【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、2軸または3軸移動センサを含むハウジングを備えた、人の歩行を検出するためのシステムが提案されている。ハウジングは、前記人の身体の上部に装着するのに適しており、その結果、前記センサの第1の測定軸は、前記身体の前後軸または垂直軸を表す測定値を提供するように構成され、前記センサの第2の測定軸は、前記身体の正中側面軸を表す測定値を提供するように構成され、前記システムはまた、前記センサによって送出された測定値を解析するための解析手段を備えている。前記解析手段には、
− 前記センサによって送出された測定信号を時間窓にわたって処理するための処理手段であって、前記信号における優位周波数を探索するための手段を含む処理手段と、
− 第1の測定軸の信号の優位周波数と第2の測定軸の優位周波数との間、または前記センサによって送信された測定値ベクトルのユークリッドノルムの優位周波数と第2の測定軸の信号の優位周波数との間の比率がほぼ2に等しい場合に、人の歩行を検出するための検出手段と、が含まれる。
【0009】
かかるシステムによって、低コストで、システムを着用している人の不快感がほとんどなく、堅固かつ自動的な方法で人の歩行を検出することが可能になる。
【0010】
例えば、時間窓は、スライディング窓である。
【0011】
したがって、システムは、かなりの処理期間にわたってさえ極めて正確である。
【0012】
一実施形態において、前記移動センサは3軸であり、前記センサの第1の測定軸は、前記身体の前後軸と一致し、前記センサの第2の測定軸は、前記身体の正中側面軸と一致し、前記センサの第3の測定軸は、前記身体の垂直軸と一致し、前記検出手段は、第1の測定軸の信号の優位周波数と第2の測定軸の優位周波数との間、または第3の測定軸の信号の優位周波数と第2の測定軸の優位周波数との間、または前記センサによって送信された測定値ベクトルのユークリッドノルムの優位周波数と第2の測定軸の信号の優位周波数との間で、ほぼ2に等しい比率を検出するのに適している。
【0013】
したがって、検出の精度が改善される。
【0014】
一実施形態によれば、システムにはまた、高域通過フィルタが含まれる。
【0015】
したがって、高精度で優位周波数を検出できるように、移動センサによって送信された信号におけるそれぞれの連続成分は除去される。
【0016】
一実施形態において、システムにはまた、例えば0.5〜10Hz間の周波数帯域を備えた通過帯域フィルタが含まれる。
【0017】
したがって、歩行と関係のない信号ノイズまたは周波数の影響は、大幅に制限される。
【0018】
一実施形態によれば、前記解析手段は、前記ハウジングの内部または外部にあり、前記移動センサには、その測定値を前記解析手段に送信するための有線または無線送信手段が含まれる。
【0019】
解析手段は、ハウジングに組み込むか、または遠隔ベースにインストールしてもよく、ハウジングからの出力信号は、解析されてもされなくても、有線または無線で送信することができる。
【0020】
前記移動センサは、2軸もしくは3軸加速度計、2軸もしくは3軸磁力計、または2軸もしくは3軸ジャイロメータであってもよい。
【0021】
本発明は、これらの全てのタイプの移動センサで動作する。
【0022】
例えば、スライディング時間窓は、5秒間続き、1秒だけオフセットされた2つの連続する窓間の4秒の部分的な重複を伴う。
【0023】
これらの値は、人の歩行に特によく適している。
【0024】
一実施形態によれば、移動センサによって送信された信号の優位周波数を探索するための前記手段は、各時間窓においてスペクトル解析によって優位周波数の探索を実行するのに適している。例えば、このスペクトル解析は、スペクトログラムタイプとすることができる。
【0025】
アポダイゼーション窓で畳み込まれた信号のフーリエ変換のモジュラスの2乗を用いるスペクトログラムは、優位周波数、すなわち最大信号電力に対応する周波数を探索する単純で、信頼でき、低コストの方法である。
【0026】
優位周波数を探索するための前記手段は、0.25Hz〜1Hz間の周波数において、第2の軸に沿った優位周波数ν
MLの探索を制限するのに適し得る。
【0027】
