特許第5874094号(P5874094)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5874094
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】巻芯及びウェブ材の巻き取り方法。
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/10 20060101AFI20160218BHJP
   B65H 75/28 20060101ALI20160218BHJP
【FI】
   B65H75/10
   B65H75/28
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-136172(P2015-136172)
(22)【出願日】2015年7月7日
【審査請求日】2015年7月13日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594155137
【氏名又は名称】株式会社美方
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 義英
【審査官】 藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−184152(JP,A)
【文献】 特開2009−242059(JP,A)
【文献】 実開平03−073571(JP,U)
【文献】 特開2012−020854(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0248643(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 19/28,75/00−75/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブ材を巻き取る巻芯であって、
円筒状の巻芯本体と、
前記巻芯本体の外周面に貼り付けられ緩衝材シートと
を備え、
前記緩衝材シートは、前記巻芯本体の周方向に、第1の緩衝材シートと第2の緩衝材シートとが継ぎ合わされて、前記巻芯本体の外周面に、全周に亘って貼り付けられており、
前記第1の緩衝材シートと前記第2の緩衝材シートとの継ぎ目の少なくも一方は、前記巻芯本体の軸方向に対して傾斜している、巻芯。
【請求項2】
前記第1の緩衝材シートは、前記巻芯本体の周方向に、所定の隙間を開けて、前記巻芯本体の外周面に貼り付けられており、
前記第2の緩衝材シートは、前記隙間の領域に貼り付けられている、請求項1に記載の巻芯。
【請求項3】
前記第1の緩衝材シートは、一対の底辺が、前記巻芯本体の軸方向に垂直な台形をなしており、
前記第2の緩衝材シートは、前記第1の緩衝材シートの一対の斜辺と同じ傾斜角を有する楔形をなしている、請求項1に記載の巻芯。
【請求項4】
前記第2の緩衝材シートの表面は、粘着性を有している、請求項1に記載の巻芯。
【請求項5】
ウェブ材を巻芯に巻き取る巻き取り方法であって、
円筒状の巻芯本体の外周面に、全周に亘って緩衝材シートを貼り付ける工程と、
前記緩衝材シートの上に、前記ウェブ材の端部を貼り付ける工程と、
前記ウェブ材を前記巻芯本体に巻き付ける工程と
を含み、
前記緩衝材シートを貼り付ける工程は、
前記巻芯本体の周方向に、第1の緩衝材シートを貼り付ける工程と、
前記第1の緩衝材シートと継ぎ合わせて、第2の緩衝材シートを貼り付ける工程と
を含み、
前記第1の緩衝材シートと前記第2の緩衝材シートとの継ぎ目の少なくも一方は、前記巻芯本体の軸方向に対して傾斜している、ウェブ材の巻き取り方法。
【請求項6】
前記第1の緩衝材シートは、前記巻芯本体の周方向に、所定の隙間を開けて、前記巻芯本体の外周面に貼り付けられ、
前記第2の緩衝材シートは、前記隙間の領域に貼り付けられる、請求項5に記載のウェブ材の巻き取り方法。
【請求項7】
