(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示制御部は、前記機器の前記イメージデータ上のエリア情報と、前記エリア情報に結び付けられたIDとを含む紐付け用情報を用いて、前記状態情報を前記イメージデータに重ね合わせて描画する、請求項1に記載の物流設備表示システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のシステム構成つまりレイアウトは、CAD図面を見ながらオペレータが描画ソフトウェアを用いて新たに作成している。この従来の手法には下記の問題がある。
・工数が多い。
・正確なレイアウトが得られない。
・CAD図面の変更に対して直ちに対応できない。
【0007】
なお、CADデータを用いて状態表示を行うシステムも考えられる。しかし、CADデータを用いれば、表示端末における処理負荷が多くなり、そのため表示端末の高性能化が必要となる。
【0008】
本発明の課題は、物流設備の状態表示において、処理負荷を抑えつつ正確なレイアウト表示を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0010】
本発明の一見地に係る物流設備表示システムは、複数の機器を含む物流設備の状態情報を表示するシステムであって、状態情報受信部と、イメージデータ受信部と、表示制御部とを備えている。
状態情報受信部は、状態情報を受信する。
イメージデータ受信部は、物流設備の実際のレイアウトに基づいたイメージデータを受信する。
表示制御部は、状態情報をイメージデータに重ね合わせて描画する。
このシステムでは、物流設備の実際のレイアウトに基づいたイメージデータを用いているので、正確なレイアウト表示が可能になる。なお、「物流設備の実際のレイアウトに基づいたイメージデータ」とは、物流設備の何らかのレイアウト情報を利用して得られたイメージデータである。
【0011】
物流設備表示システムは、イメージデータを機器のレイアウトが描かれたCADデータから変換して得るデータ取得部をさらに備えてもよい。
このシステムでは、イメージデータの変換元はCADデータなので、正確なレイアウト表示が可能になる。
【0012】
表示制御部は、機器のイメージデータ上のエリア情報と、エリア情報に結び付けられたIDとを含む紐付け用情報を用いて、状態情報をイメージデータに重ね合わせて描画してもよい。
このシステムでは、エリア情報を含む紐付け用情報を用いるので、状態情報とイメージデータとの対応が容易かつ正確になる。
【0013】
物流設備表示システムは、紐付け用情報をCADデータに結合
してCAD関連データを作成するデータ結合部をさらに備えてもよい。その場合、データ
取得部は、紐付け用情報をCAD
関連データから
抽出する。
このシステムでは、紐付け用情報とCADデータが結合しているので、データの取り扱いが簡単になる。
エリア情報は、機器の位置を示す座標データを含んでいてもよい。
このシステムでは、座標データは例えばテキストファイルに保存されるので、データ量が少なくなる。
【0014】
本発明の他の見地に係る物流設備表示方法は、複数の機器を含む物流設備の状態情報を表示する方法であって、以下の工程を備えている。
◎状態情報を取得する。
◎物流設備の実際のレイアウトに基づいたイメージデータを取得する。
◎状態情報をイメージデータに重ね合わせて描画する。
この方法では、物流設備の実際のレイアウトに基づいたイメージデータを用いているので、正確なレイアウト表示が可能になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る物流設備表示システム又は方法では、処理負荷を抑えつつ正確なレイアウト表示が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(1)自動倉庫システム
図1を用いて、自動倉庫システム1を説明する。
図1は、自動倉庫システムの制御構成を示すブロック図である。
【0018】
自動倉庫システム1は、自動倉庫25の動作を制御するためのシステムである。自動倉庫25は、複数階(例えば3階)構造を有している。自動倉庫25は、複数台のスタッカクレーン27、複数台の入出庫ステーション29、複数台のラック31、及びメンテナンスエリア33を有している。ラック31は、全ての階を貫通して上下方向に延びており、複数の棚が上下左右に設けられている。ラック31は1組ずつ配置されており、各組の間の通路に1台のスタッカクレーン27が配置されている。スタッカクレーン27は、複数階に対応する高さを有している。入出庫ステーション29は、1階のみ又は全ての階に配置されている。
【0019】
自動倉庫システム1は、自動倉庫コントローラ3と、監視PC5と、設計PC7とを有している。
【0020】
