレート剤が共存する場合、金属イオンはキレート剤と安定な金属キレートを形成するため、金属イオンを捕集回収するのが困難となる。例えば銅、鉄、亜鉛等の重金属イオンがエチレンジアミン四酢酸(EDTA)と共存する場合、これら重金属イオンはEDTAと非常に安定なキレートを形成するため、従来のキレート形成性繊維ではこれら重金属イオンを捕捉回収することができなかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、被処理液中に金属イオンとキレート剤が共存する場合であっても、金属イオンを捕集回収することができるキレート形成性繊維を提供することを目的とする。また、本発明は、上記キレート形成性繊維の新規な合成方法、並びに該繊維を用いた金属イオン捕捉法、及び金属キレート繊維を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決することができた本発明のキレート形成性繊維は、繊維を形成する分子中に、式(1)で示される置換基が導入されていることを特徴とする。
【0009】
【化1】
[式(1)中、D
1及びD
2は、それぞれ式(2)で示される置換基、又は、水素原子を表す。A
1及びA
2は、それぞれ式(2)で示される置換基、式(3)で示される置換基、又は、水素原子を表す。式(2)で示される置換基を複数有する場合、それぞれのR
3は同一でも異なっていてもよい。R
1及びR
2は、それぞれ炭素数1〜5のアルキレン基を表す。lは、1〜6の整数を表す。lが2以上の場合、複数のA
2、R
1は同一でも異なっていてもよい。なお、式(1)で示される置換基は、その構造中に少なくとも1つは、カルボキシ基を有する。]
【0010】
【化2】
[式(2)中、R
3は、炭素数1〜5のアルキレン基を表す。]
【0011】
【化3】
[式(3)中、D
3及びD
4は、それぞれ式(4)で示される置換基、又は、水素原子を表す。A
3は、式(4)で示される置換基、式(5)で示される置換基、又は、水素原子を表す。式(4)で示される置換基を複数有する場合、それぞれのR
6は同一でも異なっていてもよい。R
4及びR
5は、それぞれ炭素数1〜5のアルキレン基を表す。mは、0〜6の整数を表す。mが2以上の場合、複数のA
3、R
4は同一でも異なっていてもよい。]
【0012】
【化4】
[式(4)中、R
6は、炭素数1〜5のアルキレン基を表す。]
【0013】
【化5】
[式(5)中、D
5、D
6及びD
7は、それぞれ式(6)で示される置換基、又は、水素原子を表す。式(6)で示される置換基を複数有する場合、それぞれのR
9は同一でも異なっていてもよい。R
7及びR
8は、炭素数1〜5のアルキレン基を表す。nは、0〜6の整数を表す。nが2以上の場合、複数のD
7、R
7は同一でも異なっていてもよい。]
【0014】
【化6】
[式(6)中、R
9は、炭素数1〜5のアルキレン基を表す。]
【0015】
本発明のキレート形成性繊維は、金属捕捉能力を有する式(1)で示される置換基(以下、キレート形成性官能基と称する場合がある。)によって、キレート剤と金属との錯体を形成している金属錯体中からも金属を捕捉することが可能である。よって、用排水や油、気体(各種排ガス等を含む)の中の金属イオンを極めて効率良く捕捉・除去することができる。また、本発明のキレート形成性繊維は、鉱酸、有機酸等の酸水溶液による処理によって簡単に金属イオンを離脱するので、その再生が簡単である。
【0016】
前記式(1)で示される置換基は、繊維表面の分子が有する官能基を介して、直接結合していることが好ましい。架橋剤等を用いることなく、繊維自体が有する官能基に直接式(1)で示される置換基を導入することにより、置換基の導入量を多くすることができ、単位質量当たりの金属イオン捕捉能をより高めることができる。前記繊維表面の分子が有する官能基は、ニトリル基及び/又はハロゲン基が好ましい。また、前記式(1)で示される置換基が有するカルボキシ基の少なくとも一部が、アルカリ金属塩及び/又はアンモニウム塩となっていることも好ましい。
【0017】
前記繊維は、粉末状であることが好ましい。繊維基材として粉末状の繊維を使用することにより、金属イオン除去性能と濾過助剤としての性能を兼備させることができる。また、前記繊維は、フィルター素材であることも好ましい。フィルター状の繊維素材を使用することにより、金属イオン捕捉性能と不溶性夾雑物除去性能を兼ね備えた清浄化作用を持たせることができる。
【0018】
本発明のキレート形成性繊維の製造方法は、上記キレート形成性繊維を製造する方法であって、繊維を構成する分子が有するニトリル基及び/又はハロゲン基に対し、ポリアミン類を結合させる第1工程;繊維に結合したポリアミン類にカルボキシアルキル基を導入する第2工程を含むことを特徴とする。本発明の製法を採用すれば、電離性放射線のような特別な装置や処理を必要とせず、水や汎用の溶媒中での加温処理といった簡単な方法で、安全且つ簡単に高性能のキレート形成性繊維を得ることができる。