前記第2の緩衝材シートの表面は、粘着性を有しており、
前記ウェブ材の端部は、前記第2の緩衝材シートの上に貼り付けられる、請求項5に記載のウェブ材の巻き取り方法。
【請求項8】
前記第2の緩衝材シートの上に粘着テープを貼る工程をさらに備え、
前記ウェブ材の端部は、前記粘着テープの上に貼り付けられる、請求項5に記載のウェブ材の巻き取り方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブ材を巻き取る巻芯、及びウェブ材を巻芯に巻き取る巻き取り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムやシート等のウェブ材をロール状に巻き取るには、円筒状の巻芯の外周面にウェブ材の先端を粘着材等で固定した後、巻芯を回転させて巻き取る方法が一般に用いられている。
【0003】
ところで、巻芯の表面は、一般に硬いために、可塑性を有するウェブ材をロール状に巻き取る場合、巻芯の外周面と、ウェブ材の巻き付け端部との間に段差が生じ、この段差上に巻かれたウェブ材には段差により不可逆な変形が生じる。そして、その変形したウェブ材に巻き重ねられたウェブ材にも同様の変形が転写するため、巻き始めから数周〜数十周以上にわたって、ウェブ材に歪み等の不可逆な段差痕が生じるという問題があった。このような段差痕の発生は、ウェブ材の平坦性を低下させることになり、製品ロスやコストアップの原因になっていた。
【0004】
このような段差痕の発生を低減させるために、特許文献1には、巻芯の外周面に、緩衝層を設ける技術が開示されている。この技術によれば、ウェブ材の巻き付け端部が、緩衝層内に沈み込むことによって、ウェブ材の厚みによる段差が緩和されるため、段差痕を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−162478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
巻芯の外周面に、緩衝層を巻き付ける方法としては、緩衝材シートを、継ぎ目が巻芯の軸方向と平行になるように巻き付ける方法、あるいは、継ぎ目が巻芯の表面に螺旋状になるように巻き付ける方法がある。
【0007】
ところで、巻芯にウェブ材を巻き取る際は、巻芯の中空部にシャフトを挿入し、このシャフトを回転することにより行われるため、巻芯の内径公差は、非常に小さな値(例えば、内径3インチ(76.2mm)の巻芯の仕様の内径公差は±0.2〜0.3mm)に規制されている。その一方、巻芯の外径公差は、特に規制されておらず、それ故に、巻芯の外径は、寸法がばらついている。そのため、緩衝材シートを、継ぎ目が巻芯の軸方向と平行になるように巻き付けた場合、緩衝材シートの端同士が重なったり、あるいは、継ぎ目に隙間が生じてしまうことがある。このような状態でウェブ材を巻芯に巻き取ると、ウェブ材に、緩衝材シートの重なりや隙間に起因する歪み等が新たに発生するという問題がある。
【0008】
一方、緩衝材シートを、継ぎ目が巻芯の表面に螺旋状になるように巻き付けた場合は、上記のような問題が生じることは少ないが、自動で巻き取りを行う場合、通常、巻き取り条件(例えば、巻き取り角度等)は一定に設定されているため、巻芯の外径や肉厚のばらつきが大きいと、螺旋状の継ぎ目に重なりや隙間が生じてしまうことがある。このような状態でウェブ材を巻芯に巻き取ると、ウェブ材に、緩衝材シートの重なりや隙間に起因する歪み等が新たに発生するという問題がある。また、自動で巻き取りを行う場合、高価な自動巻き機の設備が必要になるため、コストアップに繋がるという問題がある。
【0009】
ところで、緩衝材シートが巻き付けられた巻芯にウェブ材を巻き取る際は、緩衝材シートの表面に粘着テープを貼り付け、この粘着テープにウェブ材の端部を貼り付けて固定することによって、ウェブ材が巻芯に巻き取られる。
【0010】
