(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0005】
(発明が解決しようとする課題)
上記した特許文献1に記載されている車両用ドアハンドル装置では、スライドドアの開閉方向に対して違和感の無い方向(同方向)へのハンドグリップの操作(双方向操作)によって、各ラッチ機構(全閉状態にあるスライドドアでは全閉ラッチ機構であり、全開状態にあるスライドドアでは全開ラッチ機構である)を開作動させることができて、スライドドアを開閉することが可能であり、操作性に優れている。しかし、全閉ラッチ機構と全開ラッチ機構が共に機械駆動式(ハンドグリップに加わる操作力によって各ラッチ機構による保持する固定が解除されるもの)であり、操作力低減の観点から電気駆動式のものが要望されている。
【0006】
(課題を解決するための手段と作用効果)
本発明は、上記した要望に応えるべくなされたものであり、
車両のスライドドアに装備されて同スライドドアの開閉操作を前記スライドドアの外側から行うための車両用ドアハンドル装置であり、
前記スライドドアにおけるアウタパネルにドア内側から固定され、車両の前後方向に沿って配置されるフレームと、
前記アウタパネルを通して前記フレームに連結機構を介して連結されていて、前記アウタパネルの車両外側にて車両の前後方向に沿って延びる把持部を有しており、前記スライドドアの開扉方向と閉扉方向の双方向に操作可能なハンドグリップと、
このハンドグリップが前記スライドドアの閉扉方向に操作されたことを前記ハンドグリップの閉扉操作に伴う動きにより検出する閉操作スイッチと、
前記ハンドグリップが前記スライドドアの開扉方向に操作されたことを前記ハンドグリップの開扉操作に伴う動きにより検出する開操作スイッチと、
前記ハンドグリップが前記スライドドアの開扉方向に操作されることにより、前記スライドドアを全閉状態に保持する固定を解除されて、前記スライドドアを開閉可能とする全閉ラッチ機構と、
前記ハンドグリップが前記スライドドアの閉扉方向に操作されたことを前記閉操作スイッチが検出したとき、前記スライドドアを全開状態に保持する固定を電動アクチュエータにより解除されて、前記スライドドアを開閉可能とする全開ラッチ機構とを備えて
いて、
前記ハンドグリップは、前記ハンドグリップが開扉操作されるとき第1の方向に移動し、且つ、前記ハンドグリップが閉扉操作されるとき第1の方向とは異なる第2の方向に移動する移動部を有しており、
前記閉操作スイッチは、前記移動部が前記第2の方向に移動することに基づいて前記ハンドグリップが前記スライドドアの閉扉方向に操作されたことを検出するように設定され、
前記開操作スイッチは、前記移動部が前記第1の方向に移動することに基づいて前記ハンドグリップが前記スライドドアの開扉方向に操作されたことを検出するように設定されていて、
前記ハンドグリップが前記スライドドアの開扉方向に操作されたことを前記開操作スイッチが検出したとき、前記全閉ラッチ機構が前記スライドドアを全閉状態に保持する固定を第2の電動アクチュエータにより解除されるように構成されている車両用ドアハンドル装置に特徴がある。
【0007】
上記した本発明の車両用ドアハンドル装置においては、全開ラッチ機構の固定解除を電気駆動式とすること(ハンドグリップに加わる操作力をトリガーとして、これを閉操作スイッチが検出したとき、電動アクチュエータにより得られる駆動力により全開ラッチ機構による保持する固定が解除されるようにすること)ができて、スライドドアの閉扉操作において、ハンドグリップの閉扉方向への操作力(全開ラッチ機構の固定解除に要する操作力)を低減することが可能である。
【0008】
上記した本発明の実施に際して、前記閉操作スイッチは前記フレームに脱着可能に組付けられていることも可能である。この場合には、閉操作スイッチをフレームに組付けない状態にて、ハンドグリップをフレームに組付けることが可能であり、ハンドグリップのフレームへの組付に際して、閉操作スイッチやこれに組付けられているワイヤハーネスが邪魔にならず、ハンドグリップのフレームへの組付性を良好とすることが可能である。
【0009】
また、上記した本発明の実施に際して、前記閉操作スイッチは前記ハンドグリップのスライドドア端部側端部に対応して配置されていることも可能である。この場合には、閉操作スイッチをハンドグリップのスライドドア中央部側端部に対応して配置する場合に比して、閉操作スイッチに組付けられて閉操作スイッチから導出されているワイヤハーネスのスライドドア内での配索(スライドドア内にて例えば窓ガラスを迂回する配索)を短い長さで容易に行うことができて、ワイヤハーネスの組付性向上とコスト低減を図ることが可能である。
【0010】
また、上記した本発明
では、前記ハンドグリップが前記スライドドアの開扉方向に操作されたことを前記ハンドグリップの開扉操作に伴う動きにより検出する開操作スイッチを備えていて、前記ハンドグリップが前記スライドドアの開扉方向に操作されたことを前記開操作スイッチが検出したとき、前記全閉ラッチ機構が前記スライドドアを全閉状態に保持する固定を第2の電動アクチュエータにより解除されるように構成されてい
る。この
ため、全閉ラッチ機構の固定解除と全開ラッチ機構の固定解除を共に電気駆動式とすることができて、スライドドアの開扉操作と閉扉操作の何れにおいても、ハンドグリップの操作力(各ラッチ機構の固定解除に要する操作力)を低減することが可能である。
【0011】