【0019】
前記第2工程において、ポリアミン類にカルボキシアルキル基を導入する方法としては、ポリアミン類に対してハロアルキルカルボン酸を反応させる方法、又は、ポリアミン類に対してシアン化合物とアルデヒド化合物を反応させる方法が好適である。前記ポリアミン類としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、ポリアリルアミン及びポリエチレンイミンよりなる群から選択される少なくとも1種を使用することが好ましい。前記ハロアルキルカルボン酸を構成するハロゲンは、塩素、臭素又はヨウ素が好ましく、塩素又は臭素がより好ましい。前記ハロアルキルカルボン酸中のアルキレン鎖は、炭素数1〜5であることが好ましく、炭素数1又は2であることがより好ましい。前記ハロアルキルカルボン酸としては、クロロ酢酸、ブロモ酢酸、ヨード酢酸、クロロプロピオン酸、ブロモプロピオン酸及びヨードプロピオン酸よりなる群から少なくとも1種を使用することが好ましい。
【0020】
本発明には、上記キレート形成性繊維を用いた金属イオン捕捉法も含まれる。金属イオン捕捉法としては、キレート形成性繊維を、金属イオンを含む水性液と接触させ、該水性液中の金属イオンをキレート捕捉する方法;キレート形成性繊維を、金属イオンを含む油性液と接触させ、該油性液中の金属イオンをキレート捕捉する方法;キレート形成性繊維を、金属イオンを含む気体と接触させ、該気体中の金属イオンをキレート捕捉する方法;キレート形成性繊維を、キレート形成剤と金属との錯体を形成している金属錯体を含む水溶液と接触させ、金属錯体中から金属イオンをキレート捕捉する方法;が挙げられる。
【0021】
本発明には、上記キレート形成性繊維が、金属とキレート結合した金属キレート繊維も含まれる。キレート捕捉させる金属イオンを積極的に選択すれば、金属キレート繊維として当該金属自体の特性、例えば触媒作用や抗菌・殺菌作用などを付与することができ、フィルター状の排ガス処理触媒、抗菌・殺菌性のシート材や空調設備のフィルター材等として幅広く有効に活用できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のキレート形成性繊維は、式(1)で示される置換基を有するため、被処理液中に金属イオンとキレート剤が共存する場合であっても、金属イオンを捕集回収することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
1.キレート形成性繊維
本発明のキレート形成性繊維は、繊維を形成する分子中に、式(1)で示される置換基(キレート形成性官能基)が導入されている。
前記キレート形成性官能基は、官能基中に存在する窒素やカルボン酸基が、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト等の金属イオンに対して優れた選択吸着性を有している。そして、このキレート形成性官能基が繊維表面に露出していることから、本発明のキレート形成性繊維は優れた金属イオン選択吸着活性を発揮する。
【0024】
また、前記キレート形成性官能基は、複数の配位子を有する構造を持っており対象となる金属と複数の配位結合を形成することにより、金属を捕捉する。また、金属捕捉時に金属を中心とした複数の5員環や6員環を形成し、立体的に非常に安定な構造をとる。そのため、本発明のキレート形成性繊維は、金属イオンに対して高い捕捉容量を有しているばかりでなく、金属捕捉能力を有するキレート剤と金属との錯体を形成している金属錯体中からも金属を捕捉することが可能である。よって、従来のキレート繊維やキレート樹脂に比べて用排水や油、気体(各種排ガス等を含む)の中の金属イオンを極めて効率良く捕捉・除去することができ、それらの清浄化を極めて効率的に行うことができる。
【0025】
しかも、前記キレート形成性官能基の金属捕捉能力には、高いpH依存性があるため、鉱酸や有機酸等の酸水溶液による処理によって簡単に金属イオンを離脱する。よって、本発明のキレート形成性繊維は、その再生が簡単で繰り返し使用できるばかりでなく、金属成分の濃縮採取にも利用することができる。また、本発明のキレート形成性繊維は、基材が有機質繊維であるため、不要となった場合の焼却処分の際にも、有害な排ガスを発生せず、なお且つ焼却が容易である。
【0026】
1−1.キレート形成性官能基
以下、本発明のキレート形成性繊維に導入されるキレート形成性官能基について説明する。上述のように、キレート形成性官能基は、式(1)で示される置換基である。
【0027】
【化7】
[式(1)中、D
1及びD
2は、それぞれ式(2)で示される置換基、又は、水素原子を表す。A
1及びA
2は、それぞれ式(2)で示される置換基、式(3)で示される置換基、又は、水素原子を表す。式(2)で示される置換基を複数有する場合、それぞれのR
