(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アシル酸性アミノ酸、カルビノール変性シリコーンおよびステロールとを混合して酸性触媒下エステル化することを特徴とする、請求項1に記載のアシル酸性アミノ酸モノシリコーンモノステロールエステルを含有する組成物の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、塗布時ののびが良くべたつきがないにも関わらず、塗布後にさっぱりしておりしっとり感に優れ、更にシリコーン特有のキシミ感がない新規油性原料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意研究した結果、特定のアシル酸性アミノ酸エステルによって上記課題を解決できることを見出し、発明を完成させた。
【0009】
即ち本発明は以下の態様を含む。
[1]下記一般式(I)で表されることを特徴とするアシル酸性アミノ酸モノシリコーンモノステロールエステル
(I):
【0010】
【化1】
【0011】
(式中R
1は炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素基を表し、qは1または2であり、X、Yのいずれか一方はステロールエステル残基であり、他方は下記一般式(II)で示されるシリコーンエステル残基である)
(II):
【0012】
【化2】
【0013】
(式中、A、A
2は、それぞれ炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基から選ばれ;lは0〜2の整数であり;mは0〜10の整数であり、またR
2は更に下記一般式(IV)または下記一般式(V)から選ばれる。)
(IV):
【0014】
【化3】
【0015】
(式中、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7は互いに独立して水素原子基、水酸基、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜50の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜21のアラルキル基、又置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を表し、aは2〜10000の数を示す。)
(V):
【0016】
【化4】
【0017】
(式中、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14は互いに独立して水素原子基、水酸基、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜50の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜21のアラルキル基、又置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を表し、cは1〜10000の数を示し、bは1〜30の数を示す。)。
[2]R
2が一般式(IV)であることを特徴とする[1]に記載のアシル酸性アミノ酸モノシリコーンモノステロールエステル。
[3]q=2であることを特徴とする、[1]〜[2]のいずれかに記載のアシル酸性アミノ酸モノシリコーンモノステロールエステル。
[4]R
1―CO―で表されるアシル基が、オクタノイル基、2−エチルヘキサノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基から選ばれる1種または2種以上、または、ヤシ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等の天然より得られる混合脂肪酸もしくは合成により得られる脂肪酸(分岐脂肪酸を含む)によるアシル基から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載のアシル酸性アミノ酸モノシリコーンモノステロールエステル。
[5]R
1―CO―で表されるアシル基が、ラウロイル基であることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載のアシル酸性アミノ酸モノシリコーンモノステロールエステル。
[6]ラウロイルグルタミン酸モノシリコーンモノステロールエステルである、[1]〜[2]に記載のアシル酸性アミノ酸モノシリコーンモノステロールエステル。
[7]aが、2〜100であることを特徴とする、[1]〜[6]のいずれかに記載のアシル酸性アミノ酸モノシリコーンモノステロールエステル。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載のアシル酸性アミノ酸モノシリコーンモノステロールエステルを含有することを特徴とする化粧料。
[9][1]〜[7]のいずれかに記載のアシル酸性アミノ酸モノシリコーンモノステロールエステルからなる油性基剤。
[10]更に下記一般式(VIII)で表されることを特徴とするアシル酸性アミノ酸ジシリコーンエステルを含有することを特徴とする[9]に記載の油性基剤
(VIII):
【0018】
【化5】
【0019】
(式中R
1は炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素基を表し、qは1〜2であり、Z、Wはそれぞれ独立して下記一般式(IX)である。)
(IX):
【0020】
【化6】
【0021】
(式中、A、A
2は、それぞれ炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基から選ばれ;lは0〜2の整数であり;mは0〜10の整数であり、またR
15,R
16、R
17、R
18、R
19は互いに独立して水素原子基、水酸基、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜50の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜21のアラルキル基、又置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を表し、aは2〜10000の数を示す。)。
[11]アシル酸性アミノ酸、カルビノール変性シリコーンおよびステロールとを混合して酸性触媒下エステル化することを特徴とする、アシル酸性アミノ酸モノシリコーンモノステロールエステルを含有する組成物の製造方法。
[12]更に高級アルコールをエステル化反応時に共存させることを特徴とする、[11]に記載の製造方法。