また、上記した本発明の実施に際して、前記開操作スイッチは前記ハンドグリップのスライドドア端部側端部に対応して配置されていることも可能である。この場合には、各スイッチに組付けられて各スイッチから導出されている各ワイヤハーネスの組付性向上とコスト低減を図ることが可能であるとともに、各ワイヤハーネスでのアース電線を共用することができて、ワイヤハーネスを実質的に3本の電線とすることが可能であり、これによってもコスト低減を図ることが可能である。
【0012】
また、上記した本発明の実施に際して、前記閉操作スイッチと前記開操作スイッチは一体化されていることも可能である。この場合には、閉操作スイッチと開操作スイッチを別個に構成し、それぞれを組付ける場合に比して、閉操作スイッチと開操作スイッチの組付性を良好とすること(組付工数を減ずること)が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明による車両用ドアハンドル装置を備えた車両用スライドドアの一実施形態を概略的に示した側面図である。
【
図2】
図1に示した車両用ドアハンドル装置の主要構成を示した側面図(車両外方からみた図)である。
【
図3】
図2に示した車両用ドアハンドル装置の底面図である。
【
図4】
図2に示した車両用ドアハンドル装置の正面図(車両前方からみた図)である。
【
図5】
図2に示した車両用ドアハンドル装置の背面図(車両内方からみた図)である。
【
図6】
図5に示した車両用ドアハンドル装置のハンドル中央横断平面図である。
【
図7】
図6の左方部分(車両後方部分)の拡大図である。
【
図8】
図2に示した車両用ドアハンドル装置におけるベースアセンブリの側面図である。
【
図9】
図8に示したベースアセンブリの底面図である。
【
図10】
図8に示したベースアセンブリの正面図である。
【
図11】
図8に示したベースアセンブリの背面図である。
【
図12】
図2に示した車両用ドアハンドル装置におけるハンドルアセンブリの側面図である。
【
図16】
図2に示した車両用ドアハンドル装置におけるキャップアセンブリの側面図である。
【
図22】ベースアセンブリにハンドルアセンブリを組付けた状態におけるフレームとハンドグリップの関係を示した断面図である。
【
図24】
図2〜
図7に示した車両用ドアハンドル装置のオープン操作を破線にて示しクローズ操作を二点鎖線にて示した側面図である。
【
図25】
図24に示した車両用ドアハンドル装置の底面図である。
【
図26】
図24に示した車両用ドアハンドル装置の正面図である。
【
図27】
図24に示した車両用ドアハンドル装置におけるフレームのガイドとハンドグリップの突起の関係を概略的に示したハンドル中央横断平面図である。
【
図28】フレームの車両前方部分(ハンドグリップのスライドドア端部側端部に対応した部位)に組付けられる閉操作スイッチとハンドグリップ等の関係を示した
図6相当のハンドル中央横断平面図である。
【
図30】
図16〜
図19に示したキャップアセンブリのレバーとハンドグリップの関係(レバーとハンドグリップが共に初期位置にあるときの関係)を示した斜視図である。
【
図31】
図30からハンドグリップを取り除いた状態の斜視図である。
【
図32】
図30に示したハンドグリップがクローズ操作された状態の斜視図である。
【
図33】
図32からハンドグリップを取り除いた状態の斜視図である。
【
図34】
図30に示したハンドグリップがキャップアセンブリの慣性ストッパによってクローズ動作を阻止された状態の斜視図である。
【
図35】
図34からハンドグリップを取り除いた状態の斜視図である。
【
図36】フレームの車両後方部分(ハンドグリップのスライドドア中央部側端部に対応した部位)に組付けられる閉操作スイッチとハンドグリップ等の関係を示した
図6相当のハンドル中央横断平面図である。
【
図38】フレームの車両前方部分(ハンドグリップのスライドドア端部側端部に対応した部位)に組付けられる閉操作スイッチ及び開操作スイッチとハンドグリップ等の関係を示した
図29相当の拡大図である。
【
図39】本発明による車両用ドアハンドル装置を備えた車両用スライドドアの他の実施形態(
図38に示した閉操作スイッチ及び開操作スイッチを備える実施形態)を概略的に示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明による車両用ドアハンドル装置100の一実施形態を示していて、この実施形態の車両用ドアハンドル装置100では、当該装置100がスライドドア200に装着したフロントロック201及びリアロック202と機械的に連係するとともにスライドドア200に装着した全開ロック203と電気的に連係するように構成されている。
【0015】
スライドドア200は、車両の側部にて車両前後方向に移動可能であり、車両ボディ(図示省略)に形成された乗降用の開口部を開閉可能に(具体的には、スライドドア200を車両後方に移動させることにより乗降用の開口部を開き、スライドドア200を車両前方に移動させることにより乗降用の開口部を閉じるように)構成されている。フロントロック201及びリアロック202は、スライドドア200を全閉状態(乗降用の開口部を閉じている状態)で保持固定するためのもの(すなわち、全閉ラッチ機構)であり、スライドドア200の車両前側及び車両後側にそれぞれ配設されている。全開ロック203は、スライドドア200を全開状態(乗降用の開口部を開いている状態)で保持固定するためのもの(すなわち、全開ラッチ機構)であり、スライドドア200の車両前側下部に配設されている。なお、リアロック202のみでスライドドア200を全閉状態で保持することができれば、フロントロック201を設けなくても実施することが可能である。
