(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の樹脂組成物、樹脂混練物、及び成形体について詳細に説明する。
【0009】
本発明の樹脂組成物は、樹脂と、粒子の凝集体と、を含む樹脂組成物であって、前記粒子の凝集体は単位体積当たりの充填率が、1.5%以上、25%以下となるものであることを特徴とする。
【0010】
本発明の樹脂混練物は、前記樹脂組成物を混練して得られることを特徴とする。
【0011】
本発明の成形体は、前記樹脂混練物を用いて得られるものであることを特徴とする。
【0012】
<樹脂組成物>
まずは、本発明の樹脂組成物について説明する。
【0013】
本発明の樹脂組成物は、樹脂と、粒子の凝集体と、を含む樹脂組成物であって、前記粒子の凝集体は単位体積当たりの充填率が、1.5%以上、25%以下となるものであることを特徴とする樹脂組成物である。
【0014】
前記樹脂としては、
熱硬化性樹脂を用いる。熱硬化性樹脂の具体例としては、特に限定されないが、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等が挙げられ、これらの2種以上を混合してもよい。その中でも、フェノール樹脂を用いることが好ましく、樹脂組成物から得られる成形体の透明性寸法や安定性が向上する。また、熱硬化時にフェノール樹脂に由来する架橋の密度が高くなり、成形体の機械強度が向上する。
【0015】
前記粒子としては、
無機粒子を用いる。無機粒子の具体例としては、特に限定されないが、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マイカ、クレー、ゼオライト等が
あげられる。これらの粒子を2種以上使用してもいいが、これらの中でも成形体の寸法安定性の観点から、無機粒子が好ましく、さらに汎用性、コストの観点から、シリカ、アルミナ、チタニアの中から選ばれるうちの一つ以上を用いることがより好ましい。
【0016】
前記粒子の形状は、塊状、鱗片状、球状、繊維状等、特に限定されないが、これらのなかでも、球状であることが好ましい。球状であることで、分散性が向上し、成形物の透明性が向上する。
【0017】
前記粒子の平均粒径は、特に限定されないが、10nm以上、100nm以下
であり、さらに好ましくは、10nm以上、50nm以下である。前記粒子の平均粒径が前記好ましい範囲であると、成形体の透明性と、寸法安定性が向上する。
前記粒子の平均粒子径は、動的光散乱装置(例えば、マルバーン社製、ゼータサイザーナノZS)を用いて測定することができる。体積換算で頻度が50%となる粒子径を平均粒子径D50%として定められる。
【0018】
前記粒子の凝集体は、前記粒子が2つ以上凝集して接合したものであり、単位体積当たりの充填率が、1.5%以上、25%以下であることが好ましく、1.8%以上、22%以下であることがさらに好ましく、最も好ましくは2.0%以上、20%以下である。前記単位体積当たりの充填率が前記好ましい範囲であると、粒子の凝集体と樹脂を混合および混練する際、凝集体が解砕しやすくなり、より均一に分散させることができる。その結果、得られる樹脂組成物は不本意な組成・特性のバラつきを効果的に防止することができる。
【0019】
前記単位体積当たりの充填率は、以下の方法より算出する。まず、前記粒子の凝集体の嵩密度を、例えばJIS K 5101−12−1に準じて測定する。測定した嵩密度をa、粒子の密度をbとした場合、単位体積当たりの充填率は、
(a/b)×100(%)で算出することができる。
【0020】
前記粒子の凝集体の含有量は、前記樹脂100重量部に対して0.1重量部以上、100重量部以下であることが好ましく、0.5重量部以上、50重量部以下であることがより好ましく、さらに好ましくは1重量部以上、25重量部以下である。粒子の凝集体の含有量が前記範囲内である場合、成形体の透明性と、寸法安定性が向上する。
【0021】