自動倉庫コントローラ3は、自動倉庫25のスタッカクレーン27、及び入出庫ステーション29の動作を制御する。自動倉庫コントローラ3は、さらに、自動倉庫25の各機器(スタッカクレーン27,入出庫ステーション29、ラック31)の状態を把握して、状態を他の装置に通知可能である(後述)。
【0021】
監視PC5は、オペレータが自動倉庫25の状態を監視するためのコンピュータ端末である。監視PC5は、制御部9と、操作部11と、ディスプレイ13とを備えている。監視PC5の詳細については後述する。
【0022】
設計PC7は、自動倉庫25のCADデータを作成・更新するためのコンピュータ端末である。
【0023】
(2)監視PC
制御部9は、例えば、CPU、RAM、ROMからなるコンピュータであって、メモリに保存されたプログラムを実行することで各種制御を実行する。
【0024】
制御部9によって実現される各機能を説明する。制御部9は、表示制御部15と、設備状態情報受信部17と、CADデータ受信部19とを有している。
【0025】
表示制御部15は、表示画面の変更を行うための描画ソフトウェアを含んでいる。表示制御部15は、各種データを取り込んで、それらデータからディスプレイ13に表示するためのデータを作成して描画を行う。また、表示制御部15は、操作部11からの入力によって表示内容を変更する。
表示制御部15は、各種データを記憶するための記憶部15aを有している。
【0026】
設備状態情報受信部17は、設備状態情報を自動倉庫コントローラ3から受信して、次にそれを表示制御部15に送信する。
【0027】
CADデータ受信部19は、設計PC7からCAD関連データを受信して、次にそれをデータ取得部21に送信する。CAD関連データは、CADデータと紐付け用情報とを含んでいる。紐付け用情報は、各物流機器のイメージデータ上のエリア情報(後述)と、各エリア情報に結び付けられたIDとを含んでいる。エリア情報とは、例えば、CADデータにどの設備がどこの場所にあたるのかデータを作成しておき、その設備名称、設備ID、座標を取得して、テキストデータにしたものである。
【0028】
データ取得部21は、CADデータから変換してイメージデータを作成する。イメージデータとは、例えば、実際のレイアウトを忠実に表現したイメージを有しており、例えば、CAD線図、写真である。また、変換とは、CADデータをそのままイメージデータにすることである。さらにデータ取得部21は、CAD関連データからエリア情報をテキストデータとして抽出する。データ取得部21は、イメージデータとエリア情報を別々に表示制御部15に送信する。
【0029】
以上に述べたように、表示制御部15には、設備状態情報、イメージデータ、及びエリア情報が提供される。表示制御部15は、これら情報及びデータを重ね合わせた状態でディスプレイ13に表示する。その結果、正確な場所に色で設備の状態を表示することができる。
【0030】
操作部11は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネルである。
ディスプレイ13は、例えば、液晶パネル、プラズマ、CRTである。
【0031】
(3)各種データ
設備状態情報とは、例えば、スタッカクレーン27、入出庫ステーション29が、正常、異常、故障、停止(自動制御ではない状態)のいずれかの状態であることを示す情報である。設備状態情報は、各機器のIDと、状態情報とから構成されている。状態情報は、簡易情報(正常、異常、故障、停止のいずれかの状態)と、詳細情報(例えば、故障時の詳細内容及び復旧情報)とを有している。
【0032】
設備状態情報は、各階(例えば、1階、2階、3階)における設備状態を含んでいる。具体的には、設備状態情報は、例えば、1階状態情報、2階状態情報、3階状態情報から構成されている。1階状態情報、2階状態情報、3階状態情報は、各階内の機器の状態情報を含んでおり、上下方向に対応する機器の状態情報同士が対応している。
状態情報において、簡易情報と詳細情報とは、互いにリンクされている。さらに、状態情報は、簡易情報に結合され詳細情報の表示を開始するためのボタン(表示開始部の一例)をさらに有している。上記ボタンは、簡易情報が表示された部分に対応しており、クリック又はタッチされると、表示制御部15が詳細情報の表示を起動する。
簡易情報は、物流機器の表示の移動に追従して表示される。また、上記ボタンも物流機器及び簡易情報に追従して移動する。
【0033】
イメージデータとは、CADデータの線図から変換して得られた画像データである。イメージデータは例えばPNGファイル形式で保存される。イメージデータは、データ量がCADデータそのものより少ないものの、自動倉庫25の各階のレイアウトを正確に表している。したがって、例えば作業員が故障機器に向かうときに、経路及び周囲の状況が正確に分かる。
【0034】