【0016】
車両用ドアハンドル装置100は、
図2〜
図7に示したように、スライドドア200のアウタパネル200a(
図1参照)に組付けられるベースアセンブリ110(
図8〜
図11参照)を備えるとともに、ベースアセンブリ110のフレーム111に組付けられるハンドルアセンブリ120(
図12〜
図15参照)、キャップアセンブリ130(
図16〜
図19参照)、及び、閉操作スイッチS1(
図1、
図28、
図29参照)を備えている。
【0017】
ベースアセンブリ110は、
図2〜
図7及び
図8〜
図11に示したように、フレーム111とベルクランク112とスプリング113とナット114等を備えている。フレーム111は、スライドドア200におけるアウタパネル200aにドア内側から固定されるように構成されていて、車両後方部位(
図8の右方部位)に開口111aを有するとともに、車両前方部位(
図8の左方部位)に開口111bを有している。なお、フレーム111のアウタパネル200aへの組付は、ドア外側からスライドドア200のアウタパネル200aを通してフレーム111の段付取付孔111cに組付けられてフランジ部114aがアウタパネル200aを介してフレーム111に係合するナット114と、このナット114にドア内側から螺着されるネジ115(
図5、
図6参照)を用いて行われるように構成されている。
【0018】
ベルクランク112は、その軸部112aにてフレーム111の取付孔111dに回転可能に組付けられていて、フレーム111に対して軸部112aの軸方向に所定量移動可能とされている。また、ベルクランク112は、キャップアセンブリ130のレバー132を介してハンドグリップ121のアーム部121cと連係する入力部112bを有するとともに、フロントロック201及びリアロック202に連結機構(図示省略)を介して機械的に連結されている出力部112cを有している。なお、ベルクランク112には、ハンドルアセンブリ120とキャップアセンブリ130がフレーム111に組付けられるまでの間に、ベルクランク112を仮保持位置(ハンドルアセンブリ120とキャップアセンブリ130をフレーム111に組付ける際に、ベルクランク112の入力部112bが邪魔とならない位置)に一時的に保持させるための係止爪112d(フレーム111の係合保持部111eに対して係合離脱可能である)が設けられている。かかる構成は、特開2003−41811号公報にて開示されている技術である。
【0019】
スプリング113は、ベルクランク112をフレーム111に対して初期位置に向けて付勢する第1付勢部材であり、ベルクランク112の軸部112a外周にコイル部にて組付けられていて、一端にてフレーム111に弾性的に係合し他端にてベルクランク112に弾性的に係合している。これにより、スプリング113は、ベルクランク112における入力部112bの先端112b1(
図6参照)がレバー132の先端部132aを介してハンドグリップ121のアーム部121cに弾性的に係合する方向(
図4の反時計回転方向)に所定の付勢力にて回転付勢している。このため、ベルクランク112における入力部112bの先端112b1は、レバー132を介してハンドグリップ121のアーム部121cに弾性的に係合している。
【0020】
ハンドルアセンブリ120は、
図2〜
図7及び
図12〜
図15に示したように、ハンドグリップ121と連結リンク122とリンクベース123とスプリング124等を備えている。ハンドグリップ121は、車両の前後方向に沿って延びる把持部121aと、この把持部121aの一端部(車両後方側端部)に設けられた脚部121bと、把持部121aの他端部(車両前方側端部)に設けられたアーム部121cを有している。把持部121aは、脚部121bとアーム部121c間に形成されていて、スライドドア200におけるアウタパネル200aの車両外側に配置される部位であり、スライドドア200の開閉操作時(開扉操作時と閉扉操作時)に手で操作可能である。脚部121bは、連結リンク122を介してリンクベース123に連結されている。アーム部121cは、キャップアセンブリ130のレバー132を介して上述したベルクランク112に連結されている。
【0021】
このアーム部121cには、レバー132の先端部132aを挿通可能な矩形の挿通孔121c1が形成されているとともに、フレーム111に設けた一対のガイド111fに係合する一対の突起121c2が形成されている。各突起121c2は、
図13に示したように、車両外側の端面(
図13の上側の端面)が車両前方に向けて車両外方に傾斜した形状で全体が略台形に形成されていて、ハンドグリップ121が
図24〜
図27に破線で示したようにオープン操作(開扉操作)されるときには、各ガイド111fの第1ガイド溝111f1に沿って移動し、ハンドグリップ121が
図24〜
図27に二点鎖線で示したようにクローズ操作(閉扉操作)されるときには、各ガイド111fの第2ガイド溝111f2に沿って移動するように構成されている。
【0022】
各ガイド111fの第1ガイド溝111f1は、車両の内外方向に延びている。この第1ガイド溝111f1は、ハンドグリップ121がオープン操作されるとき、ハンドグリップ121の突起121c2が車両の外方と後方に移動するようにガイドする。一方、各ガイド111fの第2ガイド溝111f2は、第1ガイド溝111f1の一端部(車両内方端部)に後端にて接続されていて、車両の前後方向に延びている。この第2ガイド溝111f2は、車両の前後方向にて傾斜していて、前端が後端に比して車両外方に位置しており、ハンドグリップ121がクローズ操作されるとき、ハンドグリップ121の突起121c2が車両の外方と前方に移動するようにガイドする。(