前記粒子の凝集体を得るには、特に限定されないが、例えば粒子の表面を樹脂等で処理して凝集させる方法等が挙げられる。ここでいう樹脂とは、前記樹脂組成物に含まれる樹脂と同じであっても異なっていてもよい。さらに、効率良く粒子の凝集体を得られることから、下記の方法により作製することが好ましい。まず、分散媒に分散した粒子を用意し、そこに凝集剤を添加する。これにより、静電反発力により分散していた粒子が表面の電荷を失い、凝集することで、分散媒に含まれる粒子の凝集体を得ることができる。さらに、粒子の凝集沈殿後、前記凝集剤を除去することが好ましい。凝集剤を除去することで、樹脂組成物における粒子状充填剤の分散性が向上し、成形物の透明性が向上する。凝集剤を除去するには、粒子の凝集体が含まれる分散媒を加熱して、凝集剤が溶解している上澄み液を抜き去ることで凝集剤を除去することができる。さらに分散媒で置換して凝集沈殿物から凝集剤を除去する処理を繰り返し行うことで、より凝集剤を除去することができる。
また、粉体状の粒子から粒子の凝集体を得るためには、まず分散媒に粒子を分散させて、上記の方法により粒子の凝集体を得ることができる。ここで、粒子を分散媒に分散させるには、超音波等を用いることで、効率的に分散させることができる。
【0022】
前記分散媒に含まれる粒子の凝集体は、凝集剤の除去後にさらに分散媒を蒸発させることで単離し、樹脂と混合させることができるが、分散媒に含まれたまま樹脂と混合させることが好ましい。分散媒に含まれた粒子を用いて樹脂と混合させることにより、粒子を樹脂組成物により高度に分散させることができ、成形体の透明性を向上させることができる。
【0023】
前記凝集剤は、特に限定されないが、臭化カリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウムなどの電解質、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸鉄、塩化鉄などの無機物、コロイド溶液などが挙げられ、これらを二種以上組み合わせてもよい。その中でも、臭化カリウム、塩化カリウムなどを用いることが好ましい。
【0024】
前記分散媒は、特に限定されないが、例えば、水、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、メタノール、エタノールおよびプロパのール等のアルコール類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
【0025】
前記粒子の凝集体は、そのせん断破壊強度が、3MPa以下であることが好ましく、2.5MPa以下であることがさらに好ましく、最も好ましくは2.0MPa以下である。前記せん断破壊強度が前記好ましい範囲であると、粒子の凝集体と樹脂を混合および混練する際、凝集体が解砕しやすくなり、粒子の凝集体を粒子として均一に分離させることができる。
【0026】
前記せん断破壊強度は、粒子硬度測定装置を用いた前記粒子凝集体の圧裂破壊試験により、破壊荷重を測定することで算出することができる。例えば1965年出版の「日本鉱業会誌」VoL.81、1024〜1030頁、「非整形試験片による岩石の引張り強さの迅速試験」平松良雄、岡行俊、本山英郎著に記載されている下記式(1)を用いて、圧裂破壊試験結果から粒子の凝集体の引張破壊強度を求めることができ、更に求めた引張破壊強度からせん断破壊強度を、例えば1965年出版の「日本鉱業会誌」VoL.81、563〜570頁、「岩石強度の標準試験法」西松裕一著に記載されている下記式(2)を用いて計算することが出来る。
式(1)
S
t=2.8P/(πd
2)≒S
d
S
t:圧裂破壊強度(N/mm
2)
P:破壊荷重(N/mm
2)
d:粒子径(mm)
S
d:引張破壊強度(N/mm
2)
式(2)
S
s=√3S
d
S
s:せん断破壊強度(N/mm
2)
S
d:引張破壊強度(N/mm
2)
【0027】
前記粒子の凝集体は、全空隙体積当たりの10nm以上の孔径を有する空隙体積率が、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがさらに好ましく、最も好ましくは70%以上である。前記空隙体積率が前記好ましい範囲であることで、粒子の凝集体における粒子間の接触面積が小さくなり、粒子の凝集体の単位体積あたりの充填率を小さくすることができ、粒子の凝集体と樹脂を混合および混練する際、凝集体が解砕しやすくなり、より均一に分散させることができる。その結果、得られる樹脂組成物は不本意な組成・特性のバラつきを効果的に防止することができる。