3は同一でも異なっていてもよい。R
1及びR
2は、それぞれ炭素数1〜5のアルキレン基を表す。lは、1〜6の整数を表す。lが2以上の場合、複数のA
2、R
1は同一でも異なっていてもよい。なお、式(1)で示される置換基は、その構造中に少なくとも1つは、カルボキシ基を有する。]
【0028】
【化8】
[式(2)中、R
3は、炭素数1〜5のアルキレン基を表す。]
【0029】
【化9】
[式(3)中、D
3及びD
4は、それぞれ式(4)で示される置換基、又は、水素原子を表す。A
3は、式(4)で示される置換基、式(5)で示される置換基、又は、水素原子を表す。式(4)で示される置換基を複数有する場合、それぞれのR
6は同一でも異なっていてもよい。R
4及びR
5は、それぞれ炭素数1〜5のアルキレン基を表す。mは、0〜6の整数を表す。mが2以上の場合、複数のA
3、R
4は同一でも異なっていてもよい。]
【0030】
【化10】
[式(4)中、R
6は、炭素数1〜5のアルキレン基を表す。]
【0031】
【化11】
[式(5)中、D
5、D
6及びD
7は、それぞれ式(6)で示される置換基、又は、水素原子を表す。式(6)で示される置換基を複数有する場合、それぞれのR
9は同一でも異なっていてもよい。R
7及びR
8は、炭素数1〜5のアルキレン基を表す。nは、0〜6の整数を表す。nが2以上の場合、複数のD
7、R
7は同一でも異なっていてもよい。]
【0032】
【化12】
[式(6)中、R
9は、炭素数1〜5のアルキレン基を表す。]
【0033】
式(1)で示される置換基は、窒素原子とアルキレン基(R
1、R
2、R
4、R
5、R
7、R
8)から構成されるアルキレンポリアミン骨格を有している。
そして、式(1)で示される置換基は、その構造中に少なくとも1つは、カルボキシ基を有する。すなわち、A
1及びA
2が、それぞれ式(2)で示される置換基又は水素原子の場合、D
1、D
2、A
1、A
2のいずれかが式(2)で示される置換基である。A
1、A
2のいずれかが式(3)で示される置換基であり、A
3が式(4)で示される置換基又は水素原子である場合には、D
1、D
2、A
1、A
2のいずれかが式(2)で示される置換基であるか、D
3、D
4、A
3のいずれかが式(4)で示される置換基である。A
1、A
2のいずれかが式(3)で示される置換基であり、A
3の少なくとも1つが式(5)で示される置換基である場合には、D
1、D
2、A
1、A
2のいずれかが式(2)で示される置換基であるか、D
3、D
4、A
3のいずれかが式(4)で示される置換基であるか、又は、D
5〜D
7のいずれかが式(6)で示される置換基である。
【0034】
なお、式(1)において、A
1及びA
2が、それぞれ式(2)で示される置換基又は水素原子の場合、アルキレンポリアミン骨格が直鎖状となり、A
1、A
2のいずれかが式(3)で示される置換基である場合、アルキレンポリアミン骨格が分岐構造を有することとなる。前記キレート形成性官能基のアルキレンポリアミン骨格は、直鎖状であっても、分岐構造を有していても、優れた金属イオン捕捉能力を有する。
【0035】
各式において、R
1、R
2、R
4、R
5、R
7及びR
8で表されるアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の直鎖状アルキレン基;1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、3−メチルトリメチレン基、1−エチルエチレン基、2−エチルエチレン基等の分岐状アルキレン基が挙げられる。該アルキレン基の炭素数は、4以下が好ましく、より好ましくは3以下である。R
1、R
2、R
4、R
5、R
7及びR
8で表されるアルキレン基としては、直鎖状アルキレン基が好ましく、エチレン基が特に好適である。なお、R
1、R
2、R
4、R
5、R
7及びR
8は、それぞれ同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
【0036】
各式において、R
3、R
6及びR
9で表されるアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の直鎖状アルキレン基;1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、3−メチルトリメチレン基、1−エチルエチレン基、2−エチルエチレン基等の分岐状アルキレン基が挙げられる。該アルキレン基の炭素数は、3以下が好ましく、より好ましくは2以下である。R
3、R
6及びR
9で表されるアルキレン基としては、直鎖状アルキレン基が好ましく、メチレン基が特に好適である。なお、R
3、R
6及びR
9は、それぞれ同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
