(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
収穫した玉ねぎは、所定期間乾燥させた後、出荷時には根を切除する必要があるが、従来では、玉ねぎの根切除作業は一般にハサミにより手作業で行っていた。
【0003】
ところで、玉ねぎの出荷時期には、短期間のうちに大量の玉ねぎの根切り作業を行う必要があり、しかも根は不規則な方向に延びているので、上記したハサミ(手作業)による根切り作業では、作業能率が非常に悪いとともに根切り作業を長時間継続することは非常に疲れる作業となる。
【0004】
そこで、本件出願人は、実用新案登録第2568657号公報(特許文献1)に示される玉ねぎの根切断機を既に提案している。
【0005】
この公知の玉ねぎの根切断機は、近接配置した左右一対のブラシロール(上面側が相互に内側に向けて回転する)を有し且つそのブラシロールの終端部に根切断装置(一対の円盤刃物)を設けたものである。
【0006】
そして
、この公知の玉ねぎの根切断機では、
葉部分を切除した根付きの玉ねぎを手に持って根が下向きになる状態で両ブラシロール間の上面側谷部に軽く押し付けることにより、両側のブラシロールで玉ねぎの根を下向きに垂下させ、その根垂下状態で玉ねぎを根切断装置側に横移動させることにより、根切断装置(2つの円盤刃物)で根の付け根部分を切断できるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記公知例(特許文献1)の玉ねぎの根切断機では、玉ねぎの根を下向きにして両ブラシロール間に押し付けた後、根切断装置側に横移動させることで玉ねぎの根切りができるので比較的軽作業で行えるが、玉ねぎを1個ずつ手作業で操作する必要があるので、能率面及び作業性について改善すべき点が多々あった。
【0009】
そこで、本願発明は、根切りをすべき玉ねぎ類を投入部から落とし込むだけで、後は自動的に玉ねぎ類の根をきれいに切除し得るようにした玉ねぎ類の根切断機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、玉ねぎ類の根切断機を対象としたものであるが、
本願の玉ねぎ類の根切断機で処理対象とした玉ねぎ類は、葉部分を切除した根付きのものである。又、本願発明において根切りの対象となる玉ねぎ類とは、玉ねぎ自体のほかに、ラッキョウ、ニンニク、ユリ根、球根等を含むものである。そして、以下の説明では、根切り対象となる玉ねぎ類として、玉ねぎ自体で説明する。
【0011】
本
願発明の玉ねぎ類の根切断機は、
葉部分を切除した根付きの玉ねぎ類を処理対象とし、
前側に玉ねぎの投入部と後側に玉ねぎの排出部を設けた本体ケースにおける投入部と排出部間に、水平姿勢で左右に近接又は接触状態で配置した一対のロールからなり且つ該両ロール間の上面部分に玉ねぎを載せて後送させ得るようにした移送ロール体を設置し、
各ロールは、外周に玉ねぎを後送させる機能をもつ螺旋部と玉ねぎの根を下方に垂下げる機能をもつ帯状のブラシ材とをそれぞれ螺旋状に配置して構成し、
移送ロール体の各ロールは、動力装置により各ロール上面側が相互に内側に向けて回転さ
れ、
移送ロール体の駆動状態で両ロール間の上面部に玉ねぎを載せることで、各ロールの左右ブラシ材により玉ねぎの根を垂下げながら各ロールの左右螺旋部により
玉ねぎを後送させ得るように構成
し、
移送ロール体の終端部近傍に、移送ロール体
の終端部から根下向き姿勢で排出された玉ねぎ類の根の根元部分を玉ねぎ類の下面側で切断し得る左右一対の円盤刃物を有した根切断装置を設置している
とともに、
各円盤刃物の上部に、移送ロール体の終端部から排出された玉ねぎ類を左右から弾性的に挟持して各円盤刃物の切断部上を通過させるための平面視円形で左右一対の弾性ロールを設けている、
ことを特徴とするものである。
【0012】
各ロールに設けられている螺旋部は、例えばコイル材を使用することができる。又、この螺旋部は、1条のものでもよいし、2条のものをロール長さ方向に間隔をもたせて設置したものでもよい。ブラシ材は、帯状のものを上記螺旋部の間隔内に螺旋状に配置したものである。
【0013】