[13][11]および[12]に記載の製造方法により得られる組成物。
[14]粘度が10〜600mPa・sである[13]に記載の組成物。
[15]粘度が50〜500mPa・sである[13]に記載の組成物。
[16]下記一般式(VIII)で表されることを特徴とするアシル酸性アミノ酸ジシリコーンエステル
(VIII):
【0022】
【化7】
【0023】
(式中R
1は炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素基を表し、qは1〜2であり、Z、Wは、はそれぞれ独立して下記一般式(IX)である。)
(IX):
【0024】
【化8】
【0025】
(式中、A、A
2は、それぞれ炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基から選ばれ;lは0〜2の整数であり;mは0〜10の整数であり、またR
15,16,17,18,19は互いに独立して水素原子基、水酸基、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜50の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜21のアラルキル基、又置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を表し、aは2〜10000の数を示す。)。
【発明の効果】
【0026】
本発明の特定のアシル酸性アミノ酸エステルにより、塗布時ののびが良くべたつきがないにも関わらず、塗布後にさっぱりしておりしっとり感に優れ、更にシリコーン特有のキシミ感がない新規油性原料を提供できるようになった。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は特定のアシル酸性アミノ酸モノシリコーンモノステロールエステルに関する。
本発明のアシル酸性アミノ酸モノシリコーンモノステロールエステルは、アシル酸性アミノ酸の2つのカルボン酸のうち一方がシリコーンエステルであり、もう一方がステロールエステルである化合物である。
【0028】
本発明のアシル酸性アミノ酸モノシリコーンモノステロールエステルは、下記一般式(I)で示される。
(I):
【0030】
式中、R
1は炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素基を表す。炭化水素基は、直鎖状または分岐鎖状のいずれであっても良い。R
1−CO−で表されるアシル基は炭素原子数2〜31の飽和または不飽和脂肪酸より誘導されるアシル基であり、例としては、オクタノイル基、2−エチルヘキサノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基等、R
1が、7〜22のアシル基が好ましい。R
1−CO−で表される長鎖アシル基は、単一組成の脂肪酸によるアシル基のほか、ヤシ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等の天然より得られる混合脂肪酸あるいは合成により得られる脂肪酸(分岐脂肪酸を含む)によるアシル基であっても良い。これらのうち1種類を使用しても良いし、上記群から選ばれる2種以上を混合して使用しても構わない。しっとり感に優れるという観点で、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基の群からなる1種または2種以上が好ましく、ラウロイル基がより好ましい。
式中、qは1または2であり、素材の保存安定性に優れるという観点でq=2が好ましい。
【0031】
式中、X、Yのいずれか一方はステロールエステル残基であり、ステロールエステル残基でありさえすれば特に制限はないが、例えばコレステロールエステル残基、フィトステロールエステル残基が挙げられる。また、これらの水添物であってもよい。動物由来の原料を含まない純植物由来であるという観点で、フィトステロールエステル残基が好ましい。
【0032】
式中、X、Yのいずれか一方はシリコーンエステル残基であり、シリコーンエステル残基であれば特に制限はないが、下記一般式(II)が好ましい。
(II):
【0034】
式(II)中、A、A
2は、それぞれ炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基であり、Aは直鎖のアルキレン基であればよく、使用感が優れるという観点でエチレン基、プロピレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。また、A
2は使用感が優れるという観点で、エチレン基、プロピレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
mは0〜10の整数であり、使用感が好ましいという観点で、0〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。またlは0〜2の整数であり、使用感が好ましいという観点で、1または2が好ましく、1がより好ましい。
【0035】
上記シリコーンエステル残基の例として、具体的に下記一般式群(III)が挙げられる。
(III):
【0037】
式(II)および(III)中、R
2は下記一般式(IV)または下記一般式(V)で表される。さっぱり感の観点から、下記一般式(IV)が好ましい。
(IV):
【0039】
式中、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7は互いに独立して水素原子基、水酸基、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜50の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜21のアラルキル基、又置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を表し、R
3は使用感が優れるという観点で、直鎖アルキル基及びフェニル基が好ましく、メチル基、n−ブチル基が更に好ましい。式中、R
4、R
5、R
6、R
7は製法の容易さの観点で、直鎖アルキル基及びフェニル基が好ましく、メチル基及びフェニル基が更に好ましい。
aは2〜10000の数を示し、2〜1000が好ましく、2〜500がより好ましく、2〜200がより好ましく、2〜100がさらに好ましい。
(V):
【0041】