【0028】
前記空隙体積率は、窒素ガスを使用した細孔分布測定装置を用いて測定することができる。細孔分布測定における吸着等温線では、吸着過程と脱着過程で細孔の体積などの形状に依存したヒステリシスが生じ、このヒステリシスを利用した細孔分布の計算方法が提案されており、例えばBarrettとJoyerとHalendaにより提案されている解析法により細孔分布曲線が得られ、この細孔分布曲線から粒子凝集体の空隙体積率を求めることができる。
【0029】
<樹脂混練物>
次に、本発明の樹脂混練物について説明する。
【0030】
本発明の樹脂混練物は、前記樹脂組成物を混練して得られることを特徴とする樹脂混練物である。
【0031】
前記樹脂混練物は、以下の方法により製造することができる。
【0032】
(1)混合工程
本発明の樹脂混練物の製造方法は、樹脂と、粒子の凝集体と、を混合して混合物を得る混合工程を含む。混合工程により、粒子の凝集体を樹脂中に分散させることで、最終的に粒子の高度に分散した樹脂混練物を得ることができる。
【0033】
前記樹脂と、粒子の凝集体と、を混合する方法は、特に限定されないが、例えば、粒子の凝集体が分散媒に含まれている場合は、前記粒子の凝集体が含まれた分散媒に樹脂を混合し撹拌することにより得られる。また、樹脂と、粒子の凝集体とを、それぞれ固体で混合する場合は、ビーズミルなど撹拌装置を用いることもできる。より簡便に、混合工程を行うためには、粒子の凝集体を含んだ分散媒と、樹脂が分散または溶解した樹脂分散液または樹脂溶液とを別々に作製または用意し、それらを混合し撹拌することが好ましい。これにより、簡便に混合工程を行うことができる。分散媒を含んで混合工程を行う場合、脱溶媒工程を行うことが好ましい。
【0034】
前記混合工程では、前記粒子の凝集体と、前記樹脂の他に、硬化剤、硬化促進剤、充填剤、シランカップリング剤、着色剤、難燃剤および離型剤などの添加物を特性が損なわれない範囲で含むことができる。
【0035】
(2)溶融工程
本発明の樹脂混練物の製造方法は、特に限定されないが、混合工程で得られた混合物を加熱することで前記樹脂を溶融させ、溶融した樹脂を含む混合物を得る溶融工程を含むことが好ましい。溶融工程を含むことで、最終的に粒子を樹脂中により高度に分散させることができ、成形体の透明性を向上させることができる。溶融工程は、混合工程の後、第一の混練工程の前に行うことが好ましい。
【0036】
(3)第一の混練工程
本発明の樹脂混練物の製造方法は、前記混合物を加熱混練する第一の混練工程を含む。第一の混練工程を含むことで、粒子の凝集体がせん断力により破壊され、最終的に粒子を樹脂中により高度に分散させることができ、成形体の透明性を向上させることができる。
【0037】
前記第一の混練工程は、特に限定されないが、ロール、ニーダー又は押出機等が用いられ、これらの中でも二軸押出機を用いることにより混練することが好ましい。二軸押出機を用いることにより、最終的に粒子状充填材を樹脂組成物により高度に分散させることができ、成形体の透明性を向上させることができる。
【0038】
(4)脱分散媒工程
本発明の樹脂混練物の製造方法は、含まれる分散媒を除去する脱分散媒工程を含んでもよい。特に前記分散媒に含まれる粒子状充填材の凝集物、前記樹脂分散液、または前記樹脂溶液を用いた場合、脱分散媒工程を含むことが好ましい。脱分散媒工程を含むことにより、前記混合物の粘度が上昇し、前記第一の混練工程または後述する第二の混練工程において、強いせん断力が働き、より多くの粒子状充填材の凝集体が破壊され、最終的に粒子を樹脂中により高度に分散させることができ、成形体の透明性を向上させることができる。
【0039】
前記脱分散媒工程は、第一の混練工程前に行う等、特に限定されないが、第一の混練工程の後、後述の第二の混練工程の前に行うことが好ましい。前記第一の混練工程の後、第二の混練工程の前で行うことにより、効率良く粒子の凝集体を破壊することができ、最終的に粒子を樹脂中により高度に分散させることができ、成形体の透明性を向上させることができる。