各ロールの螺旋部とブラシ材とは、それらの外周面がほぼ同じなるように設定している(尚、コイル材部分の直径をブラシ材部分の直径よりやや小さくしてもよい)。そして、この両ロールを近接(又は接触)配置した状態では、各側の螺旋部外端同士が対面部分で接触(又はほぼ接触、あるいは近接)している一方、各側のブラシ材外端同士が対面部分で接触している。尚、各側のブラシ材外端同士は、相互に所定小長さ(例えば1〜2mm)ずつ重合させてもよい。
【0014】
各ロールの直径は、根切りすべき玉ねぎ類の種類(大きさ)によって適宜の太さのものが採用できる。例えば玉ねぎ用であれば、ロールの直径を10cm〜12cm程度としたものが好適であり、例えばラッキョウのような小形のものでは、該ロールの直径を3cm〜4cm程度としてものが好適である。尚、ロール直径の大小に拘わらず、ロール外周に螺旋部とブラシ材とをそれぞれ螺旋状に配置していることは同じである。
【0015】
本願発明の玉ねぎ類の根切断機では、本体ケースの投入部から
葉なしで根付きの玉ねぎを順次落とし込むだけで、後は次のように根を切断した状態の玉ねぎが自動で排出部から排出されるようになっている。
【0016】
即ち、動力装置により移送ロール体を駆動した状態で、本体ケースの投入部から
葉なしで根付きの玉ねぎを落とし込むと、該玉ねぎが移送ロール体の両ロール間に載った状態で転動するが、このとき両ロールの各ブラシ材間の接触部分に玉ねぎの根の一部が引き込まれる。すると、それに連れて玉ねぎの根全体が順次両ブラシ材間に引き込まれていくことにより、玉ねぎが根を下向きにした姿勢(直立姿勢)に変更されていく。尚、玉ねぎの根は比較的細いものであるが、両ロールの各ブラシ材外端同士を接触(又は小長さだけ重合)させていると、根が細くても確実に引き込むことができる。そして、玉ねぎが直立姿勢になった状態では、根全体が左右のブラシ材で下向きにすごかれるので、該各根がそれぞれ直線状に近い状態に延ばされていく。
【0017】
他方、両ロール間の上面側谷部にある玉ねぎは、上記のように根が下向きに垂下げられると同時に、左右の螺旋部によって直立姿勢
(根が下向き)のままで移送ロール体上を投入部側から排出部側に後送される。そして、該玉ねぎは、直立姿勢のままで移送ロール体の終端部から排出されるが、
該移送ロール体の終端部から排出された玉ねぎを、直立姿勢のままで左右の両弾性ロールで弾性的に挟持しながら両円盤刃物の切断部上を通過させることにより、両円盤刃物によって玉ねぎの根を正確に且つきれいに根元部分で切断するようになる。尚、両円盤刃物は、玉ねぎの下面側で根を切断するようになっているので、切断された根は、そのまま本体ケースの下方に落下する。
【0018】
このように、本願の玉ねぎ類の根切断機は、本体ケースの投入部から
葉なしで根付きの玉ねぎを落とし込むだけで、玉ねぎの根切り作業を自動で行える。
【発明の効果】
【0019】
本願発明の玉ねぎ類の根切断機は、移送ロール体の各ロールとして、外周に玉ねぎ後送機能をも螺旋部と根垂下機能をもつブラシ材をそれぞれ螺旋状に配置したものを使用し、
葉なしで根付きの玉ねぎを投入部から落とし込むだけで、その後は根切り作業の完了まで自動で行えるようになっている。
【0020】
従って、
本願発明の玉ねぎ類の根切断機では、玉ねぎの根切り作業を能率よく処理でき(短時間で大量処理できる)且つ軽作業のみで行えるという効果がある。
【0021】
又、本願発明の玉ねぎ類の根切断機は、移送ロール体の終端部から排出された玉ねぎを、直立姿勢
(根が下向き)のまま左右の両弾性ロールで弾性的に挟持しながら両円盤刃物の切断部上を通過させることができるので、該玉ねぎを直立姿勢に維持したままで
該玉ねぎの下面側で円盤刃物による根切り作業が行える。
【0022】
従って、
本願発明の玉ねぎ類の根切断機では、根切断装置(円盤刃物)による玉ねぎの根切りを正確に(根元で)且つ確実に(失敗なしに)行える
とともに、切断した根をそのまま本体ケースの下方に落下させることができるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[実施例]
以下、
図1〜
図5を参照して本願実施例の玉ねぎ類の根切断機を説明する。尚
、図1の平面図