ウェブ材が巻き取られた巻芯は、例えば、出荷先でウェブ材が巻芯から巻き出されて使用された後、再び、ウェブ材の巻き取りに使用される場合(リサイクル使用)がある。このとき、ウェブ材の端部を固定していた粘着テープは、粘着性が弱くなっているため、粘着テープを一旦剥がして、新しい粘着テープを緩衝材シートの上に貼り付ける必要が生じる。しかしながら、粘着テープを緩衝材シートから剥がす際、緩衝材シートの表面に破損が生じたり、あるいは、取りきれない粘着テープの残渣が生じたりすることがある。もし、緩衝材シートの表面に破損等が生じた状態で、ウェブ材を巻き取ると、ウェブ材に、緩衝材シート表面の破損等に起因する変形等が発生するおそれがある。この場合、緩衝材シートを剥がして、新しい緩衝材シートを巻芯に巻き付ける必要があるため、材料コストが増大するという問題がある。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、その主な目的は、巻芯本体の外径がばらついても、緩衝材シートを、確実にかつ容易に、継ぎ目に隙間なく貼り付けることができる巻芯及びウェブ材の巻き取り方法を提供することにある。
【0012】
また、本発明の他の目的は、巻芯をリサイクルして使用する際に、緩衝材シート上に貼り付けたウェブ材固定用の粘着テープが破損したとき、緩衝材シートの貼り替えを、容易にかつ安価に行うことができる巻芯及びウェブ材の巻き取り方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る巻芯は、ウェブ材を巻き取る巻芯であって、円筒状の巻芯本体と、巻芯本体の外周面に貼り付けられ緩衝材シートとを備え、緩衝材シートは、巻芯本体の周方向に、第1の緩衝材シートと第2の緩衝材シートとが継ぎ合わされて、巻芯本体の外周面に、全周に亘って貼り付けられており、第1の緩衝材シートと第2の緩衝材シートとの継ぎ目の少なくも一方は、巻芯本体の軸方向に対して傾斜していることを特徴とする。
【0014】
本発明に係るウェブ材の巻き取り方法は、ウェブ材を巻芯に巻き取る巻き取り方法であって、円筒状の巻芯本体の外周面に、全周に亘って緩衝材シートを貼り付ける工程と、緩衝材シートの上に、ウェブ材の端部を貼り付ける工程と、ウェブ材を巻芯本体に巻き付ける工程とを含み、緩衝材シートを貼り付ける工程は、巻芯本体の周方向に、第1の緩衝材シートを貼り付ける工程と、第1の緩衝材シートと継ぎ合わせて、第2の緩衝材シートを貼り付ける工程とを含み、第1の緩衝材シートと第2の緩衝材シートとの継ぎ目の少なくも一方は、巻芯本体の軸方向に対して傾斜していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、巻芯本体の外径がばらついても、緩衝材シートを、確実にかつ容易に、継ぎ目に隙間なく貼り付けることができる。
【0016】
また、本発明によれば、巻芯をリサイクルして使用する際に、緩衝材シートの貼り替えを、容易にかつ安価に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】本発明の一実施形態における巻芯の外周面に貼り付けられる緩衝材シートの構成を模式的に示した図である。
図1B】本発明の一実施形態における巻芯の外周面に貼り付けられる緩衝材シートの構成を模式的に示した図である。
図2A】本発明の一本実施形態における巻芯本体の外周面に、第1及び第2の緩衝材シートを貼り付ける工程を模式的に示した斜視図である。
図2B】本発明の一本実施形態における巻芯本体の外周面に、第1及び第2の緩衝材シートを貼り付ける工程を模式的に示した斜視図である。
図2C】本発明の一本実施形態における巻芯本体の外周面に、第1及び第2の緩衝材シートを貼り付ける工程を模式的に示した斜視図である。
図3】本発明の一本実施形態における巻芯本体の外周面に、第1及び第2の緩衝材シートを貼り付ける工程を模式的に示した斜視図である。
図4】発明の他の実施形態におけるウェブ材を巻芯に巻き取る巻き取り方法を説明する図である。
図5】発明の他の実施形態におけるウェブ材を巻芯に巻き取る巻き取り方法を説明する図である。