エリア情報とは、各物流機器のイメージデータ内での位置を示す位置情報からなる。位置情報は、例えば座標データで構成されており、テキストファイルに保存されている。座標データは、平面四角形の機器であれば、4点の座標を当該機器の位置情報として有している。エリア情報は、CADデータの線図と対応付けられており、したがってCADデータから得られるイメージデータにも対応付けられている。
以上より、状態情報に含まれる物流機器のIDと紐付け用情報に含まれる物流機器のIDと結び付けることで、イメージデータに状態情報を重ねて表示することが容易になる。
また、イメージデータ及び座標データはデータ量が少ないので、表示制御部15の描画負荷が低減している。したがって、制御部9の高性能化が不要になっている。このため、低性能の監視端末であっても、正確な図面によるアニメーション表現が可能になる。その結果、リアルなモニター画面が実現される。
【0035】
(4)画面操作
表示制御部15は、前述のように、エリア情報を用いて、イメージデータ上に設備状態情報を重ねてディスプレイ13に表示する。したがって、オペレータはディスプレイ13を見ることで自動倉庫25の各機器の状態を知ることができる。設備状態は、例えば、色で表示される。例えば、緑色が正常を示し、赤色が異常を示し、灰色が故障(運用として切り離されており、メンテナンス又は点検のための手動操作になっている。)を示し、黄色が停止中を示す。
【0036】
さらに、オペレータは、操作部11を操作することで、表示制御部15によってディスプレイ13に表示される内容を変更可能である。
【0037】
また、自動倉庫コントローラ3は、制御部9に対して不定期又は定期的に設備状態情報を送信する。そのため、表示制御部15は、最新の設備状態情報をディスプレイ13に表示できる。
また、設計PC7は、CADデータが更新されるごとに又は所定のタイミングで、制御部9に対してCADデータを送信する。そのため、表示制御部15は、最新のイメージデータをディスプレイ13に表示できる。以上より、自動倉庫25のレイアウトが変更された場合も、更新されたCADデータからの最新の情報が提供されるので、実システムの変更に監視PC5が迅速に連動するようになっている。
【0038】
図2〜
図4は、ディスプレイ13に実際に表示される表示画面を示している。
図2では、ディスプレイ13に、自動倉庫25の1階レイアウト41の平面図が示されている。1階レイアウト41には、ラック31a〜31h、スタッカクレーン27s〜27d、入出庫ステーション29a〜29d、メンテナンスエリア33が示されている。状態情報は、各機器に重ねて表示された色で示されている。
ディスプレイ13には、タッチパネルの複数のボタンが操作部11として表示されている。ボタンをオペレータが操作することで、ディスプレイ13における表示を変更できる。
【0039】
図3では、自動倉庫25の3つの階のレイアウト及び状態情報が表示されている。ここでは、1階レイアウト41、2階レイアウト42、3階レイアウト43が下から順番に上下に並んで配置されている。つまり、表示制御部15は、自動倉庫25のレイアウト及び状態情報を、3つの階に配置された物流機器の全体が見えるように斜めな状態で各層の複数の物流機器が上下方向に並んで配置されるように1画面内に描画している。具体的には、各階の手前側が奥側に比べて画面下側に位置するように全体が傾けられた表示になっている。したがって、オペレータは、自動倉庫の全体の状態を画面を切り替えることなく確認できる。また、階同士の上下の位置関係が容易に把握できるので、オペレータは各階の状態を他の階の状態と関連付けて理解できる。
【0040】
表示制御部15は、3つの階の物流機器の表示を一括して変更できる。そのため、画面変更の操作性が良い。具体的には、表示制御部15は、3つの階の物流機器の表示角度を一括して変更できる。例えば、
図3では、各階の手前側が奥側に比べディスプレイ下方に位置するように各階が傾いて表示されており、この各階の傾きが一括して変更される。その結果、各階の表示を広げる又は縮めることができる。
【0041】
表示制御部15は、3つの階の物流機器の表示を一括して回転できる。表示制御部15は、例えば、
図3の表示から1階レイアウト41、2階レイアウト42及び3階レイアウト43を180度回転させて、
図4の表示に変更できる。
図4では、各階の奥側が、画面上で手前側に配置されることで、見やすくなっている。
【0042】
また、表示制御部15は、例えば、
図3の表示から1階レイアウト41、2階レイアウト42及び3階レイアウト43を90度回転させて、
図5の表示に変更できる。その結果、各階の側方部を画面上で手前側に持ってきて見やすくできる。
【0043】
さらに、表示制御部15は、複数階のレイアウトを一括して移動・拡大・縮小できる。
【0044】
以上に述べた1画面に並べられた複数のレイアウトを一括して移動、傾斜、回転、拡大、縮小するためには、例えば、複数のレイアウトのうちいずれかを基準画像として画像処理のためのパラメータを設定して画像処理を実行し、さらに他のレイアウトに対して上記パラメータに基づいて所定の画像処理を行う手法が採用されてもよい。ただし、画像処理の具体的な方法は特に限定されない。