【0040】
(5)第二の混練工程
本発明の樹脂混練物の製造方法は、前記第二の混練工程を含んでもよい。前記第二の混練工程は、第一の混練工程の後に脱溶媒工程が含まれる場合、脱溶媒工程の後に含んでもよく、第一の混練工程の前に脱溶媒工程が含まれる場合、第一の混練工程の後に含んでもよい。第二の混練工程を含むことで、粒子の凝集体がせん断力によりさらに破壊され、粒子を樹脂中により高度に分散させることができ、成形体の透明性を向上させることができる。
【0041】
前記第二の混練工程は、特に限定されないが、ロール、ニーダー又は押出機等が用いられ、これらの中でも二軸押出機を用いることにより混練することが好ましい。二軸押出機を用いることにより、粒子を樹脂中により高度に分散させることができ、成形体の透明性を向上させることができる。
【0042】
説明の都合上、(1)混合工程、(2)溶融工程、(3)第一の混練工程、(4)脱溶媒工程、(5)第二の混練工程、の順で本発明の樹脂混練物の製造方法を詳細に説明したが、本発明はこの順に行われる方法に限られたものではない。
例えば(1)混合工程、(3)第一の混練工程の順で行う方法や、(1)混合工程、(3)第一の混練工程、(4)脱溶媒工程、(5)第二の混練工程の順で行う方法、(1)混合工程、(2)溶融工程、(4)脱溶媒工程、(3)第一の混練工程の順で行う方法、(1)混合工程、(2)溶融工程、(4)脱溶媒工程、(3)第一の混練工程、(5)第二の混練工程で行われる方法等も含まれる。
【0043】
<成形体>
次に、本発明の成形体について説明する。
【0044】
本発明の成形体は、前記樹脂混練物を用いて得られるものである。
【0045】
本発明の成形体は、太陽電池用基板、有機EL用基板、電子ペーパー用基板、液晶表示素子用プラスチック基板、光学シート、光学フィルムなどの光学特性が重要な特性である成形体や、ダッシュボードやインスツルメントパネルなどの自動車用内装部品などの機械的強度が重要な特性である成形体として用いられる。
【0046】
本発明の成形体のその他の用途としては、透明性を生かして各種光導派路や透明基板、などにも使用できる。価格が安価であるがゆえにPCや各種電気電子装置におけるハウジングや筺体用樹脂としても使用可能である。また、高強度及び高弾性を生かして自動車用の各種構造材や部品用樹脂などにも利用可能である。
【0047】
本発明の樹脂成形物を用いる成形体の製造方法としては、従来からの溶融注型による成形方法を用いることができ、太陽電池用基板、有機EL用基板、電子ペーパー用基板、液晶表示素子用プラスチック基板、光学シート、光学フィルムなどの光学特性が重要な特性である成形体、もしくはダッシュボードやインスツルメントパネルなどの自動車用内装部品などの機械的強度が重要な特性である成形体として用いる場合は、トランスファー成形、コンプレッション成形、インジェクション成形などの成形方法を用いることが好ましい。
【実施例】
【0048】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制約されるものではない。
【0049】
(実施例1)
(1)粒子の凝集体
分散媒が水であるコロイダルシリカ(スノーテックス30、日産化学工業株式会社製、平均粒径12nm、固形分30wt%)100重量部に、臭化カリウム(和光純薬株式会社製)10%水溶液を900重量部加え、2時間撹拌し、シリカ粒子を凝集させた。凝集したシリカ粒子を、80℃の熱水に入れて、上澄み液を抜くことで凝集したシリカ粒子から臭化カリウムを除去し、乾燥させてシリカ粒子の凝集体を得た。得られたシリカ粒子の凝集体の充填率は、8.5%であった。
【0050】
(2)混合工程
前記シリカ粒子の凝集体を、水に再度分散させて、シリカ粒子の凝集体が20重量%で水に分散させた分散液を得た。前記分散液100重量部に対し、ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製、A1087)を380重量部を混合し、撹拌棒で2分間かき混ぜ、樹脂とシリカ粒子の凝集体を含む混合物を得た。