図6】発明の他の実施形態におけるウェブ材を巻芯に巻き取る巻き取り方法を説明する図である。
図7A】本発明の他の実施形態における巻芯の外周面に貼り付けられる緩衝材シートの構成を模式的に示した図である。
図7B】本発明の他の実施形態における巻芯の外周面に貼り付けられる緩衝材シートの構成を模式的に示した図である。
図8A】本発明の他の実施形態における第2の緩衝材シートの構成を模式的に示した図である。
図8B】本発明の他の実施形態における第2の緩衝材シートの構成を模式的に示した図である。
図9】本発明の他の実施形態における第1及び第2の緩衝材シートの構成を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。また、本発明の効果を奏する範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。
【0019】
図1A及び図1Bは、本発明の一実施形態における巻芯の外周面に貼り付けられる緩衝材シートの構成を模式的に示した図である。
【0020】
図1Aに示すように、本実施形態における緩衝材シートは、台形形状の第1の緩衝材シート11と、楔形形状の第2の緩衝材シート12との組み合わせからなる。なお、図1Bは、第1の緩衝材シート11及び第2の緩衝材シート12を分離して配置した図である。
【0021】
図1Bに示すように、第1の緩衝材シート11は、一対の底辺11a、11bが、巻芯本体(不図示)の軸方向Yに垂直な台形をなしている。また、第2の緩衝材シート12は、一対の斜辺12c、12dが、第1の緩衝材シート11の一対の斜辺11c、11dと軸方向Yに対して、同じ傾斜角を有する楔形をなしている。すなわち、第2の緩衝材シート12の斜辺12c、12dは、それぞれ、第1の緩衝材シート11の斜辺11c、11dと平行になっている。
【0022】
また、図1Aに示すように、第1の緩衝材シート11及び第2の緩衝材シート12の巻芯本体の周方向Xにおける幅を、それぞれ、W、Wとしたとき、W+Wは、巻芯本体の周方向の長さ(円周)に略等しくなるように設定されている。また、第1の緩衝材シート11の高さLは、巻芯本体の軸方向Yの長さに略等しくなるように設定されている。また、第1の緩衝材シート11の高さLは、巻芯本体の軸方向Yの長さより長くなるように設定(L>L)されている。
【0023】
図2A図2C、及び図3は、本実施形態における巻芯本体の外周面に、図1A、1Bに示した第1及び第2の緩衝材シート11、12を貼り付ける工程を模式的に示した斜視図である。
【0024】
まず、図2Aに示すように、円筒状の巻芯本体20の外周面に、第1の緩衝材シート11を貼り付ける。このとき、第1の緩衝材シート11の幅は、巻芯本体20の円周の長さよりも短いため、第1の緩衝材シート11は、巻芯本体20の周方向に、所定の隙間20aを開けて、巻芯本体20の外周面に貼り付けられる。なお、この隙間20aは、巻芯本体20の軸方向に沿って、徐々に拡がっている。
【0025】
次に、図2Bに示すように、第2の緩衝材シート12を、隙間20aの領域に貼り付ける。このとき、第2の緩衝材シート12を、隙間20aの外周面に沿って、矢印Aの方向にスライドさせることによって、容易に、隙間20aの領域に嵌め込むことができる。また、第2の緩衝材シート12の斜辺12c、12dは、それぞれ、第1の緩衝材シート11の斜辺11c、11dと平行になっているため、図2Cに示すように、第1の緩衝材シート11と第2の緩衝材シート12との2箇所の継ぎ目(11c、12cと11d、12d)を、隙間なく貼り付けることできる。さらに、巻芯本体20の外径がばらついて、隙間20aの幅が変化しても、第2の緩衝材シート12のスライド量を調整することによって、確実にかつ容易に、第1の緩衝材シート11と第2の緩衝材シート12との継ぎ目を、隙間なく貼り付けることができる。
【0026】