図27参照)
【0023】
上記したオープン操作は、全閉状態にあるスライドドア200を開くための操作であって、このときには、スライドドア200を開側に移動させる開扉方向(車両後方)と同方向にハンドグリップ121が操作される。このため、
図24〜
図26に破線で示したハンドグリップ121は、初期位置にあるハンドグリップ121に対して車両外方で車両後方に移動している。一方、上記したクローズ操作は、全開状態にあるスライドドア200を閉じるための操作であって、このときには、スライドドア200を閉側に移動させる閉扉方向(車両前方)と同方向にハンドグリップ121が操作される。このため、
図24〜
図26に二点鎖線で示したハンドグリップ121は、初期位置にあるハンドグリップ121に対して車両外方で車両前方に移動している。
【0024】
連結リンク122は、
図7にて詳細に示したように、ハンドグリップ121とリンクベース123を連結するためのものであり、基端部122aにてリンクベース123に連結ピン125を介して回転可能に組付けられていて、車両前後方向(
図6、
図7の左右方向)にて揺動可能である。また、連結リンク122は、先端部122bにてハンドグリップ121の脚部121bに連結ピン126を介して回転可能に組付けられている。なお、連結リンク122の先端部122bには、連結リンク122に対するハンドグリップ121の最大回転量を規定するストッパ122b1が設けられていて、このストッパ122b1は、ハンドグリップ121の脚部121bに設けた係合部121b1と係合可能である。
【0025】
リンクベース123は、連結リンク122の基端部122aをフレーム111の一端部(車両後方端部)に装着(固定)するためのものであり、連結リンク122と共にハンドグリップ121の脚部121bに組付けられていて、一対の舌片部123aにてフレーム111の一端部に形成した一対の矩形取付孔111gに弾性的に組付けられている。なお、リンクベース123のフレーム111への装着は、
図20に示したように、フレーム111に設けた車両後方部位の開口111aを通してハンドルアセンブリ120のリンクベース123をフレーム111に組付けることにより行われている。
【0026】
スプリング124は、連結リンク122をリンクベース123に対して初期位置(
図6、
図7に示した位置)に向けて付勢する第2付勢部材であり、初期位置では、連結リンク122がリンクベース123のストッパ部123bに当接している。また、スプリング124は、コイル部124aにて連結リンク122の基端部122aに形成した円筒部122a1上に回転自在に組付けられていて、一端部124bにて連結リンク122に弾性的に係合し、他端部124cにてリンクベース123に弾性的に係合していて、連結リンク122を
図6、
図7の反時計回転方向に回転付勢している。
【0027】
キャップアセンブリ130は、
図2〜
図6及び
図16〜
図19に示したように、キャップ131とレバー132と慣性ストッパ133とスプリング134等を備えている。キャップ131は、スライドドア200のアウタパネル200aを挟んだ状態でフレーム111の前端部111hにネジ135を用いて車両外側から組付けられるように構成されている。また、キャップ131は、レバー132と慣性ストッパ133を支持する支持部131aを有している。なお、ネジ135は、キャップ131に一体的に設けたナット136(
図6の仮想線参照)に螺着されるようになっている。
【0028】
レバー132は、ハンドグリップ121の開扉動作を先端部132aにてベルクランク112の入力部112bに伝達するものであり、基端部132bにてピン137を介してキャップ131の支持部131aに回転可能に組付けられている。また、レバー132は、中間部132cにてハンドグリップ121のアーム部121cと摺動可能に係合している。なお、レバー132の基端部132bには突起132b1が形成されていて、この突起132b1がキャップ131の支持部131aに形成したストッパ部131a1と
図6に示した初期位置にて当接するように構成されている。
【0029】
慣性ストッパ133は、例えば、車両の衝突等によって、スライドドア200の閉扉方向に所定の慣性が作用したとき、ハンドグリップ121の閉扉方向への移動を規制するものであり、レバー132と共に基端部133aにてピン137を介してキャップ131の支持部131aに回転可能に組付けられている。また、慣性ストッパ133は、
図16〜
図19と
図32〜
図35に示したようにレバー132に対して接合可能であるとともに、
図36、
図37に示したようにレバー132に対して離間可能である。このため、慣性ストッパ133は、上述したようにスライドドア200の閉扉方向に所定の慣性が作用したとき、
図36、
図37に示したように、レバー132から離間して所定量傾動可能であり、このときには、基端部133aに形成した突起133a1がキャップ131の支持部131aに形成したストッパ部131a1と当接する。
【0030】
スプリング134は、慣性ストッパ133をレバー132に対して初期位置(
図16〜
図19と
図32〜
図35に示した位置)に向けて付勢する第3付勢部材であり、初期位置では、慣性ストッパ133がレバー132に対して一体的に接合していて、ハンドグリップ121のアーム部121cがレバー132と慣性ストッパ133に対して車両の前後方向に摺動可能に係合している(
図32、