の右側を下にした状態において、左側が玉ねぎ投入側となる「前」側で、右側が玉ねぎ排出側となる「後」側で、上側が「前」から見た「左」側で、下側が「前」から見た「右」側となるものである。又、各図において、玉ねぎに符号T1〜T4を付し、玉ねぎの根に符号Nを付しているとともに、T1〜T4はそれぞれの位置にある玉ねぎを表示したものである。
尚、この実施例の玉ねぎ類の根切断機で処理される玉ねぎは、図2〜図5にT1〜T3で示すように、葉部分を根元部分で切除し且つ根を残した根付き玉ねぎである。
【0025】
この実施例の玉ねぎ類の根切断機は、
図1に示すように、本体ケース1内の左右2箇
所に1つの玉ねぎ移送装置2と1つの根切断装置4で構成される根処理装置を1セットずつ(合計2セット)配置している。尚、この2セットの根処理装置(それぞれ玉ねぎ移送装置2と根切断装置4で構成されている)は、相互に同じものであって、以下の説明では主として「右」
側の根処理装置について説明する。
【0026】
本体ケース1は、
図1において2点鎖線で四角囲いしたものである。この本体ケース1の前部には左
右に離間した位置に2つの投入部11,11を設けている一方、本体ケース1の後部には該投入部11,11に対応した位置に2つの排出部12,12を設けている。尚、投入部11は投入シュートということがあり、排出部12は排出シュートということがある。
【0027】
本体ケース1内における投入部11と排出部12間には、2本のロール21,22を1組とする移送ロール体20と、該移送ロール体20で後送されてくる玉ねぎTの根Nを切断する根切断装置4とが設置されている。尚、この移送ロール体20と根切断装置4とを1セットとする根処理装置は、左右に2セット使用されている。
【0028】
又、左右各移送ロール体20,20の各ロール21,22(合計4本)は、
図1に示すように共通の動力装置3で、1組となる各ロール21,22がそれぞれ矢印方向に回転せしめられるようになっている。即ち、1組のロール21,22は、動力装置3により各ロール上面側が相互に内側に向けて回転されるようになっている。そして、1組のロール21,22からなる移送ロール体20とその動力装置3とで、後述するように玉ねぎを後送するための玉ねぎ移送装置2を構成しているが、この実施例では、玉ねぎ移送装置2は左右に2つある(
図1参照)。尚、移送ロール体20,20用の動力装置3は、単一のモータ31と、スプロケット及びチエンからなる動力伝達部材32とで構成されている。
【0029】
移送ロール体20を構成する左右の各ロール21,22は、この実施例ではそれぞれ1本の回転軸23に玉ねぎ後送機能を持つコイル状の螺旋部24と玉ねぎの根垂下機能をもつ帯状のブラシ材25とをそれぞれ螺旋状に巻付けたものである。即ち、各ロール21,22は、平面視(
図1)及び側面視(
図2)において螺旋部24とブラシ材25とがロール長さ方向に交互に現れる。尚、この実施例では、各ロール21,22に設けた螺旋部24として、コイル材を巻付けて構成しているので、以下の説明では、該螺旋部24をコイル材ということがある。
【0030】
一対のロール21,22は、
図1に示すように、コイル材(螺旋部)24及びブラシ材25を右回転方向に進行するように螺旋巻付けしたもの(符号21のロール)と、逆にコイル材24及びブラシ材25を左回転方向に進行するように螺旋巻付けしたもの(符号22のロール)とを有している。尚、この実施例では、1本の回転軸23に対してコイル材24は1条だけしか巻付けていないが、他の実施例では1本の回転軸23に2条のコイル材24を巻付けけたものでもよい。
【0031】
各ロール21,22におけるコイル材24とブラシ材25とは、それらの外周面がほぼ同じなるように設定している。尚、他の実施例では、コイル材24部分の直径をブラシ材25部分の直径よりやや小さくしたものでもよい。
【0032】
この各ロール21,22の太さ(コイル材24とブラシ材25の各直径)は、玉ねぎを対象とするものでは10cm〜12cm程度(特に限定するものではない)のものが好適であるが、例えばラッキョウのような小形のものを対象とするものでは、該ロール21,22の直径を3cm〜4cm程度とし
たものが好適である。尚、ロール直径の大小に拘わらず、ロール外周にコイル材(螺旋部)24とブラシ材25とをそれぞれ螺旋状に配置していることは同じである。
【0033】
この両ロール21,22は、