なお、第2の緩衝材シート12の長さLは、巻芯本体20の軸方向の長さLよりも長く設定されているため、図2Cに示すように、第2の緩衝材シート12の軸方向両端部において、巻芯本体20からはみ出た部分13a、13bが生じることになる。そこで、はみ出た部分13a、13bを切断することによって、図3に示すように、巻芯本体20の外周面に緩衝材シート10(11、12)が貼り付けられた巻芯を得ることができる。
【0027】
ここで、第1の緩衝材シート11及び第2の緩衝材シート12の巻芯本体20への貼り付けは、例えば、巻芯本体20の表面、若しくは、第1の緩衝材シート11の貼り付ける面に、粘着剤等を塗布して行うことができる。あるいは、第1の緩衝材シート11を両面接着テープを介して、巻芯本体20の表面に貼り付けてもよい。
【0028】
本実施形態におけるウェブ材を巻き取る巻芯は、円筒状の巻芯本体20と、巻芯本体20の外周面に貼り付けられ緩衝材シート10とを備え、緩衝材シート10は、巻芯本体20の周方向に、第1の緩衝材シート11と第2の緩衝材シート12とが継ぎ合わされて、巻芯本体20の外周面に、全周に亘って貼り付けられており、第1の緩衝材シート11と第2の緩衝材シート12との継ぎ目は、巻芯本体20の軸方向に対して傾斜していることを特徴とする。
【0029】
このような構成により、第1の緩衝材シート11と第2の緩衝材シート12との継ぎ目を、隙間なく貼り付けることできるとともに、巻芯本体20の外径がばらついても、第2の緩衝材シート12の軸方向のスライド量を調整することによって、確実にかつ容易に、第1の緩衝材シート11と第2の緩衝材シート12との継ぎ目を、隙間なく貼り付けることができる。
【0030】
次に、図4図6を参照しながら、本発明の他の実施形態におけるウェブ材を巻芯に巻き取る巻き取り方法を説明する。
【0031】
まず、図4に示すように、図3に示した緩衝材シート10(11、12)が貼り付けられた巻芯を用意して、第2の緩衝材シート12の上に、粘着テープ30を貼り付ける。
【0032】
次に、図5に示すように、粘着テープ30に、ウェブ材40の端部40aを貼り付ける。なお、図5では、ウェブ材40の端部40aを、その先端部が、第2の緩衝材シート12上にくるように配置したが、第1の緩衝材シート11Bにくるように配置してもよい。ここで、図5は、巻芯の外周の一部を、巻芯の軸方向から見た拡大部分断面図である。
【0033】
次に、図6に示すように、ウェブ材40を巻芯本体20に巻き付ける。ここで、図6は、巻芯本体20に、1周目から3周目のウェブ材40A、40B、40Cが巻き取られた状態を示した拡大部分断面図である。
【0034】
図6に示すように、ウェブ材40の端部40aは、2周目以降のウェブ材40B、40Cの巻き取りによって、第2の緩衝材シート12のウェブ材端部40aに接触する部位12A、及び部位12A近傍の第1の緩衝材シート11の部位11Aが、ウェブ材40Aの厚み分だけ沈み込む。これにより、ウェブ材端部40aの段差に起因して発生する段差痕を抑制することができる。
【0035】
このようにウェブ材40が巻き取られた巻芯は、例えば、出荷先でウェブ材40が巻き出されて使用された後、再び、ウェブ材40の巻き取りに使用される。このとき、ウェブ材端部40aを固定していた粘着テープ30は、粘着性が弱くなっているため、粘着テープ30を一旦剥がして、新しい粘着テープ30を第2の緩衝材シート12の上に貼り付ける必要が生じる。しかしながら、粘着テープ30を緩衝材シートから剥がす際、緩衝材シートの表面に破損等が生じるおそれがある。もし、緩衝材シートの表面に破損等が生じた状態で、ウェブ材40を巻き取ると、ウェブ材40に、緩衝材シート表面に破損等に起因する変形等が発生するおそれがある。この場合、緩衝材シートを剥がして、新しい緩衝材シートを巻芯に巻き付ける必要がある。
【0036】
従来のように、一枚の緩衝材シートを、継ぎ目が巻芯の軸方向と平行になるように巻き付ける方法、あるいは、継ぎ目が巻芯の表面に螺旋状になるように巻き付ける方法で、巻芯本体20に貼り付けていた場合には、緩衝材シートを全部剥がして、新しい緩衝材シートを貼り付ける必要がある。