式中、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14は互いに独立して水素原子基、水酸基、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜50の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜21のアラルキル基、又置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を表し、製法の容易さの観点で、アルキル基及びフェニル基が好ましく、メチル基及びフェニル基がさらに好ましい。
bは1〜30の数を示し、さっぱり感の観点から1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。
cは1〜10000の数を示し、同様にさっぱり感の観点から1〜1000が好ましく、1〜100がさらに好ましい。
【0042】
一般式(IV)の具体例として、次のような例が挙げられる。
(VI):
【0044】
一般式(V)の具体例として、次のような例が挙げられる。
(VII):
【0046】
本発明のアシル酸性アミノ酸モノシリコーンモノステロールエステルは、例えば、アシル酸性アミノ酸無水物とカルビノール変性シリコーンを当量反応後、更にコレステロールと縮合させることにより合成することができる(スキーム1)。
〔スキーム1〕
【0048】
本発明のアシル酸性アミノ酸モノシリコーンモノステロールエステルは、また、アリルオキシアルコールとアシルグルタミン酸モノステロールエステルとの縮合物を合成後、α−ハイドロジェンポリシロキサンと反応させることにより合成することもできる(スキーム2)。
〔スキーム2〕
【0050】
本発明のアシル酸性アミノ酸モノシリコーンモノステロールエステルは、油性基剤として使用することができる。本明細書において油性基材とは、皮膚や毛髪に対する保湿作用、柔軟作用、保護作用、水分の蒸発抑制作用などのエモリエント効果のほか、使用感の改善、乳化補助、稠度付与、色素分散、顔料分散、皮膚への展着等の効果を期待して、化粧料、外用剤等に配合される油溶性の成分をいう。
【0051】
使用される油性基剤全体量に対して、0.001〜100質量%の割合で使用することができる。使用感の観点で、油性基剤全体量に対するアシル酸性アミノ酸モノシリコーンモノステロールエステル含有率の下限値は、0.1質量%が好ましく、0.5質量%がより好ましく、1質量%が更に好ましく、2質量%が更に一層好ましく、3質量%が殊更好ましく、5質量%が特に好ましい。油性基剤全体量に対するアシル酸性アミノ酸モノシリコーンモノステロールエステル含有率の上限値は、使用感の観点で、98質量%が好ましく、95質量%がより好ましく、90質量%が特に好ましい。
【0052】
本発明の油性基剤に、更にアシル酸性アミノ酸ジシリコーンエステルを含有させることにより、さっぱり感、べたつきのなさを付与することができる。
【0053】
本発明において、アシル酸性アミノ酸ジシリコーンエステルは下記一般式(VIII)で示される。
(VIII):
【0055】
式中R
1、qは上記定義と同義であり、Z、Wはそれぞれ独立してシリコーンエステル残基であり、下記一般式(IX)が好ましい。
(IX):
【0057】
式中、A、A
2、l、m、aは上記定義と同義であり、またR
15、R
16、R
17、R
18、R
19は互いに独立して水素原子基、水酸基、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜50の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜21のアラルキル基、又置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を表し、使用感が優れるという観点で、直鎖アルキル基及びフェニル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、フェニル基がより好ましく、メチル基、エチル基、フェニル基が更に好ましく、メチル基、フェニル基が更に一層好ましい。R
19は使用感が優れるという観点で、直鎖アルキル基及びフェニル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基がより好ましい
。
【0058】
式(IX)として、(X)のような例が挙げられる。
(X):
【0060】
本発明のアシル酸性アミノ酸ジシリコーンエステルは、例えば、アシル酸性アミノ酸の無水物とカルビノール変性シリコーンを反応後、再度カルビノール変性シリコーンとカルボジイミドなどの縮合剤を用いて合成することができる(スキーム3)
〔スキーム3〕
【0062】
また、α−ハイドロジェンポリシロキサンと、アリルオキシアルコールとアシルグルタミン酸ステロールエステルとの縮合物から合成することもできる(スキーム4)。
〔スキーム4〕
【0064】
本発明の油性基剤におけるアシル酸性アミノ酸モノシリコーンモノステロールエステル(以下成分Aと記載する場合がある)とアシル酸性アミノ酸ジシリコーンエステル(以下成分Bと記載する場合がある)の配合量は、べたつき感のなさとしっとり感の実感が有効に発揮されるという観点から、成分B/成分A(質量比)の下限値は、0.0001が好ましく、0.001がより好ましく、0.01が更に好ましく、0.1が更に一層好ましく、0.2が殊更好ましく、0.3が特に好ましい。一方、皮膚へのなじみやすさが有効に発揮されるという観点から、成分B/成分A(質量比)の上限値は、10000が好ましく、1000がより好ましく、100が更に好ましく、10が更に一層好ましく、5が殊更好ましく、3が特に好ましい。
【0065】
本発明の一態様として、アシル酸性アミノ酸、カルビノール変性シリコーンおよびステロールとを混合して酸性触媒下エステル化することを特徴とする、アシル酸性アミノ酸モノシリコーンモノステロールエステルを含有する組成物の製造方法を提供する。
【0066】
使用することができるアシル酸性アミノ酸の例として、ラウロイルグルタミン酸、ステアロイルグルタミン酸、ココイルグルタミン酸、ラウロイルアスパラギン酸等が挙げられ、商業的に入手可能な例として、アミソフトLA−D(味の素社製)が挙げられる。アシル酸性アミノ酸はナトリウム塩カリウム塩等の塩の形態および無水物であっても使用することができる。N−アシルアミノ酸は、光学活性体またはラセミ体のいずれであっても差し支えない。
【0067】
また、本明細書において、カルビノール変性シリコーンとは、シリコーン鎖の一部が水酸基を含むアルキル鎖等で変性されたものをいい、使用することが出来るカルビノール変性シリコーンの例としては、FM−0411(チッソ社製)、FM−0421(チッソ社製)、X−22−4039(信越化学工業社製)、X−22−4015(信越化学工業社製)、X−22−170BX(信越化学工業社製)、X−22−170DX(信越化学工業社製)、が挙げられ商業的に入手可能である。