優位周波数を探索するための前記手段は、第1の軸が前後軸と一致する場合には、所定の周波数範囲における周波数において、第1の軸に沿った優位周波数の探索を制限するのに適し得る。この周波数範囲は、0.2Hzおよび3Hzだけ増加された、第2の軸に沿った優位周波数f
MLHz([f
ML+0.2;3])によって制限することができる。
【0028】
好ましくは、この範囲は、0.25Hzおよび2Hzだけ増加された、第2の軸に沿った優位周波数f
MLHz([f
ML+0.25;2])によって制限してもよい。
【0029】
優位周波数を探索するための前記手段は、第1の軸が垂直軸と一致する場合には、所定の周波数範囲に含まれる周波数において、第1の軸に沿った優位周波数の探索を制限するのに適し得る。この周波数範囲は、0.2Hzおよび3Hzだけ増加された、第2の軸に沿った優位周波数f
MLHz([f
ML+0.2;3])によって制限してもよい。
【0030】
優位周波数を探索するための前記手段は、所定の周波数範囲に含まれる周波数において、前記移動センサによって送信された測定値ベクトルのユークリッドノルム用の優位周波数の探索を制限するのに適し得る。この周波数範囲は、0.2Hzおよび3Hzだけ増加された、第2の軸に沿った優位周波数f
MLHz([f
ML+0.2;3])によって制限してもよい。
【0031】
これらの値の全ては、歩行活動に特によく適している。
【0032】
一実施形態によれば、前記検出手段は、少なくとも1つの軸において、信号電力がまた、少なくとも1つの周波数において閾値より高い場合に、分散内で、ほぼ2に等しい前記優位周波数の比率を検出するのに適している。
【0033】
換言すれば、かかる比率は、少なくとも1つの軸において、電力が所定の閾値より高い少なくとも1つの周波数を有する窓用にのみ決定または使用され、この閾値は、電力閾値と呼ぶことができる。この電力閾値は、アプリオリに決定されるか、または例えばテスト段階中に実験的に調整される。
【0034】
少なくとも1つの周波数のこの電力条件を少なくとも1つの軸に、しかしまた全ての軸に適用することが可能である。この電力条件が様々な軸に適用される場合には、各電力閾値が他と異なってもよいことを明示すべきである。
【0035】
特定の実施形態によれば、前記決定手段は、少なくとも1つの軸において優位周波数が、閾値電力より高い電力を有する場合には、所与の時間窓に対応して優位周波数の比率を決定するのに適している。
【0036】
この閾値条件を、優位周波数だけに、または同様に他の定義された周波数もしくは周波数帯域に適用することが可能である。
【0037】
この電力閾値基準はまた、測定値ベクトルのユークリッドノルムに適用してもよいことを明示すべきである。次に、各時間窓用に、電力閾値より高い電力を有する周波数(単複)、例えば優位周波数が検証される。
【0038】
この電力閾値は、アプリオリに設定するか、または何も起きない時間帯に、例えば解剖学的較正中に、電力を前もって決定することによって設定してもよい。
【0039】
一実施形態によれば、前記ハウジングは、前記人の胴体または仙骨に装着するのに適している。
【0040】
ハウジングが胴体に装着される場合には、胴体の振動の振幅はより大きく、これは、システムの精度を改善する。
【0041】
例えばベルトによる仙骨への装着は、特に容易で目立たない。
【0042】
本発明の別の態様によれば、2軸または3軸移動センサによって得られた移動の測定値に基づいて人の歩行を検出するための方法であって、前記センサの第1の測定軸に沿った移動の測定値に基づいて、前記人の身体の前後軸または垂直軸を表す測定値を提供するように構成され、前記センサの第2の測定軸に沿った移動の測定値に基づいて、前記身体の正中側面軸を表す測定値を提供するように構成された方法において、
− 時間窓にわたって、前記移動センサによって送出された測定信号が処理され、前記処理が、前記信号における優位周波数の探索を含み、
− 第1の測定軸の信号の優位周波数と第2の測定軸の優位周波数との間、または前記センサによって送信された測定値ベクトルのユークリッドノルムの優位周波数と第2の測定軸の信号の優位周波数との間の比率がほぼ2に等しい場合に、前記人の歩行が検出される方法がまた提案される。
【0043】
例えば、処理は、スライディング時間窓にわたって実行される。
【0044】
本発明は、非限定的な例として説明され、かつ添付の図面によって示された多くの実施形態を研究することによって、よりよく理解されよう。