【0037】
これに対して、本実施形態では、粘着テープ30は、第2の緩衝材シート12の上に貼り付けられているため、第2の緩衝材シート12を貼り替えるだけでよい。特に、第2の緩衝材シート12は、巻芯本体20の外径がばらついて、隙間20aの幅が変化しても、第1の緩衝材シート11との継ぎ目に隙間が生じないよう、その調整を行う機能を有していればよいため、第1の緩衝材シート11に比べて、第2の緩衝材シート12の面積を、必要最小限に小さくすることができる。従って、巻芯をリサイクルして使用する際に、従来に比べて、材料コストを大幅に削減することができる。
【0038】
本実施形態において、緩衝材シート10(11、12)は、弾性若しくは可塑性を有し、段差痕の低減に効果を奏する特性を有するものであれば、その材料や厚み等は特に限定されない。例えば、緩衝材シート10(11、12)の材料として、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリウレタン系等からなる発泡樹脂や、アクリルゴム等からなるゴム類などを用いることができる。
【0039】
本実施形態において、ウェブ材40は、帯状の長尺物であれば特に限定されず、例えば、金属箔、プラスチックフィルム、紙シート、布シート、あるいは、これらのいずれかが積層されたもの等が挙げられる。
【0040】
また、巻芯本体20は、ウェブ材40を巻き取る上での必要な強度を有していれば、その材料は特に限定されず、例えば、紙や樹脂、金属等の材料を用いることができる。
【0041】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、もちろん、種々の改変が可能である。
【0042】
例えば、上記実施形態では、第1の緩衝材シート11及び第2の緩衝材シート12を、図1A、1Bに示したような形状を例に説明したが、このような形状に限定されるものではなく、第1の緩衝材シート11と第2の緩衝材シート12との継ぎ目の少なくとも一方が、巻芯本体20の軸方向に対して傾斜していればよい。例えば、第1の緩衝材シート11及び第2の緩衝材シート12は、図7A、7Bに示すような形状のものであってもよい。すなわち、第1の緩衝材シート11は、一対の底辺11a、11bが、巻芯本体20の軸方向Yに垂直な台形であって、一対の辺11c、11dのうち、一方の辺11dだけが、底辺11a、11bに対して傾斜をなしている。また、第2の緩衝材シート12は、第1の緩衝材シート11の一対の辺11c、11dと、それぞれ傾斜角が同じ一対の辺12c、12dを有する楔形をなしている。また、本実施形態において、第2の緩衝材シート12の形状を、「楔形」と称しているが、図1B図7Bに示したように、その先端は、必ずしも尖った形(三角形)である必要はない。
【0043】
また、上記実施形態では、第1の緩衝材シート11と第2の緩衝材シート12とを継ぎ合わせて緩衝材シート10を構成したが、第1の緩衝材シート11及び/又は第2の緩衝材シート12が、それぞれ複数の緩衝材シートで構成されていても構わない。
【0044】
また、上記実施形態では、第2の緩衝材シート12の上に、ウェブ材40の端部40aを固定するための粘着テープ30を貼り付けたが、これに限定されず、例えば、第2の緩衝材シート12として、表面が粘着性を有するものを用いてもよい。これにより、ウェブ材40の端部40aを、直接、緩衝材シート12に貼り付けて固定することができるため、作業コストや材料コストの低減を図ることができる。
【0045】
表面が粘着性を有する緩衝材シート12としては、例えば、弾性または可塑性を有する材料からシートの表面に、粘着剤を形成したものを用いることができる。あるいは、緩衝材シート12を、可塑性及び自己粘着性を有する材料で構成してもよい。このような緩衝材シート12として、例えば、アクリル系、シリコーン系、ゴム系、エラストマー系、ウレタン系、ビニル系等の材料を用いることができる。