【0068】
使用することが出来るステロールは、コレステロール、フィトステロールであり、フィトステロールS(タマ生化学社製)、NIKKOL ニコムルス LC(日光ケミカルズ社製)、コレステロール(日本精化社製)が挙げられ商業的に入手可能である。
【0069】
アシル酸性アミノ酸、カルビノール変性シリコーンおよびステロールの使用量は、アシル酸性アミノ酸を1当量に対して、ステロールをx当量、片末端カルビノール変性シリコーンをy当量とすると、x=0.01〜1の範囲から選ばれ、y=0.3〜2の範囲から選ばれる。xについては、しっとり感及びべたつきのなさの両立の観点から下限値は、0.03が好ましく、0.05がより好ましく、0.1が更に好ましい。xについては、しっとり感及びべたつきのなさが程よく両立するという観点から上限値は、0.9が好ましく、0.8がより好ましく、0.7が更に好ましく、0.6が更に一層好ましい。
【0070】
yについては、さっぱり感が増すという観点から下限値は、0.5が好ましく、1.0がより好ましく、1.2が更に好ましく、1.4が更に一層好ましく、1.5が殊更好ましい。yについては、さっぱり感が程よいという観点から、上限値は、1.9が好ましく、1.8がより好ましく、1.7が更に好ましく、1.6がより更に好ましい。
【0071】
用いる酸性触媒としては、エステル化が進行しさえすれば特に制限はないが、具体的には、塩酸、硫酸、燐酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等が、挙げられる。着色が少なく低コストであるという観点で、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸が好ましく、p−トルエンスルホン酸、硫酸がより好ましい。触媒の使用量は、エステル化が進行しさえすれば、特に制限はないが、下限値はアシル酸性アミノ酸を1当量に対して、0.0001が好ましく、0.0003がより好ましく、0.001が更に好ましく、0.003が特に好ましい。また、後処理の容易さの観点から、上限値は、1が好ましく、0.3がより好ましく、0.1が更に好ましく、0.05が特に好ましい。
【0072】
反応溶媒は、水と共沸するという観点からトルエン・キシレンなどが好ましい。また、反応の後処理の容易さという観点から無溶媒で反応させることもできる。
【0073】
反応温度は、反応条件によって適宜設定することができる。特に圧力制御を行わない場合、180〜80℃が好ましく、170〜105℃がより好ましく、160〜110℃が更に好ましい。減圧等の圧力制御をして実験を行う場合には、適宜温度を設定することができる。
【0074】
反応時間は、反応の規模によって適宜設定することができ、例えば、0.1〜100時間と設定することが出来る。0.5〜60時間がより好ましく、1〜20時間が更に好ましい。反応は、2〜5で完了させることも出来る。
【0075】
反応後、水酸化ナトリウム等の塩基性化合物により中和し、水、メタノール等を加えて分層して、水、メタノール相を除去することにより本発明の組成物を得ることができる。
【0076】
得られる組成物は、アシル酸性アミノ酸モノシリコーンモノステロールエステルを含有するものであり、公知の精製方法を施して単一成分を得ても良いし、そのまま油性基剤として使用しても良い。良好な使用感が得られるという観点で、組成物をそのまま油性基剤として使用する方が好ましい。
【0077】
本発明の組成物の調製の際、更に高級アルコールをエステル化反応時に共存させることにより、更にしっとり感を付与する組成物を得ることができる。上記反応に使用しうる高級アルコールは、特に制限はないが、炭素数8〜30の直鎖もしくは分岐鎖の飽和、不飽和アルキル基が好ましく、セチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール、ベヘニルアルコール等が挙げられ、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノールが更に好ましい。
【0078】
アシル酸性アミノ酸、カルビノール変性シリコーン、ステロールおよび高級アルコールの使用量は、アシル酸性アミノ酸1当量に対して、ステロールをx当量、片末端カルビノール変性シリコーンをy当量、高級アルコールをz当量とすると、x=0.01〜1.2の範囲から選ばれ、y=0.3〜2の範囲から選ばれ、z=0.1〜1.7の範囲から選ばれる。
【0079】
xについては、しっとり感及びべたつきのなさの両立の観点から下限値は、0.03が好ましく、0.05がより好ましく、0.1が更に好ましく、0.2が更に一層好ましく、0.3が殊更好ましい。xについては、しっとり感及びべたつきのなさが程よく両立するという観点から上限値は、1.1が好ましく、1.0がより好ましく、0.9が更に好ましく、0.7が更に一層好ましい。
【0080】
yについては、さっぱり感が増すという観点から下限値は、0.5が好ましく、0.6がより好ましく、0.7が更に好ましく、0.8が更に一層好ましく、0.9が殊更好ましい。yについては、さっぱり感が程よいという観点から、上限値は、1.9が好ましく、1.8がより好ましく、1.7が更に好ましく、1.6が更に一層好ましく、1.5が殊更好ましい。
【0081】
zについては、しっとり感が増すという観点から下限値は、0.2が好ましく、0.3がより好ましく、0.4が更に好ましく、0.5が更に一層好ましい。zについては、さっぱり感が程よいという観点から、上限値は、1.4が好ましく、1.1がより好ましく、1.0が更に好ましく、0.9が更に一層好ましく、0.8が殊更好ましく、0.7が特に好ましい。
【0082】
得られる組成物は、アシル酸性アミノ酸モノシリコーンモノステロールエステルを含有するものであり、公知の精製方法を施して単一成分を得ても良いし、そのまま油性基剤として使用しても良い。良好な使用感が得られるという観点で、組成物をそのまま油性基剤として使用する方が好ましい。
【0083】
得られる組成物は、油剤のさっぱり感、べたつき、しっとり感、のびの観点から、粘度が10〜700mPa・sであるのが好ましい。より好ましくは40〜600mPa・sであり、さらにより好ましくは50〜500mPa・sである。粘度は、シリコーンを適宜選択することにより、調整することが出来る。この観点より、(IV)(IX)中、aは2〜1000が好ましく、2〜500がより好ましく、2〜200がより好ましく、2〜100がさらに好ましい。さらに、粘度は、上記x、y、zを適宜選択することにより、調整することが出来る。この観点より、xについては、下限値は、0.03が好ましく、0.05がより好ましく、0.1が更に好ましい。上限値は、0.9が好ましく、0.8がより好ましく、0.7が更に好ましく、0.6が更に一層好ましい。yについては、下限値は、0.5が好ましく、1.0がより好ましく、1.2が更に好ましく、1.4が更に一層好ましく、1.5が殊更好ましい。上限値は、1.9が好ましく、1.8がより好ましく、1.7が更に好ましく、1.6がより更に好ましい。