【0037】
式(1)において、lは、1〜6の整数を表し、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3である。
式(3)において、mは、0〜6の整数を表し、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3である。
式(5)において、nは、0〜6の整数を表し、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3である。
【0038】
前記キレート形成性官能基は、繊維表面の分子が有する官能基を介して、直接結合していることが好ましい。ここで、「官能基を介して直接結合している」とは、繊維表面の分子が有する官能基と、キレート形成性官能基を構成するアルキレンポリアミンとを反応させることにより、キレート形成性官能基が繊維分子に導入されていることをいう。架橋剤等を用いることなく、繊維自体が有する官能基に直接キレート形成性官能基を導入することにより、置換基の導入量を多くすることができ、キレート形成性繊維の単位質量当たりの金属イオン捕捉能をより高めることができる。
【0039】
ところで、前記キレート形成性官能基は、酸型のままで使用することも勿論可能であるが、用途によっては、該酸型の官能基をアルカリ金属塩やアンモニウム塩に変えて使用することが有効となる場合も多い。そのため、前記式(1)で示される置換基が有するカルボキシ基の少なくとも一部が、アルカリ金属塩及び/又はアンモニウム塩となっていることも好ましい。
【0040】
前記キレート形成性官能基を酸型のままで、水系被処理液と接触させる場合、被処理液の種類によっては、該酸型キレート形成性官能基の存在によって液のpHが低下することがある。この場合、キレート形成性官能基の金属イオン捕捉能が低下することもある。従って、この様な場合は、キレート形成性繊維を金属イオン捕捉材として使用するに先立って、酸型キレート形成性官能基を導入した後、該官能基をアルカリ金属塩型もしくはアンモニウム塩型に変えてから被処理水と接触させる。そうすると、該キレート形成性繊維を金属イオン含有液と接触させても被処理液のpH低下が起こらず、金属イオンを効率よくキレート捕捉し得る。
【0041】
なお上記では、酸型として得たキレート形成性官能基をアルカリ金属塩型やアンモニウム型に変えてから金属イオン含有水の処理に用いる場合について説明した。しかし、最初からアルカリ金属塩型やアンモニウム型のキレート形成性官能基を繊維分子中に導入したものは、そのままで同様の卓越した金属イオン捕捉能を発揮する。従って、この様なアルカリ金属塩型やアンモニウム型のキレート形成性官能基が繊維分子中に導入されたキレート形成性繊維も、新規な物として本発明の保護範囲に包含される。
【0042】
1−2.基材繊維
本発明において、前記キレート形成性官能基が導入される基材繊維は、その表面に官能基を有するものであれば特に限定されない。
前記基材繊維としては、ニトリル基、ハロゲン基等の官能基を有する繊維が挙げられ、例えば、アクリル繊維、アクリル系繊維等の合成繊維が挙げられる。
前記繊維表面の分子が有する官能基としては、ニトリル基、ハロゲン基、カルボニル基、エステル基、アミド基が挙げられる。これらの中でも、ニトリル基、ハロゲン基が好ましい。
前記基材繊維としては、(共)重合体から形成される合成樹脂であって、前記(共)重合体を構成する単量体成分が、上記官能基を有するものが好ましい。このような合成繊維としては、ニトリル基を有するアクリル繊維やアクリル系繊維が望ましい。アクリル繊維及びアクリル系繊維とは、アクリロニトリルと、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリル酸メチル等を共重合させた共重合体から形成された繊維である。アクリル繊維は、共重合体の全構成成分中、アクリロニトリルに由来する構造単位の含有量が85質量%以上である。アクリル系繊維は、共重合体の全構成成分中、アクリロニトリルに由来する構造単位の含有量が35質量%以上85質量%未満である。
【0043】
前記基材繊維の形状にも格別の制限はなく、長繊維のモノフィラメント、マルチフィラメント、短繊維の紡績糸あるいはこれらを織物状もしくは編物状に製織もしくは製編した布帛、更には不織布であってもよい。また、2種以上の繊維を複合もしくは混紡した繊維や織・編物を使用することもできる。
【0044】
さらに被処理物との接触効率を上げるため、上記基材繊維として短繊維状の粉末あるいはフィルター状の素材を使用することも有効である。
【0045】
短繊維状の粉末素材を使用すれば、金属イオンを含む水性あるいは油性液に該短繊維粉末状のキレート形成性繊維を添加して攪拌し、濾過処理を行うという簡単な方法で、金属イオンを捕捉することができる。また、短繊維状の粉末素材を使用すれば、短時間の処理で被処理流体中に含まれる金属イオンを効率よく捕捉して清浄化することができる。