【0045】
さらに、表示制御部15は、各階のレイアウトを単独で配置変更できる。例えば、表示制御部15は、例えば
図3の表示から1階レイアウト41を2階レイアウト42及び3階レイアウト43に対して、側方にずらして配置することができる。これにより、1画面において各階の表示をより平面に近くなるように傾斜角度を変更できる。また、表示制御部15は、各階のレイアウトを単独で拡大・縮小できる。
【0046】
上述のように物流機器の表示が変更されるときに、状態情報は、対応する物流機器に追従して表示される。したがって、オペレータは物流機器の状態を常に正確に把握できる。
【0047】
次に、状態情報の詳細情報表示を説明する。例えば、故障表示されているスタッカクレーン27aの部分にあるボタンをオペレータがクリック又はタッチすれば、
図7に示すように、詳細表示画面51が、通常の画面の上に重なって表示される。詳細表示画面51には、故障の状態及び復旧方法が表示されている。
以上に述べたように、ボタンが物流機器の表示に追従して表示されるので、オペレータは物流機器の状態の詳細情報を常に正確に把握できる。
【0048】
(5)実施形態の作用効果
上記実施形態は、下記のように表現可能である。
(A)監視PC5(物流設備表示システムの一例)は、複数の機器を含む自動倉庫25(物流設備の一例)の状態情報を表示するシステムであって、設備状態情報受信部17(状態情報受信部の一例)と、表示制御部15(イメージデータ受信部の一例であり、表示制御部の一例)とを備えている。
設備状態情報受信部17は、状態情報を受信する。
表示制御部15は、自動倉庫25の実際のレイアウトに基づいたイメージデータを受信する。表示制御部15は、状態情報をイメージデータに重ね合わせて描画する。
このシステムでは、自動倉庫25の実際のレイアウトに基づいたイメージデータを用いているので、正確なレイアウト表示が可能になる。
【0049】
(B)監視PC5は、イメージデータを自動倉庫25のレイアウトが描かれたCADデータから変換して取得するデータ変換部21(データ取得部の一例)をさらに備えてもよい。
このシステムでは、CADデータからイメージデータを変換しているので、正確なレイアウト表示が可能になる。
【0050】
(C)表示制御部15は、自動倉庫25の各機器のイメージデータ上のエリア情報と、エリア情報に結び付けられたIDとを含む紐付け用情報を用いて、状態情報をイメージデータに重ね合わせて描画してもよい。
このシステムでは、エリア情報を含む紐付け用情報を用いるので、状態情報とイメージデータとの対応が容易かつ正確になる。
【0051】
(D)紐付け用情報をCADデータに結合する設計PC7(データ結合部の一例)がさらに備えられてもよい。その場合、
データ取得部21は、紐付け用情報をCADデータから切り離すことで抽出する。
このシステムでは、紐付け用情報とCADデータが結合しているので、データの取り扱いが簡単になる。
【0052】
(E)エリア情報は、物流機器の位置を示す座標データを含んでもよい。
このシステムでは、座標データは例えばテキストデータであるので、データ量が少なくなる。
【0053】
(F)自動倉庫25の表示方法は、複数の物流機器を含む自動倉庫25の状態情報を表示する方法であって、以下の工程を備えている。
◎状態情報を取得する。
◎自動倉庫25の実際のレイアウトに基づいたイメージデータを取得する。
◎状態情報をイメージデータに重ね合わせて描画する。
この方法では、自動倉庫25の実際のレイアウトに基づいたイメージデータを用いているので、正確なレイアウト表示が可能になる。
【0054】
(6)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【0055】
(a)前記実施形態では物流設備は自動倉庫であったが、物流設備は搬送車システムであってもよい。
(b)前記実施形態では自動倉庫は複数階のレイアウトが表示されていたが、各階のレイアウトのみが表示されてもよい。
【0056】
(c)前記実施形態ではCADデータから変換したイメージデータを用いたが、例えば自動倉庫を平面として写した写真からなるイメージデータを用いてもよい。いずれの場合も、実際のレイアウトに忠実な内容のイメージデータが取り込まれて利用される。
【0057】
(d)前記実施得形態ではエリア情報は予めCADデータと結合されて制御部9に供給されていたが、エリア情報はCADデータとは別に制御部9(つまり、表示制御部15)に提供されてもよい。
(e)前記実施形態ではCADデータに座標データを
付加する作業は設計PCで行われたが、他の装置で行われてもよい。
(f)前記実施形態では物流機器の表示には状態情報の設定も伴っていたが、状態情報が設定されない装置にも本発明を適用できる。