【0084】
本発明の一態様として、アシル酸性アミノ酸モノシリコーンモノステロールエステルを含む化粧料を提供する。例えば、洗顔料、化粧水、乳液、クリーム、ジェル、美容液、パック、マスク、等のスキンケア化粧料、白粉、ファンデーション、口紅、チーク、アイライナー、マスカラ、アイシャドー、眉墨などのメイクアップ化粧料、シャンプー、リンス、ヘアコンディショナー、ヘアスタイリング剤、ヘアトリートメント等のヘアケア化粧料が挙げられる。化粧料中の使用量は使用目的用途により適宜選択できるが、例えば口紅では化粧料全体に対して0.01〜20質量%使用しても良く、クリーム化粧料では化粧料全体に対して0.01〜5質量%使用しても良い。
【0085】
本発明の化粧料には、通常化粧料に添加してもよい成分を本発明の効果を阻害しない範囲で配合しても良い。具体的には、油剤、キレート剤、界面活性剤、粉体、アミノ酸類、多価アルコール、ポリアミノ酸及びその塩、水溶性高分子、糖アルコール及びそのアルキレンオキシド付加物、低級アルコール、動植物抽出物、核酸、ビタミン、酵素、抗炎症剤、殺菌剤、防腐剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、制汗剤、顔料、色素、酸化染料、有機及び無機粉体、pH調整剤、パール化剤、湿潤剤、等が挙げられる。
【0086】
油剤としては、セチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール;イソステアリン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸等の脂肪酸;グリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール;ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、モノステアリン酸グリセリン、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸エチレングリコール、オキシステアリン酸オクチル、安息香酸アルキルエステル等のエステル類;流動パラフィン、ポリイソブテン、ワセリン、スクワラン等の炭化水素;ラノリン、還元ラノリン、カルナバロウ等のロウ;ミンク油、カカオ油、ヤシ油、パーム核油、ツバキ油、ゴマ油、ヒマシ油、オリーブ油等の油脂;エチレン・α−オレフィン・コオリゴマー等が挙げられる。
【0087】
特にシリコーン油の例としては、メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体及びポリ(オキシエチレン、オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体等のエーテル変性シリコーン、ステアロキシメチルポリシロキサン、ステアロキシトリメチルシラン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、メチルシクロポリシロキサン及びドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン;メチルフェニルポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等のアミノ変性シリコーン、シラノール変性ポリシロキサン、アルコキシ変性ポリシロキサン、脂肪酸変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、アルコキシ変性ポリシロキサンパーフルオロポリエーテル、ポリ酢酸ビニルジメチルポリシロキサン、及びそれらの混合物からなる群より選択されるシリコーン油が挙げられる。
【0088】
キレート剤としては、特に制限はないが、好ましくはトリエチレンテトラミン、2−テノイルトリフルオロアセトン、チオグリコール酸、酒石酸、コハク酸、8−キノリノール、ピリジン−2,6−ジカルボン酸、ピリジン、1,10−テナントロリン、乳酸、8−ヒドロキシキノリン−5−スルホン酸、グリシン、2,2’−ピリジルエチレンジアミン、オーリントリカルボン酸、キシレノールオレンジ、5−スルホサリチル酸、サリチル酸、ピロカテコール−3,5−ジスルホネート、4,5−ジヒドロキシベンゼン−1,3−ジスルホン酸、1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N’,N’−四酢酸、クエン酸、オキサレート、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、アセチルアセトンとそれらの塩からなる群より選択されるキレート化剤及びそれらの混合物などが挙げられる。
【0089】
界面活性剤としては、例えば、N−長鎖アシル酸性アミノ酸塩やN−長鎖アシル中性アミノ酸塩などのN−長鎖アシルアミノ酸塩、N−長鎖脂肪酸アシル−N−メチルタウリン塩、アルキルサルフェート及びそのアルキレンオキシド付加物、脂肪酸アミドエーテルサルフェート、脂肪酸の金属塩及び弱塩基塩、スルホコハク酸系界面活性剤、アルキルフォスフェート及びそのアルキレンオキシド付加物、アルキルエーテルカルボン酸等のアニオン界面活性剤;グリセリンエーテル及びそのアルキレンオキシド付加物などのエーテル型界面活性剤、グリセリンエステル及びそのアルキレンオキシド付加物などのエステル型界面活性剤、ソルビタンエステル及びそのアルキレンオキシド付加物などのエーテルエステル型界面活性剤、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、グリセリンエステル、脂肪酸ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのエステル型界面活性剤、アルキルグルコシド類、硬化ヒマシ油ピログルタミン酸ジエステル及びそのエチレンオキシド付加物、ならびに脂肪酸アルカノールアミドなどの含窒素型の非イオン性界面活性剤、アルキルアンモニウムクロライド、ジアルキルアンモニウムクロライドなどの脂肪族アミン塩、それらの4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩などの芳香族4級アンモニウム塩、脂肪酸アシルアルギニンエステル、等のカチオン界面活性剤;並びにカルボキシベタインなどのベタイン型界面活性剤、アミノカルボン酸型界面活性剤、イミダゾリン型界面活性剤等の両性界面活性剤等が挙げられる。