また、該短繊維粉末状のキレート形成性繊維を、カラム等に充填して被処理流体を通過させることによっても、同様の金属イオン捕捉効果を得ることができる。さらに、短繊維状の粉末素材にキレート形成性官能基を導入してから成形等の加工を行えば、金属キレート捕捉能を有する濾過材を容易に得ることができる。
【0046】
前記短繊維状粉末の単繊維径は、1μm以上が好ましく、より好ましくは5μm以上であり、50μm以下が好ましく、より好ましくは30μm以下である。短繊維状粉末の繊維長さは、0.01mm以上が好ましく、より好ましくは0.03mm以上であり、5mm以下が好ましく、より好ましくは3mm以下である。短繊維状粉末のアスペクト比(繊維長/単繊維径)は1以上が好ましく、600以下が好ましく、より好ましくは100以下である。
【0047】
前記基材繊維として用いられるフィルター状の素材は、その形態や構造も格別特殊なものではない。構造・形態としては、例えば、その用途に応じて任意の繊維間隙を有する織・編物もしくは不織布などからなる単層もしくは複層構造のマット状に成形して適当な支持体に組み付けた構造;通液性支持筒の外周側に紐状の繊維を綾巻状に複数層巻回した構造;同繊維からなる織・編物もしくは不織布シートをプリーツ状に折り曲げて支持部材に装着した構造;同繊維を用いて作製した織・編物や不織布を袋状に成形したバグフィルタータイプ;等、公知のあらゆる形態のものが使用できる。
【0048】
基材繊維としてフィルター状の素材を使用する場合も、該フィルター状の素材に直接キレート形成性官能基を導入し、これを上記の様な構造に加工して使用すればよい。この他、上記繊維素材を予めフィルター状に加工してフィルター装置内へ組み込んでおき、該装置内に組込まれた繊維フィルターに直接、キレート官能基を導入する反応を行なえば、フィルター状のベース繊維素材に事後的に前記キレート形成性官能基を導入することができる。
【0049】
この様に、フィルター状の繊維素材にキレート形成性官能基を導入すれば、キレート捕捉能と不溶性夾雑物捕捉能を併せ持ったフィルターを得ることができる。そして、被処理液や被処理ガス中に含まれる不溶性夾雑物の大きさに応じた網目サイズとなる様に繊維密度を調整した繊維素材を使用すれば、被処理液や被処理ガスが該フィルターを通過する際に、該被処理液や被処理ガス中に含まれる金属イオンがキレート形成性官能基によって捕捉されると共に、不溶性夾雑物は該フィルターの網目によって通過を阻止され、金属イオンと不溶性介在物の除去を同時に行うことが可能となる。
【0050】
このとき、使用する繊維素材の太さや織・編密度、積層数や積層密度などを調整し、また紐状のキレート形成性繊維を複数層に巻回してフィルターとする場合は、巻回の密度や層厚、巻回張力などを調整することによって、繊維間隙間を任意に調整できるので、被処理流体中に混入している不溶性夾雑物の粒径に応じて該繊維間隙間を調整することにより、必要に応じた浄化性能のフィルターを得ることができる。
【0051】
前記キレート形成性繊維は、下記式で算出される官能基置換率が100質量%以上であることが好ましく、より好ましくは200質量%以上、さらに好ましくは300質量%以上であり、800質量%以下が好ましく、より好ましくは700質量%以下、さらに好ましくは600質量%以下、特に好ましくは400質量%以下である。
前記官能基置換率が10質量%以上であれば、金属イオン捕捉能力がより向上し、800質量%以下であれば、繊維の膨張や、繊維自体が脆弱になることが抑制される。
官能基置換率(質量%)=[(キレート形成性官能基導入後の繊維質量−キレート形成性官能基導入前の繊維質量)/キレート形成性官能基導入前の繊維質量]×100
【0052】
前記キレート形成性繊維は、1g当たりに含有するカルボキシ基量が、3mmol/g以上が好ましく、より好ましくは4mmol/g以上、さらに好ましくは5mmol/g以上である。前記カルボキシ基量が多いほど、金属捕捉能力は高まる。なお、カルボキシ基量が多くなり過ぎると、置換基一分子当たりの分子量が増し、金属吸着量は低下する傾向があるため、カルボキシ基量は50mmol/g以下が好ましく、より好ましくは30mmol/g以下、さらに好ましくは10mmol/g以下である。
【0053】
2.キレート形成性繊維の製造方法
以下、前記キレート形成性繊維の製造方法の一例を説明する。
キレート形成性繊維の製造方法としては、繊維を構成する分子が有するニトリル基及び/又はハロゲン基に対し、ポリアミン類を結合させる第1工程;繊維に結合したポリアミン類にカルボキシアルキル基を導入する第2工程;を含む方法が挙げられる。
【0054】
前記第一工程における繊維としては、上述した基材繊維を用いればよい。
前記ポリアミン類としては、アルキレンポリアミン、ポリアルキレンポリアミンが挙げられる。前記アルキレンポリアミンとしては、式(7)で示される化合物が挙げられる。