【0051】
(3)溶融工程、第一の混練工程、脱分散媒工程、および第二の混練工程
溶融工程、溶融工程、第一の混練工程、脱分散媒工程、および第二の混練工程は、二軸押出機(テクノベル社製、KZW15TW−45MG−NH(―6000))で行った。スクリュー回転数は2000rpmとし、溶融工程は90℃で30秒間、第一の混練工程は、90℃で1分間、脱分散媒工程はベント孔からロータリーポンプで−0.05MPaまで減圧させ、120℃で1分間、更に第二の混練工程は110℃で1分間となるよう、二軸押出機のバレル温度設定し、前記混合物のフィード量を調整した。以上の工程から、樹脂組成物を得た。
【0052】
(4)成形体の評価
得られた樹脂組成物を離型処理したシャーレ上で、減圧下において、150℃の熱板上で30分間脱溶媒処理をし、さらに90℃で30分間プレス成形し、100μmの樹脂組成物のフィルムを得た。光線透過率を測定したところ、全光線透過率は90%であった。また、得られたフィルムの断面を走査型電子顕微鏡で凝集物の有無を確認したところ、凝集物は確認されなかった。
前記と同様の手法により得られた、曲げ強度測定に必要量の樹脂組成物を粉砕し、樹脂組成物中のノボラック型フェノール樹脂100質量部に対して、ヘキサメチレンテトラミン(三菱ガス化学社製)15質量部を配合し、ミキサーで3分間混合した後、2本ロールにより100℃で溶融混練して、成形材料に用いる樹脂組成物を得た。得られた成形材料に用いる樹脂組成物を圧縮成形で175℃で3分間、200℃で5時間硬化させ、厚み4mm、幅10mmのテストピースを得た。曲げ強度を測定した結果、95MPaであった。
【0053】
(実施例2)
得られたシリカ粒子の凝集体20重量部を、水に再度分散させずに、ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製、A1087)を380重量部とミキサーで混合した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物から実施例1と同様に成形体として、100μmの樹脂組成物のフィルム、および厚み4mm、幅10mmのテストピースを得た。これらの成形体について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示す。
【0054】
(
参考例3)
実施例1のコロイダルシリカ(スノーテックス30、日産化学工業株式会社製、平均粒径12nm、固形分30wt%)臭化カリウム(和光純薬株式会社製)10%水溶液を1500重量部加え、シリカ粒子の凝集体を得た以外は、実施例1と同様にした。このとき、シリカ粒子の凝集体の充填率は、6.1%であった。得られた樹脂組成物から実施例1と同様に成形体として、100μmの樹脂組成物のフィルム、および厚み4mm、幅10mmのテストピースを得た。これらの成形体について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示す。
【0055】
(実施例4)
実施例1のコロイダルシリカ(スノーテックス30、日産化学工業株式会社製、平均粒径12nm、固形分30wt%)をコロイダルシリカ(スノーテックス20L、日産化学工業株式会社製、粒径40nm、固形分20wt%)にし、臭化カリウム(和光純薬株式会社製)10%水溶液を600重量部加え、シリカ粒子の凝集体を得た以外は、実施例1と同様にした。このとき、シリカ粒子の凝集体の充填率は、13%であった。得られた樹脂組成物から実施例1と同様に成形体として、100μmの樹脂組成物のフィルム、および厚み4mm、幅10mmのテストピースを得た。これらの成形体について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示す。
【0056】
(実施例5)