【0090】
粉体としては、例えば、ナイロンビーズ、シリコーンビーズ等の樹脂粉体、ナイロンパウダー、金属脂肪酸石鹸、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、酸化コバルト、カーボンブラック、群青、紺青、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、雲母チタン、窒化ホウ素、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭化珪素、色素、レーキ、セリサイト、マイカ、タルク、カオリン、板状硫酸バリウム、バタフライ状硫酸バリウム、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化鉄、アシルリジン、アシルグルタミン酸、アシルアルギニン、アシルグリシン等のアシルアミノ酸等が挙げられ、更にシリコーン処理、フッ素化合物処理、シランカップリング剤処理、シラン処理有機チタネート処理、アシル化リジン処理、脂肪酸処理、金属石鹸処理、油剤処理、アミノ酸処理等の表面処理が施してあっても構わない。
【0091】
アミノ酸としては、グリシン、アラニン、セリン、スレオニン、アルギニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、イソロイシン、ロイシン、バリン等が挙げられる。
【0092】
多価アルコールとしては、グリセリン、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール等が挙げられる。
【0093】
ポリアミノ酸及びその塩としては、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸等が挙げられる。
【0094】
水溶性高分子としては、ポリエチレングリコール、アラビアゴム類、アルギン酸塩、キサンタンガム、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、キチン、キトサン、水溶性キチン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジウム、ポリビニルピロリドン誘導体四級アンモニウム、カチオン化プロテイン、コラーゲン分解物及びその誘導体、アシル化タンパク、ポリグリセリン、等が挙げられる。
【0095】
糖アルコール及びそのアルキレンオキシド付加物としては、マンニトール等が挙げられる。
【0096】
低級アルコールとしては、エタノール、プロパノール、等が挙げられる。
【実施例】
【0097】
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0098】
<使用原料>
片末端カルビノール変性シリコーン:FM−0411(チッソ社製、平均分子量:1120
)
ラウロイルグルタミン酸:アミソフトLA−D(味の素社製)
コレステロール:コレステロール(和光純薬社製)
フィトステロール:フィトステロールS(タマ生化学社製、分子量414.7として計算)
【0099】
<測定>
1H−NMRは、AVANCE400(ブルカー社製)を用いて測定した。
粘度は、AR−G2(TA−Instruments社製)を用い、ジェオメトリーはアルミコーンプレート(φ40mm)、Steady state flowの条件で測定し、Shear Stressが9Paの時の値を採用した。
酸価は医薬部外品原料規格2006の方法に準じて測定した。
水酸基価はJIS規格(JISK0070 化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価、及び不けん化物の試験方法)に準じて測定した。
反応率は生成物の水酸基価と未反応時の理論水酸基価とを比較することで算出した。
すなわち、(反応率)=(1−(製造物の水酸基価)/(反応前の理論水酸基価))×100(%)
【0100】
<実施例1 ラウロイルグルタミン酸モノシリコーンモノコレステロールエステルの合成>
片末端カルビノール変性シリコーン10.00g(0.00892mol)を塩化メチレン10.00g、ピリジン1.00gに溶解させた後、ラウロイルグルタミン酸無水物4.67g(0.0150mol)を加え終夜反応させた。反応液を濃縮後、ヘキサンと90%メタノール水溶液を加えて分液を行った。ヘキサン層を濃縮し、ラウロイルグルタミン酸変性シリコーンを10.64g(0.00753mol)得た。
このうち2.00g(0.00141mol)と、コレステロール0.649g(0.00168mol)を塩化メチレン5.00gに溶解後、(1−エチル−(3−ジメチルアミノ)プロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCI)0.439g(0.00229mol)と4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)0.037gを加え、終夜反応させた。反応液を濃縮後、ヘキサンと90%メタノール水溶液を加えて分液を行った。ヘキサン層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10/1及び4/1)で精製を行い、ラウロイルグルタミン酸コレステリル変性シリコーン1.37g(00.00815mol)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3,r.t.):δ6.13(1H,d,J=7.6Hz),5.29(1H,s),4.60−4.48(2H,m),4.21(2H,m),3.55(2H,t,J=4.9Hz),3.34(2H,t,J=4.9Hz),2.4−0.8(75H,m),0.60(3H,s),0.45(4H,m),0.05〜−0.05(約80H,m)
【0101】
<実施例2 ラウロイルグルタミン酸ジシリコーンエステルの合成>