【0055】
【化13】
[式(7)中、R
10及びR
11は、それぞれ同一又は異なって、炭素数1〜5のアルキレン基を表す。jは0〜6の整数を表す。kは1〜3の整数を表す。j又はkが2以上の場合、複数のR
10及びR
11は、同一でも異なっていてもよい。ただし、jが0のとき、kは2又は3である。]
【0056】
式(7)において、R
10及びR
11で表されるアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の直鎖状アルキレン基;1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、3−メチルトリメチレン基、1−エチルエチレン基、2−エチルエチレン基等の分岐状アルキレン基が挙げられる。該アルキレン基の炭素数は、4以下が好ましく、より好ましくは3以下である。R
1、R
2、R
4、R
5、R
7及びR
8で表されるアルキレン基としては、直鎖状アルキレン基が好ましく、エチレン基が特に好適である。
式(7)において、jは、1〜6の整数を表し、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3である。
【0057】
前記アルキレンポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、トリス(2−アミノエチル)アミン等が挙げられる。
【0058】
前記ポリアミン類としてアルキレンポリアミンを用いる場合、その分子量は、60以上が好ましく、より好ましくは100以上、さらに好ましくは140以上であり、300以下が好ましく、より好ましくは250以下、さらに好ましくは200以下である。
【0059】
前記ポリアルキレンポリアミンとして、例えば、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
前記ポリアミン類としてポリアルキレンポリアミンを用いる場合、その重量平均分子量は、500以上が好ましく、より好ましくは1000以上、さらに好ましくは10000以上である。なお、重量平均分子量の上限は特に限定されないが、通常15000程度である。
【0060】
これらのポリアミン類は単独で使用してもよいし、複数を併用してもよい。これらの中でも、ポリアミン類としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、ポリアリルアミン及びポリエチレンイミンを使用することが好ましい。
【0061】
繊維を構成する分子が有するニトリル基及び/又はハロゲン基にポリアミン類を結合させる方法は、特に限定されず、例えば、ポリアミン類の溶液に、ニトリル基及び/又はハロゲン基を有する繊維を浸漬する方法が挙げられる。
前記ポリアミン類の溶液の濃度は、30質量%以上が好ましく、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。なお、溶剤を使用せずにポリアミン類100質量%とすることも好ましい。
繊維を浸漬する際の液温は、ポリアミン溶液の濃度や、反応時の還流条件に応じて適宜調整すればよく、例えば、80℃以上が好ましく、より好ましくは100℃以上である。
また、浸漬時間は、1時間以上が好ましく、より好ましくは2時間以上、さらに好ましくは4時間以上であり、24時間以下が好ましく、より好ましくは16時間以下、さらに好ましくは10時間以下である。
【0062】
前記第2工程において、ポリアミン類にカルボキシアルキル基を導入する方法としては、ポリアミン類に対してハロアルキルカルボン酸を反応させる方法(方法(1));ポリアミン類に対してシアン化合物とホルマリンを反応させる方法(方法(2));等が挙げられる。これらの方法により、繊維分子中のニトリル基及び/又はハロゲン基がアミノカルボン酸化され、前記キレート形成性官能基が繊維表面の分子中に導入される。
【0063】
前記方法(1)において使用するハロアルキルカルボン酸としては、例えば、クロロ酢酸、クロロプロピオン酸、クロロ酪酸、クロロペンタン酸、クロロヘキサン酸等のクロロアルキルカルボン酸;ブロモ酢酸、ブロモプロピオン酸、ブロモ酪酸、ブロモペンタン酸、ブロモヘキサン酸等のブロモアルキルカルボン酸;ヨード酢酸、ヨードプロピオン酸、ヨード酪酸、ヨードペンタン酸、ヨードヘキサン酸等のヨードアルキルカルボン酸;等が挙げられる。これらのハロアルキルカルボン酸は、単独で使用してもよいし、複数を併用してもよい。
【0064】
前記ハロアルキルカルボン酸を構成するハロゲンは、塩素、臭素又はヨウ素であることが好ましく、より好ましくは塩素又は臭素である。また、前記ハロアルキルカルボン酸中のアルキレン鎖は、炭素数1〜5であることが好ましく、炭素数1又は2であることがより好ましい。前記ハロアルキルカルボン酸としては、クロロ酢酸、ブロモ酢酸、ヨード酢酸、クロロプロピオン酸、ブロモプロピオン酸及びヨードプロピオン酸よりなる群から選択される少なくとも1種を用いることがより好適である。