図1に示すように、本体ケース1内における投入部11と排出部12間において左右に近接(又は接触状態で)配置している。即ち、
図1に示す配置状態では、各側のコイル材24,24部分の外端同士が対面部分で接触している(僅かに離間した近接状態でも可)一方、各側のブラシ材25,25の外端同士が対面部分で接触している。尚、各側のブラシ材25,25の外端同士は、相互に所定小長さ(例えば1〜2mm)ずつ重合させてもよい。
【0034】
両ロール21,22からなる移送ロール体20の上部側左右位置には、各ロール21,22の外周寄り上面に向かって下降傾斜する左右のガイド板13,13が設けられている。尚、この各ガイド板13,13は、玉ねぎが左右外側に脱落するのを防止するものである。
【0035】
移送ロール体20は、動力装置3によって各ロール21,22が
図1〜
図4においてそれぞれ矢印方向(相互に内向き方向)に回転されるが、そのとき両ロール21,22間の上面側谷部に載っている玉ねぎに対して次のように作用する。
【0036】
即ち、運転状態で投入部11から
葉なしで根付きの玉ねぎを移送ロール体20上に落とし込む(符号T1の位置)と、該玉ねぎが両ロール21,22間の上面側谷部において転動するが、このときの玉ねぎの姿勢は不特定である。そして、玉ねぎが転動することにより、まず玉ねぎT1の根Nの一部が左右のブラシ材25,25で下方に引き込まれ、続いて該玉ねぎT1の全部の根Nが両ブラシ材25,25間に垂下げられる。このとき、玉ねぎは、根Nが下方に付勢されることにより、
図2に符号T1で示すように
根を下向きにした直立姿勢状態に維持される。尚、玉ねぎの根Nは比較的細いものであるが、両ロール21,22の各ブラシ材25,25の外端同士を接触(又は小長さだけ重合)させていると、根が細くても確実に引き込むことができる。
【0037】
他方、両ロール21,22間の上面側谷部に載っている玉ねぎは、両ロール21,22の各コイル材24,24によって直立姿勢
(根が下向きの姿勢)のまま順次後送されていく。即ち、該玉ねぎは、直立姿勢のままで(あるいは直立姿勢に向けながら)
図1及び
図2における符号T1の位置から符号T2の位置まで後送されるようになっている。尚、玉ねぎの後送機能は、コイル材24,24とともにブラシ材25,25でも作用する。
【0038】
移送ロール体20の終端部近傍には、左右一対の円盤刃物41,41を有した根切断装置4が設けられている。この根切断装置4は、2本の縦向き軸40,40にそれぞれ円盤刃物41,41を取付け、該両円盤刃物41,41を移送ロール体20の終端部近傍位置における玉ねぎの根Nの根元部分を切断し得る高さにセットしている(
図5参照)。又、各縦向き軸40,40は、動力装置5によって
図1に示す矢印方向(円盤刃物41,41の重合する部分がそれぞれ「前」側から「後」側に向けて回転する方向)に回転せしめられる。尚、根切断装置4の各円盤刃物41,41は、2セットの移送ロール体20,20のそれぞれ終端部付近に同じものが1セットずつ設置されているが、両根切断装置4,4の動力装置5としては、単一のモータ51と、両側の各縦向き軸40(合計4本)に掛け回した動力伝達部材(スプロケットとチエン)52が用いられている。
【0039】
この実施例では、各円盤刃物41,41の上部にそれぞれ
平面視円形の弾性ロール42,42が取付けられている。この各弾性ロール42,42には、半径方向に圧縮・復帰する柔軟なスポンジ製のものが採用できるが、ブラシロールを使用することもできる。この両弾性ロール42,42の直径は、該両弾性ロール42,42の対向部分の間隔が、玉ねぎの直径よりかなり小さくなるように設定されている(例えば2〜3cm程度の間隔に設定)。尚、この弾性ロール42,42の機能については後述する。
【0040】
両円盤刃物41,41の下方には、後述するように円盤刃物で切断された玉ねぎの根を案内する根受シュート14が設けられている。又、この根受シュート14の下方には、切断された玉ねぎを収容する根受容器Xが設置される。
【0041】
両円盤刃物41,41の「後」側には排出部となる排出シュート12が取付けられている(左右に2箇所ある)。又、この排出シュート12の下方には根切断済の玉ねぎT4を収容する玉ねぎ受容器Yが設置される。
【0042】