図34参照)。また、スプリング134は、両端部134a、134bにてキャップ131の支持部131aに組付けられ、中間部134cにて慣性ストッパ133の中間部133bに弾性的に係合していて、慣性ストッパ133を
図17の反時計回転方向に回転付勢している。
【0031】
閉操作スイッチS1は、
図28、
図29に示したように、ハンドグリップ121のクローズ操作(ハンドグリップ121が実線にて示した初期位置から二点鎖線にて示した位置に移動する操作)に伴って作動するものであり、ブラケット(図示省略)を介してフレーム111に脱着可能に組付けられていて、ハンドグリップ121におけるアーム部121cの実線で示した初期位置から二点鎖線で示した閉作動位置への動きを電気的に検出可能である。この閉操作スイッチS1の電気的な検出信号は、
図1に示したように、電気制御装置ECUに入力されるように構成されていて、この検出信号に基づいて全開ロック203に付設した電動アクチュエータActが作動して全開ロック203が解除動作するように構成されている。なお、全開ロック203が解除動作すると、全開ロック203によるスライドドア200の全開状態での保持固定が解除されて、全開状態のスライドドア200を閉扉作動させること(スライドドア200を車両前後方向に移動可能とすること)が可能である。
【0032】
上記のように構成した車両用ドアハンドル装置100では、ベースアセンブリ110、ハンドルアセンブリ120、キャップアセンブリ130等がそれぞれ予め組み立てられていて、以下の組付手順にて、ベースアセンブリ110、ハンドルアセンブリ120、キャップアセンブリ130等がスライドドア200に組付けられている。始めに、ベースアセンブリ110のフレーム111がスライドドア200のアウタパネル200aにドア内側から組付けられ、次いで、
図20〜
図24に示したように、ベースアセンブリ110のフレーム111にハンドルアセンブリ120が組付けられている。
【0033】
次いで、ハンドルアセンブリ120のハンドグリップ121とベースアセンブリ110のフレーム111に対してキャップアセンブリ130が組付けられている。最後に、ベースアセンブリ110におけるベルクランク112の出力部112cがスライドドア200に装着したフロントロック201及びリアロック202と連結機構(図示省略)を介して機械的に連結されるとともに、ベースアセンブリ110のフレーム111に閉操作スイッチS1が組付けられて、閉操作スイッチS1と全開ロック203に付設したアクチュエータActが電気制御装置ECUを介して電気的に接続されている。
【0034】
ところで、上記したようにベースアセンブリ110のフレーム111にハンドルアセンブリ120が組付けられる際には、ハンドグリップ121の脚部121bが連結リンク122及びリンクベース123等と共に、スライドドア200のアウタパネル200aに設けた開口(図示省略)とフレーム111の後方開口111aを通してフレーム111の車両後方端部(一端部)に組付けられるとともに、ハンドグリップ121のアーム部121cがスライドドア200のアウタパネル200aに設けた開口(図示省略)とフレーム111の前方開口111bを通してフレーム111の車両前方端部(他端部)に挿通されている。
【0035】
なお、この状態(ベースアセンブリ110のフレーム111にハンドルアセンブリ120が組付けられた状態)では、リンクベース123に設けた一対の舌片部123aがフレーム111に形成した一対の矩形取付孔111gに弾性的に組付けられることにより、ハンドグリップ121の脚部121bがフレーム111から抜け止めされる。また、この状態では、ハンドグリップ121のアーム部121cがフレーム111に設けた抜け止め突起111iを押し拡げながら
図22及び
図23に示したようにフレーム111に組付けられることにより、ハンドグリップ121のアーム部121cがフレーム111から抜け止め(仮止め)される。
【0036】
また、上記したようにハンドルアセンブリ120のハンドグリップ121とベースアセンブリ110のフレーム111に対してキャップアセンブリ130が組付けられる際には、ベースアセンブリ110にて、ベルクランク112がフレーム111に対して仮保持位置に保持されている。このため、キャップアセンブリ130が組付けられる際には、始めに、フレーム111に組付けられたハンドルアセンブリ120のハンドグリップ121が車外方向に所定量回動される。この状態にて、ハンドグリップ121のアーム部121cに設けた挿通孔121c1にキャップアセンブリ130のレバー132の先端部132aが挿入される。次いで、キャップアセンブリ130のキャップ131がフレーム111に固定される。その後、ハンドグリップ121が車外方向にフルストロークで回動されて、仮保持位置にあるベルクランク112の保持固定がレバー132を介して解除されて、フレーム111に組付けられているスプリング113が所期の機能を発揮するようになる。この解除作動は、特開2003−41811号公報に記載されているものと実質的に同じである。
【0037】
また、ベルクランク112の出力部112cがフロントロック201及びリアロック202と機械的に連結されるとともに、フレーム111に組付けた閉操作スイッチS1が全開ロック203に付設した電動アクチュエータActと電気的に接続された状態では、ハンドグリップ121のオープン操作によりフロントロック201とリアロック202の保持固定を解除するための操作力(ハンドグリップ121の操作力に相当する力)が発生して、スライドドア200を開扉可能とすることが可能であるとともに、ハンドグリップ121の閉扉操作により全開ロック203の保持固定を解除するための操作力(ハンドグリップ121の操作力をトリガーとして得られる電気的な解除力)が発生して、スライドドア200を閉扉可能とすることが可能である。なお、スライドドア200を開扉または閉扉する際の駆動力(スライドドア200を車両前後方向に移動させるための駆動力)は、手動操作力であっても、電動駆動力であってもよい。