実施例1と同様に合成したラウロイルグルタミン酸変性シリコーン10.00g(0.00708mol)と、片末端カルビノール変性シリコーン3.81g(0.00340mol)を塩化メチレン40.00gに溶解後、(1−エチル−(3−ジメチルアミノ)プロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCI)1.46g(0.00763mol)と4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)0.093gを加え、終夜反応させた。反応液を濃縮後、ヘキサンと90%メタノール水溶液を加えて分液を行った。ヘキサン層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10/1及び4/1)で精製を行い、ラウロイルグルタミン酸ジシリコーンエステル8.49g(0.00338mol)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3,r.t.):δ6.14(1H,d,J=7.8Hz),4.58(1H,dt,J=4.9,7.8Hz),4.30−4.08(4H,m),3.55(4H,m),3.34(2H,m),2.52−1.90(6H,m),1.54(6H,m),1.21(24H,m),0.81(9H,m),0.46(8H,m),0.05〜−0.05(約160H,m)
【0102】
<製造例1 ラウロイルグルタミン酸モノシリコーンモノコレステロールエステル及びラウロイルグルタミン酸ジシリコーンエステル組成物の調製>
ラウロイルグルタミン酸9.88g(0.0300mol)、コレステロール3.48g(0.0090mol)、片末端変性シリコーン51.00g(0.0455mol)、トルエン71.85gを混合後、加熱溶解させ、硫酸0.3gを加え、Dean−Starkを用いて130℃で4時間反応させた。反応終了後、水20gを加え、10%NaOH水溶液でpH7まで中和し、ヘキサン20g、酢酸エチル40g、メタノール20gを加え分液を行い、水層を除去した。さらに水20g、メタノール30g、酢酸エチル30g、ヘキサン30gを加えて分液を行い、水層を除去した。有機層を濃縮し、オイルを53.45g得た。このオイルの酸価は1.01であった。水酸基価は7.50で反応率は84%、生成物の粘度は113.8mPa・sであった。
【0103】
<製造例2 ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ヘキシルデシル/ポリジメチルシロキサン)の調製>(組成物名中の「/」は「および、または」を意味する。以下同じ)
ラウロイルグルタミン酸9.88g(0.0300mol)、コレステロール3.48g(0.0090mol)、片末端変性シリコーン30.00g(0.0268mol)、ヘキシルデカノール5.09g(0.0188mol)、トルエン60.00gを混合後、加熱溶解させ、硫酸0.3gを加え、Dean−Starkを用いて130度で4時間反応させた。反応終了後、水20gを加えて10%NaOH水溶液でpH7まで中和し、ヘキサン20g、酢酸エチル40g、メタノール20gを加え分液を行い、水層を除去した。さらに水20g、メタノール60g、酢酸エチル60g、ヘキサン20gを加えて分液を行い、水層を除去した。有機層を濃縮し、オイルを41.84g得た。このオイルの酸価は1.57であった。水酸基価は9.44で反応率は85%、生成物の粘度は127.5mPa・sであった。
【0104】
<製造例3 ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル/ポリジメチルシロキサン)の調製>
ラウロイルグルタミン酸24.71g(0.075mol)、フィトステロール8.70g(0.021mol)、片末端変性シリコーン84.00g(0.075mol)、オクチルドデカノール14.94g(0.0525mol)トルエン105.00gを混合後、加熱溶解させ、p−トルエンスルホン酸1.43gを加え、Dean−Starkを用いて130度で2時間反応させた。反応終了後、水80gを加えて10%NaOH水溶液でpH7まで中和し、ヘキサン240g、メタノール240gを加え分液を行い、水層を除去した。さらにメタノール240gと水24gを加えて分液を行い、水層を除去した。有機層を濃縮し、オイルを109.32g得た。このオイルの酸価は3.87であった。水酸基価は15.20で反応率は76%、生成物の粘度は110.5mPa・sであった。
【0105】
<製造例4 ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル/ポリジメチルシロキサン)の調製>
ラウロイルグルタミン酸9.88g(0.0300mol)、フィトステロール4.18g(0.0108mol)、片末端変性シリコーン40.32g(0.0360mol)、オクチルドデカノール4.27g(0.0150mol)、トルエン70.00gを混合後、加熱溶解させ、p−トルエンスルホン酸0.57gを加え、Dean−Starkを用いて130度で2時間反応させた。反応終了後、2%NaOH水溶液を60gと、ヘキサン60g、メタノール60gを加え分液を行い、水層を除去した。さらにメタノール60gと水6gを加えて分液を行い、水層を除去する操作を2回繰り返して行った。有機層を濃縮し、オイルを49.23g得た。このオイルの酸価は1.1、水酸基価は10.69で反応率は82%、生成物の粘度は103.1mPa・sであった。
【0106】
<製造例5 ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル/ポリジメチルシロキサン)の調製>
ラウロイルグルタミン酸9.88g(0.0300mol)、フィトステロール2.78g(0.0067mol)、片末端変性シリコーン26.88g(0.0240mol)、オクチルドデカノール7.68g(0.0270mol)、トルエン70.00gを混合後、加熱溶解させ、p−トルエンスルホン酸0.57gを加え、製造例4と同様の方法で反応・後処理を行い、オイルを38.69g得た。このオイルの酸価は0.9、水酸基価は14.7で反応率は79%、生成物の粘度は113.1mPa・sであった。
【0107】
<製造例6 ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル/ポリジメチルシロキサン)の調製>
ラウロイルグルタミン酸9.88g(0.0300mol)、フィトステロール1.74g(0.0042mol)、片末端変性シリコーン16.80g(0.0150mol)、オクチルドデカノール10.24g(0.0360mol)、トルエン90.00gを混合後、加熱溶解させ、p−トルエンスルホン酸0.57gを加え、製造例4と同様の方法で反応・後処理を行い、オイルを29.29g得た。このオイルの酸価は0.9、水酸基価は14.9で反応率は81%、生成物の粘度は111.1mPa・sであった。
【0108】
<製造例7 ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル/ポリジメチルシロキサン)の調製>