【0065】
ポリアミン類に対してハロアルキルカルボン酸を反応させる方法は、特に限定されず、例えば、ポリアミンを導入した繊維に、アルカリ水溶液中でハロアルキルカルボン酸を反応させる方法が挙げられる。
前記アルカリ水溶液のpHは、9以上が好ましく、より好ましくは9.5以上、さらに好ましくは10以上である。なお、アルカリ水溶液のpHの上限は特に限定されないが、通常12程度である。なお、反応中においても、アルカリ水溶液のpHは上記範囲内に調整することが好ましい。この場合、反応液に水酸化ナトリウム水溶液等を添加すればよい。
前記アルカリ水溶液の液温は、60℃以上が好ましく、より好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上である。また、アルカリ水溶液の液温の上限は特に限定されないが、通常は水の沸点よりも低い温度(100℃未満)で行う。
また、反応時間は、3時間以上が好ましく、より好ましくは4時間以上、さらに好ましくは5時間以上であり、10時間以下が好ましく、より好ましくは9時間以下、さらに好ましくは8時間以下である。
【0066】
前記方法(2)において、ポリアミン類に対してシアン化ナトリウムとホルマリンとを反応させる方法は、特に限定されず、例えば、ポリアミンを導入した繊維に、アルカリ条件下でシアン化ナトリウムとアルデヒド化合物を反応させる方法が挙げられる。
【0067】
前記アルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等が挙げられる。これらの中でも、ホルムアルデヒドが好ましい。
【0068】
前記アルカリ条件としては、アルカリ溶液中で行えばよい。なお、溶媒には、水が使用できる。
前記アルカリ溶液のpHは、9以上が好ましく、より好ましくは9.5以上、さらに好ましくは10以上である。なお、アルカリ溶液のpHの上限は特に限定されないが、通常12程度である。なお、反応中においても、アルカリ溶液のpHは上記範囲内に調整することが好ましい。この場合、反応液に水酸化ナトリウム等を添加すればよい。
前記アルカリ溶液の液温は、70℃以上が好ましく、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは90℃以上であり、150℃以下が好ましく、より好ましくは130℃以下、さらに好ましくは110℃以下である。また、反応時間は、5時間以上が好ましく、より好ましくは6時間以上、さらに好ましくは7時間以上であり、15時間以下が好ましく、より好ましくは12時間以下、さらに好ましくは10時間以下である。
【0069】
前記第2工程において、ポリアミン類に対するカルボキシアルキル基の導入量は、使用するポリアミン類によって適宜調整すればよい。
例えば、ポリアミン類として、ジエチレントリアミンを使用した場合、ジエチレントリアミン1mol当たり3molのカルボキシアルキル基を導入することができる。よって、ジエチレントリアミン1molに対するカルボキシアルキル基の導入量は、1mol以上が好ましく、より好ましくは1.5mol以上、さらに好ましくは2mol以上である。
また、ポリアミン類として、トリエチレンテトラミンを使用した場合、トリエチレンテトラミン1mol当たり4molのカルボキシアルキル基を導入することができる。よって、トリエチレンテトラミン1molに対するカルボキシアルキル基の導入量は、1mol以上が好ましく、より好ましくは2mol以上、さらに好ましくは3mol以上である。
なお、カルボキシアルキル基の導入量の調節は、基材繊維に付与されたポリアミン類の質量からそのmol量を算出し、ポリアミン類のmol量に対するハロアルキルカルボン酸の使用量を調節すればよい。
【0070】
ニトリル基及び/又はハロゲン基をアミノカルボン酸化した後、繊維を遠心脱液、乾燥することによりキレート形成性繊維が得られる。
【0071】
また、酸型のキレート形成性官能基をアルカリ金属塩型やアンモニウム塩型に変える方法には、格別特殊な条件を要するものではなく、通常の中和法を採用すればよい。具体的には、酸型のキレート形成性官能基が導入された繊維を、例えば0.01〜1モル/リットルのアルカリ金属水溶液やアンモニア水にバッチ浸漬し、或いはカラム通液させて中和する方法が挙げられる。
ここで、基材繊維としてセルロース系繊維を使用する場合、該中和処理工程でやや過剰量のアルカリやアンモニアを使用すると、酸型のキレート形成性官能基がアルカリ金属塩またはアンモニウム塩に変換されると共に、ベース繊維自体がアルカリセルロースとなる。これにより、繊維基材としての補助キレート作用も向上し、一段と優れた金属イオン捕捉作用を発揮するので好ましい。
【0072】
3.金属イオンの捕捉法
本発明の金属イオン捕捉法は、上記キレート形成性繊維を用いる。