【0038】
上記のように構成したこの実施形態においては、全開ロック203の固定解除を電気駆動式とすること(ハンドグリップ121に加わる操作力をトリガーとして、これを閉操作スイッチS1が検出したとき、電動アクチュエータActにより得られる駆動力により全開ロック203による保持する固定が解除されるようにすること)ができて、スライドドア200の閉扉操作において、ハンドグリップ121の閉扉方向への操作力(全開ロック203の固定解除に要する操作力)を低減することが可能である。
【0039】
また、この実施形態では、閉操作スイッチS1がフレーム111に脱着可能に組付けられている。このため、閉操作スイッチS1をフレーム111に組付けない状態にて、ハンドグリップ121をフレーム111に組付けることが可能であり、ハンドグリップ121のフレーム111への組付に際して、閉操作スイッチS1やこれに組付けられているワイヤハーネス(図示省略)が邪魔にならず、ハンドグリップ121のフレーム111への組付性を良好とすることが可能である。
【0040】
また、この実施形態では、閉操作スイッチS1がハンドグリップ121のスライドドア端部側端部に対応して配置されている。このため、閉操作スイッチ(S1)をハンドグリップ121のスライドドア中央部側端部に対応して配置する場合に比して、閉操作スイッチS1に組付けられて閉操作スイッチS1から導出されているワイヤハーネス(図示省略)のスライドドア200内での配索(スライドドア200内にて例えば窓ガラスを迂回する配索)を短い長さで容易に行うことができて、ワイヤハーネスの組付性向上とコスト低減を図ることが可能である。
【0041】
また、上記のように構成したこの実施形態においては、ハンドグリップ121が全閉状態にあるスライドドア200を開側に移動させる開扉方向と同方向に開扉操作されることで、スライドドア200を全閉状態に保持固定するフロントロック201とリアロック202(全閉ラッチ機構)を解除するための操作力が発生するように設定されている。また、ハンドグリップ121が全開状態にあるスライドドア200を閉側に移動させる閉扉方向と同方向に閉扉操作されることで、スライドドア200を全開状態に保持固定する全開ロック203(全開ラッチ機構)を解除するための操作力が発生するように設定されている。このため、スライドドア200の開閉方向に対して違和感の無い方向(同方向)へのハンドグリップ121の操作によって、フロントロック201とリアロック202または全開ロック203の保持固定を解除することができて、スライドドア200を開閉することが可能である。したがって、当該車両用ドアハンドル装置100は操作性に優れている。
【0042】
また、この実施形態においては、ベースアセンブリ110、ハンドルアセンブリ120、キャップアセンブリ130等がそれぞれ予め組み立てられていて、上記した組付手順にて、ベースアセンブリ110、ハンドルアセンブリ120、キャップアセンブリ130等がスライドドア200に組付けられている。ところで、上記した組付手順は、本発明が対象とする車両用ドアハンドル装置において、従来、一般的に行われている組付手順と似た組付手順であり、フレーム111をスライドドア200におけるアウタパネル200aに組付けた後に、同フレーム111に対してリンクベース123、連結リンク122、ハンドグリップ121を組付け、次いで、ハンドグリップ121とフレーム111に対してレバー132とキャップ131を組付けることにより、各構成部材(フレーム111、リンクベース123、連結リンク122、ハンドグリップ121、レバー132、各スプリング113、124等)のアウタパネル200aへの組付が行われている。このため、当該車両用ドアハンドル装置100は組付性に優れている。
【0043】
また、この実施形態において、全閉状態にあるスライドドア200を開側に移動させる開扉方向と同方向に操作されるハンドグリップ121の動きは、ハンドグリップ121が初期位置からスプリング113の付勢力に抗して開扉方向に移動して、レバー132が車両外方に向けて傾動するとともに、アーム部121cに設けた突起121c2がフレーム111に設けた第1ガイド溝111f1に沿ってスライドドア200の開扉方向に向けて移動する動きであって、ハンドグリップ121の脚部121bと連結リンク122との連結中心(連結ピン126)を中心として、ハンドグリップ121が車両外方で開扉側に傾動する動きである。ここで、ハンドグリップ121が全閉状態にあるスライドドア200を開側に移動させる開扉方向と同方向に操作されると、連結ピン126は車両後方かつ車両内方に移動しようとするが、連結リンク122aがストッパ123bにて規制される。そのため、ハンドグリップ121の傾動の中心は連結ピン126となる。なお、この際のハンドグリップ121の動きは、ハンドグリップ121の係合部121b1が連結リンク122のストッパ122b1に当接することにより規制される。
【0044】