【0046】
なお、第1の緩衝材シート11及び第2の緩衝材シート12は、同じ材料で構成することが好ましいが、別の材料で構成してもよい。
【0047】
上記実施形態では、図2Bに示したように、第2の緩衝材シート12を、隙間20aの外周面に沿ってスライドさせて、隙間20aの領域に嵌め込むようにしたが、第2の緩衝材シート12の巻芯本体20側の面(裏面)が、粘着性を有していると、第2の緩衝材シート12をスムーズにスライドさせづらくなる。そこで、図8に示すように、第2の緩衝材シート12の裏面に、離型フィルム50を貼っておけば、第2の緩衝材シート12をスムーズにスライドさせることができる。このとき、離型フィルム50を、図8Aに示すように、切り取り線51に沿って、互いに分離可能にしておくことが好ましい。この場合、まず、離型フィルム50を付けたまま、第2の緩衝材シート12をスライドさせて、隙間20aの領域に嵌め込んだ後、その状態を維持したまま、一方の離型フィルム50aを剥がして、当該部位の第2の緩衝材シート12を巻芯本体20に貼り付けて固定し、その後、他方の離型フィルム50bを剥がして、当該部位の第2の緩衝材シート12を巻芯本体20に貼り付ける。これにより、第2の緩衝材シート12を隙間20aの領域に嵌め込んだ後も、位置ズレを起こすことなく、容易に、第2の緩衝材シート12を巻芯本体20に貼り付けることができる。
【0048】
なお、図8Aでは、離型フィルム50を、1本の切り取り線51に沿って、2つの離型フィルム50a、50bに分離可能としたが、例えば、図8Bに示すように、離型フィルム50に、2本の切り取り線51を設けるようにしてもよい。この場合、まず、2本の切り取り線51に沿って、真ん中の離型フィルム50aを剥がして、当該部位の第2の緩衝材シート12を巻芯本体20に貼り付けて固定し、その後、両側の離型フィルム50bを剥がして、当該部位の第2の緩衝材シート12を巻芯本体20に貼り付けることができる。
【0049】
本実施形態では、巻芯本体20の外径がばらついても、第1の緩衝材シート11と第2の緩衝材シート12との継ぎ目を、隙間なく貼り付けることができるが、第1及び第2の緩衝材シート11、12の端面が、それぞれ、第1及び第2の緩衝材シート11、12の面方向に対して垂直になっていると、継ぎ目のところで、V字状の溝ができるおそれがある。そこで、図9に示すように、第1及び第2の緩衝材シート11、12の端面14a、15aを、それぞれ、第1及び第2の緩衝材シート11、12の面方向に対して傾斜させておくことによって、継ぎ目のところで、V字状の溝ができるのを防止することができる。なお、このとき、図9に示すように、第2の緩衝材シート12と両端面15a、15aの傾斜を、第2の緩衝材シート12の幅が、巻芯本体20側に向かって減少するように形成しておくことが好ましい。このようにすれば、第2の緩衝材シート12を、第1の緩衝材シート11の隙間20aの上方からも、スムーズに隙間20aの領域に嵌め込むことができる。
【符号の説明】
【0050】
10 緩衝材シート
11 第1の緩衝材シート
12 第2の緩衝材シート
20 巻芯本体
20a 隙間
30 粘着テープ
40 ウェブ材
50 離型フィルム
【要約】      (修正有)
【課題】巻芯本体の外径がばらついても、緩衝材シートを、確実にかつ容易に、継ぎ目に隙間なく貼り付けることができる巻芯及びウェブ材の巻き取り方法を提供する。
【解決手段】巻芯は、ウェブ材を巻き取る巻芯であって、円筒状の巻芯本体20と、巻芯本体の外周面に貼り付けられ緩衝材シート10とを備え、緩衝材シートは、巻芯本体の周方向に、第1の緩衝材シート11と第2の緩衝材シート12とが継ぎ合わされて、巻芯本体の外周面に、全周に亘って貼り付けられており、第1の緩衝材シートと第2の緩衝材シートとの継ぎ目の少なくも一方は、巻芯本体の軸方向に対して傾斜している。
【選択図】図3
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9