実施例1のコロイダルシリカ(スノーテックス30、日産化学工業株式会社製、平均粒径12nm、固形分30wt%)をコロイダルシリカ(スノーテックスXL、日産化学工業株式会社製、粒径50nm、固形分40wt%)にし、臭化カリウム(和光純薬株式会社製)10%水溶液を1200重量部加え、シリカ粒子の凝集体を得た以外は、実施例1と同様にした。このとき、シリカ粒子の凝集体の充填率は、15%であった。得られた樹脂組成物から実施例1と同様に成形体として、100μmの樹脂組成物のフィルム、および厚み4mm、幅10mmのテストピースを得た。これらの成形体について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示す。
【0057】
(実施例6)
実施例1のコロイダルシリカ(スノーテックス30、日産化学工業株式会社製、平均粒径12nm、固形分30wt%)をコロイダルシリカ(スノーテックスYL、日産化学工業株式会社製、粒径70nm、固形分40wt%)にし、臭化カリウム(和光純薬株式会社製)10%水溶液を1200重量部加え、シリカ粒子の凝集体を得た以外は、実施例1と同様にした。このとき、シリカ粒子の凝集体の充填率は、20%であった。得られた樹脂組成物から実施例1と同様に成形体として、100μmの樹脂組成物のフィルム、および厚み4mm、幅10mmのテストピースを得た。これらの成形体について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示す。
【0058】
(比較例1)
(1)混合工程
水に分散されたコロイダルシリカ(スノーテックス30、日産化学工業株式会社製、平均粒径12nm、固形分30wt%)100重量部に対し、ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製、A1087)を570重量部を混合し、撹拌棒で2分間かき混ぜ、樹脂とシリカ粒子を含む混合物を得た。このとき、実施例とは異なり、コロイダルシリカからシリカ粒子の凝集体を得ずに、そのままフェノール樹脂を混合させた。
【0059】
(2)溶融工程、第一の混練工程、脱分散媒工程、および第二の混練工程
溶融工程、溶融工程、第一の混練工程、脱分散媒工程、および第二の混練工程は、二軸押出機(テクノベル社製、KZW15TW−45MG−NH(―6000))で実施例1と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0060】
(3)成形体の評価
得られた樹脂組成物を実施例1と同様に離型処理したシャーレ上で、減圧下において、150℃の熱板上で30分間脱溶媒処理をし、さらに90℃で30分間プレス成形し、100μmの樹脂組成物のフィルムを得た。
前記と同様の手法により得られた、曲げ強度測定に必要量の樹脂組成物を粉砕し、樹脂組成物中のノボラック型フェノール樹脂100質量部に対して、ヘキサメチレンテトラミン(三菱ガス化学社製)15質量部を配合し、ミキサーで3分間混合した後、2本ロールにより100℃で溶融混練して、成形材料に用いる樹脂組成物を得た。得られた成形材料に用いる樹脂組成物を圧縮成形で175℃で3分間、200℃で5時間硬化させ、厚み4mm、幅10mmのテストピースを得た。
得られた樹脂組成物から実施例1と同様に成形体として、100μmの樹脂組成物のフィルム、および厚み4mm、幅10mmのテストピースを得た。これらの成形体について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示す。
【0061】
(比較例2)
水に分散されたコロイダルシリカ(スノーテックス30、日産化学工業株式会社製、平均粒径12nm、固形分30wt%)に、実施例とは異なり、臭化カリウム(和光純薬株式会社製)を加えずに乾燥させてシリカ粒子の凝集体を得た以外は、実施例1と同様にした。このとき、シリカ粒子の凝集体の充填率は、41%であった。得られた樹脂組成物から実施例1と同様に成形体として、100μmの樹脂組成物のフィルム、および厚み4mm、幅10mmのテストピースを得た。これらの成形体について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
表から明らかなように、本発明では、粒子状充填材が樹脂中に高度に分散し、透明性に優れた均一な成形体を得られたのに対し、比較例では十分な結果が得られなかった。