また、全開状態にあるスライドドア200を閉側に移動させる閉扉方向と同方向に操作されるハンドグリップ121の動きは、ハンドグリップ121と連結リンク122が初期位置からスプリング124の付勢力に抗して閉扉方向に移動して、連結リンク122がスライドドア200の閉扉方向に向けて揺動するとともに、アーム部121cに設けた突起121c2がフレーム111に設けた第2ガイド溝111f2に沿ってスライドドア200の閉扉方向に向けて移動する動きであって、ハンドグリップ121の脚部121bと連結リンク122との連結部が閉扉方向に向けて移動する動きであり、このハンドグリップ121の動きに伴って、連結リンク122がリンクベース123との連結中心を中心としてスライドドア200の閉扉方向に向けて揺動する。なお、この際のハンドグリップ121の動きは、ハンドグリップ121の突起121c2がフレーム111に設けた第2ガイド溝111f2の前端壁に当接することにより規制される。また、この際のハンドグリップ121の動きは、係合部121b1がストッパ122b1に当接することで規制されてもよく、また、ハンドグリップ121の突起121c2がフレーム111に設けた第2ガイド溝111f2の前端壁に当接すること且つ係合部121b1がストッパ122b1に当接することで規制されてもよい。
【0045】
このため、スライドドア200を開側に移動させる際のハンドグリップ121の移動量(すなわち、ハンドグリップ121の脚部121bと連結リンク122との連結中心を中心としたハンドグリップ121の車両外方で開扉側への傾動量)を必要十分に確保することが可能である(このためには、ハンドグリップ121の係合部121b1が連結リンク122のストッパ122b1に当接するタイミングを変更する必要がある)とともに、スライドドア200を閉側に移動させる際のハンドグリップ121の移動量(すなわち、連結リンク122とリンクベース123との連結中心を中心とした連結リンク122の閉扉方向への揺動量)を必要十分に確保することが可能であって(このためには、ハンドグリップ121の突起121c2がフレーム111に設けた第2ガイド溝111f2の前端壁に当接するタイミングを変更する必要がある)、ハンドグリップ121の各操作を的確に行うことが可能である。
【0046】
また、この実施形態においては、スライドドア200の閉扉方向に所定の慣性が作用したとき、スプリング134の付勢力に抗してレバー132から離間し所定量傾動可能な慣性ストッパ133がレバー132に設けられていて、この慣性ストッパ133がレバー132から離間して所定量傾動することにより、ハンドグリップ121のアーム部121cが慣性ストッパ133に係合して、ハンドグリップ121の閉扉方向への移動が規制されるように設定されている。
【0047】
これにより、スライドドア200が全開状態にある車両において、車両衝突等により所定の慣性がスライドドア200の閉扉方向に作用したとき、慣性ストッパ133がレバー132から離間して所定量傾動する作動が得られて、ハンドグリップ121のアーム部121cが慣性ストッパ133に係合し、ハンドグリップ121の閉扉方向への移動が規制される。このため、上述した慣性が当該装置に作用しても、同慣性によってハンドグリップ121が閉扉方向に移動されることはなく、スライドドア200を全開状態に保持固定する全開ロック203を解除するための操作力が発生することはない。したがって、上述した車両衝突等による慣性対策(全開ラッチ機構の保持固定を解除するための操作力が発生しないようにする安全性の向上)をシンプルな構成(レバー132に慣性ストッパ133とスプリング134を設ける構成)にて達成することが可能である。
【0048】
上記した実施形態においては、ハンドグリップ121のクローズ操作に伴って作動する閉操作スイッチS1が、
図1、
図28、
図29に示したように、ハンドグリップ121におけるアーム部121cの動きに伴って作動するように構成して実施したが、ハンドグリップ121のクローズ操作に伴って作動する閉操作スイッチS1が、
図36、
図37に示したように、連結リンク122の動き(車両前方への傾動)に伴って作動するように構成して実施することも可能である。
【0049】
また、上記した実施形態においては、フロントロック201とリアロック202(全閉ラッチ機構)がハンドグリップ121のオープン操作に基づいて機械的に作動するように構成するとともに、全開ロック203(全開ラッチ機構)がハンドグリップ121の閉扉操作に基づいて電気的に作動するように構成して実施した。しかし、本発明の実施に際しては、フロントロック201とリアロック202(全閉ラッチ機構)がハンドグリップ121のオープン操作に基づいて機械的かつ電気的に作動するように構成するとともに、全開ロック203(全開ラッチ機構)がハンドグリップ121のクローズ操作に基づいて電気的に作動するように構成して実施することも可能である。
【0050】
また、本発明の実施に際しては、フロントロック201とリアロック202(全閉ラッチ機構)がハンドグリップ121のオープン操作に基づいて電気的に作動するように構成するとともに、全開ロック203(全開ラッチ機構)がハンドグリップ121のクローズ操作に基づいて電気的に作動するように構成して実施することも可能である。
【0051】
フロントロック201とリアロック202(全閉ラッチ機構)がハンドグリップ121のオープン操作に基づいて電気的に作動するように構成する場合には、
図38および
図39に示したように、ハンドグリップ121のオープン操作に伴って作動する開操作スイッチS2を設けるとともに、この開操作スイッチS2の作動に伴ってフロントロック(201)とリアロック(202)の保持固定を解除動作させる電動アクチュエータ(Act)をフロントロック(201)とリアロック(202)にそれぞれ付設する必要がある。また、全開ロック203(全開ラッチ機構)がハンドグリップ121のクローズ操作に基づいて機械的に作動するように構成する場合には、ハンドグリップ121と全開ロック(203)を連結機構を介して機械的に連結する必要がある。