金属イオン捕捉法としては、キレート形成性繊維を、金属イオンを含む水性液と接触させ、該水性液中の金属イオンをキレート捕捉する方法;キレート形成性繊維を、金属イオンを含む油性液と接触させ、該油性液中の金属イオンをキレート捕捉する方法;キレート形成性繊維を、金属イオンを含む気体と接触させ、該気体中の金属イオンをキレート捕捉する方法;キレート形成性繊維を、キレート形成剤と金属キレート錯体を形成している金属を含む水溶液と接触させ、金属キレート錯体中から金属イオンをキレート捕捉する方法;が挙げられる。
【0073】
金属イオンを捕捉する際には、キレート形成性繊維を、金属イオンを含む水性液、油性液又は気体に接触させればよい。この際の接触時間は、一般的に1時間〜50時間である。また、接触させる際の水性液等の温度は、通常室温程度(15℃〜30℃)でよい。
【0074】
本発明のキレート形成性繊維は、特に、キレート剤と金属との錯体を形成している金属錯体を含む水溶液と接触させた際の、金属錯体中から金属イオンをキレート捕捉する能力に優れている。上記キレート剤としては、特に限定されないが、エチレンジアミン四酢酸、イミノジ酢酸、ニトリロ三酢酸等が挙げられる。
【0075】
4.金属キレート繊維
本発明の金属キレート繊維は、上記キレート形成性繊維が、金属とキレート結合したものである。この金属キレート繊維は、キレート結合した該金属の活性を活かして、各種の触媒、消臭・脱臭・防カビ性、抗菌・殺菌剤、電磁シールド材、光遮蔽材、着色衣料・装飾品、肥料、金属防錆剤等として有効に活用できる。
【0076】
具体的には、触媒活性を有する金属、例えば、鉄等をキレート捕捉させ、レドックス試薬(NOx、SOx等の除去触媒等)としての利用;銅、ニッケル、銀等の抗菌性金属を捕捉させ、抗菌、殺菌性繊維としての利用;銅、ニッケル等をキレート捕捉させ、有害な電磁波を吸収する電磁波シールド材としての利用;銅、コバルト、ニッケル、鉄等の有色金属イオンをキレート捕捉させ、遮光材や着色衣料、装飾品等としての利用;カルシウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛等のごとき植物に必須の微量金属をキレート捕捉させ、肥料としての利用;等が挙げられる。
【実施例】
【0077】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0078】
評価方法
銅捕捉能
キレート形成性繊維又はキレート樹脂1gを、硫酸銅水溶液(濃度5mmol/L)1リットルに添加し、20℃で20時間攪拌した。その後、溶液中に残存する銅イオンを定量することによって、銅捕捉能を調べた。また、硫酸銅水溶液に、キレート剤として、エチレンジアミン四酢酸、イミノジ酢酸又はニトリロ三酢酸のいずれか一種を50mmol/L添加した溶液についても、上記と同様に銅捕捉能を調べた。
【0079】
製造例1
ジエチレントリアミン水溶液(濃度:80質量%)200gに、アクリル繊維(アクリロニトリル単位100質量%)5gを加え、130℃で3時間処理した。その後、遠心脱液・乾燥を行ない、ジエチレントリアミンが付加したアクリル繊維10.1gを得た。
次に、蒸留水200mlにクロロ酢酸81.2gを加え、水酸化ナトリウムを用いて、溶液のpHを10.5に調整した。この溶液に、上記ジエチレントリアミン付加アクリル繊維10.1gを添加し、80℃で6時間処理した。反応中は溶液のpHが低下するため、水酸化ナトリウム水溶液(濃度:26質量%)を滴下し、常に反応液のpHを10.5以上に保ちながら処理を行った。処理した繊維を遠心脱液・乾燥を行ない、キレート形成性繊維(A)23.3gを得た。
得られたキレート形成性繊維は、官能基置換率が366質量%、1g当たりのカルボキシ基量が7.0mmolであった。
【0080】
製造例2
前記製造例1において、ジエチレントリアミンに代えて、トリエチレンテトラミン水溶液(濃度:80質量%)200gを使用した以外は製造例1と同様にして、キレート形成繊維(B)18.8gを得た。
得られたキレート形成性繊維は、官能基置換率が276質量%、1g当たりのカルボキシ基量が4.2mmolであった。
【0081】
上記で得たキレート形成性繊維(A)及び(B)、並びに市販のビーズ状スチレン−イミノジ酢酸系キレート樹脂(三菱化学社製、商品名「ダイヤイオンCR11」)、イミノジ酢酸型キレート繊維(中部キレスト社製、「キレストファイバーIRY−L」)について、銅捕捉能を調べ、結果を表1に示した。
【0082】
【表1】
【0083】
結果は表1に示す通りであり、イミノジ酢酸型キレート繊維を用いた場合は、銅捕捉能力の高いキレート剤が共存すると銅イオンを捕捉できないのに対し、本発明のキレート形成性繊維(A)を使用すると、銅捕捉能力が高いキレート剤が共存しても銅イオン捕捉能力を発揮している。これらの結果からも本発明のキレート形成性繊維は優れた金属イオン捕捉能を有していることを確認できる。