ラウロイルグルタミン酸9.88g(0.0300mol)、フィトステロール6.96g(0.0168mol)、片末端変性シリコーン33.60g(0.0300mol)、オクチルドデカノール3.41g(0.0120mol)、トルエン90.00gを混合後、加熱溶解させ、p−トルエンスルホン酸0.57gを加え、製造例4と同様の方法で反応・後処理を行い、オイルを41.87g得た。このオイルの酸価は1.4、水酸基価は20.0で反応率は67%、生成物の粘度は135.8mPa・sであった。
【0109】
<製造例8 ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/ポリジメチルシロキサン)の調製>
ラウロイルグルタミン酸9.88g(0.0300mol)、フィトステロール3.48g(0.0084mol)、片末端変性シリコーン57.12g(0.0510mol)、トルエン90.00gを混合後、加熱溶解させ、p−トルエンスルホン酸0.57gを加え、製造例4と同様の方法で反応・後処理を行い、オイルを57.94g得た。このオイルの酸価は0.8、水酸基価は14.0で反応率は70%、生成物の粘度は61.6mPa・sであった。
【0110】
<製造例9 ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/ポリジメチルシロキサン)の調製>
ラウロイルグルタミン酸9.88g(0.0300mol)、フィトステロール5.80g(0.0140mol)、片末端変性シリコーン16.80g(0.0150mol)、トルエン90.00gを混合後、加熱溶解させ、p−トルエンスルホン酸0.57gを加え、製造例4と同様の方法で反応・後処理を行い、オイルを31.65g得た。このオイルの酸価は0.8、水酸基価は16.8で反応率は80%、生成物の粘度は247.8mPa・sであった。
【0111】
<実施例3〜17 油剤の官能評価>
製造した油剤の官能評価を行った。結果を表1に示す
。
各官能評価は、専門パネル5名による評価により試験を行った。すなわち、各試料を各パネルが手の甲に適量塗布し、下記の評価基準に従って官能評価を行った。
・塗布後のさっぱり感(5点満点で評価)
評価 5:非常にさっぱり感に優れる。
4:さっぱり感に優れる。
3:普通
2:さっぱり感に劣る
1:非常にさっぱり感に劣る
・べたつきのなさ(5点満点で評価)
評価 5:非常にべたつきがない
4:べたつきがない
3:普通
2:べたつく
1:非常にべたつく
・塗布後のしっとり感(5点満点で評価)
評価 5:非常にしっとりする
4:しっとりする
3:普通
2:しっとり感に欠ける
1:非常にしっとり感に欠ける
・塗布時ののび(5点満点で評価)
評価 5:非常にのびやすい
4:のびやすい
3:普通
2:のびが悪い
1:非常にのびが悪い
・塗布時のキシミ感(5点満点で評価)
評価 5:キシミ感がない
4:キシミ感がほとんどない
3:普通
2:少しキシミ感がある
1:かなりキシミ感がある
その評価結果の平均点が4.6以上を◎、3.5〜4.5を○、3.0〜3.4を△、2.5〜2.9を▲、2.4以下を×とした。結果を表1に示す。
【0112】
【表1】
【0113】
−:未測定
A:実施例1のラウロイルグルタミン酸(コレステロール/シリコーン)エステル
B:実施例2のラウロイルグルタミン酸シリコーン含有ジエステル
*1:特許第3086241号の参考例
【0114】
【化23】
【0115】
*2:特開昭50−158700号の参考例
*3:エルデュウ「PS−203」(味の素)
*4:エルデュウ「CL−202」(味の素)
【0116】
このように、アシルグルタミン酸モノシリコーンモノステロールエステルは塗布時の伸びがよく、べたつきが少ないにも関わらずさっぱり感がありしっとりしており、更にシリコーン特有のキシミ感がないことが明らかとなった。またアシルグルタミン酸シリコーンジエステルと混合することにより、塗布時ののび、べたつきのなさ、しっとり感、さっぱり感を両立した油剤となることが明らかとなった。
【0117】
<製剤例1;保湿クリームの調製>
下記に示すW/Oクリームを調製した。このクリームは保湿性に優れ、キシミ感がなく良好な使用感を有していた。
1)シクロメチコンD−5(東レダウコーニング SH245)20.50g
2)ジメチコンポリオール(信越化学工業 KF−6019) 2.00g
3)イソノナン酸イソトリデシル(高級アルコール工業 KAK−139)
5.00g
4)製造例3の油性基剤組成物 0.50g
5)1,3−ブチレングリコール 7.00g
6)塩化ナトリウム 2.00g
7)水 63.00g
調製法 1)〜4)までを加熱混合後、5)〜7)を別途加熱混合して加える。その後ゆっくり攪拌しながら冷却する。
【0118】
<製剤例2;リップグロスの調製>
下記に示すリップグロスを調製した。このリップグロスは保湿性に優れ、キシミ感がなく良好な使用感を有していた。
1)ジブチルラウロイルグルタミド(味の素 GP−1) 0.40g
2)オクチルドデカノール(高級アルコール工業 リソノール20SP)
2.00g
3)トリエチルヘキサノイン(高級アルコール工業 TOG) 25.00g
4)リンゴ酸ジイソステアリル(日清オイリオ コスモール222S)
10.00g
5)製造例4の油性基剤組成物 8.00g
6)トコフェノール 0.02g
7)水添ポリイソブテン(日油 パールリーム18) 34.48g
8)水添ポリイソブテン(日油 パールリーム24) 20.00g
9)パール顔料 0.10g
調製法:1)、2)を加熱混合して溶解後、3)〜6)を別途加熱溶解した後に加える。さらに加熱溶解した7)、8)を加え、9)を加えた後、冷却する。
【0119】
<製剤例3;保湿クリームの調製>
下記に示すW/O型保湿クリームを調製した。この保湿クリームは保湿性に優れ、キシミ感がなく良好な使用感を有していた。
1)スクワラン 8.00g
2)エチルヘキサン酸セチル(高級アルコール工業 CEH) 3.00g
3)セタノール(高級アルコール工業 セタノールSP−D50)
2.80g
4)ステアリン酸 2.40g
5)ステアリン酸PG(日本エマルジョン エマレックスPGMS)
1.20g
6)ステアリン酸グリセリル(日光ケミカルズ MGS−BSEV)
3.30g
7)ポリソルベート60(花王 レオドールTW−S120V)0.50g
8)ステアリン酸PEG−40(日光ケミカルズ MYS−40)
1.50g
9)ジメチコン(東レダウコーニング SH200 350cs)
0.80g
10)製造例4の油性基剤組成物 1.00g
11)BG 5.00g
12)キサンタンガム 0.10g
13)水 70.40g
調製法:1)〜10)を加熱して溶解する(A成分)。11)〜13)も加熱溶解した後、A成分に少しずつ加える。その後ホモミキサーで乳化し、室温まで冷却する
。