【0052】
なお、本発明の実施に際しては、フロントロック(201)とリアロック(202)に各アクチュエータを付設せずに、例えば、特開2011−132771号公報に記載されているように、リモートコントローラを介してフロントロック(201)とリアロック(202)を解除するための一つのアクチュエータ(クローズアクチュエータ)を設けて実施することも可能である。また、本発明の実施に際しては、全開ロック(203)にアクチュエータを付設せずに、例えば、特開2011−132771号公報に記載されているように、リモートコントローラを介して全開ロック(203)を解除するためのアクチュエータ(リリースアクチュエータ)を設けて実施することも可能である。また、本発明の実施に際して、上記したクローズアクチュエータとリリースアクチュエータとを採用する代わりに、これらと同等の機能・作動を有する一つのアクチュエータを採用して実施することも可能である。
【0053】
開操作スイッチS2は、
図38に示したように、ハンドグリップ121のオープン操作(ハンドグリップ121が
図25の実線にて示した初期位置から
図25の破線にて示した位置に移動する操作)に伴って作動するものであり、閉操作スイッチS1と共にブラケット(図示省略)を介してフレーム111に組付けられていて、レバー132の車両外方への動きを電気的に検出可能である。この開操作スイッチS2の電気的な検出信号は、閉操作スイッチS1の電気的な検出信号と同様に、
図39に示した電気制御装置ECUに入力されるように構成されていて、この検出信号に基づいてフロントロック201とリアロック202に付設した電動アクチュエータActが作動してフロントロック201とリアロック202が解除動作するように構成されている。なお、フロントロック201とリアロック202が解除動作すると、フロントロック201とリアロック202によるスライドドア200の全閉状態での保持固定が解除されて、全閉状態のスライドドア200を開扉作動させることが可能である。
【0054】
図38と
図39に示した実施形態では、フロントロック201とリアロック202(全閉ラッチ機構)の固定解除と全開ロック203(全開ラッチ機構)の固定解除を共に電気駆動式とすることができて、スライドドア200の開扉操作と閉扉操作の何れにおいても、ハンドグリップ121の操作力(各ラッチ機構の固定解除に要する操作力)を低減することが可能である。
【0055】
また、
図38と
図39に示した実施形態では、開操作スイッチS2が閉操作スイッチS1と同様にハンドグリップ121のスライドドア端部側端部に対応して配置されている。このため、各スイッチS1,S2に組付けられて各スイッチS1,S2から導出されている各ワイヤハーネス(図示省略)の組付性向上とコスト低減を図ることが可能であるとともに、各ワイヤハーネスでのアース電線を共用することができて、ワイヤハーネスを実質的に3本の電線(1本のアース電線と2本の各信号(電源供給)電線)とすることが可能であり、これによってもコスト低減を図ることが可能である。
【0056】
また、
図38と
図39に示した実施形態では、開操作スイッチS2と閉操作スイッチS1が二点鎖線にて示した例えば取付ブラケットのような連結体Sc(
図38参照)を介して一体化されている。このため、閉操作スイッチS1と開操作スイッチS2を別個に構成し、それぞれを組付ける場合に比して、閉操作スイッチS1と開操作スイッチS2の組付性を良好とすること(組付工数を減ずること)が可能である。なお、開操作スイッチS2と閉操作スイッチS1と連結体Scの一体化した構成において、構成内部の電線に代えてバスバーを採用して実施することも可能である。
【0057】
また、上記した各実施形態においては、フレーム111とハンドグリップ121を連結する連結機構として連結リンク122、リンクベース123、レバー132等を備える連結機構が採用されていて、ハンドグリップ121がフレーム111に対してスライドドア200の開扉方向と閉扉方向の双方向に操作可能に構成されているが、本発明の実施に際しては、フレームとハンドグリップを連結する連結機構の構成が適宜変更可能であり、例えば、特開2007−85032号公報に記載されている連結機構(リンク機構)の構成であってもよい。
【0058】
また、上記した実施形態においては、ハンドグリップ121が全開状態にあるスライドドア200を閉側に移動させる閉扉方向と同方向に操作されることで、スライドドア200を全開状態に保持する全開ロック203(全開ラッチ機構)を解除するための操作力が発生するように設定されているシステムにおいて、車両衝突等による慣性対策(全開ラッチ機構を解除するための操作力が発生しないようにする安全性の向上)のための構成(レバー132に慣性ストッパ133とスプリング134を設ける構成)が採用されている。しかし、本発明の実施に際しては、スライドドアが全閉状態にあるときに、ハンドグリップが閉扉方向と同方向に操作されることでも、全閉ラッチ機構を解除するための操作力が発生するように設定されているシステムにおいて、車両衝突等による慣性対策のための構成(上記実施形態のレバー132に慣性ストッパ133とスプリング134を設ける構成)を採用して実施することが可能である。この場合には、上記した慣性によってハンドグリップが閉扉方向に移動されることはなく、スライドドアが全閉状態にある車両において、スライドドアを全閉状態に保持する全閉ラッチ機構を解除するための操作力が発生することはない。