この実施例の玉ねぎ類の根切断機では、本体ケース1の投入部(投入シュート)11から根付きの玉ねぎを順次落とし込むだけで、後は次のように根を切断した状態の玉ねぎT4が自動で排出部(排出シュート)12から排出されるようになっている。
【0043】
即ち、玉ねぎ移送装置2側の動力装置3及び根切断装置4側の動力装置5をそれぞれ作動させると、移送ロール体20(2セットある)の各ロール21,22が相互に内向きに回転する一方、一対の円盤刃物41,41(及びその上の各弾性ロール42,42)が回転する。そして、この作動状態で本体ケース1の投入シュート11(2箇所ある)から根付き玉ねぎを落とし込むと、該玉ねぎが移送ロール体20の始端部寄り位置において両ロール21,22間の上面側谷部に載る(符号T1の位置)。すると、両ロール21,22が回転していることにより、該玉ねぎが転動するが、このとき両ロール21,22の各ブラシ材25,25間の接触部分に玉ねぎの根Nの一部が引き込まれ、それに連れて玉ねぎの根全体が順次両ブラシ材25,25間に引き込まれていき、玉ねぎが根を下向きにした直立姿勢(
図2の符号T1の姿勢)に変更されていく。このとき、玉ねぎT1の直立姿勢において、根N全体が左右のブラシ材25,25で下向きにすごかれるので、該各根Nがそれぞれ直線状に近い状態に延ばされていく。
【0044】
他方、両ロール21,22間の上面側谷部にある玉ねぎT1は、上記のように根Nが下向きに垂下げられると同時に、左右のコイル材24,24によって直立姿勢のままで移送ロール体2上を投入部11側から排出部12側に後送される。このとき、玉ねぎの根Nが両ブラシ材25,25で下方に引き込まれていることにより、玉ねぎの下面がコイル材24,24に確実に接触し、それによって玉ねぎの後送機能が確実となる。
【0045】
このように、移送ロール体20の各ロール21,22は、ブラシ材25による玉ねぎ垂下げ機能とコイル材24による玉ねぎ後送機能の両機能を有しているので、移送ロール体20上に玉ねぎを落とし込むだけで、該玉ねぎを適正姿勢(直立姿勢)で順次後送させることができる。
【0046】
そして、該玉ねぎは、直立姿勢のままで移送ロール体2の終端部まで移送された後(符号T2の位置)、そこから円盤刃物41,41側に排出され、該玉ねぎT2が両円盤刃物41,41の切断部(刃先重合部)上を通過する際に(符号T3)、該玉ねぎT3の根Nの根元部分が両円盤刃物41,41で切断される。
このとき、両円盤刃物41,41は玉ねぎT3の下面側で根Nを切断するようになっているので、該両円盤刃物41,41で切断された根Nはそのまま(根受シュート14に案内されて)下方に落下する。
【0047】
ところで、玉ねぎの根を円盤刃物41,41で切断する際に、該根Nをきれいに切断するには玉ねぎをできるだけ直立姿勢に維持させておくことが望まれる。そこで、この実施例では、移送ロール体20の終端部から玉ねぎが排出されると、その玉ねぎを各円盤刃物41,41の上にある両弾性ロール42,42で直ち挟持するようにしている。尚、両弾性ロール42,42間で玉ねぎT3を挟持した状態では、該両弾性ロール42,42の挟持部分が
図5に符号42a,42aで示すように玉ねぎの外形に沿って凹むようになる(この凹み42aは玉ねぎが通過すると元に復帰する)。
【0048】
このように両弾性ロール42,42で玉ねぎを挟持する(
図1、
図5の符号T3)と、該玉ねぎT3を直立姿勢に維持させることができ、根Nが確実に下向きに垂下する。そして、該玉ねぎT3を両弾性ロール42,42で挟持したまま円盤刃物41,41の切断部(刃先重合部)上を通過させると、該玉ねぎT3の根Nを正確に根元部分で切断できる。
【0049】
円盤刃物41,41部分で切断された根Nは、根受シュート14を通って根受容器X内に収容される一方、円盤刃物部分を通過した根切断済の玉ねぎT4は、排出シュート12を通って玉ねぎ受容器Y内に収容される。
【0050】
このように、この実施例の玉ねぎ類の根切断機は、投入シュート11から移送ロール体20上に玉ねぎを落とし込むだけで、玉ねぎの根の垂下げ作業と玉ねぎの後送作業が自動で行われ、さらに根切断装置4による根切り作業を経て根切り済の玉ねぎを自動で回収できる。従って、玉ねぎの根切り作業を能率よく行えるとともに、その根切り作業が軽作業となるという利点がある。